配管流速の計算方法|流量・内径から求める式と25Aの計算例

工場内に並ぶ鋼製配管とフランジ付きバルブ

配管流速は、管内を流れる実体積流量を、流路の断面積で割ることで求められます。体積流量をm³/s、断面積をm²にそろえると、答えは1秒間に進む距離を表すm/sになります。

計算の要点は、流量の単位と、配管の内径をそろえることです。同じ25Aでも材質や肉厚の規格によって内径が違い、空気や蒸気では管内の圧力・温度によって体積流量も変わります。

ここでは体積流量、断面積、流速の順に式を整理し、水1000kg/hを25Aへ流す例を最後まで計算します。計算結果を配管径の選定や、流量計の表示確認へつなぐときの注意点も説明します。

目次

配管流速の計算方法

配管流速の計算は、管を通り抜ける体積と、その通り道の広さを対応させる計算です。流速が高いと圧力損失や騒音、摩耗などの問題につながるため、配管径を検討する基礎になります。

ここで求めるのは、断面全体を平均した流速です。管壁の近くや中央の局所的な速さを表す値ではなく、流量と配管径を結び付けるための代表値として使います。

図1:断面積×1秒に進む距離が、1秒間に通る体積

断面積を固定すると、同じ時間に多くの体積が通るほど平均流速が高くなります。

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断面積 A長さ v × 1秒体積流量Q = A × v[m³/s]

流れの向きは右向き。流体柱の体積A×v×1秒を1秒で割るとQ=Avになります。断面内の流速分布を一様な平均値に置き換えた説明図です。

必要な手順は、体積流量を求め、内径から断面積を計算し、両者を割るという3段階です。最初から流量がm³/hで分かっている場合は、質量流量からの換算を省いて進められます。

設計ソフトを使う場合も、入力する値の意味は同じです。流量の時間単位や配管の肉厚条件が違えば、計算式が正しくても結果は違ってしまうため、入力条件を先にそろえます。

体積流量を計算する

体積流量は一定時間に通る体積、質量流量は一定時間に通る質量を表します。例えば水1t/hは質量流量1000kg/hで、密度を1000kg/m³と仮定すると体積流量は1m³/hになります。

両者を結ぶのが密度、またはその逆数である比体積です。比体積は1kgの流体が占める体積なので、質量流量へ掛けると、同じ時間内に通る体積へ換算できます。

質量流量から体積流量へ
Qh = ν × ṁh = ṁhρ
Qh:体積流量[m³/h]、ν:比体積[m³/kg]、ṁh:質量流量[kg/h]、ρ:密度[kg/m³]。ν=1/ρ。

水では圧力による体積の変化が小さいため、簡単な計算で一定の密度を使うことがあります。ただし温度が変われば密度も変わるので、精度が必要な計算には、対象温度の物性値を用います。

空気やガスは、同じ質量でも圧力や温度によって体積が大きく変わります。配管内の流速には、その場所の圧力・温度での実体積流量を使い、基準状態へ換算した流量と区別します。

図2:流量計の表示条件と、管内の状態を分ける

基準状態の流量を、そのまま管の断面積で割ると流速を取り違えます。

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基準流量100m³/h同じ温度の例管内 0.5MPa abs実流量20m³/h → 流速へ基準 0.1MPa abs

理想気体、温度一定、基準0.1MPa絶対圧と管内0.5MPa絶対圧の仮定例。機器の実際の基準温度・圧力を表すものではありません。

同じ温度の理想気体で、基準の絶対圧を0.1MPa、管内を0.5MPaと仮定します。基準状態で100m³/hなら、管内の実体積流量は圧力比を掛けて20m³/hとなります。

理想気体の実体積流量への換算
Q = Q0 × P0P × TT0
同温度なら 100 × 0.10.5 = 20m³/h
Q0:基準状態の体積流量、Q:管内の実体積流量(同じ単位)。P0・P:絶対圧力(同じ単位)、T0・T:絶対温度[K]。理想気体として扱える場合の式です。

圧力の比にはゲージ圧ではなく、真空を基準とする絶対圧を使います。温度を入れるときも℃の比は使わず、絶対温度Kへ直してから計算することが重要です。

標準状態の定義は機器や表記法によって異なり、SMCの製品資料には20℃・101.3kPa絶対圧の表示例があります。換算方法の違いはNm³とm³の違いで整理しています。

蒸気の比体積は、実際の圧力と温度に対応する蒸気表などから求めます。湿り蒸気や気液が混在する流れでは、単相流としての密度だけで済ませず、状態に合った計算方法を選びます。

流量計から値を拾うときは、それが今の流量か、一定期間に通過した積算量かも区別します。表示の読み分けは瞬時流量と積算流量の違いを押さえると、時間単位の取り違えを減らせます。

配管の断面積を計算する

鋼管の内側の寸法をノギスで確かめる様子
配管の内径を確かめるイメージ。計算には対象管の仕様に合う寸法を使います。

流体が通れる断面積は、配管の内径から求めます。呼び径は寸法を呼び分ける名前なので、25Aだから内径25mmと置くと、実際の流路とは違う面積を計算してしまいます。

例えばJIS G 3454の圧力配管用炭素鋼鋼管で、25A(1B・呼び1インチ)・Sch40の外径は34.0mm、肉厚は3.4mmです。内径は外径から両側の肉厚を引き、27.2mmとして計算できます。

図3:面積に使うのは、肉厚を除いた内側の直径

25A・STPG Sch40の公称寸法を使うと、内径は34.0−3.4×2=27.2mmです。

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外径34.0mm内径27.2mm呼び径は25A肉厚3.4mm断面積に使う直径d = 0.0272m外径や呼び径と区別

JFE溶接鋼管の寸法表を参照した公称寸法の例。実測値や製造公差、異なる規格の管では寸法が変わります。

面積をm²で求めるため、内径は27.2mmから0.0272mへ換算します。直径を2回掛けるので、mmのまま計算した面積はmm²となり、そのままm²として扱うことはできません。

円管の流路断面積
A = πd²4
= π × 0.0272²4 ≒ 0.000581m²
A:流路断面積[m²]、d:内径[m]、π:円周率。小数点以下の途中値は丸めすぎず、最後に答えの桁をそろえます。

肉厚を表すSchが変われば、同じ呼び径でも内径が変わり、流速の計算結果も変わります。径を選ぶときは、配管のスケジュールと肉厚を含めた寸法表を使います。

材質が変わった管や海外規格の管に、別の寸法表の内径を当てはめないことも重要です。鉄配管とステンレス配管の違いを踏まえ、仕様書の規格・呼び径・肉厚から寸法を選びます。

体積流量を断面積で割る

体積流量と断面積がそろえば、流速は割り算で求められます。体積流量がm³/hで与えられているときは、1時間を3600秒として、先にm³/sへ換算します。

断面平均流速
v = QA = Qh3600A
v:平均流速[m/s]、Q:体積流量[m³/s]、Qh:体積流量[m³/h]、A:流路断面積[m²]。

流量の時間単位をそろえずに割ると、答えがm/hになっているのにm/sと記してしまいます。式の横へ単位も書き、m³/sをm²で割った結果がm/sになるかを確かめます。

L/minから換算するときは、リットルをm³へ、分を秒へ直します。例えば20L/minは0.020m³/minで、60で割ると約0.000333m³/sとなります。

一度m³/sへ統一してから面積で割ると、流量計の単位が変わっても計算の骨格は変わりません。水の量を測る方法は水の流量の測定方法で説明しています。

実際に計算してみよう

水1000kg/hを、内径27.2mmの25A・STPG Sch40へ流す条件で計算します。水の比体積は0.001m³/kgと仮定し、管内は水で満たされた状態として平均流速を求めます。

図4:水1000kg/h、25A・内径27.2mmの計算

質量流量から体積流量へ直し、秒へ換算してから流路断面積で割ります。

体積流量
Qh = 0.001 × 1000 = 1m³/h
Q = 13600 ≒ 0.0002778m³/s
断面積
A = π × 0.0272²4 ≒ 0.0005811m²
流速
v = 0.00027780.0005811 ≒ 0.48m/s
比体積0.001m³/kg、質量流量1000kg/h、内径0.0272m。途中を丸めない計算ではv=0.478046…m/sです。

質量流量を先に秒へ換算しても、1000÷3600で約0.278kg/sとなります。これに比体積を掛けると約0.000278m³/sで、上の計算と同じ体積流量が得られます。

平均流速約0.48m/sは、断面全体で見て1秒に約48cm進む速さを表します。1時間に通る水の体積を、断面積と移動距離の積で考え直すと、計算の桁を確かめられます。

同じ管へ2倍の体積流量を流せば、断面積は変わらないため流速も2倍になります。一方、同じ流量で内径を大きくすると、断面積が内径の二乗で増えるため、流速の下がり方も大きくなります。

図5:内径が2倍なら、面積は4倍で流速は4分の1

流量を一定にして内径だけを変えた比率の比較です。

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内径0.5倍内径1倍内径2倍流速4倍流速1倍
比較する量内径0.5倍内径1倍内径2倍
断面積0.25倍1倍4倍
平均流速4倍1倍0.25倍

呼び径の比ではなく、実際の内径の比です。図の円の直径も0.5:1:2で描いています。

例えば内径だけが半分になる絞り部では、面積が4分の1になり、同じ流量なら平均流速は4倍です。実際の継手では流れの乱れも加わるため、レジューサの形状と使い分けも圧力損失の検討に関係します。

流速の比較には、計算条件をそろえた表が役立ちます。流量、管の規格、呼び径、肉厚、内径、面積、流速を同じ行へ残せば、後から径を変えた理由まで追えるようになります。

計算結果から必要な内径を逆算する

流量が決まり、計算上の平均流速を指定する場合は、必要な内径を逆算できます。まず面積を流量÷流速で求め、円の面積式から、その流路面積を確保するための内径を計算します。

必要な内径の逆算
A = Qv
d = √4Qπv
体積流量1m³/h、計算上の流速1m/sと仮定
d = √4 × (1/3600)π × 1 ≒ 0.0188m = 18.8mm
d:内径[m]、Q:体積流量[m³/s]、v:設定した平均流速[m/s]。平方根は分数全体に掛かります。流速1m/sは逆算のための仮定で、流体共通の推奨値ではありません。

この18.8mmは、与えた流量を平均1m/sで流すための、計算上の内径です。呼び径18.8Aという意味ではなく、実際に選べる管の寸法表へ戻り、候補の内径と比較します。

流速を1m/s以下に収めるという条件なら、この計算上の内径以上が必要です。ただし候補管の肉厚によって内径が変わるため、近い呼び径へ丸めるだけでなく、選んだ仕様で流速を再計算します。

通常運転と最大運転の流量が違う設備では、両方の条件を計算表へ残します。通常時の流速だけで径を決めると、最大負荷で流速と圧力損失が大きくなり、使用先の条件を満たせなくなることがあります。

流量に幅がある場合は、どの値で径を決め、どの値で性能を確認したかを分けて記録します。設計上の余裕も目的を明確にして付け、流量と流速の両方へ無意識に余裕を重ねないようにします。

計算の不一致が出たときは、径を変える前に、流量の表示条件と時間単位を見直します。次に内径と単位換算、最後に密度の入力値を照合すると、結果がずれた原因を切り分けられます。

流速から配管径を選ぶときの確認点

平均流速が計算できても、それだけで配管径の選定は完了しません。使用先へ必要な流量と圧力を届けるには、直管の長さや継手、バルブによる圧力損失も含めて評価します。

図6:径選定でそろえる計算条件

流速を入口にして、必要な流量が使用先で確保できるかまで確かめます。

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確認する条件流速計算へ入れる値次に評価する内容
流体と状態管内の密度・実体積流量気体の圧力低下や温度変化
配管の仕様規格・材質・肉厚から求めた内径使用圧力・温度への適合
最大・通常の流量各運転条件の体積流量流速の範囲と設備の運転点
長さと継手各区間の流速直管と局部の圧力損失
使用先必要な流量末端に残る圧力と機器の能力

高すぎる流速で何が問題になるかは、流体や運転条件によって変わります。圧力損失、騒音、摩耗との関係は配管で流速が速いと起こる問題で詳しく扱っています。

逆に管を大きくすればすべて解決するわけでもなく、設置スペースや設備費、保温の面積も増えます。流れをゆっくりにする利点と、配管全体の費用・運用上の条件を合わせて比較します。

液体の長い配管では、流量が増えると圧力損失も増え、ポンプの運転点が変化します。配管側とポンプ側の関係はポンプのQ-H特性と運転点を合わせて読むと整理できます。

バルブの流量計算には、流速とは別にCv値などの容量係数を使います。バルブ前後の圧力差から求めるCv値を使った流量計算と、流量を断面積で割る計算の役割を区別します。

配管の変更では、流速計算だけでなく、圧力・温度・支持・接続方法などを含めた設計確認が必要です。特に高圧の気体や蒸気では、流れの状態と強度を別々に評価し、運転中の管を自己判断で加工してはいけません。

計算表を引き継ぐときは、入力値の出典と、どの条件を仮定したかも一緒に残します。実流量と標準流量、呼び径と内径を明記するだけでも、別の担当者が結果を検証しやすくなります。

配管流速の計算のよくある質問

m³/hをそのまま断面積で割ってよいですか?

そのまま割ると答えはm/hなので、m/sにするには3600で割ります。流量を先にm³/sへ直してから計算するか、式の分母を3600Aにして時間の単位を合わせます。

25Aの内径は25mmではないのですか?

25Aは呼び径で、実際の内径をそのまま示す数値ではありません。この記事の25A・STPG Sch40では、外径34.0mmと肉厚3.4mmから、内径27.2mmを用いています。

流量が同じなら水でも空気でも流速は同じですか?

同じ内径で、管内の実体積流量が同じなら、断面平均流速も同じになります。ただし質量流量が同じ場合や、基準状態の流量表示を比べている場合は、密度や状態に応じた換算が必要です。

流速から必要な内径を逆算できますか?

体積流量と設定する平均流速があれば、必要な面積を求め、円の面積式から内径を逆算できます。その値を満たす公称寸法を候補にして、使用先の圧力や配管強度も含めて確認します。

配管の途中で流速は変わりますか?

内径が変わる区間や分岐の前後では、流量と断面積の対応が変わるため、流速も変わります。気体では同じ内径でも圧力や温度によって実体積流量が変わるので、区間ごとの状態を使います。

まとめ

この記事のまとめ
  • 配管流速は、管内の実体積流量を流路断面積で割って求める
  • m/sで求めるには、流量をm³/s、内径をmへそろえる
  • 質量流量から換算するときは、対象状態の密度や比体積を使う
  • 呼び径と内径を区別し、規格・肉厚に合う寸法を選ぶ
  • 径選定では流速に加え、圧力損失と使用先の必要圧力を確かめる

流量と内径の意味をそろえれば、計算ソフトの結果も、どの入力条件から出た値かを追えます。配管の仕様確認では、電縫管と継目無管の違いも含め、採用する管の種類を明確にしておきます。

実務では流速を出したあと、使う流体と配管経路に応じた検討へ進みます。関連するテーマは、配管の記事一覧からも確認できます。

出典

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プラント機器メーカーとプラントメーカーで約10年、設備の提案・設計・試運転に携わったのち、Webマーケターに転身。現在はBtoB製造業専門のWebコンサルタントとして、メーカーの情報発信を支援しています。エネルギー管理士/第三種電気主任技術者。工業技術ブログを2017年から運営(500本以上執筆)、YouTube登録者約2万人、Xフォロワー約1万人。

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