ヒューズが飛ぶとは?8つの原因と飛んだときの対処・交換手順

制御盤の扉を開けた中のヒューズホルダとガラス管ヒューズ

ヒューズが飛ぶとは、過電流でヒューズの中の金属が熱で溶けて切れ、回路が遮断された状態のことです。

「溶断する」「ヒューズが切れる」も同じ意味で、飛ぶとその先の回路に電気が流れなくなり、つながった機器は止まります。

住宅の分電盤ではブレーカーが主流になりましたが、制御盤や電子機器、自動車では今もヒューズが広く使われています。この記事では、ヒューズの仕組み、飛ぶ8つの原因、飛んだときの対処と安全な交換手順を順に整理します。

目次

ヒューズとは

ヒューズとは、過電流が流れると自身が溶断することで回路を遮断し、他の部品や機器を守る保護装置です。

中には細い金属の線や板(エレメント)が入っていて、ふだんは電流をそのまま通し、電流が大きすぎるとその熱で溶けて回路を切ります。

この動作で、過負荷や短絡による電気火災や機器の焼損を防ぎ、用途は家電、自動車、工業機械、電子機器、制御盤の電源回路などです。

図1:ヒューズの主な種類

形はさまざまでも、中の金属が溶けて回路を切る仕組みは同じです。

管形ガラス管・セラミック管ヒューズ筒の両端に金属キャップ。制御盤の制御電源や電子機器で多い。ガラス管は中のエレメントが見える
筒形・刃形産業用の大型ヒューズ電動機や盤の主回路など電流の大きい回路用。けい砂などの充填材でアークを消す
つめ付つめ付ヒューズ板状の可溶体をねじで留める古い形。昔の分電盤や開閉器(カットアウト)で使われた
ブレード形自動車用ヒューズ樹脂の本体に2本の刃。車のヒューズボックスに差し込んで使う

※名称の分け方は、経済産業省「電気用品の技術上の基準の解釈」別表第三(つめ付・管形・筒形・栓形など)を参考にしました。

ヒューズは、一度溶断すると再利用できないため、新しいものに交換します。過電流が頻繁に起こる環境では、予備品の管理と交換の手順が大切です。

再使用できるブレーカーやリセットできる保護装置も普及しましたが、構造が単純で確実に切れるため、ヒューズは今も広く使われています。

ヒューズが飛ぶとは?

「ヒューズが飛ぶ」とは、ヒューズに容量以上の電流が流れ、中の金属部品が溶けて切れた状態です。

ヒューズはブレーカーと同じく装置を過電流から守るための部品で、自分が先に切れることで、機器の発火や焼損を防いでいます。

図2:ヒューズが飛ぶまでの流れ

電流が大きいほど早く熱がたまり、早く切れます。

過電流が流れる短絡・過負荷・突入電流などで、ふだんより大きな電流が流れる
発熱
エレメントが熱くなる電流の2乗に比例するジュール熱が、まわりへ逃げる熱を上回る
溶断
エレメントが溶けて切れる切れ目にアークが出る。産業用の大型ヒューズでは充填材がアークのエネルギーを吸収する
遮断
回路が開いて電流が止まるその先の機器は止まる。ヒューズは自動では元に戻らない

※電流が大きいほど短い時間で切れる性質を「反限時特性」と呼びます(Mersen の技術資料より)。

中の金属の材料は、ヒューズの形で異なります。経済産業省の技術基準の解釈では、つめ付ヒューズなどの非包装ヒューズの可溶体を鉛・すず・亜鉛やそれらを主成分とする合金と定めています。

ガラス管ヒューズには銀線などのエレメントが使われますが、どの形でも、一定以上の電流で発生するジュール熱で金属が溶けて回路が切れる点は同じです。

注意したいのは、定格電流ちょうどではヒューズは飛ばないことで、技術基準では、定格を少し超えた電流には耐え、それ以上で決まった時間内に切れることを試験で確かめます。

図3:定格電流の何倍で飛ぶか(試験の例)

定格の1.1倍では切れず、2倍なら数分以内に切れるよう作られています。

100%定格電流
切れない
110%温度が落ち着くまで流しても切れない
135%60分以内に切れる
200%2分以内に切れる

※経済産業省「電気用品の技術上の基準の解釈」別表第三 附表第一の過電流特性試験のうち、電動機用以外・定格30A以下・不溶断電流110%のヒューズの例(周囲温度25℃±5℃)。溶断時間は製品・種類・規格で異なるので、実際はメーカーの特性曲線で確かめます。

ヒューズが飛ぶと、そのヒューズより先の回路だけが止まり、制御電源のヒューズが飛ぶと、盤の操作スイッチや表示灯、リレーがまとめて動かなくなります。

ブレーカーと違いレバーを戻して復旧することはできず、原因を取り除いてから、新しいヒューズに交換して初めて元に戻ります。

次の動画(他のチャンネルの投稿)で、ヒューズが飛ぶ瞬間を見られます。

ヒューズが飛ぶ原因

ヒューズが飛ぶ原因は、次の8つです。

  • 過電流
  • 短絡
  • 突入電流
  • 過負荷
  • 老朽化や劣化
  • 選定ミス
  • 電圧の変動
  • 周囲環境

前の4つは回路に大きな電流が流れる原因で、後ろの4つは、ふつうの電流でもヒューズが切れやすくなる条件や、電流が増えるきっかけにあたります。

図4:8つの原因の見分け方

いつ・どう飛んだかで、疑う原因を絞り込めます。

分類
飛び方の目安
主な対策
過電流
電流が大きい(下の3つの総称)
原因によって異なる
下の各原因を確かめる
短絡
電流が大きい
交換してすぐ、一瞬で飛ぶ
配線・絶縁を点検
突入電流
電流が大きい
電源投入や起動の瞬間に飛ぶ
タイムラグ形を選ぶ
過負荷
電流が大きい
しばらく運転してから飛ぶ
負荷を減らす・分ける
老朽化や劣化
切れやすくなる条件
長年使ったあと、ふつうの運転中に飛ぶ
定期交換・接触部の点検
選定ミス
切れやすくなる条件
新設・交換の直後から飛ぶ
定格・特性を見直す
電圧の変動
電流が増える条件
電源の異常と同時に飛ぶ
電源側を調べる
周囲環境
切れやすくなる条件
夏場・高温の盤で飛ぶ
盤内温度・振動対策

※飛び方は目安です。原因は配線・負荷の電流・絶縁抵抗の測定で確かめます。

過電流

過電流は、回路に流れる電流が設計された範囲を超えることで、短絡・突入電流・過負荷など、ヒューズを飛ばす電流の異常をまとめた呼び方にあたります。

機器の故障で電流が増えることもあります。どの過電流かで対策が変わるので、次の3つのどれに当たるかを切り分けます。

短絡

短絡(ショートサーキット)は、電位の違う電線どうしが、負荷を通らずに直接つながる現象で、交流ならL相とN相(三相なら相どうし)、直流ならプラスとマイナスが接触した状態です。

大きな電流が一瞬で流れてヒューズはすぐに溶断し、原因には配線の傷や被覆の破れ、絶縁の劣化、端子台への異物の混入などがあります。

短絡の瞬間には強いアークが出ることがあり、そばにいる人のやけどにもつながります。古い設備では、配線と絶縁を定期的に点検し、早めに見つけます。

突入電流

モーターの始動時や、トランス・コンデンサの電源投入時には、一瞬だけ定格を大きく超える電流(突入電流)が流れます。速断形のヒューズでは、この突入電流で溶断することがあるため、突入電流がある回路ではタイムラグ(遅動)形のヒューズを選びます。

差は大きく、Littelfuse の資料ではIEC 60127-2の定格10倍の電流での遮断時間が、速断形0.02秒、タイムラグ形0.15秒と示されています。始動電流の大きさは、モーターの種類によっても変わります。

過負荷

過負荷は、回路につながった機器が一度に多くの電力を使う状態で、電流がヒューズの定格を超えてしばらく流れ続けると溶断します。

家庭なら、大型家電を同じコンセントにまとめてつなぐと起こりやすくなります。工場では、ポンプやファンの負荷が重くなってモーターの電流値が上がる場合が典型です。

対策は、回路ごとに負荷を分けることと、必要に応じた電源の増設で、機器側の詰まりや摩耗で電流が増えていないかも確かめます。

老朽化や劣化

ヒューズや配線は長く使うと劣化し、定格以下のふつうの電流でも溶断しやすくなります。

起動のたびに突入電流を受けるヒューズは、熱の繰り返しでエレメントが疲労します。Littelfuse は、10万回の繰り返しに耐えるには、パルス1回分のI²t(電流の2乗×時間)を溶断に必要なI²tの22%以下にする目安を示しています。

ヒューズホルダの端子の緩みや腐食も、接触部の発熱で切れやすくします。高温多湿の場所では劣化が早まるため、時間基準の定期交換(TBM)の対象に入れておくと安心です。

選定ミス

選定ミスも原因になり、定格電流が小さすぎると、正常な運転電流でも切れてしまいます。

確かめる項目は、定格電流・定格電圧・溶断特性・遮断容量の4つです。定格電圧は回路の電圧以上が必要で、遮断容量は安全に切れる最大の電流を表します。

遮断容量が足りないと、短絡のときにヒューズ自体が破損するおそれがあります。こうした選定は制御盤設計の部品選びの段階で決めておくものです。

電圧の変動

電圧の変動も、ヒューズが飛ぶきっかけになりますが、ヒューズが反応するのは電圧ではなく電流で、定格電圧以下なら電圧が変わっても溶断の特性は変わりません。

問題は電圧の変動が電流を増やす場合で、重い負荷を回すモーターは、電圧が下がると電流が増えることがあります。電圧が急に戻ったり上がったりすると、コンデンサなどに突入電流が流れます。

電源の異常と同じタイミングで飛ぶなら、ヒューズではなく電源側を調べます。受電設備の点検や電力会社への相談は、電気主任技術者を通して進めます。

周囲環境

周囲の環境も、ヒューズの動作に影響します。ヒューズの定格は周囲温度25℃を基準に決められており、まわりが熱いほど小さな電流で切れやすくなります。

盤の中は、トランスや抵抗の熱で外気より高温になりがちです。Littelfuse は設計時の目安として、ふだん流す電流を定格の75%以下に抑えることを挙げています。

振動でホルダの接触が緩むことや、湿気による端子の腐食も原因になります。盤の換気・冷却と、環境に合ったヒューズ・ホルダの選定が対策です。

ヒューズが飛んだときの対処手順

ヒューズの交換は、感電や短絡によるアークの危険がある電気作業です。工場の設備では、作業の前に電気主任技術者や設備の管理者に連絡し、指示を受けます。

盤の中に焦げ跡や異臭、部品の変形がある場合や、交換してすぐまた飛んだ場合は、短絡や機器の故障が残っている可能性が高いため、交換を続けません。

図5:ヒューズが飛んだときの5ステップ

交換は最後の手順です。先に電源を切り、原因を取り除きます。

01電源を切り、検電する開閉器を切って施錠・表示。検電器で電圧がないことを確かめる
02ヒューズの状態を見るガラス管の曇り、エレメントの切れ方、いつ飛んだかを記録
03原因を調べて取り除く配線の損傷、絶縁抵抗、負荷の電流を確かめる
04同じ仕様品に交換する定格電流・定格電圧・溶断特性・遮断容量が同じもの
05通電して確認するすぐまた飛ぶなら使用をやめ、メーカーや電気工事業者に相談
焦げ跡・異臭・変形がある、交換後すぐ再び飛ぶ ── このときは交換を続けず、管理者・電気主任技術者に連絡する

手順1では、開閉器を切ったらロックアウト・タグアウト(LOTO)で施錠と表示をします。労働安全衛生規則第339条も、停電作業では開閉器に施錠するか、通電禁止の表示をするか、監視人を置くことを求めています。

同じ条文は、コンデンサを持つ回路の残留電荷の放電と、高圧の電路での検電器具による停電確認も定めています。低圧の制御盤でも、検電器で電圧がないことを確かめてから手を入れます。

経済産業省の産業保安監督部などのまとめでも、感電事故の要因に「検電未実施」が挙がっており、別の作業の電源が回り込み、切ったはずの回路に電圧がかかった事例もあります。

一般的なヒューズホルダは電源を入り切りするスイッチとしては作られていないため、通電中にホルダを開け閉めせず、必ず上流の開閉器で電源を切ります。

手順2で見るのはヒューズの外観で、ガラス管の内側が黒や銀色に曇っていれば、短絡などの大きな電流で一気に切れた可能性があります。曇りがなく線が細く切れているだけなら、小さめの過電流が続いた場合も考えられます。

大電流ではエレメントの金属が蒸発し、ガラスの内側に付くことがあるためです。ただし見た目だけで原因は決められないので、手がかりにとどめ、手順3の測定で確かめます。

手順3では、いつ飛んだかも手がかりになります。

  • 電源を入れた瞬間・交換した直後:短絡、突入電流
  • 機器を起動した瞬間:突入電流、タイムラグ形でないヒューズ
  • しばらく運転した後:過負荷、周囲温度、ホルダの接触不良

配線の導通や接点の状態は、テスターの抵抗測定で確かめられ、絶縁抵抗の測定は、電源を切った状態で絶縁抵抗計を使います。

手順4の交換品は、定格電流・定格電圧・溶断特性・遮断容量・寸法が同じものにします。表示が消えて読めないときは、盤の図面や部品表、メーカーの資料で確かめます。

容量の大きいヒューズや針金で代用すると、過電流で切れずに配線や機器が焼ける原因になります。原因を取り除かずに交換だけしても、またすぐに飛んでしまいます。

分電盤でヒューズが使われなくなった理由

住宅や一般の分電盤では、ヒューズに代わってブレーカーが主流になりました。主な理由は次の3つです。

図6:ヒューズとブレーカーの違い

どちらも過電流から回路を守りますが、切れたあとの扱いが違います。

ヒューズ
ブレーカー(配線用遮断器)
切れる仕組み
中の金属が熱で溶ける
内部の機構が働いて接点が開く
復旧
新しいものに交換
原因を取り除けばレバーを戻して再使用
回路の入り切り
できない(スイッチとして使わない)
できる
ほかの機能
過電流の保護のみ
漏電保護付きの機種もある
主な使われ方
制御盤の制御電源、電子機器、自動車
住宅・ビル・工場の分電盤、制御盤の主回路

※制御盤では、ヒューズの代わりにサーキットプロテクタを使うこともあります。

ブレーカーの普及

大きな理由の一つは、ブレーカーの普及で、ブレーカーは過電流や短絡で自動的に回路を切り、原因を取り除けばレバーを戻すだけで再使用できます。ヒューズのように切れるたびに交換する手間がありません。

さらに漏電保護の機能を備えたものも多く、安全性の面でも選ばれており、違いはNFB(配線用遮断器)とELB(漏電遮断器)の違いで詳しく紹介しています。

経済性

経済性の面でも、ブレーカーはヒューズに勝ります。ヒューズは一度溶断すると再利用できず、そのたびに新しいものを買って交換します。

ブレーカーはトリップしてもリセットすれば使い続けられるため、過電流が起こりやすい環境ほど、交換の手間と部品代の差が大きくなります。

技術の進歩

技術の進歩も、ヒューズの出番を減らしました。電子制御を載せた機器は、自分で過電流を抑えたり異常を検知して止まったりします。

ブレーカーも感度や精度が上がり、電流の計測機能を持つ製品もあり、制御盤では、ヒューズと同じ場所で使えるサーキットプロテクタに置き換えることもあります。

ヒューズが飛ぶことのよくある質問

「ヒューズが飛ぶ」の言い換えは?

技術的な言い方では「溶断する」です。日常では「ヒューズが切れる」とも言い、どれも中の金属が溶けて回路が切れた状態を指します。

ヒューズが飛ぶとどうなりますか?

そのヒューズの先の回路に電気が流れなくなり、つながった機器が止まります。自動では戻らないため、原因を取り除いてから新しいヒューズに交換します。

ヒューズが切れる原因と飛ぶ原因は同じですか?

同じです。短絡・突入電流・過負荷などの大きな電流と、劣化・選定ミス・高温などの切れやすくなる条件の2つに分けて考えると、原因を絞り込みやすくなります。

交換してもすぐまた飛ぶのはなぜですか?

原因が残っているためです。交換直後に一瞬で飛ぶなら短絡、起動の瞬間なら突入電流、しばらくしてからなら過負荷を疑います。

何度も交換を繰り返すのは危険なので、交換してすぐまた飛んだら使用をやめ、電気主任技術者やメーカー、電気工事業者に点検を頼みます。

容量の大きいヒューズに替えてもよいですか?

替えてはいけません。ヒューズの定格は配線や機器が焼けない電流に合わせて決められているため、大きくすると、本来切れるべき電流で切れなくなります。

突入電流で飛ぶ場合も、定格を上げるのではなく、同じ定格のタイムラグ形を選びます。定格の変更は設計の見直しにあたるので、機器のメーカーや設計者に確認します。

まとめ

この記事のまとめ
  • ヒューズは過電流が流れると自身が溶断することで回路を遮断し、他の部品や機器を守る
  • ヒューズが飛ぶとは、過電流で中の金属が溶けて切れること。言い換えは「溶断」「切れる」
  • 原因は短絡・突入電流・過負荷などの大きな電流と、劣化・選定ミス・高温などの切れやすい条件
  • 飛んだら電源を切って検電し、原因を取り除いてから、同じ定格・特性のヒューズに交換する
  • 分電盤ではブレーカーが主流だが、制御盤や電子機器では今もヒューズが使われている

スイッチ操作をする配線用遮断器を、三菱電機の呼称で「ノーヒューズブレーカー(ノーヒューズ遮断器)」と呼び、ヒューズの入っていないブレーカーという意味です。

家庭で「ヒューズが飛ぶ」という言葉を聞くことは少なくなりましたが、制御盤や機器の保守では今でもよく使われる言葉です。

出典

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プラント機器メーカーとプラントメーカーで約10年、設備の提案・設計・試運転に携わったのち、Webマーケターに転身。現在はBtoB製造業専門のWebコンサルタントとして、メーカーの情報発信を支援しています。エネルギー管理士/第三種電気主任技術者。工業技術ブログを2017年から運営(500本以上執筆)、YouTube登録者約2万人、Xフォロワー約1万人。

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