外燃機関と内燃機関の違いとは?仕組み・例・熱効率を比較

博物館に展示された横置きの蒸気機関とはずみ車

外燃機関と内燃機関の違いは、燃料を燃やす場所と、動力を生む流体(作動流体)が何かです。外燃機関とは、ボイラーなど機関の外で燃料を燃やし、その熱で水や空気を温めて動く熱機関で、内燃機関は、機関の中で燃やした燃焼ガスそのものでピストンやタービンを動かします。

この記事では、外燃機関の仕組みと例、内燃機関の種類、熱効率の目安、両者を組み合わせたコンバインドサイクル、比較表の順に整理します。

図1:外燃機関と内燃機関の仕組みの違い

分かれ目は「どこで燃やすか」と「何が動力を生むか」の2点です。

外燃機関
燃料石炭・ガス・木くず・ごみなど
機関の外で燃やす
ボイラー・燃焼室燃焼ガスは熱を渡したら煙突へ
壁ごしに熱を伝える
作動流体:水・蒸気・空気燃えずに温められるだけ
膨張する力
蒸気タービン・ピストン回転や往復の動力に
内燃機関
燃料+空気ガソリン・軽油・天然ガスなど
機関の中で燃やす
シリンダー・燃焼器燃焼と動力の発生が同じ場所
そのまま膨張
作動流体:燃焼ガスそのもの使い終わると排気として外へ
膨張する力
ピストン・ガスタービン回転や往復の動力に
目次

外燃機関とは

外燃機関は作動流体そのものではなく、外部で熱を得た気体(蒸気など)によって動力を得る機関です。作動流体とは、膨張してタービンやピストンを動かす流体を指します。例えば、蒸気で発電する汽力発電(火力発電所の蒸気タービン)が代表的です。

蒸気発電の系統図。ボイラー・過熱器→蒸気タービン→復水器→ポンプ→ボイラーと水と蒸気が循環する

蒸気で発電するときは、ボイラーで燃料を燃やし、水を高圧の蒸気に変え、その蒸気をタービンに送って翼を回すと、つながった発電機から電力が得られます。図の機器は、水と蒸気が一周する順に次の役割を持ちます(図の1〜4は状態点の番号です)。

  • ボイラー・過熱器(4→1):燃料の熱で水を沸かし、さらに温度を上げた過熱蒸気にする
  • 蒸気タービン(1→2):蒸気が膨張して翼を回し、発電機(G)を回す
  • 復水器(2→3):冷却水で蒸気を冷やし、水に戻す
  • ポンプ(3→4):水を昇圧して、ふたたびボイラーへ送る

この循環を熱力学で表したものがランキンサイクルで、タービンの中で蒸気を受ける翼の働きは、動翼と静翼の役割で詳しく扱っています。

このとき作動流体の蒸気そのものは燃えず、熱は、外部のボイラーで燃料を燃やして得ます。このような機関を外燃機関と呼び、蒸気発電以外にも、蒸気機関車、スターリングエンジンなどが外燃機関に当たります。

図2:外燃機関の例

どれも「外で作った熱で、燃えない作動流体を温める」点が共通です。

蒸気タービン汽力発電・工場の自家発電作動流体は水と蒸気。石炭・LNG・木くず・ごみなど、ボイラーで燃やせれば燃料を選ばない
蒸気機関(往復式)蒸気機関車・古い工場の動力蒸気の力でシリンダーのピストンを往復させる。蒸気タービンより前の世代の外燃機関
スターリングエンジン小型の発電・排熱の利用封じ込めた気体を外から温め・冷やしてピストンを動かす。蒸気のように液体と気体の間で変化させない
原子力発電も、原子炉の熱で蒸気を作りタービンを回す点は同じ仕組みです。燃料を燃やさないので、「燃焼を外で行う」という辞書の定義には言葉どおりには当てはまりません。

蒸気タービンと蒸気機関は、水を沸かした蒸気を使うランキンサイクルの仲間です。スターリングエンジンは気体を相変化させずに使う点が違い、詳しくはスターリングサイクルで整理しています。外燃機関の特徴は次の4つです。

  • 燃焼できれば燃料は何でもいい(石炭、ゴミ、木くずなど)
  • 内燃機関に比べ機器構成が大きくなる(ボイラー・復水器・ポンプが要る)
  • 主に大型の工業プラントや発電所で利用される
  • 熱を壁ごしに渡す間接的な方式のため、熱効率は高くしにくい(石炭火力で送電端39〜42%程度、最新鋭の超々臨界圧で発電端45%以上)

燃料を選ばない点は、外燃機関の大きな強みで、燃えるものなら、燃焼室の外で熱だけを取り出せるからです。ボイラーの排ガスに残る熱は、エコノマイザ(節炭器)で給水を温めて回収します。

工場の外燃機関では、タービンから出てきた蒸気をそのまま工程の加熱源に使い、全体の効率を上げる方法がよく取られます。背圧タービンの排気蒸気を、乾燥や加熱の用途へ回す使い方です。原子力発電なども、原子炉で発生させた熱で蒸気を作って発電しています。

内燃機関とは

内燃機関は作動流体そのものを燃焼させて動力を得る機関で、同じく発電を例に挙げると、ガスタービン発電がこれに当たります。液化天然ガス(LNG)などを気化させ、燃焼器で空気と混ぜて燃やします。

燃焼ガスは高温になって膨張し、その勢いでタービンの翼を回して電力を得る仕組みです。このように、作動流体そのものを燃焼させて動力を得る機関を内燃機関と呼びます。身近な熱機関はほとんどが内燃機関で、車のガソリンエンジン、ディーゼルエンジン、飛行機のジェットエンジンなどがこれに当たります。

図3:内燃機関の種類と理論サイクル

動き方はピストン式と回転式の2つ。それぞれ理論サイクルで効率を考えます。

主な例
理論サイクル
ピストン式(火花点火)
自動車のガソリンエンジン、発電用のガスエンジン
オットーサイクル(等容で加熱)
ピストン式(圧縮着火)
トラック・船・発電機のディーゼルエンジン
ディーゼルサイクル(等圧で加熱)
回転式
発電用ガスタービン、航空機のジェットエンジン
ブレイトンサイクル(等圧で加熱)

※理論サイクルは、実際の機関の動きを理想気体の状態変化に置き換えたモデルです。

それぞれの効率の式は、オットーサイクル、ディーゼルサイクル、ブレイトンサイクルの記事で導出しています。内燃機関の特徴は次の4つです。

  • 燃料は主に気体や液体の燃料(石炭はガス化すればガスタービンで使える)
  • 外燃機関に比べ機器構成が小さくなる
  • 輸送機器に利用されることが多い
  • 高い温度で熱を受け取れるため熱効率を高くしやすい(自動車用で約40%、大型ガスエンジンで51%)

内燃機関が高効率になりやすいのは、作動ガスの最高温度を高くできるからで、熱機関は、高い温度で熱を受け取るほど効率が上がります。ガスタービンでは、タービン入口の温度が1,650℃級の機種も実用化されています。外燃機関の蒸気は、ボイラーの管や配管の耐熱で温度が抑えられるため、ここまで上げられません。

図4:熱機関の熱効率の目安

各社が公表した代表的な高効率機の値です。条件が違うので、順位ではなく大きさの目安として見てください。

自動車用ガソリンエンジン内燃・機関単体(トヨタ HV用)
41%
石炭火力(超々臨界圧)外燃・発電所(九州電力 松浦2号)
45%以上
発電用ガスエンジン内燃・機関単体(川崎重工 KG-18-T)
51.0%
コンバインドサイクル内燃+外燃・発電所(西名古屋7-1号)
63.08%

※自動車用は最大熱効率(最も効率のよい運転点)、松浦2号は発電端・低位発熱量基準、ガスエンジンは川崎重工公表の発電効率、コンバインドサイクルは発電端(gross)の値です。測る条件と基準がそろっていないため、数字の大小だけで方式の優劣は決まりません。

内燃機関には身近なものが多く、仕組みをイメージしやすい分野です。自動車の電動化で内燃機関まわりの部品がどう変わるかは、EVシフトで部品メーカーはどう変わるかで数字とともに整理しています。

外燃機関と内燃機関の組み合わせ

外燃機関と内燃機関は用途によって使い分けられ、目的はどちらも、発生したエネルギーをいかに効率よく使うかです。例えば、ガスタービン発電で出る高温の排ガスは、そのままだと煙突から捨てられますが、この熱でボイラーから蒸気を作れば、捨てていた熱を有効に使えます。

このような外燃機関と内燃機関の組み合わせはコンバインドサイクルと呼ばれます。LNG火力発電所の主力の方式で、大規模な工場の自家発電にも使われています。

図5:コンバインドサイクルの流れ

内燃機関の排熱を、外燃機関の熱源として使い切ります。

燃料(LNGなど)+空気
燃焼器で燃やす
ガスタービン(内燃機関)燃焼ガスで直接タービンを回して発電
高温の排ガス
排熱回収ボイラー排ガスの熱で水を蒸気に変える。燃料を新たに燃やさない
蒸気
蒸気タービン(外燃機関)蒸気でタービンを回して、もう一度発電

※同じ燃料から2回発電するため、ガスタービン単独より発電効率が上がります。

中部電力(現JERA)の西名古屋火力7-1号系列は、発電効率63.08%でギネス世界記録に認定されました(2018年)。ガスタービンと蒸気タービンを組み合わせた発電所です。

石炭でも、ガス化してからガスタービンで燃やせば同じ組み合わせにできます。これが石炭ガス化複合発電(IGCC)で、従来の石炭火力より高い46〜50%程度の効率が見込まれています。

排熱で蒸気や温水まで取り出して工場で使う方法は、コージェネレーションと呼ばれます。違いはコージェネレーションとコンバインドサイクルの違いで整理しています。

外燃機関と内燃機関の違いを比較

ここまでの内容を、比較のポイントごとに表にまとめます。

図6:外燃機関と内燃機関の比較表

根本の違いは、作動流体が燃えるかどうかの1点です。

外燃機関
内燃機関
燃やす場所
機関の外(ボイラー・燃焼室)
機関の中(シリンダー・燃焼器)
作動流体
水・蒸気・空気など。燃えずに温められる
燃焼ガスそのもの
燃料
燃えれば何でもよい(石炭・ごみ・木くず・ガス)
主に気体・液体(ガソリン・軽油・天然ガス)
機器の大きさ
大きい(ボイラー・復水器・ポンプが要る)
小さい(燃焼と動力の発生が一体)
主な用途
大型の発電所・工場のプラント
自動車・船・航空機、発電用ガスタービン・ガスエンジン
熱効率
高くしにくい(作動流体の温度に上限)
高くしやすい(最高温度を上げられる)
代表例
蒸気タービン、蒸気機関車、スターリングエンジン
ガソリン・ディーゼルエンジン、ガスタービン、ジェットエンジン

※熱効率は規模や条件で大きく変わります。具体的な値の目安は図4を参照してください。

外燃機関と内燃機関のよくある質問

蒸気機関と内燃機関の違いは?

蒸気機関は外燃機関で、ボイラーで作った蒸気がピストンを押し、内燃機関は、シリンダーの中で燃やしたガスが直接ピストンを押します。

歴史は蒸気機関が先で、最初のニューコメン機関は1712年にイギリスで建てられ、鉱山の排水に使われました。内燃機関の基本となる4ストローク機関は、それから160年余り後の1876年に、ドイツのオットーが初めて動かしました。

鉄道で言えば、石炭を焚いてボイラーで蒸気を作る蒸気機関車が外燃機関で、軽油を燃やすディーゼル機関車は内燃機関です。

原子力発電は外燃機関に入る?

原子力発電は、原子炉の熱で蒸気を作ってタービンを回すので、仕組みは汽力発電と同じです。ただし核分裂の熱を使い燃料を燃やさないため、「燃料の燃焼を外部で行う」という辞書(デジタル大辞泉)の定義には言葉どおりには当てはまりません。

一方、世界大百科事典は熱機関を作動流体の加熱方法で分け、伝熱壁ごしに外から温める方式を外燃式としています。蒸気タービンの熱源には、核反応の熱や地熱、排熱も熱源の例です。加熱の仕方で見るなら、原子力や地熱で動かす蒸気タービン、太陽熱で動かすスターリングエンジンも外燃機関の仲間として扱えます。

まとめ

この記事のまとめ
  • 外燃機関と内燃機関の違いは、作動流体を燃焼させるかどうか
  • 外燃機関の例は蒸気タービン・蒸気機関車・スターリングエンジン。燃料を選ばない
  • 外燃機関は大規模工場や発電所に多く、内燃機関は輸送機器に多い
  • 熱効率の目安は自動車用エンジンで約40%、石炭火力で約40〜45%、ガスエンジンで51%
  • 外燃機関と内燃機関を組み合わせる(コンバインドサイクル)と効率が60%を超える

いろいろな熱機関を勉強するときに、外燃機関と内燃機関の違いが分かっていると理解しやすくなります。熱機関の全体像は熱機関とはで整理しています。

熱機関の効率はエネルギー管理士の試験でも工場の実務でも基本になります。資格を生かした働き方は製造業のエネルギー管理士の仕事で紹介しています。

出典

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プラント機器メーカーとプラントメーカーで約10年、設備の提案・設計・試運転に携わったのち、Webマーケターに転身。現在はBtoB製造業専門のWebコンサルタントとして、メーカーの情報発信を支援しています。エネルギー管理士/第三種電気主任技術者。工業技術ブログを2017年から運営(500本以上執筆)、YouTube登録者約2万人、Xフォロワー約1万人。

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