特定事業者のエネルギー管理者は何人?選任人数・管理員との違いと計算例

工場の管理室でエネルギー使用記録を確認する担当者のイメージ

特定事業者が選任する人数は、会社全体の役割と、工場・事業場ごとの役割を分けて決めます。会社全体ではエネルギー管理統括者とエネルギー管理企画推進者が各1人、現場では指定区分・業種・使用量に応じた管理者または管理員が必要です。

「年間1,500kLを超えたら、エネルギー管理士を1人置く」とだけ覚えると、複数拠点の問題で迷います。免状を持つ資格者の名称と、法律に基づいて選任する役割の名称も違うため、問われた対象を確かめることが出発点です。

会社全体の判定から現場の人数までを順に説明します。2023年4月施行の改正以降は非化石エネルギーも含む制度になっているため、現行法の範囲・人数表と、最後まで解いた計算例で整理します。

動画には法改正前の説明が含まれます。現在の対象エネルギー、業種の例外、選任要件は以下の本文と出典の現行法令を確認してください。過去問を解く場合も、問題に示された適用時点と条件を読み、現在の届出へそのまま流用しないようにします。

目次

選任する人数の決め方

まず事業者全体が特定事業者かを判定する

最初に、同じ事業者が設置するすべての工場・事業場の年間使用量を合計します。原油換算で1,500kL以上が特定事業者の指定に関わる基準で、工場だけでなく、本社や店舗などの使用量も集計範囲に含めて確認します。

ここでいう事業者の範囲は基本的には法人単位なので、同じ企業グループでも、子会社の使用量を理由なく親会社へ足すことはできません。認定管理統括事業者などの制度を利用する場合は、一般の単一法人とは別の指定・集計関係を確認します。

年間の集計期間は4月1日から翌年3月31日までの年度なので、単月の電力ピークや設備の定格出力だけで、年間の原油換算量は決まりません。検針票、燃料受入記録、熱の購入記録をそろえ、対象期間の抜けや二重計上を確認します。

特定事業者として選任するのは、エネルギー管理統括者とエネルギー管理企画推進者の各1人です。すべての拠点が1,500kL未満でも、同じ法人の合計が基準以上になる場合があるため、現場ごとの判定だけで終えないことが大切です。

図1:同じ会社を、会社全体と拠点別の二層で見る

架空の一法人の例。点線の囲み全体で特定事業者を判断し、個々の建物では別に指定工場等の区分を確認します。

同じ法人:合計26,400kL/年度統括者1人 + 企画推進者1人(会社全体) 本社400kL工場単位の選任なし 一般製造工場A24,000kL管理者2人 工場B 2,000kL管理員1人

※指定手続が済み、兼任承認を利用しない設例。会社全体の26,400kLを、工場Aの人数表へ代入しません。

エネルギー使用量を原油換算する

試験では、各エネルギーの使用量をGJで与え、対象になる分を足して原油換算する問題があります。現行法のエネルギーは化石燃料・非化石燃料・熱・電気であり、「再生可能なら全部除外する」という旧制度の理解では判定できません。

ただし、手元の熱量を無条件に全部加えるという意味でもありません。燃料を使って自社内で発生した熱や電気を再び加えるなど、同じエネルギーの二重計上を避ける必要があります。対象範囲と換算方法は、法第2条、施行令第2条、施行規則第4条で確認します。

燃料・熱・電気の区分に応じて法令の方法で整理した熱量には、原油換算係数0.0258kL/GJを用います。電力のkWhを扱う場合は、その区分に対応する換算方法が必要です。単位変換の3.6MJ/kWhだけで、すべての省エネ法上の換算が終わるわけではありません。

法令の方法で集計・換算済みの熱量から原油換算量を求める
V = E × f
V = 60,000 × 0.0258
V = 1,548kL/年度
V:年間の原油換算エネルギー使用量[kL/年度] E:対象範囲・換算方法を整理した年間熱量[GJ/年度] f:原油換算係数[kL/GJ]。60,000GJはこの設例で与えた値です。

この例では1,548kLとなり、会社全体の1,500kLという指定基準以上です。実務では使用量に応じた届出と指定の手続があり、計算結果だけで届出を省略できるものではありません。すでに指定されている事業者かどうかも、前年の通知や管理番号で確認します。

対象エネルギーの基本は省エネ法におけるエネルギーの定義も参照してください。旧資料を使うときは作成年を確かめ、非化石の扱いや換算条件が現在と一致するかを、公式の原油換算ツールや法令で点検します。

工場・事業場ごとに第一種か第二種かを分ける

会社全体を確認したら、それぞれの工場・事業場の年間使用量へ戻ります。3,000kL以上が第一種エネルギー管理指定工場等、1,500kL以上3,000kL未満が第二種エネルギー管理指定工場等の使用量の区分です。会社の合計と一つの拠点の値を取り違えないようにします。

第二種では当該工場等についてエネルギー管理員を1人選任するので、工場の名前に「製造」が入っていても、第二種だから管理者を選ぶわけではありません。先に第一種・第二種を分け、その後で第一種の業種による分岐を見る順序にすると整理できます。

第一種でもすべての工場等にエネルギー管理者を選任するわけではなく、製造業・鉱業・電気供給業・ガス供給業・熱供給業の5業種が基本の対象です。それ以外の業種の工場等では、エネルギー管理員の区分を確認します。

さらに5業種に属する事業者でも、専ら事務所の用途に供する工場等には例外があります。製造会社の本社だから製造工場と同じ人数表になる、とは判断できません。会社の業種名と、その拠点が実際に何の用途に供されているかを分けて読みます。

法第10条では、第一種工場等を設置する特定事業者を「第一種特定事業者」と呼びます。そのうち、法第11条第1項各号の事務所などの例外に当たる工場等を設置する者が「第一種指定事業者」で、当該工場等には法第12条の管理員を選任します。

図2:指定区分・用途・業種から、現場の役割を確認する

個々の拠点の使用量を見てから、第一種だけ業種・用途の分岐へ進みます。

2,000kLの製造工場第二種管理員1人業種別の管理者人数表へは進まない
4,000kLのホテル第一種・製造5業種以外管理員1人3,000kL以上でも管理者とは限らない
3,500kLの本社事務所第一種・専ら事務所の例外管理員1人製造会社の所有でも用途を確認

※いずれも指定を受けた拠点の設例。これとは別に、事業者全体の統括者・企画推進者が必要です。

第一種の管理者は業種別の人数表を使う

管理者を選任する第一種工場等では、まずコークス製造業・電気供給業・ガス供給業・熱供給業かを確認します。この区分は年間原油換算量が10万kL未満なら1人、10万kL以上なら2人です。一般の製造業と同じ四段階ではありません。

コークス製造業を除く製造業と鉱業では、2万・5万・10万kLが人数を分ける境界です。2万未満は1人、2万以上5万未満は2人、5万以上10万未満は3人、10万以上は4人となり、前年度の原油換算エネルギー使用量で確認します。

この表を使う前提は、すでに管理者の対象となる第一種工場等に該当していることです。「2万kL未満は1人」という部分だけを読むと、1,000kLの工場にも管理者が必要と誤読します。先に指定区分を判定した結果に、人数表を重ねてください。

図3:管理者の人数は、二段階と四段階のどちらかで読む

管理者の選任対象となる第一種工場等に適用する表。原油換算使用量は当該工場等の前年度の値です。

コークス製造・電気供給・ガス供給・熱供給

10万kL未満 → 1人

10万kL以上 → 2人

製造業(コークス製造を除く)・鉱業

2万kL未満 → 1人

2万以上5万kL未満 → 2人

5万以上10万kL未満 → 3人

10万kL以上 → 4人

※2万kLちょうどは2人、5万kLちょうどは3人、10万kLちょうどは右の区分で4人。事業者全体の統括者・企画推進者は別枠です。

例えば一般製造工場の24,000kLは、2万以上5万未満なので管理者2人です。同じ24,000kLでも電気供給業の対象工場等なら10万未満の区分で1人になります。使用量だけを先に見ず、業種欄を選んでから境界を読むことが正答につながります。

境界ちょうどの値は、「以上」と書かれた側へ入ります。一般製造業で50,000kLなら3人であり、49,999kLの2人とは区分が変わります。試験では与えられた精度を保って計算し、早い段階で丸めて境界をまたがせないように注意します。

管理士・管理者・管理員の資格を区別する

エネルギー管理士は、エネルギー管理士免状を持つ人を指す資格の名称です。一方、エネルギー管理者は、指定工場等について法令に基づいて選任される役割です。免状を持っているだけで、勤務先の管理者に自動的に選任されるわけではありません。

管理者にはエネルギー管理士免状が必要ですが、企画推進者と管理員は、免状保有者または法令のエネルギー管理講習の課程を修了した人から選任できます。試験合格と免状交付、一般の省エネ研修と法令上の管理講習も、同じものとして扱わないようにします。

統括者は、事業の実施を統括管理する立場の人を充てる役割です。資源エネルギー庁は役員クラスを想定した説明をしていますが、役員という肩書きだけを機械的な条件にしません。事業者全体のエネルギー管理を担える権限と役割があるかを確認します。

図4:現場で選任を確認するときは、記録・役割・資格を突き合わせる

免状が必要な管理者と、管理講習修了でも選任できる管理員を区別します。資格の名称だけで必要人数は決まりません。

現場設備・使用量記録 免状・講習修了を確認選任記録と照合
役割資格・立場の要点選任する単位
統括者事業の実施を統括管理する者特定事業者全体で1人
企画推進者管理士免状または管理講習修了特定事業者全体で1人
管理者管理士免状対象の第一種工場等ごと、図3の人数
管理員管理士免状または管理講習修了対象の第一種・第二種工場等ごと1人

※「管理講習修了」は法令所定の講習課程の修了。講習修了者から選任する場合は、資質向上講習の受講管理も必要です。

講習修了者を企画推進者や管理員に選任する場合は、選任後の資質向上講習も管理します。受講周期には前回の受講日や選任時期による扱いがあるため、修了証があるという確認だけで終えず、担当者台帳へ受講・選任の年月日を記録しておくと漏れを防げます。

計算例で会社全体と工場別の人数を確かめる

一般製造業の2工場と本社を持つ例

同じ法人に、一般製造工場Aが24,000kL、工場Bが2,000kL、本社事務所が400kLあるとします。各値は前年度の原油換算量で、必要な指定手続は済み、兼任の承認は利用しない設例です。初めに全体を合計し、その後に拠点別の役割を決めます。

会社全体の使用量と、この設例の法定役割の数
V全体 = VA + VB + V本社
= 24,000 + 2,000 + 400
V全体 = 26,400kL/年度
N = 1 + 1 + 2 + 1 = 5人
V:各範囲の年間原油換算量[kL/年度] N:兼任承認を利用せず、それぞれ別の人を選任する本設例の人数。順に統括者・企画推進者・工場A管理者・工場B管理員です。

図5:26,400kLを一つの人数表へ入れず、拠点ごとに解く

会社全体で2役割、工場Aで管理者2人、工場Bで管理員1人という結果です。

判定対象使用量・区分選任する役割
会社全体26,400kL:特定事業者統括者1 + 企画推進者1
工場A24,000kL:第一種、一般製造業管理者2
工場B2,000kL:第二種管理員1
本社400kL:当該拠点は指定基準未満工場等単位の選任はなし
この設例の合計:5人。うち「エネルギー管理者」だけを聞かれた答えは2人。

※実務の兼任は承認基準と手続を別途確認。人数表だけから、一般的な最少在籍人数を保証するものではありません。

問われているのが「エネルギー管理者の人数」なら答えは工場Aの2人です。「管理員の人数」なら工場Bの1人になります。統括者や企画推進者を含む全体の選任体制と、特定の役割だけの人数は、問題文の名称に合わせて答えてください。

本社400kLには工場等単位の管理者・管理員は不要でも、その400kLは会社全体の集計に入っています。指定のない小規模拠点をすべて集計から外すと、会社全体の指定判定や報告の範囲まで誤るため、集計対象と選任対象を混同しないようにします。

兼任と選任・届出の期限を確認する

実務で必要な人数を検討するときは、法定の役割数と、同一人物が兼任できるかを分けます。各役割の兼任は原則として認められず、一定条件を満たして承認を受ける場合の例外があります。免状を持つ1人がいるから会社と全工場を担当できる、とは判断できません。

一方、省エネ法と関係のない通常業務との兼務は、法定役割どうしの兼任とは別の話です。保全や生産管理を担当しながら選任される場合でも、必要な管理業務を担える体制を確認します。職務分掌や担当範囲を明確にし、名義だけの選任にしないことが重要です。

選任時期も役割で異なり、統括者は選任すべき事由が生じた日以後遅滞なく、企画推進者・管理者・管理員は原則として事由から6か月以内に選任します。選任の期限と、選任・解任後の届出期限は別なので、一つの期日だけを覚えて済ませないようにします。

選任・解任の届出は、原則としてその日後の最初の7月末日までという扱いを確認します。新たに基準以上となった事業者の使用状況届出は5月末日が基本であり、選任届とは別の書類です。実際の提出日には休日の扱いや該当する例外も公式案内で確かめます。

年次確認では、使用量一覧、指定通知、選任・解任の届出控え、免状や講習修了の記録を突き合わせます。前年より使用量が減った場合も、指定が自動的に消えるわけではありません。指定取消しの申出や通知の状況を確認し、社内判断だけで選任体制を解消しないようにします。

よくある質問

各拠点が1,500kL未満なら、選任は不要ですか?

会社全体の合計も確認する必要があり、例えば同じ法人の800kLの拠点が二つなら合計1,600kLとなり、特定事業者の指定基準以上です。個々の拠点に管理者・管理員を置く使用量の区分でなくても、会社全体の統括者と企画推進者の役割は別に確認します。

第一種なら、エネルギー管理者が必要ですか?

業種と用途によって管理員を選任する場合があります。ホテル・病院など製造5業種以外の第一種工場等や、製造5業種でも専ら事務所の用途に供する例外を確認してください。第一種という使用量の区分だけでは、管理者か管理員かは決まりません。

管理講習を修了すれば、管理者になれますか?

管理講習の修了だけでは、エネルギー管理者の免状要件を満たしません。講習修了者が選任対象となるのは企画推進者や管理員で、管理者にはエネルギー管理士免状が必要です。資格を取得する講習・研修・試験の名称と、選任される役割を区別して確認します。

2万kLちょうどの製造工場は何人ですか?

管理者の選任対象となる一般製造工場なら、2万以上5万kL未満の区分で2人です。コークス製造業なら別の二段階の表を使い、2万kLでは10万未満の区分なので1人となります。数字の境界を読む前に、該当する業種の表を選ぶことが必要です。

再生可能エネルギーへ替えれば対象外になりますか?

現行法は非化石エネルギーも含むため、燃料転換だけで一律に対象外とはいえません。省エネの評価や非化石への転換の評価と、指定のための使用量集計は、それぞれの規定に沿って確認します。過去の化石エネルギーのみの解説を現在の指定判定へ用いないでください。

まとめ

人数は、会社全体の特定事業者の判定、工場等の第一種・第二種の判定、第一種の業種・用途、対象工場等の使用量の順で決めます。全体を担う統括者1人・企画推進者1人と、拠点で選任する管理者・管理員を区別して確認してください。

計算問題では対象エネルギーと換算条件を確認し、最後に問われた役割の人数だけを答えます。実務では指定通知、資格、兼任承認、選任と届出の期限まで点検してください。基準未満への変化も含め、現行法と公式資料に沿って選任体制を管理していきましょう。

関連する制度は、ベンチマーク制度、トップランナー制度、省エネ法の規制分野、判断基準の記事で確認でき、関連記事の入口として省エネ法のカテゴリも参照できます。

出典

法令・公式案内は2026年10月18日に確認し、ここでは一般の特定事業者を中心に整理しています。特定連鎖化事業者や認定管理統括事業者などは、名称の読み替えと適用する手続を公式資料で確認してください。

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プラント機器メーカーとプラントメーカーで約10年、設備の提案・設計・試運転に携わったのち、Webマーケターに転身。現在はBtoB製造業専門のWebコンサルタントとして、メーカーの情報発信を支援しています。エネルギー管理士/第三種電気主任技術者。工業技術ブログを2017年から運営(500本以上執筆)、YouTube登録者約2万人、Xフォロワー約1万人。

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