コンデンスポットとは、蒸気の流量や水位を差圧伝送器で測るときに、導圧管の途中に付ける小さな金属の容器です。
役割は、蒸気を冷やして水にし、その液面を一定に保つことです。コンデンセートポットや凝結槽とも呼ばれ、差圧伝送器の付属品として一緒に納入されることもあります。
この記事では、コンデンスポットの役割、蒸気流量を測るときの導圧管の注意点、ドレンポット・シールポットとの違いを順に整理し、保温や水張りの疑問は、最後のよくある質問で答えます。
コンデンスポットとは

コンデンスポットとは、圧力の検出器と配管をつなぐ導圧管に設置される金属の容器のことで、上の図のように設置します。
図は模式図なので、圧力の取出し口を配管の真上に描いていますが、横河電機の取扱説明書では、蒸気の取出し角度は水平〜上向き45°以内(水平配管の場合)とされています(図3)。
コンデンス(condense)は「凝縮する」という意味で、名前のとおり、コンデンスポットは蒸気を凝縮させる容器です。
呼び方はいくつかあり、横河電機の差圧伝送器の取扱説明書では「凝結槽(コンデンス・ポット)」、英語の資料では condensate pot と書かれます。海外メーカーの製品ページでは seal pot(シールポット)とも呼ばれています。
コンデンスポットの役割は、次の3つです。
- 蒸気を凝縮させて水(ドレン)にする
- 液面を一定にして測定誤差をなくす
- 液面の脈動を抑える
差圧式流量計で蒸気の流量を測る場合、配管の途中に付けたオリフィスプレートに蒸気を通します。オリフィス前後の圧力の差(差圧)を測れば、流量に換算できます。
差圧を伝える細い管が導圧管で、蒸気の場合、導圧管は高温の蒸気ではなく、凝縮した水で満たした状態で使います。
高圧側と低圧側に1つずつ、同じ高さにコンデンスポットを置き、その下を水で満たします。
※取出し口の向きや弁の構成は、横河電機の取扱説明書の配管例(図5.5 蒸気の流量測定)をもとに簡略化しています。実際の配管は設備の仕様に従います。
このとき、導圧管の中で蒸気が凝縮と再蒸発を繰り返すと、液面の高さが振れます。液面が振れると水頭圧(水の柱の重さによる圧力)が変わり、検出器に伝わる圧力も変動して正しい流量を測れません。
差圧伝送器は、流量で生まれた差圧と、液面の差で生まれた差圧を区別できません。高圧側と低圧側で水の柱の高さがずれると、その差がそのまま流量の誤差になります。
違いは、高圧側と低圧側の水の柱の高さがそろっているかどうかです。
※ポットの水量は細い導圧管より多いので、少し水が増減しても液面はほとんど動きません。
そこでコンデンスポットを設け、ポットから抜き出す導管を横取り出しにします。こうすると液面が常に一定になり、検出器にかかる水頭圧が一定になって正しい流量を測れます。
ポットの中は、蒸気と水が入れ替わる境目で、海外メーカーの資料では、ポットに水を溜めておくことで、高温の蒸気から伝送器を守り、急な温度変化で導圧管の水が再蒸発するのを防ぐと説明されています。
コンデンスポットは、蒸気と飽和水が混在する脱気器の水位を、上部と下部の圧力差で測る場合にも使われます。上部の導圧管で蒸気が凝縮して水の柱になるので、その高さを一定に保つためです。
ボイラーの蒸気ドラムの水位計測でも同じ理屈で使われ、英語の教科書ではこの容器を seal pot と呼んでいます。脱気器の仕組みは脱気器の原理と設置上の注意点で解説しています。
ちなみに、蒸気を凝縮させるのが目的なので、ポット自体は原則として保温しないように注意しましょう。ただし、冬に導圧管の水が凍るおそれがある場所では、ヒーターなどで伝送器と導圧管を保温します。どこまで保温するかは設備の仕様に従い、高圧側と低圧側を同じ条件にそろえます。
オリフィスの差圧から流量を出す仕組みは、差圧式流量計の仕組みの記事で詳しく説明しており、配管の取付け方は、次の章でまとめます。
蒸気流量を測るときの導圧管の注意点
コンデンスポットを付けても、配管の仕方が悪いと誤差は残ります。ポイントは、高圧側と低圧側の条件を左右対称にすることです。メーカーの取扱説明書・技術記事と計装の教科書にある決まりごとを、図面で見る点と運転前に確かめる点に分けました。
図面・据付けの段階で4つ、運転前・運転中に2つを確かめます。
※01・03・04・06は横河電機の取扱説明書(IM 01C25B01-01JA)、02と06の保温は ICS Schneider の技術記事、05は Lessons In Industrial Instrumentation によります。条件はメーカーと設備の仕様で確かめます。
取出し口の角度を流体ごとに決めているのは、配管の中のドレンやガス、沈殿物が導圧管に入ると誤差になるからです。伝送器を配管より低く置くと、凝縮した水が導圧管を満たし、この水が、高温の蒸気から伝送器を守る役目も果たします。
導圧管の途中に山や谷があると、空気や水が溜まって圧力の伝わり方が変わるため、勾配を付けて一方向に流します。
2本の導圧管に温度差があると、水の密度が変わって誤差になります。片側だけ日が当たる、片側だけ保温が厚いといった非対称も、差圧のずれの原因になります。
ポットの高さのずれがどのくらい効くかを試算し、水の密度は1,000kg/m³、伝送器の差圧レンジは説明用に仮に0〜20kPaとしました。
同じずれでも、流量が少ないときほど誤差の割合は大きくなります。
※差圧レンジ20kPaは説明用の仮の値です。高さ100mmで約9.8mbar(0.98kPa)の誤差になることは、計装メーカー ICS Schneider の技術記事でも示されています。
運転を始める前は、両側の導圧管とポットを水で満たしておきます。満たさずに始めると、蒸気が凝縮する速さが左右で違い、水の柱がそろうまでの間は誤差が出ます。
伝送器のドレン抜きは測定に一時的な乱れを与えるので、運転中は避けます。伝送器が出した信号は、DCSなどにアナログ入力(AI)として取り込まれます。信号の種類と方向はDI/DO・AI/AO・PI/POの違いで整理しています。
図面でコンデンスポットの位置を確かめるときは、配管計装図で流量計のタグ(FTなど)を探すと早く見つかります。記号の読み方はP&ID(配管計装図)の読み方で解説しています。
コンデンスポットとドレンポット・シールポットの違い
名前の似た容器に、ドレンポットとシールポットがあり、決まった定義があるわけではなく、何のために水を溜めるかで見分けると混乱しません。
コンデンスポットは「水を保つ」容器、ドレンポットは「水を集めて抜く」溜まりです。
※呼び方はメーカーや現場で違います。シールポットは、凝縮水ではなく別の封液を入れて計器を隔てる用途で使われることもあるので、図面や仕様書で中身と目的を確かめます。
ドレンポットは、ドレンを集めて抜くための溜まりを指して使われることが多い言葉です。蒸気配管では、底にドレンを集める太い管を設け、そこからスチームトラップへ流します。
トラップメーカーのTLVは、この部分を drip leg(drain pocket、ドレンポケット)と呼んでいます。ドレンと一緒に流れてくるゴミやスケールをトラップに入れないよう、取出し口を底より少し上にする構造です。
コンデンスポットとの違いは、溜めた水を捨てるか、残すかです。コンデンスポットの水は差圧を伝える媒体なので、運転中は抜きません。
シールポットは、液の柱を保つための容器に使われることが多い名前です。英語の資料では、蒸気の差圧計測のコンデンスポットや、ボイラーのドラム水位計の上部の容器を seal pot と呼びます。
コンデンスポットのよくある質問
コンデンスポットは、なぜ保温してはいけないのですか?
蒸気を冷やして水にするのが役目だからで、ポットを保温して冷えにくくすると、凝縮が進まず、液面を保ちにくくなります。
一方で、寒冷地では伝送器や導圧管の凍結を防ぐ保温が要りますが、その場合も、高圧側と低圧側を同じ条件にします。
蒸気の圧力計に付けるサイフォン管と同じ考え方ですか?
水を溜めて高温の蒸気から計器を守る点は同じで、コンデンスポットはそれに加えて、2本の導圧管の液面をそろえることが大きな目的です。
サイフォン管の形と種類は、サイフォン管を蒸気の圧力計に付ける理由の記事で紹介しています。
運転前に導圧管へ水を入れるのはなぜですか?
蒸気の凝縮を待つと、左右で水が溜まる速さが違い、しばらく誤差が出るからです。ティー継手のプラグや充填用の弁から水を入れ、両側の水の柱をそろえてから運転します。
コンデンスポットは定期的に点検しますか?
オリフィス式流量計の不具合は導圧管で多く起き、中身は詰まり・漏れ・腐食で、計測自動制御学会の論文によると、件数が最も多いのは詰まりです。
詰まりは外から見つけにくく、同じ論文は「定期点検時に対処しているのが現状」と指摘します。点検の段取りは定修(プラントの定期修理)の流れで紹介しています。
まとめ
- コンデンスポットとは、差圧伝送器の導圧管に付ける容器(コンデンセートポット・凝結槽とも呼ぶ)
- 蒸気系統に利用され、液面を一定に保つことがコンデンスポットの役割
- 蒸気を凝縮させることが目的なので、ポット自体は原則として保温しない(凍結対策の保温は両側を同じ条件に)
- 2つのポットの高さ、伝送器の位置、勾配、2本の温度をそろえ、運転前に水を満たす
- ドレンポットは水を集めて捨てる溜まり、コンデンスポットは水を残して液面を保つ容器
蒸気系統で差圧伝送器を使っている場合は、ほとんどの場合にコンデンスポットが設置されています。現場に行く機会がある方は、ポットの高さと導圧管の取り回しを確かめてみてください。
圧力などの量を電気信号に変える仕組みは、センサーの基本原理の記事で図解しています。
出典
出典・参考資料(7件)を開く出典・参考資料を閉じる
- 導圧管の配管方法・凝結槽(コンデンス・ポット)・配管例:横河電機 差圧・圧力伝送器 取扱説明書 IM 01C25B01-01JA(EJX110A ほか)
- 運転前の水張り、ドラム水位計測の seal pot:Tony R. Kuphaldt「Lessons In Industrial Instrumentation」Version 2.32(22.1.7 Proper installation、20.3 Hydrostatic pressure)
- コンデンスポットの役割・別名(Seal Pots):AS-Schneider「Condensate Pots」
- ポットの高さのずれによる誤差:ICS Schneider「Differential pressure measurement on steam: condensate pots and impulse lines」
- 蒸気の差圧測定の seal pot:Swagelok(PTQ/Digital Refining)「Ensuring an accurate reading in a differential pressure steam application」
- 導圧管の不具合(詰まり・漏れ・腐食):栄野ほか「水ラインでのディジタル式差圧伝送器による導圧管の詰まり検出」計測自動制御学会産業論文集 Vol.6 No.13(2007)
- 蒸気配管のドレンポケット(drip leg):TLV「Best Practices for Condensate Removal on Steam Lines」
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