NPSHとは?NPSHa・NPSHrの違いと計算方法、押込み・吸上げ・飽和水の例

水平ポンプの吸込み配管と上向き吐出し配管を示す生成イメージ

NPSHとは、ポンプへ入る液体の全圧が、その温度の蒸気圧をどれだけ上回るかを水頭で示す量です。設備側が確保できるNPSHaと、ポンプ側が求めるNPSHrを比べ、キャビテーションの影響を抑える余裕を設けます。

単位は圧力のPaではなく、その液体の高さに換算したmで、設置高さだけを指す言葉ではありません。押込み、吸上げ、加圧された飽和水の3例から、計算の符号と運転条件の見方を整理します。

目次

NPSHとは

NPSHはNet Positive Suction Headの略で、ポンプの吸込み条件を評価するときに使います。液体が蒸発する圧力までの余裕を、圧力と流速を含む全圧から評価することが基本です。

ポンプは吐出し側の圧力を上げる機械ですが、羽根車の入口付近では局所的に圧力が下がります。その場所で液体の蒸気圧に達すると気泡が生じ、下流の高い圧力の領域で気泡が崩れることがあります。

これがキャビテーションで、成長すると騒音、振動、性能の低下、部材の損傷などにつながります。外から空気を吸い込む現象とは原因が異なるため、キャビテーションとエア噛みの違いを分けて調べます。

NPSHaのaはavailableで、タンクや配管を含む設備側が、実際に与えられる有効吸込ヘッドです。液位、圧力、温度、流量などから計算するため、同じポンプでも運転条件が変われば値が変わります。

NPSHrは、所定の性能を得るためにメーカーが示す必要吸込ヘッドで、rはrequiredを表します。値は指定の流量、回転速度、液体と対応しています。NPSHreqという表記もあり、選定時にはメーカーの性能曲線と仕様書で読み取ります。

必要な値は、ポンプ一台に一つだけ固定された数字ではなく、流量や回転速度などの条件と対応しています。定格点だけを見て選ぶと、起動後の大流量や別の運転点で、必要な余裕を失う原因になります。

NPSH3は、キャビテーションによって全揚程が3%低下するときのNPSHを示す試験上の指標です。多段ポンプでは初段の揚程を基準にするため、ポンプ全体の吐出し圧力の3%と混同しないことが重要です。

図1:NPSH3は「気泡が全くない点」ではなく、揚程が低下した点

一定の流量・回転速度で吸込み条件を変える試験の概念です。機種固有の試験値ではありません。

100%97%揚程(基準を100%)NPSH →NPSH33%揚程低下吸込み条件に余裕がある領域

NPSH3を上回るだけで、騒音・損傷を含む全ての影響がなくなるわけではありません。

メーカー資料でNPSHrをNPSH3として示す例はありますが、この二つを常に同じものとは扱いません。Hydraulic Instituteの2025年3月18日付公式解説では、2024年版余裕ガイドの基準はメーカー提示NPSHrです。提示値は試験NPSH3以上と説明しています。

選定ではNPSHaがNPSHrを上回り、さらに用途に合った余裕を持つ条件を確認します。余裕を全機種共通の一定mと決めず、液体、運転範囲、要求する信頼性に合わせてメーカーと条件をそろえます。

NPSHaが大きく、NPSHrが小さいほど吸込み条件の余裕を取りやすい、という方向は共通です。ただし、その差だけで吐出し性能や最低流量まで決まるわけではなく、運転範囲の評価と組み合わせます。

高さと圧力の関係を先に整理したい場合は、流入水頭の計算方法も参考になります。まず吸込み側が与えられる条件を求め、その後で候補ポンプの要求と比較する順番で進めます。

NPSHaの計算方法

大きなタンクの液面からポンプの基準面までを考えると、圧力、水位差、配管損失から計算できます。液面の流速を無視できる定常の単相液流とし、途中に別のポンプなどのエネルギー供給がない条件を使います。

式の圧力には絶対圧を使い、水頭へ換算するときの密度は、運転温度の液体に合わせます。ゲージ圧を使う場合は、その場所の大気圧を加えてから蒸気圧との差を取ることが基本です。

図2:液面から計算する式と、入口で測る式を使い分ける

大きなタンクの液面から求める
NPSHa = p0,abs − pvρg + z − hL
p0,abs:液面の絶対圧[Pa] pv:液体の蒸気圧[Pa] ρ:密度[kg/m³] g:重力加速度[m/s²] z:液面−ポンプ基準面の高さ[m] hL:液面から入口までの損失水頭[m]
ポンプの基準面と同じ高さの入口で測る
NPSHa = ps,abs − pvρg + vs22g
ps,abs:入口の静圧の絶対圧[Pa] vs:入口の平均流速[m/s]。測定点の高さが基準面と異なる場合は高さ補正が必要。

入口の測定圧力には上流の損失の影響が含まれます。同じ配管損失を、測定圧力からさらに重ねて引きません。

高さzは、液面が基準面より上なら正、下なら負とするため、押込みと吸上げで符号が変わります。ここでは水平ポンプを例に、羽根車中心と同じ高さを基準面とし、図にも同じ線を示します。

縦形ポンプなどでは基準位置が異なるので、メーカーが指定するNPSHの基準面と図面を合わせます。地面からの据付高さや、タンクの底までの高さを、そのまま液位差へ入れる扱いは避けます。

損失水頭には直管の摩擦だけでなく、入口、曲がり、弁、ストレーナなどの損失を含めます。流量や粘度が変われば値も変わるため、通常流量で求めた損失を全ての運転点へ流用しないことが大切です。

配管の内径が小さいと流速や損失が増えるため、Schと管の肉厚・内径の違いも関係します。呼び径だけで計算せず、採用する管の実際の内径を流速と損失の計算へ使います。

圧力と水頭の単位を合わせる際は、圧力の換算表も利用できます。ただしm水柱の慣用換算と、運転温度の液体に対する水頭は区別し、最後は密度を使って計算します。

NPSHaの計算方法①:押込みの場合

押込みは、供給タンクの液面がポンプの基準面より高い配置で、高さがNPSHaを増やす側へ働きます。ここでは大気開放のタンクから60℃の水を送り、最低液位を基準面より3m上とします。

液面の圧力を101.325kPaの絶対圧、吸込み配管の損失水頭を1mとした計算例です。60℃の水は、IAPWSの物性式から蒸気圧約19.946kPa、密度約983.2kg/m³として計算します。

図3:押込みは「最低液位からの高さ」を足す

+3m最低液位大気開放:101.325kPa abs60℃の水損失1m基準面:羽根車中心
圧力をPaに換算して代入
NPSHa = 101325 − 19946983.2 × 9.80665 + 3 − 1
NPSHa ≒ 10.44 m
大きな液面の速度は無視。最低液位、液温60℃、損失1mを同じ運転条件として扱った例です。

圧力から得られる分が約8.44mで、そこへ高さ3mを加え、損失1mを引くと約10.44mです。この値は設備が与えるNPSHaなので、候補ポンプがこの流量で求めるNPSHrと、必要な余裕を別に比べます。

有効な高さはタンクの設置高さではなく、運転中に下がる液面と基準面の差から決めます。通常の液位だけで評価すると、低液位で運転を続けたときに、計算した余裕より小さくなります。

低液位で停止するインターロックを設ける場合は、設定値と停止するまでの液位低下を含めて検討します。液面の揺れや渦による空気の巻込みは別の問題なので、NPSHaの値だけでは対策を完結できません。

同じ大気圧でも水温が80℃へ上がると、蒸気圧は約47.415kPaへ高くなります。密度約971.8kg/m³、他の条件を同じとするとNPSHaは約7.66mで、温度上昇によって余裕が減ります。

入口に異物保護のストレーナを設ける場合は、清掃直後だけでなく、目詰まり時の損失も評価します。ストレーナーのメッシュと目開きを選ぶ際は、捕集性能と圧力損失を合わせて考えます。

NPSHaの計算方法②:吸上げの場合

吸上げは、タンクの液面がポンプの基準面より低い配置で、高さの項がマイナスになります。押込みと同じ60℃の水、大気圧、損失1mで、最低液位が基準面より3m下の場合を考えます。

図4:吸上げ高さ3mは、式へ「−3m」と入れる

−3m基準面:羽根車中心最低液位60℃・大気開放損失1m
押込みから変わるのは高さの符号
NPSHa = 101325 − 19946983.2 × 9.80665 − 3 − 1
NPSHa ≒ 4.44 m
吸上げ高さの大きさ3mを、z=−3mとして代入しています。

圧力から得られる約8.44mから、吸上げ高さ3mと配管損失1mを引くと、約4.44mになります。押込みの例とは水位差がプラス3mからマイナス3mへ変わるため、NPSHaには6mの差が出ます。

大気圧で理論上支えられる水柱の高さだけを見て、「この高さまで吸える」と判断するのは不十分です。実際には蒸気圧と配管損失を差し引き、さらにポンプが要求するNPSHと余裕を残す必要があります。

吸込み配管を長くしたり、流量を増やしたりすると、損失が増えて余裕を削る方向に働きます。流速と圧力損失の関係を踏まえ、配管ルートや口径を選定します。

計算上のNPSHaが足りていても、呼び水が失われたり空気が入ったりすると、正常に送水できなくなります。吸上げの成立には、配管の気密性やポンプの呼び水方式など、取扱説明書に沿った条件も必要です。

吸込み側の圧力を測る場合は、連成計の負圧目盛と絶対圧の違いにも注意します。負のゲージ圧をそのまま蒸気圧から引かず、大気圧を加えて絶対圧へ直してから使います。

水平ポンプの吸込み配管とフランジを示した写真風イメージ
吸込み側の配管を示す生成イメージ。NPSHの基準面や据付寸法は、各ポンプの図面で定めます。

NPSHaの計算方法③:大気圧以外の場合

密閉されたタンクでは、液面に掛かる圧力が大気圧より高い場合も、真空に近い場合もあります。この場合も使う式は同じで、液面の絶対圧と、その液温に対応する蒸気圧との差を求めます。

例として、0.5MPaGのタンク内に、その圧力で飽和した水があり、最低液位は基準面より3m上とします。周囲の大気圧を0.101325MPaとすれば、液面の絶対圧は0.601325MPaになります。

飽和水の温度はこの条件で約158.9℃、蒸気圧も液面の絶対圧と同じ0.601325MPaです。圧力の差がゼロになるため、NPSHaは液位差から損失水頭を引いた値で決まります。

図5:飽和水は、タンク圧力と蒸気圧の項が相殺される

+3m0.5MPaG0.601325MPa abs飽和水 約158.9℃最低液位損失1m水平ポンプ基準面
液面圧力と蒸気圧は、ともに絶対圧
NPSHa = 601325 − 601325ρg + 3 − 1
NPSHa = 2 m
タンク内の液と蒸気が平衡の飽和状態で、吸込み管内の温度変化を無視した例。ρはその液温の密度。

タンクの圧力が高いからといって、その数値を全てNPSHaの余裕へ使えるわけではありません。飽和状態では圧力の上昇とともに温度も高くなり、同じだけ高くなった蒸気圧の項が差し引かれます。

逆に、液温を一定に保ったまま不活性ガスなどで加圧する場合は、蒸気圧との差を増やせます。圧力容器やプロセスの条件を変える対策なので、実施には設備の設計条件と安全上の検討が必要です。

飽和液を扱う系統では、圧力が急に下がったときの蒸発や、吸込み管内の熱の出入りにも注意します。定常時の液面圧力と蒸気圧の相殺だけで、過渡運転や二相流の挙動まで評価したことにはなりません。

真空の容器でも計算は絶対圧で行い、液面圧力が下がればNPSHaを減らす側へ働きます。容器を減圧する仕組みは、真空ポンプの原理と分けて理解すると、送液ポンプとの役割を整理できます。

運転範囲の中で最も厳しい条件を探す

選定の最後は、通常運転の一点だけでなく、実際に起こる液位、温度、圧力、流量の組合せを並べます。最低液位、最高液温、低い液面圧力、大きな配管損失が、NPSHaを小さくする方向です。

ただし全ての極端値が同時に起こるとは限らず、工程や制御の関係から現実の組合せを明らかにします。通常、起動、停止、洗浄、供給元切替えなどの状態を分けると、見落とした条件を探しやすくなります。

図6:NPSHaを小さくする条件と、調べる場所

液位が下がる最低運転液位・停止設定・停止までの変動
液温が上がる蒸気圧・密度・洗浄や循環中の温度
液面圧力が下がる大気圧・容器の圧力制御・切替え時
損失が増える最大流量・弁状態・ストレーナ目詰まり

各状態でNPSHaを計算し、同じ流量・速度でのNPSHrとメーカーが求める余裕を照合します。

複数台を切り替える系統では、共通の吸込み配管を流れる合計流量も変化します。ポンプの台数制御では、台数ごとの分担流量と共通管の損失を対応させて検討します。

増速運転では流量だけでなく、ポンプ側の必要NPSHも変わるため、元の回転速度の値をそのまま使いません。ポンプの軸動力とモーター選定と合わせ、動力と吸込み条件の両方を評価します。

粘度の高い液では吸込み配管の損失やポンプ性能が変わり、水での選定条件を直接移せない場合があります。粘度とポンプの使い分けも踏まえ、扱う液体の温度と物性を仕様書へ記載します。

余裕が足りない場合は、ポンプを低くする、液位を保つ、吸込み配管の損失を減らすなどを比較します。液温や容器圧力を変える案は工程への影響も伴うため、単に数値が増える順ではなく設備条件から選びます。

ストレーナを外す、保護設定を下げる、吸込み弁を絞るといった操作を、現場判断で対策にしないことが大切です。必要な保護と最低流量を保ちながら、原因とメーカーの運転条件に合う改善を進めます。

測定値と計算が合わないときの確認順

最初に、圧力計のゼロ基準、取付け高さ、液温、流量、タンクの液位を同じ時刻で記録します。別々の時刻の最低液位と通常圧力を混ぜると、実際には存在しない条件の計算になることがあります。

次に、入口静圧から求めた値と、タンク液面から損失を差し引いた値を、同じ基準面で比較します。流速水頭、高さ補正、圧力の単位が一致すれば、二つの方法で同じ吸込み条件を表せます。

差が大きい場合は、弁の状態、ストレーナの詰まり、配管内径、計測器の誤差などを順に調べます。運転を続けながら原因を一つに決めつけず、異常時の停止や隔離は設備の手順に沿って行います。

点検後は正常時の圧力や差圧も残し、同じ流量と温度で変化を比較できるようにします。NPSHaの計算表を一度作って終わらず、流体や配管を変更した際の再評価へ使える記録にします。

入口の圧力から検算するときの例

入口で測った圧力からNPSHaを求めるときは、圧力計が示す静圧へ流速水頭を加えます。タンク液面からの式を使ったときと違い、測定点へ至るまでの配管損失を、もう一度引くことはしません。

たとえば60℃の水で、基準面と同じ高さの入口ゲージ圧がマイナス20kPa、入口流速が2m/sの例を考えます。大気圧を101.325kPaとすれば、入口絶対圧は81.325kPaです。ここから蒸気圧19.946kPaを引きます。

同じ高さの入口測定点から求める例
ps,abs = −20000 + 101325 = 81325 Pa
NPSHa = 81325 − 19946983.2 × 9.80665 + 222 × 9.80665
NPSHa ≒ 6.37 + 0.20
NPSHa ≒ 6.57 m
入口流速2m/s、液温60℃、入口ゲージ圧−20kPa、大気圧101.325kPaの仮定。測定点とポンプ基準面の高さは同じ。

この例では入口のゲージ圧が負でも、絶対圧は正であり、NPSHaも約6.57mとして計算できます。負圧の有無だけで運転可否を決めず、メーカーが示すNPSHrと余裕条件を、この値と照合します。

入口測定点の高さが基準面と異なる場合は、測定点が上ならその高さを加え、下なら引きます。ポンプ入口より上流で測る場合だけ、測定点から入口までの損失も引きます。測定点より上流の損失は、測定圧力へ織り込み済みです。

性能曲線と計算表を結び付ける

候補ポンプを比較するときは、機種名に加え、回転速度、羽根車の仕様、流体条件をそろえた曲線を使います。性能表のNPSHという欄だけを抜き出すと、別の速度や流量の値を取り違える原因になります。

計算表は運転状態ごとに一行とし、流量、液位、温度、圧力、損失、NPSHaを同じ行へ並べます。その右側へ、その状態のNPSHrと必要な余裕を記入すれば、どの条件が選定を左右するかを比較できます。

NPSHaの最小値とNPSHrの最大値を別々に探すだけでなく、同じ運転点での組合せも残します。比較する余裕が差なのか比なのか、メーカー指定の基準も明らかにして、判定方法の食い違いを防ぎます。

規格やガイドが示す試験方法と、設置後の運転条件は役割が異なり、どちらも仕様書に必要です。特にNPSH3の測定結果を提示された場合は、必要NPSHとして使う条件と、追加する余裕をメーカーへ明示します。

見積り段階で不明な条件は、単に余裕を大きく取るだけでなく、確認する項目として残しておきます。液温の上限やストレーナの許容差圧などを確定すると、過大な設備と不足する余裕の両方を避けやすくなります。

既設配管を改造する場合は、さびや付着物による流路の狭まりと、交換後の内径の変化も調べます。ステンレス配管と鉄配管の比較で扱う腐食や内面処理も、吸込み管の維持管理と結び付きます。

最後に、正常に見える運転点だけでなく、切替え直後の圧力や液位の変動が計画の範囲に収まるかを見ます。定常計算と過渡的な挙動を分けて評価し、運転手順や停止設定まで含めて、選定の条件を引き継ぎます。

水以外の液体や混合液を送る設備では、水の蒸気圧と密度の表をそのまま使わないことが基本です。成分や濃度、運転温度を明らかにし、供給者の物性資料とメーカーの適用条件を計算表へ結び付けます。

溶存ガスや混入した気体がある場合は、単相の液体を前提にしたNPSH計算だけで挙動を説明できないことがあります。ガスの発生源や分離の状態も仕様へ含め、キャビテーションと気体の巻込みを混同せず評価します。

運転範囲を決めた後は、低液位や高温などの警報を、どの状態の余裕を守るために設けるか整理します。設定値の根拠が計算条件と対応していれば、配管や液体を変更した際に、見直す項目を追いやすくなります。

よくある質問

NPSHaとNPSHrはどちらを計算しますか?

設備側では液位、圧力、温度、配管損失からNPSHaを計算し、ポンプ側のNPSHrはメーカー資料から読みます。同じ流量と回転速度の値を比較し、用途に応じた余裕を上乗せして選定します。

NPSHrとNPSH3は同じ意味ですか?

NPSH3は揚程3%低下の試験指標で、NPSHrは指定性能に必要としてメーカーが提示する値です。同じ数値として示す資料もありますが、仕様書の判定基準を見ずに同一視することはできません。

NPSHaがプラスなら運転できますか?

プラスであるだけでは足りず、その運転点のNPSHrと、必要な余裕を満たすことが条件になります。最低流量、呼び水、空気の混入など、NPSH以外の運転条件も満たす必要があります。

飽和水のタンクを加圧すれば余裕は増えますか?

加圧後もその圧力に対応する飽和状態なら、液面圧力と蒸気圧の項は相殺されます。液温を一定にして加圧する場合とは挙動が異なり、どの温度と圧力の組合せかを決めて評価します。

NPSHの余裕は何mあれば十分ですか?

必要な余裕は、液体、ポンプ、運転範囲、用途や要求する信頼性によって変わります。メーカーが指定する基準と適用するガイドを使い、最も厳しい運転条件でも満たすように比較します。

まとめ

NPSHは、設備が与えるNPSHaと、ポンプが求めるNPSHrを比べるための吸込み条件の指標です。NPSH3という試験指標も区別し、定格点だけでなく、実際の運転範囲で必要な余裕を確保します。

計算は絶対圧、運転温度の蒸気圧と密度、液位差、配管損失を、同じ単位と基準面でそろえます。押込みは高さを加え、吸上げは高さを引き、飽和液では圧力差の相殺を見て、使える余裕を評価します。

出典

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プラント機器メーカーとプラントメーカーで約10年、設備の提案・設計・試運転に携わったのち、Webマーケターに転身。現在はBtoB製造業専門のWebコンサルタントとして、メーカーの情報発信を支援しています。エネルギー管理士/第三種電気主任技術者。工業技術ブログを2017年から運営(500本以上執筆)、YouTube登録者約2万人、Xフォロワー約1万人。

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