空動弁に電磁弁が必要な理由は?供給・排気の仕組みと電動弁との使い分け

空気操作器と電磁弁を取り付けた工場配管のボール弁

空動弁を電気信号でオンオフ操作するとき、電磁弁は操作空気の供給と排気を切り替えます。主弁を動かす力は圧縮空気が受け持ち、電磁弁はその空気の行き先を変える役割です。

「電気で指令するなら電動弁と同じでは」と感じても、指令と駆動源は別々に選べます。単動・複動の空気回路から、一体形と別置き、防爆場所での構成、故障時の確認まで順に見ていきます。

動画1:20付近の供給・排気は単動操作器向けの例で、複動では両室の給排気を交互に切り替えます。2:58付近の「電磁弁は必ず必要」は誤りで、手動切替や空気信号など、電磁弁を使わない操作もあります。

動画0:45付近のNO/NCは、単動式で空気を抜いたときの開・閉を表す例です。1:02付近の「応答性が非常に速い」も方式だけでは決まらず、負荷や配管、給排気容量によって変わります。

2:34付近の防爆の説明も、電磁弁だけを確認すれば完了するという意味ではありません。検出器やポジショナなどを含む機器一式の適合を確認し、防爆電動弁も選択肢に入れて比較します。

目次

空動弁とは

空動弁は、圧縮空気で操作器を動かし、その力を弁棒へ伝えて主弁を開閉する自動弁です。配管の水や蒸気を通す主弁と、操作用の空気を通す部分は、役割も流路も異なります。

回転形では、ピストンなどの直線運動を軸の回転へ変え、ボール弁やバタフライ弁を動かします。直動形では膜やピストンの力を弁棒へ伝え、弁体を上下させる構成が使われます。

大きな主流路と、小さな操作空気回路は別

操作用の空気回転操作器主弁:ボール弁水・蒸気などの主流体回転軸

回転形の機構模式図。電磁弁が切り替えるのは操作空気であり、主配管の流体を直接切り替えるわけではありません。

単動式は、空気で動かす方向と、ばねなどの復帰力で戻す方向を組み合わせます。空気を抜いた状態で開くか閉じるかは、操作器の戻り方向と主弁の組合せから決まります。

複動式は、操作器の二つの室へ交互に空気を入れ、反対側を排気して往復させます。単動のばね戻りと異なり、空気がなくなったときの位置を、方式名だけで開・閉へ決めつけることはできません。

単動式の主弁では、空気を抜いたときに開く構成がノーマルオープン、閉じる構成がノーマルクローズです。操作器・主弁の組合せによる失気時位置と、電磁弁の無通電時の接続は分けて確認します。

調節弁の正動作・逆動作とNO/NCの違いは、調節弁の正動作・逆動作と失気時動作に整理しています。「信号が増える方向」と「駆動源を失った位置」を分けることが大切です。

供給空気には、操作器が必要とする圧力と、動いている間に供給できる流量の両方が必要です。入口の圧力計が正常でも、細い配管や流量不足で動作中に圧力が下がると、所定の動きを得られません。

ドレンや異物を含む空気も、切替不良や内部部品の不調につながります。計装空気の用途と供給設備を確認し、機器が指定する空気品質と工場側の供給条件を照合します。

空動弁の作動速度は、空気圧だけでなく操作器の容積、供給量、排気抵抗、主弁の負荷で変わります。速い動作が可能な構成でも、設備に必要な速さを数値で指定し、実際の負荷で確認します。

液体の流れを急に止めると、水撃などの圧力変動が問題になることがあります。速度を調整する際はスピードコントローラーの仕組みを踏まえ、供給側と排気側のどちらを絞る構成かも確認します。

空動弁に電磁弁が必要な理由

電磁弁は、電気指令を空気の接続状態の切替へ変える機器です。コイルに電流を流したときの電磁力で内部の機構を動かし、供給口と操作器、排気口のつながりを変更します。

直動式では電磁力で切替機構を直接動かし、パイロット式では小さな流路の切替を利用して主な流路を動かします。パイロット式には動作に必要な最低圧力などの条件があり、通電だけで必ず切り替わると考えないことが必要です。

主弁を動かすための大きな仕事は、圧縮空気が受け持っています。電磁弁の電気は空気回路を切り替えるために使うので、電気指令で動かしていても、モータ駆動の電動弁とは構成が異なります。

単動の操作器では、空気を入れるだけでなく、戻るときに空気を外へ出す経路が必要です。供給だけを止めて操作器内へ空気を閉じ込めると、ばねの復帰を妨げる原因になります。

単動の例:供給を止めたら、操作器側を排気へ

通電:P → A無通電:A → RP 供給R 排気A 操作器P 閉止R 排気A 操作器3ポート=P・A・Rの3つの接続口図は空気の経路図で、実機内部の断面ではありません

無通電でPを閉じAを排気する例。逆の接続となる形式もあるため、型式の回路記号で確認します。

3ポート2位置の弁なら、三つの接続口と二つの切替状態で、供給と排気を作れます。図の例では通電で供給Pと操作器Aをつなぎ、無通電で供給を閉じて操作器Aを排気Rへつなぎます。

ここで無通電になることと、操作器の圧力が抜け切ることは同時ではありません。排気経路が細い、サイレンサが詰まるなどの条件では、電気が切れていても機械の復帰が遅れることがあります。

複動操作器では、A側へ供給するときB側を排気し、戻すときはその接続を反転させます。5ポート弁は、供給口一つ、操作器への出力二つ、排気二つを持つ代表的な構成です。

複動の例:一方を押す空気と、反対側の排気を対にする

A室:供給B室:排気ABP 供給排気へ逆方向はA室を排気、B室へ供給5ポート弁の一方の接続状態

もう一つの排気口は、この状態では使わないため省略。ポート数とコイル数、単動・複動は別の分類です。

ポート数と、電磁コイルの数は同じ意味ではありません。シングルソレノイド、ダブルソレノイド、ばね復帰などの構成を見て、指令がなくなったときの切替位置を確認します。

特に、ダブルソレノイドの弁では、無通電にしただけで必ず所定位置へ戻ると考えないことが大切です。再通電・空気再供給の際にどの経路がつながるかも、回路記号と機種の仕様で確認します。

プロセス用の電磁弁と、空気圧機器用の方向切替弁を混同しないようにします。主配管の流体を直接開閉する電磁弁を選ぶ場合と、操作器へ空気を振り分ける場合では、必要な仕様が違います。

「電磁弁付き」の空動弁は、切替弁や配管があらかじめ組み合わされた仕様を指します。現場での接続箇所を減らせる一方、電源電圧、無通電時の動作、供給圧力の条件まで注文時にそろえる必要があります。

接続口は見た目の位置ではなく、P・A・B・Rなどの表示やメーカーの接続図で識別します。継手が取り付くことだけを根拠に接続せず、操作器側の開方向・閉方向のポートと一つずつ対応させます。

複数台の電磁弁をマニホールドへまとめるときは、共通供給と共通排気の条件も重要です。他の弁が排気した際の背圧が動作に影響する場合があるため、同時作動の条件を含めて確認します。

電磁弁を別置きにすれば、点検しやすい盤内へまとめたり、設置環境を分けたりできます。ただし、操作器までの空気配管が長くなると、充填・排気する容積と流路抵抗が増えるため、動作条件も変わります。

近接と遠隔:同じ内径でも配管の容積は変わる

2 m:25.1 mL操作器長さの比較用模式図10 m:125.7 mL(5倍)内径4 mmのチューブという架空条件

数値はチューブ内の幾何学的な容積。空気消費量や作動時間を直接表すものではありません。

例えば内径4 mmのチューブを、2 mと10 mで比較すると、内部容積は約25.1 mLと125.7 mLです。長さが5倍なので容積も5倍になりますが、作動時間がそのまま5倍になるという計算ではありません。

円管の内部容積
V = πd2L4
L=2 m:V=π × 0.0042 × 24=2.513 × 10−5 m3=約25.1 mL
L=10 m:V=π × 0.0042 × 104=1.257 × 10−4 m3=約125.7 mL
V:管内の幾何学的容積[m3] d:内径[m] L:長さ[m]。内径4 mmは計算例の仮定で、推奨内径ではありません。

実際の動作時間は、供給圧力、操作器の容積、電磁弁の流量特性、継手や排気側の抵抗で変わります。遠隔配置を選ぶときは、図面の距離だけで判断せず、必要な作動時間を満たすか確認します。

電気指令との接続では、PLCなどの出力容量と電磁弁の電源仕様を合わせます。DI・DOの入力と出力を区別し、開閉指令を出す回路と、開閉確認を受ける回路を別々に整理します。

DC用とAC用では、電圧表示が似ていても同じコイルとして扱えません。DC仕様でも極性を持つ保護回路や表示回路があるため、コネクタの形だけで互換性を判断せず、結線図と型式を照合します。

出力をオフにしても微小な電流が残る回路では、電磁弁が十分に復帰しないことがあります。使用する出力機器との適合は、電磁弁側が示す漏洩電圧や保護回路の条件を含めて確認します。

電磁弁のランプが点灯したことは、主弁が全開・全閉になった証拠ではありません。リミットスイッチなどの位置確認と、配管内の圧力や流れを対応させ、指令から実際の動作までを追います。

連続調節の場合には、目標開度へ弁を動かすポジショナが使われます。ポジショナの仕組みでは、実際の位置を戻し信号として使い、指令との差を補う役割を説明しています。

例えば4–20 mA信号で開度を指定する構成と、電磁弁の通電・無通電で二位置を切り替える構成は異なります。調節用でも別の遮断機能を設ける場合があるため、ポジショナ付きなら電磁弁が一切不要とも断定しません。

電磁弁以外にも、手動の空気切替弁や空気信号で動く切替弁によって操作器を動かす構成があります。したがって「空動弁には必ず電磁弁が付く」という理解ではなく、採用する指令方式から回路を選びます。

動かないときは、電気指令、電磁弁の切替、操作器への供給・排気、主弁の機械負荷を順に分けます。供給元で圧力があるだけで正常とせず、動作中の操作器入口の圧力も確認すると原因を絞れます。

供給されても戻らない場合には、排気の詰まりや切替弁の状態も調べます。操作器や配管に残圧がある状態で継手を緩めず、設備の隔離・残圧開放の手順に従って点検します。

保全記録には、開く時間と閉じる時間を別々に残すと、変化を捉えやすくなります。一方向だけ遅くなった場合は、その側の供給・排気経路と主弁の負荷を追い、両方向の遅れとは分けて調査します。

電気コネクタと空気チューブ、排気用サイレンサを備える電磁弁の外観
操作空気用の電磁弁の外観イメージ(生成画像)

空動弁を選ぶ理由

電気で指令できることを共通条件にしても、必要なトルク、作動頻度、供給設備は方式ごとに異なります。空動弁と電動弁は、設置する場所と運転条件をそろえたうえで比較します。

既に計装空気が整っている工場では、空気配管を分岐できることが空動式の利点になります。一方、空気源がない独立設備では、コンプレッサや乾燥・ろ過設備まで含めた構成を考える必要があります。

大型の主弁を動かすときは、必要な軸トルクや差圧に適合する操作器を選びます。空動なら小さな電磁弁で操作空気を切り替えられますが、主弁を動かす操作器自体の大きさや空気量は別に必要です。

トルクは、動き始め、途中、閉止付近で必要量が変わることがあります。制御弁の選定で確認する条件と同様に、流体・差圧・温度から主弁側の負荷を整理することが出発点になります。

方式比較では、必要条件を同じ行にそろえる

確認条件
空動式
電動式
駆動に必要な設備
空動式:所定の圧力・流量・品質の圧縮空気
電動式:所定の電源と電気回路
故障時の位置
空動式:単動の復帰力と空気回路を確認
電動式:停止保持・ばね等の機構を確認
危険場所
空動式:電磁弁・検出器等を含む構成を確認
電動式:場所に適合する防爆機種を確認
作動時間・頻度
空動式:供給/排気の容量と主弁負荷を照合
電動式:運転時間率・始動回数等を照合
費用と保全
空動式:空気設備、配管、漏れ、整備を含む
電動式:電源、配線、駆動部の整備を含む

空動・電動という方式だけで、速さ・価格・防爆適否の優劣は決まりません。

防爆場所でも、適合した防爆電動操作器は使用できるため、空動式だけが選択肢になるわけではありません。機器の認証や設置条件をそろえ、空動式と電動式を一式の仕様で比較します。

空動式の場合も、電磁弁のほか、リミットスイッチやポジショナなどの電気機器が付くことがあります。安全増防爆と耐圧防爆の違いも踏まえ、設置場所に応じた適合を各機器で確認します。

電磁弁を非危険場所へ置き、空気配管だけを操作器へ延ばす構成も検討できます。その場合にも、現地の検出器などが残るかを確認し、配管長による動作への影響を含めて配置を決めます。

比較費用には、弁本体だけでなく、供給設備、配管・配線、点検、運転中のエネルギーを含めます。「大型なら必ず空動のほうが安い」という価格比を前提にせず、必要トルクや作動時間などの要求条件をそろえて見積もります。

作動頻度が高い設備では、一回の動作ができることに加え、繰り返しに耐える仕様を選びます。電磁弁の連続通電条件と電動操作器の運転時間率など、異なる制約をそれぞれの仕様表から確認します。

故障時動作は、停電、電気指令の断線、空気源の喪失を分けて記載します。一つの状態で安全な位置へ動いても、別の故障で同じ位置へ動くとは限らないため、組合せの回路で確かめます。

空気を再供給すると、操作器がそれまでの位置から急に動き始めることもあります。点検後の復旧時には、電磁弁の切替状態と周囲の安全を確認し、設備が定めた起動手順に従います。

一般の方向切替弁を付けたことだけで、緊急遮断に必要な安全機能が成立するわけではありません。その用途へ使う場合は、要求する安全機能と診断・試験を含めて、適合する構成を別に選定します。

手動操作機構が付く電磁弁でも、それを通常の自動指令と同じ状態だと扱わないようにします。保全後に手動位置が残っていないかを確認し、操作状態を運転担当へ引き継ぐことも、復旧手順の一部です。

調達仕様には、主弁の形式と接続、流体条件、必要トルク、作動時間、空気圧と電源を記載します。電磁弁付きか別置きかだけでなく、無通電・失気時の位置、位置検出、排気の処理まで一組にします。

方式全体の比較を深める場合は、電動式と空動式の制御弁の違いも参照してください。ここまでの空気回路を押さえると、「電磁弁付き」という短い仕様が何を含むのか判断しやすくなります。

空動弁と電磁弁のよくある質問

空動弁は電磁弁がないと動きませんか?

手動の切替弁や空気信号で操作する構成もあるので、空動弁すべてに電磁弁が必須という意味ではありません。電気信号によるオンオフ操作では、通常、電磁弁で操作空気を切り替えます。

空気を送るだけなら2ポート弁でもよいですか?

単動操作器を戻すには、操作器内の空気を排気する経路も必要です。供給の入切だけで空気が閉じ込められないよう、回路全体で供給・排気の両方を成立させます。

無通電にすると必ず主弁が閉じますか?

電磁弁の無通電時の接続と、操作器・主弁の復帰方向の組合せで決まります。ばね戻りの有無や複動の空気回路も異なるため、個々の機器のNO/NC表示だけで結論を出さないことが大切です。

電磁弁を遠くに置くと問題がありますか?

保全や環境条件の面で利点がある一方、配管長によって容積と抵抗が増えます。供給だけでなく排気のしやすさも含め、要求する作動時間を満たすことを確認して配置します。

ポジショナと電磁弁は同じものですか?

ポジショナは目標開度に対して実際の位置を調整し、電磁弁は主に空気回路を切り替えます。連続調節とオンオフの役割を分けて考え、必要に応じて追加の遮断機能を組み合わせます。

まとめ

この記事のまとめ
  • 空動弁の駆動力は圧縮空気、電磁弁は電気指令で空気回路を切り替える
  • 単動では供給と排気、複動では両室の交互給排気を成立させる
  • 電磁弁のポート数・コイル数と、操作器の単動・複動を区別する
  • 一体・遠隔配置は、配管容積、流量、排気抵抗と保全条件で選ぶ
  • 防爆、故障時位置、作動頻度、供給設備を一式で電動式と比較する

電気の指令がどこで空気の流れへ変わり、その空気がどう主弁を動かすのかを追うと、構成が明確になります。供給する経路と抜く経路を対にして描き、指令が消えたときの状態まで確認してください。

出典

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MONOSCOPEの運営者

プラント機器メーカーとプラントメーカーで約10年、設備の提案・設計・試運転に携わったのち、Webマーケターに転身。現在はBtoB製造業専門のWebコンサルタントとして、メーカーの情報発信を支援しています。エネルギー管理士/第三種電気主任技術者。工業技術ブログを2017年から運営(500本以上執筆)、YouTube登録者約2万人、Xフォロワー約1万人。

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