DI/DO・AI/AO・PI/POとは、制御盤やDCSが他の機器とやり取りする信号の「種類」と「方向」を表す略語です。頭の文字が種類で、DはON/OFFのデジタル、Aは4-20mAなどのアナログ、Pはパルスで、後ろのIは入力、Oは出力を表します。
この記事では、6つの信号の違い、それぞれの代表例と受け方、信号リストを作るときの注意点を順に整理します。似た略語のPIO・DIOとの違いは、最後のよくある質問で答えます。
DI/DO、AI/AO、PI/POの違い

DI/DO、AI/AO、PI/POは、他の機器とやり取りする信号の種類と方向を表す言葉です。DI信号であれば、Dが信号の種類、Iが入出力の方向を表しています。
IとOはInputとOutputの略ですが、上の図のように、どちらの機器から見るかでIとOが入れ替わります。間違えないように注意しましょう。
流量計が出す4-20mAは、流量計から見ればAO、DCSから見ればAIです。
※制御盤の設計では、自分の盤(DCS・PLC)から見た向きで書くのが一般的です。信号リストには、どちら側から見た表記かを明記しておくと取り違えを防げます。
種類ごとの違いを一覧にすると、次のとおりです。
違いは「何を伝えるか」です。ON/OFF、連続した値、数えた量の3つに分かれます。
O:電磁弁の開閉、ポンプの起動・停止
O:制御弁の開度、インバータの速度指令
O:積算値の受け渡し、ステッピングモーターへの指令
※ユニットの名前は三菱電機 MELSEC iQ-R の分類を例にしています。メーカーによって「モジュール」「カード」とも呼びます。
DCSと制御盤のどちらで信号を受けるかは設備の規模で変わり、DCSそのものの仕組みは、DCSとは何かを解説した記事で整理しています。
DI/DO
DIはDigital Input、DOはDigital Outputの略で、ON/OFF信号のやり取りを表しています。主に機器の操作信号、状態信号、故障信号のやり取りに使います。
電源は計装用のDC24Vが中心で、設備によってはDC100VやAC100Vの信号も使いますが、どちら側に電圧を持たせるかは設計思想で変わります。DI/DOの例は次のとおりです。
- センサー信号の受信(近接センサー、フォトセンサー、リミットスイッチ)
- 押しボタンスイッチの状態検出(ON/OFF)
- ドアやカバーの開閉検知(安全インターロック)
- 設備の稼働・停止状態の取り込み
- 電磁弁の開閉制御
- 機器のスタート/ストップ信号
近接センサーと光電センサーの使い分けは、近接センサと光電センサの違いで詳しく比べています。相手の機器からDIを受けるときは、無電圧接点(電圧を持たないスイッチ)で受ける形がよく使われます。
盤側の電源が相手の接点を通って入力端子に戻り、接点が閉じるとONになる仕組みです。相手が電圧を出す有電圧接点の場合は、電圧の種類と大きさを入力ユニットに合わせます。
違いは無電圧接点と有電圧接点の違いの記事で比較しています。接点が閉じているかをテスターで見る手順は、テスターの抵抗測定で接点を確認する方法の記事を参照してください。
DC24Vの入力のON/OFFの目安は、PLCの規格IEC 61131-2が入力のタイプごとに決めています。機械式の接点向けのタイプ1では、15V以上でON、5V以下でOFFで、2線式センサー向けのタイプ2・3は、11V以上でONです。
DOの側は、出力の方式を負荷に合わせて選びます。三菱電機のPLCを例にすると、次の3種類があります。
- リレー出力:接点で開閉する。DCとACのどちらの負荷にも使える(DC24V・AC240V、1点2A)
- トランジスタ出力:DC負荷専用。接点がないので速いON/OFFに向く(DC12/24V)
- トライアック出力:AC負荷専用(AC100〜240V)
トランジスタ出力には電流の流し方でシンクタイプとソースタイプがあり、相手の入力回路に合わせます。出力先の電圧・電流・応答の速さは、相手機器とユニットの仕様書で照らし合わせます。
こうしたON/OFF信号を組み合わせて機械を動かすのがシーケンス制御です。PLCの中で入出力がどう処理されるかは、PLCとシーケンス制御の仕組みで図解しています。
AI/AO
AIはAnalog Input、AOはAnalog Outputの略で、4-20mA電流などアナログ信号のやり取りを表しています。
主に温度、圧力、流量などのセンサーの測定値や、制御弁などのアクチュエーターへの操作信号に使い、アナログ信号は瞬間の値を知るのに向く一方、測定値を積算するのには不向きです。AI/AOの例は次のとおりです。
- 温度センサーの信号受信
- 圧力トランスミッターの出力取り込み
- 流量計のアナログ出力監視(4-20mAなど)
- 液位センサーの測定信号入力
- pH計・導電率計のアナログ出力読み取り
- モーターの電流・電圧モニタリング
- インバータへの速度指令出力
- 比例制御バルブへの開度指令
- アナログ計器への指示出力
プラントの計装でよく使われるのが4-20mAで、測定範囲の下限を4mA、上限を20mAに割り当て、その間を比例で表します。
16mAの幅を0〜100%に割り当てます。4mAを0%にするので、0mAと区別できます。
※測定値の割合=(電流−4)÷16×100%。例えば0〜5mの液位計で12mAなら50%、つまり2.5mです。何mA未満を異常と判定するかは、受信側の設定や機器の仕様で決めます。
電流で送るのは、配線が長くても値が落ちにくいからです。0%を4mAにしておけば、線が切れて電流が流れなくなったときに異常だと気づけます。
受ける側では、電流を抵抗に流して電圧に直して読みます。三菱電機のアナログ入力ユニットR60AD4の例では入力抵抗が250Ωで、4〜20mAがちょうど1〜5Vになります。
1-5Vとの違いや、なぜ4-20mAが選ばれるのかは、制御機器に4-20mAを使う理由の記事で詳しく説明しています。
PI/PO
PIはPulse Input、POはPulse Outputの略で、パルス信号のやり取りを表しています。主に積算流量や積算電力量を監視するときに使います。
送信側と受信側で「1パルスあたりの量(重み)」を決め、受信側はパルスが届くたびにその値を足して積算値を出します。例えば1パルス=0.1m³と決めた流量計から、1時間に1,200パルス届けば、その1時間の流量は120m³で、重みが送受でずれると、積算値がそのまま狂います。
PI/POの例は次のとおりです。
- 流量計からのパルス出力受信(パルス数=流量)
- エンコーダのパルス入力(位置・回転数検出)
- 電力量計(積算電力量パルス)の監視
- 搬送ラインの製品カウント(フォトセンサ連動)
- ステッピングモーターへの回転指令パルス出力
- 外部カウンタやPLCへのパルス信号通知
POには、積算値を別の機器へ渡す使い方と、モーターの回転量を指令する使い方の2つがあり、後者はPLCの位置決めユニットが担当します。受信側では、パルスの速さに入力が追いつくかも確かめます。
三菱電機の高速カウンタユニットの例では、DC入力で最高200kpulse/s(1秒に20万パルス)まで数えられます。一定時間だけONになる信号と、ONのまま続く信号の違いは、パルス信号とステータス信号の違いで整理しています。
信号リスト(I/Oリスト)を作るときの注意点
他の機器とつなぐときは、やり取りする信号を1本ずつ並べた信号リスト(I/Oリスト)を作り、盤の設計、配線、PLCのプログラムは、すべてこのリストをもとに進みます。
種類と方向に加えて、信号ごとに確かめる仕様を1列にまとめます。
※タグや仕様は説明用の例です。a接点は普段開いていてONで閉じる接点、b接点はその逆です。
間違えやすいのは方向なので、リストの冒頭に「どちらの盤から見た表記か」を書き、相手の会社のリストと照らし合わせるときもそこから確かめます。種類と方向が合っていても、仕様がずれると動かず、1本ごとに、次の点を相手機器とユニットの仕様書で照らし合わせます。
- DI/DO:無電圧か有電圧か、電圧と電流、a接点かb接点か、保持かパルスか
- AI/AO:レンジ(4-20mAが何〜何に対応するか)、電源をどちらが供給するか
- PI/PO:1パルスの重み、パルス幅、最高周波数
信号リストのタグは、P&ID(配管計装図)の計器番号と合わせるのが一般的で、計器記号の読み方はP&ID(配管計装図)の読み方で解説しています。
DI/DO、AI/AOのよくある質問
DI信号とは何ですか?
DI信号は、制御盤やPLCが外から受け取るON/OFFの信号で、スイッチの状態や機器の運転中・故障を、閉じている/開いているの2値で伝えます。
PIO・DIOとは何ですか?PI/POと同じですか?
別物で、DIOはDigital I/Oの略であり、パソコンに挿すデジタル入出力ボードの呼び名として使われます。
PIOも、コンテックのPIOシリーズのように、デジタル入出力ボードの型式名で使われ、同じメーカーには入力専用の「PI」、出力専用の「PO」という型式もあります。これらはON/OFF信号のボードで、パルスを扱う計装のPI/POとは意味が違います。
アナログの測定値をDIで受けられますか?
そのままでは受けられず、DIはON/OFFしか分からないためです。「液位が上限を超えたら知らせたい」だけなら、計器や警報設定器の接点出力(DO)をDIで受ける方法がありますが、値そのものが要るならAIで受けます。
DIモジュールとDIユニットの違いは何ですか?
中身は同じで呼び方が違うだけで、三菱電機は「入力ユニット」、ほかのメーカーや海外では「DIモジュール」「入力カード」とも呼びます。古い設備のON/OFF信号やアナログ信号を後から取り出す方法は、古い設備のIoT後付けの手順で紹介しています。
まとめ
- DI/DO、AI/AO、PI/POは、他の機器とやり取りする信号の種類と方向を表す言葉
- DI/DOはON/OFF信号のやり取りを表す
- AI/AOは4-20mA電流などアナログ信号のやり取りを表す
- PI/POはパルス信号のやり取りを表す
- IとOは見る側で入れ替わるので、信号リストにはどちら側から見た表記かを書く
他の機器とやり取りするときは、これらの信号リストが必須になります。リストを作るときは、入出力信号がどの種類で、どの方向に出るのかをよく考え、間違えないように注意しましょう。
出典
出典・参考資料(7件)を開く出典・参考資料を閉じる
- 入出力ユニットの種類・仕様:三菱電機 MELSEC iQ-R シリーズ 製品特長(入出力)
- ユニットの分類・高速カウンタの速度:三菱電機 MELSEC iQ-R シリーズ ユニット一覧
- アナログ入力ユニットの入力レンジ・入力抵抗(R60AD4、250Ω):Mitsubishi Electric Automation「iQ-R Series Selection Guide: Analog Input Modules」(2019年版)
- 24V DC デジタル入力のON/OFF電圧(IEC 61131-2):Beckhoff Application Note DK9222-0909-0008
- プロセス制御の直流アナログ信号の規格:IEC 60381-1:1982 Analogue signals for process control systems — Part 1: Direct current signals
- 4-20mAの特長:Lessons In Industrial Instrumentation「4 to 20 mA analog current signals」
- PIO・PIの型式のデジタル入出力ボード:コンテック PIO-16/16L(LPCI)H、コンテック PI-64L(PCI)H(NTT-X Store の製品ページ)
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