NFB(配線用遮断器)とは、過負荷や短絡で大きな電流が流れたときに回路を切るブレーカーです。ELB(漏電遮断器)とは、漏電(地絡)を検出して回路を切るブレーカーです。
NFBは「ノーヒューズブレーカー」、ELBは「漏電ブレーカー」とも呼ばれ、NFBは過電流を見て電線や機器を守り、ELBは漏電を見て人の感電と漏電火災を防ぎます。ELBには過電流の保護を兼ねる製品もあります。
この記事では、NFBとELBそれぞれの仕組み、法令で漏電遮断が必要な回路と使い分け、よくある質問の順に整理します。
NFB(No Fuse Breaker)
NFBはNo Fuse Breakerの略で配線用遮断器を表しますが、もとは三菱電機の呼び名(ノーヒューズ遮断器)です。一般には「MCCB(Molded Case Circuit Breaker)」と呼ばれ、JISでも「配線用遮断器」の名前で規格が定められています。
家庭で電気機器を使いすぎると「ブレーカーが落ちる」ことがあります。NFBもこれと同じで、短絡などで異常な過電流が流れたときに、電線や機器を守るために設置されます。
過電流を検知する仕組みには、バイメタルを用いた熱動式と、電磁石の原理を利用した電磁式の2種類があります。多くの製品は、この2つを組み合わせて使い分けています。
NFBは、少し大きい電流は時間をおいて、非常に大きい電流はすぐに切ります。
※熱動電磁式の配線用遮断器の例。どの電流で何秒後に切れるかは、製品ごとの動作特性で決まります。
製品の引外し方式(回路を切る機構の動かし方)で分けると、次の3つがあります。
過電流を何で検知して切るかによって、3つの方式に分かれます。
※三菱電機のノーヒューズ遮断器の製品特長ページの分類をもとに作成。
メーカーによって異なりますが、過電流でブレーカーが落ちたときは、ONとOFFの中間の位置で止まるものが多いです。この状態からは、ハンドルを一度OFF側へ戻して(リセット)からONに入れ直しますが、原因を取り除かないまま入れ直すと、また落ちるか電線を傷めます。
ヒューズは、ブレーカーと違って一度飛ぶと部品の交換が必要です。飛ぶ原因と交換の手順は、ヒューズが飛ぶとは?8つの原因と飛んだときの対処・交換手順にまとめました。
ポンプなどでよく聞くサーマル(サーマルリレー)も、バイメタルを利用して熱を検知します。落ちたときの考え方はサーマルトリップの原因とリセット・対処法で紹介しています。
ELB(Earth Leakage Breaker)
ELBはEarth Leakage Breaker、ELCBはEarth Leakage Circuit Breakerの略で、どちらも漏電遮断器を表します。漏電を検出して、回路を自動的に遮断する遮断器です。
NFB(MCCB)の目的は過電流から機器や回路を守ることで、これに対してELBは、漏電を検出したときに遮断して、感電を防ぐ目的で設置されます。
ほとんどの場合、ELBにも配線用遮断器の機能を持たせているため、両方を設置する必要はありませんが、漏電だけを見る製品もあるので、後の章で見分け方を説明します。

漏電遮断器は、行きと帰りの電流の差を見ることで漏電を検知しています。行きの電流に対して帰りの電流が一定以上少なければ、どこかで漏電しているとみなして電源を遮断します。
差を見ているのは内部の零相変流器(ZCT)で、行きと帰りの電線をまとめて通し、両者が釣り合っていれば何も出力しません。差が出たときだけ信号を出し、電子回路を通して引外し装置を動かします。
ELBは、何mAの漏電で切れるか(感度電流)と、何秒で切れるか(動作時間)で種類が分かれます。人の感電を防ぐ目的なら、高感度・高速形を選びます。
守りたいものによって、感度と切れるまでの時間を選びます。
※パナソニック「ブレーカーの基礎:漏電ブレーカー」の区分の例。製品ごとの値はカタログで確かめてください。
ELBの前面にはテストボタンがあり、押すと漏電を検出して正しく切れるかを確かめられ、確かめる頻度や手順は機種の取扱説明書に従います。漏電で落ちたときに、ボタンの飛び出しや表示窓で知らせる漏電表示を持つ機種も多くあります。
NFBとELBの使い分け
使い分けは、法令でELBが求められる回路かどうかを先に確かめ、そのうえで設備に合わせて選ぶ順に考えます。
電気設備の技術基準の解釈 第36条第1項の対象は、金属製外箱を有する使用電圧60Vを超える低圧の機械器具に接続する電路です。
こうした電路には、地絡したとき自動で遮断する装置を設けるのが原則ですが、乾燥した場所に置く場合や、機器に漏電遮断器が組み込まれている場合などは例外が決められています。
原則は地絡遮断装置を付け、条文の条件に当たる場合だけ省けます。
※経済産業省「電気設備の技術基準の解釈」第36条(令和7年11月20日改正版)をもとに要約。
同じ第36条の第3項では、高圧・特別高圧の電路と変圧器でつながる、使用電圧300Vを超える低圧の電路にも地絡遮断装置を求める規定があります。
工場で使う電動工具にも決まりがあり、労働安全衛生規則 第333条では、対地電圧150Vを超える移動式・可搬式の電動機械器具に、感電防止用漏電遮断装置を接続することを求めています。
水などでぬれた場所や、鉄板・鉄骨の上など電気を通しやすい場所で使う移動式・可搬式のものは、対地電圧150V以下でも対象です。
漏電遮断装置の接続が困難なときは、金属部分を接地して使うことが定められています(同条第2項)。絶縁変圧器で非接地にした電路や、二重絶縁構造の器具などは適用除外です(第334条)。
感度の目安は民間規程の内線規程(1375-2)にあり、パナソニックの技術解説によると、感電防止のための漏電遮断器は高感度・高速形(感度電流30mA以下、動作時間0.1秒以内)とされています。
こうした決まりを踏まえ、人が触れるおそれのある機器や水気・湿気の多い場所の機器の回路にはELBを選びます。
それ以外の回路にはNFBを使うのが基本的な考え方で、漏電で止まると困る重要な負荷の回路では、NFBにする判断もあります。第36条第5項では、非常用照明や誘導灯など止まると公共の安全に支障が出る機器に限り、地絡を技術員駐在所に知らせる警報装置を付ければ遮断装置を省けます。
一般の生産設備にこの例外がそのまま使えるわけではないため、止めたくない回路でも、まず第1項の例外に当たるかを確かめます。
ELBには過負荷・短絡の保護も兼ねるもの(過電流保護付き)と、漏電だけを検出する漏電専用のものがあります。漏電専用のELBを使うときは、上流にNFBやヒューズを組み合わせて過電流から回路を守ります。
この組み合わせでは、漏電はELBが切り、過負荷や短絡はNFB(またはヒューズ)が切る役割分担になります。盤全体の仕様の決め方は、制御盤設計の進め方で手順ごとに紹介しています。
見た目は似ていますが、検出するものと守る対象が違います。
※落ちたときの表示は機種によって異なります。取扱説明書で確かめてください。
NFBとELBのよくある質問
ノーヒューズブレーカーと漏電ブレーカーの違いは何ですか?
ノーヒューズブレーカーはNFB(配線用遮断器)、漏電ブレーカーはELB(漏電遮断器)のことで、前者は過電流で、後者は漏電で回路を切ります。守る対象も違い、NFBは電線や機器、ELBは人の感電と漏電火災です。
NFBとMCCB、ELBとELCBは同じものですか?
同じものを指し、NFBはもとは三菱電機の呼び名で一般名はMCCB(配線用遮断器)、ELBとELCBはどちらも漏電遮断器の略称です。住宅用の漏電遮断器のJISでは、過電流保護付きをRCBO、過電流保護なしをRCCBと呼び分けています。
ELBがあればNFBはいらないですか?
ELBが過電流保護付きなら、1台で過電流と漏電の両方を守れるので、同じ回路にNFBを重ねる必要はありません。漏電専用なら、上流にNFBかヒューズが必要です。
どちらかは、カタログや仕様書の保護機能の欄で確かめます。「過負荷・短絡保護兼用」や「過電流保護付き」とあれば兼用、「漏電専用」「過電流保護なし」とあれば漏電だけです。
漏電で落ちたのか過電流で落ちたのか、見分けるには?
まず漏電表示を見て、漏電表示のボタンが飛び出していれば、漏電で落ちたと分かります。表示の場所や戻し方は機種で違うので、取扱説明書で確かめてください。原因を取り除くまで再投入はせず、点検の前には電源を確実に切り、ロックアウト・タグアウト(LOTO)で誤って入らないようにします。
まとめ
- NFBは過電流を防止して機器や回路を保護する
- ELBは漏電を検知して感電事故を防止する
- ELBには配線用遮断器の機能が含まれているものが多い
- 漏電専用のELBは、上流のNFBやヒューズと組み合わせる
- 金属製外箱で60Vを超える機器の回路は、電技解釈第36条で原則ELBが必要
一般にELBのほうがNFBより高価で、参考までに、2018年の執筆時点では同等クラスで1,000~2,000円程度の差でした。今の価格はメーカーや販売店の価格表で確かめてください。どちらも見た目は似ていますが、役割は違います。
遮断器の選定は、電気・電子設計の仕事で身につく基本の一つです。現場で落ちた遮断器を確かめる立場なら、設備保全に必要なスキル・資格もあわせてご覧ください。
出典
出典・参考資料(8件)を開く出典・参考資料を閉じる
- 地絡遮断装置の施設(第36条):経済産業省「電気設備の技術基準の解釈」(令和7年11月20日改正版)
- 漏電による感電の防止(第333条)・適用除外(第334条):e-Gov 法令検索「労働安全衛生規則」
- ノーヒューズ遮断器の呼称・引外し方式:三菱電機「低圧遮断器 ノーヒューズ遮断器 製品特長」
- 漏電遮断器の検出の仕組み(ZCT):三菱電機「低圧遮断器 漏電遮断器 製品特長」
- 感度電流・動作時間の区分と内線規程1375-2(メーカーの解説。内線規程の原文は未掲載):パナソニック「ブレーカーの基礎:漏電ブレーカー」
- トリップ時のハンドル位置と再投入:パナソニック「ブレーカーの基礎:基本機能」
- 低圧遮断器のJIS(配線用遮断器・漏電遮断器、RCCB・RCBO):日本電機工業会「低圧回路用遮断器関連規格等」
- テストボタン・漏電表示の例:ミスミ カタログ「漏電ブレーカ」仕様・外形図
NEWSLETTER
選んだ職種・業種に合わせた記事を、週1回メールで
週刊MONOSCOPEは、登録時に選んだ職種・業種に合わせた記事を週1回お届けする無料のメルマガです。
職種・業種を選んで登録へ ›無料・週1回。登録後に届く確認メールのリンクを押すと登録が完了します。配信はメール内のリンクからいつでも停止できます。
WEEKLY NEWS
今週の製造業ニュース10選
メルマガは職種・業種に合わせた記事。LINEとnoteでは、全員共通の10本を毎週土曜の朝にお届けします。
LINEでニュース10選を受け取るnote今週のニュース10選をnoteで読む ›

コメント