シールドケーブルの種類と正しい接地方法|片側接地・両端接地の使い分け

制御盤内でシールドケーブルの編組をアースバーに接続した部分

シールド線のアースの取り方は、シールドの種類で目安が決まり、4-20mAなどの信号線に使う静電シールドは受信側の盤で1か所だけ接地(片側接地)し、磁束による誘導を防ぐ電磁シールドは両端を接地します。

どちらの場合も、接地しないシールドはノイズを逃がす先がなく、遮へいの効果がほとんど出ません。逆に、片側接地のケーブルを両端で接地すると、かえってノイズを拾うことがありますが、機器や通信規格に指定があれば、そちらが優先です。

機器の結線図には「この機器はシールドケーブルで接続してください」と書かれていることがあり、この記事では、次の2つの疑問に答えます。

  • シールドケーブルって何?
  • シールドケーブルは接地(アース)しないといけないの?

この記事の内容は、動画でも解説しています。

目次

シールドケーブルとは?

シールドケーブルとは、信号を伝える芯線と被覆(シース)の間に、ノイズの混入を防ぐ導体を巻いたケーブルです。この導体をシールド(遮へい層)と呼びます。

ノイズと一口に言っても、大きさや周波数、入り込む仕組みはさまざまで、ノイズを効果的にさえぎるシールドケーブルを選ぶことが、安定したシステムをつくるうえで大切です。

図1:シールドケーブルの断面(外側から)

芯線の外側をシールドで包み、さらにシースで保護しています。

シースいちばん外側の被覆。ビニルなどでケーブル全体を保護する
シールド(遮へい層)銅テープ、銅線の編組、アルミ箔テープなど。外からのノイズを受け止めて接地へ逃がす
ドレンワイヤアルミ箔テープのシールドに沿わせた裸線。接地に使う引き出し線
絶縁体芯線1本ずつを覆う被覆。信号線どうし・シールドとの間を絶縁する
芯線信号を伝える銅線。計装では2本を撚り合わせたツイストペアが多い

※ドレンワイヤの有無はシールドの種類によります(JMACS 技術資料「ケーブルのノイズ対策」)。

ノイズが信号線に入る道は、大きく2つあります。近くの電線の電圧が電気的に乗り移る静電誘導と、電流がつくる磁束で電圧が生じる電磁誘導です。どちらの道をふさぎたいかで、使うシールドの種類と接地のしかたが変わります。

シールドケーブルの種類

シールドケーブルには大きく分けて、信号線がノイズを受けにくくするものと、信号線からノイズを周囲にまき散らさないものがあります。前者を静電シールドケーブル、後者を電磁シールドケーブルと呼ぶことがあり、違いを先に表で見ておきます。

図2:静電シールドと電磁シールドの違い

ふさぐノイズの道が違うので、材料も接地も変わります。

静電シールド
電磁シールド
目的
外からのノイズを受けない
電源線などの磁束による誘導を減らす
主に防ぐもの
静電誘導・不要輻射
電磁誘導(磁束)
シールド材
銅テープ、銅線編組、アルミ箔テープ+ドレンワイヤ
軟鉄テープ(磁性体)+軟銅テープの2重
曲げやすさ
編組は曲げやすい。銅テープは屈曲の多い場所に不向き
鉄テープを使うので曲げに弱い
接地
片側(受信側・盤側の1点)
両端(地電位差がないことが条件)
主な用途
4-20mAなどの計装信号線、制御線
大電流の動力線の近くを通す信号線など

※材料・接地の方法は JMACS 技術資料「ケーブルのノイズ対策」による。機器の取扱説明書に指定があれば、そちらを優先します。

2-1. 静電シールドケーブル

静電シールドケーブルは、静電誘導や不要輻射といった外来ノイズから信号を守るためのシールドケーブルです。制御盤や計装の配線で使うシールドケーブルの多くは、こちらの効果をねらったものです。

銅やアルミの金属テープ、銅線の編み線(編組)で芯線を覆い、受け止めたノイズをアースに逃がし、電線メーカーの資料では、シールド材ごとに次の特徴があります。

  • 銅テープ:シールドの接続はしやすいが、屈曲の多い場所には向かない(制御用ケーブルの CVV-S)
  • 銅線編組:曲げやすく、屈曲の多い場所に向く(CVV-SB)
  • アルミ箔テープ+ドレンワイヤ:簡易だが実用上の効果は十分で、軽くできる

4-20mAのアナログ信号で機器を制御する場合も、静電シールドケーブルを使います。

関連記事:4-20mAとは?使う理由と1-5Vとの違い・テスターでの測り方

2-2. 電磁シールドケーブル

一方の電磁シールドケーブルは、電源線などの大電流が出す磁束から信号線を守るためのシールドで、旧来の説明では「磁束をケーブルの外に出さない」とも言われます。

磁性体の軟鉄テープに、抵抗を下げるための軟銅テープを重ねた2重構造で磁束を遮りますが、鉄テープを使っているため、折り曲げや屈曲には弱いのが欠点です。

電源線の磁束による誘導には、信号線の2本を撚り合わせるツイストペアや、電源線から離して配線することも効き、並行させるときは、できるだけ離すのが基本です。

モーターなどの動力線に流れる電流の大きさは、ポンプの電流値が何で決まるかで計算式から解説しています。

シールドケーブルに接地(アース)は必要?

静電シールドも電磁シールドも、接地は必要ですが、接地する場所が違います。

3-1. 静電シールドケーブルの場合

静電シールドケーブルは、シールドの片端だけを接地します。電線メーカーの資料も「1点接地」を求めており、両端を接地するとシールドの効果が大きく落ちたり、かえって誘導を拾ったりするとしています。

理由は、離れた2か所の接地の間に電位差があるためで、大地には交流電源などに起因する迷走電流が流れており、現場の接地と盤の接地は同じ電位とは限りません。

シールドの両端を接地すると、この電位差でシールドに電流が流れ、その電流が心線にノイズを誘起します。この電流の輪をグラウンドループと呼びます。

図3:片側接地と両端接地の違い(静電シールド)

両端を接地すると、2つの接地の電位差でシールドに電流の輪ができます。

片側接地(推奨)接地は盤側の1点だけ。現場側のシールドはどこにも触れさせないので、地電位差があってもシールドを通る電流の輪ができない。受け止めたノイズは盤の接地へ逃げる
両端接地(静電シールドでは避ける)現場の接地 → シールド → 盤の接地で輪ができ、地電位差でシールドに電流が流れる。その電流が心線にノイズを誘起する
電磁シールドや高周波のノイズ対策では、シールドに流れる電流を逆に利用するため、両端接地が基本になります(3-3)。

※根拠:JMACS 技術資料「ケーブルのノイズ対策」、エム・システム技研「シールド線と避雷器」。

シールドに電流が流れれば、その電流がつくる磁束で心線にノイズが乗り、せっかく施したシールドがノイズの原因になってしまうため、片側だけを接地し、シールドに電流の通り道をつくらないようにします。

どちら側を接地する?

計装用のシールドケーブルは、受信側(制御盤や計器室の盤側)の1か所で接地するのが一般的で、盤の接地端子(FG・E端子)やアースバーにまとめて落とし、シールドが受けたノイズを逃がします。

メーカーの資料も「信号を受ける側の1点」で接地する考え方で、例として、次のような記載があります。

  • 三菱電機:アナログ出力特殊増設ブロック FX3U-4DA のマニュアルで、シールドは信号受取り側で一点接地し、強電系と共通の接地にしない(出力なので、受け取るのは出力先の機器の側)
  • JMACS(電線メーカー):アナログ入力信号は、電流信号を電圧信号に変換するコンピュータ側で接地する
  • 横河電機:FOUNDATION フィールドバスの配線で、シールドは1点だけ、ホストや電源側で接地するのが一般的

現場の伝送器側では、シールドを切りそろえてテープなどで絶縁し、ケースや金属管に触れさせないようにしますが、機器メーカーの取扱説明書で指定がある場合は、その指定に従います。

図4:静電シールドの片側接地(盤側で接地)

シールドは盤の中で接地し、現場側は絶縁して浮かせます。

現場の伝送器シールドは切りそろえて絶縁テープ・収縮チューブで覆う。ケースや電線管に触れさせない
シールドケーブル(CVV-S など)
制御盤の端子台芯線は信号の端子へ。シールドは接地側へまとめる
シールドだけ
盤の接地端子(FG)・アースバー接地はここ1か所だけ。できるだけ短い線で接続する

※途中に中継端子箱があるときも、シールドは端子で中継してつなぎ、接地は盤側の1か所のままにします。

3-2. 両方とも接地しない場合

両方とも接地しないシールドは、シールドとしての役割をほとんど果たしません。受け止めたノイズを逃がす先がなく、シールドの電位が定まらないためです。

茨城県工業技術センターは、8MHzのクロック信号を流した長さ0.6mのケーブルから出る放射ノイズ(30〜700MHz)を比べました。接地しない2芯シールド線は、シールドのないツイストペア線とほとんど差がありませんでした。

報告の結論にも「シールド線は接地をしないと、EMC抑制効果はない」とあり、この実験で最も効いたのは両端(2点)接地でした。電子機器の短いケーブルで、高い周波数を見た実験ですが、計装ケーブルについても、電線メーカーの資料は接地しないとしゃへい効果が著しく減るとしています。

片側接地では、接地しない側の端に雷サージを逃がす道がありません。エム・システム技研は避雷器を付けた信号線の例で、スパークが出ないよう端面を熱収縮チューブなどの絶縁物で覆うか、シールド専用の避雷器を置くよう勧めています。

接地は必ず行い、一般に、接地抵抗が小さいほどシールドの効果は大きくなります。

3-3. 電磁シールドケーブルの場合

電磁シールドケーブルの場合は、両端を接地します。シールドに電流が流れる道をつくり、その電流で磁束を打ち消すためです。

外からの磁束でシールドに電流が流れると、その電流は心線に逆向きの電圧を誘起し、心線に乗るノイズの電圧と打ち消し合うので、信号に残るノイズが小さくなります。茨城県工業技術センターの報告も、2点接地の効果をこの打ち消しで説明しています。

ただし、両端接地は大地を通る電流の輪になります。電線メーカーの資料は、両端の地電位差をなくして電流が流れないようにする必要があるとしています。こちらも静電シールドと同じく、接地抵抗は小さいほど効果が上がります。

電子機器の高周波ノイズ(EMC)の対策でも、シールドは両端で接地するのが基本です。村田製作所のノイズ対策講座も、一般のシールドケーブルは両端で接地し、静電シールドだけは片端でよいときがある、と書き分けています。

低い周波数の計装信号は片側、高い周波数のノイズは両端が効く、という使い分けで、機器の設計側から見た対策は電子機器のノイズ対策の基本にまとめています。

シールドケーブルの使用例

身近なシールドケーブルの例は、シールド付きのLANケーブル(STP)で、一般的なLANケーブルはシールドのないUTPが多いので、袋や印字で種類を確かめます。

そのほか、テレビアンテナの同軸ケーブルや、製品によってはスマートフォンの充電ケーブルにもシールドが入っています。余っているケーブルのシースをはがしてみると、テープや編組など、いろいろなシールドの形を見られます。

プラントや工場では、次のような配線でシールドケーブルを使います。

  • 4-20mAの計装信号線(伝送器→制御盤・DCS)
  • 熱電対・測温抵抗体の配線(微小な信号を扱う)
  • パルス信号やアナログ信号の入出力線
  • フィールドネットワーク・通信のケーブル

信号の種類と方向の呼び方はDI/DO・AI/AO・PI/POの違いで、温度センサーの配線の違いは熱電対と測温抵抗体の違いで整理しました。

通信ケーブルは、規格ごとに推奨される接地のしかたが違います。代表的な規格の違いは、次の早見表にまとめました。

シールドの接地を決める早見表

迷ったときは、まず機器の取扱説明書と通信規格の指定を確かめ、指定がなければ信号の種類とシールドの目的から決めます。

図6:信号・ケーブル別の接地の目安

低い周波数の計装信号は片側、磁束や高周波の対策は両端が基本です。

対象
接地
ポイント
4-20mA・熱電対などの計装信号
片側(受信側の盤)
現場側は絶縁。地電位差によるループを防ぐ
電磁シールドケーブル
両端
両端の地電位差をなくしておく
機器間の高周波の信号(EMC対策)
両端
シールドをケースにしっかり接続する
CC-Link・MECHATROLINK・PROFIBUS-DP
両端
通信規格の推奨に従う(エム・システム技研の資料)
EtherNet/IP・Modbus/RTU
片端
グラウンドループを防ぐ(同上)
機器の取扱説明書に指定あり
指定どおり
上の目安より優先する

※根拠:JMACS 技術資料、村田製作所「ノイズ対策 基礎講座」、エム・システム技研「計装豆知識」。

シールドアースの施工方法(CVVSの端末処理)

ここでは、計装でよく使う CVVS(CVV-S、銅テープ遮へい付きの制御用ケーブル)を、片側接地で施工する流れを示し、編組の CVV-SB でも流れは同じです。

盤内の作業は、開閉器を切って施錠や通電禁止の表示をしてから行います(労働安全衛生規則 第339条)。テスターで電圧がないことも確かめ、運転中の設備の信号線なら、信号が途切れる影響を運転側と事前に確かめておきます。

図5:シールドアースの施工手順(片側接地の例)

接地は盤側の1点、現場側は絶縁、が施工の軸です。

盤側(接地する側)
01シースをはぐ芯線とシールドを傷つけないように、必要な長さだけはぐ
02アース線を出す銅テープや編組にアース線をつなぐ。ドレンワイヤ付きのケーブルはそれを使う
03接地端子へつなぐ圧着端子を付け、盤の接地端子・アースバーへ短く接続する
現場側(接地しない側)
04切りそろえて絶縁シールドを短く切り、絶縁テープや収縮チューブで覆う
途中と全体
05中継でもつなぐ中継端子箱ではシールドも端子でつなぎ、接地は増やさない
06動力線から離す同じダクトに入れない。やむを得なければ金属セパレータで分ける
07施工後に確かめる盤側の端子の締め付け、現場側の絶縁、接地が1か所だけかを見直す

※銅テープからアース線を取り出す方法(はんだ付け・専用クランプなど)は、ケーブル・部材メーカーの施工要領に従います。

盤側では、シールドから接地端子までの線をできるだけ短くします。長く引き回すと、その線自体がノイズを拾う通り道になります。

シールドの接地は、強電系と共通にしないのが原則で、三菱電機の FX3U-4DA のマニュアルは、信号線を主回路線・高圧電線から100mm以上離すよう求めています。

盤内の配線や接地の設計を含めた盤づくりの流れは、制御盤設計の進め方で整理しています。

シールド線の接地のよくある質問

シールド線は接地しないとどうなりますか?

シールドの効果がほとんど出ません。受けたノイズの逃げ先がないためで、公的機関の実験でもシールドのない線とほとんど差が出ませんでした。浮いた端に雷サージなどの高い電圧が乗り、放電するおそれもあります。

片側接地はどちら側ですか?現場側ではだめですか?

計装の信号線は、信号を受ける盤側で接地するのが一般的で、メーカーの資料も「受信側の1点」を求めています。

現場側で接地すると決まっている機器もあるので、その場合は取扱説明書の指定に従いますが、大事なのは、どちらか1か所だけにすることです。

両端接地をしてはいけないのですか?

静電シールドの計装信号線では避けます。一方、電磁シールドや高周波のノイズ対策、両端接地を推奨する通信規格では、両端で接地します。目的で使い分けると考えてください。

CVVSのシールドアースのやり方は?

盤側でシースをはぎ、銅テープからアース線を取り出して、盤の接地端子へ短く接続します。現場側はシールドを切りそろえて絶縁します。手順は上の「シールドアースの施工方法」の図5のとおりです。

シールドとドレンワイヤの違いは?

シールドはノイズを受け止める遮へい層そのもの、ドレンワイヤはシールドに沿わせた裸線で、アルミ箔テープのシールドは端子に直接つなぎにくいので、ドレンワイヤを接地に使います。

高圧ケーブルのシールドアースと同じですか?

考え方が違います。高圧ケーブルの遮へい層の接地は、地絡や感電への備えが主な目的で、施工方法も電気工事の要領やケーブルメーカーの資料で決まりますが、この記事は制御・計装の信号線の話です。

低圧の回路で漏電を検出する仕組みは、NFBとELBの違いで解説しています。

まとめ

この記事のまとめ
  • シールドケーブルには、周囲のノイズから信号を守る静電シールドと、磁束による誘導を防ぐ電磁シールドの2種類がある
  • 種類によって接地方法が違う。静電シールドは片側、電磁シールドは両端
  • 計装の信号線は、受信側の盤の1か所で接地し、現場側は絶縁する
  • 接地しないシールドは効果がほとんど出ない。接地抵抗は小さいほどよい
  • 施工では、接地線を短くし、中継でもシールドをつなぎ、動力線から離す

身の回りには、充電器や洗濯機、テレビやパソコンなど、ノイズを出す電気製品が数多くあり、自動車の電子化も進み、エンジンや電装品に流れる電流は、電子機器を誤動作させるノイズ源にもなります。

必要な信号を正しく届けるために、シールドケーブルはこれからますます重要になるので、正しい知識で選び、使えるようにしておきましょう。

盤の配線でよく出てくる共通線の考え方はコモン(COM)とはで解説しています。制御盤の配線については、次の記事もあわせてどうぞ。

出典

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プラント機器メーカーとプラントメーカーで約10年、設備の提案・設計・試運転に携わったのち、Webマーケターに転身。現在はBtoB製造業専門のWebコンサルタントとして、メーカーの情報発信を支援しています。エネルギー管理士/第三種電気主任技術者。工業技術ブログを2017年から運営(500本以上執筆)、YouTube登録者約2万人、Xフォロワー約1万人。

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