連成計(れんせいけい)とは、大気圧より高い圧力(正圧)と低い圧力(負圧・真空)の両方を、1台で測れる圧力計です。
文字盤は0を境に、正圧を示す「圧力部」と、赤い目盛で負圧を示す「真空部」に分かれており、圧力計・真空計との違いは、測れる圧力の範囲です。
この記事では、連成計の定義と目盛の読み方、設置目的、原理、圧力計・真空計との違い、ポンプ周りなどの設置場所を順に整理し、先に要点だけ挙げると、次の3つです。
- 連成計は、正圧にも負圧にもなる場所に付ける
- 0が大気圧で、マイナス側(赤い目盛)が真空部
- ポンプは吸込み側に連成計、吐出し側に圧力計が基本
連成計とは
連成計とは、大気圧以上の正圧と、大気圧より低い真空域の両方を測れる現場指示型の計器で、配管や機器の近くに付け、その場で針を見て圧力を読みます。
JIS B 7505-1(ブルドン管圧力計)では、正と負の両方のゲージ圧力を測るものを連成計と呼び、目盛は、正圧を示す「圧力部」と、負圧を示す「真空部」からなると決められています。
0(大気圧)を境に、左の赤い目盛が真空部、右の黒い目盛が圧力部です。
※針は−0.04MPaを指しています。大気圧より0.04MPa低い状態です。目盛の範囲は計器によって違います。
図1のように、大気圧を0として、赤い表記が真空域、黒い表記が正圧域(大気圧以上)を示します。JISでも、真空部は色や「−」の符号で圧力部とはっきり分けるよう決められています。
連成計は、条件によって正圧にも負圧にもなり得る用途で使います。圧力計と見た目は似ていますが、設置場所を入れ替えると、計器が壊れる原因になります。
似た計器にマノメーターがあります。マノメーターは2点の圧力の差を測り、圧力計や連成計は圧力そのものを測るという違いがあります。
連成計の目盛の読み方
0を境に、時計回り側(黒い目盛)が正圧の「圧力部」、反時計回り側(赤い目盛)が負圧の「真空部」です。針が0より左にあれば、大気圧より低い状態を表します。読むときは、次の3つの順で確かめると読み違いを防げます。
0の位置、針の側、単位と最小目盛の順に見ます。
※図1の針は、赤い目盛の0から4目盛ぶん左(1目盛0.01MPa)なので−0.04MPaと読みます。
真空部の端の−0.1MPaが、ほぼ絶対真空にあたり、古い計器では、真空部がcmHg(−76cmHgが絶対真空)で書かれていることもあります。連成計の読みはゲージ圧(大気圧を0とした圧力)で、絶対真空を0とする絶対圧に直すときは、大気圧を足します。
単位は、JISではMPaかkPaを使うと決められています。同じ現場にMPa表示とkPa表示の計器が混ざることもあるので、数字だけで比べず、単位を必ず見る習慣をつけましょう。
連成計の設置目的
連成計に限らず、現場指示型の計器は増やすほど取れる値が多くなります。ただし機器の管理やイニシャルコストも増えるので、やみくもに設置すればよいわけではありません。連成計を設置する目的は、主に次の3つです。
- パトロール時に機器の異常を見つける
- 試運転時の指標になる
- センサーの故障を判断する
機器の運転条件を確かめるうえで、温度や圧力は重要な指標で、連成計を設置して日々の値を管理していれば、機器が異常な動きをしたとき、状況を数値で押さえられます。
パトロールでは、いつもの針の位置と比べるのが基本で、自主保全の日常点検でも、正常時の値を記録しておくと小さな変化に気づけます。
重要設備では、真空域まで測れる圧力センサーを設置していることが多くあり、センサーの故障が疑わしいときは、連成計の値と見比べることで故障を見抜けることがあります。
連成計の原理
連成計や圧力計が圧力を測れるのは、ブルドン管という金属の管が、内部の圧力で変形する性質があるからで、ブルドン管は断面が平たい楕円形の管を、C字形に曲げたものです。
連成計の原理は、次の3段階です。
- 圧力がかかるとブルドン管が膨らむ
- 針との接続歯車が動く
- 針が回転する
管のわずかな動きを、リンクと歯車で大きく広げて針を回します。
※JIS B 7505-1は、ブルドン管の変形量を機械的に拡大して、ゲージ圧力を直接指示する計器を対象にしています。
連成計は、1本のブルドン管が正圧でも負圧でも動くことを使っており、負圧では管が逆向きに動くので、針が0より左の真空部へ振れます。
デジタル式の連成計の場合は、圧力センサーと同じく感圧素子で圧力を測っており、感圧素子の多くは、ひずみなどを電気信号に変える仕組みです。中央の計器室へ値を送りたいときは、連成計の代わりに圧力伝送器を付け、4-20mAなどの信号で送ります。
圧力計、連成計、真空計の違い
圧力計、連成計、真空計は、それぞれ測定範囲が違います。
- 圧力計:0MPaG(絶対圧で約0.1MPa)以上
- 連成計:−0.1MPaG(絶対圧で約0MPa)〜正圧。正圧側の上限はレンジによる
- 真空計:−0.1MPaG〜0MPaG(大気圧以下)
0MPaG(大気圧)より左の負圧を測れるのが連成計と真空計、右の正圧を測れるのが圧力計と連成計です。
※ゲージ圧の0は大気圧で、絶対圧の0(絶対真空)ではありません。大気圧は天候や標高で変わるので、−0.1MPaGはあくまで「ほぼ絶対真空」です。
このように、圧力の測定範囲によって使う用途が変わります。圧力には、大気圧を基準としたゲージ圧(MPaG)と、絶対真空を基準にした絶対圧(MPa abs)があります。0MPaGは絶対圧で約0.1MPaにあたり、標準大気圧は101.325kPaです。
3つの計器の違いを表にまとめると、次のとおりです。
迷ったら「負圧になる可能性があるか」で選びます。
※レンジの例は、長野計器の普通形圧力計(JIS B 7505-1 対応)のカタログにある製品の範囲です。
圧力計
圧力計は、大気圧(0MPaG)以上の圧力を測れます。どこにも取り付けず大気圧のままなら指針は0を示し、負圧になっても、指針がそれ以下に下がることはありません。低いレンジの圧力計には、針が0より下へ行かないよう針止めが付くものがあります(例:長野計器の普通形では1MPa以下の圧力計)。
負圧になる用途で使うと、圧力計が故障する可能性があります。圧力を測りたい減圧弁の前後や、ポンプの前後、内圧が上がるタンクなどに取り付けます。圧力計は、常に大気圧以上で負圧になることがない場合に使います。設定値で接点が入ったり切れたりする、接点付きの圧力計もあります。
レンジは、ふだんの圧力が目盛の上限に近すぎないものを選びます。JISでは常用圧力の上限を、一定の圧力なら最大目盛の3/4、変動する圧力なら2/3としています。蒸気の配管に付けるときは、高温の蒸気が直接ブルドン管に入らないようサイフォン管を挟みます。
連成計
連成計は、正圧(大気圧以上の圧力)から絶対真空(−0.1MPaG)までの圧力を測れます。ただし真空部の目盛幅が狭いので、詳細な真空は測れません。
正圧にも真空にもなる可能性があるポンプの吸込みや、蒸気を使う熱交換器、その他の凝縮する気体を使う箇所で使います。内圧が大気圧より下がる可能性がある箇所には、連成計を設置しておいたほうが無難です。
たとえ真空にならなかったとしても連成計は壊れず、連成計にも、設定圧力で接点が入り切りする接点付きの真空スイッチがあります。
真空計
真空計は、大気圧以下の圧力を詳細に測れ、目盛のすべてを真空側に使うので、連成計より細かく読めます。
大気圧以上になることのない、真空ポンプやコンプレッサーの吸込口などの圧力測定に使いますが、大気圧以上になると故障のリスクが上がります。
ブルドン管式の真空計で読めるのは、大気圧から絶対真空近くまでの範囲です。さらに高い真空は、ピラニ真空計や隔膜真空計、電離真空計など、別の原理の真空計で絶対圧として測ります。
連成計の設置場所
連成計の設置がすすめられる箇所は、次のとおりです。
- ポンプの一次側(吸込み側)
- 微圧運転(0.1〜0.2MPaG程度)の蒸気熱交換器
- ファン、ブロワの一次側
- 凝縮性ガスのタンク
- 真空域で使う装置や周辺の配管
どれも真空になることはあるものの、そこまで精度は求められない箇所です。ポンプの場合は、一次側は連成計、二次側は圧力計を設置することが多いので、取付けのときに取り違えないようにします。
吸込み側は負圧にもなるので連成計、吐出し側は圧力計を付けます。
※読みは説明用の仮の値です。吸込み側が負圧になるのは、液面がポンプより低い吸上げや、吸込み配管の抵抗が大きい場合などです。
ポンプ、ファン、ブロワの吸込み側の圧力を見ておくと、キャビテーションやサージングが起こりやすい状態に早く気づけます。現象と対策はサージングとキャビテーションの違いで詳しく整理しています。
吸込み側と吐出し側の両方に計器があれば、ポンプの全揚程(ポンプが液に与えた水の高さ換算のエネルギー)もおおよそ分かります。
この式は、吸込み口と吐出し口の口径が同じ場合の簡易式なので、連成計がマイナスを指していれば、引き算が足し算になる点に気をつけましょう。
口径が違うときは、吐出し側と吸込み側の速度水頭の差も加え、2つの計器の取付け高さが違うときは、その高さの差(液柱のぶん)も厳密には補正が必要です。
配管計装図では、現場の圧力計はPIやPGなどの記号で描かれ、記号の意味はP&IDの読み方で確かめられます。
連成計のよくある質問
連成計の読み方は?
「れんせいけい」と読みます。正圧と負圧の2つの範囲を1つの目盛につなげて(連ねて)測る計器です。
圧力計の代わりに連成計を付けてもいいですか?
測れる範囲だけで見れば、連成計は正圧も測れますが、JISでは目盛の全範囲を約270°に振り分けるので、真空部があるぶん正圧側に使える角度が減ります。
許される誤差も、連成計では圧力部と真空部の最大値を合計したスパンに対する割合で決まります。同じ大きさ・同じ等級なら、正圧側は同じ上限の圧力計より目盛が粗く、誤差の幅も大きくなります。負圧になる可能性がない場所なら、ふだんの圧力に合ったレンジの圧力計のほうが読みやすくなります。
連成計の針がマイナスを指したら異常ですか?
異常とは限りません。液面がポンプより低い吸上げのポンプでは、運転中に吸込み側が負圧になるのが普通です。
判断の目安は、ふだんの値からのずれです。いつもより大きくマイナスに振れたときは、吸込み側の流れの抵抗が増えている可能性があるため、吸込みストレーナの詰まりや、吸込み弁が閉まりかけていないかを確かめます。
針が目盛の端に張り付いて戻らないときは、レンジが合っていないか計器の故障を疑い、点検します。
連成計の精度等級とは?
JIS B 7505-1では、ブルドン管圧力計の精度を0.6級・1.0級・1.6級・2.5級・4.0級の5つに分けています。数字が小さいほど許される誤差が小さい計器です。
精度を保つには定期的な校正も欠かせず、校正の周期や記録の残し方は、計測器の校正周期の決め方で整理しています。
まとめ
- 連成計は、正圧に加えて真空領域も測れる計器
- 目盛は0(大気圧)を境に、右が圧力部、左の赤い目盛が真空部
- 測定原理は圧力計と同じブルドン管
- 圧力計は大気圧以上、連成計は絶対真空〜正圧、真空計は大気圧〜絶対真空を測る
- ポンプは一次側に連成計、二次側に圧力計を付けることが多い
圧力を測る機器でも、測定範囲によって3つの種類に分かれ、測定レンジを間違えると故障するので注意してください。
取り付ける箇所が大気圧以上の正圧なのか、それ以下の負圧なのかを考えて使い分ける必要があります。圧力計と連成計は見た目が似ていますが、用途で使い分けます。
脈動や振動のある配管では、ケースに封入した液で針や内機の揺れを抑えるグリセリン入り圧力計も使われます。
出典
出典・参考資料(10件)を開く出典・参考資料を閉じる
- 連成計・圧力計・真空計の定義、目盛(約270°・真空部の区分)、精度等級とスパン、常用圧力:JIS B 7505-1:2017 アネロイド型圧力計-第1部:ブルドン管圧力計(規格本文)、日本規格協会のプレビュー(適用範囲)
- 連成計・圧力計・真空計のレンジ、針止め:長野計器 普通形圧力計 カタログ
- ブルドン管の種類、グリセリン入圧力計(高耐振):長野計器 産業別計測製品 SELECTION GUIDE
- ブルドン管の仕組み、液封入(グリセリン)による減衰:WIKA「Bourdon tube pressure gauge」
- 80℃以上ではサイフォン管を使う例:TLV ブルドン管圧力計 BU形(大東計器製作所製)仕様書
- 絶対圧とゲージ圧:Trafag 技術情報「絶対圧と相対圧の測定」
- 標準大気圧(101,325Pa):NIST SP 811 Appendix B
- ポンプの全揚程の求め方:J-Net21(中小企業基盤整備機構)「ポンプの全揚程の求め方」(口径が違うときの速度水頭の差を含む)
- 吸込み側の負圧が大きくなる原因(ストレーナの詰まり、閉じた吸込み弁):WaterWorld「Pump Maintenance Know-How」(Gorman-Rupp 社のサービス部門責任者による解説)
- 高真空用の真空計の種類:アルバック 製品カタログ
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