コージェネレーションとコンバインドサイクル発電の違い|仕組み・効率をわかりやすく

工場敷地内のガスエンジンコージェネのパッケージと排熱ボイラー

コージェネレーション(コージェネ)とは、発電と同時に出る排熱を、蒸気や温水として使う仕組みです。コンバインドサイクル(発電)とは、ガスタービンの排熱で蒸気をつくり、蒸気タービンでもう一度発電する仕組みです。

違いは、排熱を「熱」のまま使うか、「電気」に変えるかで、発電所のコンバインドサイクルは排熱を電気に変え、工場では蒸気タービンを出た蒸気を工程に送る形もあります。

この記事では、コージェネの仕組みと効率の数字の見方、コンバインドサイクル発電の仕組みと違い、工場で導入が有効になる条件の順に整理します。

目次

コージェネレーションとは?

コージェネレーションは、ガスタービンやガスエンジンで発電した後、大量に出る排熱で蒸気や温水をつくるシステムです。日本語では「熱電併給」、英語では Cogeneration や CHP(Combined Heat and Power)と呼ばれます。

燃料は天然ガス(都市ガス)が中心で、石油、LPガス、バイオマスも使われます。発電する機械は、産業用の大きな設備に多いガスタービン、業務用に広く使われるガスエンジンのほか、ディーゼルエンジン、蒸気タービン、燃料電池です。

図1:コージェネレーションの流れ

1つの燃料から電気と熱を取り出し、足りない分だけ買電とボイラーで補います。

燃料都市ガス(天然ガス)、LPガス、石油、バイオマスなど
燃やす
原動機+発電機ガスタービン・ガスエンジン・ディーゼルエンジン・燃料電池など
電気と排熱に分かれる

電気

発電した電気工場の設備・照明・空調に使う
足りない分
買電電力会社から買って補う

熱

排熱(排ガス・冷却水)排熱ボイラーや熱交換器で回収する
蒸気・温水
工程・空調・給湯製造プロセス、吸収式冷凍機、給湯の熱源に
足りない分
燃料ボイラーボイラーで蒸気をつくって補う

※構成と使い道はコージェネ財団・資源エネルギー庁の資料をもとに整理。ガスタービンは排ガスから蒸気、ガスエンジンは冷却水と排ガスから温水を取り出すのが基本です。

ガスタービンを使う場合は、排熱ボイラーと組み合わせて蒸気を発生させるのが一般的で、ガスタービンの排ガスは温度が高く量も多いので、工場で使う蒸気をまとめてつくれます。

ガスエンジンを使う場合は、エンジンの冷却水と排ガスの熱を熱交換器で回収し、温水を取り出すのが基本で、排ガスに排熱ボイラーを付ければ、蒸気も同時に回収できます。

蒸気を燃料ボイラーでつくり、電気を電力会社から買う場合に比べて、うまく使えばエネルギーコストが安くなります。発電所から電気を送るときには送電ロスが生じ、発電所の運営コストも電気料金に含まれているためです。

もう一つの理由は、発電所の熱を使えないことです。資源エネルギー庁によると、発電所の熱は遠くの需要地まで運べないため、発電時に出る熱の約6割は使われずに捨てられています。コージェネは電気を使う場所のそばで発電するので、この熱を工場や建物で使え、送電ロスもほぼなくせます。

日本ではインフラが安定しているため停電はあまりありませんが、海外では定期的な停電が珍しくありません。そのため、コージェネは停電の際の補助電源としても利用されます。

ただし、系統の停電時にも動かし続けるには、停電対応(BOS:ブラックアウトスタート)仕様の機種を選び、どの負荷に電気を送るかを決めておく必要があります。コージェネ財団は、条件を満たせば消防法上の非常電源にも使えるとしています。

コージェネでコストを安く抑えるには、発生する蒸気や温水を使い切れるかどうかが重要です。電気と蒸気をすべて使い切り、足りない分は燃料ボイラーや買電で補う、という使い方が一般的です。

ガスタービンの排熱ボイラーから出る多量の蒸気や電気を使い切れるのは大規模な工場なので、ガスタービンのコージェネは主に大規模工場で使われます。

工場などに置くコージェネは、出力10kW未満の小型機を除き電気事業法の事業用電気工作物にあたり、保安規程の届出と主任技術者の選任が必要です。一定規模以上の設備は、大気汚染防止法や自治体の条例による排ガス(NOx・ばいじん)の規制も受けます。

導入のメリットや検討の進め方は、コージェネレーションを導入するメリットと検討条件で詳しく書いています。

コージェネの効率は、主に3つの数字で表します。発電効率は燃料のエネルギーのうち電気になった割合、熱回収効率は蒸気や温水として回収できた割合です。

この2つを足したものが総合効率で、電気だけを見る発電所の効率とは、数え方が違います。

分母になる燃料のエネルギーは、低位発熱量(燃料が燃えてできた水蒸気の潜熱を含めない値)で数えるのが一般的です。基準の違いは高位発熱量と低位発熱量の違いで整理しています。

図2:100の燃料のうち、使えるエネルギーはどれだけか

発電所で捨てていた熱まで使うので、コージェネは使えるエネルギーの割合が大きくなります。

従来の発電+送電
40%
コージェネの電気
20〜50%
コージェネの熱
30〜60%
コージェネの合計
70〜85%

※コージェネ財団「省エネルギー・CO2排出削減」の図の値(濃い色が下限、薄い色が上限までの幅)。図の「エネルギー利用率」は本文の総合効率と同じ考え方です。従来は発電所で発電して送電し、工場で電気を使うまでの範囲です。

資源エネルギー庁の資料では、100のエネルギーに対して電気が45〜20%、熱が30〜60%、総合効率は75〜80%です。資料によって幅の取り方が違うので、どちらも目安として見てください。電気を多く取り出す機種ほど、熱の割合は少なくなります。

メーカーの公表値を見ると、同じコージェネでも原動機によって電気と熱の割合が違います。

図3:メーカー公表値で見るコージェネの効率

ガスタービンは熱の割合が大きく、大型のガスエンジンは電気の割合が大きい。原動機と大きさによって電気と熱の割合が変わります。

機種
発電効率
熱回収効率
総合効率
川崎重工 PUC80D
ガスタービン・7,610kW
発電 33.1%(発電端)
熱 52.3%(蒸気)
総合 85.4%
大阪ガスほか SGP M850-S
ガスエンジン・850kW
発電 41.9%
熱 32.4%(蒸気16.3%+温水16.1%)
総合 74.3%
ヤンマー CP35D1
ガスエンジン・35kW
発電 33.5%
熱 54.5%(温水)
総合 88.0%
川崎重工 KG-18-T
ガスエンジン単体・7,800kW
発電 51.0%
熱 (エンジン単体の値のため含まない)
総合 -

※いずれもメーカー公表値。川崎重工と SGP M850-S(大阪ガス・三菱重工エンジン&ターボチャージャほか)の値は都市ガス13Aの発熱量40.6MJ/m³N(低位発熱量)基準で、PUC80D は吸気温度15℃などの条件つきです。ヤンマーの値は熱回収出口温度80℃のときで、発熱量の基準は記載がありません。条件がそろっていないので、数字の大小で機種の優劣は決められません。

ガスタービンは発電効率が低めでも、高温の排ガスから多くの蒸気を回収できます。コージェネ財団は、ガスタービンの総合効率を80〜86%前後としています。

ガスエンジンは燃焼温度が高く、発電効率が高いのが特徴です。ガスタービンの仕組みはブレイトンサイクルの記事で、内燃機関と外燃機関の効率の比較は外燃機関と内燃機関の違いで紹介しています。

コンバインドサイクルとは?

コージェネに対し、排熱ボイラーで発生した高圧の蒸気で蒸気タービンを回し、蒸気からも電力を取り出すシステムをコンバインドサイクルと呼びます。「コンバインド(combined)」は「組み合わせた」という意味です。

ガスタービンの熱サイクル(ブレイトンサイクル)と、蒸気タービンの熱サイクル(ランキンサイクル)を組み合わせるので、複合発電とも呼ばれます。

図4:コンバインドサイクル発電の仕組み

ガスタービンで1回、排熱でつくった蒸気で蒸気タービンを回してもう1回発電します。

01圧縮・燃焼空気を圧縮機で圧縮し、燃料を燃やして高温・高圧のガスをつくる
02ガスタービンで発電高温のガスでタービンを回し、発電機を回す(ブレイトンサイクル)
03排熱回収ボイラーで蒸気タービンを出てもまだ熱い排ガスで、水を高圧の蒸気に変える
04蒸気タービンで発電蒸気でもう一度発電する(ランキンサイクル)。発電所では蒸気を復水器で水に戻してボイラーへ
工場のコンバインドサイクルでは、04 の蒸気タービンを出た蒸気(または途中で抜き出した蒸気)を工程に送り、熱としても使う

発電所のコンバインドサイクルは、電気を多く取り出すことが目的で、蒸気タービンを出た蒸気は復水器で水に戻してボイラーへ送り返し、熱は工場などへ送りません。

中部電力西名古屋火力発電所7-1号(現在は JERA が運営)は、発電端・低位発熱量基準で63.08%を記録し、2018年にギネス世界記録に認定され、ガスタービンだけの発電より、ずっと高い効率です。

「発電端」は発電機の出力で数えた効率で、発電所の中で使う電力を引いた「送電端」より高めの数字になります。違いは発電端効率と送電端効率の違いで解説しています。

工場に入れるコンバインドサイクルは、事情が少し違い、蒸気タービンの途中や出口の蒸気を工程に送り、電気と蒸気の両方を使います。

コージェネ財団も、熱を利用するコンバインドサイクルをコージェネの種類の一つに数えています。出口の蒸気を工程に送るのは背圧タービン、途中から蒸気を抜き出すのは抽気タービンです。

工場でコンバインドサイクルを導入する場合も、ガスタービンの排熱ボイラーで蒸気タービンを回せるだけの多量の蒸気が必要です。また、蒸気タービンから出てきた低圧蒸気もすべて使い切る必要があるため、コンバインドサイクルが有効になる工場も大規模なものに限られます。

図5:コージェネとコンバインドサイクルの違い

どちらも排熱を回収しますが、回収した熱の行き先が違います。

コージェネレーション
コンバインドサイクル(発電所)
排熱の行き先
蒸気や温水として、工場や建物で使う
蒸気タービンを回して、電気に変える
増やすもの
使える熱
電気
効率の見方
総合効率(電気+熱)。70〜85%程度
発電効率(電気だけ)。63.08%の例(発電端・低位発熱量基準)
主な機器
ガスタービン・ガスエンジン+排熱ボイラー・熱交換器
ガスタービン+排熱回収ボイラー+蒸気タービン+復水器
主な場所
工場、病院、商業施設など熱を使う場所
電力会社などの発電所

※工場で蒸気タービンの蒸気を工程に使うコンバインドサイクルは、両方の性格を持ちます(コージェネ財団はコージェネの一種に数えています)。総合効率と発電効率は数え方が違うので、数字をそのまま比べることはできません。

ガスタービンも蒸気タービンも、導入やメンテナンスにかなりのコストがかかるので、それを加味した上で、投資回収年数を検討しましょう。

関連記事:ランキンサイクルとは?熱効率の式・P-v線図と再生・再熱サイクルをわかりやすく

コージェネレーションが有効になる場合

コージェネレーションやコンバインドサイクルが有効になるのは、次の条件がどの程度満たされるかが決め手になります。

  • 連続稼働時間が長い
  • 蒸気や温水を使い切れる大規模工場
  • ガス燃料の価格が安い
  • 買電価格が高い
  • メンテコストを吸収できる
  • 補助金が活用できる

このうち、連続稼働と熱の使い切りは前提になる条件です。残りの4つは、採算に乗るかどうかを左右する目安と考えてください。

図6:コージェネの導入が有効になる6つの条件

上の2つが前提、下の4つは採算を左右する目安です。

連続稼働時間が長い発停が少ないほど、効率もメンテコストも有利
蒸気や温水を使い切れる一年を通して熱の使い道がある大規模工場
ガス燃料の価格が安い燃料費がそのまま発電コストになる
買電価格が高い電気が高くガスが安いほどメリットが出る
メンテコストを吸収できる定期点検・部品交換の費用まで含めて採算を見る
補助金が活用できる初期コストが下がり、投資回収が早くなる

連続稼働時間が長い

ガスタービンやガスエンジンは、立ち上げ時に多くのエネルギーを使うため、発停が多いほど効率が悪くなります。

機械は停止後の再スタートのときが最も壊れやすく、メンテコストの増加にもつながります。大型の機械は、いかに連続稼働させるかが重要です。

連続稼働時間が長いことは、コージェネレーションの導入に必須の条件です。毎日起動と停止をくり返す使い方には、ガスタービンよりガスエンジンが向くとされています(コージェネ財団)。

蒸気や温水を使いきれる

発電を終えた排ガスは多量のエネルギーを持っており、それが大量の蒸気や温水として出てきます。燃料のエネルギーを使い切らないと、エネルギー効率は大きく下がるため、コージェネでは、これらのエネルギーをすべて使い切れるかどうかが重要です。

注意したいのは、電気と熱の需要が同じ時間に同じだけあるとは限らないことです。暖房や給湯の熱は冬に多く夏に少ない、といった季節や時間帯のずれがあります。

資源エネルギー庁も、コジェネの普及に何より必要なのは熱の利用先を見つけることだとしています。検討できるのは、多量の蒸気や温水を一年を通して使える大規模な工場です。

ガス燃料の価格が安い

ガスタービンやガスエンジンは LNG(液化天然ガス)や LPG を燃料にするので、ガス燃料の価格がそのままコストに効いてきます。

ガス燃料の価格は日々変動していて、ガス燃料の価格が安い時期は、コージェネの導入が進みやすいタイミングです。

買電価格が高い

逆に、電気料金が高くなるほど自家発電のメリットが出てきて、原子力発電所の停止などで燃料代がかさみ電気料金が上がったときには、コージェネの導入が進みました。電気が高くてガスが安い場合が、最もメリットが出やすい組み合わせです。

電力需要のピークにコージェネを動かせば、買う電気の最大値も下がり、基本料金を抑えられます。基本料金の仕組みは工場のデマンド電力を下げる方法で解説しています。

メンテコストを吸収できる

タービンやエンジンには、設置の初期費用だけでなく、定期点検や部品交換などのメンテナンスコストがかかります。

採算は、増える燃料費と保守費に対して、減る買電代とボイラーの燃料費がどれだけ大きいかで決まります。メンテナンスコストを見極めたうえで、投資採算を考える必要があります。

補助金が活用できる

コージェネレーションなどの省エネ・環境対策の機器には、補助金が適用される場合があります。補助金が出れば初期コストが下がるので、投資採算に乗りやすくなります。

国の補助金のほか、固定資産税を減免する税制が用意されたこともあります。経済産業省やコージェネ財団の補助金・優遇税制の情報を確認しておきましょう。製造業向けの制度は製造業で使える補助金まとめにまとめています。

コージェネレーションとコンバインドサイクルのよくある質問

英語では何と言う?

コージェネは Cogeneration、または CHP(Combined Heat and Power)で、コンバインドサイクルは Combined Cycle です。ガスタービンを使うものは、GTCC(Gas Turbine Combined Cycle)や CCGT とも書かれます。

コンバインドサイクルもコージェネになる?

蒸気タービンを出た蒸気を工場で使うなら、コージェネの一種です。コージェネ財団も「熱利用ありの場合」のコンバインドサイクルをコージェネの種類に入れています。

発電所のように蒸気を復水器で水に戻し、熱を外に出さないものは、コージェネには入りません。

効率の数字はそのまま比べてよい?

そのままは比べられません。コージェネは電気と熱を足した総合効率、発電所は電気だけの発電効率で示すのが普通です。

同じ発電効率でも、発電端か送電端か、低位発熱量基準か高位発熱量基準かで数字が変わるので、比べるときは、基準をそろえてから比べます。

まとめ

この記事のまとめ
  • コージェネレーションは、電気を発生させ、排熱で蒸気や温水を発生させる(熱電併給)
  • コンバインドサイクルは、電気を発生させ、排熱で蒸気をつくって蒸気タービンでも電気を発生させる
  • コージェネの総合効率は70〜85%程度。発電所のコンバインドサイクルは発電効率63.08%(発電端・低位発熱量基準)の例がある
  • 工場で蒸気タービンの蒸気も使うコンバインドサイクルは、コージェネの一種になる
  • 連続稼働と熱の使い切りが前提。大規模工場で条件がそろえば投資採算に乗る

コージェネレーションとコンバインドサイクルは名前が似ていますが、少し定義が違い、文章の穴埋めで聞かれる場合があるので、しっかり押さえておきましょう。

工場の省エネ全体の考え方は工場の省エネとエネルギー管理の基本で、コージェネのような設備を担当する仕事は製造業のエネルギー管理士の仕事で紹介しています。

熱機関に関する記事は他にもあり、熱機関とは何かもあわせてどうぞ。

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プラント機器メーカーとプラントメーカーで約10年、設備の提案・設計・試運転に携わったのち、Webマーケターに転身。現在はBtoB製造業専門のWebコンサルタントとして、メーカーの情報発信を支援しています。エネルギー管理士/第三種電気主任技術者。工業技術ブログを2017年から運営(500本以上執筆)、YouTube登録者約2万人、Xフォロワー約1万人。

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