バッファタンク(バッファータンク)とは?役割と仕組み、設置するメリット

機械室の縦型の保温バッファタンクと循環ポンプへつながる配管

バッファタンク(バッファータンク)とは、液体や気体を一時的に貯めて、流量や圧力の変動を吸収するタンクで、英語の buffer(緩衝)のとおり、入ってくる量と出ていく量の差をタンクが受け止めます。

給排水系統や空気系統では負荷の変動を抑えるためによく使われ、下流の配管や機器は、変動の山ではなく平均に近い条件で設計できます。

この記事では、バッファタンクの役割と仕組み、容量の考え方、チラーでの使い方、膨張タンクやレシーバータンクとの違いの順に整理し、バッファタンクの役割と設置するメリットは、動画でも解説しています。

目次

バッファータンクとは

バッファタンクとは、気体や液体を一時的に貯留させるためのタンクで、レシーバータンクとも呼ばれ、給排水系統や空気系統などに設置されます。

バッファタンクを設けると、設備のイニシャルコストを下げ、工場の運転の安定性を高められ、タンクが大きいほど、受け止められる変動の幅(変動許容率)が上がります。

仕組みは扱う流体で少し違い、液体ではタンクの水位が上下して、入る量と出る量の差を受け止めます。気体は圧縮できるのでタンクの容積は変わらず中の圧力が上下し、使う量が増えた瞬間は、貯めていた空気が出ていき、圧力の下がり方がゆるやかになります。

図1:液体と気体のバッファタンクの受け止め方

同じバッファタンクでも、液体は水位、気体は圧力で変動を受け止めます。

液体(排水・冷温水など)
気体(圧縮空気など)
上下するもの
タンクの水位
タンク内の圧力
入る量が多いとき
水位が上がり、差の分が溜まる
圧力が上がり、空気が押し込まれる
出る量が多いとき
水位が下がり、溜めた分を送り出す
圧力が下がり、貯めた空気で補う
許せる範囲
ポンプが止まる水位から、あふれる手前の水位まで
機器が必要とする最低圧力から、安全弁の手前まで
代表例
排水の中継槽、チラーの冷水タンク
コンプレッサーの後のエアタンク

※圧縮空気のタンクは、英語では air receiver(エアレシーバー)と呼ばれます。

英語では buffer tank と呼びます。米国エネルギー省(DOE)の資料は、圧縮空気のエアタンク(air receiver)を「短時間の需要の山に応える supply buffer」と説明しています。

バッファータンクの役割

バッファタンクの役割は主に次の2つです。

  • 流量の変動を抑える(主に液体)
  • 圧力の変動を抑える(主に気体)

流量変動を抑える

1つ目は、流量の変動を抑えることで、例として、瞬時に10m³/hの排水が出る機器が3台並び、それぞれが同時に動く場合がある設備を考えます。

このとき、機器を出て合流した後の排水配管は、瞬時流量を合計した30m³/hで設計しなければなりません。仮に排水量の平均が15m³/hでも設計上は30m³/hのため、実態と比べて配管口径が大きくなります。移送先までの距離が長い場合は、その分だけ配管コストが上がります。

瞬時流量10m3/hの機器3台が合流し、設計流量30m3/hで移送先へ送る系統図

そこで、次のようにバッファタンクを設け、瞬時流量の重なり分をタンクで吸収すれば、ポンプの二次側の流量を平均化できます。

その結果、移送先までの配管の設計流量を15m³/hに抑えられます。

合流した排水をバッファタンクで受け、ポンプで15m3/hに平均化して送る系統図

バッファタンクの容量は、機器の運転頻度や瞬時流量の継続時間などを考え、オーバーフローが起きない大きさを計算します。計算例は後の「容量の決め方」で示します。

タンクの出口のポンプは、液位計の信号で発停や流量を調整するのが一般的です。水位を一定の範囲に保つ制御は、PID制御の仕組みと同じ考え方で組めます。

図2:バッファタンクで流量の山をならす流れ

旧来の30m³/h設計を、タンクとポンプで15m³/h設計に変える流れです。

01機器3台が同時に排水10m³/h × 3台で、合流後の瞬時流量は30m³/h
02合流した排水をタンクで受ける重なった分はタンクの水位が上がって受け止める
03ポンプで一定量を送る液位を見ながら平均の15m³/h前後で送り出す
04移送配管を15m³/hで設計口径を小さくでき、距離が長いほど配管コストの差が大きい

※タンクより上流(機器から合流点・タンクまで)は、瞬時流量30m³/hのままで設計します。

圧力変動を抑える

2つ目は、圧力の変動を抑えることで、主に空気系統にバッファタンクを使う場合です。例えば、コンプレッサーで圧縮した空気を、空気式制御弁などの計装用空気として使う場合を考えます。計装空気の圧力が変動すると、制御弁の動作が不安定になり、流体を制御できません。

そのため、コンプレッサーの二次側に空気のバッファタンクを設けるのは、複数の機器が同時に作動しても、圧力が変動しないようにするためです。制御弁が大口径の場合は、その一次側にもバッファタンクを設けると、タンクまでの空気配管を小さくでき、配管コストを下げられます。

コンプレッサーの二次側と大口径制御弁の手前にバッファタンクを置いた空気系統図

DOE の資料も、エアタンクの働きを同じように説明しており、需要の山に貯めた空気で応え、系統の圧力が変わる速さを抑える働きです。

間欠的な山なら小さいコンプレッサーで済み、予備機を起動せずに乗り切れる場合もあります。往復動コンプレッサーの後では、脈動を和らげ、放熱で空気を冷やし、ドレン(凝縮水)を集める役目も果たします。

大口径弁の手前のタンクも、DOE が勧める方法と同じ考え方です。間欠的に大量に使う機器のそばにタンクを置き、上流に逆止弁と絞り弁を付けて、使わない間にゆっくり充てんします。

こうすると、大きな瞬間の需要が、小さな平均の需要に置き換わります。計装空気の質や雑用空気との使い分けは、計装空気と雑用空気の違いで整理しています。

コンプレッサーの近くに置くエアタンクは、ドライヤーの前に置くか後に置くかで利点が変わり、DOE の資料の整理は次のとおりです。

図3:エアタンクをドライヤーの前に置くか、後に置くか

どちらにも利点と弱点があり、前後の両方に置く方法もあります。

ドライヤーの前(湿りタンク)
ドライヤーの後(乾きタンク)
利点
放熱で空気が冷え、ドレンや油の一部が落ちる。ドライヤーの負担が軽くなる
乾いた空気が貯まる。急な大量消費にも乾いた空気で応えられる
弱点
中は湿った空気。急な大量消費でドライヤーが過負荷になり、露点が上がることがある
前に置いたときの冷却・ドレン分離の効果はない
ドライヤーから見ると
需要の山がそのままドライヤーにかかる
コンプレッサーの吐出量だけを処理すればよい

※どちらの場合も、圧力容器としての安全基準を満たし、安全弁と自動ドレン排出器を付けるよう DOE は勧めています。

バッファータンクの容量の決め方

液体でも気体でも、容量は次の3つで決まり、式の形は違いますが、考え方は共通です。

  • 変動の量(入る量と出る量の差)
  • 変動が続く時間
  • 許せる変化の幅(水位の幅、圧力の幅)

図4:容量を決める3つの条件

同じ3つの条件を、液体は体積で、気体は圧力で見ます。

液体(排水の例)
気体(圧縮空気の例)
変動の量
合流後の瞬時流量 − ポンプの送水量
最大の空気消費量 − コンプレッサーの吐出量
続く時間
機器が同時に排水する時間
最大消費が続く時間
許せる幅
ポンプが止まる水位から、あふれる手前の水位まで(有効容量)
コンプレッサーが負荷運転に戻る圧力から、無負荷になる圧力まで
ほかに見る点
次の山までに空にできるか、滞留・沈殿、清掃のしやすさ
圧力容器の区分と検査、ドレンの排出、安全弁

液体(排水)の場合

対象は、旧来の例と同じ排水の中継タンクで、流入とポンプの送水がそれぞれ一定とみなした概算として、溜まる量は次の式で求められます。

V = (Qin − Qout) × t
V:タンクに溜まる量[m³] Qin:合流後の流入量[m³/h] Qout:ポンプの送水量[m³/h] t:同時に排水が続く時間[h]

例えば、3台が同時に10分間排水し、ポンプが15m³/hで送り続ける場合を考えます。10分間という継続時間は、計算の流れを示すための仮定です。

(30 − 15) × 1060 = 2.5 [m³]
10分=10/60時間。必要な有効容量は、この2.5m³に余裕を見込んだ量になります。

この量は、ポンプが止まる水位からあふれる手前の水位までの間(有効容量)に収める必要があります。タンクの全容積ではなく、使える水位の幅で考える点に注意します。

もう一つの条件は、次の山が来るまでに水位を下げておけることで、そのためには、ポンプの送水量が平均の流入量(この例では15m³/h)以上である必要があります。

運転頻度が高く、山の間隔が短い設備では、山が重なったときの流入を見込みます。実際の排水量を流量計の記録で確かめてから決めると、過大な設計を避けられます。

気体(圧縮空気)の場合

対象は、コンプレッサーの吐出量を一時的に超える空気の消費を、タンクで補う場合で、中小機構の J-Net21 は、ボイル・シャルルの法則から次の式を示しています。

V = P1 × Q × 1000 × t ÷ 60P2 − P3
V:タンク容量[L] Q:不足する空気量[m³/min](最大の消費量 − 吐出量) t:最大の消費が続く時間[s] P1:大気圧(約0.101MPaA) P2:最初のタンク圧力(無負荷になる圧力)[MPaA] P3:最後のタンク圧力(負荷運転に戻る圧力)[MPaA]。温度は一定とみなします。

J-Net21 の試算では、吐出量6m³/minの機械に対し、最大10m³/minの消費が20秒続き、制御圧力幅(P2 − P3)は0.1MPaです。

0.1013 × (10 − 6) × 1000 × 20 ÷ 600.1 ≒ 1,351 [L]
分子は約135.1、これを圧力幅0.1MPaで割って約1,351L。圧力幅を半分にすると、必要な容量は2倍になります。

式から分かるとおり、許せる圧力の幅が狭いほど大きなタンクが要ります。逆にタンクを大きくすれば、コンプレッサーの吐出圧力を下げても圧力不足になりにくくなります。

同じ試算では、吐出圧力を0.60MPaGから0.55MPaGに下げると軸動力が約8%減り、37kWの機械を24時間365日・負荷率80%で動かす条件では、年間約2万kWhの削減です。圧縮空気の省エネの全体像は工場の省エネとエネルギー管理で紹介しています。

ただし、この方法が向くのは、最大消費の頻度が少なく、続く時間が短い場合です。山が長く続く設備では、タンクより吐出量の見直しが先になります。

圧縮空気のタンクは、法令上の圧力容器にも注意が要ります。ゲージ圧力0.2MPa以上の気体を貯める容器は、内容積0.04m³(40L)以上などの条件で第二種圧力容器になります(労働安全衛生法施行令 第1条第7号)。

第二種圧力容器は、使い始めてから1年以内ごとに1回の定期自主検査が義務です(ボイラー及び圧力容器安全規則 第88条)。区分の違いは第一種圧力容器と第二種圧力容器の違いで整理しています。

冷温水・熱源設備のバッファータンク

空調や工場の冷却に使うチラー(冷水をつくる冷凍機)の配管にも、バッファタンクが置かれますが、ここでの目的は流量をならすことではありません。

冷温水では、チラーの発停を減らすための保有水量(配管とタンクにある水の量)を確保することが論点で、排水タンクの容量計算とは別の考え方になります。

チラーは、冷却負荷が最小の能力を下回ると、運転と停止を繰り返します。三菱電機の技術資料は、発停が頻繁だと圧縮機の寿命を損なうおそれがあり、保有水量の確保が必要だとしています。

同資料の最低保有水量は、負荷がないときにチラーを5分間運転するのに必要な水量です。5分は、圧縮機が動き始めて冷媒系統が安定するまでの目安とされています。

図5:保有水量が少ないとチラーの発停が増える流れ

水が少ないと冷水温度がすぐ動き、チラーが止まったり動いたりを繰り返します。

01負荷が最小能力を下回るチラーが一番絞った運転でも冷やしすぎになる
02冷水温度がすぐ下がって停止保有水量が少ないほど、温度の変化が速い
03すぐ温度が戻って再起動発停の間隔が短くなり、圧縮機の寿命を縮めるおそれ
04バッファタンクで水量を足す温度の変化がゆっくりになり、発停の間隔が延びる

※三菱電機の資料では、最低保有水量を確保できない場合に冷水タンクの設置を検討するよう示しています。

必要な水量は機種と条件で変わるため、同社の水冷チラー MCR-KE シリーズ(MCR-SP40KE〜SP150KE の7機種)の表を例に取ります。冷水出口7℃・冷却水出口35℃・最小負荷0の条件で、50Hzでは0.56〜2.15m³です。

これは特定の機種の例で、一般的な必要量ではないため、実際の値は、使うチラーのメーカー資料で確かめます。配管の水量で足りない分を、バッファタンクで補う形です。

バッファータンクと膨張タンク・レシーバータンクの違い

膨張タンクは、閉じた温水・冷温水の配管で、水温による水の体積の増減を吸収して圧力の上がりすぎを防ぐタンクです。バッファタンクは、出入りする量の差を貯めて流量や圧力、温度の変動をならす点が違います。

レシーバータンクは使う分野で意味が分かれ、圧縮空気のレシーバータンク(エアレシーバー)は、バッファタンクと同じものです。

一方、冷凍機や空調機の冷媒回路にもレシーバ(受液器)という部品があります。凝縮器で液になった冷媒を受け、気体と液体を分けて液だけを送り出すもので、バッファタンクとは役割が違います。

図6:バッファタンク・膨張タンク・受液器の違い

名前が似ていても、受け止めるものと置く場所が違います。

バッファタンク(レシーバータンク)
膨張タンク
受液器(冷媒のレシーバ)
受け止めるもの
出入りする量の差(流量・圧力・温度の変動)
水温による水の体積の増減
凝縮した液冷媒
主な場所
排水の中継、圧縮空気、チラーの冷水配管
閉じた温水・冷温水の循環配管
冷凍機・空調機の凝縮器の出口
ねらい
下流を平均に近い条件で設計・運転する
配管内の圧力を安全弁の設定より低く保つ
気液を分け、液だけを送り出す

膨張タンクの容量の計算や開放式・密閉式の違いは、膨張タンクの記事で整理しています。

バッファータンクのよくある質問

バッファータンクは大きければ大きいほど良い?

受け止められる変動の幅は大きくなりますが、大きいほど良いとは限りません。設置スペースと費用が増えるうえ、液体では水が長く滞留し、沈殿や水質の悪化が起きることがあります。

圧縮空気では、容量が増えると圧力容器の区分や検査の扱いが変わることがあります。変動の量と時間から必要な容量を出し、余裕を見込む程度にとどめるのが基本です。点検の進め方は設備保全とはで整理しています。

バッファータンクを置く前に何を確かめればいい?

まず、変動の形を記録で確かめます。液体なら流量計や液位計、空気ならタンクやヘッダーの圧力の推移を見て、山の高さ、続く時間、間隔をつかみます。

そのうえで、図4の3つの条件に当てはめて容量を出します。山が長く続くなら、タンクではなく、ポンプやコンプレッサーの能力そのものの見直しが要ります。

英語の buffer tank はどういう意味?

buffer は「緩衝材」「間に入って衝撃を和らげるもの」という意味です。buffer tank は、供給側と使用側の間に入り、変動を和らげるタンクを指します。

英語の資料では、冷温水の保有水量を増やすタンクを buffer tank、圧縮空気のタンクを air receiver と呼ぶことが多いです。

まとめ

この記事のまとめ
  • バッファタンクは、流体を一時的に貯留させるためのタンク
  • 流量変動や圧力変動を抑える役割があり、設備コストの低減や安定性の向上につながる
  • 容量は、変動の量・続く時間・許せる水位や圧力の幅の3つで決める
  • チラーの冷水配管では、発停を減らすための保有水量を確保するために使う
  • 膨張タンクは水の熱膨張を吸収するもの。冷媒回路のレシーバ(受液器)も別物

バッファタンクは多くの工場やプラントで使われており、どこに設置すべきかは、流量と圧力の2つの観点から検討してみてください。

配管図でタンクの位置や液位・圧力の計装を確かめるときは、P&ID(配管計装図)の読み方が参考になります。

出典

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プラント機器メーカーとプラントメーカーで約10年、設備の提案・設計・試運転に携わったのち、Webマーケターに転身。現在はBtoB製造業専門のWebコンサルタントとして、メーカーの情報発信を支援しています。エネルギー管理士/第三種電気主任技術者。工業技術ブログを2017年から運営(500本以上執筆)、YouTube登録者約2万人、Xフォロワー約1万人。

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