フランジ規格ASMEとJPIの違いとは?ANSI・JISとの関係も整理

石油化学プラントの配管のフランジ継手とスタッドボルトの接写

ASMEとJPIのフランジは、外径やボルト穴などの主な寸法がほぼ同じで、違いは管の外径に合わせる部分と、ガスケット座の仕上げ(セレーション)の2点です。

ASMEは米国機械学会の規格ASME B16.5、JPIは石油学会の規格JPI-7S-15を指します。カタログで見るANSIはB16.5の旧称で、日本のJISフランジはJIS B 2220です。つなげるかどうかは規格名だけでなく、寸法・座面・ガスケット・使用条件を照合して決めます。

目次

規格とは

ものづくりでは、測る・組み立てる・計算するといった作業が欠かせません。その基準が工場ごと、国ごとに違っては困るので、国際的に、あるいは国内で標準化を図っています。この標準のことを規格と言います。

日本で最もよく見聞きするのはJISで、Japanese Industrial Standardsの略です。産業標準化法に基づいて定める国の規格で、フランジの規格もこれに含まれます。

余談ですが、JISの日本語名称は以前は日本工業規格でしたが、2019年7月の法改正(工業標準化法から産業標準化法への改正)で、日本産業規格に変わっています。

ASMEもJPIも規格を指し、JISとは異なる基準を持ちます。フランジにおける基準とは、配管の呼び径に対する外径、フランジの厚み、ボルト穴の数・中心円の径、セレーションの有無(後述)などです。

図1:3つのフランジ規格の比較

ASMEとJPIは同じ系統の規格で、JISは呼び圧力の区分も寸法も別の体系です。

ASME B16.5
JPI-7S-15
JIS B 2220
作る団体
米国機械学会(ASME)。米国国家規格(ANSI承認)
石油学会(JPI)
日本産業規格(原案は日本金属継手協会)
圧力の区分
クラス150・300・400・600・900・1500・2500
クラス150〜2500(ASMEと同じ数字)
呼び圧力5K・10K・16K・20K・30K・40K・63K
呼び径の範囲
NPS 1/2〜24
15A(1/2B)〜600A(24B)
10A〜1500A
合わせる管
米国の鋼管(ASME B36.10)の外径
JIS鋼管の外径
JIS鋼管の外径
主な使われ方
海外案件、輸入機器、海外仕様のプラント
国内の石油精製・石油化学プラント
国内の一般配管・建築設備・工場配管

※ASME B16.5は2025年版、JPI-7S-15は2011年版、JIS B 2220は2012年版(いずれも2026年10月時点の最新版)の記載をもとにしています。ASMEのクラス2500はNPS 12まで。大口径はASME B16.47・JPI-7S-43など別の規格になります。

ASMEとは

ASMEはアメリカ機械学会(American Society of Mechanical Engineers)の略です。この学会の作った規格をASME規格(アスメきかく)と呼び、産業分野をリードしてきたアメリカの歴史ある規格です。

フランジの規格はASME B16.5「Pipe Flanges and Flanged Fittings」で、現行は2025年版です。呼び径NPS 1/2〜24の管フランジを対象に、クラス150〜2500(2500はNPS 12まで)の圧力−温度基準・材料・寸法・試験を決めています。

ASMEと調べると、ANSI(アンシ)という言葉もよく出てきます。こちらは米国国家規格協会(American National Standards Institute)の略です。

ただしANSIは、自分で規格を作る団体ではなく、ASMEなどの団体が作った規格を、米国の国家規格として承認する機関です。この点で、規格そのものの名前であるJISとは立場が違います。

B16.5も、ASMEが作りANSIが承認した規格で、昔は「ANSI B16.5」と呼ばれ、1988年版は「ANSI/ASME B16.5」と両方の名前で出ていました。そのため、メーカーのカタログには今も「ANSI/ASME」「ANSIクラス150」といった表記が残っています。

フランジの話でANSIと言えば、ASME B16.5のフランジのことです。

図2:ANSIとASMEの関係

ANSIは承認する側、ASMEは作る側です。どちらの名前でも、指すのは同じB16.5です。

ANSI(米国国家規格協会)規格は作らない。作成団体を認定し、できた規格を米国国家規格として承認する
作成団体として認定・承認
ASME(米国機械学会)B16委員会で、管フランジや継手の規格を作る
作成
ASME B16.5(管フランジの規格)旧称ANSI B16.5。1988年版はANSI/ASME B16.5。カタログの「ANSIフランジ」「ANSI/ASME」も同じ規格

※ANSIは、ほかにも多くの団体の規格を承認しています。「ANSI規格」が常にフランジを指すわけではありません。

なおASMEフランジには、セレーションと呼ばれる、同心円状または渦巻き状の細かい溝がガスケット座に付きます。B16.5(2003年版の条文)では、RFなどのガスケット座を粗さRa 3.2〜6.3µmのセレーション仕上げとし、溝は1mmあたり1.8〜2.2本が目安です。

溝がガスケットに食い込むことで、ガスケットのずれや漏れを防ぐとされています。FF(全面座)フランジでは全体に、RF(平面座)フランジでは接触面にセレーションが入ります。

座面の形そのものの違いは、フランジのFFとRFの違いで詳しく扱っています。

JPIとは

JPIは石油学会(Japan Petroleum Institute)が制定した規格です。フランジはJPI-7S-15「石油工業用フランジ」で、ASMEを参考に作られたためほとんどの寸法が一致しています。

日本の石油精製・石油化学の現場で多く使われており、圧力の区分もASMEと同じクラス150〜2500で、規格の表には「クラス150(PN20)」のようにPN(欧州式の呼び圧力)も併記されています。

フランジメーカーの資料では、JPI-7S-15(2005年版)のガスケット座は粗さRa 3.2〜6.3µmの範囲で示され、溝の本数までは書かれていません。国内では溝のない仕上げで納まることもあるため、溝が要るかどうかは発注時に注文仕様へ書いておきます。

ASMEとJPIの違いは?

寸法的には同じように聞こえますが、違いが2点あります。1つ目は、日本とアメリカの配管規格の違いから生じる、管の外径(と内径)の違いです。すべての呼び径ではなく、一部のサイズでこの数値が異なり、65Aや150Aでは3mm以上違う一方、100Aはまったく同じです。

図3:JIS鋼管とASME鋼管の外径

同じ呼び径でも外径が違うサイズがあります。JPIフランジの管側の寸法はJIS鋼管に合わせてあります。

呼び径
JIS鋼管(mm)
ASME鋼管(mm)
差(JIS−ASME)
15A(1/2B)
21.7
21.3
+0.4
25A(1B)
34.0
33.4
+0.6
65A(2-1/2B)
76.3
73.0
+3.3
80A(3B)
89.1
88.9
+0.2
100A(4B)
114.3
114.3
0
125A(5B)
139.8
141.3
−1.5
150A(6B)
165.2
168.3
−3.1
200A(8B)
216.3
219.1
−2.8

※JISはJIS G 3454などの鋼管、ASMEはASME B36.10の鋼管の外径です。JPI-7S-15のハブ先の径(21.7、76.3、165.2など)はJIS鋼管の外径と同じ値です。

規格の異なる配管とフランジを溶接でつなぐ場合は、外径が違うので注意が必要です。突合せ溶接ではハブ先と管の段差に、差込み溶接では管が入らない・すき間が大きいといった形で表れます。

溶接の継手形状の違いは差込み溶接(SW)と突合せ溶接(BW)の違い、溶接方法の違いは溶接の種類と違いで整理しています。

2つ目はセレーションの有無で、上述のとおりASMEは溝(セレーション)付きが前提で、国内のJPIは溝なしで納まることもある点です。

図4:ガスケット座の仕上げの比較

規格が求める仕上げと、国内で実際に納まる仕上げは分けて確かめます。

ASME B16.5
JPI-7S-15
JIS B 2220
規格の要求
セレーション(同心円状または渦巻き状)。Ra 3.2〜6.3µm、溝は1mmに1.8〜2.2本が目安
全面座・平面座はRa 3.2〜6.3µm(クラス400以上の平面座は3.2µm)
全面座・平面座はRa 3.2〜6.3µm
国内での例・注文仕様
輸入品・海外仕様ではセレーション付きが基本
溝のない仕上げで納まることもある。溝の要否は注文仕様に書く
加工の細かい条件は規格票の「14.1 ガスケット座」で確かめる

※ASMEは2003年版の条文(Enerpacの資料)、JPIは2005年版・JIS B 2220の図(南海フランジの資料)によります。どの規格でも、ガスケットの種類によって推奨の仕上げが変わります。

この2つは接続できるのかというと、低圧なら「柔らかい素材のガスケットで接続すれば問題ない」という声もありますが、高圧だと漏れるリスクがあります。

規格の異なるフランジをそのまま接続するのはおすすめできません。どうしてもつなぐ場面では、少なくとも次の項目を図面と現物で照合します。

  • フランジの外径、ボルト穴の中心円の径、穴の径と数
  • ボルトのねじ(インチのUNCかメートルか)と長さ
  • 座面の形(FF・RF)と仕上げ(セレーションの有無)
  • ガスケットの寸法と材質
  • 管との取り合い(管の外径、溶接の形)
  • 使用条件(圧力・温度)が両方の規格の範囲に入るか

ボルトの強さと締め付けの考え方はボルトの強度区分と締付トルク、ガスケット選びはガスケットとパッキンの違いが参考になります。

規格の違う機器とつなぐなら、機器側に相手のフランジを用意してもらう方法もあります。手配の流れは相フランジとはで紹介しています。

JISフランジとの違いと、クラス・呼び圧力の目安

国内の配管では、JPIやASMEよりJIS B 2220「鋼製管フランジ」のほうが身近です。JISは10K・20Kのような呼び圧力で区分し、寸法もASME・JPIとは別の体系になっています。

JIS B 2220との寸法の違い

JIS 10KとJPIクラス150を、100Aと150Aで比べると次のとおりです。

図5:JIS 10KとJPIクラス150の寸法比較

150Aは外径が同じでも、中心円と穴径が少しずつ違います。見た目が近いほど取り違えに注意します。

項目
呼び径
JIS 10K
JPI クラス150
外径
100A
210
230
ボルト穴の中心円
100A
175
190.5
穴の径×数・ボルト
100A
19×8・M16
19×8・5/8UNC
外径
150A
280
280
ボルト穴の中心円
150A
240
241.3
穴の径×数・ボルト
150A
23×8・M20
22×8・3/4UNC

※単位はmm。JIS 10KはJIS B 2220:2012、JPIクラス150はJPI-7S-15-2011の付表2の値です(ニチアスのカタログの寸法表による)。ASMEクラス150も、100Aは外径229・中心円190.5、150Aは外径279・中心円241.3でJPIとほぼ同じです。

150Aの中心円の差は1.3mmしかありません。それでも8本のボルトがそろって入るとは限らず、ねじもメートルとインチで別物です。

クラス150・300と10K・20Kの圧力の目安

ASME・JPIのクラスとJISの呼び圧力は、どちらも材料と温度ごとに最高使用圧力を決めた区分で、数字そのものは、使える圧力を直接表していません。

炭素鋼のフランジで、常温付近の最高使用圧力を並べると次のようになります。互換表ではなく、圧力の大きさを比べるための目安です。

図6:クラスと呼び圧力の最高使用圧力(炭素鋼・常温付近)

クラス150は10Kと16Kの間、クラス300は30Kとほぼ同じ高さです。

クラス1501.96MPa
クラス3005.11MPa
JIS 10K1.4MPa
JIS 16K2.7MPa
JIS 20K3.4MPa
JIS 30K5.1MPa

※ASMEはB16.5(2017)の材料グループ1.1(ASTM A105など)で−29〜38℃の値(メートル表の19.6bar・51.1bar)。JISはJIS B 2220:2012の圧力−温度基準のうち、炭素鋼(材料グループ002・003aなど)・区分Iで120℃以下の値(バルブメーカーの抜粋表による)。温度の区切りが違うため、あくまで目安です。

温度が上がると、どちらも最高使用圧力は下がり、たとえば300℃では、クラス150が1.02MPa、JIS 10Kが1.0MPaです。

ステンレスなど材料が変わると表の値も変わるので、材料の種類はステンレスの種類と違いで整理しています。

圧力が近くても、JISとASME・JPIのフランジは寸法が違うのでそのままはつながりません。クラスや呼び圧力は、配管の仕様書に書かれた設計圧力・設計温度から選びます。

フランジ規格のよくある質問

ANSIとASMEは違う規格ですか?

フランジについては同じもので、ASMEが作ったB16.5を、ANSIが米国国家規格として承認しています。古い呼び名のANSI B16.5が、今もカタログや図面に残っています。

ANSIとJPIの違いは何ですか?

ANSIフランジ(ASME B16.5)とJPIフランジの違いは、本文の「ASMEとJPIの違い」と同じです。管の外径に合わせる部分とセレーションの扱いが違い、外径やボルト穴はほぼ同じです。

ASMEの150lbフランジとは?150psiまでしか使えませんか?

150lb(150ポンド、150#)はクラス150の現場での呼び方で、150psiが上限という意味ではありません。炭素鋼(材料グループ1.1)の場合、常温で285psi(約1.96MPa)まで使えますが、温度が上がると下がるので、使用温度でB16.5の表を確かめます。

JIS 10KとASME 150のフランジはつなげますか?

つなげません。100Aでは外径もボルト穴の中心円も違い、150Aは外径が同じでも中心円と穴径、ボルトのねじが違うため、規格の違う機器とつなぐときは、相手に合わせたフランジを用意します。

まとめ

この記事のまとめ
  • ASMEとJPIはほぼ同じ寸法だが、管の外径に合わせる部分とセレーションの扱いが異なる
  • 両者をそのまま接続するのは推奨できない。つなぐなら寸法・座面・ガスケット・使用条件を照合する
  • ANSIフランジとASMEフランジは同じB16.5のフランジを指す
  • JISフランジ(JIS B 2220)は呼び圧力の区分も寸法も別の体系
  • クラスや呼び圧力の数字は圧力そのものではなく、材料と温度で最高使用圧力が決まる

よく見るフランジ規格の違いについて、明確になったでしょうか。ぜひ参考にしてみてください。

出典

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プラント機器メーカーとプラントメーカーで約10年、設備の提案・設計・試運転に携わったのち、Webマーケターに転身。現在はBtoB製造業専門のWebコンサルタントとして、メーカーの情報発信を支援しています。エネルギー管理士/第三種電気主任技術者。工業技術ブログを2017年から運営(500本以上執筆)、YouTube登録者約2万人、Xフォロワー約1万人。

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