インターロック回路とは、決めた条件がそろわない限り機器が動かない、または動いていても止まるようにする回路です。目的は機器の保護と人の安全の2つで、扉が閉まらないと加熱しない電子レンジや、タンクが空だと起動しないポンプがその例です。
この記事では、定義、リレー回路図とブロック線図での作り方、モーター正逆転回路の配線、ポンプの例を順に整理し、最後に、インターロック表の書き方とよくある質問に答えます。
インターロックとは
インターロックとは、「複数の条件がそろわないと機能が有効にならないよう制御する方式」のことです。分野によって言い方は少し違い、メーカーのカタログや公的な解説では、次のように説明されています。
JISにも火力発電や油圧・空気圧などの分野別の用語規格があり、規格の文言を確かめるときは、最新版を日本産業標準調査会(JISC)や日本規格協会で確認してください。
分野で言い回しは違いますが、「条件がそろわなければ動かさない」という考え方は共通です。
※各資料の説明を要約したものです。出典は記事末にまとめています。
つまりインターロックは、機械の保護や操作員の安全のために設ける電気的・機械的な機構です。インターロックを設けておけば、操作員が誤った操作をしたときや、装置に異常があったときにも、機器の誤動作を防げます。
このように「人がミスをしようとしても、できないようにする」ことを、業界用語でフールプルーフと呼び、作業ミスを仕組みで防ぐ考え方は、ポカヨケの種類と事例でも紹介しています。
インターロック回路の作り方
インターロックがない場合とある場合で、回路を比べてみます。まずは、ボタンを押すとランプが光るだけの、インターロックのない回路です。

押しボタンスイッチBS1を押すと、リレーR1のコイルが励磁されてR1のa接点が閉じ、ランプL1が点灯します。この回路に、もう一つのボタンを押していないと点灯しないインターロックを設けると、回路図は次のようになります。

ランプL1を点灯させるには、BS1とBS2を両方押す必要があり、R1とR2のa接点が直列なので、どちらか一方だけでは点灯しません。
このように、動かしたい機器の上流側に条件を足していくと、条件が成立しない限り動かないインターロックを組めます。リレーが順に動くようすは、リレーシーケンスの動きをアニメーションで解説した記事で確かめられます。
実際には自己保持回路と組み合わせ、一度インターロックが働いたら、リセットボタンを押すまで復帰しない回路にするのが一般的で、書き方は自己保持回路の書き方で整理しています。
インターロックの考え方をブロック線図で表すと、次のようになります。

上の図では、条件A・B・Cがすべてそろうと「インターロック」が作動し、その信号をNOT(反転)してから、運転ボタンとAND(かつ)を取っています。
つまり、インターロックが作動していないときだけ、運転ボタンを押すと運転指令が出る回路です。ブロック線図の記号は、リレー回路の接点のつなぎ方に置き換えられ、図面を読み替えるときは、次の対応を覚えておくと迷いません。
AND は直列、OR は並列、NOT は b接点と読み替えます。
※図面によっては、AND・ORを論理記号(半円や矢じり形)で描く場合もあります。記号の形が違っても読み方は同じです。
たとえば上のブロック線図は、条件A・B・Cのa接点を直列にしてインターロック用リレーを動かし、そのb接点を運転ボタンと直列にした回路と同じ意味です。ラダー図での接点の描き方は、ラダー図の読み方で基本回路から確認できます。
なお現場では、インターロックという言葉が2つの意味で使われるので、図面や仕様書を読むときは、どちらの意味かを最初に確認しましょう。
「インターロック成立」が、止める合図なのか、動かしてよい合図なのかが逆になります。
※同じ設備でも、メーカーや設計者によって書き方が違うことがあります。
同じ条件を2通りで書くと、違いがはっきりし、停止条件型なら「液位低でインターロック作動→起動できない」、運転許可型なら「液位正常で起動許可→起動できる」です。
多くの機器をまとめて制御するDCSなどでは、こうした条件をプログラムで組みます。運転してよい条件がそろわないと運転指令が出ないようにするのが一般的です。DCSの役割はDCSとは何かを解説した記事で紹介しています。
例:モーターの正転・逆転回路のインターロック
インターロックの代表例が、モーターの正転・逆転回路です。三相モーターは、電源の3本の線のうちいずれか2本を入れ替えると逆回転します。
そこで、正転用(MCF)と逆転用(MCR)の2台の電磁接触器を使い、2台が同時に入ると、入れ替えた2相の間が短絡(相間短絡)し、ブレーカが落ちて装置が止まるおそれがあります。
そのため、片方が入っている間はもう片方が入らないようにインターロックを組みます。三菱電機の電磁開閉器カタログに載っている可逆式の操作回路を、要素だけに絞って描くと次のとおりです。
主回路でMCRが2相を入れ替え、操作回路では相手側のb接点で同時投入を防ぎます。
※三菱電機「電磁開閉器・電磁接触器 MS-T/Nシリーズ」カタログの可逆式操作回路の接続図例をもとに、寸動(INCH)回路などを省いて描き直したものです。直列の接点は並び順を一部入れ替えています(働きは同じです)。実際の端子番号や接点の数は機種で異なります。
操作回路の正転側を上から読むと、停止ボタン(b接点)の下に、正転ボタンと自己保持接点の並列があります。その下に逆転ボタンのb接点とMCRのb接点が直列に入り、最後にMCFのコイルがつながります。
b接点は、そのボタンや電磁接触器が動作すると開く接点で、MCRが入っている間はMCRのb接点が開いているので、MCFのコイルには電気が流れません。
ただしこの回路では、逆転中に正転ボタンを押すと、正転ボタンのb接点が逆転側の回路を切ります。MCRが切れてb接点が閉じたところでMCFが入るので、停止ボタンを押さなくても回転方向が切り替わります。
押しボタンのb接点は、ボタンを押した瞬間に相手側の回路を切る役目で、このほか、過負荷のときに開くサーマルリレー(THR)のb接点が全体に入ります。サーマルリレーが動作する原因はサーマルトリップの原因と対処法にまとめています。
配線では、次の点を押さえておきます。
- 相手側のb接点は、自分のコイルの手前に直列に入れる(三菱電機の例ではMCRの21-22、MCFの31-32)
- 可逆式は配線済みのものがある(三菱電機の可逆式電磁開閉器は補助b接点2個を電気的インタロックとして配線済み。富士電機の可逆形も電気的インターロックの配線付きで出荷)
- 機械的インターロックを付けた機種で b接点を使うときは、メーカーの指定に従う(三菱電機は機械的インタロック側=内側の b接点を指定)
- 主回路の電源側には配線用遮断器(MCCB)を入れ、相間短絡が起きたときに回路を切れるようにする
主回路の遮断器の選び方はNFB(配線用遮断器)とELB(漏電遮断器)の違いで解説しています。操作回路の下側の共通線は、コモン(COM)線の意味と配線例とあわせて読むと分かりやすくなります。
インターロックの組み方には、次の2種類があります。
電気の配線で防ぐか、部品どうしの機械的なつながりで防ぐかの違いです。
※三菱電機・富士電機の可逆式は、機械的インターロックを標準で備え、電気的インターロックの配線も付いた形で出荷されます。
インターロックがあっても、正転からすぐに逆転へ切り替えないことも大切です。上の回路はボタンだけで直接切り替えられるため、電磁接触器が切れてから次が入るまでの間が短すぎると、短絡事故のおそれがあります。
富士電機は、可逆形のSC-E02RM〜E04RMを高速で切り替える場合、タイマーなどで切替時間を15ms以上にするよう求めています。必要な時間は機種と使い方で変わるので、使う製品のカタログで確かめてください。
機械側の都合もあり、オリエンタルモーターは、三相モーターの瞬時正逆をすすめていません。逆転の瞬間に大きなトルクが逆向きにかかり、ギヤが壊れるおそれがあるためで、短い停止時間を入れるか、インバータで減速してから切り替えます。
PLCで正逆転を組む場合も、プログラムのインターロックだけに頼りません。出力の先の電磁接触器にも、b接点による電気的インターロックと機械的インターロックを残すのが基本です。
インターロック回路の目的
インターロック回路の目的は、主に次の2つです。
機器の保護
機器を安全に動かすには周りの条件がそろっている必要があり、たとえば、タンクの液体を送るポンプを液がない状態で動かすと、空回りになり、焼き付きなどが起こるおそれがあります。
この場合、ポンプの運転指令の上流側に「タンクの水位が一定以上あること」という条件を入れておけば、空回りを防げます。このとき、インターロック回路は機器の保護に使われています。
ポンプインターロックとは、このようにポンプを安全に動かす条件がそろわないと起動させない、または運転中でも止める仕組みです。よく使う条件は次のとおりです。
- 吸込側のタンク液位が低い → 起動させない・運転中なら止める(空運転の防止)
- 吐出弁が閉じたまま → 長く運転させない(締切運転による温度・圧力の上昇を防ぐ)
- モーターが過負荷 → サーマルリレーが動作して止める
- 現場で点検中(現場操作盤が「現場」側) → 中央からの起動を受け付けない
荏原製作所の渦巻ポンプの取扱説明書では、空運転をするとケーシング・軸受・軸封が壊れるおそれがあると注意しており、吐出し弁を閉じたまま1分以上運転しないようにとの警告もあります。
吐出弁を絞った運転への備えは、ミニマムフロー(最小流量)ラインの考え方と関係し、ポンプで起こるほかの不具合は、サージングの現象と対策で整理しています。
液位スイッチやリミットスイッチの信号は、DCSやPLCにON/OFFの入力として取り込み、信号の種類と方向は、DI/DO・AI/AO・PI/POの違いで詳しく説明した記事があります。
作業者の安全
工場の機械や一般家庭の家電製品では、インターロック回路が人の安全のために使われています。たとえば、プレス機を動かすには2つのボタンを同時に押す必要があり、電子レンジで扉が閉まっていないと加熱が始まらない回路も、これにあたります。
両手で押すボタンは、両手操作制御装置としてJIS B 9712(ISO 13851)に設計の原則があります。両手をボタンに置いている間は、手を危険な場所に入れられないという考え方です。
扉やカバーと連動するものは、JIS B 9710(ISO 14119)が「ガードと共同するインターロック装置」の設計と選び方を定めています。ガードを閉じないと運転を始められず、運転中に開けると停止指令が出るのが基本の形です。
ただし、人を守るインターロックは回路を組めば終わりではなく、どんな危険があるかを洗い出し、必要な安全性能を決めてから部品と回路を選びます。手順は工場のリスクアセスメントのやり方で紹介しています。
インターロック表(インターロックリスト)の書き方
インターロック表とは、機器ごとのインターロック条件を一覧にした表で、回路図やプログラムを読まなくても、何が起きたら、どの機器が、どう動くかが分かるようにします。
決まった様式はなくプラントや会社ごとに書き方が違うので、ここでは、よく使われる列の例をポンプで示します。
1行に「条件」「動作」「解除の仕方」をそろえて書くと、止まった理由をすぐ追えます。
※設定値・遅延時間・タグ番号は説明のための例です。実際の値は、機器の仕様や運転条件に合わせて設計時に決めます。
1行目を読むと、「タンク液位低が5秒続いたら、P-101は起動できず、運転中なら止まる。液位が戻ると条件は外れるが、再起動は人が操作する」となります。
書くときは、次の3点を区別しておくと読み違いが減ります。
- 種別:起動させないだけか(起動阻止)、運転中でも止めるか(停止)
- 遅延:一瞬の揺れで止めないための時間を入れるか
- 解除:条件が戻れば自動で外れるか、リセット操作が要るか
条件の列には、P&ID(配管計装図)と同じタグ番号を書いておくと、図面と現場をすぐ照らし合わせられ、タグの読み方はP&ID(配管計装図)の読み方で解説しています。
インターロック回路のよくある質問
インターロックと自己保持の違いは何ですか?
自己保持は、動いた電磁接触器が自分のa接点で自分のコイルに電気を流し続け、ボタンを離しても動作を保つ回路で、インターロックは、条件がそろわないと動かさない仕組みです。役割が違うので、正逆転回路のように両方を組み合わせて使うのが普通です。
正転と逆転のボタンを同時に押すとどうなりますか?
図4のように押しボタンのb接点を入れた回路では、両方を押すと正転側・逆転側の両方の回路が切れるので、どちらも動きません。
プログラムで組む場合は、機器の実行方式で結果が変わります。オムロンのFAQの例では、PLCは回路を上から順に実行するため、先に評価された正転だけがONしますが、プログラムリレーZENでは正転と逆転が同時にONする例が示されています。
そのため、どちらかを優先するか、両方押されたらどちらも動かさないように組み、電磁接触器側のインターロックも残しておきます。
インターロックが働いて機器が動かないときは?
まず、インターロック表やDCSの画面で、どの条件が成立していないかを確かめますが、条件が戻っていても、リセット操作をしないと復帰しない回路もあります。
条件を短絡線などで無効にして動かすのは危険です。やむを得ず外すときは、手順と承認を決めてからにし、作業後に必ず元へ戻します。
「インタロック」と「インターロック」は違うものですか?
同じものです。三菱電機の電磁開閉器のカタログは「インタロック」、JIS B 9710は「インターロック」と書いていて、表記の違いにすぎません。
まとめ
- インターロックは「複数の条件がそろわないと機能が有効にならないよう制御する方式」
- 主に自己保持回路などと組み合わせて使われる
- ブロック線図のANDは直列、ORは並列、NOTはb接点に置き換えて読む
- 正逆転回路は相手側のb接点と機械的インターロックで二重に同時投入を防ぐ
- インターロックは機器の保護や安全のために使われ、条件はインターロック表にまとめる
インターロックは多くの機器の回路に含まれており、条件も機器によってまったく異なるため、運転ボタンを押しても機器が動かないときは、インターロックが働いていないか確認してみましょう。
出典
出典・参考資料(13件)を開く出典・参考資料を閉じる
- インタロック・自己保持・a接点/b接点の用語、可逆式操作回路の接続図例、機械的インタロックユニットの扱い:三菱電機「電磁開閉器・電磁接触器 MS-T/Nシリーズ」カタログ Y-0810
- 可逆式電磁開閉器の用途と機械的インタロック:三菱電機 FA 電磁開閉器 製品ページ
- 可逆形電磁接触器の構成と切替時間15ms以上:富士電機 TIME006 Vol.6「Reversing standard type contactors SC-E series」
- 正転・逆転スイッチを同時に入れたときの動作:オムロン 製品に関するFAQ(FAQ04305)
- 三相モーターの逆転のさせ方:オリエンタルモーター FAQ「インダクションモーターで正逆運転したいのですが、どう結線すればいいですか?」
- 瞬時正逆運転をすすめない理由:オリエンタルモーター「三相インダクションモーターで瞬時正逆運転はできますか?」
- ポンプの空運転・締切運転の注意:荏原製作所「エバラ片吸込渦巻ポンプ FS型 取扱説明書」
- ガードと共同するインターロック装置:JIS B 9710:2019 機械類の安全性―ガードと共同するインターロック装置―設計及び選択のための原則(日本規格協会)
- インターロック付きガードの働き:厚生労働省 公開資料(ガードの種類とインターロック付きガード)
- 原子力分野でのインターロック:原子力百科事典ATOMICA「インターロック」(日本原子力研究開発機構)
- 安全防護用インターロックとフェールセーフ・フールプルーフ:アズビル「機械アプリに合わせた安全機器の展開」(azbil Technical Review)
- 両手操作制御装置:JIS B 9712:2022 機械類の安全性―両手操作制御装置―設計及び選択のための原則(日本規格協会)
- JISの最新版の確認先:日本産業標準調査会(JISC)
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