熱機関とは?仕組みと種類、9つのサイクル一覧・熱効率の目安

工場の機械室に並ぶガスエンジン発電機とボイラー

熱機関とは、燃料を燃やした熱などの熱エネルギーを、機械的な仕事(動力)に変える装置の総称で、自動車のエンジン、発電所の蒸気タービンやガスタービンが代表例です。

どの熱機関も、高温側から熱を受け取り、その一部を仕事にして、残りを低温側へ捨てており、捨てる熱がゼロにならないため、熱効率には理論上の上限があります。

この記事では、熱機関の定義、5つの工程、4つの状態変化、9つのサイクル、利用用途の順に整理します。各サイクルの詳しい記事へは、種類ごとの一覧表から進めます。

目次

熱機関とは

熱機関とは、熱エネルギーを機械的なエネルギーに変換する装置やシステムのことです。辞書では「熱エネルギーを機械エネルギーに変換して動力を発生させる機関の総称」とされています。

しくみで見ると、高い温度の熱源から熱を受け取り、一部を低い温度の側へ放出し、その差を仕事として外へ取り出す操作を繰り返す装置です。

図1:熱機関のエネルギーの流れ

受け取った熱Q1のうち、仕事Wになるのは一部だけです。

高温熱源(温度 T1)燃焼ガス、ボイラーで作った蒸気、原子炉の熱など
熱 Q1 を受け取る
熱機関エンジン・ガスタービン・蒸気タービンなど。作動流体の状態を変えて仕事を取り出す
仕事 W = Q1 − Q2回転・往復の動力。発電機や車輪を回す
熱 Q2 を捨てる排気・復水器・冷却水へ
低温熱源(温度 T2)大気・海水・冷却塔など

※熱効率 η は W ÷ Q1。Q2 を0にはできないので、η は必ず1(100%)より小さくなります。

熱機関は、燃料を燃やす場所で大きく2つに分かれ、シリンダーや燃焼器の中で燃やし、燃焼ガスそのものでピストンやタービンを動かすのが内燃機関です。

ボイラーなど機関の外で燃やし、その熱で水や空気を温めて動かすのが外燃機関です。ガソリンエンジン・ディーゼルエンジン・ガスタービンは内燃機関、蒸気機関・蒸気タービン・スターリングエンジンは外燃機関に入ります。

2つの違いと熱効率の比べ方は、外燃機関と内燃機関の違いで詳しく整理しています。「内熱機関」と書かれることもありますが、正しくは「内燃機関」です。

熱機関の効率は、理論的にはカルノーサイクルの効率が上限です。高温側の絶対温度をT1、低温側をT2とすると、次の式で表されます。

ηmax = 1 − T2T1

ηmax:カルノー効率(理論上の上限) T1:高温側の絶対温度[K] T2:低温側の絶対温度[K]

例えば600℃(873.15K)の蒸気で受熱し、30℃(303.15K)で放熱するなら、上限は1−303.15/873.15≒0.65、約65%です。

これは同じ温度範囲で考えられる理論上の上限で、実際の機関の効率ではありません。実機は摩擦や放熱、燃焼の損失があるため、この値よりかなり低くなります(実機の目安は後の図5)。

サイクルごとの違いと詳しい記事は、図4のサイクル一覧にまとめています。

熱機関の工程

熱機関の工程を段階に分けると、次の5つになります。いろいろな機関に共通する流れを説明用に一般化したもので、機関によって順番や使う機器は違います。

図2:熱機関の5つの工程

作動流体に「流入→圧力上昇→加熱→出力→冷却」の順で手を加え、仕事を取り出します。

01動作流体の流入エンジンは空気(と燃料)を吸い込む。蒸気原動所は水を給水ポンプへ
02動作流体の圧力上昇ピストンの圧縮、ガスタービンの圧縮機、蒸気原動所の給水ポンプ
03動作流体の加熱シリンダーや燃焼器の中で燃やす(内燃)か、ボイラーで外から温める(外燃)
04出力の発生高温・高圧の流体が膨張し、ピストンやタービンを動かす
05動作流体の冷却排気として大気へ捨てる(開放サイクル)か、復水器で水に戻して再び使う(閉じたサイクル)

※オットーサイクルの理論では、吸気と排気は1つの等容放熱にまとめて扱います。工程と理論の過程は一対一ではありません。

動作流体の流入

熱機関の最初の工程は、動作流体がシステムに流入する段階で、動作流体は、教科書では「作動流体」とも呼ばれ、機関の中でエネルギーを運ぶ物質です。

一般的には空気や燃焼ガス、水蒸気が使われ、内燃機関の場合は、シリンダーや燃焼器に空気と燃料を取り込み、中で燃やす準備をします。

動作流体の圧力上昇

次に、動作流体の圧力を上げます。ピストンで圧縮する、ガスタービンの圧縮機で押し込む、蒸気原動所では給水ポンプで水を加圧する、といった方法です。

圧力を上げてから熱を加えるほど、膨張で取り出せる仕事が増えます。圧縮比や圧力比が熱効率を左右するのはこのためです。

動作流体の加熱

圧力が上がった動作流体を、さらに加熱すると、流体の温度が上がり、内部エネルギーが増えます。

内燃機関はシリンダーや燃焼器の中で燃料を燃やし、外燃機関はボイラーで外から熱を伝えます。燃料の熱量の数え方は、高位発熱量と低位発熱量の違いで整理しています。

出力の発生

加熱された動作流体が膨張し、機械的な出力を生み出します。ピストンやタービンが流体のエネルギーを受け取り、回転や往復の運動に変えます。

この運動が、車両の駆動力や発電機の回転力になり、出力の発生は、熱機関のいちばん大事な機能です。蒸気やガスがタービン翼を回す仕組みは、動翼と静翼の役割で解説しています。

動作流体の冷却

最後に、仕事を終えた動作流体から熱を捨てますが、ここは機関の形式で2通りに分かれます。

エンジンやガスタービンは、排気を大気へ出して新しい空気を吸い込む開放サイクルで、大気が低温熱源の役を担い、理論ではこれを「放熱」の過程に置き換えます。

火力発電所の蒸気原動所は、タービンを出た蒸気を復水器で冷やして水に戻し、再びボイラーへ送る閉じたサイクルで、復水器の冷却には海水や冷却塔の水を使います。

自動車のラジエーターはエンジン本体を冷やす装置で、作動流体を回収するものではありません。

熱機関の構成要素

熱機関のサイクルは、次の4つの状態変化の組み合わせで表せます。何を一定に保つかで名前が決まり、組み合わせ方でサイクルの種類が変わります。

図3:4つの状態変化と使われる場面

どの量を一定にするか、熱の出入りがあるかで区別します。

一定に保つもの
熱の出入り
使われる場面の例
等圧変化
圧力
あり(加熱なら体積が増える)
ディーゼルの燃焼、ガスタービンの燃焼器、ボイラー・復水器
等容変化
体積
あり(仕事はしない)
オットーの燃焼、オットー・ディーゼルの放熱
等温変化
温度
あり(膨張なら受熱、圧縮なら放熱)
カルノー・スターリング・エリクソンの受熱と放熱
断熱変化
熱の出入りなし
なし(圧縮で温度が上がり、膨張で下がる)
エンジンの圧縮・膨張、圧縮機・タービン

※理論サイクルでは、作動流体を理想気体(ランキンサイクルは水・蒸気)として、摩擦のない可逆変化で考えます。

等圧変化

等圧変化とは、圧力が一定のまま、体積や温度が変わる過程です。

熱機関では、動作流体が熱を受け取る場面でよく現れます。ディーゼルエンジンの燃焼、ガスタービンの燃焼器、ボイラーの蒸発が代表例で、加熱すると圧力は変わらず体積が増えます。

等容変化

等容変化は、体積が一定のまま、圧力や温度が変わる過程です。

ガソリンエンジンで点火した混合気が一瞬で燃え、ピストンがほとんど動かない間に圧力が急に上がる場面が、これにあたります。体積が変わらないので、この間に外へ仕事はしません。

等温変化

等温変化とは、温度が一定のまま、圧力と体積が変わる過程です。

温度を保ったまま膨張させるには、外から熱を受け取り続ける必要があり、逆に等温で圧縮するときは、熱を外へ逃がし続けます。

受熱と放熱を等温で行うカルノー・スターリング・エリクソンのサイクルは、同じ温度範囲で最も高い理論効率になります。スターリングとエリクソンは、理想の再生器がある場合です。ただし熱をゆっくり伝える必要があり、実機でそのとおりに動かすのは困難です。

断熱変化

断熱変化は、外部との熱のやり取りがない状態で、圧力や体積が変わる過程です。

ピストンや圧縮機ですばやく圧縮すると、熱が逃げる間がなく、加えた仕事がそのまま内部エネルギーになって温度が上がります。膨張ではその逆で、温度が下がりながら外へ仕事をします。

熱の出入りと内部エネルギーの関係は、エンタルピーと内部エネルギーの違いで詳しく扱っています。

熱機関の種類

代表的な熱機関の種類(理論サイクル)は次のとおりです。熱をどの状態変化で受け取り、どれで捨てるかが、サイクルごとの違いです。

図4:熱機関のサイクル一覧と詳しい記事

受熱・放熱の過程と代表的な機関を並べました。リンクから各サイクルの式と線図へ進めます。

サイクル
受熱と放熱の過程
代表的な機関
詳しい記事
カルノー
等温で受熱・等温で放熱(間は断熱)
実機なし。効率の上限の基準
オットー
等容で受熱・等容で放熱
ガソリンエンジン、ガスエンジン
ディーゼル
等圧で受熱・等容で放熱
ディーゼルエンジン(船・トラック・発電機)
サバテ
等容+等圧で受熱・等容で放熱
乗用車などのディーゼルエンジン
ディーゼルサイクルの記事の「サバテサイクルとの違い」
ブレイトン
等圧で受熱・等圧で放熱
ガスタービン、ジェットエンジン
エリクソン
等温で受熱・等温で放熱(間は等圧、再生器つき)
熱空気機関。理論のモデル
スターリング
等温で受熱・等温で放熱(間は等容、再生器つき)
スターリングエンジン
ランキン
等圧で受熱(蒸発)・等圧で放熱(凝縮)
蒸気タービン(火力・原子力発電)
冷凍サイクル
逆向き。低温側で吸熱し、仕事を入れて高温側へ放熱
冷蔵庫、エアコン、冷凍機
ランキンサイクルの記事の「逆ランキンサイクル」

※冷凍サイクルは熱機関の逆サイクルで、仕事を取り出すのではなく仕事を使って熱を運びます。内燃機関と外燃機関の分け方は外燃機関と内燃機関の違いへ。

カルノーサイクル

カルノーサイクルは、理想的な熱機関のモデルとして知られ、熱力学の基本原理を示すサイクルです。

等温膨張・断熱膨張・等温圧縮・断熱圧縮の4つの過程からなり、同じ温度範囲で動くサイクルの中で効率が最も高くなります。実機で再現するのは難しく、他のサイクルや実機の効率を比べる基準として使われます。

4つの過程と効率の式の導き方は、カルノーサイクルとは?4つの過程と熱効率の式で解説しています。

オットーサイクル

オットーサイクルは、ガソリンエンジンに代表される熱機関の理論サイクルで、断熱圧縮・等容受熱・断熱膨張・等容放熱の4過程で表します。

実機は吸気・圧縮・燃焼(膨張)・排気の4つの行程で動き、自動車の内燃機関で広く使われています。圧縮比が高いほど理論効率は上がりますが、ノッキング(異常燃焼)が起きやすくなるため設計に工夫が要ります。

ノッキングとガソリンの性質の関係は、オクタン価とセタン価の違いで扱っています。

関連記事:オットーサイクルとは?P-v線図・T-s線図と理論熱効率の式・導出

ディーゼルサイクル

ディーゼルサイクルは、ディーゼルエンジンの理論サイクルで、オットーサイクルと似ていますが、熱を等圧で受け取る点が違います。

実機では空気だけを強く圧縮し、圧縮行程の終わりに燃料を噴射します。圧縮で高温になった空気で燃料が自己着火するため、点火プラグは要りません。

圧縮比を15〜20程度と高く取れるため燃費がよく、トラックや船舶、発電機に多く使われています。

関連記事:ディーゼルサイクルとは?P-v線図・T-s線図と熱効率の式・導出

サバテサイクル

サバテサイクルは、オットーサイクルとディーゼルサイクルの中間的な性質を持つサイクルで、複合サイクルとも呼ばれます。

熱の受け取りを、体積一定の部分(等容受熱)と圧力一定の部分(等圧受熱)の2段で表します。噴射した燃料の一部が一気に燃え、残りがピストンの動きに合わせて燃えるという、実際のディーゼルエンジンの燃え方に近いモデルです。

3つのサイクルの受熱のしかたの比較は、ディーゼルサイクルの記事の「ディーゼルサイクルとサバテサイクルの違いは?」に図でまとめています。

ブレイトンサイクル

ブレイトンサイクルは、ジェットエンジンやガスタービンに用いられるサイクルで、断熱圧縮・等圧受熱・断熱膨張・等圧放熱の4過程からなります。

圧縮機で空気を圧縮し、燃焼器で燃やしたガスをタービンで膨張させ、航空機ではその勢いで推力を得て、発電所では発電機を回します。

関連記事:ブレイトンサイクルとは?T-s線図・P-v線図と熱効率の式、再生サイクル

エリクソンサイクル

エリクソンサイクルは、等温圧縮・等圧受熱・等温膨張・等圧放熱の4過程からなる理論サイクルで、19世紀にスウェーデン出身の技術者ジョン・エリクソンが開発した熱空気機関に名前が由来します。

外から熱を受け取るのは等温膨張のとき、捨てるのは等温圧縮のときです。2つの等圧過程の間は、再生器(熱をいったん蓄えて戻す熱交換器)で熱をやり取りします。

等圧放熱で捨てる熱を再生器にため、等圧受熱でそのまま作動流体に戻せば、外との熱の出入りは等温の部分だけになります。このため理想の再生器があれば、効率は同じ温度範囲のカルノー効率と等しくなります。

スターリングサイクルとの違いは、再生器を通る間を等圧で扱うか、等容で扱うかだけで、どちらも理論上の効率はカルノーと同じです。

ピストン機関でエリクソンサイクルをそのまま実現した例はほとんどありません。一方、ガスタービンに中間冷却(圧縮の途中で冷やす)・再熱(膨張の途中で温め直す)・再生を何段も重ねると、このサイクルに近づきます。

ブレイトンサイクルを改良していった先の理想形が、エリクソンサイクルという位置づけで、再生の考え方は、ブレイトンサイクルの記事の再生サイクルの節でも扱っています。

スターリングサイクル

スターリングサイクルは、外燃機関のスターリングエンジンに用いられるサイクルで、シリンダーに閉じ込めたガスを外から温めたり冷やしたりして、膨張と圧縮を繰り返して動力を得ます。

理論では等温膨張・等容放熱・等温圧縮・等容受熱の4過程で、等容の2過程の間は再生器で熱をやり取りします。外燃機関なので、燃料の燃焼だけでなく排熱や太陽熱など熱源を選ばないのが特徴です。

エンジンの構造とカルノーサイクルとの違いは、スターリングサイクルとはで解説しています。

ランキンサイクル

ランキンサイクルは、蒸気機関や火力発電所で広く採用されている熱機関のサイクルです。

給水ポンプで水を加圧し、ボイラーで加熱して蒸気にし、その蒸気でタービンを回します。タービンを出た蒸気は復水器で水に戻り、再びポンプへ送られます。

作動流体が水と蒸気の間で状態を変えるのが、ほかのサイクルとの大きな違いです。火力発電のほか、原子力発電や地熱発電でも同じサイクルが使われています。

関連記事:ランキンサイクルとは?熱効率の式・P-v線図と再生・再熱サイクルをわかりやすく

冷凍サイクル

冷凍サイクルは、冷却や冷凍を目的としたサイクルで、冷蔵庫やエアコン、冷凍機に使われています。

低温の側から熱を吸収し、それを高温の側へ放出して冷やします。熱機関とは向きが逆で、仕事を取り出すのではなく、圧縮機に仕事(電力)を入れて熱を運ぶサイクルです。

そのため、冷凍サイクルは熱機関そのものではなく「熱機関の逆サイクル」と呼ばれます。代表的な蒸気圧縮冷凍サイクルはランキンサイクルを逆向きにしたもので、空気冷凍サイクルはブレイトンサイクルを逆向きにしたものです。

機器の対応は、ランキンサイクルの記事の「逆ランキンサイクルとは」で図にしています。

熱機関の利用用途

熱機関は工業・商業・家庭の各分野で使われています。用途によって機関の大きさも効率も大きく違うため、まず代表的な機関の熱効率の目安を並べます。

図5:熱機関の熱効率の目安

各社が公表した代表的な高効率機の値です。条件が違うので、順位ではなく大きさの目安として見てください。

自動車用ガソリンエンジン内燃・機関単体(トヨタ HV用)

41%

発電用ガスタービン内燃・単純サイクル(三菱重工 M501JAC)

44.0%

石炭火力(超々臨界圧)外燃・発電所(九州電力 松浦2号)

45%以上

発電用ガスエンジン内燃・機関単体(川崎重工 KG-18-T)

51.0%

コンバインドサイクル内燃+外燃・発電所(西名古屋7-1号)

63.08%

※自動車用は最大熱効率(最も効率のよい運転点)、ガスタービンは三菱重工公表の単純サイクル効率(低位発熱量基準)、松浦2号は発電端・低位発熱量基準、ガスエンジンは川崎重工公表の発電効率、コンバインドサイクルは発電端(gross)の値です。測る条件と基準がそろっていないため、数字の大小だけで方式の優劣は決まりません。

どの値も、それぞれの受熱と放熱の温度で決まるカルノー効率より低くなります。コンバインドサイクルが600℃の例(約65%)に近い値を出せるのは、ガスタービンが1,500℃を超える燃焼ガスで受熱し、上限そのものが高いためです。

ガスタービンの高温の排気でさらに蒸気タービンを回すコンバインドサイクルにすると、熱機関を組み合わせて60%を超えます。

工業用途

工業用途の代表例は発電所で、火力発電所では、燃料を燃やした熱で蒸気を作り、蒸気タービンを回して発電します。LNG火力では、ガスタービンと蒸気タービンを組み合わせたコンバインドサイクルが主力です。

工場でも、ガスタービンやガスエンジン、蒸気タービンで自家発電をしています。発電の排熱で蒸気や温水も作る方式はコージェネレーションと呼ばれ、燃料の熱を電気と熱の両方で使えます。

製鉄所では、高炉ガスなど工程で出るガスを燃料にして発電する設備もあります。コージェネとコンバインドサイクルの違いは、コージェネレーションとコンバインドサイクルの違いで整理しています。

商業用途

商業分野では、船舶・飛行機・トラックなど輸送手段の動力のほとんどが内燃機関で、大型の船はディーゼルエンジン、旅客機はジェットエンジン(ガスタービン)で動いています。

ビルや商業施設では、停電に備えた非常用発電機にディーゼルエンジンやガスタービンが使われます。

空調そのものは冷凍サイクル(逆サイクル)で動きます。ただしガスエンジンで圧縮機を回すガスヒートポンプ(GHP)のように、空調の動力に熱機関を使う方式もあります。

家庭用途

家庭の機器で熱機関に当たるかどうかは、熱を仕事(動力・電気)に変えているかで見分けられます。

ガス給湯器や石油ファンヒーターは燃料の熱をそのまま使う燃焼機器で、熱機関ではありません。冷蔵庫やエアコンも、電気で動く冷凍サイクルです。

家庭用のコージェネレーションでは、ガスエンジンで発電して排熱をお湯に使う「エコウィル」は熱機関です(新規販売は2017年9月に終了)。一方、燃料電池の「エネファーム」は燃料の化学エネルギーを直接電気にするため、熱機関ではありません。

家庭でいちばん身近な熱機関は、自家用車のガソリンエンジンやディーゼルエンジンで、電動化でエンジンまわりの部品がどう変わるかは、EVシフトで部品メーカーはどう変わるかで数字とともに整理しています。

熱機関のよくある質問

内熱機関とは?

「内熱機関」は、多くの場合「内燃機関」の書き間違いで、内燃機関は、シリンダーや燃焼器の中で燃料を燃やし、燃焼ガスで直接ピストンやタービンを動かす熱機関を指します。

ガソリンエンジン、ディーゼルエンジン、ガスタービン、ジェットエンジンが内燃機関で、外燃機関との比較は、本文の「熱機関とは」と図4を参照してください。

熱効率が100%にならないのはなぜ?

熱機関は、受け取った熱の一部を必ず低温側へ捨てないと、次のサイクルに戻れないからです。捨てる熱Q2がある以上、仕事W=Q1−Q2は受け取った熱Q1より小さくなります。

理想の機関でも上限はカルノー効率1−T2/T1で、高温側の温度を上げるか、低温側の温度を下げるほど、上限は高くなります。

熱機関と電動機(モーター)の違いは?

熱機関は熱を仕事に変え、電動機は電気を仕事に変え、どちらも回転の動力を生みますが、元のエネルギーが違います。

電動機は低温側へ熱を捨てる必要がないため、カルノー効率の制約を受けません。ただし火力発電の電気で動かす場合は、発電所の熱機関の効率が電気を作る段階でかかっています。

まとめ

この記事のまとめ
  • 熱機関は、熱エネルギーを機械的エネルギーに変換する装置で、高温側から受け取った熱の一部を仕事にし、残りを低温側へ捨てる
  • 燃料を機関の中で燃やすのが内燃機関、外で燃やすのが外燃機関(「内熱機関」は内燃機関の誤記)
  • サイクルは等圧・等容・等温・断熱の4つの変化の組み合わせで、熱の受け取り方と捨て方で種類が分かれる
  • 効率の上限はカルノー効率。エリクソン・スターリングは再生器があれば理論上カルノーと同じ効率になる
  • 実機の熱効率の目安は自動車用で約40%、大型ガスエンジンで51%、コンバインドサイクルで60%超

熱機関は、発電所、輸送、工場の自家発電まで、製造業のエネルギーの土台を支える技術です。気になったサイクルは図4の一覧から、式と線図の記事へ進んでください。

熱機関とサイクルはエネルギー管理士試験でもよく出る分野です。工場での役割は製造業のエネルギー管理士の仕事、熱を無駄なく使う考え方は工場の省エネとはでまとめています。

出典

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プラント機器メーカーとプラントメーカーで約10年、設備の提案・設計・試運転に携わったのち、Webマーケターに転身。現在はBtoB製造業専門のWebコンサルタントとして、メーカーの情報発信を支援しています。エネルギー管理士/第三種電気主任技術者。工業技術ブログを2017年から運営(500本以上執筆)、YouTube登録者約2万人、Xフォロワー約1万人。

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