無料の特許検索サービス「J-PlatPat」にキーワードを1語だけ入れると、数千件の結果が並ぶことがあります。開発の前に先行技術(すでに出願・公開されている技術)を調べようとして、ここで手が止まる技術者は少なくありません。
特許調査は、何のために調べるのかで対象も読み方も変わります。キーワードで探し、見つかった特許に付いている分類の記号を確かめ、その記号でも検索する。この行き来を繰り返して、少しずつ範囲を固めていきます。
この記事では、技術者が無料のJ-PlatPat(特許情報プラットフォーム)で先行技術を探す手順を整理します。調査の目的、制度の基本、6つのステップ、公報の読み方、自分で調べるときの限界という順です。
特許調査は目的によって調べ方が変わる

特許調査は、目的によって大きく4種類に分けられます。日本弁理士会関西会の解説では、技術動向調査、先行技術調査、侵害防止調査、無効資料調査の4つが挙げられています。
- 技術動向調査:研究の前や途中で、すでに公開されている技術を把握する
- 先行技術調査:自分の発明と同じものが先に出願されていないかを調べる(出願前調査とも呼ぶ)
- 侵害予防調査:製造・販売の障害になる他人の特許権がないかを調べる(侵害防止調査、クリアランス調査とも呼ぶ)
- 無効資料調査:障害になる特許を無効にできる資料を探す
技術者が開発の前に自分で手を動かす場面が多いのは、技術動向調査と先行技術調査です。この2つは「似た技術が世の中に出ているか」を確かめる調査で、読み慣れた技術文書として公報を読めば進められます。
先行技術調査と侵害予防調査の違い
混同されやすいのが、先行技術調査と侵害予防調査です。どちらも他人の特許を探す点は同じですが、確かめたいことがまったく違います。
先行技術調査は、自分のアイデアに新しさがあるかを見る調査です。特許法第29条は、出願前に公開された発明や、そこから容易に考えつく発明には特許を与えないと定めています。
そのため、権利が切れた古い公報でも、拒絶された出願でも、書かれている内容がすべて比較の対象になります。
一方の侵害予防調査は、自社の製品や製法が他人の権利の範囲に入らないかを見る調査です。対象は現在有効な特許権と、これから権利になる可能性のある出願(審査中のものや、審査請求を待っているもの)で、読むべき場所は特許請求の範囲になります。
同じ公報を検索しても、対象と読む場所、結論の出し方が異なります。
※呼び名は機関や企業によって異なり、侵害予防調査は侵害防止調査、権利調査、クリアランス調査とも呼ばれます。
技術者が自分で進める範囲
特許法第70条は、特許発明の技術的範囲を特許請求の範囲の記載に基づいて定めるとしています。用語の意味は明細書と図面を考慮して解釈するとされており、製品が権利範囲に入るかどうかは法律上の解釈を伴う判断です。
そのため、自分で検索して気になる特許が見つからなかったとしても、それだけで「他社の権利を侵害しない」とは言えません。
技術者の役割は、近い公報を集めて技術の内容を整理するところまでと考え、侵害の有無の判断は弁理士などの専門家に相談するのが安全です。
以降は、技術者が自分で進めやすい先行技術調査を中心に手順を説明します。侵害予防調査に関わる注意点は、最後の章でまとめます。
調べる前に押さえる特許制度の基本
検索結果を正しく読むには、出願から権利が消えるまでの流れを知っておく必要があります。どの時点でどの公報が発行されるかが分かると、画面に並ぶ番号や日付の意味がつかめます。
期間の起点はいずれも出願日です。公報が出るのは公開時と登録時の2回です。
※特許法第48条の3、第64条、第67条、第112条にもとづく原則的な流れです。存続期間には延長登録の制度があります。
公開前の出願は検索しても出てこない
特許法第64条により、特許出願は出願日から1年6か月を過ぎると公開されます。裏を返すと、直近およそ1年半の間に出願されたものは、原則としてまだ検索に出てきません。どれだけ丁寧に調べても、この期間は見えない部分として残ります。
公開公報と特許公報は役割が違う
公報には、公開時に出る公開特許公報と、登録時に出る特許公報があります。INPIT(工業所有権情報・研修館)の講習会テキストでも、特許公報には出願番号、公開番号、特許番号の3種類の番号が書かれていると説明されています。
公開特許公報に載っている特許請求の範囲は、出願人が希望した範囲です。審査の途中で補正されることがあるため、権利の範囲を確かめるときは登録後の特許公報を見ます。
検索結果には、公開されただけで審査請求されず、権利にならなかった出願も含まれています。
なお、実用新案は特許と違って実体的な審査を経ずに登録され、存続期間は出願日から10年です。J-PlatPatでは特許と同じ画面で検索でき、先行技術としては特許と同じように比較の対象になります。
J-PlatPatの3つのメニューと調査の6ステップ
J-PlatPatは、INPITが運営する無料のデータベースです。特許・実用新案、意匠、商標の公報と、審査の状況が分かる経過情報を、誰でも検索できます。
画面上部のグローバルナビゲーションの「特許・実用新案」には、3つのメニューがあります。調査で主に使うのは「特許・実用新案検索」と「特許・実用新案分類照会(PMGS)」の2つです。
番号が分かっているか、言葉で探すか、分類を調べるかで入口が分かれます。
調査全体は、次の6ステップで進めます。ポイントは、いきなり完璧な検索式を作ろうとせず、キーワードで近い公報を数件見つけ、その公報に付いている分類を手がかりに範囲を広げることです。
準備、検索、確認の3段階に分かれます。ステップ3〜5は何度か行き来します。
※INPITの研修テキストでも、検索は「発明の把握、検索の観点の決定、検索の実施、方針の再検討と再検索」という順で示されています。
ステップ1〜3:要素に分けてキーワードで予備検索する

最初の3ステップは、調べたい技術を言葉に直し、手がかりになる公報を見つける作業です。ここでの検索は網羅を目指すものではなく、次の分類検索に進むための下調べと位置づけます。
ステップ1・2:技術を要素に分け、言い換え語を並べる
まず、調べたい技術を「何が、どういう構造で、何を実現するか」の一文にまとめます。次に、その文を構成要素に分けます。ここでは想定例として、「電動ドライバーのビット(先端工具)が作業中に抜け落ちにくい保持機構」という架空のテーマを使います。
要素に分けたら、要素ごとに言い換え語を書き出します。公報は出願人ごとに用語が違い、同じ部品が「ビット」「先端工具」「工具」と別々の言葉で書かれているためです。
INPITの研修テキストは、特許庁の審査のための先行技術調査を担う調査業務実施者向けのものです。このテキストも、請求項の字句どおりに検索しても満足な結果にならないことが多いとし、同義語を広い観点で検討するよう求めています。
要素の中はOR、要素どうしはANDで組み合わせます。
※説明のための架空のテーマです。実際の検索結果や特定の公報を示すものではありません。
手段の要素を最初から掛け合わせると、別の手段で同じ課題を解いている公報を見落とします。はじめは対象と課題だけで検索し、件数が多すぎるときに要素を足していくほうが安全です。
ステップ3:「選択入力」タブで検索する
「特許・実用新案検索」を開くと、「選択入力」「論理式入力」「検索履歴」の3つのタブがあります。はじめは「選択入力」タブを使います。操作マニュアルに沿った入力の流れは次のとおりです。
- 「テキスト検索対象」で「和文」を選ぶ
- 「文献種別」で「国内文献」を選ぶ
- 「検索キーワード」の「検索項目」で「全文」や「請求の範囲」を選び、「キーワード」欄に言葉を入れる
- 要素を増やすときは検索項目の行を追加する
- 「検索」ボタンを押し、「検索結果一覧」で文献番号のリンクから「文献表示」画面を開く
1つのキーワード欄にスペースで区切って複数の語を入れるとOR検索、検索項目の行を追加するとAND検索になります。
図5の要素Aを1行目、要素Bを2行目、要素Cを3行目に入れれば、「AのどれかとBのどれかとCのどれかをすべて含む公報」を探せます。
全角と半角、アルファベットの大文字と小文字、長音記号とハイフン類の違い、「ツ」と「ッ」のような拗音・促音の大小は、J-PlatPatが自動で展開して検索します。
一方で、操作マニュアルが例に挙げる「プレイヤー」と「プレーヤー」のような表記の揺れは展開されません。「締結」と「締付」のような別の言葉も同じなので、自分でスペース区切りで並べる必要があります。
3,000件を超えると一覧が表示されない
ヘルプによると、ヒット件数が0件の場合と3,000件を超えた場合は、検索結果一覧が表示されません。
件数が多いときは、検索項目を「全文」から「請求の範囲」や「要約/抄録」に変えて絞ります。要素を1つ足す、「検索オプション」の日付指定で期間を区切る、といった方法もあります。
検索結果一覧には、文献番号、出願日、発明の名称、出願人/権利者、ステータス、FIなどが並びます。一覧には公知年別とFI別の件数もリンクで表示されるので、どの分類に集中しているかをここで見ておきます。
この段階の目標は、発明の名称と図面を見て「これは近い」と思える公報を3〜5件ほど拾うことです。この件数は公式の基準ではなく実務上の目安で、近い公報が1件でも見つかれば次のステップに進めます。
ステップ4〜5:FI・Fタームを確かめて分類で検索する
キーワード検索だけで終えると、用語の違いによる漏れが残ります。それを補うのが、特許庁が1件ごとに付けている特許分類です。
キーワード検索だけでは足りない理由
理由は2つあります。1つは前の章で触れた表記の違いで、思いつかなかった言葉で書かれた公報は見つけられません。
もう1つは検索できる範囲の違いです。INPITの講習会テキスト(2024年5月版)によると、キーワードで検索できるのは電子公報のテキストが中心で、公開特許公報は1993年以降が対象です。
それより古い紙公報は1971年以降のテキストが作られているものの、蓄積されていないものがあります。収録範囲は更新されるため、最新の状況はJ-PlatPatトップページの「文献蓄積情報」で確認できます。
これに対し、特許分類は紙公報を含むすべての公報に付与されています。
FIとFタームとは
特許分類には、国際的に共通の国際特許分類(IPC)と、日本独自のFI、Fタームがあります。FIはIPCをさらに細かく分けた分類で、IPCの記号の後ろに展開記号や分冊識別記号が付きます。
Fタームは、FIを一定の技術範囲ごとにまとめた「テーマ」の中を、目的、機能、構造、材料、用途、製造方法といった複数の観点で細分化したものです。テーマには英数字5桁のテーマコードが付いています。
FIが「どの技術分野か」を示し、Fタームが「どんな観点の特徴を持つか」を示すと考えると整理しやすくなります。
上から下へ細かくなります。例はINPITの資料にある履物の分類です。
※例の記号は2026年4月改正時点の分類表で確認したものです。J-PlatPatに入力するときは、展開記号の前にカンマ(,)、分冊識別記号の前にアットマーク(@)を入れます。分類は改正されることがあり、公報の発行後に付け直される場合があります。
ステップ4:近い公報の分類を見て、PMGSで定義を確かめる
予備検索で見つけた近い公報を開き、付与されているFIとFタームを確認します。
文献表示画面の「検索キー」ボタンを押すと、その文献に付いている最新の検索キー(FIやテーマコードなどの分類)が一覧で表示されます。
複数の公報に共通して付いている分類が、探している技術の「住所」にあたります。
次に、その分類が何を意味するのかを「特許・実用新案分類照会(PMGS)」で確かめます。「コード照会」タブに分類記号を入れると分類表の該当箇所が表示され、上位・下位の分類との関係も分かります。
定義を読まずに記号だけを使うと、隣の分類に入っている近い技術を見落とします。
近い公報がまだ見つかっていない場合は、PMGSの「キーワード検索」タブが使えます。検索対象で「FI/ファセット」「Fターム」「IPC(最新版)」のいずれかを選び、技術用語を入れると、説明文にその言葉を含む分類が一覧で出ます。
ステップ5:分類を検索画面にセットして本検索する
PMGSで使いたい分類を選び、「特実検索にセット」ボタンを押すと、「特許・実用新案検索」の画面が表示され、検索項目にその分類が入った状態になります。
同じ入力欄に複数の分類を入れた場合はOR検索、「+ 追加」ボタンで入力欄を分けた場合はAND検索です。
分類だけで検索して件数が読める範囲なら、そのまま一覧を確認します。多い場合は、検索項目の行を追加してキーワードを掛け合わせます。分類で技術分野を押さえ、キーワードで特徴を絞るという役割分担です。
一度で決めようとせず、読んだ公報から新しい言い換え語や別の分類が見つかったら、検索条件に加えてやり直します。
新しい検索をしても、すでに読んだ公報ばかりが出てくるようになったら、その範囲は一通り見たと判断する実務上の目安の一つになります。
決まった基準があるわけではないため、どこで区切ったかは記録に残しておきます。
論理式と近傍検索を使う場合
慣れてきたら「論理式入力」タブも使えます。論理式は「キーワード/構造タグ」の形で書き、全文はTX、請求の範囲はCL、要約/抄録はAB、FIはFI、FタームはFTというタグを使います。
演算子は「*」がAND、「+」がOR、「-」がNOTで、角括弧でまとめます。
図5の想定例を論理式にすると、たとえば次のようになります。
[電動工具/TX+電動ドライバー/TX]*[ビット/CL+先端工具/CL]*[抜け止め/TX+脱落防止/TX]
自分で一から書かなくても、「選択入力」タブで条件を入れて「条件を論理式に展開」ボタンを押せば、同じ内容の論理式が作られます。論理式は3つまで保存できますが、保存先はブラウザ単位のため、検索式は別にメモへ控えておくと安心です。
2つの言葉が離れた場所に出てくるだけの公報を除きたいときは、近傍検索が使えます。書式は「キーワード1,間隔数C,キーワード2/検索項目」で、Cは語順を指定し、Nは語順を問いません。
間隔は1〜99の範囲で指定でき、和文では文字数を表します。想定例なら「ビット,10N,保持/TX」と書くと、全文の中で「ビット」と「保持」の間が10文字以内の公報に絞れます。
ステップ6:公報を読み、経過情報を確認して記録する
件数が絞れたら、公報を読んで内容を確かめます。数十件から数百件の公報を全文読むのは現実的ではないため、読む場所に順番を付けます。
公報のどこを読むか
文献表示画面のテキスト表示では、書誌、要約、請求の範囲、詳細な説明、図面といった項目に分かれて内容が表示されます。はじめは発明の名称と図面でふるいにかけ、残ったものだけ請求の範囲と実施例を読む、という2段階にすると負担が減ります。
ふるい分けは図面と要約で、内容の確認は請求の範囲と詳細な説明で行います。
※先行技術調査では、請求の範囲だけでなく公報全体に書かれた内容が比較の対象になります。
詳細な説明の「従来技術」や「先行技術文献」の欄には、出願人自身が挙げた関連公報の番号が書かれていることがあります。
近い公報が引用している公報をたどると、検索式では拾えなかった文献が見つかることがあります。番号が分かれば「特許・実用新案番号照会/OPD」で直接開けます。
経過情報で現在の状態を確かめる
公報に書かれているのは、発行された時点の情報です。その後に審査請求されたか、登録されたか、権利が続いているかは、経過情報で確かめます。検索結果一覧または文献表示画面の「経過情報」ボタンを押すと、「経過情報照会」画面が開きます。
表示はタブで切り替えます。情報がある案件にだけ表示されるタブもあります。
※タブの構成は2026年9月時点のJ-PlatPatヘルプ、各タブの内容はINPITの講習会テキスト(2024年5月版)にもとづきます。「経過記録」以外のタブは該当する情報がある場合に表示され、画面は改修で変わることがあります。
検索結果一覧の「ステータス」列にも現在の状況が表示されます。ヘルプによると、表示の対象は出願日が1998年1月1日以降の日本への特許出願で、それ以前の出願と実用新案には「-」が表示されます。
ただし、操作マニュアルには「経過情報は公報に代わるものではありません」という注意書きがあります。INPITの講習会テキストも、正しい存続期間などは登録原簿を請求して確認するよう案内しています。
画面の表示は状況をつかむための情報として扱います。
検索式と判断を記録に残す
調査の結果は、あとから他の人が追えるように記録します。
決まった様式があるわけではありませんが、実務上、最低限残しておきたいのは次の5点です。調査日、使った検索式(キーワード、分類、期間)、ヒット件数、近いと判断した公報の番号、自分の技術との違いです。
公報は原則として毎日発行されるため、同じ検索式でも時期が変われば結果が変わります。検索式が残っていれば、試作の前や出願の直前に差分だけを確認できます。
調査結果をデザインレビュー(DR)の資料に添付する場合も、検索式と調査日があれば、どこまで調べたうえでの結論なのかが審査する側に伝わります。
社内に過去の調査記録や技術報告書が蓄積されているなら、それも先に確認します。社内文書を探しやすくする方法としては、生成AIで設計書や図面を検索する仕組みを整える企業も出てきています。

自分で調べるときの失敗と限界

最後に、技術者が自分で調べるときに起こりやすい失敗と、自分の調査では言い切れないことを整理します。
よくある失敗
- キーワード1語だけで検索し、ヒットしなかったので「先行技術はない」と結論づける
- 自社で使っている呼び名だけで検索し、他社の用語で書かれた公報を見落とす
- 要約だけを読んで違うと判断し、実施例に書かれた近い構成を見落とす
- 公開公報の請求の範囲を、そのまま登録された権利の範囲だと受け取る
- 検索式を残さず、あとで調査の範囲を説明できなくなる
とくに多いのは最初の失敗です。見つからなかったという結果は、「その検索式では見つからなかった」という意味でしかありません。言い換え語と分類を変えて複数の角度から検索したうえで、はじめて「調べた範囲では見当たらない」と言えます。
自分の調査で言えること、言えないこと
先行技術調査の結果として言えるのは、「この検索範囲で、この日までに公開された文献の中には、同じものは見当たらなかった」というところまでです。
公開前の出願は見えませんし、先行技術には特許文献だけでなく、論文、カタログ、製品そのものも含まれます。
侵害予防については、さらに慎重さが必要です。製品が他人の特許権の範囲に入るかどうかは、特許請求の範囲の解釈にもとづく判断であり、技術者が公報を読んだ印象だけで結論を出すべきものではありません。
次のような場面では、自分で判断せずに知財担当や弁理士に相談します。
- 構成が近く、権利が存続している特許や審査中の出願を見つけたとき
- 新製品の仕様が固まり、生産や販売の準備に入るとき
- 取引先から、第三者の権利を侵害しないことの確認を求められたとき
- 海外で製造や販売を予定しており、その国の特許も確認したいとき
- 自分のアイデアを出願するかどうかを決めるとき
弁理士法は、特許などに関する鑑定を弁理士の業務として定めています。また特許法第71条には、特許発明の技術的範囲について特許庁に判定を求める制度もあります。
近い特許が見つかった時点で相談すれば、設計を変える、権利の状況を詳しく調べるといった選択肢を早い段階で検討できます。
社内に知財部門がない場合は、INPITの知財総合支援窓口が利用できます。各都道府県に窓口があり、相談は無料で、弁理士などの専門家と連携した支援を受けられます。自分で集めた近い公報の番号と検索式を持っていくと、相談が具体的になります。
自分で調べる意味がなくなるわけではありません。技術の中身を最もよく理解しているのは担当の技術者であり、近い公報を読んでおくことで、他社がどの課題をどう解いているかが分かります。
機械設計の仕事の流れでいえば構想設計の段階で調べておくと、方式を決める前に選択肢を見直せます。
特許を読む力と検索する力は、技術者としての基礎体力の一つでもあります。研究開発に必要なスキルのなかでも、情報収集の質はテーマ設定の精度に直結します。
まとめ
- 特許調査は目的で調べ方が変わる。先行技術調査と侵害予防調査は対象も読む場所も違う
- 出願公開は出願日から1年6か月後。直近の出願は検索に出てこない
- J-PlatPatでは、キーワードで近い公報を見つけ、その分類(FI・Fターム)を使って範囲を広げる
- 公報は図面と要約でふるい分け、請求の範囲と実施例で確認し、経過情報で現在の状態を見る
- 侵害の有無は自分で判断せず、弁理士などの専門家に相談する
特許調査は、一度で完璧に仕上げるものではなく、開発の節目ごとに検索式を見直しながら繰り返すものです。関連する職種としては研究開発や機械設計の記事もあわせてご覧ください。
知財の知識を体系的に身につけたい場合は、製造業で役立つ資格の一覧から、自分の職種に合う学び方を探すのも一つの方法です。
出典
出典・参考資料(13件)を開く出典・参考資料を閉じる
- J-PlatPatの機能と操作手順:INPIT「J-PlatPat操作マニュアル」(キーワードで特許・実用新案を検索する、特許・実用新案分類を照会する、経過情報を参照する、論理式の直接入力について)
- 検索画面の項目、検索結果の件数上限、ステータス表示:J-PlatPatヘルプ「特許・実用新案検索」、同「検索結果一覧(特許・実用新案検索(国内文献))」、同「文献表示(特許・実用新案検索(国内文献))」
- 経過情報照会のタブ:J-PlatPatヘルプ「経過情報照会(特許・実用新案)」
- 分類照会の画面:J-PlatPatヘルプ「特許・実用新案分類照会(PMGS)」
- 特許分類の構造、キーワード検索と分類検索の範囲、経過情報照会の各タブの内容:INPIT「J-PlatPat初心者向け操作講習会テキスト(2024年5月)」、INPIT「基本操作まとめ(特許・実用新案編)」(2023年)
- マニュアル・講習会テキストの一覧:INPIT「パンフレット・マニュアル・講習会テキスト等」
- 検索の考え方:INPIT 調査業務実施者育成研修テキスト「検索の考え方と報告書の作成」
- 特許の要件、審査請求、出願公開、存続期間、技術的範囲、判定:e-Gov法令検索「特許法」(第29条、第48条の3、第64条、第67条、第70条、第71条、第112条)
- 実用新案の登録と存続期間:e-Gov法令検索「実用新案法」(第14条、第15条)
- 弁理士の業務:e-Gov法令検索「弁理士法」(第4条)
- 出願前の先行技術調査、出願公開と審査請求の時期:特許庁「初めてだったらここを読む~特許出願のいろは~」
- 特許調査の種類:日本弁理士会関西会「特許調査の方法にはどのようなものがありますか。」
- 相談窓口:INPIT知財総合支援窓口(知財ポータル)
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