電動式と空動式の制御弁は、弁を動かすエネルギーが違います。電動式はモータ、空動式は圧縮空気で弁を動かし、供給設備・必要な速さ・故障時の動作をそろえて選びます。
電源だけで設置できる電動式は、空気配管がない設備の有力な候補です。空動式は既設の計装空気を利用しやすく、ばね戻り機構を含めて、必要な推力や停止時の状態を設計できます。
調節計から受ける信号と、弁を動かす動力源は別のものです。比例制御弁の機構からオンオフ弁へ進み、同じ条件で比較する表と計算例を通して、仕様の決め方を整理します。
動画の1:15からの極性反転や電圧による速度変更は、全機種に共通する方法ではありません。1:25からの危険場所でも適合した防爆電動は使用でき、1:47からのダイアフラムは柔軟な膜を用いる機構です。
操作器は電動・空動の両方に共通する名称で、空動にはピストン形もあります。オンオフと連続調節は制御の使い方の違いであり、空動操作器が必ず別原理になるわけではなく、押し下げたときの開閉も弁本体との組合せで決まります。
制御弁とは
制御弁は、弁の開度を変えて流体の流れを調整する機器です。流量を直接調整するほか、熱交換器に入る蒸気量やタンクに入る液量を変えることで、温度や圧力の制御にも使います。
比例制御では、全開と全閉の間の開度を連続的に変えて、必要な流量に近づけます。オンオフ制御より細かい調整をねらえますが、適切な弁容量や流量特性と、調節計の設定がそろうことが前提です。
例えば温水の温度制御では、センサが測った値を調節計が目標値と比べます。その差に応じて弁への指令を変えるのがPID制御で、弁単体が温度を判断しているわけではありません。
指令は調節計から、動力は別の供給源から操作器へ入ります。
図は横にスクロールできます。
※操作器は電動または空動のどちらかを選びます。破線は信号、茶色は動力の供給、配管上の矢印は蒸気の流れです。位置を戻す内部制御と、温度を戻す外側の制御は別のループです。
弁の可動部を動かす装置がアクチュエータ、つまり操作器です。電動・空動の両方に操作器があり、弁本体と組み合わせて、必要な位置と閉止力を実現します。
一方、調節計から出る4-20mA信号は開度などの指令を表します。電流信号を受ける空動弁もあるため、信号の種類だけを見て電動か空動かを判断することはできません。
電動式制御弁

電動式は、モータの回転を減速機などに伝え、弁軸を回したり弁棒を上下させたりします。ボール弁やバタフライ弁の回転運動と、グローブ弁の直線運動では、組み合わせる伝達機構が異なります。
モータの回転を遅くする減速機は、弁を動かすトルクを得る役割を持ちます。直動弁では、ねじなどで回転を直線運動へ変換し、弁体を弁座へ近づけたり離したりして流れを調整します。
モータ・減速機・ねじ機構を通り、弁棒に力が伝わる直動形の模式図です。
※伝達機構の一例です。回転弁では、減速機の出力を弁軸の回転に使います。
指令の受け方には、開く・閉じる接点指令や、連続値を受ける比例入力などがあります。位置検出器から現在位置を戻し、指令との差を小さくする機種では、途中の開度へ止めて流量を調整します。
回転方向の切替えは、電源方式と駆動回路に応じて設計されています。直流モータの極性反転だけを全機種へ当てはめず、電源端子と信号端子を配線図で分けて扱うのが基本です。
電動式の利点は、圧縮空気を新たに引かずに設置できることです。電源と信号線の工事が中心になるため、空気供給のない建物設備や、小規模な独立設備では取り入れやすくなります。
反対に、短時間に何度も開閉する使い方では、始動回数や運転時間率が選定条件になります。単純なオンオフ用と連続調節用を区別し、モータが動く時間だけでなく、停止を含む運転パターンを示して選びます。
例えば、一度開いたあと長時間止める運転と、指令に合わせて小刻みに往復する運転では、モータの負担が違います。制御周期だけを伝えるより、どの程度の開度幅を何回動くかまで示すと、仕様との照合が明確です。
屋外や高温配管の近くでは、操作器の周囲温度や浸水に対する保護も選定へ含めます。流体が許容温度内でも、弁本体からの伝熱や周囲の蒸気によって、電気部品の使用条件を外れることがあるためです。
位置検出の信号には、全開・全閉の接点と、途中開度を表す連続値があります。どちらを制御盤へ返すかを先に決めておけば、現場では開いているのに画面で位置を把握できない、といった仕様の不足を防げます。
危険場所で電動式が一律に使えないという区分ではありません。防爆仕様の電動操作器もあるため、対象ガスや温度、設置区分と機器の認証・仕様が適合するものを選定します。
空動式制御弁
空動式は、圧縮空気をダイアフラムやピストンへ加えて力を得ます。ダイアフラムは柔らかい膜状の部品で、支持板や弁棒とつながり、空気圧を機械的な動きに変えます。
ダイアフラム形の単動操作器では、空気による力とばねの力を釣り合わせます。空気圧を上げると膜が動き、圧力を抜くとばねが戻す方向に弁棒が動くのが、代表的な構造です。
圧力と有効面積の積が空気による粗推力で、ばねや摩擦などに使う力は別に考えます。
※上室を加圧する例です。操作器を押す方向と開閉の関係は、弁本体との組合せで決まります。
例えば膜の両側の圧力差を0.30MPa、有効面積を0.010m²と仮定します。このとき空気が生む力は3,000Nで、膜の面積を大きくすれば、同じ圧力でも得られる力は増えます。
ただし、この3,000Nを、そのまま弁を閉じるための力として使えるわけではありません。操作器自身のばねや摩擦に加え、弁にかかる流体の差圧と、弁座の密閉に必要な力を考慮します。
そこで使うのが、指令と実際の弁位置を比べて空気圧を調整するポジショナです。供給空気を出し入れして、摩擦や差圧が変わっても、指令した位置へ近づけます。
位置を戻す仕組みと、圧力から動きを生む仕組みを分けると、役割が明確になります。信号と開閉方向の関係は調節弁の正動作・逆動作、開度と流量の対応は弁の流量特性と合わせて整理できます。
空動式には、ダイアフラムだけでなくシリンダ内のピストンを動かす方式もあります。回転弁ではピストンの直線運動をラック・ピニオンなどで回転へ変え、ボールや弁板を動かす機構が使われます。
必要なのは、清浄で乾燥した空気を、所定の圧力と量で供給する設備です。配管が細い、フィルタが詰まる、同時操作で供給圧が落ちるといった条件は、弁の応答や推力へ影響します。
空気の使用量には、弁を動かすときの量と、機器から継続して消費する量があります。コンプレッサーを選ぶ際は、弁の台数だけでなく同時に動く台数やポジショナの方式を分け、末端で足りる条件へ合わせます。
動作が遅い場合は、供給圧を上げる前に、供給経路と排気経路を順に調べます。機器の許容圧を超える使い方ではなく、フィルタや配管の詰まり、空気漏れなど、本来の能力を妨げる原因を除くことが先です。
オンオフ弁の電動と空動は?
オンオフ弁にも電動式と空動式があり、基本的な動力の違いは制御弁と同じです。用途は途中開度の連続調節ではなく、配管の開閉や流れ先の切替えを、必要なタイミングで実行することです。
電動式では開閉指令でモータを動かし、全開・全閉の検出などによって停止します。終端の検出にはリミットスイッチなどを使い、指令を出した状態と、実際に到達した状態を分けて監視します。
空動の単動式では、一方向を空気、反対方向をばねの力で動かします。空気圧を加えない状態で開いているものをノーマルオープン、閉じているものをノーマルクローズと呼ぶ使い方があります。
失気で戻る方向は単動の構成で決まり、複動式の両室を閉じるだけでは長時間の位置保持を保証しません。
※NO/NCは流体の流れとして定義し、電磁弁の無励磁位置やポジショナの異常時出力と混同しないようにします。
複動式は、ピストンの両側へ交互に空気を入れて往復させます。ばね戻りがない構成では、供給停止後の状態を単動式と同じように決めつけず、残圧・内部漏れ・弁にかかる力まで含めて整理します。
空気がなくなる故障と電気信号がなくなる故障は別です。電磁弁の無励磁位置やポジショナの設定によって空気の流路が変わるので、停電・断線・失気を個別に仕様へ書きます。
ばね戻りを備えた弁でも、排気がふさがると空気室の圧力が残り、想定した戻りを妨げます。通常運転の開閉だけを見るのではなく、動力を失ったときに空気がどこへ抜けるかまで、回路図へ対応させます。
全閉位置へ到達したことと、流体が要求どおり遮断されたことは別の要求です。閉止漏れ量や逆圧の条件は弁本体の仕様として決め、位置接点が入ることだけで、必要な気密・水密性能を代用しないようにします。
指令はDO信号、開閉到達の監視はDI信号というように、制御盤側から見た信号を分けます。運転画面で「閉」を指令した表示だけを見て、実際の閉止が完了したと判断しない構成が必要です。
開閉時間を短くすると、液体配管では流速が急に変わり、圧力変動が大きくなることがあります。空動式の速度を調整する場合は、スピードコントローラなどの流量調整と、要求する緊急動作時間を両立させます。
電動式と空動式はどっちがいいの?
先に必要な機能を決め、その機能を満たす両方式の候補を比較するのが選び方の基本です。空気があるから空動、電源があるから電動という判断の前に、何を調節し、故障時にどうするかを決めます。
方式名の優劣ではなく、推力・速さ・故障時・供給設備を同じ条件で評価します。
| 比較する条件 | 電動式 | 空動式 |
|---|---|---|
| 動力 | 電源、モータ、減速機 | 圧縮空気、膜またはピストン |
| 開度指令 | 接点・アナログ・通信など | 空気信号、電空ポジショナなど |
| 推力・トルク | 定格と実負荷、始動条件を照合 | 最低供給圧、ばね力、差圧を照合 |
| 故障時動作 | 停止、ばね戻り、蓄電機能などを指定 | 単動の戻り方向、複動の回路を指定 |
| 保全範囲 | 電源・配線・歯車・検出器 | 空気品質・漏れ・膜・電空機器 |
※選定表であり、どの機種もすべての機能を持つという意味ではありません。
制御の細かさと必要な速さを分ける
温度や圧力を連続的に保つなら、途中開度を再現できる性能が重要です。全開までが速い機種でも、微小な指令に対する不感帯や摩擦が大きいと、細かな流量調整には向きません。
開度と流量の関係は、弁本体の特性と前後の差圧で変わります。操作器だけを高精度なものへ替えるより、制御弁の容量と選定から見直すことで、過大な弁が小さな開度だけで動く問題を防げます。
全行程の作動時間は、機種の速さを比較するときの一つの指標です。仮に90度の回転へ30秒かかり、途中も一定速度とするなら、45度だけ動く時間は15秒と計算できます。
角度を移動する時間を求めても、液温などが目標へ落ち着く時間までは決まりません。
※左は計算条件どおりの定速仮定、右は時間目盛を持たない概念図です。実機は遅れ・負荷・加減速を含めて評価します。
この時間は弁の移動時間で、槽の温度が目標へ落ち着く時間とは異なります。配管内の輸送時間や槽の熱容量なども効くため、制御が遅い症状を操作器の交換だけで解決しようとしないことが大切です。
流れを出すか止めるかだけで目的を達成できるなら、連続調節以外の方式も候補になります。二位置制御で必要な変動幅を満たせるかを検討し、要求する精度と機器構成を合わせます。
故障時の動作から供給設備まで決める
故障時に閉じるべきか、開くべきかは、その流体を止めた場合の影響から決めます。燃料の遮断と冷却水の確保では求める方向が異なるため、失気閉という仕様をすべての配管へ広げないことが重要です。
電動式でも、ばねや蓄電機能で停電時に所定位置へ動く構成があります。通常電源がなくなった瞬間に、どのエネルギーで何秒以内に動くのかを明確にし、保持・全閉・全開の要求を区別します。
空動式を採用する場合は、末端の最低供給圧と同時作動時の空気量を示します。弁のすぐ手前の圧力が不足していると、元のコンプレッサー圧力が正常でも、必要な動きと力を得られません。
既設設備に圧縮空気がない場合は、弁単体の価格に加えて供給設備も費用へ含めます。電動式も配線や盤改造が必要なので、方式ごとに異なる工事範囲を同じ見積書の外へ落とさないようにします。
最後に、点検で何を観察するかまで仕様へ入れておくと、保全が容易になります。電動なら電源と指令・位置戻し、空動なら信号に加えて供給圧と出力圧を追うことで、故障の範囲を絞れます。
試運転で指令・動き・実際の流れを照合する
仕様を決めたあとには、調節計からの指令、弁の実位置、プロセスの応答を順に照合します。指令どおりに弁が動かない問題と、弁は動くが温度や流量が変わらない問題では、調べる範囲が違います。
最初に弁本体と操作器の形式、空気配管や電線の接続先を図面と対応させます。開閉の方向が逆なら、信号の正逆や機器の取付けを調べ、調節計の設定だけで見かけ上の方向を合わせないことが大切です。
次に、端点だけでなく途中開度も含め、指令を変えたときの実位置を記録します。同じ指令へ戻したときの位置のずれを見れば、摩擦や連結部のがたによって生じる往復差を把握しやすくなります。
弁が予定どおり動くのに流量が増えない場合は、上流の供給や下流の閉塞など、流体側の条件へ進みます。操作器を大きくする前に、差圧と弁容量が運転条件に対応しているかを整理するのが合理的です。
故障時の試験は、設備の安全手順に従い、影響を管理できる条件で実施します。失気や停電を想定した動作を記録し、復旧時に自動で再開するか、操作員の確認を待つかも、制御仕様に含めます。
実運転へ移ったあとも、指令・位置・プロセス値を同じ時刻で追える記録が役立ちます。弁の動きが悪くなったのか、原料や供給圧が変わったのかを分けられるため、必要以上の分解や機器交換を減らせます。
電動式と空動式のよくある質問
4-20mAで動く弁は電動弁ですか?
4-20mAは指令信号なので、それだけでは電動か空動かは決まりません。空動弁でも電空ポジショナが電流指令を受け、供給された圧縮空気で操作器を動かす構成があります。
空動弁は空気がなくなると必ず閉じますか?
単動式の戻り方向と弁本体の組合せによって、開く構成と閉じる構成があります。複動式はさらに回路が異なるので、失気時動作と電磁弁の無励磁位置を仕様図で対応させます。
電動式は頻繁な開閉に使えませんか?
連続調節へ対応した電動操作器もあるため、電動式全体を一律に除外する必要はありません。必要な始動回数や運転時間率を示し、モータと駆動機構がその運転へ適合する機種を選びます。
空動式なら防爆の検討は不要ですか?
空気で動く部分に加え、電磁弁や電空ポジショナなどの電気部品も対象になります。危険場所へ置く構成部品が、それぞれ設置条件へ適合するように、機器一式の仕様をそろえます。
電動弁と電磁弁は同じものですか?
モータで動かす電動弁と、コイルの電磁力で流路を切り替える電磁弁は、機構が異なります。空動操作器に付く電磁弁が、操作用の空気を切り替え、主弁を間接的に開閉する構成もあります。
まとめ
- 電動式も空動式も操作器で弁の位置を変え、駆動源が異なる
- 電動式はモータと伝達機構、空動式は膜やピストンへ加える空気圧を使う
- 開度指令と動力源を分け、信号形式だけで方式を判断しない
- 失気・停電・断線を分け、弁に必要な故障時動作を指定する
- 推力・速度・頻度・供給設備と保全条件を合わせて比較する
規模の大きい工場では既設の計装空気、独立設備では利用できる電源が、選び方の出発点になります。そこへ必要な制御性能と故障時の動作を重ね、方式名よりも設備の条件に合う組合せを選びます。
出典
出典・参考資料(11件)を開く出典・参考資料を閉じる
- アズビル:バルブ・アクチュエータ特集に寄せて(2026年、電動と空気の機構)
- Azbil:Actuators(単動・複動の空気操作器)
- Spirax Sarco:Control Valve Actuators and Positioners(操作器、ポジショナ、推力と供給空気)
- KITZ Corporation of America:Actuators(電動・空気操作器の公式資料)
- KITZ:EX Series(非防爆の電動操作器、減速機・配線・運転時間率)
- KITZ:C-Series Pneumatic Actuators(空動の単動・複動)
- アズビル:電動バタフライ弁仕様書(機種別の電源・時間・接点)
- Rotork:IQ3M Pro(防爆仕様、連続調節用途、始動回数)
- アズビル:診断機能を備えたバルブ・ポジショナ(電空機器の防爆認証、供給・出力空気圧の監視)
- アズビル:バルブ解析診断サービス(摩擦・空気回路・実開度の診断)
- 水道バルブ工業会:使用上のご注意(急閉と水撃)
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