外燃機関と内燃機関の違いは、燃料を燃やす場所と、動力を生む流体(作動流体)が何かです。外燃機関とは、ボイラーなど機関の外で燃料を燃やし、その熱で水や空気を温めて動く熱機関で、内燃機関は、機関の中で燃やした燃焼ガスそのものでピストンやタービンを動かします。
この記事では、外燃機関の仕組みと例、内燃機関の種類、熱効率の目安、両者を組み合わせたコンバインドサイクル、比較表の順に整理します。
分かれ目は「どこで燃やすか」と「何が動力を生むか」の2点です。
外燃機関とは
外燃機関は作動流体そのものではなく、外部で熱を得た気体(蒸気など)によって動力を得る機関です。作動流体とは、膨張してタービンやピストンを動かす流体を指します。例えば、蒸気で発電する汽力発電(火力発電所の蒸気タービン)が代表的です。

蒸気で発電するときは、ボイラーで燃料を燃やし、水を高圧の蒸気に変え、その蒸気をタービンに送って翼を回すと、つながった発電機から電力が得られます。図の機器は、水と蒸気が一周する順に次の役割を持ちます(図の1〜4は状態点の番号です)。
- ボイラー・過熱器(4→1):燃料の熱で水を沸かし、さらに温度を上げた過熱蒸気にする
- 蒸気タービン(1→2):蒸気が膨張して翼を回し、発電機(G)を回す
- 復水器(2→3):冷却水で蒸気を冷やし、水に戻す
- ポンプ(3→4):水を昇圧して、ふたたびボイラーへ送る
この循環を熱力学で表したものがランキンサイクルで、タービンの中で蒸気を受ける翼の働きは、動翼と静翼の役割で詳しく扱っています。
このとき作動流体の蒸気そのものは燃えず、熱は、外部のボイラーで燃料を燃やして得ます。このような機関を外燃機関と呼び、蒸気発電以外にも、蒸気機関車、スターリングエンジンなどが外燃機関に当たります。
どれも「外で作った熱で、燃えない作動流体を温める」点が共通です。
蒸気タービンと蒸気機関は、水を沸かした蒸気を使うランキンサイクルの仲間です。スターリングエンジンは気体を相変化させずに使う点が違い、詳しくはスターリングサイクルで整理しています。外燃機関の特徴は次の4つです。
- 燃焼できれば燃料は何でもいい(石炭、ゴミ、木くずなど)
- 内燃機関に比べ機器構成が大きくなる(ボイラー・復水器・ポンプが要る)
- 主に大型の工業プラントや発電所で利用される
- 熱を壁ごしに渡す間接的な方式のため、熱効率は高くしにくい(石炭火力で送電端39〜42%程度、最新鋭の超々臨界圧で発電端45%以上)
燃料を選ばない点は、外燃機関の大きな強みで、燃えるものなら、燃焼室の外で熱だけを取り出せるからです。ボイラーの排ガスに残る熱は、エコノマイザ(節炭器)で給水を温めて回収します。
工場の外燃機関では、タービンから出てきた蒸気をそのまま工程の加熱源に使い、全体の効率を上げる方法がよく取られます。背圧タービンの排気蒸気を、乾燥や加熱の用途へ回す使い方です。原子力発電なども、原子炉で発生させた熱で蒸気を作って発電しています。
内燃機関とは
内燃機関は作動流体そのものを燃焼させて動力を得る機関で、同じく発電を例に挙げると、ガスタービン発電がこれに当たります。液化天然ガス(LNG)などを気化させ、燃焼器で空気と混ぜて燃やします。
燃焼ガスは高温になって膨張し、その勢いでタービンの翼を回して電力を得る仕組みです。このように、作動流体そのものを燃焼させて動力を得る機関を内燃機関と呼びます。身近な熱機関はほとんどが内燃機関で、車のガソリンエンジン、ディーゼルエンジン、飛行機のジェットエンジンなどがこれに当たります。
動き方はピストン式と回転式の2つ。それぞれ理論サイクルで効率を考えます。
※理論サイクルは、実際の機関の動きを理想気体の状態変化に置き換えたモデルです。
それぞれの効率の式は、オットーサイクル、ディーゼルサイクル、ブレイトンサイクルの記事で導出しています。内燃機関の特徴は次の4つです。
- 燃料は主に気体や液体の燃料(石炭はガス化すればガスタービンで使える)
- 外燃機関に比べ機器構成が小さくなる
- 輸送機器に利用されることが多い
- 高い温度で熱を受け取れるため熱効率を高くしやすい(自動車用で約40%、大型ガスエンジンで51%)
内燃機関が高効率になりやすいのは、作動ガスの最高温度を高くできるからで、熱機関は、高い温度で熱を受け取るほど効率が上がります。ガスタービンでは、タービン入口の温度が1,650℃級の機種も実用化されています。外燃機関の蒸気は、ボイラーの管や配管の耐熱で温度が抑えられるため、ここまで上げられません。
各社が公表した代表的な高効率機の値です。条件が違うので、順位ではなく大きさの目安として見てください。
※自動車用は最大熱効率(最も効率のよい運転点)、松浦2号は発電端・低位発熱量基準、ガスエンジンは川崎重工公表の発電効率、コンバインドサイクルは発電端(gross)の値です。測る条件と基準がそろっていないため、数字の大小だけで方式の優劣は決まりません。
内燃機関には身近なものが多く、仕組みをイメージしやすい分野です。自動車の電動化で内燃機関まわりの部品がどう変わるかは、EVシフトで部品メーカーはどう変わるかで数字とともに整理しています。
外燃機関と内燃機関の組み合わせ
外燃機関と内燃機関は用途によって使い分けられ、目的はどちらも、発生したエネルギーをいかに効率よく使うかです。例えば、ガスタービン発電で出る高温の排ガスは、そのままだと煙突から捨てられますが、この熱でボイラーから蒸気を作れば、捨てていた熱を有効に使えます。
このような外燃機関と内燃機関の組み合わせはコンバインドサイクルと呼ばれます。LNG火力発電所の主力の方式で、大規模な工場の自家発電にも使われています。
内燃機関の排熱を、外燃機関の熱源として使い切ります。
※同じ燃料から2回発電するため、ガスタービン単独より発電効率が上がります。
中部電力(現JERA)の西名古屋火力7-1号系列は、発電効率63.08%でギネス世界記録に認定されました(2018年)。ガスタービンと蒸気タービンを組み合わせた発電所です。
石炭でも、ガス化してからガスタービンで燃やせば同じ組み合わせにできます。これが石炭ガス化複合発電(IGCC)で、従来の石炭火力より高い46〜50%程度の効率が見込まれています。
排熱で蒸気や温水まで取り出して工場で使う方法は、コージェネレーションと呼ばれます。違いはコージェネレーションとコンバインドサイクルの違いで整理しています。
外燃機関と内燃機関の違いを比較
ここまでの内容を、比較のポイントごとに表にまとめます。
根本の違いは、作動流体が燃えるかどうかの1点です。
※熱効率は規模や条件で大きく変わります。具体的な値の目安は図4を参照してください。
外燃機関と内燃機関のよくある質問
蒸気機関と内燃機関の違いは?
蒸気機関は外燃機関で、ボイラーで作った蒸気がピストンを押し、内燃機関は、シリンダーの中で燃やしたガスが直接ピストンを押します。
歴史は蒸気機関が先で、最初のニューコメン機関は1712年にイギリスで建てられ、鉱山の排水に使われました。内燃機関の基本となる4ストローク機関は、それから160年余り後の1876年に、ドイツのオットーが初めて動かしました。
鉄道で言えば、石炭を焚いてボイラーで蒸気を作る蒸気機関車が外燃機関で、軽油を燃やすディーゼル機関車は内燃機関です。
原子力発電は外燃機関に入る?
原子力発電は、原子炉の熱で蒸気を作ってタービンを回すので、仕組みは汽力発電と同じです。ただし核分裂の熱を使い燃料を燃やさないため、「燃料の燃焼を外部で行う」という辞書(デジタル大辞泉)の定義には言葉どおりには当てはまりません。
一方、世界大百科事典は熱機関を作動流体の加熱方法で分け、伝熱壁ごしに外から温める方式を外燃式としています。蒸気タービンの熱源には、核反応の熱や地熱、排熱も熱源の例です。加熱の仕方で見るなら、原子力や地熱で動かす蒸気タービン、太陽熱で動かすスターリングエンジンも外燃機関の仲間として扱えます。
まとめ
- 外燃機関と内燃機関の違いは、作動流体を燃焼させるかどうか
- 外燃機関の例は蒸気タービン・蒸気機関車・スターリングエンジン。燃料を選ばない
- 外燃機関は大規模工場や発電所に多く、内燃機関は輸送機器に多い
- 熱効率の目安は自動車用エンジンで約40%、石炭火力で約40〜45%、ガスエンジンで51%
- 外燃機関と内燃機関を組み合わせる(コンバインドサイクル)と効率が60%を超える
いろいろな熱機関を勉強するときに、外燃機関と内燃機関の違いが分かっていると理解しやすくなります。熱機関の全体像は熱機関とはで整理しています。
熱機関の効率はエネルギー管理士の試験でも工場の実務でも基本になります。資格を生かした働き方は製造業のエネルギー管理士の仕事で紹介しています。
出典
出典・参考資料(10件)を開く出典・参考資料を閉じる
- 外燃機関の定義:コトバンク「外燃機関」(デジタル大辞泉ほか)
- 加熱方法による分類と熱源:コトバンク「熱機関」(改訂新版 世界大百科事典ほか)
- 内燃機関・外燃機関の分類:奈良工業高等専門学校 機械工学科「スターリングエンジン」
- 石炭火力・IGCC の発電効率、松浦発電所2号機:九州電力 環境アクションレポート2018「石炭火力の低炭素化への取組み」
- ガソリンエンジンの最大熱効率:トヨタ自動車「TNGAに基づく新型パワートレーン」(2016年12月6日)
- ガスエンジンの発電効率:川崎重工業 プレスリリース(2020年6月18日)
- コンバインドサイクルの発電効率:GE「HA形ガスタービンが2度目の世界最高効率を達成」(西名古屋火力7-1号系列)
- ガスタービンの入口温度:三菱重工業 プレスリリース(2022年9月5日、JAC形ガスタービン 入口温度1,650℃)
- ニューコメン機関:Science Museum Group「Newcomen Atmospheric Engine」
- オットーの4ストローク機関:Technik Museum Speyer「Nicolaus August Otto and the Four-Stroke Engine」
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