石油(原油)の分留とは?仕組みと手順、留分の温度と製油所の装置

常圧蒸留塔と加熱炉、浮屋根タンクが並ぶ夕暮れの臨海製油所

石油(原油)の分留とは、原油を加熱して蒸気にし、精留塔(製油所の常圧蒸留装置)の中で沸点の違いでいくつかの成分(留分)に分ける操作です。塔は上ほど温度が低いため、沸点の高い成分ほど下の段で液体に戻り、塔の下から残油・軽油・灯油、塔頂からナフサとガスが同時に取り出されます。

分留でできた留分は、そのままではほとんど製品になりません。硫黄を除く脱硫や、性質を変える改質・分解を経てから調合され、ガソリンや灯油、軽油、重油、石油化学の原料のナフサとして工場から出ていきます。

この記事では、原油と石油の違いから分留の手順を4つの段に分けて整理し、各段の温度と取り出される留分を確かめます。続いて、実際の製油所の常圧蒸留装置と減圧蒸留、分留のあとの処理と用途、日本の製油所の能力と設備保全まで見ていきます。

目次

そもそも原油や石油とは?違いは?

原油も石油も、主な成分は炭素と水素だけでできた有機物である炭化水素の混合物です。分子の大きさが違う何百種類もの炭化水素が混ざっており、小さい分子ほど沸点が低く、大きい分子ほど沸点が高いという性質があります。

原油は、油田から採ったままの状態の油です。炭化水素のほかに硫黄・窒素・酸素を含む化合物や微量の金属が入っており、中東などの主な原油の硫黄分(質量%)は、ENEOSの石油便覧の性状表で約0.1%から約2.9%まで、油種によって大きく違います。

一方の「石油」は、原油と、そこからつくるガソリン・灯油・軽油などの石油製品、プロパン・ブタンなどの石油ガスをまとめた呼び名です。石油備蓄法も「石油」を原油・指定石油製品・石油ガスと定めており、原油は石油のうち、精製する前の段階を指す言葉と考えると整理できます。

図1:原油が石油製品になるまで

原油は産油国からタンカーで運ばれ、製油所で分けて整えてから、燃料と化学原料として出荷されます。

産油国の油田タンカー製油所燃料・化学原料輸入(中東が約95%)分留→精製→調合

※中東の割合は2022年度の原油輸入量に占める比率(ENEOS「石油便覧」資料編)。国内で採れる原油は、2025年の処理量の約0.3%です。

日本の製油所は原油のほぼ全量を輸入に頼り、2022年度は輸入量の95.1%が中東産でした。性質の違う成分が混ざったままでは、自動車の燃料にもストーブの燃料にも使えないため、まず沸点の違いで大まかに分ける工程が欠かせず、それが分留です。

石油(原油)の分留のやり方と手順

分留とは、沸点の違う成分が混ざった液体を加熱して蒸気にし、冷えて液体に戻る温度の違いを利用して、沸点の範囲ごとにいくつかの留分に分ける操作です。石油の分留に使う背の高い塔を精留塔と呼び、製油所では加熱炉や熱交換器と合わせて常圧蒸留装置(トッパー)と呼んでいます。

図2:精留塔の温度と取り出す留分

塔の下ほど熱く、上ほど冷たいので、沸点の高い成分ほど下の段で液体になって抜き出されます。

塔頂:ガス・ナフサ灯油軽油残油(塔底)凝縮器で冷やして分ける170〜250℃240〜350℃350℃以上加熱炉低温高温約350℃の原油

※温度は各留分の沸点の範囲(ENEOS「石油便覧」の一例)。塔の段の数や抜き出す位置は製油所ごとに違います。

ここで大切なのは、留分は時間を追って1つずつ取り出すのではなく、塔の高さごとに同時に、しかも連続して取り出される点です。原油は止まることなく塔に送り込まれ、それぞれの高さの段から決まった留分が絶えず流れ出ています。

取り出す留分は、石油ガス・ナフサ・灯油・軽油・残油の5つが基本です。それぞれの沸点の範囲と主な行き先は、次の表のとおりです。

留分沸点の範囲取り出す場所主な製品・行き先
石油ガスメタン −163℃、エタン −89℃、プロパン −42℃、ブタン −1℃塔頂(凝縮しないガス)製油所の燃料、LPガス(プロパン・ブタン)
ナフサ(ガソリン留分)35〜180℃塔頂(凝縮器で液体に)ガソリンの基材、石油化学の原料
灯油170〜250℃塔の上部の段灯油、ジェット燃料
軽油240〜350℃塔の中ほどの段ディーゼル車の燃料(軽油)
残油(常圧残油)350℃以上塔底減圧蒸留・分解の原料、重油・アスファルトの基材
出典:ENEOS「石油便覧」第1編第2章第3節の表(沸点範囲)をもとに作成。範囲が重なるのは、留分の境目を製油所が運転条件で決めるためです。重油は塔底の残油そのものではなく、残油などを調合してつくる製品です

ステップ1:約350℃に加熱した原油を塔に入れ、残油を底から取り出す

最初に、原油を加熱炉で約350℃まで熱して塔の下部へ送り込みます。この温度で沸点の低い成分は蒸気になって塔を上っていきますが、沸点が350℃を超える重い成分は液体のまま塔の底にたまり、残油(常圧残油)として抜き出されます。

教科書の図では、ここで取れるものを「重油」と書くことがあります。実際の重油は、この残油や、後で説明する減圧蒸留・脱硫・分解の装置から出る油を調合してつくる製品で、塔の底から出る残油とは呼び名を分けて使います。

もっと高温にすれば全部を蒸気にできそうですが、そうはいきません。

石油連盟は「加熱炉で350℃以上に熱して」塔に入れると説明し、JOGMECの用語辞典も通常300〜360℃としています。

米国労働安全衛生局(OSHA)の技術資料も塔への供給を650〜700°F(約343〜371℃)とし、これより熱くすると炭化水素の分子がちぎれる熱分解が起こるおそれがあります。残油をさらに分けるには、次の章で説明する減圧蒸留を使います。

ステップ2:240〜350℃の段で軽油が液体になって分かれる

残油を除いた蒸気は、塔を上りながら少しずつ冷やされます。温度がおよそ240〜350℃の段まで来ると、この範囲に沸点を持つ成分が冷えて液体に戻り、軽油の留分として段から横向きに抜き出されます。

沸点は、液体を温めて気体になる温度であると同時に、気体を冷やして液体に戻る温度でもあります。分留は、蒸気が上るあいだに自分の沸点より冷たい段に出会った成分から順に液体へ戻る現象を使っており、ここで取れた軽油は脱硫を経てディーゼル車の燃料になります。

ステップ3:170〜250℃の段で灯油が液体になって分かれる

軽油が抜けた蒸気はさらに上り、温度がおよそ170〜250℃の段で灯油の留分が液体になります。灯油は軽油より沸点が低いので、塔の中では軽油の段より上で取り出されます。

表を見ると、灯油(170〜250℃)と軽油(240〜350℃)の範囲は240〜250℃で重なっています。原油の成分は沸点の低いものから高いものまで切れ目なく続いているため、留分の境目は製油所が需要に合わせて決めており、資料ごとに数字が少し違うのはこのためです。

ステップ4:塔頂で冷やしてナフサを液体にし、石油ガスと分ける

灯油より軽い成分は、蒸気のまま塔の頂上から出ていきます。この蒸気を凝縮器(コンデンサー)で冷やすと、沸点が35〜180℃のナフサは液体になり、沸点が0℃を下回るメタン・エタン・プロパン・ブタンは気体のまま残るので、ここでナフサと石油ガスが分かれます。

凝縮したナフサの一部は塔の頂上へ戻され(還流)、分け方の精度を高める役目を担います。このように石油の分留は、沸点の違いを使い、蒸気を塔の中で少しずつ冷やしながら成分を分けていく方法で、その仕組みを支える設備は次の章で詳しく見ます。

実際の製油所では:常圧蒸留装置と減圧蒸留

蒸留塔の基部で配管の温度を放射温度計で測る作業者

製油所の中心にある製油設備は、塔・槽・熱交換器・加熱炉・ポンプ・圧縮機・配管と計器室でできています。教科書の精留塔の図は、このうち常圧蒸留装置の塔だけを描いたもので、実際にはその前後に原油を整える設備と、残油をさらに分ける設備がつながっています。

図3:製油所の主な工程

前半の「分ける」工程で留分をつくり、後半の「整える」工程で製品の品質に仕上げます。

分ける(分留)
01受け入れ・貯蔵タンカーから桟橋で荷揚げし、浮屋根式の大型タンクにためる
02脱塩原油を温めて水で洗い、腐食や触媒の劣化の原因になる塩類を除く
03予熱・加熱炉製品の熱で予熱し、加熱炉で約350℃にする
04常圧蒸留ガス・ナフサ・灯油・軽油・残油に分ける
05減圧蒸留圧力を下げて残油を軽油留分・潤滑油留分・減圧残油に分ける
整える(精製・調合)
06脱硫水素と触媒で硫黄を硫化水素にして除き、硫黄として回収する
07改質・分解ナフサのオクタン価を上げ、重い留分を分解してガソリンなどにする
08調合・出荷基材を混ぜて規格に合わせ、船・タンクローリー・パイプラインで出す

※ENEOS「石油便覧」第1編第2章、OSHA Technical Manual をもとに作成。装置の組み合わせは製油所ごとに違います。

脱塩・予熱・加熱炉で原油を整える

タンクから出た原油は、まず脱塩装置で約66〜177℃に温められ、水と混ぜて塩類などを洗い落とされます。塩類が残ると、配管や塔の腐食、閉塞、汚れの原因になり、後工程の触媒も傷めるため、分留の前に原油をきれいにしておくことが装置を長持ちさせる第一歩です。

脱塩した原油は、塔から出てくる高温の留分の熱を熱交換器で受け取って予熱され、そのあと加熱炉で約350℃まで加熱されます。製品の熱を原油に渡して燃料を節約する仕組みで、加熱炉の燃料には製油所の中で出るガスも使われています。

トレイと還流で分け方を細かくする

塔の中には、トレイと呼ぶ水平な棚板が何段も重なっています。各段には液体がたまり、下から上ってきた蒸気が泡鐘や多孔板、バルブといった構造を通って液体の中をくぐるため、段ごとに蒸気と液体が触れ合い、軽い成分は蒸気へ、重い成分は液体へと少しずつ移っていきます。

塔頂で凝縮した液体の一部を最上段へ戻す還流は、この触れ合いを上の段まで行き渡らせる操作です。還流を増やすと分け方は鋭くなりますが、そのぶん加熱炉で温める熱と凝縮器で冷やす熱が増えるので、運転員は製品の品質と燃料代の釣り合いを見ながら還流量を決めています。

灯油や軽油は、決まった段から側流(サイドストリーム)として連続して抜き出されます。どの段から抜くか、どれだけ抜くかで留分の沸点の範囲が変わるため、製油所は製品の需要と品質に合わせて抜き出し量を調整しています。

減圧蒸留で残油をさらに分ける

塔底の残油には、まだ軽油や潤滑油になる成分が含まれています。ただし加熱を強めると熱分解のおそれがあるため、残油は減圧蒸留装置に送られ、圧力を下げて沸点そのものを下げることで、分解させずに重い成分を蒸発させます。

減圧蒸留からは、分解装置の原料になる減圧軽油、潤滑油の留分、アスファルトや重油の基材になる減圧残油が取り出されます。

ENEOSは2021年1月、根岸製油所の装置の一部を2022年10月をめどに廃止すると発表しました。その際、常圧蒸留装置(トッパー)の系列の「二次装置」として減圧蒸留装置や接触分解装置を挙げており、両者は一体で動く設備です。

分留のあと:脱硫・改質・分解と留分ごとの用途

常圧蒸留装置で分けた留分は、硫黄分が多い、オクタン価が低い、重い留分が多すぎるといった理由で、ほとんどがそのままでは製品になりません。製油所はここから脱硫・改質・分解の装置で留分を作り替え、最後に混ぜ合わせて規格どおりの製品に仕上げます。

脱硫:水素で硫黄を抜き、硫黄として回収する

水素化精製(水素化脱硫)装置では、留分を水素と一緒に触媒の上へ通し、油に含まれる硫黄化合物を硫化水素に変えて取り除きます。たとえば硫黄を含む単純な化合物の一例のエタンチオールなら、次のように反応して炭化水素と硫化水素になります。

水素化脱硫の反応の例(エタンチオール)
C2H5SH + H2 → C2H6 + H2S
硫化水素から硫黄を回収する反応(全体をまとめた式)
2H2S + O2 → 2S + 2H2O
C2H5SH:エタンチオール(硫黄化合物の一例) H2S:硫化水素 条件:水素化脱硫は触媒の上で加熱・加圧して行う。実際の油には多くの種類の硫黄化合物が含まれ、どれも水素と反応して H2S になります

取り除いた硫化水素はそのまま燃やすと亜硫酸ガスになるので、硫黄回収装置で単体の硫黄に変えて出荷します。製油所で回収した硫黄は硫酸の原料にもなり、接触法による硫酸の製造へとつながっています。

自動車用の軽油とガソリンの硫黄分は段階的に厳しくなり、軽油は2007年1月、ガソリンは2008年1月から0.001質量%(10 ppm)以下が規格になりました。10 ppm以下は「サルファーフリー」と呼ばれ、石油業界はこれに先立つ2005年1月から出荷を始めています。

改質と分解:ナフサと重い留分を作り替える

ナフサは脱硫したあと軽質ナフサと重質ナフサに分けられ、重質ナフサは接触改質装置で分子の形を変えて、オクタン価の高いガソリン基材になります。このとき多量の水素が副生し、改質装置の水素が脱硫装置の水素源として使われる点も、製油所の装置がつながって動いている例です。

流動接触分解装置は、細かい粒の触媒を使って減圧軽油などの重い留分を分解し、ガソリン基材や LPガスに変えます。重油の需要が減るなかで、重い留分を軽い製品に変える分解装置は、原油1バレルからより多くのガソリンや軽油を取り出すための要になっています。

留分ごとの用途と国内の生産量

分けて整えた留分は、ガソリンは自動車、灯油は暖房とジェット燃料、軽油はトラックやバス、重油はボイラーや船の燃料へと使い分けられます。LPガスは家庭用や工業用の気体燃料、ナフサは主に石油化学の原料です。

図4:国内の石油製品の生産量(2025年)

国内の製油所が最も多くつくっているのはガソリンで、軽油、重油がそれに続きます。

ガソリン軽油重油ナフサジェット燃料灯油4,204万kL3,461万kL2,035万kL1,313万kL1,211万kL972万kL

※石油連盟「石油製品バランス」(2025年、暦年の生産量)。重油はA重油とB・C重油の合計。ナフサはこのほかに2,334万kLが輸入されています。

重油は、残油や分解装置から出る軽油留分などを調合して粘り気を整えた製品で、粘度の違いでA・B・Cの3種類に分かれます。種類ごとの性質はA重油・B重油・C重油の違いで、軽油・重油が冬に固まりにくいかを示す指標は凝固点と流動点の違いでまとめています。

ナフサから石油化学へ:エチレンの原料になる

ナフサは燃料だけでなく、プラスチックや合成繊維をつくる石油化学の出発点でもあります。日本の石油化学は原料ナフサの多くを海外に頼っており、2025年は国内生産1,313万kLに対して輸入が2,334万kLと、国内に供給されたナフサ(国内生産と輸入の合計)の約64%が輸入品でした。

エチレンプラントでは、ナフサを水蒸気と一緒に約800℃の分解管へ0.3〜0.6秒だけ通して熱分解し、炭素数2〜3のエチレンやプロピレンを取り出します。分解したガスは何本もの蒸留塔で成分ごとに分けられ、ここでも分留と同じ「沸点の違いで分ける」考え方が使われています。

図5:ナフサからプラスチックまで

分留で得たナフサを高温で分解し、小さな分子にしてから樹脂の原料にします。

ナフサ分解炉エチレンなど樹脂・製品約64%が輸入水蒸気と約800℃炭素数2〜3ポリエチレンなど

※化学工学会「エチレンプラント」、石油連盟「石油製品バランス」(2025年)をもとに作成。

石油化学工業協会の統計では、2025年の国内のエチレン生産は約514万tでした。国内需要の減少と海外の大型設備との競争から、エチレン設備を地域で集約する動きが進んでおり、その影響は西日本のエチレン集約の記事で整理しています。

日本の製油所の数・処理能力と設備保全

石油連盟によると、2026年4月末の国内の製油所は19か所で、常圧蒸留装置の能力(設計能力)は合計311万400バレル/日です。1バレルは約159リットルなので、キロリットルに直すと次のようになります。

原油処理能力をキロリットルに換算する
3,110,400 バレル/日 × 0.158987 kL/バレル
= 約49万4,500 kL/日
1バレル=42米ガロン=158.987 L(0.158987 kL)。結果は石油連盟の資料の「約494,500 kL/日」と一致します

処理能力はピークの約半分に

国内の原油処理能力は、1975〜1982年度の約594万バレル/日が最大で、いまはその約半分です。燃料油の需要の減少に合わせて製油所の閉鎖や常圧蒸留装置の廃止が続き、2024年度の稼働率は75.9%でした。

図6:国内の原油処理能力の推移

処理能力は1970年代後半に最大となり、2000年代以降は減り続けています。

3755944555354623463111970197519902000201020202024(年度、単位:万バレル/日)

※ENEOS「石油便覧」資料編 第24表(処理能力は石油連盟調べ)。1975〜1982年度は同じ594万バレル/日で横ばい。

処理量が減る一方で、原油価格の上下は製油所の採算だけでなく、ナフサを原料にする樹脂や物流費を通じて製造業全体のコストに響きます。その数字の追い方は原油高の製造業への影響でまとめています。

定期修理(定修)と腐食への備え

常圧蒸留装置は何年も止めずに動かし続ける設備で、数年に一度、装置を止めて塔や加熱炉、熱交換器を開けて点検・補修します。これが定期修理(定修)です。ENEOSの技術資料(2019年)によると、川崎・堺製油所の定修は現状4年ごとで、定修に必要な装置の停止期間は約1か月とされています。

高圧ガス保安法では、かつて毎年装置を止めて行っていた保安検査が、1997年の認定制度で最長4年の連続運転まで認められるようになりました。

2017年からはスーパー認定制度で最長8年まで事業者が連続運転の期間を決められるようになり、これら通常認定とスーパー認定は2023年12月21日から認定高度保安実施者制度として運用されています。

定修で特に見るのが腐食です。硫黄分の多い原油を処理すると、硫化水素などによって加熱炉の管や塔の内面が腐食しやすくなるため、肉厚の測定や材料の選び方、脱塩の管理が保全の中心になります。石油の分留は、こうした地道な保全に支えられて連続運転が成り立っています。

製油所のこれから

燃料油の需要が減るなかで、製油所は水素や化学品も扱うエネルギーの拠点へ役割を広げつつあります。千葉の製油所の例はコスモ石油と岩谷産業による液化水素の製造で紹介しています。製油所はもともと改質装置で水素をつくり、脱硫に使ってきた設備と経験を持っています。

製油所や石油化学のプラントを設計・建設するのは、プラント業界のエンジニアリング会社です。蒸留塔や加熱炉の設計、配管のつなぎ方、定修の工事まで、分留の原理は現場の多くの仕事に生きています。

石油の分留のよくある質問

蒸留と分留はどう違うのですか?

蒸留は、液体を加熱して蒸気にし、冷やして液体に戻すことで成分を分ける操作の総称です。分留はその一種で、沸点の違う成分を多く含む混合物を、沸点の範囲ごとに複数の留分に分ける蒸留を指し、原油の分留はその代表例です。

ナフサとガソリンは同じものですか?

同じではありません。ナフサは常圧蒸留で得られるガソリンとほぼ同じ沸点の範囲の留分で、脱硫・改質などを経て他の基材と調合したものが製品のガソリンです。ナフサは石油化学の原料にも使われ、その場合はガソリンにはなりません。

ジェット燃料はどの留分からつくるのですか?

主に灯油の留分からつくります。ENEOSの石油便覧によると、灯油の留分だけでつくるものと、ナフサと灯油の留分を調合してつくるものがあり、どちらも脱硫などの精製をしてから使われます。

減圧蒸留ではなぜ沸点が下がるのですか?

液体は、自分の蒸気の圧力(蒸気圧)がまわりの圧力と等しくなる温度で沸騰します。まわりの圧力を下げれば、低い温度でも蒸気圧が追いつくため沸点が下がり、高い山の上で水が100℃より低い温度で沸騰するのと同じ理由です。

まとめ:石油の分留は沸点の違いで混合物を分ける方法

この記事のまとめ
  • 石油の分留は、原油を約350℃に加熱して蒸気にし、精留塔の中で沸点の違いによって留分に分ける方法
  • 塔は上ほど低温で、塔底から残油、軽油(240〜350℃)、灯油(170〜250℃)、塔頂からナフサと石油ガスが同時に連続して取り出される
  • 塔底に残るのは常圧残油で、重油は残油などを調合してつくる製品
  • 実際の製油所は脱塩・予熱・加熱炉・トレイと還流・減圧蒸留で分け、脱硫・改質・分解で製品に整える
  • 国内の製油所は19か所・311万バレル/日(2026年4月末)で、定修と腐食の管理が連続運転を支える

分留は、沸点の違いで混合物を分けるという化学の基本が、そのまま巨大な設備になった工程です。製油所で生まれた水素やナフサの使われ方は、ハーバーボッシュ法によるアンモニアの合成や、プラスチックのケミカルリサイクル、化学業界の構造の記事からもたどれます。

出典

出典・参考資料(16件)を開く出典・参考資料を閉じる

NEWSLETTER

製造・オペレーション・化学・樹脂・ゴムの記事を、週1回まとめてメールで受け取る

週刊MONOSCOPEは、登録時に選んだ職種・業種に合わせた記事を週1回お届けする無料のメルマガです。

実際に届くメールの例を見る

件名:今週のあなた向け記事|週刊MONOSCOPE 10/9号
登録内容:品質保証・品質管理 × 食品・医薬・日用品

週刊MONOSCOPEの見本(品質保証・品質管理 × 食品・医薬・日用品)

職種3本・業種3本・製造業で働くすべての方へ2本・今週よく読まれた記事3本が届きます。記事は毎週入れ替わります。ほかの見本を見る

製造・オペレーションを選んだ状態で登録へ ›

無料・週1回。登録後に届く確認メールのリンクを押すと登録が完了します。配信はメール内のリンクからいつでも停止できます。

WEEKLY NEWS

今週の製造業ニュース10選

メルマガは職種・業種に合わせた記事。LINEとnoteでは、全員共通の10本を毎週土曜の朝にお届けします。

LINEでニュース10選を受け取るnote今週のニュース10選をnoteで読む ›
よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

MONOSCOPEの運営者

プラント機器メーカーとプラントメーカーで約10年、設備の提案・設計・試運転に携わったのち、Webマーケターに転身。現在はBtoB製造業専門のWebコンサルタントとして、メーカーの情報発信を支援しています。エネルギー管理士/第三種電気主任技術者。工業技術ブログを2017年から運営(500本以上執筆)、YouTube登録者約2万人、Xフォロワー約1万人。

▶ お仕事のご依頼はこちら

目次