コモン(COM)とは、複数の接点や入出力で共通に使う側の線・端子のことで、英語のcommon(共通)から来ています。共通に使う線をコモン線、または共通線と呼び、片側をまとめると端子や電線が減る一方、断線したときの影響と、合計で流れる電流に注意が要ります。
制御盤の打ち合わせでは「そこはコモンにしてください」とよく言われます。この記事では、コモンの意味を回路図で確かめ、実際の配線、PLCの端子の「COM」、コモンにしないほうがよい場合の順に整理し、動画でも解説しています。
この記事の内容は、動画でも解説しています。
- コモンは、複数の接点や入出力で共通に使う側の線・端子。コモン線=共通線で、図面や端子には「COM」と書く
- 片側をコモンにすると、n点の接点を2n端子からn+1端子に減らせる(3点なら6端子→4端子)
- 注意点は2つ。COMの1本が切れると全部の信号が途絶えること、COMには同時にONになった点の電流の合計が流れること
- PLCのCOMは「何点で1コモンか」と「1コモンあたりの定格」を仕様書で確認する。1点の定格とは別に決まっている
- 非常停止や重要な警報、電源の系統が違う回路はコモンにしない。リレーのCOM(NO・NCの共通端子)とは指すものが違う
コモンとは?
コモンは英語でいう「common」で、共通という意味であり、シーケンス図では、コモン線を「COM」と書くこともあります。

このように、無電圧接点で外部に信号を出力する端子があったとします。無電圧接点は、接点そのものは電圧を持たず、開け閉めだけを伝える接点で、この図では、次のように動きます。
- リレーのX1が入るとA1とA2がつながる
- リレーのX2が入るとB1とB2がつながる
- リレーのX3が入るとC1とC2がつながる
このような回路は、次のような使い方をします。

この回路の流れは、次のとおりです。
- スイッチを押すとリレーに電圧がかかり、X1が入る
- X1が入ると、出力側のA1とA2が導通する
- 受信側のランプに電圧がかかり、ランプが光る
つまり、スイッチを押すと遠くのランプが光り、押されたことを伝える回路です。これを3つ並べて、3つの信号を外に出せるようにしたものが最初の図で、ここにコモン線を書き加えると、次のようになります。

無電圧接点が並んでいる場合は、片方の端子をすべて共通にでき、この線をコモン線と呼びます。コモン線を入れたことで、出力端子を6個から4個に減らせ、点数が増えるほど差は大きくなります。
接点ごとに2端子ずつ出すと2n個、片側をコモンにするとn+1個で済みます。
※3点は上の回路図の例です。8点・16点は説明用の計算で、実際の機器ではCOMを複数に分けることもあります。
実際にコモン線を使って、リレーごとに別のランプが点く回路を作ると、次のようになります。

元の図に比べて配線がシンプルになり、受信側の電源も1つで済み、COMから出た電流がそれぞれの接点とランプを通って戻ります。
ただしコモン線を使うと、コモンの電線が1本切れただけで、すべての信号が取れなくなるリスクがあるため、本当に重要な警報を出す場合は、あえてコモン線を使わないこともあります。
図面や端子で「COM」と書かれる場面は、主に次の3つで、どれも「複数の回路で共用する側」という意味は同じです。
- この回路のように、並んだ接点の片側をまとめた線
- PLCの入出力ユニットやセンサーの、何点かで共用する端子(次の章以降)
- リレーのc接点で、NOとNCに共通の端子(よくある質問で説明)
接点とコイルの記号の読み方は、ラダー図の読み方で基本回路とあわせて整理しています。リレーシーケンスの動きは、エネ管.comのリレーシーケンスのアニメーションで見られます。
コモン線の実際の配線は?
コモン線を追加した場合の実際の配線は、次のようになります。

それぞれのリレーにつなぐ線の片方に、渡りで結線するだけで、渡りとは、隣り合う端子どうしを短い電線でつなぐ配線のことです。
端子台では、渡り用の短い電線や、端子どうしをまとめてつなぐ部品を使い、外へ出すのはCOMの端子から1本だけです。もともとの回路に比べて電線の数も減るので、全体を通してコストダウンにつながります。
その一方で、コモン線には各点の電流の合計が流れ、3点が同時にONになれば、コモンには3点分の電流が流れます。
端子と電線は減りますが、1本の線に役割が集まります。
PLCや機器の端子にある「COM」とは
PLCの入力ユニットやリレー出力ユニット、センサーの端子台では、複数の点で共通に使う端子に「COM」と書かれています。
同じCOMにつながる点は、同じ電源(同じ電圧・同じ系統)で使うのが基本で、電圧の違う負荷を混ぜたいときは、COMが分かれているユニットや、独立接点のユニットを選びます。
COMのグループ分けと、1つのCOMに流せる最大電流は、使う機器の取扱説明書で確認でき、仕様書では「コモン方式」として書かれています。キーエンスのPLCを例にすると、次のように機種ごとに違います。
- KV Nanoの入力:全点で1コモン(COM端子は1つ)
- KV Nanoのトランジスタ出力:8〜10点で1コモン
- KV Nanoのリレー出力:2〜4点で1コモン
- リレー出力ユニットKV-B16RC:8点で1コモン(16点で2グループ)
注意したいのは、1点あたりの定格と、1コモンあたりの定格が別に決まっていることで、KV-B16RCは1点2Aですが、1コモンでは8Aまでです。
1点ずつは2Aまで流せても、8点を同時に2AでONにすることはできません。
※キーエンス KV-B16RC(16点 リレー出力、8点/1コモン)の仕様の例です。数値は機種ごとに違うので、使う機器の仕様書で確かめてください。
COMの電流は、次の順で見積もると確かめやすくなります。
- 負荷ごとの電流を、負荷側の仕様書で調べる
- 同時にONになる点を、動作の条件から洗い出す
- COMのグループごとに電流を足し、仕様書の「1コモンあたり」の値と比べる
DCの入力・出力では、COMを電源の+と−のどちらにつなぐかも決まっていて、ここで出てくるのが、シンクとソース、NPNとPNPという言葉です。
キーエンスの説明では、NPN出力は負荷の電流が流れ込む側(シンク)、PNP出力は流れ出す側(ソース)で、日本や米国ではNPN、欧州ではPNPが多く使われてきました。オムロンは、PNPが欧州で多い理由を、出力側の配線がどこかで短絡しても負荷が動かないためと安全面から説明しています。
PLCの出力も同じ考え方です。オムロンの説明では、シンクタイプのトランジスタ出力はCOMが−でONのとき負荷からユニットへ電流が流れ、ソースタイプはCOMが+でユニットから負荷へ流れます。
入力側では、三菱電機のFXシリーズに、S/S端子でシンク入力とソース入力を切り替える機種があり、シンク入力ならS/Sを24Vにつなぎ、入力端子を0Vとつなぐとオンになります。ソース入力はその逆で、S/Sを0Vにつなぎ、入力端子を24VとつなぐとONになります。
三菱電機の製品資料では、シンク入力にはNPN、ソース入力にはPNPのオープンコレクタ出力のセンサーをつなぎます。
名前より、電流の向きとCOMを+・−のどちらにつなぐかで合わせます。
※キーエンス、オムロン、三菱電機の公開資料をもとに整理しました。三菱電機FXの行は、S/S端子のFAQと、シンク入力にNPN・ソース入力にPNPのセンサーをつなぐとする製品資料(MELSEC iQ-F FX5S)によります。電流の通り道は、そのつなぎ方から導いたものです。S/S端子のない機種もあるので、使う機種のマニュアルで確かめてください。
「プラスコモン」「マイナスコモン」「シンク」「ソース」は、資料によってどの端子を基準に名づけているかが違うことがあるので、呼び名だけで判断しないのが安全です。
たとえば三菱電機のFAQは、FXのシンク入力を「マイナスコモン」と説明していますが、このときユニットのS/S端子は+24Vにつなぎます。
センサーやスイッチの側から見ると共通の線は0V(−)ですが、ユニットのCOM端子を基準にすると+につなぐので、呼び名と逆に見えます。配線図で次の2点を確かめれば、取り違えは防げます。
- ユニットのCOM端子を、電源の+24Vと0Vのどちらにつなぐか
- ONのとき、電流が入力(出力)端子に流れ込むのか、流れ出すのか
こうしたON/OFF信号は、制御の世界ではDI/DOと呼び、信号の種類と方向の考え方は、DI/DO・AI/AO・PI/POの違いで整理しています。
コモンにしないほうがよい場合
コモン線は便利ですが、次のような場合は共通化を避けるか、慎重に検討します。
- 重要な警報や非常停止などの回路:コモン線1本の断線で、すべての信号が失われると困る場合
- 電圧や電源の系統が違う回路:別の電源を同じコモンにつなぐと、回り込みや誤動作の原因になる
- コモン線に流れる電流が大きくなる場合:コモン線には各点の電流の合計が流れるので、電線の太さと端子の許容電流を確認する
3つの問いにすべて「はい」と答えられれば、共通化してよい候補です。
NPNとPNPのセンサーを同じユニットに混ぜたい場合も、COMの分け方が鍵です。キーエンスによると、COM端子が内部でつながっていない入力ユニットなら混在して入力できます。
センサーの種類による使い分けは、近接センサと光電センサの違いで比べ、盤全体の仕様の決め方は、制御盤設計の進め方が参考になります。
コモンのよくある質問
電気でいうコモンとは何ですか?
複数の接点や入出力で、共通に使う側の線・端子のことで、図面や端子にはCOMと書かれます。
コモン線と共通線は同じですか?
同じもので、コモン(common)を日本語にしたのが共通線であり、複数の回路で片側を共用する線を指します。
コモン端子(COM端子)とは何ですか?
コモン線をつなぐための端子で、PLCの入出力ユニットでは、何点ごとに1つのCOM端子があるかが仕様書の「コモン方式」に書かれています。
リレーのCOM・NO・NCは、PLCのCOMと同じですか?
「共通の端子」という意味は同じですが、指すものが違い、リレーのCOMは1つの接点の中で、NO(普段開いている端子)とNC(普段閉じている端子)に共通の端子です。
オムロンの説明では、c接点はNO・NC・COMの3端子で構成されます。COMが共通なので、a接点とb接点を別々の回路に使うことはできません。
まとめ
- コモン(COM)は、複数の接点や入出力で共通に使う線・端子。つなげても回路の働きは変わらない
- コモン線を使うと、n点の接点を2n端子からn+1端子に減らせる
- コモンが断線すると、つながる全部の信号を拾えなくなるリスクがある
- COMには各点の電流の合計が流れ、1コモンあたりの定格は1点の定格と別に決まっている
- シンク・ソースは呼び名でなく、COMを+・−のどちらにつなぐかと電流の向きで照合する
電気の分野は専門用語が多く分かりにくいですが、意味を理解すると単純なことが多いので、一つずつ理解していきましょう。制御盤の配線では、自己保持回路の書き方、内線と外線の違い、リレーシーケンスとPLCの使い分け、NFBとELBの違いもあわせて押さえておくと便利です。
アナログ信号の配線については、4-20mAを使う理由と1-5Vとの違いで解説しています。
出典
出典・参考資料(6件)を開く出典・参考資料を閉じる
- NPN・PNP出力とシンク・ソース、NPNとPNPの混在:キーエンス「センサのNPN/PNPについて」、オムロン FAQ00379「センサのNPN出力(シンク)とPNP出力(ソース)の違い」
- PNPが欧州で多い理由:OMRON Knowledge Base「What Is The Difference Between NPN Transistor Output And PNP Transistor Output Of The Sensor?」
- PLCのトランジスタ出力のシンク・ソースとCOM:OMRON Knowledge Base「How Can We Use PLC Transistor Output To Distinguish Sink Type or Source Type?」、オムロン FAQ00439「CPM2Cのシンクタイプとソースタイプとの違い」
- リレーのNO・NC・COMとc接点:OMRON Knowledge Base「What Relationship Is There Between NO, NC, COM Contact Terminals And Contact Structures Of The Contact Point a, b, c?」
- FXシリーズのシンク入力・ソース入力とS/S端子:三菱電機 FA FAQ No.22255「How to use the “S/S” terminal」、No.22254「Meanings of the sink input/source input」、三菱電機 MELSEC iQ-F FX5S 新製品ニュース(入力信号形式)、FX CUSTOMER NEWS(S/S端子の配線)
- 1コモンあたりの点数と定格:キーエンス KV-B16RC、キーエンス KV Nano シリーズ 仕様
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