チラーとブラインの違いとは?ブラインチラーの仕組み・濃度管理と選び方

チラーとジャケット付き容器をつなぐ保温された循環配管

チラーは液体を冷やして循環させる装置で、ブラインはその装置で使う不凍性の熱媒体です。両者は装置と液体という関係にあり、ブラインを冷やす装置をブラインチラーと呼びます。

冷却設備を選ぶときは、必要な温度を決めてから、水かブラインかを選びます。さらに液体の濃度、流量、材質、製品へ漏れた場合の影響までそろえると、設備の条件が具体的になります。

この記事では、チラーとブラインの言葉の違いから、循環の仕組み、濃度管理まで整理します。冷却能力と流量の計算例も使い、冷水設備を低温用途へ流用する際の判断点を説明します。

動画を見る前に、用語と物性を補足します。ブラインチラーは「冷やした液体」ではなく、ブラインを冷やす装置の名前です。約−13℃はエチレングリコール単体の融点で、水溶液や市販熱媒の凍結点は製品と濃度で変わります。

目次

チラーとブラインの違いとは?

チラーとブラインを横に並べて比べると、冷却方式の違いのように見えます。まず「冷やす機械」と「冷たさを運ぶ液体」に分けると、現場で使われる言葉を理解しやすくなります。

チラーの出口につながる配管には、水やブラインなどの循環液が流れます。この液体が負荷装置で熱を受け取り、チラーへ戻って再び冷やされることで、冷却を継続します。

チラー

チラーは、設定した温度の液体を装置へ供給する冷却水循環装置です。水槽や循環ポンプを一体化した機種と、外部の水槽やポンプを使う機種があり、設置する回路に合わせて構成します。

代表的な冷凍式チラーは、圧縮機、凝縮器、膨張機構、蒸発器で冷媒を循環させます。蒸発器では冷媒が循環液から熱を奪い、凝縮器では受け取った熱などを周囲へ放出します。

図1:チラーは、液体から熱を取り出す機械

冷凍式チラーの機内を簡略化し、冷媒と循環液の接点を示しました。

圧縮機凝縮器膨張機構蒸発器空気へ放熱負荷へ供給負荷から戻る機内の冷媒回路と、外部の循環液は分かれる

配置や配管は概念図です。熱交換器の壁を介して熱を移し、冷媒と循環液を直接混ぜません。

凝縮器の放熱方式が空冷式なら、ファンで周囲の空気へ熱を逃がします。水冷式では別の冷却水回路へ熱を渡すため、チラーから負荷へ送る冷水とは配管の役割が異なります。

水冷凝縮器の冷却水を冷却塔で冷やす設備では、補給水やブローの管理も必要です。この回路の水質管理は、冷却塔の濃縮倍数の考え方につながります。

チラーで冷やした水は、現場でチラー水や冷水と呼ばれます。一方、単に「冷却水」と呼ぶだけでは放熱側の水を指す場合もあるため、図面では供給先と入口・出口を合わせて読みます。

冷凍機には、圧縮機を中心とした方式以外に、熱を使う吸収式もあります。熱源の仕組みは吸収式冷凍機で蒸気を使う理由、入力と冷却能力の関係は吸収式冷凍機のCOPの計算で整理しています。

ブライン

ブラインは、冷却された液体を循環させて、必要な場所へ冷却能力を届ける二次冷媒です。水より低い温度で使える熱媒体を指し、チラー内部で蒸発・凝縮する一次冷媒とは区別します。

一次冷媒には、機種に応じてフロン類やアンモニアなどが使われます。二次側のブラインは通常、液体のまま温度を変えて熱を受け渡し、配管を通って冷却対象まで移動します。

図2:一次冷媒とブラインは、熱交換器で熱だけを受け渡す

ブラインの冷たい往路と温かい復路をたどると、二つの回路の違いが分かります。

蒸発器の壁一次冷媒回路循環ポンプ冷たいブライン →← 熱を受けたブライン負荷のジャケット負荷→ブラインへ熱ブライン→冷媒へ熱

実線は流体の経路、茶色の点線は熱が移る向き。蒸発器の青い領域とジャケット内をブラインが流れ、一次冷媒の管内や負荷の中身とは混ざりません。左の閉路は一次側を省略した表現です。

よく使われる材料には、塩化カルシウムや塩化ナトリウムなどの塩水、エチレングリコール系、プロピレングリコール系があります。工業用の製品には、防錆剤や防腐剤なども配合されます。

塩類系は材料への腐食性、グリコール系は粘度や使用温度ごとの物性を見て選びます。「不凍液」という名前が同じでも、既存チラーの配管、ポンプ、シールへ適合する液体を指定します。

水で足りる温度域なら、水の扱いやすさと熱を運ぶ能力を利用できます。ブラインを使う目的は、単に水より冷却性能を上げることではなく、必要な低温でも循環できる状態を保つことです。

凍結点は、設定温度より低い側に余裕を持たせる

水は通常の圧力では約0℃で凍るため、氷点下の液体を循環させる用途には不凍熱媒が必要です。設定温度が0℃より高くても、熱交換面や停止中の屋外配管が冷える条件まで検討します。

冷凍機の蒸発器では、熱を奪う面が循環液の平均温度より低くなります。タンクの温度計が凍結点を上回っていても、流れの弱い場所や冷却面で部分的に凍結すると、閉塞や破損につながります。

図3:設定温度だけでなく、冷却面の低温も考える

濃度を決めるときは、液体が触れる場所の最低温度と、製品・機種の指定を組み合わせます。

循環液の設定−10℃必要な供給温度
冷却面の例−15℃設定より低温になる
選んだ液の凍結点−20℃さらに低い側へ余裕

すべて関係を示す仮定値です。EYELAの一部対象装置では使用温度より約10℃低い凍結点を選ぶ案内がありますが、全チラー共通の固定値ではありません。

エチレングリコール単体の融点は約−13℃ですが、水を混ぜると凍結点がさらに下がる領域があります。原液ほど低温に強いという単純な関係ではないため、使う製品の濃度と凍結点の曲線を読みます。

濃度を示す%には、質量を基準にしたwt%と、体積を基準にしたvol%があります。純粋なグリコールの割合と、添加剤を含む市販原液の希釈割合も異なり、表の見出しをそろえて比較します。

例えば最終液100kgの40wt%は、指定された成分が40kgあるという意味です。40Lの原液と60Lの水を混ぜる体積比の操作とは区別し、製品が指定する基準で配合します。

メーカーの推奨濃度には、凍結回避だけでなく、防錆剤などの有効濃度も関係します。薄めすぎれば保護性能が下がり、濃くしすぎれば低温時の粘度が増して循環量が低下するため、上下の条件を一組で読みます。

停止中の破裂保護と、運転中の凍結保護は分けて選びます。破裂保護では氷を含むシャーベット状になる場合があり、膨張分を受け入れる空間も必要です。運転中は氷を生じさせず循環できる条件を選びます。

図4:濃度表の確認と、濃度計での管理を一続きにする

製品名・基準・温度をそろえてから、対応する目盛で測定します。

製品の物性・指定表名称一致基準wt%例温度低温側採取試料プリズム接眼部手持ち屈折濃度計

横矢印は確認の順序。濃度基準のwt%は一例です。機器の取扱説明書に沿って校正し、対応する目盛と温度条件で測定します。液の色や糖度用目盛の数字だけでブライン濃度を判断しません。

オリオン機械のFAQでは、同社で確認済みの不凍液と濃度範囲を挙げています。一方、日曹商事の製品資料には製品ごとの最低濃度があり、熱媒の条件とチラーの許容条件の両方が必要だと分かります。

別の機種で使えた割合を、そのまま手元の装置へ移す方法は避けます。必要な凍結点、熱媒の最低濃度、装置の許容濃度が重ならない場合は、機種や熱媒の組み合わせから選び直します。

製品への混入と、日常管理を考える

熱交換器の壁で隔てられていても、漏えいが起こればブラインが製品側へ混入する可能性があります。食品用途では、ベース成分だけでなく添加剤を含む熱媒の適合性と、漏えいの検知・隔離方法を検討します。

プロピレングリコール系には、食品関係向けに配合された製品があります。ただし、食品用途向けの液を採用しても製品への混入を許容する理由にはならず、設備の清浄性や品質管理は別に必要です。

エチレングリコール系のSDSには、摂取や皮膚・眼への接触を避ける注意があります。補給や採取では保護手袋・保護眼鏡などを使い、換気し、蒸気を吸い込まないようにします。廃液は回収し、SDSと法令に沿って処理します。

管理項目は濃度だけでなく、液量、pH、外観、汚れ、腐食生成物にも及びます。濃度を合わせた直後の基準値を記録しておくと、補給水の混入や劣化を後の測定から見つけやすくなります。

濃度計では、使う熱媒の種類に対応した目盛や換算表を選びます。日曹商事の資料は測定温度や不純物による誤差にも触れており、異なる液体用の目盛を同じ数値として読まないことが大切です。

採取点と測定条件をそろえると、前回の値と比較しやすくなります。補給直後の混合が不十分な試料と、回路内を十分に循環した液では濃度が異なり得るため、設備で決めた採取手順を使います。

ブラインの採取液と保全用の光学式屈折濃度計
ブラインの採取液と濃度計のイメージ(生成画像)

水だけを継ぎ足すと不凍成分と添加剤が薄まり、同じ温度設定でも凍結点や防錆性能が変わります。漏れや液面低下の原因を調べ、指定された調整液で補給して濃度を測り直す流れにします。

交換周期は、熱媒、装置、温度、汚れの入り方によって設定されます。すべてを同じ年数で交換するのではなく、機器の点検周期と液性分析を組み合わせ、交換前には回路内の汚れも処理します。

ブラインチラーとは

ブラインチラーは、水の代わりにブラインを冷やして送り出すチラーです。食品の冷却・凍結や化学プロセスなど、氷点下の循環液が必要な設備で使われ、呼び名は液体ではなく装置を指します。

ブラインは氷点下だけに使う液体でもありません。冬期停止中の凍結回避などを目的に、0℃以上の循環回路へ採用する場合もあり、使用中と停止中の両方の条件から選びます。

通常の冷水チラーへ不凍液を入れるだけで、低温用チラーと同じ範囲を使えるわけではありません。圧縮機の運転範囲、温度制御、ポンプ、シール、熱交換器などが、低温と液体の物性に適合している必要があります。

必要な冷却能力と流量を計算する

冷却装置の能力は、何℃まで冷やすかに加えて、単位時間に取り除く熱量で決まります。循環液が負荷で受ける熱は、質量流量、比熱、往復温度差を掛けて求めます。

定常運転中の熱負荷と、起動時に液や装置を冷やすための熱負荷は分けて見積もります。大きなタンクを短時間で冷却する場合は、定常時の発熱だけを基準にすると立ち上がりの時間が不足します。

循環液が運ぶ熱量
P = ṁcpΔT  ṁ = PcpΔT
P:熱量の時間率[kW=kJ/s] ṁ:質量流量[kg/s] cp:比熱[kJ/(kg·K)] ΔT:負荷の戻り温度−供給温度[K]。相変化のない定常循環の計算です。

例として必要熱量20kW、往復温度差5K、比熱3.8kJ/(kg·K)と仮定します。液体の比熱は製品・濃度・温度ごとの物性表から選び、この仮定値を任意のブラインへ固定して使わないようにします。

質量流量から体積流量へ直す例
ṁ = 203.8 × 5 = 約1.053[kg/s]
qv = ṁρ × 60,000 = 1.05261030 × 60,000
= 約61.3[L/min]
qv:体積流量[L/min] ρ:密度[kg/m³]。密度1030kg/m³も説明用仮定。60,000はm³/sをL/minへ換算する係数です。

図5:チラー能力とポンプは、順番に選ぶ

熱量だけで機種を決めず、その液体が実際に流れる条件まで確認します。

① 熱負荷と温度必要20kW
往復差5K
最低使用温度
② 液の物性と流量比熱・密度・粘度
例:61.3L/min
機種の最小・最大流量
③ 能力と圧力損失低温時の冷却能力
配管・弁・負荷の抵抗
ポンプ運転点

ポンプの最大流量と最大揚程は、同時に得られる値ではありません。選定は必要流量と回路抵抗の組み合わせで行います。

ブラインで比熱が水より小さくなると、同じ熱量と温度差を得るための質量流量が増えます。粘度の影響で流れにくくなる点も重なるため、水用の能力表を読み替えるだけでは選定が完結しません。

戻りと供給の温度差を大きく取れば、同じ熱量を運ぶための流量は小さくできます。ただし、負荷側が許容する温度差やチラーの最低流量があるので、流量を減らす操作だけで省エネを判断しないようにします。

仕様書には、液の種類と濃度、供給温度、戻り温度、必要流量、負荷側の圧力損失を一組で書きます。これに周囲温度と放熱条件を加えると、メーカーの能力表やポンプ曲線と照合できる条件になります。

ポンプの性能曲線と配管抵抗の関係は、ポンプの流量と圧力で確認できます。流量不足の原因を調べるときは、キャビテーションとエア噛みの違いも切り分けに役立ちます。

ストレーナが詰まると回路抵抗が増え、ポンプが動いていても必要な液量を送れなくなります。異物の大きさと許容流量を合わせて考える手順は、ストレーナーのメッシュサイズの選び方で整理しています。

同じ交換熱量と総括伝熱係数なら、対数平均温度差が小さいほど大きな伝熱面積が必要です。液体側の熱量計算から伝熱面積へ進む手順は、熱交換器の伝熱面積の計算で説明しています。

回路には、負荷からの熱以外に配管から入る熱や、ポンプから液へ加わる熱もあります。後者の見方はポンプで液温が上がる理由につながり、特に小容量の回路では無視できなくなります。

密閉した循環回路では、温度変化による液体の体積変化も受け止めます。配管の凍結を防ぐことと体積変化を吸収することは別の設計課題で、膨張タンクの役割と容量も合わせて整理します。

図6:温度が下がらないときは、液の流れから切り分ける

設定温度を下げ続ける前に、供給温度・戻り温度・流量を並べて見ます。

供給も戻りも高い熱負荷と冷却能力、周囲温度、放熱条件を確認
供給は低いが負荷が冷えない循環量、弁、ストレーナ、エア、熱交換面を確認
低温運転で流量が落ちる濃度・粘度・局所凍結とポンプ運転点を確認

症状から調査順を決めるための整理です。流量警報や凍結の兆候がある場合は、装置の停止・復旧手順を優先します。

チラーとブラインのよくある質問

チラー水とブラインは同じですか?

チラー水はチラーで冷やした水を指す言い方で、ブラインは不凍性を持つ熱媒です。現場で循環液全体をチラー水と呼ぶ場合もあるので、仕様書では液の名称と濃度まで記載します。

不凍液は濃いほどよいのですか?

濃度を増やすと、凍結点だけでなく粘度、比熱、添加剤の割合も変わります。最低温度に必要な凍結余裕と、熱媒・装置が指定する濃度範囲を両立させて決めます。

0℃以上の設定なら、水だけで運転できますか?

設定値のほかに、冷却面の温度、流量、停止中の周囲温度も判断に入ります。凍結の起こる場所を回路全体で調べ、機種が指定する液体を使います。

ブラインを入れれば既存のチラーで氷点下まで冷やせますか?

液体の凍結点だけでは、チラー本体の運転範囲を変えられません。低温時の冷却能力と圧縮機・制御・ポンプ・接液部の適合を確認し、必要な温度に対応する機種を選びます。

濃度を合わせれば交換しなくてよいですか?

凍結点が保たれても、汚れや添加剤の消耗、腐食の進行は別に調べる必要があります。濃度とpH、外観などを記録し、機器と熱媒の指定に沿って洗浄や交換を進めます。

まとめ

この記事のまとめ
  • チラーは液体を冷やす装置、ブラインは不凍性の循環熱媒
  • 機内の一次冷媒と、外部を回る二次冷媒は別の回路
  • 濃度は凍結点、粘度、防錆性能、機種の許容条件を合わせて決める
  • ブラインチラーは低温と液体の物性に適合した冷却装置
  • 冷却能力だけでなく、必要流量・圧力損失・材質・液性管理までそろえる

チラーとブラインを区別すると、温度が足りないのか、熱量が足りないのか、液体が流れていないのかを分けて考えられます。装置の能力と熱媒の物性を一緒に扱うことが、安定した冷却への出発点です。

出典

出典・参考資料(9件)を開く出典・参考資料を閉じる

NEWSLETTER

機械設計・プラントエンジニアリングの記事を、週1回まとめてメールで受け取る

週刊MONOSCOPEは、登録時に選んだ職種・業種に合わせた記事を週1回お届けする無料のメルマガです。

実際に届くメールの例を見る

件名:今週のあなた向け記事|週刊MONOSCOPE 10/9号
登録内容:生産技術 × 自動車・輸送機器

週刊MONOSCOPEの見本(生産技術 × 自動車・輸送機器)

職種3本・業種3本・製造業で働くすべての方へ2本・今週よく読まれた記事3本が届きます。記事は毎週入れ替わります。ほかの見本を見る

機械設計を選んだ状態で登録へ ›

無料・週1回。登録後に届く確認メールのリンクを押すと登録が完了します。配信はメール内のリンクからいつでも停止できます。

WEEKLY NEWS

今週の製造業ニュース10選

メルマガは職種・業種に合わせた記事。LINEとnoteでは、全員共通の10本を毎週土曜の朝にお届けします。

LINEでニュース10選を受け取るnote今週のニュース10選をnoteで読む ›
よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

MONOSCOPEの運営者

プラント機器メーカーとプラントメーカーで約10年、設備の提案・設計・試運転に携わったのち、Webマーケターに転身。現在はBtoB製造業専門のWebコンサルタントとして、メーカーの情報発信を支援しています。エネルギー管理士/第三種電気主任技術者。工業技術ブログを2017年から運営(500本以上執筆)、YouTube登録者約2万人、Xフォロワー約1万人。

▶ お仕事のご依頼はこちら

目次