コークスと石炭の違いとは?作り方(乾留)・発熱量の比較表・用途と種類

製鉄所のコークス炉から押し出され、貨車に落ちる赤熱したコークス

コークスとは、石炭を空気を断って1,200℃前後で蒸し焼き(乾留)にし、炭素の割合を高めた塊で、石炭は掘り出したままの原料、コークスはそれを加工した製品、という関係です。

資源エネルギー庁の標準値では、1kgあたりの発熱量はコークスも原料の石炭(原料炭)も約29 MJで、大きくは変わりません。それでも製鉄所の高炉には、石炭を一度コークスに加工してから入れるのが基本です。

この記事では、石炭の種類、コークスの作り方(乾留)、製鉄での役割、発熱量の比較表の順に、両者の違いを整理します。石油コークスとの違いや、よくある誤解も最後にまとめます。

目次

石炭とコークスの違い

石炭とコークスの違いは、自然から掘り出された原料が石炭、それを加工して炭素の割合を高めたものがコークスで、コークスは燃料のほか、製鉄で鉄鉱石の酸素を取り去る還元材に使われます。

コークスは灰分を含んだ多孔質(すき間の多い)の炭素質で、骸炭(がいたん)ともいいます。違いを短く並べると、次の3点です。

  • 原料か加工品か:石炭は天然の原料、コークスは石炭を乾留した加工品
  • 中身:コークスはガスやタールのもと(揮発分)が抜け、炭素が約90%の固い塊
  • 主な用途:石炭は発電・ボイラーの燃料とコークスの原料、コークスは製鉄の高炉

図1:石炭はどこへ行き、コークスは何に使われるか

掘り出した石炭のうち、粘結性のある原料炭がコークス炉で乾留され、高炉へ送られます。

石炭原料炭コークス炉乾留コークス高炉鉄をつくる一般炭発電所の燃料ガス・タール

※原料炭と一般炭の区分は資源エネルギー庁「石炭とは」、コークス炉ガスの利用は日本製鉄「製銑工程」によります。

掘り出されてすぐの石炭は、サイズ、水分量、発熱量などがバラバラなため、そのままでは扱いにくい燃料で、そこで粉砕、乾留などを経て、用途に合う製品に加工したものがコークスです。

石炭とは(原料と種類)

石炭の元は、大昔の植物です。植物が積もって地中に埋もれ、長い年月をかけて地圧や地熱を受け、炭素分の多い燃える岩石になったものとされています(資源エネルギー庁)。

湿地などで酸素の少ない水中に沈んだ樹木は、分解されずに泥炭として積もります。これが地圧と地熱で褐炭、瀝青炭(れきせいたん)、無煙炭へと変わっていく過程を「石炭化」と呼びます。

石炭化が進むほど、酸素や水素が抜けて炭素が増え、最も進んだ無煙炭は、炭素が90%以上です(日本原子力研究開発機構 ATOMICA)。

日本では一般に、無煙炭から褐炭までを石炭と呼びます。用途で分けると、粘結性のある「原料炭」はコークスの原料に、「一般炭」は主に発電用の燃料に使われます。

図2:石炭の種類と JIS M 1002 の区分

日本の JIS では、石炭を発熱量と燃料比で区分し、粘結性(加熱すると固まる性質)も添えています。

種類
JIS の区分(発熱量・燃料比)
粘結性
主な使われ方
無煙炭(A)
燃料比 4.0 以上(発熱量の区分なし)
非粘結
練炭・カーバイドの原料、セメントキルンの燃料
瀝青炭(B・C)
33,910 kJ/kg 以上(8,100 kcal/kg 以上)
強粘結・粘結
原料炭としてコークスの原料に。発電用の一般炭にも
亜瀝青炭(D・E)
30,560 以上 33,910 kJ/kg 未満(7,300〜8,100 kcal/kg)
弱粘結・非粘結
主に一般炭として発電・ボイラーの燃料
褐炭(F)
24,280 以上 30,560 kJ/kg 未満(5,800〜7,300 kcal/kg)
非粘結
水分が多く、採掘地の近くの火力発電所で使用

※発熱量は補正無水無灰基(水分と灰分を除いた値)。瀝青炭のB1・B2は燃料比1.5を境に分かれます。「種類」は石炭化度による分け方で、原料炭・一般炭は用途による別の分け方です。区分の数値は IHI 技報(2016)が掲載した JIS M 1002(炭量計算基準)の分類表、使われ方は資源エネルギー庁・ATOMICA の説明によります。

粘結性とは、加熱すると軟らかくなって粒どうしがくっつき、固まる性質で、この性質がある石炭でないと、乾留しても固い塊のコークスになりません。

燃料比は、固定炭素を揮発分で割った値です。燃料比が大きいほど石炭化が進んでいますが、火はつきにくくなります(カーボンフロンティア機構 JCOAL)。燃料比の考え方は石炭の燃料比と性質でも解説しています。

褐炭は、水分や不純物を多く含む品質の低い石炭です。乾燥すると自然発火のおそれがあり、輸送効率も低いため、採掘地の近くの火力発電所でしか使われないのが一般的です(資源エネルギー庁)。

コークスとは(作り方と乾留)

コークスは、製鉄所などにあるコークス炉で作られ、空気を入れずに外から熱して蒸し焼きにする「乾留」が、作り方の中心です。

原料には、粘結性に富む強粘結炭に、弱粘結炭を少し混ぜて使います(日本鉄鋼連盟)。三菱ケミカルの香川事業所では、世界各国から輸入した30〜40種類の石炭を、目的に応じて組み合わせています。コークスは主に次のように作られます。

  1. 石炭を粉砕してサイズをそろえ、銘柄の違う石炭を配合する
  2. 空気を遮断した炉(炭化室)に入れ、1,200〜1,300℃で14〜18時間蒸し焼きにする(乾留)
  3. タールやガス(水素・メタンなど)、アンモニアなどの揮発分が抜ける(硫黄の一部も抜ける)
  4. 炭素の割合が上がり、単位質量あたりの発熱量が増える

温度と時間は、JFE 21世紀財団の鉄鋼技術の解説によります。日本コークス工業は約1,200℃・約17時間、日本鉄鋼連盟は「十数時間」と説明しており、炉や操業で幅があります。

図3:コークスができるまでの5工程

いくつもの銘柄の石炭を配合し、空気を断った炉で十数時間かけて蒸し焼きにします。

01受け入れ世界各地の原料炭を、銘柄ごとに貯炭場へ
02粉砕・配合粒をそろえ、求める品質に合わせて銘柄を混ぜる
03装入・乾留炭化室で1,200〜1,300℃、14〜18時間。外から間接的に加熱する
04押し出し赤熱したコークスを押出機で炉の外へ
05消火・出荷水か循環ガスで冷やす。ガスで冷やす乾式消火(CDQ)は排熱で発電
副副産物の回収抜けたガスとタールを精製し、燃料ガス・化学原料に

※温度・時間は JFE 21世紀財団、工程は日本コークス工業の説明によります。日本コークス工業は約1,200℃・約17時間としています。

炉から押し出したばかりのコークスは、真っ赤に赤熱しており、これに水をかけるか、炉の中で循環させたガスに触れさせて冷やします。ガスで冷やす乾式消火(CDQ)では、回収した熱で発電もできます。

乾留でガスやタールが抜ける分、重さは減ります。日本コークス工業によると、原料炭の4分の3がコークスになり、残りの4分の1がガスやタールなどとして回収されます。

図4:原料炭は乾留で何になるか

原料炭4のうち3がコークスとして残り、1がガスやタールとして抜けます。

原料炭の4分の3がコークス、4分の1が COG(コークス炉ガス)・軽油・タールなど

※日本コークス工業「コークス事業」の説明によります。割合は石炭の銘柄や操業条件で変わります。

石炭を乾留する際に発生するコークス炉ガスは COG(Coke Oven Gas)と呼ばれ、水素が主成分で、有害な成分を除いたあと、製鉄所の中の燃料や発電に使われています。

かつては日本の都市ガスにも、石炭系の原料が使われていました。いまの都市ガスは、1969年から約40年かけて天然ガス(LNG)へ原料を切り替えたものです(日本ガス協会)。

タールなどの副産物も捨てずに使われ、精製すると、ベンゼン・トルエン・キシレン、ナフタリン、炭素繊維の原料などになります。

製鉄でコークスが使われる理由

揮発分が抜けて炭素の割合が高くなったコークスは、高炉の中でもつぶれにくい強さがあるため、製鉄では、鉄鉱石から酸素を取り去る還元材と、鉄を溶かす熱源の両方として使われます。日本製鉄や日本鉄鋼連盟は、高炉でのコークスの役割を次の3つにまとめています。

図5:高炉でのコークスの3つの役割

コークスは、熱を出すだけでなく、鉄鉱石から酸素を奪い、炉の中の通り道も支えます。

還元材燃えてできる一酸化炭素などが、鉄鉱石の酸素を奪う
熱源熱風で燃えて高温を出し、鉄鉱石や石灰石を溶かす
通り道固い塊のまま残り、ガスと溶けた鉄が通るすき間を保つ
高炉用コークスには、つぶれにくい強さ・そろった粒の大きさ・灰分や硫黄分の少なさが求められます

※日本製鉄「製銑工程」、日本鉄鋼連盟「鉄鋼の原料」「高炉の中で」によります。

高炉の下から熱風を吹き込むと、コークスが燃えて高温になり、一酸化炭素などの還元ガスが出ます。このガスが炉内を上りながら、鉄鉱石の酸素を奪います(間接還元)。

Fe2O3 + 3CO → 2Fe + 3CO2
酸化鉄(鉄鉱石の主成分)が一酸化炭素で還元され、鉄になる代表的な反応。溶けた鉄は、さらにコークスの炭素に触れて還元されます(直接還元)。

高炉の中では、鉄鉱石とコークスが層になって交互に積み重なっています。ガスや溶けた鉄が通り抜けられるのは、固いコークスの層が骨組みとして残るからです。

この骨組みを保つため、高炉用のコークスには、つぶれにくい強さ、そろった粒の大きさ、灰分・水分・硫黄分が少ないことが求められます(日本鉄鋼連盟)。JFE 21世紀財団も、高温でも粉にならない強さが必要だとしています。

一方で、粘結性が低くコークスに向かない石炭を細かく砕き、高炉の羽口(熱風の吹き込み口)から吹き込む「微粉炭吹き込み」も広く使われています。

吹き込んだ石炭は、熱と還元ガスの一部を受け持ちますが、炉の中で固い塊として残るわけではないので、コークスを置き換えるものではなく、コークスの使用量を減らす工夫です。

日本の主な製鉄所は、敷地内にコークス炉を持っています。製鉄会社ごとの拠点は日本製鉄とJFEスチールの違いで比べています。

コークスで鉄を還元すると、炭素が CO2 になって出ていくため、還元材の一部を水素に置き換える製鉄法の開発が進んでいます。

石炭とコークスの比較表

石炭とコークスの違いを、1つの表にまとめます。発熱量だけでは用途の違いは説明できません。表では「揮発分」と「形・強さ」の行に注目してください。高炉で効くのは、この2つの違いです。

石炭コークス
つくり方地中から掘り出した天然の燃料石炭を空気を遮断して高温で蒸し焼き(乾留)にしたもの
原料大昔の植物石炭(粘結性のある原料炭が中心)
炭素の割合種類で差が大きい(無煙炭は90%以上)固定炭素で約90%
揮発分多い(燃やすと炎や煙が出やすい)ほとんどない(煙が少なく高温で燃える)
形・強さ種類によって硬さ・水分がまちまちすき間の多い多孔質で、高温でもつぶれにくい塊
発熱量(1kgあたり)約24〜29 MJ(褐炭・亜炭は約13 MJ)約29 MJ
主な用途火力発電・ボイラーの燃料、コークスの原料製鉄(高炉の還元材・熱源)、鋳物の溶解、非鉄金属の精錬

発熱量は、資源エネルギー庁の2023年度標準発熱量です。燃料として比べるのか、製鉄の材料として比べるのかで、見るべき行が変わります。

発熱量の比較(早見表)

石炭とコークスの発熱量を、公的な標準値で比べます。資源エネルギー庁は、総合エネルギー統計に使う燃料ごとの標準発熱量を公表しています。

比べてよいのは、同じ基準でそろえた数字どうしで、ここでは、すべて「総発熱量」「水分と灰分を含んだ状態」の値で並べます。

図6:1kgあたりの発熱量の比較(MJ/kg)

コークスと原料炭の差は約2%。石炭の中では、種類による差のほうがずっと大きくなります。

褐炭・亜炭※
13.05
国産一般炭
24.25
輸入一般炭
25.88
輸入無煙炭
26.59
コークス用原料炭
28.78
コークス
29.44
石油コークス
34.11
コールタール
37.26

※資源エネルギー庁「エネルギー源別標準発熱量・炭素排出係数一覧表」の2023年度標準発熱量(総発熱量)。固体は水分・灰分を含んだ状態の値です。褐炭・亜炭は2023年度値がないため2013年度の標準発熱量。JIS の区分(図2、無水無灰基)とは基準が違います。

この値は総発熱量(高位発熱量)で、燃えてできた水蒸気が水に戻るときの熱まで含みます。ボイラーの効率計算などで使う低位発熱量との違いは、高位発熱量と低位発熱量の違いで整理しています。

早見表として、kcal の値も並べます。A重油・LNG・コークス炉ガスは、比べるときの目安として載せた参考値です。

燃料標準発熱量(MJ)kcal 換算単位
褐炭・亜炭(2013年度値)13.05約3,1201kgあたり
国産一般炭24.25約5,7901kgあたり
輸入一般炭25.88約6,1801kgあたり
輸入無煙炭26.59約6,3501kgあたり
コークス用原料炭28.78約6,8701kgあたり
コークス29.44約7,0301kgあたり
石油コークス34.11約8,1501kgあたり
コールタール37.26約8,9001kgあたり
A重油(参考)38.82約9,2701Lあたり
LNG(参考)54.69約13,0601kgあたり
コークス炉ガス(参考)18.19約4,3401m3あたり(25℃・1bar)
出典:資源エネルギー庁「エネルギー源別標準発熱量・炭素排出係数一覧表」の2023年度標準発熱量(2025年3月改訂)。総発熱量、固体は水分・灰分を含んだ状態。kcal は 1 kcal=4.18605 kJ で換算し、10 kcal 単位に丸め。褐炭・亜炭は2023年度値がないため2013年度の標準発熱量。A重油は、算定・報告・公表制度の単位発熱量(38.9 MJ/L)とは出典が違うため、値が少しずれます

コークスはコークス用原料炭より、1kgあたり約2%高い計算で(29.44÷28.78≒1.02)、乾留で水分や揮発分が抜け、燃える炭素の割合が上がるためです。

ただし、石炭が持っていた熱が増えたわけではなく、原料炭1kg(28.78 MJ)から約0.75kgのコークスができるとすると、コークスに残る熱は約22 MJ、元の約77%です。

0.75 kg × 29.44 MJ/kg ≒ 22.1 MJ
22.128.78 ≒ 0.77
原料炭1kgの熱のうち、コークスに残る割合の目安(収率4分の3を使った概算)。残りはコークス炉ガスやタールに移り、燃料・化学原料として回収されます。

ここで注意したいのが、数字の基準です。統計の標準発熱量は、水分や灰分を含んだままの値なので、石炭化が進んだ輸入無煙炭でも、原料炭より低い値になっています。

一方、上の図2の JIS M 1002 の区分は、水分と灰分を除いた値(補正無水無灰基)で、同じ石炭でも統計値より大きく出るので、2つの表の数字を直接比べないようにします。

重油など液体燃料の発熱量や性質は、重油の種類と特徴で解説しています。

炭素の量と燃え方の違い

コークスは、固定炭素が約90%の燃料です(JFE 21世紀財団)。固定炭素は、水分・灰分・揮発分を除いた残りで、その大部分が炭素です。

石炭は、石炭化が浅いものほど揮発分と水分を多く含み、揮発分の多い石炭は火がつきやすく、燃やすと炎と煙が出やすくなります。

コークスは揮発分がほとんどないため、煙が少なく、赤く光りながら高温で燃えますが、その代わり火はつきにくく、着火には火種や送風が必要です。

硫黄分は乾留で一部が抜けますが、残りはコークスに残り、燃料中の硫黄は排ガスで硫酸になって低温腐食の原因になります。詳しくは低温腐食と高温腐食の違いで解説しています。

石油コークス・木炭との違い

「コークス」と名のつくものには、石炭から作るコークスのほかに石油コークスがあります。ふつう単に「コークス」といえば、石炭から作るものを指します。

図7:「コークス」と名のつくもの・似たもの

原料・作り方・主な用途で並べると、混同しやすい3つの違いが見えます。

石炭コークス
原料:石炭原料炭を1,200〜1,300℃で乾留。高炉・鋳物・非鉄精錬に。ふつう「コークス」といえばこれ
石油コークス
原料:重質油原油の精製で残る重質油を熱分解した残り。燃料のほか、か焼して電極・研削材の原料に
木炭
原料:木木を空気を断って蒸し焼きにしたもの。揮発分を飛ばして炭素を残す考え方は同じ
「炭素」は元素の名前で、上の3つはどれも炭素を主成分とする製品です。灰分や硫黄などの中身と、粒の強さが違います

※石油コークスは JOGMEC 石油・天然ガス用語辞典・ENEOS 石油便覧によります。

石油コークスは、原油を精製したあとに残る重い油(重質油)を熱分解したときの残りで、石炭コークスより灰分が少なく、標準発熱量は1kgあたり34.11 MJと高めです。

焼いて揮発分を除いた「か焼コークス」は、アルミ製錬の電極などに使われます。硫黄分は原料の油によって幅があり、用途によっては低硫黄のものが求められます。

木炭は、石炭ではなく木を蒸し焼きにしたもので、空気を断って加熱し、揮発分を飛ばして炭素を残すという考え方は、コークスの乾留と同じです。

石炭とコークスのよくある質問

コークスは天然ガスを主原料として製造される?

誤りです。コークスの主原料は石炭で、中でも粘結性のある原料炭を配合して乾留します。天然ガスが主な原料になっているのは、都市ガスです。石油からは石油コークスができますが、これも天然ガスではなく重質油が原料です。

石炭の原料(元)は何?

石炭の元は、大昔の植物です。植物が湿地などに積もって地中に埋もれ、地圧と地熱を長い年月受けて、泥炭→褐炭→瀝青炭→無煙炭の順に変わっていきます。

褐炭とは?

褐炭は、石炭化の度合いが低く、水分や不純物の多い石炭で、JIS M 1002 では、発熱量(補正無水無灰基)が 24,280 以上 30,560 kJ/kg 未満の石炭に当たります。

乾くと自然発火しやすく輸送に向かないため、国際的にはほとんど取引されません。オーストラリアでは、褐炭から水素をつくって日本へ運ぶ実証事業(2015〜2020年度)が進められました。

石油コークスとは?

石油コークスは、アスファルト級の重質油をコーキング装置で熱分解したときに残る、炭素が主成分の固体です。原料が石炭ではなく石油である点が、ふつうのコークスとの違いです(詳しくは前の章)。

コークスと炭素の違いは?

炭素は元素の名前で、コークスはその炭素を主成分とする製品の名前で、コークスには炭素のほか、灰分(燃え残る鉱物)や硫黄、わずかな揮発分が含まれます。

同じ炭素が主成分でも、原子の並び方が整った黒鉛(グラファイト)や、木からできる木炭は別のものです。焼いて揮発分を除いた石油コークスは、電極の原料に使われます。

コークスは燃料として使える?

使えます。高炉用のほか、鋳物を作るときに金属を溶かす鋳物用コークス、石灰焼成や非鉄金属の精錬に使う一般用コークスがあります(日本コークス工業)。

一方、発電やボイラーの燃料には、主に一般炭が使われます。ボイラーで燃料の熱をどれだけ蒸気に変えられたかは、ボイラー効率の計算方法で確かめられます。燃料の選び方はボイラ燃料の種類と特徴も参考になります。

石炭は英語で何という?

石炭は英語で coal、コークスは coke です。石炭の種類は、次のように呼びます。

  • 無煙炭:anthracite
  • 瀝青炭:bituminous coal
  • 亜瀝青炭:sub-bituminous coal
  • 褐炭:lignite(brown coal)

まとめ

この記事のまとめ
  • 石炭を乾留させたものがコークス。石炭は大昔の植物からできた天然の原料
  • コークスは空気を断って1,200〜1,300℃で14〜18時間蒸し焼きにして作り、原料炭の約4分の3がコークスになる
  • コークスは燃料や還元材として利用され、高炉では還元・熱源・通り道の3つの役割を持つ
  • 1kgあたりの標準発熱量はコークス29.44 MJ、原料炭28.78 MJ、一般炭24.25〜25.88 MJで、差は小さい
  • 副生ガスは COG と呼ばれ燃料として利用される。石油コークスは重質油が原料で別物

石炭とコークスの違いは、石炭が原料でコークスが加工品になる点で、発熱量より、揮発分が抜けて強い塊になったことが、製鉄で使われる理由です。間違えないように注意しましょう。

コークスや鉄鉱石の流れから鉄鋼業界の全体像を知りたい人は、鉄鋼・非鉄金属業界の構造もあわせて読んでみてください。

出典

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プラント機器メーカーとプラントメーカーで約10年、設備の提案・設計・試運転に携わったのち、Webマーケターに転身。現在はBtoB製造業専門のWebコンサルタントとして、メーカーの情報発信を支援しています。エネルギー管理士/第三種電気主任技術者。工業技術ブログを2017年から運営(500本以上執筆)、YouTube登録者約2万人、Xフォロワー約1万人。

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