化学メーカーの売上高ランキング|化学業界の主要企業と勢力図・各社の強み・再編動向

化学業界の主要企業と勢力図

国内の化学メーカーで売上高が最も大きいのは三菱ケミカルグループで、2026年3月期は3兆7,040億円でした。旭化成、東レ、信越化学工業、住友化学がこれに続きます。

ただし業界には、売上高が数兆円に達する総合化学メーカーだけでなく、強みの異なる企業が並んでいます。特定の素材で世界トップのシェアを持つ会社、タイヤで世界に展開するゴムメーカー、流通を担う化学商社などで、売上高の順位だけでは各社の姿は見えてきません。

この記事の内容は、動画でも解説しています。

先に要点:化学メーカーの売上高ランキング(2026年3月期中心)
  • 売上高の上位5社は、三菱ケミカルグループ(3兆7,040億円)、旭化成(3兆745億円)、東レ(2兆5,851億円)、信越化学工業(2兆5,740億円)、住友化学(2兆3,285億円)
  • ゴムを含めると、ブリヂストン(4兆4,295億円、2025年12月期)が化学メーカーの首位を上回る
  • 売上高には住宅・医療などの化学以外の事業も含まれる。営業利益率では信越化学工業が24.7%と突出している
  • 世界の化学企業ランキング(2023年)で日本勢の最上位は三菱ケミカルグループの15位。日本勢は特定分野の高いシェアで戦っている
  • 2024年以降、エチレン設備の集約など、会社の枠を超えた石油化学の再編が本格化している
目次
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化学業界の売上高ランキング

まずは、国内の主な化学メーカーを連結売上高の大きい順に並べてみます。決算期は2026年3月期が中心で、12月決算の会社は2025年12月期の数字です。

図1:主な化学メーカーの売上高

連結の売上高(売上収益)の比較です。

三菱ケミカルグループ3兆7,040億円
旭化成3兆745億円
東レ2兆5,851億円
信越化学工業2兆5,740億円
住友化学2兆3,285億円
三井化学1兆6,688億円
レゾナック・ホールディングス1兆3,471億円
積水化学工業1兆3,093億円
東ソー1兆199億円

※出典:Yahoo!ファイナンス掲載の各社業績。レゾナック・ホールディングスは2025年12月期、その他は2026年3月期。医薬品や住宅などの事業も含む全社の売上高です。

首位は三菱ケミカルグループで、旭化成、東レ、信越化学工業、住友化学が2兆円台で続きます。ただし、売上高には化学以外の事業も含まれるため、単純に「化学の規模」を比べたものではありません。

たとえば旭化成には住宅事業やヘルスケア事業が、積水化学工業には住宅事業が含まれます。会社ごとに事業の範囲が大きく違う点を踏まえて、ランキングを見る必要があります。

ゴムを含めると規模はさらに大きくなり、主なゴムメーカーの売上高は次のとおりです。

  • ブリヂストン:4兆4,295億円(2025年12月期)で、化学メーカーの首位を上回る
  • 横浜ゴム:1兆2,350億円(2025年12月期)
  • 住友ゴム工業:1兆2,071億円(2025年12月期)

分野別の主要企業

化学業界とはの記事で紹介した企業の分類に沿って、代表的な企業を整理すると次のようになります。

図2:分野別の主要企業

同じ化学業界でも、分野によって顔ぶれが変わります。

代表的な企業
特徴
総合化学
三菱ケミカルグループ、住友化学、三井化学、旭化成
基礎化学品から機能性材料まで幅広い
機能性化学
信越化学工業、レゾナック、JSR、日東電工
半導体・電子材料などで高いシェア
素材・樹脂
東レ、東ソー、積水化学工業
繊維・樹脂・加工品など得意分野を持つ
ゴム
ブリヂストン、住友ゴム工業、横浜ゴム、TOYO TIRE
タイヤを中心に海外に生産拠点
化学商社
長瀬産業、稲畑産業
化学品・樹脂の流通と用途開拓

※1社が複数の分野にまたがることも多く、分類は目安です。

総合化学の4社は、いずれもコンビナートに大型のプラントを持ち、基礎化学品から樹脂、機能性材料まで幅広く手がけています。近年はエチレン設備の集約でも中心的な役割を担っています。

機能性化学では、半導体材料で存在感のある会社が目立ちます。レゾナックは昭和電工と日立化成の統合で生まれた会社で、JSRは2024年に上場を廃止し、半導体材料を軸に事業を進めています。

化学商社では、長瀬産業の2026年3月期の売上高が9,728億円、稲畑産業が8,327億円と、中堅の化学メーカーに匹敵する規模を持っています。

ゴムでは、ブリヂストン、住友ゴム工業、横浜ゴム、TOYO TIREといったタイヤメーカーが中心です。いずれも海外に生産拠点を持ち、世界の自動車市場を相手に事業を展開しています。

主要企業の特徴と強み

三菱ケミカルグループ

三菱ケミカルグループは、2022年7月に三菱ケミカルホールディングスから社名を変更した、国内最大の化学グループで、2026年3月期の売上収益は3兆7,040億円でした。化学事業に加え、産業ガスの日本酸素ホールディングスをグループに持つのが特徴です。

日本化学工業協会がまとめた世界の化学企業ランキング(2023年)では15位と、日本の化学メーカーで最上位に位置しています。西日本のエチレン設備については、旭化成・三井化学と3社で連携する枠組みを整えました。

旭化成

旭化成は、マテリアル、住宅、ヘルスケアの3つの領域で事業を展開しています。2026年3月期の売上高は3兆745億円、営業利益は2,312億円で、連結の従業員数は4万7,895人(2026年3月末)です。

化学メーカーでありながら住宅や医療機器も手がける、事業の幅の広さが最大の特徴です。石油化学工業協会の会長会社を務めた実績もあるなど、石油化学の業界でも中心的な立場にあります。

信越化学工業

信越化学工業は、塩化ビニル樹脂と半導体シリコンで世界のトップシェアを持つと公表している会社です。2026年3月期の売上高は2兆5,740億円、営業利益は6,352億円でした。

売上高に対する営業利益の割合は24.7%(決算から算出)と、大手化学メーカーの中でも際立って高い利益率を上げており、特定の分野で世界的なシェアを握ることの強さを示す例といえます。

東レ

東レは1926年創業の素材メーカーで、繊維、機能化成品、炭素繊維複合材料、環境・エンジニアリング、ライフサイエンスの事業を持ちます。2026年3月期の売上収益は2兆5,851億円、連結の従業員数は4万6,294人です。

合成繊維から出発し、樹脂やフィルム、炭素繊維へと事業を広げてきました。繊維の技術を土台に先端材料へ展開してきた点が、他の総合化学メーカーとは異なる成り立ちです。

住友化学

住友化学は、次の4部門で事業を展開しています。アグロ&ライフソリューション、ICT&モビリティソリューション、アドバンストメディカルソリューション、エッセンシャル&グリーンマテリアルズです。

2026年3月期の売上高は2兆3,285億円で、2024年3月期に計上した4,888億円の営業損失から、2025年3月期には1,930億円の営業利益へ回復しています。市況の変化が業績に表れやすい会社の一つです。

石油化学では、丸善石油化学との合弁会社である京葉エチレンへの生産集約を2025年4月に発表しています。

三井化学

三井化学は、ライフ&ヘルスケア・ソリューション、モビリティソリューション、ICTソリューション、ベーシック&グリーン・マテリアルズの4事業を柱としています。2026年3月期の売上高は1兆6,688億円でした。

石油化学では、千葉地区で出光興産とのエチレン装置の集約を検討し、西日本でも三菱ケミカル・旭化成との3社連携に加わっています。複数の地域で再編の当事者になっている会社です。

ブリヂストン

ブリヂストンは、タイヤを中心に化工品やソリューション事業も手がけるゴムメーカーです。2025年12月期の売上高は4兆4,295億円、営業利益は3,812億円で、150か国以上で事業を展開しています。

2025年12月時点でタイヤ工場は世界に72か所あり、そのうち日本は21か所です。工場の多くを海外に持つグローバル企業で、化学業界の中でも海外で働く機会の多い会社といえます。

海外の主要企業との比較

世界に目を向けると、日本の化学メーカーの立ち位置が見えてきます。日本化学工業協会が米国の専門誌の集計をもとにまとめたランキング(2023年、医薬品を除く)では、ドイツのBASFが約745億ドルで首位でした。

図3:世界の大手と日本の大手

規模と強みの出し方に違いがあります。

世界の大手
日本の大手
代表的な企業
BASF、Sinopec、Dowなど
三菱ケミカルグループ、信越化学工業、東レ、住友化学
世界の順位
上位を欧米・中国などの企業が占める
最上位は三菱ケミカルグループの15位
強み
巨大な生産規模と原料の確保
特定分野の高い技術とシェア
事業の特徴
基礎化学品を大量に供給
機能性材料へ重心を移している

※出典:日本化学工業協会「グラフでみる日本の化学工業2025」(2023年の売上高、医薬品を除く)。

同じランキングで、日本企業は三菱ケミカルグループの15位が最上位で、信越化学工業が20位、東レが26位、住友化学が28位でした。上位10社に日本企業は入っていません。

国別で見ても、化学工業の出荷額(2023年)は中国が突出しており、日本は中国、米国、ドイツに次ぐ4位です。規模で世界の大手と正面から競うのは難しく、日本勢は特定の分野で世界的なシェアを持つ戦い方をとっています。

信越化学工業の塩化ビニル樹脂や半導体シリコンのように、世界で首位を争う製品を持つ日本企業は少なくありません。市場全体の数字は化学業界の市場規模と動向で紹介しています。

一方で、海外の大手は巨大な設備と安い原料を武器に、汎用品の市場での存在感を強めつつあります。日本企業にとっては、汎用品の設備を集約して効率を高めながら、技術で差がつく分野に投資を振り向けることが課題になっています。

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再編・M&Aの動き

化学業界では、2020年代に入って大型の再編が相次いでいます。事業の統合や非上場化、石油化学設備の集約など、業界の勢力図に影響する主な動きを年表にまとめました。

図4:化学業界の主な再編の動き

統合・社名変更、事業の組み替え、設備集約の3つの時期に分かれます。

2020〜2022年
012020年 日立化成を子会社化昭和電工がTOBで日立化成を傘下に
022022年 社名変更三菱ケミカルHDが三菱ケミカルグループに
032022年 事業譲渡JSRがエラストマー事業をENEOSへ
2023〜2024年
042023年 レゾナック発足昭和電工が社名を変更し持株会社化
052024年 JSRが上場廃止JIC傘下の会社によるTOBが成立
062024年 千葉で集約検討三井化学と出光興産がエチレン設備で
2025年
072月 川崎で一部停止ENEOSがエチレン装置の一部停止(2027年度末めど)を発表
084月 京葉地区で集約住友化学と丸善石油化学が生産集約で合意
099月 西日本で3社連携三菱ケミカル・旭化成・三井化学がLLP設立

※出典:各社の沿革・発表、三井住友信託銀行「調査月報 2025年12月号」。年は発表・実施の時期です。

レゾナックは、昭和電工が2020年に日立化成を子会社化し、2023年1月に社名をレゾナック・ホールディングスへ変更して生まれました。石油化学と半導体材料をあわせ持つ会社へと姿を変えた例です。

2024年以降は、石油化学のエチレン設備を会社の枠を超えて集約する動きが本格化しました。国内のエチレン生産量が2024年に約499万トンと、1988年以来の500万トン割れとなったことが背景にあります。

JSRのように、非上場となって長期的な視点で事業を組み替える会社も出てきました。JSRはその後も、2025年にライフサイエンス関連の事業の一部をトクヤマに譲渡するなど、半導体材料を軸とした事業の組み替えを続けています。

こうした再編は今後も続くとみられ、業界の構造の変化については化学業界の構造の記事で詳しく解説しています。

就職・転職で企業を見るときのポイント

化学業界の企業を比べるときは、売上高の大きさだけで判断しないことが大切です。次の3つの視点をあわせて見ると、会社の実像がつかみやすくなります。

図5:主な化学メーカーの営業利益率

売上高に対する営業利益の割合です。

信越化学工業24.7%
東ソー9.4%
積水化学工業8.1%
旭化成7.5%
住友化学6.5%
三井化学4.4%

※Yahoo!ファイナンス掲載の2026年3月期の売上高と営業利益から算出。会計基準の違いや一時的な損益を含みます。

売上高より利益率を見る

売上高が大きくても、利益率が低ければ景気の波に弱い会社である可能性があります。図5のように、同じ化学メーカーでも営業利益率には5倍以上の差があります。

利益率は1年だけでなく、数年分を並べて見るのがおすすめです。住友化学のように、赤字から黒字へ大きく振れた会社もあるため、変動の大きさも確認しておきましょう。

事業の集中度を見る

総合化学メーカーは事業の幅が広く、ある事業が不調でも他の事業で補える安定感があります。一方で、事業の売却や統合の対象になる部門も出やすく、配属先の事業の先行きを確認しておくことが大切です。

会社の決算資料には、事業部門ごとの売上高や利益が載っているため、どの部門が利益の柱になっているかを見ると、会社の実際の姿がわかりやすくなります。

特定の分野に集中する会社は、その分野が伸びれば大きく成長しますが、需要が落ち込むと影響も大きくなります。自分が関わりたい素材や技術が、会社の中でどの位置づけにあるかを見ておきたいところです。

海外比率と拠点を見る

化学業界では、顧客も生産拠点も海外に広がっているため、海外売上の比率や海外工場の数は、海外勤務や海外とのやり取りの多さに直結します。

ブリヂストンのように工場の多くを海外に持つ会社もあれば、国内の工場を中心に輸出する会社もあります。語学を生かしたいのか、国内でじっくり技術を磨きたいのかによって、選ぶべき会社は変わります。

面接や説明会では、海外拠点の役割や、若手が海外に赴任する時期の目安などを確認しておくと、入社後の働き方を具体的にイメージしやすくなります。

海外拠点も含めた働き方を考え、社外の仕事を調べる方法も知りたい方は、転職・キャリアガイドも参考にできます。

化学メーカーのよくある質問

世界の化学メーカーで売上高が最も大きいのはどこですか?

日本化学工業協会がまとめた2023年のランキング(医薬品を除く)では、ドイツのBASFが約745億ドルで首位でした。日本企業の最上位は三菱ケミカルグループの15位で、上位10社に日本企業は入っていません。

化学メーカーで利益率が高い会社はどこですか?

主な化学メーカーでは、信越化学工業の営業利益率が24.7%と突出しています。塩化ビニル樹脂や半導体シリコンで世界トップのシェアを持つことが、高い利益率を支えています。

総合化学メーカーとはどんな会社のことですか?

コンビナートに大型のプラントを持ち、基礎化学品から樹脂、機能性材料まで幅広く手がける会社を指します。国内では三菱ケミカルグループ、住友化学、三井化学、旭化成が代表的な総合化学メーカーです。

化学メーカーと化学商社は何が違いますか?

化学メーカーは化学品や素材を自社で製造し、化学商社は化学品・樹脂の流通と用途開拓を担います。長瀬産業や稲畑産業のように、中堅の化学メーカーに匹敵する売上規模を持つ化学商社もあります。

まとめ

この記事のまとめ
  • 売上高の首位は三菱ケミカルグループで、旭化成・東レ・信越化学工業が続く
  • 売上高には住宅や医薬など化学以外の事業も含まれるため、事業範囲に注意する
  • 世界では日本勢の最上位が15位で、特定分野のシェアで勝負している
  • 統合・非上場化・エチレン設備の集約など、再編の動きが続いている
  • 企業選びでは売上高だけでなく、利益率・事業の集中度・海外比率も見る

化学業界の基本は化学業界とは、市場の数字は化学業界の市場規模と動向、企業どうしのつながりは化学業界の構造で解説しています。

化学業界のほかの記事については、化学・樹脂・ゴムの業種ページからあわせてご覧ください。

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プラント機器メーカーとプラントメーカーで約10年、設備の提案・設計・試運転に携わったのち、Webマーケターに転身。現在はBtoB製造業専門のWebコンサルタントとして、メーカーの情報発信を支援しています。エネルギー管理士/第三種電気主任技術者。工業技術ブログを2017年から運営(500本以上執筆)、YouTube登録者約2万人、Xフォロワー約1万人。

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