生産管理は、注文や必要な量の把握から、部品の手配、現場への作業指示、出荷、実績の振り返りまでをつなぐ仕事です。この流れは8つの工程に分けられ、月・週・日の単位で何度も繰り返されます。
計画を立てた後も、現場への作業指示や進み具合の確認に多くの時間を使います。段階ごとに、部品を買う購買部門や製造現場、物流、経理と、やり取りする相手も変わっていきます。
この記事では、生産管理の仕事を、需要の把握から実績分析まで8つの工程に分け、それぞれで使う道具や書類、関わる人、よくある失敗という順で整理します。最後に、業界や会社の規模によって流れがどう変わるかも紹介します。
生産管理の仕事の全体像
生産管理の仕事は、次のような流れで進みます。
需要予測・受注把握 → 生産計画の立案 → 所要量の計算 → 資材・部品の手配 → 作業指示・差立て → 進捗管理 → 出荷・納品調整 → 実績分析・改善
計画、手配・実行、出荷・振り返りの3つの段階に分かれます。
※会社によって工程の呼び方や担当部署の分け方は異なります。
この流れは1回で終わるものではなく、月・週・日の単位で何度も繰り返されます。実績分析の結果が次の計画に反映されるため、計画と実行を回し続ける仕事といえます。
計画の段階は主に事務所での検討が中心で、手配・実行の段階は購買や製造現場とのやりとりが増えます。出荷・振り返りの段階では、物流部門や経理部門、工場の管理職と数字を共有します。
段階ごとに関わる人が変わる点も、この仕事の特徴です。順に見ていきます。
計画の段階
計画の段階では、どれだけの量を、いつまでにつくるかを決めます。ここでの判断が、その後の手配や作業指示のすべての前提になります。
計画の段階で使う主な情報は、次のとおりです。
- 受注データ
- 在庫データ
- 設備や人員の能力表
- 部品表 など
いずれも他部署が管理している情報が多いため、日ごろから必要な情報がどこにあり、誰に聞けばよいかを把握しておくと仕事が速くなります。
需要予測・受注把握
最初の仕事は、どれだけつくる必要があるかをつかむことです。受注生産なら営業から届く注文書や見積もりの情報、見込み生産なら過去の販売実績や季節変動、営業の見通しをもとに必要な量を見積もります。
自動車部品などでは、顧客から数か月先までの生産の見通しを示す「内示」が届き、それが確定注文に切り替わっていく形も一般的です。内示は変わることがあるため、どこまで確定した数字なのかを見分けることが大切です。
よくある失敗は、営業から聞いた数字をそのまま計画に使ってしまうことです。前回との差や過去の傾向と比べ、違和感があれば確認する習慣をつけると、後の手戻りを減らせます。
見込み生産の場合は、需要予測そのものが生産管理の仕事になることもあります。過去の販売データを月別に並べ、季節の波や販促の予定を加味して数字を決めていきます。
予測は外れるものと考え、外れたときにどこまで在庫で吸収できるかもあわせて考えておきます。
生産計画の立案
必要な量が見えたら、設備の能力や作業者の人数、稼働日数と照らし合わせて生産計画を立てます。計画は期間の長さによって、大日程・中日程・小日程の3つの階層に分けて考えるのが一般的です。
長い期間の計画から、日々の計画へと段階的に細かくしていきます。
計画づくりでは、生産管理システムやExcelの計画表を使います。能力を超える計画になっていれば、残業や休日出勤、外注の活用、他の製品の前倒しなどで負荷をならします。負荷を平準化できるかどうかが、計画の良し悪しを左右します。
計画案は製造部門や購買部門と共有し、実現できるかを確かめてから確定させます。現場の意見を聞かずにつくった計画は、実行の段階で必ず無理が出ます。
経験の浅いうちは、設備ごとの能力や段取り替えにかかる時間が分からず、計画が詰め込みすぎになりがちです。現場の班長に「この計画で回るか」と率直に聞くことが、計画の精度を上げる近道になります。
現場を歩いて設備の動きを自分の目で見ておくことも、机上の計画とのずれを減らすのに役立ちます。
所要量の計算
生産計画が決まったら、その製品をつくるのに必要な部品や材料の量を計算します。製品を構成する部品の一覧である部品表(BOM)と、現在の在庫、発注済みの数量をもとに、不足分を割り出す方法をMRP(資材所要量計画)と呼びます。
多くの会社では生産管理システムが自動で計算しますが、部品表の登録ミスや在庫データのずれがあると、計算結果もずれてしまいます。システムの結果をうのみにせず、元データの正しさを確かめることが欠かせません。
設計変更で部品が切り替わったのに部品表が更新されていない、不良品の廃却がシステムに反映されていない、といったずれは珍しくありません。設計部門や倉庫と連携して、データを正しく保つことも生産管理の大切な仕事です。
手配・実行の段階
手配・実行の段階では、計画を現場で実際に動く形に落とし込みます。生産管理の仕事のなかで最も調整が多く、日々の忙しさを左右する段階です。
この段階では、生産管理から出た指示が購買や製造、倉庫へと広がり、その結果が実績として戻ってきます。指示を出す流れと実績が戻る流れの両方を押さえることが、実行段階を回すコツです。
生産管理から出た計画が、各部署の具体的な動きに変わります。
※生産管理システムを使う工場では、実績の多くがシステム上で共有されます。
資材・部品の手配
所要量の計算結果をもとに、購買部門へ発注を依頼したり、協力会社へ加工を依頼したりします。会社によっては生産管理の担当者が直接発注することもあります。
協力会社に部品の加工を任せている場合は、材料を支給して加工してもらう形も多く、材料の出荷と加工品の戻りの両方を管理する必要があります。どの部品がいまどこにあるのかを、いつでも答えられる状態にしておくことが理想です。
発注したら終わりではなく、納期どおりに入荷するかを追いかけることが大切です。入荷予定表を毎日確認し、遅れそうな部品は早めに取引先へ連絡します。欠品の多くは、発注後の確認不足から起こります。
調達に時間がかかる部品は、計画の確定を待たずに先行して手配することもあります。どこまでのリスクを取るかは、上司や購買部門と相談して決めます。先行手配した部品は、計画が変われば余剰在庫になるおそれがあるからです。
作業指示・差立て
部品のめどが立ったら、製造現場へ作業指示を出します。どの設備で、どの順番に、何個つくるかを決めて割り振ることを「差立て」と呼びます。
作業指示書や製造指図書、生産管理板などを使い、班長やラインリーダーに内容を伝えます。品種を切り替えるときの段取り替えの時間や、設備の点検予定も考えに入れなければなりません。
作業者の出勤状況や技能も、差立ての大事な条件です。特定の資格や技能を持つ人しか扱えない設備もあるため、製造部門の管理者と相談しながら割り振りを決めます。
指示の変更は、必ず書面やシステムに残すのが原則です。口頭だけで変えると、現場と事務所で数字が食い違う原因になります。
作業の順番は、納期の早いものから並べるのが基本です。ただし、似た製品をまとめてつくれば段取り替えの回数を減らせるため、納期と効率のどちらを優先するかを見極める判断が求められます。
進捗管理
生産が始まったら、計画に対して実績がどこまで進んでいるかを確認します。生産実績の入力データや日報、現場の生産管理板を見て、遅れや不良が出ていないかを毎日チェックします。
遅れが見つかったら、原因を確かめて対策を考えます。原因に応じて連携する部門は次のとおりです。
- 設備の故障なら保全部門
- 不良なら品質部門
- 部品の遅れなら購買部門
そのうえで、残業や作業順の入れ替えで取り戻せるかを判断します。
どれも経験の浅い時期につまずきやすいポイントです。
取り戻せない遅れは、できるだけ早く営業に伝えることが大切です。悪い知らせほど早く共有することで、顧客との調整の選択肢が広がります。
進捗管理は、毎日同じ時間に同じ指標を確認するのが基本です。確認のタイミングが決まっていると、小さな遅れにも早く気づけるようになります。
出荷・振り返りの段階
完成した製品を顧客に届け、その結果を次の計画に生かすのが最後の段階です。見落とされがちですが、ここでの振り返りが工場の力を少しずつ高めていきます。
出荷・納品調整
完成した製品は、品質部門の検査や出荷判定を経て出荷されます。生産管理は出荷予定表をもとに、物流部門や運送会社と輸送の手配を調整します。
納期に間に合わない場合は、一部だけを先に届ける分納や、輸送手段の変更で対応することもあります。ただし特急の輸送は費用がかさむため、計画の段階で余裕をもたせるほうが結果的にコストを抑えられます。
出荷の直前になって、梱包材が足りない、出荷書類がそろっていないといった問題が見つかることもあります。出荷前日までに、数量・書類・輸送手段の三つをそろえて確認しておくと安心です。
輸出品の場合は、船やコンテナの予約、通関書類の準備なども加わり、国内向けよりも早い時期から段取りを始める必要があります。出荷日から逆算して、いつまでに何をそろえるかを一覧にしておくと抜け漏れを防げます。
実績分析・改善
月末や期末には、次のような数字を集計します。
- 生産実績
- 在庫の量
- 納期遵守率
- 計画と実績の差 など
こうした数字は生産管理システムやExcelで管理し、工場の会議で報告することが一般的です。
集計した数字は、経理部門の原価計算や、工場長が判断する設備投資・人員計画の材料にもなります。生産管理のデータは、工場の経営判断を支える基礎情報でもあるのです。
分析の目的は、次の計画をよりよくすることです。在庫が増えている品目は発注の基準を見直し、遅れが多い工程は生産技術や製造と改善を話し合います。数字をもとに改善を提案できることは、生産管理の評価を高めるポイントです。
振り返りを怠ると、同じ遅れや欠品が毎月のように繰り返されます。うまくいったことと、うまくいかなかったことを短くても記録に残し、次の計画づくりで見返す習慣をつけると、計画の精度は少しずつ上がっていきます。
業界・会社による違い
ここまでの流れはどの工場にも共通しますが、どの工程に力点が置かれるかは、つくる製品や会社の規模によって大きく変わります。
つくり方によって、生産管理の仕事の重心が変わります。
※自動車部品のように、顧客の内示をもとに繰り返し生産する中間的な形もあります。
見込み生産の代表は食品や日用品です。売れ行きを予測してつくりためるため、需要予測の精度と在庫の管理が仕事の中心になります。食品・医薬品業界では、賞味期限やロットの管理も欠かせません。
受注生産の代表は産業機械やプラント設備です。産業機械・工作機械業界では、注文ごとに仕様が異なるため、案件ごとの工程表をつくって長期の納期を管理します。設計の遅れが製造に響くことも多く、設計部門との調整が増えます。
自動車業界の部品メーカーは、顧客の内示をもとに毎日決まった量を納める繰り返し生産が中心です。日々の小日程計画と部品の供給管理に多くの時間を使います。顧客のラインを止めないことが最優先になるため、納入の遅れには特に敏感な職場です。
会社の規模による違いもあります。大手では計画・資材・工程と担当が分かれ、生産管理システムを使った分業が進んでいます。中小では一人が需要把握から出荷まで受け持つことも多く、工場全体を見渡す力が身につきやすい環境です。
使う道具にも差があります。大手ではERPと呼ばれる基幹システムの中で計画から実績までを管理するのが一般的です。中小ではExcelの計画表やホワイトボードの工程表を中心に、人と人との連絡で流れを回している工場も少なくありません。
転職や配属の際は、どの形の生産か、どこまでを担当するかを確認しておくと、入社後のギャップを小さくできます。
まとめ
- 生産管理の仕事は、計画、手配・実行、出荷・振り返りの3段階で進む
- 計画の段階では需要をつかみ、能力と照らして生産計画と所要量を決める
- 手配・実行の段階では部品を追いかけ、作業を指示し、遅れを早めに取り戻す
- 出荷後は実績を分析し、在庫や納期の改善を次の計画に反映する
- 見込み生産か受注生産か、大手か中小かで仕事の重心は大きく変わる
生産管理という職種の全体像は生産管理とは?仕事内容・役割・他職種との違いで、必要なスキルや資格、キャリアは生産管理に必要なスキル・資格とキャリアパスで解説しています。
工場のデータ活用に関心がある方はスマートファクトリー・IoTの記事もあわせてご覧ください。
生産管理については、生産管理の職種ページから関連記事もあわせてご覧ください。
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