「電子部品・半導体業界の主要企業」と聞くと、多くの方はニュースで名前を見かける半導体メーカーや、大手の電機メーカーを思い浮かべるのではないでしょうか。
実際には、部品、半導体、製造装置、材料と分野ごとに主役となる企業が異なり、一般にはあまり知られていなくても世界で高い存在感を持つ企業が数多くあります。売上高の大きさだけでは、企業の実力は見えにくい業界です。
この記事では、電子部品・半導体業界の主要企業を、売上高ランキング、分野別の代表企業、主要企業の特徴と強み、海外企業との比較、再編・M&Aの動き、就職・転職で企業を見るときのポイントという順で整理します。
電子部品・半導体業界の売上高ランキング

まずは、主な上場企業を売上高の大きい順に並べてみます。ここでは、電子部品、半導体、半導体製造装置を主な事業とする企業を対象にしました。
最新の通期決算で、売上高が2兆円を超える企業が4社あります。
※2026年3月期の連結売上高(ルネサスエレクトロニクスは2025年12月期)。IFRS採用企業は売上収益。各社の決算短信とYahoo!ファイナンスの業績データを基に作成。化学など他事業の比重が大きい企業や、総合電機の半導体部門は含めていません。
首位はTDKの2兆5,048億円で、東京エレクトロン、キオクシアホールディングス、京セラが2兆円台で続きます。上位には部品・装置・半導体の各分野の企業が混在しているのが特徴です。
ただし、ランキングを見るときは事業範囲の違いに注意が必要です。例えばTDKは、売上高の約55%を電池などのエナジー応用製品が占めています(決算短信から算出)。京セラも、電子部品以外に幅広い事業を手がけています。
中位には、洗浄装置のSCREENホールディングス、パワー半導体のローム、切断・研削装置のディスコが並びます。売上高は5,000億円前後でも、特定の工程や製品で世界的に高い存在感を持つ企業です。
また、ソニーグループや三菱電機のように、大企業の一部門として半導体を手がける企業もあります。全社の売上高で並べたランキングには表れにくい点も押さえておきましょう。
分野別の主要企業

「業界とは」の記事で紹介した分類に沿って、分野ごとの代表的な企業を整理します。
分野ごとに、世界的な存在感を持つ企業があります。
※EMSやエレクトロニクス商社にも多くの企業があります。分類は各社の主力事業による目安です。
電子部品は日本企業が世界的に強い分野で、大手は売上高の9割以上を海外で稼いでいます。製造装置でも、前工程の装置、検査装置、切断・研削装置など、工程ごとに強みを持つ日本企業が並びます。
半導体メーカーは、メモリのキオクシアホールディングス、マイコンのルネサスエレクトロニクス、パワー半導体のロームなど、それぞれ得意な製品に特化しています。材料では、信越化学工業とSUMCOがシリコンウェハの大手として知られています。
なお、信越化学工業の2026年3月期の売上高は2兆5,740億円と大きいものの、半導体材料以外の化学品も幅広く手がけるため、図1のランキングには含めていません。SUMCOの2025年12月期の売上高は4,097億円でした。


主要企業の特徴と強み

ここからは、主要企業の事業と強みを1社ずつ見ていきます。数値は各社の決算に基づきます。
東京エレクトロン
国内最大の半導体製造装置メーカーで、2026年3月期の売上高は2兆4,435億円でした。ウェハに回路を形成する前工程を中心に、成膜やエッチング、洗浄など多くの工程の装置を手がけています。
営業利益率は25.6%と高い水準です。2027年3月期の中間期は売上高1兆6,200億円(前年同期比37.3%増)を見込んでおり、AI向けの投資拡大が追い風になっています。
村田製作所
電子部品の大手で、2026年3月期の売上収益は1兆8,309億円でした。売上の51.1%をコンデンサが占め、積層セラミックコンデンサが主力製品です。
用途別では通信が35.7%、モビリティが25.9%、コンピュータが16.9%です。海外売上高比率は92.7%で、中華圏向けだけで47.2%を占めます。
TDK
2026年3月期の売上高は2兆5,048億円と、今回取り上げた企業のなかで最大です。受動部品やセンサ、磁気製品に加え、電池などのエナジー応用製品が売上の柱になっています。
営業利益は2,724億円で、前期から21.5%増えました。海外売上高比率は92.7%で、地域別では中国向けの売上高が最も大きい構成です。
キオクシアホールディングス
東芝のメモリ事業を源流とする、NAND型フラッシュメモリの大手です。2019年10月に東芝メモリから社名を変更し、2024年12月に東証プライム市場へ上場しました。
業績の振れ幅が大きいのも特徴です。2024年3月期は2,527億円の営業損失でしたが、2026年3月期は売上高2兆3,376億円、営業利益8,704億円と大きく伸びました。
ルネサスエレクトロニクス
自動車や産業機器向けのマイコンに強い半導体メーカーで、2025年12月期の売上収益は1兆3,212億円でした。2010年に、NECエレクトロニクスとルネサス テクノロジが統合して誕生しています。
海外企業の買収で事業を広げてきたのも特徴です。インターシル、IDT、ダイアログ・セミコンダクター、Altiumを相次いで傘下に収め、製品群と設計ツールを強化してきました。
アドバンテスト
半導体の電気的な特性を検査するテスターの大手です。2026年3月期の売上高は1兆1,286億円で、前期の7,797億円から大きく増えました。
営業利益率は44.2%と、今回取り上げた企業のなかで最も高い水準です(決算から算出)。高性能な半導体ほど検査に時間と精度が求められることが、テスターの需要を押し上げています。
ディスコ
ウェハを薄く削ったり、チップに切り分けたりする切断・研削装置のメーカーです。2026年3月期の売上高は4,369億円で、2期連続で増えました。
営業利益率は42.3%と高く(決算から算出)、特定の工程に絞り込んで技術を磨くことで高い収益力を実現している例と言えます。
海外の主要企業との比較

世界に目を向けると、分野ごとに巨大な海外企業が存在します。WSTSによると、2025年の世界半導体市場は7,956億ドルで、その多くを海外企業が占めています。
製造装置でも、海外には大きな企業があります。例えば半導体露光装置のASML(オランダ)は、2025年の売上高が327億ユーロでした。為替の影響もあり単純比較はできませんが、日本の大手と並ぶか、それを上回る規模の企業が海外に複数あります。
日本勢は、製造装置・材料・電子部品で存在感を持っています。
※企業の位置づけは各社の開示や報道に基づく目安です。
最先端のロジック半導体やメモリでは、海外企業が大きな規模を持っています。ジェトロによると、世界の半導体市場に占める日本市場の割合は1988年の40.2%をピークに低下しました。
一方で、製造装置、材料、電子部品では、日本企業が世界の半導体づくりに欠かせない存在です。海外の半導体メーカーが工場を増やすほど、日本の装置や材料の需要も高まる関係にあります。
国内での生産を強化する動きもあります。TSMCが過半を出資するJASMが熊本で量産を始め、Rapidusも北海道千歳市で2nm世代の半導体の2027年の量産開始を目指しています。
再編・M&Aの動き

電子部品・半導体業界では、この十数年で大きな再編が繰り返されてきました。主な動きを年表で整理します。
事業の統合・売却、M&Aによる拡大、国内生産の強化の3つの段階に分かれます。
※年は統合・買収の完了や設立などの時期です。
2010年代前半までは、日本の半導体事業の統合や売却が中心でした。DRAM大手のエルピーダメモリは2012年に経営破綻し、2013年に米マイクロン・テクノロジの傘下に入りました。
その後は、日本企業が海外企業を買収して事業を広げる動きが目立ちます。ルネサスは、2017年のインターシル、2019年のIDTに続き、2021年にダイアログ・セミコンダクター、2024年にAltiumの買収を完了しました。
メモリでは、東芝が2018年にメモリ事業をベインキャピタル主導の連合に約2兆円で売却しました。この事業が現在のキオクシアホールディングスで、2024年12月に東証プライム市場に上場しています。
近年は、経済安全保障を背景とした国内生産の強化が新たな流れです。政府の支援を受けて、海外企業の工場誘致や、国産の先端半導体づくりが進められています。
就職・転職で企業を見るときのポイント

最後に、就職や転職で電子部品・半導体の企業を比べるときのポイントを3つ紹介します。
売上だけでなく利益率を見る
売上高が大きくても、利益率が高いとは限りません。2026年3月期の営業利益率は、アドバンテストの44.2%からロームの2.3%まで大きな差がありました(各社の決算から算出)。
同じ業界でも、企業によって利益率に大きな差があります。
※各社の2026年3月期の売上高(売上収益)と営業利益から算出。出典:各社決算短信、Yahoo!ファイナンスの業績データ。
利益率は、製品の競争力や価格交渉力を映す指標です。数年分の推移を見ると、景気の波への強さもわかります。
海外比率と顧客の構成を見る
村田製作所やTDKのように、海外売上高比率が9割を超える企業も珍しくありません。海外比率が高い企業ほど、英語を使う場面や海外出張が多くなる傾向があります。
地域の偏りにも注目したいところです。例えばTDKでは、2026年3月期の中国向けの売上高が1兆3,780億円と全体の約55%を占めています(決算短信から算出)。特定の地域の景気や政策の影響を受けやすい構成と言えます。
顧客の業界も確認しておきましょう。自動車向けが多い企業と、スマートフォンやデータセンター向けが多い企業では、景気の波の受け方が異なります。
事業の集中度を見る
1つの製品や分野に集中する企業は、好況期に大きく伸びる一方、不況期の落ち込みも大きくなります。キオクシアホールディングスが2024年3月期に営業損失を計上し、その2年後に大きく回復したのはその典型です。
パワー半導体のロームも、2025年3月期に400億円の営業損失を計上したあと、2026年3月期は109億円の営業利益に戻りました。特定の市場に依存する度合いは、決算資料の用途別・製品別の売上高で確認できます。
反対に、複数の事業を持つ企業は業績が安定しやすい傾向があります。自分がどちらの環境で働きたいかを考えたうえで、企業を選ぶとよいでしょう。

まとめ
- 売上高の上位はTDK、東京エレクトロン、キオクシアHD、京セラで、いずれも2兆円台
- 電子部品・半導体・製造装置・材料と、分野ごとに主役となる企業が異なる
- 製造装置や電子部品では日本企業が世界的な存在感を持つ
- 統合・売却から海外M&A、国内生産の強化へと再編の流れが変わってきた
- 企業選びでは売上高に加え、利益率・海外比率・事業の集中度を確認したい
業界の基本は電子部品・半導体業界とは、市場の推移や見通しは電子部品・半導体業界の市場規模と動向、サプライチェーンや利益構造は電子部品・半導体業界の構造で詳しく解説しています。
このほかの関連記事は、電子部品・半導体の業種ページからもあわせてご覧ください。
出典
- 東京エレクトロンの業績:東京エレクトロン「2026年3月期 決算短信」、「2027年3月期 第1四半期決算短信」
- 村田製作所の業績:村田製作所「2026年3月期 決算短信」
- TDKの業績:TDK「2026年3月期 決算短信」
- その他の企業の業績:Yahoo!ファイナンス「キオクシアホールディングス 業績」(京セラ、ルネサスエレクトロニクス、アドバンテスト、SCREENホールディングス、ローム、ディスコ、信越化学工業、SUMCOも同サイトの業績ページを参照)
- 世界の市場と海外企業:JEITA「WSTS 2026年春季半導体市場予測について」、ASML「Q4 2025 financial results」
- 日本の半導体シェア・国内生産:ジェトロ「復活目指す日本の半導体(前編)安定供給のため、公的支援で後押し」、Rapidus「会社概要」

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