燃料電池とは、水素と酸素が反応して水になるときの化学エネルギーを、燃やさずに直接電気として取り出す装置です。反応式は 2H2+O2→2H2O と単純で、発電しても出てくるのは水と熱だけという点が、エンジンや火力発電との大きな違いです。
家庭用の「エネファーム」、燃料電池車や燃料電池トラック、病院や工場の業務用発電機など、身近なところでもすでに使われています。中身は1種類ではなく、電解質の材料によって約80℃で動くものから1,000℃近くで動くものまであり、用途に合わせて使い分けられています。
この記事では、まず全タイプに共通する仕組みと半反応式を整理し、高校化学で扱う酸性・塩基性の2種類で水のできる極が違う理由と、効率の計算例を確かめます。そのうえで、電解質と作動温度で分けた実用の5種類、使われている場所、白金触媒と水素の供給、発電効率と総合効率の違いへと進みます。
燃料電池の仕組みと特徴
燃料電池が利用するのは、水素が燃えて水になる反応です。水素1 molが燃えると約286 kJの熱が出ますが、燃料電池はこの反応を2つの電極に分けて進め、熱になるはずだったエネルギーの多くを電気として取り出します。
負極では水素が電子を放して酸化され、正極では酸素が電子を受け取って還元されます。電子は電極をつなぐ外部の導線を通って負極から正極へ流れ、その途中でモーターや照明を動かすので、これが電池としての電流になります。
一方で、両極の間には電解質があり、電子は通さずにイオンだけを通します。電子は外部回路、イオンは電解質という2つの道を通って反応がつながるのが燃料電池の基本で、どのイオンが動くかは電解質の種類で決まります。
電子は外部回路を、イオンは電解質を通り、正極で酸素と出会って水になります(酸性の電解質の例)。
※アルカリ形では電解質を動くイオンが OH− になり、水ができる極が負極側に変わります(図3)。
燃料電池の最初の大きな舞台は宇宙でした。米国のアポロ宇宙船は全ミッションでアルカリ形の燃料電池を電源にし、発電で生じた水を司令船の主な飲料水として使っています。積んだ水素と酸素から電気と水の両方を得られることが、宇宙船には好都合でした。
もう一つの特徴が、エネルギーを変換する段数の少なさです。水力発電は水の位置エネルギーを流れの運動エネルギーに変え、水車と発電機を回してようやく電気になり、変換のたびに少しずつ損失が出ます。
火力発電やエンジンは燃料をいったん熱に変えてから動力を取り出す熱機関で、効率には高温と低温の温度差で決まるカルノー効率という上限があります。燃料電池は熱を経由しないので、この上限に縛られずに化学エネルギーを直接電気に変えられます。
燃料電池は熱や回転を経由せず、化学エネルギーから1段で電気をつくります。
燃料電池の半反応式(水が関わる4つの式)
燃料電池の反応式で迷いやすいのは、水が関わる半反応式が4つあり、電解質が酸性か塩基性かで使う式が変わる点です。どの燃料電池でも負極(アノード)では還元剤の水素が酸化され、正極(カソード)では酸化剤の酸素が還元されます。
4つの式は丸暗記しなくても組み立てられます。まず「H2→2e−」「O2+4e−」のように電子のやり取りを書き、足りない水素や酸素を、酸性なら H+ と水、塩基性なら OH− と水で補えば、電荷までそろった式になります。
塩基性の溶液には H+ がほとんど存在できず、酸性の溶液には OH− がほとんど存在できません。式の中にその液で存在できないイオンを書かないことが、酸性と塩基性の式を見分けるいちばんの手がかりです。
この4つの式は、水の電気分解の半反応式をちょうど逆向きにしたものです。電気分解が電気を使って水を水素と酸素に分けるのに対し、燃料電池は水素と酸素から水をつくって電気を取り出すので、両者は同じ反応の表と裏の関係にあります。
高校化学で扱う燃料電池は2種類(リン酸形とアルカリ形)
高校化学では、燃料電池を電解質が酸性か塩基性かで2種類に分けて学びます。電池は還元剤と酸化剤を離して導線でつなぎ、電荷が偏らないように間を電解質で満たした装置で、電解質の中を動くイオンが違うと、水ができる極も変わります。
実際の製品には、高分子膜を使う固体高分子形やセラミックスを使う固体酸化物形などもあり、こちらは電解質の材料と作動温度で5種類ほどに分けて呼ばれます。酸性と塩基性という見方はそのまま当てはまるので、ここで反応の違いをつかんでおくと、後の章の実用の種類も理解しやすくなります。
酸性では H+ が正極へ動いて正極で水ができ、塩基性では OH− が負極へ動いて負極で水ができます。
※どちらも全体の反応は 2H2+O2→2H2O で同じです。違うのは、電解質の中を運ばれるイオンと水が出る場所です。
リン酸が電解質のリン酸形燃料電池
リン酸形の反応の流れ
リン酸形燃料電池(PAFC)は、濃いリン酸を電解質にした酸性の燃料電池です。負極に送り込まれた水素は、電極に含まれる白金触媒の表面で電子を放して水素イオン(H+)になり、電子は外部回路へ流れ出していきます。
酸性の電解質の中を運ばれるのは H+ なので、水素イオンはリン酸の中を正極へ移動します。正極では、外部回路から届いた電子と酸素、移ってきた H+ がそろって水になるため、リン酸形では水は正極(空気側)にできます。
リン酸形の半反応式
酸性の電解質なので、負極は①、正極は③の式をそのまま使います。正極の式は、酸素1分子が電子4個を受け取り、液中に豊富にある H+ 4個と結び付いて水2分子になると考えると、途中で OH− を経由させずに書けます。
水酸化カリウムが電解質のアルカリ形燃料電池
アルカリ形の反応の流れ
アルカリ形燃料電池(AFC)は、水酸化カリウム(KOH)の水溶液を電解質にした塩基性の燃料電池です。正極では酸素が外部回路から電子を受け取り、水と反応して水酸化物イオン(OH−)になり、このイオンが電解質の中を負極へ移動します。
塩基性の液には H+ がほとんどないため、負極の水素は H+ として液に出ていくのではなく、届いた OH− と直接反応して水と電子になります。そのためアルカリ形では水は負極(水素側)にでき、リン酸形とは水の出る場所が反対です。
アルカリ形の半反応式
塩基性の電解質なので、負極は②、正極は④の式を使います。どちらも酸性の式①③の両辺に OH− を足し、H+ と OH− を水にまとめると導けるので、酸性の式から組み立てる手順を覚えておくと迷いません。
アルカリ形は白金以外の安価な金属も触媒に使える一方、空気中の二酸化炭素が電解質と反応すると性能が落ちます。宇宙船のように純粋な酸素を積める用途には向いていましたが、空気を使う地上の発電ではリン酸形や後で見る固体高分子形が主流になりました。
燃料電池の計算例:エネルギー効率を求める
燃料電池の計算でよく扱われるのが、取り出した電気エネルギーが、使った水素の燃焼熱の何%にあたるかを求めるエネルギー効率です。電流・時間・電圧から電気エネルギーを、流れた電子の量から使った水素の量を出し、最後に2つを割り算するという流れで解けます。
エネルギー効率(発電効率)の求め方
電気エネルギーは電気量と電圧の積で、単位はジュール(J=C×V)です。電気量は電流と時間の積で表され、これをファラデー定数で割ると流れた電子の物質量になるので、電子の物質量の半分が使った水素の物質量になります。
電気の側と水素の側を別々に求め、最後に割り算します。
具体的な数字で確かめてみます。ある燃料電池を電流10.0 Aで1,930秒(約32分)運転し、そのときの両極の間の電圧が平均0.70 Vだったとします。水素の燃焼熱を286 kJ/mol、ファラデー定数を9.65×104 C/molとして、エネルギー効率を求めます。
この計算は、効率が「セルの電圧÷1.48 V」になることも教えてくれます。水素1 molの燃焼熱286 kJを電子2 mol分の電気量で割った1.48 Vが、熱をすべて電気にできたときの電圧にあたり、0.70÷1.48で同じ約47%が出ます。
燃料電池の効率には、理論上の上限もあります。反応の熱(ΔH)のうち電気として取り出せる上限はギブズエネルギー(ΔG)で決まり、25℃では理論上の電圧が約1.23 V、理論効率は約83%になります。
実際のセルは、電極で反応を進めるための電圧の損失や、電解質の電気抵抗による損失があるため、電流を流すと電圧は理論値の1.23 Vより下がります。計算例の47%はこの損失を含んだ値で、燃焼熱(高位発熱量)を基準にしたセル1個の効率です。
製品のカタログに載る発電効率は、ポンプや送風機などの補機で使う電力も差し引いたシステム全体の値で、基準も低位発熱量を使うのが一般的です。基準や範囲が違うため、計算例の数字とカタログの数字は、そのまま比べられないことに注意が必要です。
実用の燃料電池の種類と使われ方
電解質と作動温度で分ける5種類
実用の燃料電池は、電解質の材料によって5種類に分けて呼ばれます。電解質ごとにイオンをよく通す温度が違うため、種類が決まると作動温度がほぼ決まり、それが触媒・起動の速さ・使える燃料・用途の違いにつながります。
| 種類 | 電解質 | 動くイオン | 作動温度 | 主な用途 |
|---|---|---|---|---|
| 固体高分子形(PEFC) | イオン交換膜(パーフルオロスルホン酸系の高分子膜) | H+ | 約80℃(120℃未満) | 燃料電池車・トラック、家庭用、非常用電源 |
| リン酸形(PAFC) | リン酸 | H+ | 150〜200℃ | 業務用・産業用の定置型発電 |
| アルカリ形(AFC) | 水酸化カリウム水溶液 | OH− | 100℃未満 | 宇宙船、軍用、非常用電源 |
| 溶融炭酸塩形(MCFC) | 溶融した炭酸塩(リチウム・ナトリウム・カリウム) | CO32− | 600〜700℃ | 発電事業、大型の分散型電源 |
| 固体酸化物形(SOFC) | イットリア安定化ジルコニア(セラミックス) | O2− | 500〜1,000℃ | 家庭用・業務用、発電事業 |
低温形は起動が速く車や家庭に、高温形は高効率で排熱も使える定置用・発電用に向きます。
※アルカリ形は100℃未満、固体高分子形は120℃未満(約80℃で運転されることが多い)として0℃から描いています。温度の幅は米国エネルギー省の資料による目安で、製品や運転条件で異なります。アポロ宇宙船のアルカリ形は公称約204℃で運転された高温型でした(NASA)。
固体高分子形やアルカリ形のような低温形は起動が速く、出力の上げ下げにもすぐ応えられるので、止めたり動かしたりの多い車や家庭に向いています。ただし反応が穏やかな温度で進むため、反応を助ける白金などの高価な触媒が欠かせません。
固体酸化物形や溶融炭酸塩形のような高温形は、熱で反応が進みやすいので貴金属の触媒が要らず、都市ガスのメタンを電池の中で水素に変える内部改質もできます。その代わり起動に時間がかかり、高温で部材が傷みやすいため、長時間動かし続ける定置用・発電用が主な活躍の場です。
固体酸化物形の電解質は、酸化物イオン(O2−)を通すジルコニアのファインセラミックスです。正極で酸素が O2− になり、負極で水素と反応するため、アルカリ形と同じく水は燃料側にでき、燃料には水素だけでなく一酸化炭素も使えます。
家庭用燃料電池(エネファーム)

エネファームは、都市ガスやLPガスから取り出した水素で発電し、そのとき出る熱でお湯もつくる家庭用の燃料電池です。電気と熱を同時に使うコージェネレーションの家庭版で、2009年度に販売が始まりました。
コージェネ財団の集計では、メーカーの出荷台数は2026年9月末までの累計で約59.6万台に達しています。方式は固体高分子形と固体酸化物形の2つがあり、燃料の都市ガスは本体の中の改質器で水素を多く含むガスに変えてから使います。
2つの方式は効率の出し方が対照的です。固体高分子形のパナソニック製(2023年発売の戸建向け、都市ガス)は発電効率41.0%・総合効率98.0%で、お湯として回収する熱の割合が大きいのが特徴です。
固体酸化物形の大阪ガス・アイシン製(2020年発売)は定格発電効率54%・総合効率87%で、固体高分子形は熱を多く使い、固体酸化物形は電気を多く取り出す設計だといえます。どちらも低位発熱量を基準にした値です。
燃料電池車・燃料電池トラック
車には、起動が速く小型にできる固体高分子形が使われます。トヨタが2014年12月に発売した燃料電池車「MIRAI」は、最高出力114 kWの燃料電池スタックと70 MPa(約700気圧)の高圧水素タンクを積んでいます。
水素の充填は3分程度で、満タンから約650 km走れるとしており(JC08モード、トヨタ測定)、ガソリン車に近い使い勝手を目指した設計です。
高圧水素タンクは、樹脂の内張りに炭素繊維を何層も巻き付けて強度を出す部品で、CFRPの成形技術が支えています。発電の主役のスタックに加え、タンク・水素の配管・高電圧の部品など、電動化で増える部品が燃料電池車にも多く使われています。
走る距離が長く、積み荷のために電池を重くできない大型トラックも、燃料電池が生きる分野です。日野自動車はトヨタと共同開発した燃料電池大型トラック「日野プロフィア Z FCV」を、2025年10月にリースで発売しました。
このトラックは70 MPaのタンク6本に水素50 kgを積み、約650 km走れるとしています(社内測定値)。発電には MIRAI の燃料電池スタックを大型車向けに改良して2基載せており、乗用車の技術を商用車へ広げた例です。
課題は水素を補給する場所で、次世代自動車振興センターによると、補助を受けて運用されている水素ステーションは2026年7月1日時点で全国141か所です。商用車の導入は、国が重点地域を定めて、ステーションと車両を合わせて増やす形で進められています。
業務用・産業用の燃料電池
業務用では、リン酸形が早くから実用化されています。富士電機の100 kWのリン酸形燃料電池は、静かで排ガスがきれいな特長から病院などに置かれ、都市ガスとLPガスを切り替えられるほか、下水処理場で出る消化ガスも燃料に使えます。
より大きな出力では、高温の固体酸化物形とガスタービンを組み合わせる方法があります。三菱重工業は約900℃で動く固体酸化物形にマイクロガスタービンを組み合わせたシステムを開発し、2013年の実証で発電端効率50.2%(低位発熱量基準)を記録しました。
このときの発電端出力は206 kWで、4,000時間を超える連続運転も達成しています。固体酸化物形の排ガスはまだ高温で、未反応の燃料も含んでいるため、それをガスタービンで燃やしてもう一度発電に使えます。
高温形の燃料電池は、排熱をボイラーやタービンにつなげるプラント的な使い方ができる点が、低温形との大きな違いです。

白金触媒・部材と水素の供給
固体高分子形の心臓部は、膜電極接合体(MEA)と呼ばれる薄い部材です。電解質膜の両面に触媒層を塗り、その外側にガスを均一に行き渡らせる炭素繊維のガス拡散層を重ね、さらにガスの通り道を刻んだセパレータで挟んだものを多数積み重ねてスタックにします。
触媒層では、ナノメートルの大きさの白金の粒が炭素の粉に載せられています。負極では白金が水素を H+ と電子に分け、正極では酸素と H+・電子から水をつくる反応を助けますが、白金は高価で一酸化炭素がわずかに付くだけでも働きが落ちます。
そのため都市ガスから水素をつくるエネファームの固体高分子形では、改質したガスから一酸化炭素を取り除く工程が欠かせません。高価な触媒は燃料電池の課題の一つに挙げられ、白金の使用量を減らす触媒の改良がコストを下げる鍵になっています。
燃料の水素は、自然界にはほとんど単独で存在しないので、別のものからつくって運ぶ必要があります。いまの主流は天然ガスを高温の水蒸気と反応させる水蒸気改質で、ハーバーボッシュ法のアンモニア工場で原料の水素をつくる方法と同じです。
水蒸気改質では水素と一緒に二酸化炭素が出るため、燃料電池が発電で CO2 を出さなくても、水素のつくり方しだいで全体の排出は変わります。再生可能エネルギーの電気で水を電気分解した水素を使えば、製造段階の排出も小さくでき、脱炭素の手段になります。
運ぶ方法も課題で、高圧ガス、液化水素、アンモニアなどに変えて運ぶ方法が並行して開発されています。製油所を水素の拠点にする液化水素の製造計画や、製鉄の水素還元製鉄など、燃料電池以外の水素の使い道が増えるほど、供給網の整備が進みやすくなります。
発電効率と総合効率の違い
燃料電池の効率の数字を読むときは、どこまでを「役に立ったエネルギー」に含めるかを確かめます。発電効率は電気だけ、総合効率は電気と回収した熱の合計を、投入した燃料のエネルギーで割った値です。
固体高分子形は熱の回収で総合効率を高め、固体酸化物形は発電効率そのものが高い設計です。
※PEFC:パナソニック(2023年発売の戸建向け、都市ガス、定格)。SOFC:大阪ガス・アイシン(2020年発売、都市ガス、定格。余剰電力を売る場合など条件により発電効率55%)。
もう一つの注意点が、分母に使う燃料の発熱量の基準です。燃焼でできた水蒸気が凝縮するときの熱まで含める高位発熱量と、含めない低位発熱量があり、高位発熱量と低位発熱量の違いの分だけ、同じ機械でも低位発熱量基準のほうが効率は高く出ます。
パナソニックの同じ機種でも、発電効率は低位発熱量基準で41.0%、高位発熱量基準では37.0%と表記されています。計算例で使った286 kJ/molは液体の水ができるときの値なので高位発熱量にあたり、比べるときは基準をそろえることが欠かせません。
熱をむだなく使える場所では、総合効率の高い機種が燃料を節約できます。一方、お湯の使い道が少ない場所では回収した熱が余るので、電気を多く取り出せる発電効率の高い機種のほうが有利になり、効率は使う場面と合わせて評価することが大切です。
燃料電池のよくある質問
燃料電池とリチウムイオン電池などの蓄電池は何が違いますか?
蓄電池は電池の中にためた化学エネルギーを使い切ると充電が必要ですが、燃料電池は外から水素と酸素を送り続ける限り発電を続ける発電装置です。電池と呼ばれていても、エネルギーをためるリチウムイオン電池や全固体電池とは役割が違います。
燃料電池は水素以外の燃料でも動きますか?
都市ガスやLPガスは改質器で水素を多く含むガスに変えてから使い、固体酸化物形や溶融炭酸塩形は電池の中で改質できます。メタノールを水と混ぜて負極に直接送るダイレクトメタノール形もあり、小型の電源向けに開発されてきました。
燃料電池はCO2を出さないのですか?
水素で発電するときに出るのは水と熱だけで、発電時の CO2 はゼロです。ただし都市ガスを改質して使う場合は改質の段階で CO2 が出ますし、水素を天然ガスからつくれば製造時にも出るので、水素のつくり方まで含めて評価します。
リン酸形とアルカリ形はいまどこで使われていますか?
リン酸形は不純物に比較的強く熱も使いやすいので、病院や下水処理場などの業務用・産業用の定置型発電で使われています。アルカリ形は空気中の二酸化炭素に弱いため、純酸素を使える宇宙船や軍用、非常用電源などの限られた用途が中心です。
まとめ
- 燃料電池は、水素と酸素から水ができる反応の化学エネルギーを、燃やさずに直接電気に変える装置
- 負極で水素が酸化され、電子は外部回路、イオンは電解質を通って正極で酸素と反応する
- 酸性のリン酸形は正極で、塩基性のアルカリ形は負極で水ができる。全体はどちらも 2H2+O2→2H2O
- エネルギー効率は電気エネルギー÷水素の燃焼熱で、理論上の上限は約83%(1.23 V)
- 実用は電解質で5種類。低温の固体高分子形は車・家庭、高温の固体酸化物形などは定置用・発電用で、効率は発電効率と総合効率、発熱量の基準を分けて読む
燃料電池は、半反応式と電解質の性質という化学の基本が、そのまま製品の形や用途の違いになって表れる装置です。電解質膜や触媒、セラミックスといった部材は化学業界のサプライチェーンの中でつくられており、反応の熱を表すエンタルピーを押さえておくと、効率の数字も読みやすくなります。
出典
出典・参考資料(13件)を開く出典・参考資料を閉じる
- 反応熱・エントロピー:NIST Chemistry WebBook「Water」、「Hydrogen」、「Oxygen」
- ファラデー定数:NIST「CODATA Value: Faraday constant」
- 燃料電池の種類・作動温度・効率:U.S. Department of Energy「Comparison of Fuel Cell Technologies」、「Types of Fuel Cells」
- 燃料電池の部材:U.S. Department of Energy「Parts of a Fuel Cell」、「Fuel Cells」
- アポロ宇宙船の燃料電池:NASA TM-102366「The Fuel Cell in Space: Yesterday, Today and Tomorrow」、NASA「Biomedical Results of Apollo: Potable Water Supply」
- エネファームの出荷台数:コージェネ財団「エネファームメーカー出荷台数」(2026年9月末現在)
- エネファーム(固体高分子形)の効率:パナソニック ニュースリリース(2023年3月9日)
- エネファーム type S(固体酸化物形)の効率:大阪ガス ニュースリリース(2020年2月25日)
- MIRAI:トヨタ自動車 ニュースリリース(2014年11月18日)
- 燃料電池大型トラック:日野自動車 ニュースリリース(2025年9月17日)
- 水素ステーション:次世代自動車振興センター「水素ステーション」(2026年7月1日現在)
- リン酸形燃料電池:富士電機 ニュースリリース(2010年1月5日)
- SOFCとガスタービンの複合:三菱重工業 ニュースリリース(2013年9月20日)
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