ブリッジ回路とは?平衡条件の覚え方と計算例、種類とセンサーでの使い道

計測器の基板に並ぶ精密抵抗と調整用ポテンショメーター

ブリッジ回路とは、2つに分かれた電流の通り道の途中どうしを、別の線で橋渡しした回路で、4つの抵抗をひし形につなぎ、橋の両端の電位差から抵抗のわずかな違いを読み取ります。

抵抗の精密な測定のほか、はかりや圧力センサーの中で、ひずみを電圧に変える回路として使われており、この記事は、抵抗を測る基本形のホイートストンブリッジを中心に扱います。

回路のしくみとキルヒホッフの法則、平衡条件の覚え方と計算例、センサーでの使用例の順に整理します。交流ブリッジやダイオードブリッジとの違いは、後半の「種類」と「よくある質問」で答えます。この記事の内容は、動画でも解説しています。

目次

ブリッジ回路とは

ブリッジ回路の図。抵抗R1〜R4、検流計G、電源Eと電流I1〜I7の向き

回路を構成する配線が2つの並列回路に分かれ、その2つの線の間を別の配線でつないだとき、この橋渡しされた構造をブリッジ回路と呼びます。

上の図では、A から B を通って D へ行く道と、A から C を通って D へ行く道が並列になっていて、橋にあたるのが B と C を結ぶ線です。図の中の G は検流計で、電流の大きさと向きを検出できる計器です。

図1:ブリッジ回路の各部の役割

ひし形の4つの辺と、2本の対角線で役割が分かれます。

4つの辺抵抗 R1〜R4A-B に R1、B-D に R3、A-C に R2、C-D に R4。測りたい抵抗やセンサーはこのどれかに入る
電源の対角線(A-D)電源 E をつなぐA から D へ、上下2つの道に電流が分かれて流れる
検出の対角線(B-C)検流計 G をつなぐB と C の電位が違えば G に電流 I4 が流れる。同じなら流れない
電流の名前I1〜I7図の矢印の向きを正とする。I4 は B から C へ向かう電流

※記号は上の回路図に合わせています。辺の番号の振り方は本や資料によって違うので、式を使うときは図と対応させて確かめます。

平衡条件を導く準備として、この回路にキルヒホッフの法則を当てはめます。1つ目は、電流の入る量と出る量は同じという性質で、上の図でいうと、次の式が成り立ちます。

I1 = I2 + I3
I5 + I6 = I7
I1 = I7
節点 B では I2 = I4 + I5、節点 C では I3 + I4 = I6 も成り立ちます。

当たり前のように見えますが、大事な前提条件で、これをキルヒホッフの第1法則と呼びます。次に電圧を見ると、閉じた回路の起電力と電圧降下は等しくなり、図でいうと、次の関係です。

E = R1×I2 + R3×I5
E = R2×I3 + R4×I6
R1×I2 + G×I4 = R2×I3
R3×I5 = G×I4 + R4×I6
E:電源電圧 G:検流計の内部抵抗

この関係をキルヒホッフの第2法則と呼びます。上の2本は A から D へ向かう2つの道、下の2本は橋を含む小さな閉路の式です。

ブリッジ回路を用いる理由

上のブリッジ回路で、R3 は抵抗値を自在に変えられるとします。R1〜R4 の関係で、R3 が特定の値をとったとき、橋の部分 B-C の電位差がなくなります。

このとき検流計には電流が流れず、I4 = 0 となり、この状態を「ブリッジが平衡している」といいます。B-C 間に電位差がないので、並列の2つの道で電圧が等しいという関係になります。

R1×I2 = R2×I3
R3×I5 = R4×I6
上は A-B と A-C、下は B-D と C-D の電圧が等しいことを表します。

I4 = 0 なので、節点の式から I2 = I5、I3 = I6 です。これを当てはめて両式を割ると、次の関係式になります。

R1×I2R3×I2 = R2×I3R4×I3 → R1R3 = R2R4
R1R2 = R3R4
この状態を満たす電気回路を、ホイートストンブリッジと呼びます。

この平衡条件は、たすき掛けにして R1×R4 = R2×R3 と覚えると便利です。図の上で向かい合う位置にある抵抗どうしの積が等しい、という意味です。

図2:平衡条件は「向かい合う抵抗の積が等しい」

青の2つの積と、橙の2つの積が等しいとき、G に電流は流れません。

電源 EGR1R3R2R4ABCD
R1×R4 = R2×R3 (= R1/R2 = R3/R4 と同じ式)

※上の回路図を、A を左・D を右に置いたまま描き直したものです。検流計 G をつなぐ B-C を挟んで、斜めに向かい合う辺が同じ色です。

ここで、自在に変えられる R3 に加えて、R4 が値の分からない抵抗だった場合を考えます。可変抵抗の値を変えながら検流計 G が 0 を示すように調整し、上の式に当てはめれば、R4 を求められます。

平衡条件を使った計算例

R1=100Ω、R2=200Ω のブリッジで、可変抵抗 R3 を 150Ω にしたとき、検流計の指示が 0 になりました。このときの R4 は、R1×R4=R2×R3 から求めます。

R4 = R2 × R3 ÷ R1 = 200 × 150 ÷ 100 = 300Ω
検算:R1/R2 = 100/200 = 0.5、R3/R4 = 150/300 = 0.5 で等しい

平衡していないときに検流計に流れる電流は、キルヒホッフの法則やテブナンの定理を使って求めますが、電験三種などでよく出題される形です。

応用として、上の例で R4 が 330Ω に変わり、平衡が崩れた場合を計算します。電源 E=10V、検流計の内部抵抗 G=100Ω とし、D を電位の基準(0V)にとります。

まず検流計を外したと考え、B と C の電位を分圧で求め、その差がテブナンの定理でいう開放電圧 VBC です。

VB = E × R3R1 + R3 = 10 × 150250 = 6.00V
VC = E × R4R2 + R4 = 10 × 330530 ≒ 6.23V
VBC = VB − VC = E × R2R3 − R1R4(R1 + R3)(R2 + R4) ≒ −0.226V
VBC は「C から見た B の電位」です。R1R4 = R2R3 なら分子が 0 になり、平衡条件と一致します。

VBC が負なので、この例では C のほうが B より約 0.226V 高い状態です。検流計の電流は、図の I4 とは逆に C から B へ流れます。

次に、電源を短絡して B-C から回路を見た抵抗 Rth を求めます。R1 と R3、R2 と R4 がそれぞれ並列になり、その2組が直列につながった形です。

Rth = R1R3R1 + R3 + R2R4R2 + R4 = 60 + 124.5 ≒ 184.5Ω
|I4| = |VBC|Rth + G = 0.226184.5 + 100 ≒ 0.796mA
キルヒホッフの法則で節点 B・C の電位を連立して解いても、同じ 0.796mA になります。

R4 が 10%ずれただけで、平衡では 0 だった検流計に約 0.8mA が流れます。0 からのずれとして変化が現れることが、ブリッジ回路の強みです。

センサーとして物理的に検出しづらい量でも、抵抗値の変化に置き換えてブリッジ回路で読むと、より精度の高い値を読み取れます。読み方には2通りあり、検流計が 0 になるまで抵抗を調整する方法と、平衡が崩れた分の電圧をそのまま読む方法です。

図3:零位法と偏位法の違い

同じブリッジでも、抵抗の測定とセンサーでは読み方が違います。

零位法(平衡させて読む)
偏位法(崩れを読む)
やること
可変抵抗を回し、検流計が 0 を指すまで合わせる
抵抗は固定のまま、B-C 間に出る電圧を測る
読む値
平衡したときの可変抵抗の目盛り
出力電圧(センサーでは mV 単位)
使う式
R1×R4 = R2×R3
VBC の式(平衡からのずれ)
向く場面
未知の抵抗を精密に測る。測定器の目盛りに頼らない
刻々と変わる量を連続して測る。ひずみ・圧力・荷重のセンサー

※偏位法では、電源電圧を一定に保つ(定電圧)か電流を一定に保つ(定電流)かで、出力の式が変わります。

実際のセンサーでは、ブリッジに定電圧または定電流をかけ、抵抗の変化を出力電圧として測っており、抵抗をいちいち調整しないので、変化を連続して追えます。

平衡点では出力が 0V なので、変化した分だけを大きく増幅できます。抵抗の値そのものを読むより、わずかな変化を拾いやすくなります。

検出部を増やしたり、測定方法を工夫したりすると、周囲温度や配線の長さに影響されにくい測定ができます。たとえば隣り合う2辺に、温度で同じ割合の変化が入っても、R1×R4=R2×R3 の関係は崩れず、その分は出力に出ずに打ち消されます。

ブリッジ回路の使用例

ブリッジ回路は、次のような機器に活用されています。どれも、測りたい量を抵抗の変化に置き換え、ブリッジで電圧にしています。

図4:ブリッジ回路を使うセンサーと、抵抗を変えるもの

何が変形し、どの抵抗が変わるかで整理します。

重量計(はかり)荷重 → 起歪体のひずみ金属の起歪体に貼ったひずみゲージの抵抗が、伸び縮みで変わる
圧力センサー圧力 → ダイヤフラムのたわみ薄い膜に貼った、または作り込んだ抵抗素子が、膜のたわみで変わる
加速度センサー加速度 → 重りの慣性力重りを支える板ばねが曲がり、そのひずみをひずみゲージで測る
振動センサー振動 → 加速度の時間変化加速度を連続して測り、振動の大きさに換算する

※温度を測る測温抵抗体も、抵抗の変化を読むセンサーです。配線の影響を消す3線式の考え方は、後半の「種類」で触れます。

重量計(はかり)

ロードセルは力(荷重)を計測するセンサーの1つで、代表的な用途が重さを量る、いわゆる“はかり”です。力に比例して、起歪体(きわいたい)と呼ぶ金属部品にひずみが生じます。

起歪体には、ひずみゲージが貼られており、ゲージは金属の伸縮を抵抗の変化として感知し、計測器がそれを重さに換算します。

ひずみゲージにブリッジ回路を使うのは、抵抗の変化がごく小さく、そのままでは読めないからです。東京測器研究所のカタログも、抵抗変化は微小なのでブリッジで電圧に変換すると説明しています。

たとえば 120Ω のゲージ(ゲージ率 K=2)に、1000×10−6 のひずみが入っても、抵抗は 0.24Ω(0.2%)しか変わりません。4辺が同じ抵抗で、1辺だけをゲージにした「1ゲージ法」の出力は、変化が十分小さいとき次の近似式で表せます。

e ≒ E4 × K × ε = 24 × 2 × 1000×10−6 = 0.001V(1mV)
e:出力電圧 E:ブリッジの電源電圧(ここでは 2V) K:ゲージ率 ε:ひずみ。厳密には e = ΔR/(4R + 2ΔR) × E で、ΔR が R より十分小さいときに上の形になります。

1mV の出力は、平衡点の 0V からの変化として増幅器に渡せます。ゲージを2枚・4枚に増やす組み方や温度の補償は、次の記事で詳しく扱っています。

圧力センサー

ひずみゲージ式と呼ばれるタイプは、ダイヤフラム(金属の薄い膜)のひずみの大きさで圧力を感知し、物理的な変化はわずかですが、ひずみゲージの抵抗変化として捉えます。

シリコンの膜に抵抗素子(ピエゾ抵抗)を作り込んだタイプも、膜のたわみをブリッジの出力電圧として取り出します。デジタル式のマノメーターも、この原理で差圧を表示しています。

ブリッジの後ろには、信号を扱う回路が続き、NI の解説では、ブリッジへの電源(励起)、増幅、フィルタ、無負荷時の出力をそろえるゼロ調整などを挙げています。

プラントの圧力伝送器では、こうして得た値を4-20mA の電流信号に変えて、離れた制御室まで送ります。測定原理の全体は圧力センサーの測定原理で整理しています。

加速度センサー

センサーに加速度が加わると、内部の重り(重錘)に慣性力が働きます。重りを支える板ばねの変形をひずみゲージで測るタイプがあります。

重力加速度も含めて、止まった状態(DC 成分)から測れるのが特徴で、MONOist の解説では、測れる上限は 20G・250Hz 程度としており、車両の加速度の計測などに使われます。

振動センサー

加速度センサーと同じしくみで、加速度の変化をひずみで捉え、振動の大きさに換算するタイプがあります。

ただし、回転機の振動を監視する用途では、圧電式の加速度センサーが広く使われていますが、ひずみゲージ式は、低い周波数の揺れや、重力を含む止まった状態の加速度を測る場面に向きます。

測定点の選び方や判定基準は、設備の振動診断の記事にまとめています。

ブリッジ回路の種類

ここまで扱ったのは、直流の電源と抵抗でつくるホイートストンブリッジです。同じひし形の形で、測る対象を変えたブリッジがいくつかあります。

図5:ブリッジ回路の主な種類

電源の種類と、4つの辺に入れる部品で分かれます。

電源と辺の部品
測るもの
特徴
ホイートストンブリッジ
直流。4辺とも抵抗
抵抗(おおむね 1Ω 以上)
R1×R4=R2×R3 で未知の抵抗を求める基本形
ケルビンダブルブリッジ
直流。比例辺をもう1組足す
1Ω 以下の低い抵抗
接続線や接触部の抵抗の影響を消せる
交流ブリッジ
交流。辺にコンデンサやコイルを含む
静電容量・インダクタンス
平衡条件は同じ形の積で、大きさと位相の2条件になる。マクスウェルブリッジ、シェーリングブリッジなど
センサー用ブリッジ
直流(または交流)。辺の一部がセンサー
ひずみ・圧力・荷重
何辺をゲージにするかで1・2・4ゲージ法と呼ぶ

※整流に使う「ダイオードブリッジ」も形は似ていますが、測るための回路ではありません(よくある質問を参照)。

ホイートストンブリッジは、1Ω 以上の抵抗の測定に使うのが一般的ですが、1Ω 以下になると、つないだ線や接触部の抵抗が測りたい抵抗に加わり、誤差が目立ちます。

そこで低い抵抗には、比例辺を2組持つケルビンダブルブリッジを使います。2組の比を等しくすると、接続線の抵抗が結果に入らなくなります。

交流ブリッジは、電源を交流にし、辺にコンデンサやコイルを入れたもので、平衡条件は抵抗の積の代わりにインピーダンス(交流での抵抗)の積で表します。

インピーダンスは大きさと位相を持つので、平衡させるには2つの条件をそろえる必要があります。インダクタンスを測るマクスウェルブリッジ、静電容量と損失を測るシェーリングブリッジがよく知られています。

温度センサーの測温抵抗体にも、ブリッジの考え方が生きており、3線式の配線では、導線の抵抗をブリッジの隣り合う辺に1本ずつ入れ、影響を打ち消します。

配線方式の違いは、熱電対と測温抵抗体の違いで詳しく比べています。

ブリッジ回路のよくある質問

ブリッジ回路をわかりやすく言うと?

2本の道に分かれた電流の、途中どうしの「高さ(電位)」を比べる回路で、左右の高さがそろえば橋に電流は流れず、ずれれば流れます。

左右の比がそろう条件が R1×R4=R2×R3 です。比べる回路なので、電源電圧が多少変わっても平衡の判定は変わりません。

ホイートストンブリッジとブリッジ回路は同じ?

ブリッジ回路は、橋渡しの構造を持つ回路の総称で、ホイートストンブリッジは、そのうち直流と4つの抵抗でつくる基本形を指します。

抵抗の測定やひずみゲージの話で「ブリッジ回路」と言うときは、ほとんどがホイートストンブリッジのことです。

ダイオードブリッジとの違いは?

ダイオードブリッジは、4つのダイオードをひし形につなぎ、交流を直流に変える整流回路で、各半周期で2つのダイオードが導通し、電流を同じ向きにそろえます。

形は似ていても、目的は電源をつくることで、抵抗の違いを測るためのものではなく、平衡条件の考え方も使いません。

ブリッジの出力はテスターで測れる?

電源を入れた状態で、出力の2端子(図の B と C)の間に直接テスターを当て、直流の mV レンジで読みます。センサーの出力は数 mV と小さいためです。

注意したいのは、B と C のどちらも電源の 0V ではない点で、4辺がほぼ同じ抵抗のセンサー用ブリッジでは、両端子とも電源電圧のおよそ半分の電位にあります。

片側を電源のマイナス側、つまりコモン(共通線)とみなして測ると、E の半分ほどの電圧が乗って変化分が読めません。計測器では、2端子の差を読む差動入力でつなぎます。

読みが揺れるときは、ブリッジの電源電圧が安定しているか、配線のシールドや端子のゆるみがないかを先に確かめます。

まとめ

この記事のまとめ
  • ブリッジ回路は橋渡し構造をした回路で、実用的に用いられている
  • 平衡条件は R1×R4=R2×R3(向かい合う抵抗の積が等しい)。未知の抵抗はここから求める
  • 平衡が崩れた分は VBC の式やテブナンの定理で計算でき、0 からの変化として現れる
  • 各種センサーの測定原理として、ブリッジ回路を用いたひずみゲージ計測が活用されている
  • 低抵抗はケルビンダブルブリッジ、静電容量やインダクタンスは交流ブリッジで測る

センサーの世界は奥が深いですね。原理を理解していくと、測定精度や測定限界が分かり、現場でのより正確なデータ計測にも、適度な精度にスペックダウンするコストカットにも活かせるかと思います。

光・電磁気・熱など、ひずみ以外の検出原理はセンサーの仕組みと計測の基本原理で整理しています。

出典

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プラント機器メーカーとプラントメーカーで約10年、設備の提案・設計・試運転に携わったのち、Webマーケターに転身。現在はBtoB製造業専門のWebコンサルタントとして、メーカーの情報発信を支援しています。エネルギー管理士/第三種電気主任技術者。工業技術ブログを2017年から運営(500本以上執筆)、YouTube登録者約2万人、Xフォロワー約1万人。

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