二位置制御(2位置制御)とは?オンオフ制御の動作すき間と比例制御との違い

工場の屋上に置かれた冷却塔と冷却水配管の温度スイッチ

二位置制御(2位置制御)とは、測定値が下の点まで下がったら出力をON、上の点まで上がったらOFFにする制御です。設定値ちょうどを狙わず、2つの点の間を行き来させて目的の範囲に保ちます。

ONとOFFの点の間の幅を動作すき間と呼び、オンオフ弁やポンプの発停で目的の値に近づけるオンオフ制御では、この二位置制御を使うのが一般的です。

この記事では、二位置制御の仕組みと動作すき間の決め方、タンク・コンプレッサー・温度の使用例を順に整理します。比例制御との違いと、冷却塔・比率制御などの疑問は、後半の章とよくある質問で答えます。

目次

二位置制御とは

二位置制御とは、オンオフ制御で用いられる制御方式です。たとえば二位置制御で温度を50℃に制御し、しきい値を2℃で設けた場合、加熱源の供給は次のように行われます。

  • 48℃で加熱源の供給開始
  • 50℃で加熱源の供給停止

図1:二位置制御の動きと動作すき間(50℃・すき間2℃の例)

温度は48℃と50℃の間を上下し、ヒーターはその両端でONとOFFが切り替わります。

ONONONONOFFOFFOFFOFF50℃でOFF48℃でONすき間2℃50℃48℃出力時間
温度ONの点・OFFの点ヒーターON

※動きを分かりやすくした概念図です。実際は検出の遅れなどで、温度が50℃を少し越えたり48℃を少し割ったりします。冷却の場合はONとOFFの点が上下逆になります。

このように50℃という設定に対し、50℃ちょうどになるように制御するのではなく、少し幅を持たせ、2つの位置でオンオフすることを二位置制御と言います。

二位置制御をおこなわず、50℃ちょうどでオンオフすると、頻繁にオンオフ弁が開閉し、すぐに寿命を迎えて故障してしまいます。そのため二位置制御では、制御対象の測定値が変わるスピードに応じて、オンオフ弁の開閉が頻繁になりすぎない程度のしきい値を設けるのが一般的です。

上の例の「しきい値2℃」は、ONの点とOFFの点の差で、メーカーの資料では、この差を次のような名前で呼んでいます。

  • 動作すき間(アズビルの温度調節器の仕様書)
  • ヒステリシス、調整感度(SMCの温調機の用語集)
  • 出力不感帯(チノーの調節計の取扱説明書)
  • ディファレンシャル(海外の機器)

海外の計装の教科書では、2つの点の間にすき間を持たせるこの方式そのものを differential gap と呼んでいます。言葉は違っても、仕様書で探すときは「ONとOFFが切り替わる点の差」を指す項目を見れば足り、設定の単位は、温度(℃)のものと、測定範囲に対する%のものがあります。

たとえばアズビルの屋内用温度調節器(形TY6301Z1000)は電気式の2位置制御で、動作すき間は2℃の固定です。設定点まで上がると接点が切り替わり、2℃下がると元に戻ります。

すき間の幅は、許せる振れ幅と、機器が開閉する回数の折り合いで決めます。チノーの調節計の取扱説明書も、すき間を小さくすると制御性は上がるが、ON/OFFの回数が増えてリレーなどの寿命が下がると説明しています。

図2:動作すき間が狭いとき・広いとき

どちらにも得と損があり、制御対象に合わせて真ん中を探します。

すき間が狭い設定値のまわりの振れは小さくなる。その代わりON/OFFの回数が増え、弁・リレー・電磁開閉器の寿命が縮む
すき間が広いON/OFFの回数は減り、機器は長持ちする。その代わり温度・水位・圧力の振れ幅が大きくなる

※チノーの調節計(DB1000)は、二位置制御の出力不感帯を「制御性に支障がない範囲で、なるべく大きい値」に設定するよう案内しています(工場出荷時は測定範囲の0.5%)。

実際の振れ幅は、すき間の幅より大きくなることがあり、出力を切り替えても、加熱や給水の効果が測定値に表れるまでに遅れがあるためです。

アズビルの取扱説明書にも、検出部の応答遅れで見かけ上の動作すき間が大きくなる場合があると書かれており、対策として挙げられているのは、検出部の設置位置の見直しです。

設定値のまわりで測定値が上下に振れ続けることを、ハンチングと呼びます。二位置制御は振れることが前提の制御なので、振れをなくすのではなく、許せる幅に収めることを考えます。

ONとOFFの向きは、加熱と冷却で逆になり、加熱は下の点でON・上の点でOFF、冷却は上の点でON・下の点でOFFです。SMCの用語集では、冷却のON点を20.0℃、ヒステリシスを1.0℃とした例を挙げていて、この場合、19.0℃まで下がると冷却がOFF、20.0℃まで上がるとONになります。

PID制御ができる調節計でも二位置制御として使え、チノーの調節計では、比例帯(P)を0%にすると二位置制御動作になると取扱説明書に書かれています。

二位置制御のメリットは、オンオフ制御のため設備がシンプルになり、イニシャルコストを安く抑えられることです。ただし、どうしても設定値に対して上下に振れる前提の制御なので、シビアな制御が求められる用途では使えません。

ある程度の幅で制御できればよい場合にだけ使われる制御方式で、二位置制御では、DCSや調節計を用いて自動弁を開閉させます。自動弁が指令どおりに開閉したかは、弁に付けたリミットスイッチによる開閉確認で見ます。

開閉の回数が多い二位置制御では、弁の固着に早く気づくためにも役立ちます。小さな装置では、調節計の代わりにPLCのシーケンス制御で、センサーのON/OFF信号を受けて弁やポンプを動かすこともあります。

二位置制御の使用例

二位置制御がよく使われるのは、次の条件がそろう場面です。

  • 設定値から多少振れても困らない
  • 測定値の変化がゆっくりで、ON/OFFが頻繁になりにくい
  • 弁やポンプの開閉・発停の回数が、機器の寿命の範囲に収まる

図3:タンクの水位を上限と下限の2点で保つ

下限まで下がったらポンプを動かし、上限まで上がったら止めます。

給水ポンプタンク使う側へ上限で停止下限で給水
上限の検出水位が上がって検出したら、給水を止める
下限の検出水位が下がって検出したら、給水を始める

※上限と下限の検出の高さの差が、そのまま動作すき間になります。検出のしかたは電極・フロートスイッチ・レベル計の設定値など、設備によって変わります。

タンクのレベル制御

タンクにレベルセンサーを設置し、水面が低くなると水を供給、高くなると供給を停止させる制御です。これにより水面をある一定の高さの範囲に保ちます。これでタンクの水切れを防げるほか、水面の高さで、送り出すポンプの発停を制御する場合もあります。

検出を上下2か所に分けておけば、その高さの差が動作すき間になります。1点だけで判断すると、水面の波立ちだけでポンプが入り切りを繰り返してしまいます。

ボイラーの水位制御などは、二位置制御が使われることが多いです。小型のボイラーでは、ポンプのON用・OFF用の電極を水位制御器の中に置き、水位が電極に触れるかどうかで給水ポンプを発停する方式があります。

一方、水位を細かく保ちたい場合や負荷の変動が大きい場合は、給水調節弁の開度を連続して変える方式が使われます。ボイラーの制御で重要なポイントや、レベル制御の方式は、エネ管.comの記事で解説しています。

コンプレッサーの圧力制御

コンプレッサーではエアの圧力をインバータ制御で一定に保つ場合が多いですが、小型の場合は二位置制御を用いることもあります。設定圧に対し、ある圧力以下になるとコンプレッサーが稼働して、エアの圧力を一定の範囲に保つ方法です。

たとえば日立産機システムの給油式ベビコン(0.75kW、圧力開閉器式)の仕様表では、制御圧力(ON-OFF)が0.74〜0.93MPaです。0.74MPaまで下がると運転し、0.93MPaまで上がると止まります。

図4:小型コンプレッサー(圧力開閉器式)の運転と停止

0.74MPaで運転、0.93MPaで停止。その差0.19MPaが動作すき間です。

0.74で運転0.93で停止すき間 0.19MPa0.700.800.90圧力(MPa)
圧力が下がる(エアを使う)0.74MPaまで下がったら運転を始める
圧力が上がる(タンクにたまる)0.93MPaまで上がったら運転を止める

※日立産機システム「給油式ベビコン(圧力開閉器式)標準仕様表」の0.75kW機の制御圧力です。機種・方式によって値は変わります。

エアのような圧縮性流体は、圧力が下がるまでにある程度のバッファがあります。タンクにためたエアを使う間は圧力が少しずつ下がるので、二位置制御でも対応できます。

計装機器を動かすエアに求められる品質は、計装空気と雑用空気の違いの記事にまとめています。インバータ制御については、エネ管.comのインバータ制御のメリット・デメリットで解説しています。

空気や水の温度制御

空調の温度制御は比例制御が一般的ですが、古い様式で価格の安いヒーターだと、二位置制御が使われている場合もあります。

たとえば、エアフィンが付いたヒーターに電磁弁だけが付いている蒸気ヒーターなどは、二位置制御を利用している場合が多いです。温度は熱電対や測温抵抗体で測り、調節計で電磁弁を開閉します。

制御性がシビアではない温水の温度制御などにも、二位置制御は利用されます。冷却塔のファンを冷却水の温度で発停するのも、二位置制御の一つです(詳しくはよくある質問で)。

二位置で動かす弁と、比例で動かす弁は、仕様から分かれていることがあります。アズビルの電動バタフライ弁では、二位置制御式は流路の遮断・切り替え用で、流量特性は「オン・オフ」です。

同じシリーズの比例制御式は熱交換器などの用途で、流量特性は「近似イコールパーセント」です。開度に対する流量の増え方の違いは、イコールパーセント特性とリニア特性の違いで整理しています。

二位置制御と比例制御の違い

比例制御は、設定値と測定値のずれ(偏差)に比例して、出力を0〜100%の間で連続して変える制御です。二位置制御の出力が0%か100%の2つしかないのに対し、比例制御は中間の値をとれます。

図5:二位置制御と比例制御の比べ

違いは「出力が2つの値だけか、間の値もとれるか」です。

二位置制御
比例制御
出力
0%か100%の2つだけ(ON/OFF、全開/全閉)
偏差に比例して0〜100%の間で連続して変わる
測定値の振れ
動作すき間の幅で上下に振れ続ける
設定値の近くで落ち着く。比例だけでは小さなずれ(オフセット)が残る
必要な機器
オンオフ弁・電磁弁、ポンプやファンの発停、スイッチ類
調節弁(開度を変えられる弁)、インバータ、電流・電圧出力の調節計
コスト
安い。構成がシンプル
高め。調整(チューニング)も要る
向く用途
タンクの水位、小型コンプレッサー、多少振れてよい温度
プロセスの温度・圧力・流量、空調、熱交換器

※ヒーターでは、ON/OFFの時間の割合で出力を表す「時分割比例」もあります。出力の形はON/OFFでも、割合を偏差で変える比例制御で、二位置制御とは別のものです。

比例制御だけでは、設定値との小さなずれ(オフセット)が残り、これを消すのがI動作(積分)で、P・I・Dを組み合わせたものがPID制御です。

それぞれの働きと調整の手順は、PID制御のP・I・Dの働きの記事で現場の例とともに解説しています。エネ管.comにもPID制御の意味と調整方法の記事があります。

時分割比例の例として、SMCの用語集は、制御周期1.0秒・出力70%なら0.7秒ON・0.3秒OFFと説明しています。ヒーターの電源をON/OFFするだけの装置でも、こうした出力なら比例制御になります。

ずれが残る比例動作を、あえて使う場面もあり、発電機のガバナで使うドループ制御とアイソクロナス制御の違いは、その代表例です。

二位置制御のよくある質問

オンオフ制御と二位置制御は同じですか?

ほぼ同じ意味で使われます。SMCの用語集も、出力が0%と100%の2値なので、ON/OFF動作を「2位置制御」とも呼ぶとしています。

すき間なしの1点で切り替えるオンオフ制御も、理屈の上ではありますが、出力が頻繁に切り替わって実用的でないため、実際にはすき間を持たせた二位置制御として使います。

「2位置制御」と「二位置制御」は違いますか?

表記の違いだけで中身は同じで、メーカーの資料でも「2位置制御」「二位置制御」「二位置動作」が混ざって使われています。

冷却塔の二位置制御とは何ですか?

冷却水の温度で、冷却塔のファンや散水ポンプを発停する制御です。水温が上の点まで上がったらファンを回し、下の点まで下がったら止めます。高エネルギー加速器研究機構(KEK)の冷却水設備の報告では、ONとOFFの温度は別々に設定でき、通常は1〜2℃の差にしているとあります。

ただし、ファンが入り切りするたびに冷却水の温度は急に変わります。この報告では、冷却塔ごとに設定温度をずらし、ONとOFFの差も広げて入り切りを減らした結果、送り先の水温の変動を±0.1℃程度に抑えています。

この設備では、送り先の水温は三方弁のPID制御で整えており、温度を細かく保ちたい側は、こうした連続制御と組み合わせます。

比例制御とは何ですか?

設定値とのずれに比例して、出力を0〜100%の間で連続して変える制御です。二位置制御との違いは、前の章の図5にまとめています。

比率制御とは何ですか?二位置制御と関係ありますか?

比率制御は、2つの流量の比を一定に保つ制御です。基準になる流量を測り、決めた比を掛けた値を、もう一方の流量の目標値にし、燃料と空気の比などが代表例です。

目標値の決め方の工夫なので、出力を2つの点で切り替える二位置制御とは別のものです。詳しくはエネ管.comの比率制御の記事で解説しています。

動作すき間はどう決めればよいですか?

まず、温度・水位・圧力がどこまで振れてよいかを決め、その範囲に収まる中で、なるべく広く取るのが基本です。次に、測定値の変化の速さから、1時間にON/OFFが何回起きるかを見積もり、それを、弁やリレー、モーターの開閉回数の寿命と照らし合わせます。

振れを許容の範囲に収めると回数が多すぎる場合は、比例制御に切り替える目安です。

まとめ

この記事のまとめ
  • 二位置制御はオンオフ弁の制御方式の一つ
  • ONの点とOFFの点の差を、動作すき間(しきい値)と呼ぶ
  • 多少の変動はあるが、コストを安く抑えることができる
  • 温度、圧力、レベルなど使える場面は多数ある
  • 比例制御は出力を0〜100%の間で連続して変え、振れを小さくできる

二位置制御は簡易な制御方式ですが、実際の現場ではよく使われていて、ほとんどの場合、オンオフ制御=二位置制御だと思っていただければ問題ないと思います。

自動制御の全体像をつかむには、エネ管.comのフィードバック制御とフィードフォワード制御の違いもあわせて読むと理解が深まります。ほかの制御方式は、エネ管.comのプログラム制御、スプリット制御、カスケード制御の記事で解説しています。

出典

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プラント機器メーカーとプラントメーカーで約10年、設備の提案・設計・試運転に携わったのち、Webマーケターに転身。現在はBtoB製造業専門のWebコンサルタントとして、メーカーの情報発信を支援しています。エネルギー管理士/第三種電気主任技術者。工業技術ブログを2017年から運営(500本以上執筆)、YouTube登録者約2万人、Xフォロワー約1万人。

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