4–20mAの電流信号は、250Ωの受信抵抗の両端に生じる電圧を読むことで1–5Vの電圧信号へ変換でき、調節計やPLCの入力仕様に合わせて使います。
電流入力は配線抵抗の影響を抑えて伝送しやすく、電圧入力は高い入力抵抗で信号を受けるため並列に分配しやすいという特徴があります。ただし、どちらを選ぶかは配線距離や接続台数だけで決めず、送受信機器の条件をそろえて判断します。
以下では、250Ωによる変換の結線、電流ループの電圧余裕、電圧入力の負荷、測定時の違いを順に取り上げ、4・12・20mAを使った確認例まで回路と数値で説明します。
動画への補足として、電流伝送にも電源と負荷の制限があり、負荷3個・電圧伝送2〜3mは共通の上限ではありません。電流の直接測定はDCmA計を直列につなげばよく外付け抵抗は必須ではありませんが、クランプを使う場合はDCmA対応の計器が必要です。
電流信号を電圧信号に変換する方法
電流が抵抗を通ると、その両端にはオームの法則で決まる電圧が発生するため、4–20mAの電流を250Ωへ流せば、下限4mAで1V、上限20mAで5Vが得られます。
この変換で重要なのは、抵抗を置く位置と電圧を読む二点です。受信抵抗は電流ループの経路に入れ、電圧入力のプラス・マイナス端子はその抵抗の両端へ並列につなぎます。
図1:電流は抵抗へ流し、電圧はその両端で読む
2線式伝送器の概念回路。電圧入力の入力抵抗が受信抵抗に比べ十分高い場合、約1–5Vとして読めます。
各機器の実端子番号や接地と、電圧入力1MΩによる並列負荷の影響を省いた原理図です。電源を供給する入力と外部電源を二重接続せず、メーカーの結線図で方式を確かめます。
電流入力を持つ機器には受信抵抗や電流検出回路が内蔵されている場合があり、その入力へさらに250Ωを加える必要があるとは限らないので、先に入力端子とレンジ設定を確認します。
横河のFAQは、電流出力を電圧入力へ接続する方法として250Ωのシャント抵抗を示しています。一方、オムロンの調節計には電流入力150Ω以下という仕様例もあり、すべての電流入力が250Ωというわけではありません。
受信抵抗を選ぶときは、抵抗値の許容差と温度による変化、許容電力を確認します。20mAで250Ωなら消費電力は0.1Wですが、異常時に22mAまで流れる条件なら0.121Wへ増えます。
厳密には、電圧入力もわずかな電流を取るため、受信抵抗と入力抵抗の並列合成で考えます。250Ωと入力1MΩなら合成は約249.938Ωとなり、20mA時の電圧は約4.99875Vです。
この差は理想5Vに対して約0.025%と小さいものの、必要な精度によっては無視できないため、変換抵抗、入力回路、送信器の誤差を合わせて要求精度と校正方法を決めます。
精度を表す割合には、指示値に対するものと信号スパンに対するものがあり、両者を区別して扱います。1–5Vのスパンは4Vなので、電圧の誤差1mVはスパンの0.025%に相当します。
抵抗の誤差が一定でも温度が変わると換算値が動く場合があるため、盤内の使用温度範囲で抵抗と入力の温度特性を確認し、実際の取付け条件で必要な精度を保てるかを調べます。
電流や電圧は、量の大きさを連続的に伝えるアナログ信号です。接点のオン・オフなどとの違いは、DI/DO・AI/AOの信号の種類と方向で整理すると分かりやすくなります。
電流信号の特徴
精度の次に確かめるのが、電流ループを成り立たせる電圧の余裕です。直列の一つのループでは、分岐や漏れがなければ各位置を流れる電流は同じなので、送信器がその電流を調整できる範囲なら、線の抵抗が増えても受信側で同じ4–20mAを読めます。
長い電線でも影響が出にくいのはこの働きによるものですが、それには線の抵抗で生じる電圧降下と、送信器・受信器が必要とする電圧の合計が、電源の範囲に収まっている必要があります。
2線式伝送器は信号線から動作電力も受け取るため、最低限必要な端子電圧があります。配線と負荷へ使える電圧は、電源電圧からその最低動作電圧などを差し引いて考えます。
図2:24Vのうち、各部に必要な電圧を割り当てる
20mA、送信器最低12V、往復線100Ω、受信250Ωの仮定例。残り5Vは設計上の余裕として確認します。
実際は電源の下限、送信器と入力の仕様、追加機器の電圧降下で確認します。20mA時の数字だけで、最大出力電流時の成立を保証しません。
図2では20mA時に19Vが必要で、24Vに対して5V残ります。仮に最大22mAまで確認すると、必要電圧は12+0.022×350=19.7V、余裕は4.3Vに減るため、実機では警報時を含む最大出力電流を仕様書から選びます。
電源の銘板が24Vでも、設計では変動と配電による低下を含む下限を使います。例えば供給下限が21.6Vという条件なら、同じ22mA時の余裕は21.6−19.7=1.9Vまで小さくなります。
避雷器、絶縁器、試験端子などを直列に追加した場合も、その電圧降下を見込みます。既設回路へ受信器を増設するときは、通常の指示が合うかだけでなく、出力上限と警報時まで成立するかを再計算します。
受信器の追加は、台数ではなく合計の電圧降下で判断します。この例へ250Ωをもう一つ足すと20mAで余裕0Vとなり、22mAでは25.2Vが必要なので24V電源では不足します。
電流信号の負荷数を3個などと固定できないのはこのためで、受信器の入力抵抗が低ければ条件は変わり、電源電圧や送信器の許容負荷によっても接続できる範囲は違ってきます。
複数の受信器を直列にする場合は、入力間や電源との絶縁も確認が必要です。共通端子が内部でつながる機器を無理に直列化すると意図しない経路ができるため、信号分配器や絶縁器も含めて構成を選びます。
電流伝送はノイズに比較的強い方式ですが、影響がなくなるわけではないので、動力配線との離隔、接地、ケーブルの選び方を整え、シールドケーブルの接地方法も機器の指示に合わせます。
電流をテスターで直接測る場合は測定器を回路へ直列に入れますが、回路を開くと制御信号が途切れるため、設備を安全な状態にし、作業許可と手順を確認してから接続を変更します。
電流計も内部の検出回路によって負担電圧が生じるので、測定中はループの条件が変わります。計器を入れたときだけ上限へ届かなくなる場合は、測定器を含めた電圧余裕を確認します。
図3:電流計は直列、電圧計は測る二点へ並列
電源や送信器を含む信号回路を簡略化した図です。電流レンジの計器を電圧計の位置につながないようにします。
測定端子・レンジ・ヒューズ・定格を確認します。電圧を測る二点へ電流レンジで接続すると、短絡事故の原因になります。
別の方法として、値の分かる受信抵抗の両端電圧を測り、I=V/Rから電流を求める方法もあります。ただし、電流を測るたびに新しい抵抗を追加するという意味ではなく、追加すればその分ループの負荷も増えます。
クランプ測定なら回路を開かずに済みますが、DCの小さなmA電流に対応する計器が必要で、交流専用や大電流用のクランプがそのまま4–20mAの測定に使えるとは限りません。
測るときは信号の往復線をまとめて挟まず、対象の1本を指定の方法で測定します。DCのゼロ調整、分解能、確度、周囲磁界なども確認し、表示の細かさだけで適否を判断しないようにします。
電圧信号の特徴
一方の電圧入力は、信号の二点間の電位差を高い入力抵抗で受けます。受信側へ流れ込む電流が小さければ配線抵抗の電圧降下も小さいので、短い距離だけに限られる方式ではありません。
誤差を考えるときは、信号源の出力抵抗、往復の配線抵抗、受信側の入力抵抗を合わせて見る必要があり、接続距離2〜3mという数字だけでは電圧信号が使えるかどうかを判定できません。
同じ電圧を複数機器へ渡すときは入力を並列に接続できますが、台数を増やすほど合成入力抵抗が低くなるため、信号源が供給する電流は増えます。
図4:並列の電圧入力も、合成負荷を計算する
入力1MΩが2台なら、合成は500kΩです。信号源と往復配線の合計100Ωとの分圧が生じます。
直流の抵抗分だけを比べる仮定回路です。入力の接地・絶縁、許容共通モード電圧、信号源の最小許容負荷は別に確認します。
この例の低下は約0.020%で、距離だけを理由に大きく減衰するとはいえません。一方、入力10kΩの機器2台なら合成5kΩとなり、同じ100Ωの条件で受信は約4.902V、低下は約1.96%になります。
実際には電線の容量、信号源の駆動能力、ノイズ、接地電位差も影響するため、ゆっくり変わる直流値の分圧を見ただけでは、応答時間やノイズを含むすべての伝送性能を評価したことにはなりません。
電圧測定は二点へ並列につなぐので、電流の直列測定より信号を途切れさせずに確認しやすい方法です。ただし測定器の入力抵抗も負荷になるため、低い出力能力の信号源ではその影響も見込みます。
二点が別々の接地電位を持つ場合は、同じ信号電圧を送ったつもりでも読みがずれることがあります。その場合は差動入力や絶縁器を検討し、信号のマイナス端子と保護接地を自己判断でつながないようにします。
接続前の確認と信号の使い分け
最初に、センサーの出力、受信器の入力、電源の役割を一枚の結線図へ整理します。入力カードが電源を供給する方式と、外部電源が必要な方式を取り違えると、抵抗値が正しくても回路は成立しません。
2線式伝送器のループ給電と、電源線を別に持つ機器の出力は区別します。機器のアクティブ・パッシブという表示もメーカーの定義を確認し、どこが電圧を供給し、どこが電流を制御するかで判断します。
図5:選定は、信号名から接続条件へ進める
同じ4–20mA、1–5Vでも、電源・負荷・絶縁・入力設定の組み合わせを確認します。
| 確認点 | 電流入力 | 電圧入力 |
|---|---|---|
| 伝送の成立 | 最大電流時の電圧余裕 | 出力と配線、入力の分圧 |
| 受信器の追加 | 直列負荷と絶縁・共通端子 | 並列の合成入力抵抗 |
| 変換抵抗 | 内蔵の有無と入力抵抗 | 抵抗両端を適正極性で受信 |
| 測定 | 直列測定・既知抵抗・DCmAクランプ | 高入力抵抗で二点間を測定 |
| 異常の切り分け | 給電、断線、負荷、レンジ | 共通線、負荷、接地、レンジ |
入力の許容電圧や対地電圧など、機器固有の定格も確認します。原理図だけで実機の結線を決めません。
入力カードの仕様では、電流・電圧レンジに加えて、入力抵抗、チャンネル間絶縁、共通端子の構成を見ます。PLCの選定で比べる項目も、使用するカードと周辺機器まで含めて確認します。
センサーを受ける側がPLCなら、PLCの入出力の仕組みを踏まえて物理的な入力値とプログラムの値を対応させ、レンジ、符号、単位、上下限をそろえます。
4–20mAの通常範囲では4mAが測定下限、20mAが上限に対応します。0mAは通常の測定ゼロと区別できますが、断線だけでなく電源停止や機器異常も考えられるため、原因を一つに決めません。
図6:端点と中間点で、電気量と表示を照合する
入力範囲0〜100%、250Ωを使う場合の確認例です。指示値だけでなく、実際の電流と電圧も対応させます。
試験信号を入れる前に制御出力や警報の影響を確認し、設備を定められた安全状態へ移します。試験後は元の結線と設定へ復旧します。

信号が正しくても、調節計が1–5Vではなく0–5Vに設定されていれば、同じ電圧を違う割合で読みます。下限、中間、上限を入力し、端子の実測値と画面表示が一致するかを順に確かめます。
例えば4–20mAを0〜1MPaへ割り当てた圧力計なら、12mAは0.5MPaに対応します。電流の50%だけで終わらず、受信側が同じ物理量の範囲と単位で表示するかを確認します。
送信器のレンジを0〜2MPaへ変更すると、同じ12mAでも1MPaを意味するようになります。受信器の表示範囲が0〜1MPaのままなら、電気的な値が正常でも実際の圧力を半分に読んでしまいます。
指示が一定割合だけずれる場合と、下限付近だけずれる場合では、確認する条件が違います。前者は換算係数や抵抗値、後者はゼロ点や入力範囲の設定も候補にし、実測と設定を一つずつ照合します。
送信器の出力調整と、受信側の表示設定は分けて扱います。両方を同時に動かして指示だけを合わせると、どの段階に誤差があったか分からなくなるため、入力から順に確認して結果を残します。
測定値を制御へ使う場合は、入力異常時の扱いまで決めます。PID制御の調整に入る前に、入力のレンジと向き、単位、正常時と異常時の表示を確認します。
温度信号では、熱電対や測温抵抗体を直接受ける入力と、変換器を通した4–20mA入力も別物です。熱電対と測温抵抗体の配線の違いを含め、検出端から制御盤までの構成をそろえます。
予知保全へ使う場合も、測りたい故障の変化に対して精度と応答が足りるかを確かめます。予知保全のセンサー選定は、伝送方式を決める前の測定対象の整理につながります。
最後に端子番号、信号範囲、抵抗値、電源、シールドと接地、試験結果を図面へ残します。制御盤設計から検査までの流れに沿って記録すれば、後の増設や不具合調査で前提を確認できます。
電流入力と電圧入力のよくある質問
250Ωの抵抗は、どこへ接続しますか?
電流が流れる経路に受信抵抗を置いて電圧入力をその両端へ並列に接続しますが、内蔵抵抗を持つ入力もあるため、実機の結線図と入力設定を確認します。
電流信号なら、どれだけ長い配線でも使えますか?
送信器、往復の配線、受信負荷に必要な電圧が電源の範囲に収まることが条件で、ノイズや応答、絶縁なども含めて確認し、距離だけで成立すると判断しません。
電圧入力は2〜3mまでしか使えませんか?
一律の上限はなく、出力抵抗と配線抵抗、入力抵抗による分圧に加えてノイズや応答時間も評価し、機器の推奨条件に合わせます。
クランプメーターなら4–20mAを測れますか?
DCmAに対応するレンジ、分解能、確度を持つものを使い、交流専用や大電流向けの計器は適合しない場合があるので、型名だけでなく仕様まで確認します。
0mAが表示されたら断線ですか?
断線の可能性はありますが、電源停止や機器異常でも電流は流れなくなるため、給電と結線、送信器、入力設定を切り分け、通常下限の4mAと区別して調べます。
まとめ
- 4–20mAは250Ωの両端で1–5Vへ変換できる
- 電流の伝送距離と負荷数は、電源と合計の電圧降下で確認する
- 電圧入力は配線抵抗と合成入力抵抗、接地やノイズを確認する
- 電流計は直列、電圧計は二点へ並列に接続する
- 電源・絶縁・レンジ・表示の対応までそろえて方式を選ぶ
電流入力と電圧入力は、同じ測定量を異なる電気量で受ける方式です。送信器から表示・制御までの条件をそろえ、負荷を計算して端点の対応を確かめると、設備に合う方式を選びやすくなります。
出典
出典・参考資料(9件)を開く出典・参考資料を閉じる
- 横河電機「電流出力を電圧入力の計器に接続できますか?」:250Ωのシャント抵抗による変換
- エムジー「電源配線が要らない2線式伝送器」:ループ給電と許容負荷の考え方
- 同「アイソレータ」:複数入力の直列接続と接地による回り込み
- NI「4–20mA Current Loop Fundamentals」:電源予算・入力・絶縁
- オムロン「E5EC/E5EC-B 定格・性能」:電流・電圧入力と許容負荷の機器例
- HIOKI「クランプメーターの使い方」:直列測定とDC/AC・1本測定の区別
- 同「DT4255」安全上の説明:電流レンジで電圧測定した場合の短絡
- Fluke「ミリアンペア・プロセス・クランプ」:DCmA測定が可能な方式の実例
- ROHM「定格電力とは」・「抵抗器の基礎知識」:発熱と電力軽減、合成抵抗
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