無電圧接点とは、接点そのものは電圧を持たず、開いたか閉じたかだけを相手に伝える接点のことで、ドライ接点とも呼ばれ、電源は信号を受ける側が持ちます。
反対に、信号を出す側が電源を持ち、閉じると電圧がかかるのが有電圧接点(ウェット接点)です。メーカーの仕様書にある「無電圧a接点出力」も、この区別とa接点の組み合わせです。
この記事では、2つの接点の違いと使い分け、a接点・b接点との関係を比較表で整理し、後半ではPLCのDC24V入力やリレーで受ける回路図を示します。つなぐ前に、まず受ける側の入力仕様を確かめるのが要点です。
無電圧接点とは?
無電圧接点は電磁リレーやスイッチのように、接点が入ってもそれ自体には電圧が印加されておらず無電圧の状態になることを言います。無電圧接点はドライ接点や乾接点と呼ぶこともあります。
無電圧接点出力では電源を相手側に置き、出力側は、回路を導通させるかどうかだけを決めます。
言葉で書いても分かりにくいので図にしてみましょう。

左が出力側、右が入力側で、出力側のスイッチを押すと、X1のリレーに電圧がかかりX1の接点が閉じます。
X1が導通すると、入力側の24Vからランプに電流が流れて点灯します。このように、出力側の接点に電源がなく入力側で電源を持っている場合を、無電圧接点出力と呼びます。
リレーの場合はコイル側と接点側が絶縁されており、オムロンの説明でも、接点はONで導通するだけで、電圧は出ないとされています。「無電圧」とは、この「接点に電圧を持たせていない」状態を指す言葉で、リミットスイッチや押しボタン、電磁接触器の補助接点も、ふつうは無電圧接点として相手に渡します。
無電圧・有電圧は、a接点・b接点とは別の分類で、組み合わせ方は後半の「a接点・b接点との関係」で整理します。機械式の接点の例は自動弁のリミットスイッチでも紹介しています。リレーで組む制御とPLCの違いはリレーシーケンスとPLCの違いで整理しています。
有電圧接点とは?
有電圧接点は、無電圧接点と同じく回路を導通させた後、その回路に電圧がかかっている状態の出力を言い、ウェット接点と呼ぶこともあります。
有電圧接点では、信号の出力側に電源を置き、相手側は決まった電圧のかかった信号を受け取ります。つまり、相手側に何Vの電圧がかかった信号が必要かを決めておく必要があります。
こちらも同じように図で見てみましょう。

こちらも左が出力側、右が入力側で、スイッチを押すとリレーに電圧がかかり、X1の接点が閉じます。
X1が導通すると、出力側の24Vから入力側のランプに電流が流れて点灯します。出力側の接点に電圧が印加され、入力側に電源がない場合を有電圧接点出力と呼びます。
受ける側から見ると、有電圧接点は「電圧が来ているかどうか」で判断する信号で、制御盤ではAC100VやDC24Vの信号がよく使われます。設備の電圧の違いは400V・200V・100V・24Vの違いにまとめています。
無電圧接点と有電圧接点の使い分け
無電圧接点と有電圧接点の使い分けは、出力側と入力側どちらに電源があるかによって変わります。
入力側に電源がある場合は無電圧接点、出力側に電源がある場合は有電圧接点です。機器同士で信号をやり取りするときは、受け手が無電圧接点と有電圧接点のどちらを求めているかを明確にしておきます。有電圧接点で出すときは、相手側が何Vの信号を求めているかも確認しなければいけません。
同じ「閉じたらON」の信号でも、電源を持つ側によって無電圧接点と有電圧接点に分かれます。
※電池の絵が電源、四角の絵が信号を受ける入力(PLC・タイマ・ランプなど)です。
実務では、受ける側の入力仕様に合わせて出す側を決めるのが基本です。受ける機器が電源を持つ「無電圧入力」なら無電圧接点を、電圧を見る「電圧入力」なら有電圧接点を渡します。
取合いでは、次の順に決めると迷いません。
- 受ける側の入力は無電圧入力か、電圧入力か
- 電圧入力なら、何Vの信号が要るか(ACかDCか)
- 出す側の接点をそのまま渡すか、リレーで受けて変えるか
電圧入力には、ONとみなす電圧の範囲があり、たとえばオムロンのタイマ(形H5CX-A-N)は、DC4.5〜30VでHレベル、DC0〜2VでLレベルです。電圧の種類と大きさが合わないと、入力が働かないか、機器を壊すおそれがあります。
無電圧接点は、出す側と受ける側の電源を分けられるのが利点です。リレーはコイルと接点が絶縁されているので、コイルとは違う電圧の回路を開閉できます。
違いは「電源がどちらにあるか」の1点で、そこから確認することが変わります。
※接点の定格や入力のON/OFFの条件は、機器ごとに仕様書で確かめます。
a接点・b接点との関係
無電圧・有電圧は「接点に電圧がかかっているか」の区別です。a接点・b接点は「ふだん開いているか、閉じているか」の区別で、別の分類です。
たとえば「無電圧a接点」は、接点自体には電圧がかかっておらず、ふだんは開いていて、動作すると閉じる接点を指します。「無電圧b接点」なら、ふだんは閉じていて、動作すると開く接点です。
2つの分類を掛け合わせると4通りになります。仕様書ではこの2語を並べて書きます。
※a接点はNO(ノーマリーオープン)・メーク接点、b接点はNC(ノーマリークローズ)・ブレイク接点とも呼ばれます(オムロンFAQ)。
故障の信号にb接点を使うことが多いのは、線が切れても「開いた=異常」として気づきやすいからです。a接点だと、断線しても「正常」に見えてしまうことがあります。
a接点・b接点の動きはリレーシーケンスの動きを解説した記事で詳しく紹介しています。図面での記号はラダー図の読み方、条件の組み方はインターロック回路が参考になります。
アナログ信号を電圧で受ける話は、4-20mA信号を1-5Vで入力する方法で扱っています。
無電圧接点を受ける回路図(DC24V・リレー受け)
制御盤で無電圧接点を受ける形は主に2つで、PLCのDC24V入力で直接受ける形と、相手の電圧に合わせたリレーで受ける形です。
PLCのDC24V入力で受ける
いちばん多いのが、盤内のDC24V電源で相手の無電圧接点を受ける形です。24Vの電流が相手の接点を通って入力端子に入るので、接点が閉じると入力がONになります。
盤内のDC24V電源の+から出た電流が、相手の接点、入力端子、入力回路、COMを通って0Vに戻ります。
※説明用に簡略化した例で、COMを0V側につないでいます(三菱電機の呼び方ではソース入力)。COMを24V側にするか0V側にするか(シンク・ソース)は機種や設定で異なるため、取扱説明書の配線図に合わせます。
このとき接点に流れる電流は数mAで、三菱電機のDC入力ユニットRX40C7では、定格入力電流は7.0mA(24V DC時の標準値)です。
PLCの規格(IEC 61131-2)では、24V DC入力のタイプ1でおおむね15V以上をON、5V以下をOFFとしています。DC24Vの信号の扱いはDI/DO・AI/AO・PI/POの違いでも触れています。
COMを+と−のどちらにつなぐかで、シンク入力・ソース入力の呼び分けがあります。電流の向きと端子の関係はコモン(COM)の意味と配線例で詳しく説明しています。

有電圧の信号をリレーで受ける
相手からAC100Vなどの有電圧の信号が来るときは、そのままPLCのDC24V入力にはつなげません。その電圧に合うコイルのリレーで受け、リレーの接点を入力に渡します。
AC100Vの信号でリレーのコイルを動かし、絶縁された接点だけをDC24Vの入力回路に入れます。
※リレーのコイル電圧は相手の信号に合わせて選びます(例:AC100Vの信号ならAC100V用コイル)。PLC側は図4と同じDC24V入力で、図では盤内のDC24V電源とCOMを省略しています。
オムロンのFAQでも、AC100Vの信号をタイマに入れるときはリレーを介すとしています。無電圧入力ならリレーの接点をそのまま、電圧入力なら接点と直列にDC電源を入れてつなぎます。
後者は、自分で電源を足して有電圧接点にしてから渡す形で、リレーを1つ挟むと、相手と自分の電源の系統も分けられます。
リレーを選ぶときは、コイル電圧のほかに、接点の定格と受ける側の入力方式も仕様書で照らし合わせます。
受ける側で確認すること
無電圧接点で信号をもらう前に、取合い(お互いの機器の境目)で次の4つを決めておくと、試運転での手戻りが減ります。
信号リストや取合い表に、この4項目を書いておくと食い違いを防げます。
※DI/DOの信号リストに書く項目(無電圧か有電圧か、電圧と電流、a接点かb接点か、保持かパルスか)と同じです。
見落としやすいのが3つ目です。PLCやカウンタの入力は数mAしか流れないので、接点にとっては「微小負荷」になります。
オムロンは、一般用の銀接点は開閉を繰り返すうちに酸化皮膜ができ、微小電流で接触不良になるおそれがあるとしています。PLCへの入力には、金を使った微小負荷用の接点が勧められています。
判断の目安は仕様書の「最小適用負荷」で、たとえばオムロンのリミットスイッチ形WL-NはDC5V 1mA以上とされ、入力の電圧・電流がこれを下回らないかを確かめます。
一度大きな電流を開閉した接点は表面が荒れるため、信号用に転用しないことも大切です。数Aの定格は「そこまで流せる」上限で、小さい電流で確実に導通する保証ではありません。
4つ目の保持とパルスの違いは、パルス信号とステータス信号の違いで整理しています。現場の機器から盤までの配線は、途中のJB(中継端子箱)で中継されることもあります。
無電圧接点のよくある質問
無電圧a接点とは?
接点に電圧がかかっておらず、ふだん開いていて動作で閉じる接点で、受ける側が電源を用意して開閉を読み取ります(図3)。
無電圧入力とは?
受ける機器が自分で電源を持ち、つないだ接点が閉じたか開いたかで判断する入力です。オムロンのカウンタでは、端子間の抵抗が十分小さいとON、十分大きいとOFFと判定します。
たとえば形H7EC-Nは、10kΩ以下でON、750kΩ以上でOFFです。センサーのトランジスタ出力(オープンコレクタ)も、この条件に合えば無電圧入力につなげます。センサーの出力の種類は近接センサと光電センサの違いでも触れています。
有電圧の信号を無電圧入力につないでもいい?
つながないでください。無電圧入力は自分の電源で接点の開閉を見る回路なので、外から電圧をかけると誤動作や故障の原因になり、有電圧の信号はリレーで受けて無電圧接点に変えます(図5)。
無電圧接点はテスターで確かめられる?
開閉は確かめられますが、無電圧接点そのものは電圧を出さないので、見るのは電圧ではなく導通です。回路の電源を切り、抵抗(導通)レンジで開閉に応じて値が変わるかを見ます。
受ける側の電源が来ているかは、電圧レンジで別に確かめる項目です。手順はテスターの抵抗測定で接点を確認する方法にまとめています。
まとめ
- 無電圧接点出力は出力側に電源を持たない(ドライ接点)
- 有電圧接点出力は出力側に電源を持つ(ウェット接点)
- 出力側と入力側のどちらに電源があるかによって決まる
- 無電圧a接点は「電圧なし」と「ふだん開」を組み合わせた呼び方
- 受ける側の入力仕様、電圧・電流、接点の最小適用負荷、a/bを確かめる
無電圧接点と有電圧接点はよく使われる言葉ですが、なかなか分かりやすい説明がないので、回路図と比較表でまとめました。
信号を電流で送るアナログ側は4-20mAを使う理由と電流入力と電圧入力の使い分け、入力を受けるPLCの仕組みはPLCとシーケンス制御の基本で解説しています。盤全体の進め方は制御盤設計の進め方もあわせてご覧ください。
出典
出典・参考資料(8件)を開く出典・参考資料を閉じる
- 無電圧接点(ドライ接点)と有電圧接点(ウェット接点):パナソニック TERASU辞書「無電圧接点」
- リレーの接点は無電圧接点・コイルと絶縁:オムロン FAQ06085「MYの接点はどのような接点ですか?」、FAQ06042「リレーはコイル電圧とは異なる電圧の回路を開閉できますか?」
- a接点・b接点の呼び方:オムロン FAQ04785「接触形式(a接点、b接点、c接点)と接点の端子(NO、NC、COM)の関係や違い」
- 有電圧の信号をリレーで受ける・電圧入力のレベル:オムロン FAQ05645「タイマの信号入力にAC100VやAC200Vを入力することはできますか?」
- 無電圧入力の判定条件:オムロン FAQ00898「カウンタの無電圧入力の入力条件の意味」
- 微小負荷と接点:オムロン FAQ04783、FAQ02810、FAQ05347「PLCなどへの信号入力に適したリミットスイッチ」
- DC入力ユニットの定格入力電流:三菱電機 MELSEC iQ-R 入出力ユニット仕様
- 24V DC入力のON/OFF電圧(IEC 61131-2):Beckhoff Application Note DK9222-0909-0008
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