30代メーカーエンジニアの転職|評価される経験と失敗しない選び方

機械工場の中二階から組立フロアを見下ろす技術者の後ろ姿

転職サービスdodaの調査では、2025年に転職した人の平均年齢は32.9歳でした。30代は転職者の中心にいる年代で、転職後に賃金が上がった人の割合も4割台半ばと高めです。

ただし企業の見方は20代とは変わり、30代のエンジニアには「何ができるか」を具体的に説明することが求められます。これまでの経験をどう伝えるかで、結果が大きく分かれます。

この記事では、メーカーで設計・生産技術・品質保証・組込みなどに携わる30代の技術者が抱きやすい疑問に、Q&A形式で答えていきます。

取り上げるのは、評価される経験、職務経歴書の書き方、転職先の選択肢、年収、応募先の確かめ方、退職の進め方の順です。

目次

Q1. 30代のエンジニアが転職するのは遅いですか?

電子部品工場の通路を歩くエンジニアの後ろ姿

遅くはありません。

転職サービス「doda」を運営するパーソルキャリアの調査があります(2026年4月発表、2025年にdodaエージェントサービスで転職した約6万件が対象)。

この調査では、2025年に転職した人の平均年齢は32.9歳で、3年連続で上昇しています。

年代別に見ても最も多いのは20代後半で、30代前半、30代後半がそれに続きます。

背景には、即戦力を求める企業の採用姿勢があります。同社が自社サービスのデータから算出する「doda転職求人倍率」も、2026年8月時点で2.86倍と、求職者1人に対して3件近い求人がある状態です。

製造業全体の求人倍率や入職・離職の動きは、製造業の転職・採用市場の動向で詳しく整理しています。

賃金の面でも、30代は不利な年代ではありません。厚生労働省の雇用動向調査(2024年)によると、転職で前職より賃金が「増加」した人は30〜34歳で46.1%、35〜39歳で45.5%でした。

「減少」は両年代とも約24%にとどまり、増加が減少を20ポイント以上上回っています。

図1:年齢別に見た転職前後の賃金の変化(2024年)

30代は「増加」が4割台半ばで、「減少」は4人に1人を下回ります。

25〜29歳
46.323.129.2
30〜34歳
46.129.124.2
35〜39歳
45.528.024.3
40〜44歳
45.923.729.0
50〜54歳
39.031.728.2
全年齢
40.528.429.4
増加変わらない減少

※単位は%。厚生労働省「令和6年雇用動向調査」の転職入職者(前職が雇用者)。不詳があるため合計は100にならない場合があります。業種・職種を問わない全体の値です。

一方で、同じ調査では50代後半になると「減少」が「増加」を上回ります。30代は、これまでの経験を評価してもらいながら、次の10年、20年の働き方を選び直せる時期と考えるのが現実的です。

ただ、統計はあくまで全体の平均です。自分の市場価値を確かめる近道は、応募先が求める経験と自分の経験の重なりを具体的に洗い出すことです。以下の疑問で順に見ていきます。

Q2. 30代前半と後半で、企業の見方は変わりますか?

変わります。同じ30代でも、前半は「専門性の芯があり、まだ伸びる人」、後半は「専門性に加えて、仕事を前に進められる人」として見られるのが一般的です。

doda(パーソルキャリア)が出した電気・機械エンジニア向けの転職市場予測もあります(2026年下半期版、2026年7月公開)。そこでも、ミドル層には専門性に加えて業務推進力や後輩指導力が求められると整理されています。

年齢が上がるほど、個人の技術力だけでなく、周りを巻き込んだ成果が問われます。

図2:30代前半と後半で変わる企業の見方

年齢が上がるほど、個人の技術から「チームで出した成果」へ評価の軸が移ります。

30代前半
30代後半
期待される役割
担当領域を一人で任せられる中堅
プロジェクトやチームを前に進める中核
評価の軸
専門性の芯、習得の速さ、伸びしろ
専門性に加え、推進力・調整力・育成経験
書類で示したいこと
担当した製品・工程・ツールと、自分が決めた範囲
率いた人数、社内外との調整、改善や立ち上げの成果
選べる幅
隣の職種や別業界への移動も比較的しやすい
経験の延長線上が中心。専門職かマネジメントかの方向が問われる

※一般的な傾向です。技術領域や企業規模によって期待は変わります。

30代前半は「芯」と「伸びしろ」

30代前半は、ひと通りの業務を自分で回せるようになり、担当範囲で判断を任され始める時期です。採用側は、どの領域なら即戦力になれるかという専門性の芯と、新しい製品や技術にどれだけ早くなじめるかを見ています。

この時期は、同じ職種で業界を変える、設計から生産技術に移るといった隣の領域への移動が比較的しやすいのも特徴です。キャリアの方向を変えたい場合は、選択肢が広いうちに動く価値があります。

30代後半は「推進力」と「人を動かした経験」

30代後半になると、係長や主任、プロジェクトリーダーとして人を動かした経験が問われます。部下がいなくても、他部署や協力会社と調整して開発や立ち上げを完了させた経験は十分な材料になります。

この年代では、専門を深めるスペシャリストか、組織を率いるマネジメントかという選択があります。どちらの方向で次の10年を過ごしたいかを面接で問われることが多いため、自分なりの答えを用意しておきます。

Q3. メーカーの転職で評価されるのはどんな経験ですか?

ノギスで機械加工部品の寸法を測る手元

評価されるのは、応募先の製品や工程に近い経験です。前述の市場予測でも、機械系の職種は「経験と志望先の親和性が最も重視される領域」とされています。そのうえで、製品の材質やサイズ、製造プロセス、使用CADを具体的に示すことが勧められています。

企業側の事情を見ても同じ傾向があります。厚生労働省の「令和2年転職者実態調査」では、専門的・技術的な職種で転職者を採用する理由として「経験を活かし即戦力になるから」が上位に挙がっています。

採用担当者は、入社後に何をどこまで任せられるかを具体的に思い描ける人を選びます。

そのためには、経験を次の4つの要素に分けて整理しておくと伝わりやすくなります。

図3:評価される経験を分解する4つの要素

「何を・どうやって・何を使って・どうなったか」がそろうと、採用側が入社後の姿を想像できます。

WHAT製品・対象どんな製品の、どの部分か。材質、サイズ、精度、量産規模、顧客の業界まで書くと親和性が伝わる
HOW工程・技術構想・詳細設計・評価・量産立ち上げなど、どの工程を担ったか。自分が判断した範囲はどこか
TOOLツール・手法3D CAD、CAE、PLC、C言語、MATLAB/Simulink、FMEA、統計解析など、実務で使った道具
RESULT成果・数字不良率、コスト、リードタイム、工数、開発期間など、前後でどう変わったか
4つがそろった経験は、業界が変わっても「どこまで任せられるか」の判断材料になる

職種ごとに見られやすい経験

同じメーカーのエンジニアでも、職種によって評価される経験の中身は変わります。機械設計なら担当した製品と、構想から量産までのどこを担ったか、どのCADやCAEを使ったかが中心です。

職種別の必要スキルは機械設計に必要なスキルとキャリアパスなどの職種別記事で詳しく整理しています。

電気系では、PLCの設計経験や電気工事士などの資格が評価され、パワーエレクトロニクスの経験者へのニーズも高まっているとされます。

組込み系では、C言語やMATLAB/Simulinkに加え、仕様検討から評価まで一貫して担った経験が評価されやすい傾向です。

生産技術や品質保証では、ライン立ち上げや工程改善、不具合の原因究明と再発防止の経験が中心になります。どの職種でも、担当した「規模」と「自分の役割」がセットで語れるかどうかが分かれ目です。

業界が変わっても通用する力

業界や製品が変わる転職では、専門知識だけでは親和性を示しにくくなります。そこで効いてくるのが、厚生労働省が「ポータブルスキル」と呼ぶ、業種や職種が変わっても持ち運べる力です。

ポータブルスキルは「仕事のし方」と「人との関わり方」の9つの要素で整理されています。エンジニアの場合、課題の設定や社外との調整は、技術の話に埋もれて書類に表れにくいため、意識して言葉にしておく必要があります。

図4:業界が変わっても通用する9つのポータブルスキル

厚生労働省の整理では、「仕事のし方」5要素と「人との関わり方」4要素に分かれます。

仕事のし方

現状の把握情報を集めて評価・分析する。例:市場不良の傾向を調べる
課題の設定問題意識から改善策や解決策を設定する
計画の立案ゴールまでのシナリオと実行計画をつくる。例:開発日程
課題の遂行納期を守りながら確実にやり切る
状況への対応変化に臨機応変に対応する。例:部品の供給停止

人との関わり方

社内対応利害が対立する社内関係者と合意をつくる。例:製造・品証との調整
社外対応顧客や取引先と調整し、合意をつくる。例:サプライヤーとの仕様詰め
上司対応上司に報告し、意見を具申する
部下マネジメントメンバーの持ち味を把握し、仕事を割り振り育てる

※厚生労働省「ポータブルスキル見える化ツール」の定義をもとに、例を加えて整理。ツールでは各要素を5段階で診断します。

このツールはjob tag(厚生労働省の職業情報提供サイト)上で無料で使え、各要素を5段階で診断できます。棚卸しの出発点として使うと、面接で「技術以外の強みは何か」と聞かれたときにも答えやすくなります。

Q4. 職務経歴書には何をどう書けばよいですか?

職務経歴書は、図3の4つの要素がそろった「プロジェクト単位」で書くのが基本です。担当業務を並べただけの書き方では、採用側は規模も役割も判断できません。

よくある失敗は、社内でしか通じない製品名や部署名、略語をそのまま使ってしまうことです。読むのは他社の人事と技術者なので、業界共通の言葉に置き換える必要があります。

図5:職務経歴書の書き方(悪い例と良い例)

同じ経験でも、規模・役割・成果を入れるだけで伝わり方が変わります。

伝わりにくい例産業機器の設計を担当XX-200シリーズの改良に従事コストダウンに貢献後輩の指導も行った
伝わりやすい例食品工場向け搬送装置(全長約10m、年間数十台規模)の機構設計を担当3D CADで駆動部を再設計し、構想から量産図出図までを主担当として推進部品点数の削減で、1台あたりの原価を約15%低減後輩2名の図面チェックとCAE解析の指導を担当
社内名称は業界共通の言葉に、「担当」は「自分が決めた範囲」に、「貢献」は前後の数字に置き換える

※両方とも書き方を示すために作成した架空の例です。製品・数字(全長、台数、原価低減率、人数など)は仮の値で、実在の製品や実績ではありません。

成果の数字は、社外の人にも意味が伝わる指標を選びます。主な例は次のとおりです。

  • コスト
  • 不良率
  • 工数
  • リードタイム
  • 開発期間

チームで出した成果の場合は、その中で自分が何を担ったかを1文で添えると誤解がありません。

守秘義務との兼ね合い

具体的に書くことと、機密を漏らさないことは両立させる必要があります。顧客名や未発表の製品名、社内の原価データそのものは書かず、「自動車部品メーカー向け」「原価を約15%低減」のように、業界と比率に置き換えるのが一般的です。

面接で図面や社内資料を見せてほしいと言われても、在職中の会社の資料を持ち出して見せることは避けます。説明は自分の言葉と、公開情報の範囲で行います。

Q5. 転職先にはどんな選択肢がありますか?

歯車・基板・配管部品・樹脂部品を並べた作業台の俯瞰

選択肢は「業界を変えるか」と「職種を変えるか」の2つの軸で整理できます。どちらも変えないのが最も評価されやすく、両方を変えるほど、30代では難易度が上がります。

多くの人にとって現実的なのは、どちらか一方だけを変える移り方です。変えない側の軸で即戦力であることを示し、変える側の軸で伸びしろを語るのが基本の組み立てになります。

図6:転職先の4つのパターン

業界と職種のどちらを変えるかで、評価のされ方とねらいが変わります。

同じ職種
違う職種
同じ業界
同業界 × 同職種最も評価されやすい待遇や働き方の改善、担当製品の幅を広げるのがねらい。競合への転職は守秘義務に注意
同業界 × 異職種製品知識を武器にする設計から生産技術・品質保証・技術営業へ。製品理解がそのまま強みになる
違う業界
異業界 × 同職種技術を別の製品に移す自動車から半導体装置、家電から医療機器など。共通する工程や手法を示す
異業界 × 異職種30代では最も難しいポータブルスキルで勝負する形。年収が下がる可能性も含めて判断する

※同じ企業グループ内の異動や、社内公募で職種を変えてから転職する方法もあります。

同じ業界で職種を変える場合は、製品を深く知っていることが最大の武器になります。たとえば設計から生産技術に移ると、つくりやすさを考えた設計の視点を工程づくりに生かせます。

顧客と話すことが苦にならない人なら、技術営業・FAEも選択肢です。製品の中身を理解したうえで顧客の課題を聞き出せる人材は、メーカーでも商社でも重宝される傾向があり、設計経験者が移ってくるケースは珍しくありません。

業界を変える場合は、市場が伸びている分野かどうかも判断材料になります。前述の市場予測では、次の分野がエンジニア採用を支えているとされています。

  • EV化・自動運転
  • 半導体投資
  • 防衛
  • GX(脱炭素に向けた産業構造の転換)
  • 工場のDX

その一方で、EV関連では採用を見直す動きも一部に見られます。

大手から中小へ、あるいはその逆へ移る場合は、仕事の範囲や意思決定の速さも大きく変わります。規模による違いは次の記事で比較しています。

Q6. 転職で年収は上がりますか?下がるのはどんな場合ですか?

統計上は、上がる人のほうが多い状況です。雇用動向調査(2024年)では、30〜34歳の36.0%、35〜39歳の35.3%が、前職より1割以上賃金が増えたと答えています。

全年齢でも「増加」の割合は40.5%と前年から3.3ポイント上がり、賃金が上がりやすい環境が続いている状況です。

ただし、同じ調査で30代の約4人に1人は賃金が減っています。年収が下がりやすいのは、次のようなケースです。

  • 異業界・異職種へ移り、経験が評価されにくい
  • 前職の残業代や交替勤務手当、住宅手当、家族手当の比重が大きかった
  • 大手から中小・ベンチャーへ移り、賞与の水準が変わった
  • 勤務地や働き方の希望(転勤なし、残業少なめ)を優先した

比べるときは、提示された「年収」だけでなく、月給・賞与・残業代・手当の内訳と、固定残業代の有無まで分解します。前職の年収に残業代が多く含まれていた場合、基本給が上がっても手取りが下がることがあります。

業種や職種、企業規模によって年収の水準自体が異なる点も押さえておきたいところです。統計にもとづく比較は製造業の年収ランキングで確認できます。短期の年収より、入社後の昇給や役職の見通しを含めて判断するのが、30代の転職では大切です。

Q7. 失敗しないためには、応募先の何を確認すればよいですか?

マシニングセンタの前で説明を受ける見学者

転職の失敗で多いのは、年収や社名は満足できたのに、入社後の仕事の中身が想像と違ったというパターンです。前述の令和2年転職者実態調査でも、転職者が今の会社を選んだ理由の最多は「仕事の内容・職種に満足がいくから」(41.0%)でした。

一方、自己都合で辞めた理由の最多は「労働条件(賃金以外)がよくなかった」(28.2%)です。仕事の中身と、賃金以外の労働条件の両方を、内定前に確かめておくことが失敗を防ぐ近道になります。

図7:内定前に確かめたい6つのこと

求人票だけでは分からないことは、面接の逆質問と条件面談で確かめます。

仕事の範囲担当する製品と工程はどこからどこまでか設計は自社か、外部委託の管理が中心か
開発・生産の体制配属先の人数と年齢構成、直属の上司使っているCADや解析ツール、試作・評価の設備
評価と給与の決まり方中途入社者の等級の決め方と昇給の実績固定残業代の有無、賞与の算定方法
働き方残業時間の実績、出張や工場への常駐の頻度在宅勤務の可否、休日出勤の扱い
変更の範囲将来の勤務地や業務がどこまで変わりうるか労働条件通知書で明示された内容を確認
辞めた前任者の理由欠員補充か増員か増員なら、事業のどこが伸びているのか

※2024年4月から、労働契約を結ぶ際には就業場所と業務の「変更の範囲」も明示することが義務づけられています。

とくに30代のエンジニアが確かめたいのは、配属先で自分がどの工程を担うかです。同じ「設計職」でも、自社で図面を描く会社と、外部の設計会社を管理するのが中心の会社では、数年後に身につくスキルがまったく違ってきます。

勤務地と業務については、2024年4月から労働条件の明示ルールが変わり、雇い入れ直後だけでなく将来の「変更の範囲」も書面で示されるようになりました。転勤や職種転換の可能性は、労働条件通知書で必ず確認します。

会社そのものの健全さは、離職率や有給休暇の取得率、公的な認定などの数字でも確かめられます。具体的な調べ方は製造業の優良企業の見分け方で整理しています。可能なら工場見学や、配属予定の部署の社員と話す機会を依頼するのも有効です。

Q8. 在職中の転職活動と退職は、どう進めればよいですか?

30代の技術者は、担当プロジェクトを抱えたまま転職活動をすることがほとんどです。収入が途切れず、比較しながら選べるため、在職中に活動し、内定と条件を確定させてから退職を伝えるのが基本です。

全体の流れは、準備から入社までおおむね次の6段階に分かれます。期間は人によって異なりますが、退職交渉と引き継ぎにまとまった時間がかかる点を見込んでおきます。

図8:在職中の転職活動の流れ

内定と条件を固めてから退職を伝え、引き継ぎを終えて入社します。

準備と応募
01棚卸し経験を4要素とポータブルスキルで整理し、軸を決める
02書類作成・応募プロジェクト単位の職務経歴書をつくり、応募先ごとに強調点を調整
03面接技術面接では経験の深さ、最終面接では方向性と定着性が見られる
内定から入社
04内定・条件確認労働条件通知書で年収の内訳、変更の範囲、入社日を確認
05退職交渉・引き継ぎ就業規則の期限に沿って申し出る。引き継ぎ資料を残す
06入社最初の数か月で、前職のやり方と違う点を早めにつかむ

※退職の申し出は、内定通知と労働条件を書面で受け取ってから行うのが安全です。

退職の申し出と引き継ぎ

民法では、期間の定めのない雇用は、退職を申し入れてから2週間で終了すると定められています。ただし実務では、就業規則で1〜2か月前の申し出を求める会社が多く、担当プロジェクトの区切りも考えて時期を決めるのが現実的です。

設計や開発の仕事は属人化しやすいため、図面の管理場所、設計の経緯、未解決の課題、取引先の窓口を引き継ぎ資料に残しておくと、円満に退職しやすくなります。強い引き留めにあった場合も、退職の意思と時期ははっきり伝えます。

技術情報を持ち出さない

エンジニアの転職で最も注意したいのが、図面や設計データ、試験データなどの技術情報の扱いです。退職時に個人のUSBメモリやクラウドにデータを移すと、在職中の会社の営業秘密を侵害したとして、不正競争防止法上の責任を問われるおそれがあります。

企業側の警戒も強まっています。

情報処理推進機構(IPA)の「企業における営業秘密管理に関する実態調査2024」を見てみます。過去5年以内に営業秘密の漏えい事例・事象を認識しているとの回答は、35.5%にのぼりました。

前回(2020年度調査)の5.2%から大きく増えています。

身につけた知識や経験は持ち出せても、会社の資料は持ち出せないと線を引いておくことが、自分と転職先の両方を守ります。

入社時に誓約書で競合への転職制限を定めている会社もあるため、同業他社へ移る場合は、在職中の会社と交わした書面の内容も確認しておきます。長い目で見た歩み方は、次の記事もあわせてご覧ください。

まとめ

この記事のまとめ
  • 30代は転職者の中心層で、転職後に賃金が上がった人の割合も4割台半ばと高い
  • 30代前半は専門性の芯と伸びしろ、後半は推進力や人を動かした経験が見られる
  • 評価されるのは応募先に近い経験。製品・工程・ツール・成果の4要素で整理する
  • 転職先は「業界」と「職種」のどちらを変えるかで考え、一方の軸で即戦力を示す
  • 内定前に仕事の範囲と労働条件を確かめ、退職時は技術情報を持ち出さない

30代の転職は、これまでの経験を言葉にし直す作業から始まります。職種ごとの仕事内容は製造業の職種一覧、新しい分野に移るための学び方は製造業のリスキリングとDX人材で整理しています。

経験を客観的に示す材料として、製造業で役立つ資格一覧もあわせてご覧ください。

出典

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プラント機器メーカーとプラントメーカーで約10年、設備の提案・設計・試運転に携わったのち、Webマーケターに転身。現在はBtoB製造業専門のWebコンサルタントとして、メーカーの情報発信を支援しています。エネルギー管理士/第三種電気主任技術者。工業技術ブログを2017年から運営(500本以上執筆)、YouTube登録者約2万人、Xフォロワー約1万人。

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