職務経歴書を書こうとして、担当してきた業務は並べられるのに「実績」の欄で手が止まる。メーカーの技術職には、こうした方が少なくありません。
売上のようなわかりやすい数字がなく、成果はチームで出したもので、社外秘の数値は書けない。手が止まる理由は、たいていこの3つです。
ただ、職務経歴書に求められる実績は特別な成果ではなく、何を対象に、どの立場で、何をして、どうなったかを、社外の人が読んでわかる言葉で書いたものです。
この記事では、厚生労働省とハローワークの公的資料で職務経歴書の基本を確認します。続いて、作成の6ステップと、実績を数字と役割で書く方法を説明します。
さらに、機械設計・生産技術・品質保証・設備保全・生産管理の書き出し例、守秘義務に配慮した書き方の順に整理します。
職務経歴書の基本|様式は自由、中心は職務経歴
厚生労働省とハローワークが発行している『職務経歴書の作り方』は、職務経歴書を次のように説明しています。A4縦サイズ1〜2枚程度に、これまで経験してきた職務の内容を自由様式で詳しく記載する書類です。履歴書のような決まった様式はありません。
記載項目も自由ですが、標題・氏名・日付・職務経歴の4つは必須とされています。そこへ取得資格、活かせる能力、自己PR、志望動機などから自分に合う項目を選んで足すのが一般的です。
見出しを立てる項目の数は、職務経歴を含めて3〜6程度が一般的とされています。
履歴書は経歴の全体を、職務経歴書は仕事の中身と実務能力を伝える書類です。
※厚生労働省・ハローワーク『応募書類の作り方』『職務経歴書の作り方』をもとに作成。
では、技術職の採用で企業は何を見ているのでしょうか。
厚生労働省は2026年9月に、令和7年転職者実態調査(2025年10月1日現在)を公表しました。その事業所調査では、「専門的・技術的な仕事」で転職者を採用した事業所に採用理由を尋ねています(3つまでの複数回答)。
最も多かったのは「経験を活かし即戦力になるから」の64.1%で、「専門知識・能力があるから」の51.2%が続きました。
この区分には、機械・電気技術者のほか、システムエンジニア、看護師、教員なども含まれ、産業も製造業に限りません。製造業の技術職だけの数字ではない点には注意が要ります。
それでも、書類で伝えるべきものが「何を経験し、何ができるか」であることは読み取れます。
同じ調査で、転職者の賃金を決める際に考慮した要素(複数回答)を見ると、「これまでの経験・能力・知識」を挙げた事業所が59.2%と最も多くなりました。製造業に限っても60.2%で最多でした。
求人倍率や年収の水準といった市場全体の動きは、製造業の転職・採用市場の動向で整理しています。ここから先は、書類の書き方に絞って進めます。
技術職は別紙で補ってもよい
1〜2枚では担当した案件を書ききれない、という技術職は多いはずです。『職務経歴書の作り方』には、「開発担当プロジェクト一覧」や「工事経歴一覧」などを別紙として付ける場合は、その分の枚数が若干増えても差し支えないとあります。
本体には直近の職務と代表的な実績を絞って書き、案件の一覧は別紙に回す、という分け方ができます。本体で全体像を、別紙で個別の案件を見せる形にすると、読み手は関心のある案件だけを別紙で確かめられます。
技術職の職務経歴書をつくる6ステップ
いきなり清書を始めると、その場で思い出せた案件だけで紙面が埋まり、応募先が知りたい経験が抜け落ちがちです。先に材料をすべて出し、そこから選ぶ順番にすると、書き直しが減ります。
前半で材料をつくり、後半で応募先ごとに仕上げます。
※厚生労働省・ハローワーク『職務経歴書の作り方』の作成手順をもとに、メーカーの技術職向けに並べ直したものです。
前半の3つは、一度やっておけばどの応募先にも使える作業です。後半の3つは応募先ごとに繰り返します。ハローワークの資料も、職務経歴書の内容は応募先によって変わるもので、同じ内容を複数の企業に使い回すのは適当でないとしています。
時間がかかるのは前半です。ただ、実績の書き方で悩む場合、原因は文章力よりも材料の不足にあることが多く、棚卸しに時間をかけるほど後の作業は楽になります。
ステップ1・2 経歴を棚卸ししてマスターシートにまとめる

最初の作業は、職務経歴を漏れなく書き出すことです。この段階では文章を整える必要はなく、箇条書きやメモ書きで構いません。
棚卸しで書き出す項目
『職務経歴書の作り方』は、振り返る観点として8つを挙げています。時期、入社・配属・異動・昇格・退社の別、勤務先、会社概要、所属と人数、役職と部下の人数、職務内容、実績です。
技術職の場合は、使用したツールや設備、取得した資格も一緒に書き出しておくと後で使いやすくなります。
経歴の骨格、自分のこと、仕事の中身の3つに分けて書き出します。
※『職務経歴書の作り方』が挙げる振り返りの観点を、技術職向けにまとめ直しています。
案件・テーマ単位で書き出す
技術職の仕事は、年度よりも案件で区切ったほうが思い出しやすくなります。製品の開発テーマ、設備の導入、ラインの立ち上げ、不良の低減活動といった単位で、1件ずつ書き出していきます。
うまくいった案件だけを選ぶ必要はありません。途中で中止になった開発や、目標に届かなかった改善でも、原因をどう切り分け、次に何を変えたかは実務能力を示す材料になります。
思い出す手がかりには、自分の手帳や評価面談の記録、勤務先が公表しているニュースリリースや製品カタログが使えます。社内の資料やデータを、私物の端末に写して持ち帰ることは避けてください。理由は守秘義務の章で説明します。
マスターシートにまとめておく
書き出した内容は、1つのファイルにまとめておきます。ハローワークの資料はこれを「マスターシート」と呼んでいます。職務経歴や能力をすべて網羅したものを作っておけば、応募先ごとに必要な部分を取捨選択できる、という考え方です。
マスターシートは提出しないので、分量を気にする必要はありません。提出用の書類は、この元帳から抜き出してつくるものと考えると、1〜2枚に収める作業も迷いにくくなります。
厚生労働省のジョブ・カードも、棚卸しに使える道具です。3つの様式のうち「職務経歴シート」が職歴の整理にあたります。
ウェブサイトの「マイジョブ・カード」では、アカウントを登録すると、作成した内容を一部転記して履歴書や職務経歴書を作成・編集できます。
ステップ3 実績は「数字」と「役割」で書く
材料がそろったら、案件ごとに実績の文章をつくります。ハローワークの資料は、職務内容として仕事の具体的な内容・処理方法・責任の範囲を、実績としてどんな経過でどんな成果をあげたかを書くよう勧めています。
これをメーカーの技術職に当てはめると、次の4つの要素に分けられます。
4つがそろうと、読み手は仕事の規模と貢献の大きさを判断できます。
※ハローワーク資料の「職務内容」「実績」の説明をもとにした、編集部の整理です。
数字は「結果」だけでなく「規模」にも使う
数字というと改善率のような結果を思い浮かべますが、技術職の書類では規模を示す数字のほうが出しやすく、役に立ちます。担当した部品の点数、設備の台数、ラインの人数、開発期間、取引先の数などです。
規模の数字があると、読み手は自社の仕事と比べられます。「充填ユニットの設計を担当」よりも「部品点数約250点の充填ユニットの機構設計を担当」のほうが、任されていた範囲が伝わります。
結果の数字は、前後の比較で書きます。「不良率を低減」ではなく「不良率を約4割低減」のように、どれだけ変わったかを示す書き方です。実数を出せない場合の表し方は、守秘義務の章で取り上げます。
役割は動詞で書き分ける
「従事」「携わる」だけでは、主担当だったのか、一部を手伝ったのかが読み取れません。自分の立場は動詞で書き分けます。
- 主担当として進めた:企画した、設計した、立ち上げた、取りまとめた
- 一部を受け持った:評価を担当した、特定の工程の条件出しを担当した
- 人を動かした:指導した、部門間を調整した、協力会社を取りまとめた
- 支えた:補佐した、データを整理して報告した
チームで出した成果は、チームの成果として書いたうえで、その中で自分が受け持った部分を添えます。成果をすべて自分のものとして書くと、経過を詳しく聞かれたときに説明が続きません。
数字が出せない仕事の書き方
設計の上流工程や日常の保全のように、成果が数字になりにくい仕事もあります。その場合は、件数・頻度・範囲で表します。年間に出図した図面の枚数、対応した設備の台数、作成した標準書の数などです。
もう一つは、仕組みとして残ったものを書く方法です。点検基準書を整備した、設計チェックリストが部内の標準になった、といった記述は、数字がなくても成果として読めます。
自分の職種で、まず探してみる数字です。
※指標の呼び方は会社によって異なります。業界で一般的な呼び方に直して書きます。
数字と同じくらい大切なのが、言葉の選び方です。社内の製品コードや部署の略称は、読み手には通じません。『職務経歴書の作り方』も、読み手が理解しにくい専門的な用語には( )書きで説明を付けるよう勧めています。

職種別の書き出し例(想定例)

ここからは、5つの職種について職務内容と実績の書き出し例を示します。いずれも架空の人物・架空の数値でつくった想定例で、実在の企業や製品とは関係ありません。自分の経歴に置き換えるときの型として見てください。
機械設計
機械設計で読み手が知りたいのは、対象の製品、受け持った範囲、使ったツールの3点です。範囲とは、構想設計・詳細設計・試作評価・量産図の出図のうち、どこからどこまでを担当したかを指します。
求められる力の全体像は、機械設計に必要なスキルとキャリアパスで整理しています。
想定例(包装機械メーカー、入社8年目)
- 職務内容:液体充填機の充填ユニット(部品点数約250点)の機構設計。構想設計から詳細設計、試作評価、量産図の出図までを主担当として担当。3D CADでのモデリングと、強度の簡易解析を実施
- 実績:駆動部の構成を見直し、部品点数を約15%削減。組立工数が減り、製造原価を従来機比で約1割低減
- 役割:若手2名の図面チェックと、設計レビューの取りまとめを担当
「構想から出図まで」のように、範囲を言葉で区切るのがポイントです。CADや解析ツールは、名称だけでなく何に使ったかまで書くと、習熟の度合いが伝わります。
生産技術
生産技術では、どの工法・工程を扱ったか、新規の立ち上げか既存ラインの改善か、設備の仕様決定から関わったかが見られます。職種の全体像は、生産技術に必要なスキルとキャリアパスも参考になります。
想定例(自動車部品メーカー、入社10年目)
- 職務内容:アルミダイカスト部品の機械加工ライン(マシニングセンタ6台、自動搬送付き)の工程設計と設備導入。設備仕様の決定、設備メーカーでの立会検査、据付、量産立ち上げまでを主担当として推進
- 実績:治具の段取り方法を見直し、サイクルタイムを約12%短縮。量産開始から3か月で、計画した稼働率に到達
- 役割:製造・品質保証・保全の各部門と設備メーカーとの調整窓口。オペレーター向けの作業標準書を作成
設備投資の金額は公表されていないことが多いため、想定例では台数と構成で規模を示しています。立ち上げの最初から最後まで関わったかは評価の分かれ目になりやすいので、受け持った工程を順に書きます。
品質保証
品質保証は守備範囲が広い職種です。工程内の品質管理、出荷検査、顧客対応、仕入先の管理、品質マネジメントシステムの運用のうち、どこを受け持ったかを先に示します。必要な知識は、品質保証・品質管理に必要なスキルとキャリアパスにまとめています。
想定例(電子機器メーカー、入社7年目)
- 職務内容:車載向け制御基板の実装工程における工程内品質管理と、顧客クレームへの対応。不良の原因解析、是正処置の立案、再発防止の標準化を担当。QC七つ道具とFMEA(故障モード影響解析)を使用
- 実績:はんだ付けの外観不良について要因を層別し、条件管理を見直して工程内不良率を約4割低減。クレームへの一次回答までの日数を、平均で約半分に短縮
- 役割:仕入先5社の工程監査を年1回実施し、指摘事項の是正完了までを確認。内部監査員として社内監査に参加
顧客の社名は書かず、「車載向け」のように納入先の分野で示しています。不良率も実数ではなく、変化の割合で表しました。
設備保全
設備保全では、対象設備の種類と台数、機械系か電気・制御系か、計画保全や改善にどこまで関わったかが見られます。故障対応だけでなく、故障を減らすために何をしたかを書くと評価されやすくなります。
職種の詳細は、設備保全に必要なスキルとキャリアパスをご覧ください。
想定例(食品メーカーの工場、入社12年目)
- 職務内容:充填・包装ライン3本(設備約40台)の保全を担当。日常点検、定期整備の計画と実施、突発故障の復旧、予備品の管理。PLC(シーケンサ)のラダープログラムの修正にも対応
- 実績:故障履歴を整理して部品の定期交換の周期を見直し、突発故障による停止時間を年間で約3割削減。点検基準書を設備ごとに整備
- 役割:保全チーム5名のリーダー。第二種電気工事士、2級機械保全技能士(機械系保全作業)を取得
機械と電気・制御の両方に対応できることは、保全では強みになります。資格は正式名称で書きます。ハローワークの資料は、勉強中の資格もその旨を明記すれば記載できるとしています。
生産管理
生産管理では、計画の対象となる品目数やライン数、受け持った範囲、調整した相手が見られます。範囲とは、生産計画、資材の手配、進捗管理、在庫管理のどれを担当したかです。仕事の全体像は、生産管理に必要なスキルとキャリアパスで確認できます。
想定例(産業機械メーカー、入社9年目)
- 職務内容:受注生産品(月産約60台、構成部品約2,000品目)の生産計画の立案と進捗管理。営業・設計・購買・製造との日程調整、長納期部品の先行手配を担当。生産管理システムと表計算ソフトで負荷を管理
- 実績:長納期部品の手配時期を設計の出図日程と結び付けて前倒しし、納期遵守率を約10ポイント改善。仕掛在庫を約2割削減
- 役割:週次の生産会議を主催し、遅延案件の対策を取りまとめ
生産管理は調整の仕事が中心のため、成果が見えにくいと感じる方もいます。誰と誰の間を調整したかを具体的に書くと、仕事の難しさが伝わります。

守秘義務に配慮した書き方

技術職の職務経歴書で避けて通れないのが、守秘義務との兼ね合いです。具体的に書くほど伝わりますが、書きすぎれば勤務先の秘密を社外に出すことになります。
多くの会社は、就業規則や入社時・退職時の誓約書で秘密保持を定めています。厚生労働省のモデル就業規則も、労働者が守る事項の例として、在職中だけでなく退職後も、業務上知り得た会社や取引先の機密を漏らさないことを挙げます。
法律の面では、不正競争防止法が「営業秘密」を保護しています。秘密として管理されていること、事業活動に有用な技術上・営業上の情報であること、公然と知られていないことの3つを満たす情報です。
経済産業省の従業員向け資料は、技術情報の例として製造方法、設計図面、金型を挙げています。
何が営業秘密にあたるか、どこまで書くと秘密保持の定めに反するかは、情報の管理状況や契約の内容によって変わります。この記事で法的な線引きを示すことはできません。以下は一般的な注意として読んでください。
そのまま書かない情報
次のような情報は、そのまま書かないのが無難です。
- 公表されていない数値(原価、歩留まり、不良率の実数、生産能力、投資額)
- 顧客や仕入先の名称と、その取引の内容
- 図面、加工条件、配合、検査規格などの中身
- 未発表の製品や開発計画、社内の型式・コード
- うまくいかなかった試験の条件やデータ
最後の項目は見落とされがちです。経済産業省の営業秘密管理指針は、過去に失敗した研究データのような情報にも有用性は認められるとしています。職務経歴書は応募先の企業に渡るものなので、書いた時点で社外に出ると考えて内容を選びます。
比率・概数・分野名で表す
数値と固有名詞を、変化の大きさと分野の名前に置き換えます。
※一般的な工夫の例です。この書き方なら問題にならない、という保証ではありません。
言い換えても、実績の伝わり方は大きくは落ちません。読み手が知りたいのは数値そのものよりも、どの程度の規模の仕事で、どれだけの変化を起こしたかだからです。
勤務先がニュースリリースや製品カタログで公表している内容は、書く範囲を決める目安になります。ただし、公開情報に社内でしか知り得ない情報を足して書けば、その部分は公開情報ではなくなります。
営業秘密管理指針も、この点に触れています。公開されている情報の断片を集めれば近い内容を再構成できるからといって、「公然と知られていない」という要件が直ちに否定されるわけではない、という考え方です。
迷ったら就業規則と誓約書を確認する
経済産業省の『知っておきたい営業秘密』には、転職を予定している人に向けた注意があります。推奨されるのは、退職時の誓約書などの内容と条件を確認し、何をしてはいけないのかを理解しておくことです。
内容に疑問がある場合や、何が営業秘密か判断に迷う場合は、勤務先に確認して認識を合わせる、ともしています。
在職中の転職活動では、勤務先に尋ねにくい場面もあるでしょう。その場合でも、就業規則と自分が署名した誓約書は読み返せます。同じ資料は、外部の相談先としてINPIT(工業所有権情報・研修館)の営業秘密支援窓口を紹介しています。
もう一つ、資料の持ち出しにも注意が要ります。同資料は、勤務先の営業秘密を私用のパソコンにコピーしたり、私用のメールアドレスに送ったりして持ち出さないよう求めています。
職務経歴書に添える目的であっても、図面や報告書の実物を使うことは避けてください。
生成AIで下書きをつくるときの注意
生成AIに下書きや言い回しの整理を手伝わせる場合は、2つの点に注意します。1つめは、社外秘の情報を入力しないことです。入力した内容の扱いはサービスや設定によって異なり、勤務先が外部サービスへの業務情報の入力を禁じていることもあります。
数値や固有名詞は伏せたまま文章の骨組みだけを整えさせ、具体的な内容は自分で書き入れる使い方が無難です。
2つめは、事実と違う内容を残さないことです。生成AIは、もっともらしい数字や、担当していない業務を書き足すことがあります。出力は必ず自分の経歴と照らし合わせ、説明できない記述は削ります。
ステップ4〜6 応募先に合わせて仕上げる

ここからは、応募先ごとに繰り返す作業です。マスターシートから載せる内容を選び、形式を決め、点検します。
求人票の言葉に合わせて選び直す
まず、求人票の仕事内容と応募条件、企業のウェブサイトを読み、応募先が何を求めているかをつかみます。そのうえで、マスターシートから求められている経験に近い案件を選び、前のほうに置きます。
言葉もそろえます。ハローワークの『応募書類の作り方』は、職務内容を書く際に、求人票の「仕事の内容」欄の表現を使うとアピール力が増す場合があるとしています。
自社で「工程設計」と呼んでいた仕事を、求人票が「生産準備」と書いているなら、事実は変えずに呼び方を合わせる、という調整です。
応募条件を完全には満たしていない場合もあります。『職務経歴書の作り方』は、求められる経験や能力の一部、またはそれに類似するものがないかという観点で、自分の経歴を探すよう勧めています。
記載スタイルを選ぶ
経歴の並べ方によって、読み手の目に最初に入る内容が変わります。
※厚生労働省・ハローワーク『職務経歴書の作り方』をもとに作成。
『職務経歴書の作り方』は、わからないときは編年体式にするとしています。応募する職種に近い経験が直近にあるなら逆編年体式、設計と生産技術の両方を経験したように職務が分かれるならキャリア式、という選び方ができます。
同資料に載っているキャリア式の記載例は、金属加工の技術者を想定したものです。旋盤、フライス盤、NCマシンといった区分ごとに、職務内容と保有技術を表にまとめています。扱える設備や技術を一覧で見せたい技術職には、なじみやすい形式です。
提出前に点検する
仕上げに、形式と内容の両方を点検します。形式の項目は、ハローワークの資料が挙げているものです。
- 本文の文字は10.5〜12ポイント程度で、フォントがそろっているか
- 職務経歴の文末が「〜を担当」「〜に従事」などの体言止めでそろっているか
- 年号が和暦か西暦のどちらかに統一されているか
- 会社名や資格名が、略称ではなく正式名称になっているか
- 社内用語や略語に説明が付いているか
- 社外秘にあたる数値、顧客名、技術の詳細が入っていないか
- 書いた実績を、経過から自分の言葉で説明できるか
同資料は、面接では職務経歴書の内容に基づいて質問されることが多いとして、提出したものの写しを取っておくよう勧めています。説明できないことは書かない、というのが最後の確認です。
うまく書けない場合や、作成後に不安がある場合は、ハローワークの窓口でも相談できます。
技術職の職務経歴書でよくある失敗
最後に、技術職の書類で起こりやすい失敗を5つ挙げます。書き上げたあとの見直しに使ってください。
担当業務の羅列で終わっている
「設計業務」「設備導入」「不良対策」と業務名だけが並ぶ書き方です。何を担当したかはわかっても、規模も役割も結果も読み取れません。代表的な案件を2〜3件選び、図4の4つの要素をそろえて書くと改善します。
社内用語のまま書いている
製品の型式、部署の略称、社内の会議名や帳票名は、社外の人には通じません。長く同じ会社にいるほど、社内用語と一般的な用語の区別がつきにくくなります。書き上げたら、社外の知人に読んでもらうのも一つの方法です。
チームの成果と自分の役割が区別されていない
「ラインを立ち上げ、生産能力を向上」とだけ書くと、全体を率いたのか、一部の設備を担当したのかがわかりません。チームの成果と、その中で自分が受け持った範囲を分けて書きます。
すべての経歴を同じ濃さで書いている
新人時代の担当業務から直近の案件まで、同じ分量で書く必要はありません。応募先に関係の深い経歴を厚く、そうでないものは1〜2行にまとめます。濃淡をつけることが、1〜2枚に収めるいちばんの近道です。
数字を大きく見せている
条件の良い時期だけを切り取った数字や、自分の関与が小さい成果を書くと、経過を聞かれたときに説明がつかなくなります。概数にするのは守秘のためであって、大きく見せるためではありません。根拠を説明できる数字だけを使います。
まとめ
- 職務経歴書は自由様式でA4縦1〜2枚程度。必須は標題・氏名・日付・職務経歴で、案件一覧は別紙にしてもよい
- 先に経歴を棚卸ししてマスターシートをつくり、応募先ごとに必要な部分を選んで仕上げる
- 実績は「対象・規模」「役割」「行動」「結果」の4つで書く。数字は結果だけでなく規模にも使う
- 社外秘の数値・顧客名・技術の詳細は書かず、比率・概数・分野名で表す。迷ったら就業規則と誓約書を確認する
- 形式は迷ったら編年体式。提出前に、用語、表記の統一、守秘、自分の言葉で説明できるかを点検する
職務経歴書をつくる作業は、自分の経験を社外の言葉に置き換える作業でもあります。棚卸しの結果は、書類だけでなく、この先どの方向に経験を積むかを考える材料にもなります。
職種ごとの歩み方は製造業のキャリアパスで、ほかの職種の仕事内容は製造業の職種一覧で整理しています。
出典
出典・参考資料(8件)を開く出典・参考資料を閉じる
- 職務経歴書の定義・記載項目・作成手順・記載スタイル:厚生労働省職業安定局・都道府県労働局・ハローワーク『職務経歴書の作り方』(平成30年3月発行)
- 履歴書と職務経歴書の基本、求人票の表現の活用:厚生労働省職業安定局・都道府県労働局・ハローワーク『応募書類の作り方』(令和6年5月発行)
- 転職者の採用理由、賃金決定の際に考慮した要素:厚生労働省「令和7年転職者実態調査の概況」(2026年9月25日公表)(事業所調査「転職者の採用状況」)
- ジョブ・カードの様式と活用:厚生労働省「ジョブ・カード制度」、マイジョブ・カード「ジョブ・カードを知る」
- 就業規則の規程例(遵守事項):厚生労働省「モデル就業規則について」(令和7年12月版、第11条)
- 営業秘密の定義:e-Gov法令検索「不正競争防止法」(第2条第6項)
- 営業秘密の3要件と考え方:経済産業省「営業秘密~営業秘密を守り活用する~」、経済産業省「営業秘密管理指針」(最終改訂:令和7年3月31日)
- 転職時の注意点、相談先:経済産業省『知っておきたい営業秘密』(2024年6月)
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