近接センサと光電センサの違い|検出物・距離・環境で選ぶ基準

コンベヤ脇に取り付けられた近接センサと光電センサ

近接センサと光電センサは、どちらもモノに触れずに、あるかないかを知らせるセンサです。近接センサは磁界や電界の変化で、光電センサは光がさえぎられたり反射したりする変化で、物体をとらえます。

原理が違うため、得意な検出物、届く距離、苦手な環境がはっきり分かれます。主流の近接センサは金属しか検出しない代わりに、汚れや水に比較的強いのが持ち味です。

光電センサは樹脂や紙、ガラスまで検出できる一方、レンズの汚れや強い周囲の光の影響を受けやすくなります。

この記事では、両者の違いを比較表で示したうえで、それぞれの仕組みと種類、選ぶときの判断軸、PLCにつなぐときの出力形式、安全用途に使えない理由の順に整理します。

目次

近接センサと光電センサの違い

近接センサは、検出面の近くに磁界(誘導形)や電界(静電容量形)をつくり、そこに物体が入ったときの変化で検出します。主流の誘導形は金属しか検出しない代わりに、汚れや水に比較的強いのが持ち味です。

検出距離は定格で1〜100mm前後と短く、数mm程度の品種も多くあります。

光電センサは、投光部から出た光が物体にさえぎられたり、物体で反射したりして受光量が変わることを利用します。金属に限らずガラス、樹脂、木材、液体まで検出でき、方式によっては数十mの距離をとれます。

一方で、レンズの汚れや強い周囲光の影響を受けやすいのが弱点です。

なお、日本産業規格ではどちらも「近接スイッチ」の一種として同じ規格で扱われています。

JIS C 8201-5-2:2023の対応国際規格はIEC 60947-5-2:2019です。この規格は、誘導形・静電容量形・超音波形・光電形・磁気形の近接スイッチを対象にしています。

図1:近接センサと光電センサの比較

検出原理が違うため、得意な検出物と距離、弱い環境が分かれます。

近接センサ(誘導形)
光電センサ
検出原理
高周波磁界の中の金属に流れる渦電流で、コイルの発振状態が変わるのをとらえる
光の遮断(透過・回帰反射)や、物体からの反射光(拡散反射)で受光量の変化をとらえる
検出できる物
金属のみ(◎鉄などの磁性金属/○〜△アルミ・銅などの非磁性金属)
◎不透明体全般(金属・樹脂・木材・紙)/△透明体・黒色・鏡面は方式を選ぶ
検出距離の目安
定格で1〜100mm前後。数mmの品種が多い
拡散反射・回帰反射は数cm〜数m、透過は数cm〜数十m
油・水・粉じん
○樹脂充填の耐水構造が一般的。常時の水没や耐油はメーカー確認
△レンズの汚れで受光量が落ちる。透過型は比較的強い
周囲光
◎光を使わないため影響を受けない
△強い外乱光の影響を受けることがある
設置・調整
◎センサ本体だけで完結。光軸調整は不要
○拡散反射は本体のみ。透過・回帰反射は対向設置と光軸調整が必要
主な弱点
検出距離が短い/材質で距離が変わる/周囲金属・切粉の影響
汚れ・外乱光/表面状態(色・ツヤ)で反射光量が変わる

※◎○△は一般的な傾向(編集部整理)です。実際の性能は機種ごとの仕様書で確認してください。距離の目安は、近接センサが日本電気制御機器工業会の資料(オムロンの技術解説に掲載)、光電センサがオムロン「光電センサ 概要 – 技術解説」によるものです。

迷ったときは、まず検出物が金属かどうか、次にセンサから何mm離れているかで絞り込むと判断が早くなります。

金属を数mmの距離で検出するなら近接センサ、樹脂や紙、数十mm以上の距離なら光電センサが第一候補です。そのうえで、油や切削液、周囲光といった環境の条件で方式を詰めていきます。

近接センサの仕組みと種類

加工治具に取り付けた円柱形の近接センサとアルミ部品

センサーが物理量を電気信号に変える基本的な考え方は、センサー・計測の仕組みと基本原理で整理しています。ここでは近接センサに絞り、ワーク検出で使う誘導形と静電容量形を見ていきます。

誘導形(高周波発振型)は金属だけを検出する

誘導形近接センサは、高周波発振回路につないだ検出コイルから磁界を出しています。そこに金属が近づくと、電磁誘導で金属の中に渦電流が流れ、コイルのインダクタンスや損失が変わります。

その結果として発振が止まる、または振幅が下がるのをとらえて「物体あり」と判断する仕組みです。

この原理のため、ガラス、プラスチック、セラミック、紙、木材といった非金属は検出しません。逆に言えば、金属のワークや、機械の可動部に付けた「ドグ」と呼ばれる金属片だけを確実に拾えます。

キーエンスの解説でも、近接センサは直接ワークを見るよりドグの検出に使われることが多いとされています。

機械式のリミットスイッチと違って接触部がないため、摩耗による故障が起きにくいのも利点です。内部に樹脂を充填した耐水構造の製品が一般的で、切削液がかかる工作機械まわりでもよく使われます。

ただし水中や常に濡れる場所、耐油性については、メーカーに確認するよう技術資料で注意されています。

材質によって検出距離が変わる

誘導形のカタログに載っている検出距離は、標準検出体を使って測った値です。標準検出体は厚さ1mmの鉄板(炭素鋼)で、一辺は検出面の内接円の直径か、定格検出距離の3倍のどちらか大きいほうと定められています。

検出物が鉄以外の金属だと、同じ大きさでも検出距離は短くなります。

一般にステンレス(SUS304などの非磁性のもの)、真ちゅう、アルミ、銅の順に短くなりやすく、アルミや銅は鉄の半分以下になる例も珍しくありません。

メーカーはこの比率を「補正係数」や「材質と検出距離の特性図」として示しています。

図2:検出物の材質と検出距離の例(補正係数)

鉄を1としたときの比率。非磁性金属ほど検出距離が短くなります。

鉄(軟鋼)ステンレス真ちゅうアルミ銅1(4mm)約0.7(約2.8mm)約0.5(約2.0mm)約0.4(約1.6mm)約0.3(約1.2mm)

※ifm efector「IF5775」(M12・埋込み可・検出距離4mm)のデータシート(2015年4月版)に記載の補正係数。かっこ内のmmは4mmに係数を掛けた編集部の計算値です。特定の1機種の例で、係数は機種ごとに異なり、非磁性金属に強い品種では差が小さくなります。検出体の大きさや厚さ、めっきでも検出距離は変わるため、実際には使う機種の特性図で確認してください(参考までに、パナソニックのFAQでは近接センサGX-F8Aのアルミの修正係数を約0.48としています)。

検出物の大きさも距離に効きます。標準検出体より小さい物体では検出距離が定格より短くなるため、小さな部品を見る場合は特性図で確認が必要です。また、渦電流は表皮効果で主に表面を流れるので、めっきの有無や種類でも検出距離が変わる点に注意します。

そのうえで、設計では余裕を見込みます。JISでは、温度や電源電圧が変わっても確実に検出できる「保証動作距離」を定格動作距離の0〜81%と定めており、オムロンはこれを「設定距離」と呼んでいます。

周囲温度によっても検出距離は変わり、-25〜+70℃程度の範囲で常温値から通常5〜20%変化するとされています。

シールド型と非シールド型

円柱形の誘導形近接センサには、検出コイルの側面を金属で覆ったシールド型と、覆っていない非シールド型があります。見た目は似ていますが、取付け方と検出距離が変わるので、選定時に必ず確認したいポイントです。

図3:シールド型と非シールド型の違い

金属に埋め込めるか、検出距離を長くとるかのトレードオフです。

シールド型(埋込み形)検出コイルの側面が金属で覆われ、磁束が横に広がりにくい。金属の取付け台に埋め込んで使える。並べたときの相互干渉も起きにくい。その代わり、同じ外径なら検出距離は短め
非シールド型(非埋込み形)コイルの側面が覆われていないため、同じ外径でも検出距離を長くとれる。一方で周囲の金属の影響を受けやすく、検出面のまわりに金属のない空間を確保する必要がある

※金属のない空間の寸法や、並べて取り付けるときの間隔は機種ごとに指定があります。オムロン、キーエンスの技術資料をもとに編集部で整理。

近接センサを何台も並べると、互いの磁界が干渉して出力が不安定になることがあります。これを相互干渉と呼びます。

発振周波数をずらした「異周波タイプ」を交互に並べる方法がメーカーから案内されています。

また、検出物以外の金属が近くにあると、見かけの動作距離が増えたり復帰しなくなったりするため、取付け金具の位置にも気を配ります。

静電容量形は樹脂や液体も検出できる

静電容量形近接センサは、検出面の電極のまわりに電界をつくり、物体が近づいたときの静電容量の変化をとらえます。金属だけでなく、樹脂、ガラス、紙、液体といった誘電体も検出できるのが特徴です。

静電容量の変化は、物体が大きく厚いほど、また比誘電率が大きいほど大きくなります。水の比誘電率は約80と大きく、固体は10以下のものが多いため、水分を多く含むものほど検出しやすい性質があります。

この性質を生かし、樹脂製タンクの外側から液面を検出する、非金属の容器に中身が入っているかを確かめる、といった使い方がされています。

裏返すと、湿度や水滴、粉体の付着でも反応しやすくなります。感度調整用のつまみを備えた製品が多く、付着程度では誤動作しない感度に合わせるといった調整が前提になります。

ワークの有無を安定して見る用途では、まず誘導形か光電センサで足りないかを検討し、それらで難しい場合に静電容量形を選ぶ、という順番がよく取られます。

仕様書で見ておきたい項目

近接センサの仕様書では、検出距離のほかに「応差」と「応答周波数」を確認します。応差は、物体が近づいて出力が入る位置と、離れて出力が切れる位置の差です。

JISでは実効動作距離の20%以下と定められ、検出物が振動しても出力がON・OFFを繰り返す「チャタリング」を防ぐために必要な幅です。

応答周波数(JISでは動作サイクル周波数)は、1秒間に何回ON・OFFできるかを示します。

日本電気制御機器工業会の資料では、小形・中形でおよそ200Hz〜5kHz、大形で10〜200Hz、交流用で25Hz以下が目安とされています。

高速で回る歯車の歯を数えるような用途では、この値が足りるかを先に確かめます。

光電センサの仕組みと検出方式

黒い樹脂ケースが流れるコンベヤと光電センサ・反射板

光電センサは、光を出す投光部と光を受ける受光部で構成されます。光が物体にさえぎられたり反射したりして受光量が変わると、それを電気信号に変えて出力します。使われる光は、可視光(主に赤、色の判別用に緑や青)と赤外光が大半です。

多くの光電センサは、光を一定の周期で点滅させる「パルス変調光」を使い、自分の光だけを受けるようにして周囲光の影響を抑えています。それでも強い外乱光の影響を受けることはあるため、窓際や照明の近くに付けるときは注意が必要です。

図4:光電センサの主な検出方式

検出方式によって、距離・設置の手間・苦手な検出物が変わります。

透過型
長距離・安定投光器と受光器を向かい合わせ、間を通る物体が光をさえぎるのを検出。数cm〜数十mと距離が長く、ツヤや色、傾きの影響が少ない。2台分の配線と光軸調整が必要
回帰反射型
配線が片側投受光器と反射板を向かい合わせ、光がさえぎられるのを検出。配線は片側だけで光軸合わせも容易。光が物体を2回通るため透明体の検出に向く。鏡面の物体は反射光で見逃すことがある
拡散反射型
本体だけで設置物体に当たって返ってきた光を受けて検出。反射板が不要で取付けが簡単。検出距離は数cm〜数m。物体の色や凹凸で反射光量が変わり、検出距離も変化する
距離設定型
背景に強い反射光が受光素子のどこに結像するかで距離を判定する(三角測距)。設定距離より遠い背景を無視でき、色や表面状態の影響も受けにくい。物体からの反射光を使う点は拡散反射型と同じ

※距離の目安はオムロン「光電センサ 概要 – 技術解説」、特長はオムロン、キーエンスの技術解説をもとに編集部で整理。このほか、一定の距離範囲だけを見る限定反射型や、細い光ファイバで狭所を検出するファイバ型などがあります。

透過型:いちばん安定するが、対向設置が要る

透過型は、光がさえぎられるかどうかだけを見るので、物体の色やツヤに左右されにくく、動作が最も安定しやすい方式です。検出物が通る位置が多少ずれても、光軸を横切る限り検出位置は変わりません。

たとえばオムロンの技術資料では、定格検出距離が15mの透過型の特性例が示されています。

ただし、投光器と受光器を向かい合わせに置く場所と、2台分の配線が必要です。複数台を近くに並べると、隣の投光器の光を拾う相互干渉が起きることがあります。メーカーが特性図で示す取付け間隔を守るか、相互干渉防止機能を持つ機種を選びます。

回帰反射型:配線を片側にまとめられる

回帰反射型は、センサ本体の反対側に反射板を置くだけで済みます。反射板は、入ってきた光をそのまま来た方向へ返す角の立方体(コーナーキューブ)を並べたもので、多少の傾きがあっても光を戻せます。設定距離は1〜10mのものが多いとされています。

注意したいのは、鏡のように光る物体です。表面で反射した光がそのまま受光部に戻ると、物体がない状態と区別できなくなります。偏光フィルタを組み合わせて鏡面反射を見分ける機能(メーカーによって呼び方が異なる)を持つ機種を選ぶのが一般的な対策です。

拡散反射型と距離設定型:本体だけで検出できる

拡散反射型は、物体に当たって散らばった光の一部を受けて検出します。反射板が不要で、センサを1台取り付けるだけで済むため、設備の片側しか取付けスペースがない場合に便利です。

その反面、白い物体と黒い物体では返ってくる光の量が大きく違い、検出距離も変わります。

この弱点を抑えたのが距離設定型です。反射光の量ではなく、受光素子上のどこに光が当たるか(角度)で距離を判断するため、物体の色の影響を受けにくくなります。コンベヤの上のワークだけを見て、奥のコンベヤ面や壁を無視したいといった場面で選ばれます。

透明体・黒色・光沢面への対応

光電センサで失敗が多いのが、透明な容器、黒い樹脂、磨いた金属といった「光が思いどおりに返らない」検出物です。どの方式を選べば安定しやすいかは、次のように整理できます。

図5:検出しにくい物体と、方式選びの方向

何が起きやすいかを知っておくと、方式の候補を先に絞れます。

起きやすいこと
方式選びの方向
透明体(フィルム・ガラス・PETボトル)
光が素通りし、さえぎられる量が小さい。拡散反射では返る光が少ない
回帰反射型(光が2回通る)で、透明体検出用とされる機種を選ぶ。静電容量形近接センサも候補
黒色・低反射の物体
拡散反射では返る光が少なく、検出距離が大きく縮む
透過型や回帰反射型でさえぎり方を見る。反射で見るなら距離設定型を試す
光沢面・鏡面(磨いた金属・缶)
正反射で光が別方向へ逃げる、または受光部に強く戻る。傾きで結果がばらつく
透過型が最も確実。回帰反射型なら鏡面反射を見分ける偏光機能付きを選ぶ

※一般的な傾向(編集部整理)。オムロン、キーエンス、パナソニック インダストリーの技術資料・選定資料をもとにまとめました。最終的には実際のワークでテストして確認します。

光源の違いとレーザーの安全クラス

光源には、赤色LEDなどの可視光、赤外LED、レーザーがあります。可視光のタイプは光のスポットが目に見えるため、検出したい位置に合わせやすいのが利点です。

赤外光は目に見えないため、動作表示灯や安定表示灯の点灯を見ながら光軸を合わせるのが基本で、赤外線を可視化するビューアや蛍光板を使う方法もあります。

レーザーを使うタイプは、光を細く絞れるため、小さな部品や細い線を見たいときに選ばれます。パナソニック インダストリーの選定資料には、スポット径がφ1mm以下のレーザーセンサが掲載されています。

レーザー製品は、JIS C 6802:2025で危険の程度に応じてクラス分けされています。この規格はIEC 60825-1:2014と一致しており、クラスは1、1M、2、2M、3R、3B、4に分かれます。

光電センサに使われるレーザーはクラス1かクラス2の製品が多く見られます。

クラス1は合理的に予見できる条件で安全なレベル、クラス2はまばたきなどの反射で目が守られるものの、意図的にのぞき込むと危険なレベルです。

どのクラスでも、直接または鏡面での反射光を目に入れないようにし、本体のラベルの指示に従います。

国内では厚生労働省の通達「レーザー光線による障害の防止対策について」が、クラス1M、2M、3R、3B、4のレーザー機器を対象にしています。これらにはクラスに応じた措置が定められ、3B・4などではレーザー機器管理者の選任が必要です。

クラス1・2はその対象に含まれていませんが、導入前にクラスを仕様書で確認しておきます。

どちらを選ぶか:5つの判断軸

実際の選定では、検出物、距離、環境、応答速度、配線の順に条件を確かめていくと抜け漏れが減ります。

オムロンの技術解説でも、光電センサの選定前に確認すべき項目が整理されています。検出物の大きさ・形状・透明度・色・材質・表面状態・移動速度、検出距離、取付けの制限、背景、周囲温度や水・油の飛散です。

図6:センサ選定の判断の流れ

上から順に条件を当てはめると、候補が絞れていきます。

1. 検出物は金属か金属のみ → 近接センサ(誘導形)が第一候補/樹脂・紙・液体・透明体 → 光電センサ(静電容量形も候補)
次に
2. 検出距離と取付けスペース数mm〜十数mm → 近接センサ/数十mm以上 → 光電センサ。片側しか付けられないなら拡散反射・距離設定型
次に
3. 環境切削液・油・粉じん → 近接センサが有利(切粉の付着に注意)。光電なら透過型、保護等級と耐油仕様を確認。周囲光・温度も確認
次に
4. 応答速度ワークの移動速度・間隔に対し、応答周波数・応答時間が足りるか
最後に
5. 配線とPLCの入力仕様NPN/PNP、2線式/3線式、ノーマルオープン/クローズを入力ユニットに合わせる

※一般的な考え方(編集部整理)。最終判断はメーカーの選定資料と実機テストで行います。

検出物の材質・大きさ・色・透明度

最初に決め手になるのは材質です。金属なら誘導形近接センサで足りることが多いですが、アルミや銅、ステンレスでは検出距離が短くなる前提で機種を選びます。非磁性金属の検出を得意とする品種もあるので、アルミ部品が主な対象なら候補に入れておきます。

樹脂や紙、液体なら光電センサか静電容量形です。光電センサでは、色(特に黒)、透明度、ツヤを必ず確認することが重要です。同じ製品でも色違いのワークが流れるラインでは、最も検出しにくい色で余裕を確認しておきます。

検出距離と設置スペース

近接センサの検出距離は、大形の品種を除けば数mm〜数十mm程度で、ワークのすぐそばに付ける必要があります。治具やチャックの中に埋め込めるシールド型は、ワークが通る経路にセンサを出したくない設備で重宝します。

ワークまで数十mm以上離れる、あるいはワークの高さがばらつくなら、光電センサが向きます。

取付け面が片側しかなければ拡散反射型か距離設定型、両側に付けられて確実性を優先するなら透過型、というように取付け条件で方式が決まることも少なくありません。

環境(油・水・粉じん・切削液・周囲光・温度)とIPコード

切削液や油、粉じんが多い場所では、光を使わない近接センサが有利です。ただし近接センサも万能ではなく、金属の切粉が検出面に付着して誤動作することがあります。

切粉の付着に強いことをうたう品種もあるので、工作機械まわりでは確認しておく価値があります。

光電センサを使うなら、汚れに比較的強い透過型を選び、レンズの清掃を設備保全の定期点検の項目に入れておくと安心です。

防水・防じんの程度は、IPコード(保護等級)で比べます。IPの後の1桁目が固形物(粉じん)、2桁目が水に対する保護の等級です。

国内の規格は、2026年1月20日にJIS C 0920:2003が廃止され、JIS C 60529:2026に置き換わりました。

番号が国際規格IEC 60529と同じ5桁になり、新たに高温・高圧の水噴流に対するIPX9が加わっています。

このとき、旧規格にあった日本独自の附属書(油に対する保護等級など)は削除されました。そもそもIPコードは水と固形物に対する保護を表すもので、切削油や切削液への耐性はIPコードだけでは判断できません。

油がかかる場所では、メーカーが示す耐油性の仕様や使用可能な油の種類を確認します。周囲温度については、使用温度範囲に加えて、温度で検出距離が変わる点も考慮します。

応答速度

ワークが速く流れる、または間隔が狭いラインでは、センサの応答が追いつくかを確認します。近接センサは応答周波数(Hz)、光電センサは応答時間(ms など)で示されることが多く、表し方が違う点に気をつけます。

センサ単体だけでなく、PLCの入力ユニットにも入力応答時間(フィルタ時間)があります。短いパルスを取りこぼさないよう、センサとPLCの両方の値を合わせて検討するのが基本です。

主要なPLCメーカーごとの特徴はPLCメーカー比較で整理しています。

架空の設備で考える選び方

ここまでの判断軸を、架空の設備に当てはめてみます。いずれも説明のための想定例で、特定の設備や製品を示すものではありません。

図7:架空の設備での想定例

条件の違いで、選ぶセンサと方式が変わる例です。

想定例A加工機の治具上のアルミ部品治具に置いたアルミ部品の有無を数mmの距離で確認。切削液がかかる。→ 誘導形近接センサ(シールド型を治具に埋込み)。アルミで検出距離が縮む前提で余裕を確保し、切粉の付着対策も確認
想定例Bコンベヤ上の黒い樹脂ケースワークまで約200mm、センサは片側にしか付けられず、奥にコンベヤのフレームがある。→ 光電センサの距離設定型で背景を除外。黒色で反射光が少ないため、実機で余裕を確認
想定例C透明ボトルの通過検出搬送路の両側にスペースはあるが、配線は片側にまとめたい。→ 回帰反射型で透明体検出用とされる機種。ボトルの向きや水滴の影響を実機で確認

※いずれも編集部が作成した架空の想定例です。距離などの数値は説明用で、実際の選定はメーカーの仕様書と実機テストによります。

想定例のように、同じ「ワークの有無を見る」でも条件次第で答えは変わります。候補を2〜3に絞ったら、実際のワークを使ってテストするのが、失敗を減らすいちばん確実な方法です。

出力形式とPLC入力の組み合わせ

制御盤内でPLC入力ユニットの端子に配線されたセンサケーブル

近接センサも光電センサも、多くはPLCの入力ユニットにつないで使います。入力機器としてのセンサの位置づけはPLCとシーケンス制御の仕組みで解説しています。ここでは、配線で間違えやすい出力形式に絞って整理します。

NPN出力とPNP出力

直流3線式のセンサは、電源の+、0V、出力の3本の線を持ちます。出力部のトランジスタの種類によって、NPN出力とPNP出力に分かれます。

キーエンスの解説では、NPN出力とPNP出力を次のように説明しています。

NPN出力は電源の+側と出力の間に負荷をつなぎ、負荷電流がセンサに流れ込む(シンク)形です。PNP出力は0Vと出力の間に負荷をつなぎ、電流がセンサから流れ出す(ソース)形です。

日本やアメリカではNPN出力が主流で、ヨーロッパなどではPNP出力が多く使われています。海外製の設備や、海外向けに設計した設備ではPNPが前提になっていることがあるので注意します。

図8:NPN・PNP出力とPLC入力ユニットのコモンの組み合わせ

センサの出力形式に合わせて、入力ユニットのコモンを+24V側か0V側にします。

NPN出力のセンサPNP出力のセンサ+24V0V+24V0Vセンサ(NPN)PLC入力ユニットセンサ(PNP)PLC入力ユニット出力COM出力COM電源+0V電源+0VCOMを+24Vに(プラスコモン)電流は入力ユニット→センサへCOMを0Vに(マイナスコモン)電流はセンサ→入力ユニットへ

※矢印は出力線を流れる電流の向き。NPN出力はセンサが電流を0V側へ引き込み、PNP出力はセンサが+側から電流を送り出します。電線の色や端子の名称は機種の結線図で確認してください。キーエンス「NPN/PNPについて」、オムロンのFAQをもとに編集部で作図。「プラスコモン」「マイナスコモン」はオムロンのFAQでの呼び方で、三菱電機のFAQでは同じNPNの接続を「マイナスコモン」と呼ぶなど、メーカーによって逆になります。

「シンク」「ソース」の呼び方に注意する

配線ミスが起きやすいのが、「シンク」「ソース」「プラスコモン」「マイナスコモン」という呼び方です。

センサ側の用語は、キーエンス、パナソニック、オムロンの資料ともNPN出力をシンク(電流を吸い込む)、PNP出力をソース(電流を吐き出す)と説明しています。

ところがPLCの入力側の呼び方は、同じ接続でもメーカーによって逆になることがあります。

たとえば三菱電機のFX5シリーズでは、S/S端子を24V端子につなぎ、0Vと入力端子の間を短絡するとONになる接続を「シンク入力」と呼んでいます。これはNPN出力のセンサをつなぐ形です。

一方、富士電機のFAQは、外部機器がONしたときにPLCの入力端子から電流が流れ出す入力形式を「ソース入力」と定義しています。NPN出力のセンサをつなぐ同じ形が、こちらでは「ソース入力」にあたります。

コモンの呼び方も同様で、オムロンのFAQはこの組み合わせを「NPN出力のセンサをプラスコモン接続」と説明しています。一方、三菱電機のFXシリーズのFAQはシンク入力を「マイナスコモンの入力」と説明しています。

センサ側にも、NPN出力を「マイナスコモン出力形」と呼ぶ資料(日本電気制御機器工業会)があります。どの機器のどの端子を基準に名付けるかが、資料によって違うためです。

言葉だけで判断すると取り違えやすいため、呼び方ではなく、使うPLCとセンサのメーカーの結線図で確かめてください。入力ユニットのコモンを+24Vにするのか0Vにするのか、電流がどちら向きに流れるかを必ず確認します。

オムロンのFAQによると、NPNとPNPを取り違えるとセンサがONしてもPLCの入力は入りません。一般的なセンサや入力機器には誤配線の保護機能があり、故障する可能性は低いとされています。

キーエンスの解説によると、コモン端子が内部でつながっていない入力モジュールなら、NPNとPNPを混在させることもできます。

2線式と3線式:漏れ電流と残留電圧

直流2線式のセンサは、リミットスイッチと同じように2本の線で負荷と直列につなぎます。配線が簡単で置き換えもしやすい一方、センサ自身の回路を動かすための電流も同じ線から取るため、完全なスイッチにはなりません。

OFFのときでも負荷にわずかな「漏れ電流」が流れ、ONのときもセンサの両端に数Vの「残留電圧」が残ります。

日本電気制御機器工業会の資料では、一般に漏れ電流1mA以下、残留電圧3〜4V程度とされています。

PLCにつなぐときは、漏れ電流が入力ユニットのOFF電流以下であること、電源電圧から残留電圧を引いた値が入力のON電圧以上であることを確かめます。

入力インピーダンスが高い機器では、OFFにならない「復帰不良」の原因になります。

直流3線式は、電源線と出力線が分かれているため、こうした影響を受けにくい方式です。出力トランジスタで50〜200mA程度の電流を開閉でき、小形のリレーなどを直接動かせる製品もあります。

ノーマルオープンとノーマルクローズ

出力の動作にも2種類あります。検出物があるときに出力がONになるのがノーマルオープン(NO、a接点相当)、検出物があるときにOFFになるのがノーマルクローズ(NC、b接点相当)です。

光電センサでは、光が入ったときにONにするか、さえぎられたときにONにするかを切り替えられる機種もあります。

PLCのプログラムで論理を反転させることはできます。ただし、断線や電源の喪失でセンサの出力がOFFになったとき、それが「検出物なし」と「検出物あり」のどちらに見えるかは、NO/NCの選び方で決まります。

断線や電源の喪失が起きたときに、設備がどちら側に倒れてほしいかを考えて選ぶと、トラブル時の挙動を読みやすくなります。

安全用途には使えない:人の検出は安全部品で

光電センサで作業者の手の侵入を検知し、機械を止めたい、と考えることがあるかもしれません。しかし、一般の近接センサや光電センサは安全部品ではありません。

オムロンは近接センサと光電センサの共通の注意事項で、プレスの安全装置やその他の人体保護用の安全装置としては使用できないと警告しています。

これらは安全性にかかわらない、ワークや作業者の検出用途を意図した製品です。

人を守る装置には、部品が故障しても人を見逃さないための仕組みが求められます。一般のセンサはその前提で設計・評価された製品ではないため、人の保護には安全部品として規格に基づいて作られた機器を使う必要があります。

危険領域への人の侵入を光で検知するなら、IEC 61496シリーズに基づくセーフティライトカーテンなどの安全部品を使います。

セーフティライトカーテンは、人を確実に検知できるよう診断機能などを備え、光軸のずれの許容値(有効開口角)などもIEC 61496-2で規定されています。

どの安全部品をどう組み合わせるかは、機械のリスクアセスメントに基づいて決めます。考え方は機能安全とIEC 61508の考え方や、協働ロボット導入でのリスクアセスメントもあわせて参考にしてください。

まとめ

この記事のまとめ
  • 近接センサ(誘導形)は金属だけを短い距離で検出し、油や水、周囲光に比較的強い
  • 誘導形は材質で検出距離が変わり、アルミや銅では鉄より大きく短くなる
  • 光電センサは材質を問わず長い距離を検出できるが、汚れや外乱光、透明・黒・光沢面に注意がいる
  • 選定は材質→距離と設置→環境→応答速度→配線の順に確認し、実機テストで詰める
  • シンク/ソースやプラス/マイナスコモンの呼び方はメーカーで逆になることがあるため、NPN/PNPの接続はメーカーの結線図で確かめ、人の保護には安全ライトカーテンなどの安全部品を使う

近接センサと光電センサは、どちらが優れているかではなく、検出物と環境に合っているかで選ぶ部品です。センサ選定に関わる職種としては生産技術や電気・電子設計、設備保全が深く関わります。

センサー全般の用途や関連記事はセンサー・計測の技術テーマページから、センサを扱うメーカーや業界の構造はFA・自動化システムの業種ページからあわせてご覧ください。

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MONOSCOPEの運営者

プラント機器メーカーとプラントメーカーで約10年、設備の提案・設計・試運転に携わったのち、Webマーケターに転身。現在はBtoB製造業専門のWebコンサルタントとして、メーカーの情報発信を支援しています。エネルギー管理士/第三種電気主任技術者。工業技術ブログを2017年から運営(500本以上執筆)、YouTube登録者約2万人、Xフォロワー約1万人。

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