製造業の面接でよく聞かれる質問|メーカー技術職の答え方と職種別の例

メーカーの会議室で面接を受ける応募者の後ろ姿と面接官

厚生労働省の調査では、「専門的・技術的な仕事」で転職者を採用した事業所の64.1%が、理由に「経験を活かし即戦力になるから」を挙げています。メーカーの技術職でも、採用する側が重く見るのは、これまでの経験を自社の現場で生かせるかどうかです。

そのため面接では、志望動機と自己PRを用意するだけでは足りません。どの製品のどの工程で、自分が何を担当し、結果がどう変わったのか。面接官は具体的に聞き、答えに対してさらに質問を重ねてきます。

この記事では、製造業の面接で何を見られているのかを、まず公的な調査で確かめます。

そのうえで、自己紹介、退職理由と志望動機、技術的な質問、職種別の質問、勤務条件、逆質問、答えなくてよい質問の順に、答え方を整理します。回答例はすべて架空の人物を置いた想定例です。

目次

製造業の面接では何を見られ、何を聞かれるのか?

先に答えを書くと、技術職の中途採用で見られているのは「これまでの経験が、うちの現場でも再現できるか」です。人柄や熱意も見られますが、それは経験の話を聞く中で一緒に判断されます。

根拠になるのが、厚生労働省の「令和7年転職者実態調査」です。転職者を採用した事業所に、その理由を職種ごとに聞いています。

「専門的・技術的な仕事」では「経験を活かし即戦力になるから」が64.1%、「専門知識・能力があるから」が51.2%で上位に並びました。事業所規模1,000人以上に限ると、どちらも8割を超えます。

図1:「専門的・技術的な仕事」で転職者を採用した理由

経験と専門知識を理由に挙げる事業所が、半数を超えています。

経験を活かし即戦力になるから64.1%
専門知識・能力があるから51.2%
離職者の補充のため44.3%
職場への適応力があるから27.6%
新卒者の採用が困難なため11.6%
幅広い人脈を期待できるから3.1%

※3つまでの複数回答。その職種で転職者を採用した事業所を100とした割合。全産業の数字で、製造業だけの集計ではありません。「親会社・関連会社からの要請のため」(1.0%)と「その他」(4.8%)は省略しています。出典:厚生労働省「令和7年転職者実態調査の概況」

この数字は全産業のもので、製造業だけを取り出した集計ではありません。

ただ、この調査の職種分類では「機械・電気技術者」が「専門的・技術的な仕事」の例に挙げられており、設計や生産技術などメーカーの技術職の多くはこの区分に入ります。

メーカーの技術職の面接でも、同じ見方をされると考えてよいでしょう。

もう一つ見ておきたいのが、3番目の「離職者の補充のため」44.3%です。

欠員の補充を理由に挙げる事業所が4割を超えることからは、入社後に担当する製品や工程がすでに決まっている求人が少なくないと考えられます。

その場合、面接官は、その席に座ったときに仕事が回るかどうかを確かめようとします。

よく聞かれる質問は7つに分けられる

質問そのものは、業種を問わず似ています。山形労働局・ハローワークの面接対策資料には、ハローワーク米沢が管内の事業所に行ったアンケートが載っています。

面接で質問していることの上位3つは志望動機、職務経歴、退職理由で、一人あたりの面接時間は15〜30分という回答が半数を超えていました。

一つの地域のアンケートで、実施時期や回答した事業所の数は資料に書かれていないため、全国の傾向を示すものではありません。

それでも、限られた時間の中で、この3つはまず聞かれると考えて準備するのが現実的です。メーカーの技術職では、ここに技術の質問と勤務条件の確認が加わります。整理すると次の7つです。

  • 経歴の確認(自己紹介、職務経歴、転職回数)
  • 実績の確認(担当した仕事、工夫したこと、成果)
  • 退職理由と志望動機
  • 技術的な質問(専門知識、使ってきた設備やツール)
  • 問題への向き合い方(トラブル対応、失敗経験)
  • 勤務条件の確認(入社時期、転勤、交替勤務、希望年収)
  • 逆質問(最後に質問はありますか)

図2:面接の流れと、それぞれの場面で聞かれること

前半は経歴と実績、後半は条件と逆質問という順番になることが多くあります。

01自己紹介1〜2分で経歴の全体像を伝える。ここで出た言葉が次の質問の材料になる
02職務経歴の深掘り担当した製品・工程、自分の役割、成果。「あなた自身は何をしたか」を聞かれる
03退職理由・志望動機辞める理由と、この会社を選ぶ理由がつながっているかを見られる
04技術・問題解決専門知識、トラブルへの対応、失敗経験。配属先の責任者が質問することが多い
05勤務条件入社時期、転勤、交替勤務、残業、希望年収。事実を素直に答える
06逆質問担当する仕事への理解と関心が表れる。2〜3問は用意しておく

※編集部による整理です。順番や比重は企業によって変わります。一次面接は人事と配属先の責任者、最終面接は役員が担当するといった分け方も見られます。

同じ資料は、質問は履歴書などの応募書類をもとに行われることが多いとも指摘しています。提出した職務経歴書は手元に控えを残し、面接の前に読み返しておきましょう。書類に書いた数字と口頭の説明が食い違うと、それだけで信頼を落とします。

自己紹介と職務経歴はどう話せばよいか?

机の上に置かれた書類ファイルとノート、ノギス、加工部品

自己紹介は、製品、工程、役割、成果の4点を1〜2分でつなぐのが基本です。経歴を年表のように読み上げると、面接官は何が得意な人なのかをつかめません。

メーカーの面接官は、聞きながら自社の仕事に置き換えています。扱ってきた製品の大きさや材質、生産数量、担当した工程が分かると、配属先の仕事との距離を測りやすくなります。

「装置の設計をしていました」で止めず、どんな装置のどの部分かまで言うことが大切です。

自己紹介の想定例(機械設計・経験8年の架空の人物)

「産業機械メーカーで8年間、食品向け包装機の機械設計を担当してきました。前半の4年は搬送ユニットの部品設計と図面作成、後半は3〜4名のチームで構想設計から試運転の立ち会いまでを受け持っています。」

「直近では、フィルム送り機構の部品点数を見直し、組立工数を約2割減らしました。設計だけで終わらず、組立や据付の現場に入って直してきた経験を、御社の搬送装置の設計で活かしたいと考え、応募しました。」

この例には、製品(包装機)、工程(構想設計から試運転)、役割(チームでの担当範囲)、成果(組立工数の約2割減)が入っています。最後の一文で応募先の仕事に触れているので、面接官は次の質問をそこから始められます。

深掘りには「自分が何をしたか」で答える

自己紹介のあとは、実績について掘り下げる質問が続きます。ここで起きやすいのが、チームの成果と自分の貢献を混ぜてしまう失敗です。「不良率を半分にしました」と答えると、「その中であなたは何を担当しましたか」と聞き返されます。

経験を話すときは、次の5段で組み立てておくと、どこを聞かれても答えがぶれません。面接の場では1と2の前置きを短くし、3の行動に時間を使います。

図3:経験を話すときの組み立て

前置きは短く、自分の行動と結果に時間を使います。

1. 状況どの製品・工程・設備の話か。生産数量や体制などの規模感
2. 課題何が問題だったか。不良、停止時間、工数、納期など
3. 自分の行動何を調べ、どう判断し、誰を巻き込んだか。チームではなく自分の担当範囲
4. 結果数字でどう変わったか。変わらなかった点や残った課題も
5. 応募先で活かせること別の製品・設備でも通用する考え方や手順

※編集部による整理です。成果を表す数字は、職務経歴書に書いたものとそろえておきます。

話す材料は職務経歴書を書く段階でそろえておくのが近道です。製品・工程・ツール・成果で経歴を整理する方法は、30代メーカーエンジニアの転職の記事で扱っています。面接では、その中から応募先に近いものを2〜3件選んで深く話せるようにしておきます。

退職理由と志望動機はどうつなげるのか?

退職理由は、不満を隠すのではなく、次の職場で実現したいことに言い換えて話します。志望動機は、その「実現したいこと」が応募先でかなう理由として話すと、2つの答えが一本につながります。

不満があって辞めること自体は、特別なことではありません。令和7年転職者実態調査では、転職者が前の勤め先を辞めた理由は「自己都合」が81.3%でした。

その中身(3つまでの複数回答)は、「賃金が低かったから」25.5%、「会社の将来に不安を感じたから」25.2%が上位です。次いで「満足のいく仕事内容でなかったから」24.7%となっています。

面接官もこうした事情は分かっています。知りたいのは、同じ理由でまた辞めないか、不満を周囲のせいにする人ではないか、という点です。

ハローワークの面接対策資料も、ネガティブな要因はそのまま言わずに言い換えること、ただし嘘はつかないことを勧めています。

過去の勤め先への批判や不満を語ることは、事業所がマイナスに見る点として挙がっています。

図4:退職理由と志望動機の伝え方(想定例)

事実は変えずに、次に何をしたいのかまで話します。

伝わりにくい答え
伝わる答え
仕事内容への不満
図面の修正ばかりで、やりがいがありませんでした
流用設計が中心で、構想段階から関わる機会が限られていました。仕様の検討から担当できる環境で、設計の幅を広げたいと考えています
会社の将来への不安
主力製品の受注が減っていて、先が見えませんでした
主力製品の生産縮小で、新規ラインの立ち上げがなくなりました。立ち上げの経験を続けて積める職場を探しています
労働条件への不満
夜間の呼び出しが多く、体力的に限界でした
突発対応が続き、予防保全に時間を割けない状態でした。計画保全に取り組む体制のある工場で、故障を減らす仕事をしたいと考えています
志望動機
御社は業界大手で、安定していると感じました
御社は新しい生産ラインの増設を公表されています。前職で経験した設備の立ち上げを、その工程づくりで活かせると考えました

※いずれも架空の人物を想定した例です。志望動機に入れる応募先の情報は、その会社が公表している事実を自分で調べて使います。

志望動機は製品と工程に結びつける

メーカーの志望動機は、企業理念への共感よりも、その会社の製品・工程・設備と自分の経験との接点を話すほうが伝わります。「その製品のどこに、自分のどの経験が使えるのか」まで言えると、面接官は入社後の姿を想像できます。

そのためには下調べが欠かせません。求人票の仕事内容、製品カタログ、工場の所在地と生産品目、決算資料に出ている設備投資の計画などを読み、分からない点は逆質問に回します。

ハローワーク米沢のアンケートでも、自社が何を扱っているかも知らない応募者は、意欲が伝わらない例として挙がっています。

調べる過程は、応募先が自分に合うかを確かめる作業でもあります。離職率や有給取得率、現場の様子から会社を確かめる方法は、製造業の優良企業の見分け方にまとめています。調べて気になった点は、面接で確認する質問として控えておきましょう。

技術的な質問や失敗経験はどう答えるのか?

検査台に並んだ樹脂成形部品と測定器

技術的な質問では、正解を言えるかよりも、考える順番を説明できるかが見られます。配属先の責任者が同席する面接では、ここに多くの時間が使われます。

よく出るのは「これまでで一番苦労したトラブルは何ですか」「原因はどうやって特定しましたか」「その失敗のあと、仕事のやり方をどう変えましたか」といった質問です。

失敗経験を聞くのは、失敗の大きさを知りたいからではありません。事実をどう切り分け、再発しないようにどこまで手を打ったかを知りたいからです。

失敗経験の想定例(品質保証・経験6年の架空の人物)

「樹脂成形部品の寸法不良を、出荷後に顧客から指摘されたことがあります。当時は検査の抜取数を増やすことで対応しましたが、3か月後に同じ不良が再発しました。」

「再発後は成形条件の記録と不良の発生日を突き合わせ、金型温度のばらつきが原因だと特定しました。温度の管理幅を決めて日常点検の項目に加え、以後1年間、同じ不良は出ていません。この経験から、検査を厚くする前に工程の条件を疑うようにしています。」

この例では、最初の対策が不十分だったことを隠していません。そのうえで、何を調べ直し、どの管理項目を変えたかを具体的に話しています。うまくいった話だけを並べるより、判断を改めた経緯を話せる人のほうが、現場では信頼されます。

数字は出す、秘密は出さない

成果は数字で話すのが原則です。不良率、サイクルタイム(1個つくるのにかかる時間)、設備の停止時間、コスト、工数など、現場で使っていた指標をそのまま使います。

一方で、前職の秘密にあたる情報は話さないことも同じくらい大切です。顧客名、図面の寸法、未発表の製品、原価の実額などは、「自動車部品メーカー向けの」「約2割削減」といった規模感や比率に置き換えます。

前職の情報を軽く話す人は、入社後に自社の情報も同じように扱うと受け取られかねません。

どこまで話せるか迷うときは、「守秘の都合で具体的な数値は控えますが」と断ってから説明すれば十分です。断りを入れること自体が、情報の扱いに気を配れる人だという印象につながります。

分からない質問には、分かる範囲と調べ方を答える

知らない技術や使ったことのない設備について聞かれることもあります。知ったかぶりは、次の質問ですぐに分かってしまいます。「その方式は扱ったことがありません。近いものでは別の方式を使っていました」と、分かる範囲を区切って答えましょう。

そのうえで、入社後にどう身につけるかを添えます。過去に新しい設備やツールを覚えたときの手順を一つ話せれば、未経験の部分があっても任せられると判断してもらいやすくなります。

職種別にはどんな質問をされるのか?

組立工場の通路と、遠くで設備を確認する作業者

職種が違えば、深掘りされる場面も変わります。共通しているのは、その職種の「判断の場面」を聞かれることです。

設計なら寸法や材料を決めた理由、生産技術なら工法や設備を選んだ理由、品質保証なら出荷を止めるか流すかの判断、保全なら直す順番の判断です。

図5:職種別のよくある質問と見られている点

どの職種も、判断の理由を説明できるかが問われます。

機械設計
設計・開発「公差はどう決めましたか」「設計ミスにどう気づきましたか」。根拠を持って寸法や材料を決めているか
電気・制御設計
設計・開発「担当した制御の範囲は」「現場での調整で直したことは」。図面と実機の両方を見ているか
生産技術
生産「立ち上げで一番時間がかかった点は」「その設備投資の効果は」。工程を数字で語れるか
生産管理
生産「納期遅れにどう対応しましたか」「在庫をどう減らしましたか」。部門間の調整を進められるか
品質保証・品質管理
品質・保全「原因をどう特定しましたか」「顧客にどう説明しましたか」。事実と推定を分けて話せるか
設備保全
品質・保全「突発故障にどう対応しましたか」「再発をどう防ぎましたか」。応急処置と恒久対策を分けているか

※質問は編集部が想定した例です。実際の内容は企業や担当する製品によって変わります。

ここからは4つの職種について、質問の例と準備しておきたい材料を見ていきます。質問はいずれも編集部による想定例です。

機械設計

  • 担当した製品と、その中で自分が設計した範囲を教えてください
  • その寸法公差や材料は、どういう根拠で決めましたか
  • 設計ミスや手戻りが起きたとき、どう対処しましたか
  • 使用してきたCADと、解析をどこまで自分で行ったかを教えてください

機械設計では、図面に書いた数字の理由を説明できるかが問われます。「前の機種がそうだったから」だけでは弱く、加工方法、組立性、コストのどれを優先して決めたのかを話せるようにしておきます。

製造や組立の現場から指摘を受けて設計を直した経験は、具体的に話せる良い材料です。求められる知識の全体像は機械設計に必要なスキルの記事で確認できます。

生産技術

  • 立ち上げを担当したラインや設備の規模を教えてください
  • その工法・設備を選んだ理由と、比較した案は何でしたか
  • 量産開始後に出た問題と、その対策を教えてください
  • 設備投資の効果を、どのように見積もって説明しましたか

生産技術は、工程を数字で語れるかが中心です。サイクルタイム、稼働率、不良率、投資額と回収の見込みなど、立ち上げの前後で何がどう変わったかを整理しておきます。

設備メーカーや製造部門との調整で意見が割れた点と、その落としどころも聞かれやすい話題です。

生産技術に求められるスキルと照らし合わせて、自分の経験の厚い部分と薄い部分を把握しておくと、答えに濃淡をつけられます。

品質保証・品質管理

  • これまでに担当した不具合対応で、最も難しかったものは何ですか
  • 原因をどうやって特定し、再発防止をどこまで行いましたか
  • 製造部門や顧客と意見が対立したとき、どう進めましたか
  • 品質マネジメントシステムの監査に、どの立場で関わりましたか

品質保証では、事実と推定を分けて説明する姿勢そのものが評価の対象になります。不具合の話をするときは、分かっていたこと、仮説、確かめた方法、結論の順で話します。

納期と品質がぶつかった場面でどう判断したかは、聞かれる前提で答えを用意しておきましょう。仕事の範囲と必要な知識は品質保証・品質管理のスキルとキャリアの記事に整理しています。

設備保全

  • 担当してきた設備の種類と台数、保全の体制を教えてください
  • 突発故障のとき、どんな順番で原因を絞り込みますか
  • 故障を減らすために、自分から提案して変えたことはありますか
  • 電気と機械のどちらが得意で、もう一方はどこまで対応できますか

設備保全では、応急処置と恒久対策を分けて話せるかが見られます。止まった設備をどう復旧したかだけでなく、そのあと点検周期や部品の交換基準をどう見直したかまで話します。

保有資格と、実際にできる作業の範囲(電気工事、溶接、PLCのプログラム修正など)を聞かれることも多いので、できることとできないことを正直に区切って答えましょう。資格や知識の整理には設備保全に必要なスキルと資格の記事が役立ちます。

残業・転勤・交替勤務・希望年収はどう答えるのか?

勤務条件の質問には、できること・できないことを事実のまま答えます。採用されたい気持ちから「何でも大丈夫です」と答えると、入社後に自分が困ります。

製造業で聞かれやすいのは、交替勤務や夜勤への対応、休日出勤や長期連休中の工事対応、出張や海外赴任、工場間の転勤、入社できる時期などです。

ハローワークの面接対策資料は、勤務条件の質問には素直に答え、経験や家族の理解といった根拠も添えるよう勧めています。

制約がある場合は、理由を細かく説明する必要はありません。「転勤は3年後以降であれば対応できます」「夜勤は前職でも月に数回対応していました」のように、対応できる範囲を具体的に伝えます。

条件が合わないまま入社するより、面接の段階で分かるほうが双方にとって損がありません。

希望年収は現在の額と根拠をセットで

希望年収を聞かれたら、現在の年収(残業代や手当の内訳を含む)を伝えたうえで、希望額とその理由を話します。求人票に年収の幅が書かれていれば、その範囲のどのあたりを希望するかという言い方が無難です。

企業側が何をもとに賃金を決めているかも知っておくと、話を組み立てやすくなります。令和7年転職者実態調査は、転職者の賃金を決める際に考慮した要素(複数回答)も聞いています。

最も多いのは「これまでの経験・能力・知識」の59.2%で、「年齢」35.3%、「賃金の世間相場」34.2%が続きます。産業別では、「年齢」を考慮する割合は製造業が52.4%で最も高くなっています。

製造業でも最も多いのは「これまでの経験・能力・知識」(60.2%)ですが、全体と比べると、年齢も考慮に入れる事業所が多いことがうかがえます。

年齢がどの程度の比重で反映されるのかまでは、この調査からは分かりません。希望額だけを主張するよりも、自分の経験がどの等級や役割にあたるのかを質問し、制度の中での位置づけを確かめるほうが話は進みます。

逆質問では何を聞けばよいのか?

ヘルメットを着けて工場内を見学する応募者の後ろ姿

逆質問は、入社後に担当する仕事を具体的にするための質問を2〜3問用意しておきます。ハローワークの資料も、「特にありません」とはしないこと、調べれば分かる質問は避けることを挙げています。

メーカーの技術職であれば、聞くべきことは自然に出てきます。担当する製品と工程、使う設備やツール、チームの人数と年齢構成、入社後半年の仕事の進め方などです。これらは求人票には書ききれない内容で、配属先の面接官がよく知っている内容でもあります。

図6:逆質問の4つの切り口と質問例

求人票やウェブサイトでは分からないことを聞きます。

担当する製品・工程「配属先で最初に担当する製品や工程は決まっていますか」「今後立ち上げを予定しているラインはありますか」
設備・ツール「使用しているCADや解析ツールを教えてください」「設備の更新はどのくらいの周期で行っていますか」
チームと育成「配属先の人数と、中途入社の方の割合を教えてください」「入社後の半年間はどのように仕事を覚えていきますか」
評価と働き方「技術職の評価は、どのような項目で行われますか」「繁忙期はいつ頃で、残業や休日対応はどの程度ありますか」

※質問は編集部による例です。面接の中ですでに説明された内容は、重ねて聞かないようにします。

残業や休日の質問は、聞き方に気をつければ失礼にはなりません。「繁忙期はいつ頃で、どの程度の残業になりますか」と、仕事の波として尋ねるのがこつです。

給与や休日の質問だけで終わると関心が条件にしかないように映るので、仕事の内容に関する質問を先に置きます。

可能であれば、工場や職場の見学を依頼するのも一つの方法です。整理整頓の状態、設備の新しさ、働いている人の様子は、質問への答えとは別の判断材料になります。

選考の途中や内定後に見学の機会を設ける会社もあるので、「可能であれば現場を拝見したい」と伝えてみましょう。

答えなくてよい質問をされたらどうするのか?

家族の職業や本籍、支持政党など、仕事の適性・能力と関係のない事項は、面接で尋ねないよう企業側に求められています。聞かれたとしても、無理に答える必要はありません。

厚生労働省は「公正な採用選考の基本」の中で、採用選考は応募者の基本的人権を尊重し、適性・能力に基づいた基準で行うことを基本的な考え方としています。そのうえで示されているのが、就職差別につながるおそれがある次の14事項です。

図7:就職差別につながるおそれがある14事項

aとbは応募用紙や面接で把握しないよう、cは実施しないよう、企業に配慮が求められています。

a本人に責任のない事項の把握・本籍・出生地
・家族(職業、続柄、健康、病歴、地位、学歴、収入、資産など)
・住宅状況(間取り、部屋数、住宅の種類、近隣の施設など)
・生活環境・家庭環境など
b本来自由であるべき事項の把握・宗教
・支持政党
・人生観、生活信条など
・尊敬する人物
・思想
・労働組合、学生運動などの社会運動
・購読新聞・雑誌・愛読書など
c採用選考の方法・身元調査などの実施
・本人の適性・能力に関係ない事項を含んだ応募書類の使用
・合理的・客観的に必要性が認められない採用選考時の健康診断の実施

※出典:厚生労働省「公正な採用選考の基本」、公正採用選考特設サイト。bは思想・信条にかかわる事項です。これらに限られるわけではありません。

同じページは、個人情報保護の観点にも触れています。職業安定法第5条の5と関係する告示により、社会的差別の原因となるおそれのある個人情報などの収集は、原則として認められないという説明です。

とはいえ、現場ではこうした質問が出ることがあります。

厚生労働省の公正採用選考特設サイトには、ハローワークが把握した事例の件数が載っています。応募者から「本人の適性・能力以外の事項を把握された」と指摘があった事例は、令和6年度に854件でした。このうち家族に関する質問が多くを占めています。

聞かれたときの3つの対応

  • 仕事に関係する範囲に絞って答える(例:「転勤には対応できます」)
  • 「業務とどのような関係がありますか」と、質問の意図を穏やかに尋ねる
  • 答えたくない場合は「その点は控えさせてください」と伝える

転勤や交替勤務に対応できるかを確かめたい意図で、家族構成を尋ねてしまう面接官もいます。その場合は、家族の詳細ではなく勤務条件に対応できるかどうかを答えれば足ります。

戸籍謄本の提出を求められるなど、不適切だと感じる質問や指示があった場合は、最寄りのハローワークや都道府県労働局に相談できます。こうした質問が続く会社かどうかは、入社するかを判断する材料の一つにもなります。

まとめ

この記事のまとめ
  • 技術職の中途採用では、経験が応募先の現場で再現できるかを見られる
  • 自己紹介は製品・工程・役割・成果を1〜2分でつなぐ
  • 退職理由は事実を変えずに言い換え、志望動機と一本の線にする
  • 技術の質問は判断の理由と考える順番を話し、前職の秘密は出さない
  • 勤務条件は事実のまま答え、逆質問で担当する仕事を具体的にする

面接の準備は、想定問答を覚えることではなく、自分の経験を製品・工程・判断の単位で整理し直す作業です。整理ができていれば、質問の形が変わっても同じ材料で答えられます。

この先のキャリアをどう描くかを聞かれたときの考え方は製造業のキャリアパス、応募する職種そのものを検討している段階であれば製造業の職種一覧が参考になります。異業種から応募する方は、未経験からの製造業への転職の記事もあわせてご覧ください。

出典

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プラント機器メーカーとプラントメーカーで約10年、設備の提案・設計・試運転に携わったのち、Webマーケターに転身。現在はBtoB製造業専門のWebコンサルタントとして、メーカーの情報発信を支援しています。エネルギー管理士/第三種電気主任技術者。工業技術ブログを2017年から運営(500本以上執筆)、YouTube登録者約2万人、Xフォロワー約1万人。

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