マノメーターとは?U字管で差圧がわかる原理と計算式・読み方(計算例つき)

オリフィス前後の2か所から導圧管をつないだ壁掛けのU字管マノメーター

マノメーターとは、2点の圧力の差(差圧)を、液柱の高さの差や電気信号で測る圧力計です。U字管マノメーターなら、液面の高さの差 h から ΔP=ρgh で差圧を計算できます。

現場で使われるマノメーターは、いまはデジタル式が中心ですが、エネルギー管理士などの資格試験ではU字管の問題も出るので、原理は押さえておきたいところです。この記事では、マノメーターの種類、U字管とデジタル式の原理と計算式、差圧の読み方、用途、流速との関係の順に整理します。

目次

マノメーターとは?

マノメーターは圧力計の一つで、気体や液体の圧力を測る装置であり、とくに2点の圧力の差(差圧)を測る用途で使われます。圧力には、何を基準にするかで次の3つの言い方があります。

  • 差圧:2点の圧力の差
  • ゲージ圧:大気圧を基準にした圧力
  • 絶対圧:真空を基準にした圧力

片側を大気に開けて測れば、マノメーターは大気との差、つまりゲージ圧を示します。ダクトやクリーンルームなど、大気圧付近の小さな圧力差の測定によく使われる計器です。

真空の測定にも使われ、隔膜のたわみを静電容量の変化で読むキャパシタンスマノメーターは、一般に1000〜0.01 Torrの5桁の範囲を測れます。

マノメーターには、U字管マノメーター、傾斜管マノメーター、デジタル式マノメーターなど、いくつかのタイプがあります。

図1:マノメーターの主な種類

液柱の高さで読むか、膜のたわみを電気で読むかで大きく分かれます。

測る仕組み
主な使いどころ
U字管
U字形の管の左右の液面差 h から ΔP=ρgh
原理の確認、試験・教育、電源のない場所での点検
傾斜管
管を傾けて液の移動を長くし、小さな差を拡大して読む
ダクトの静圧・風量、クリーンルームなどの微差圧
デジタル式
ダイアフラムのたわみをピエゾ抵抗素子の抵抗変化で読み、電圧に変える
現場の差圧点検、記録・警報が要る設備
キャパシタンス
隔膜と電極の間の静電容量の変化で読む
真空装置の圧力(ガスの種類によらず測れる)

※キャパシタンスマノメーターは真空向けの方式です。この記事では、U字管・傾斜管・デジタル式を中心に扱います。

マノメーター(manometer)は、ギリシャ語で「薄い・まばらな」を意味する manós と、「測る」を意味する métron を組み合わせた言葉です。

以前は、ピトー管やU字管を使うものが主流でしたが、いまは手軽に測れる電子式が中心で、手で持てるデジタルマノメーターが計測器メーカー各社から出ています。

マノメーターの原理

マノメーターで圧力差を測る原理は、U字管とデジタル式で違い、分けて見ていきます。

U字管マノメーターの原理

U字管マノメーターは、U字管の中に混じり合わない2種類の物質を入れ、両側の液面の高さを比べて圧力差を測ります。下側の重い液(密度ρ1)がマノメーター液(封入液)で、上側(密度ρ2)が測る側の流体であり、封入液には、水・油・アルコール・水銀などが使われます。

2種類の液体を入れたU字管マノメーター。左右の圧力P1・P2と液面の高さh1〜h3、密度ρ1・ρ2

液面の高さと圧力差の関係は、つり合いの式で表せるので、まず左側について、それぞれの物質の密度をρ1、ρ2として式を作ります。

P0 − P1′ = ρ1・h1・g …(1)
P1′ − P1 = ρ2(h2 + h3)g …(2)
(1)+(2)より
P0 − P1 = ρ1・h1・g + ρ2(h2 + h3)g …(3)
P0:U字管の底(基準面)の圧力 P1′:左側の2物質の境界面の圧力 g:重力加速度

同じように、右側についてもつり合いの式を作ります。

P0 − P2′ = ρ1(h1 + h2)g …(4)
P2′ − P2 = ρ2・h3・g …(5)
(4)+(5)より
P0 − P2 = ρ1(h1 + h2)g + ρ2・h3・g …(6)
P2′:右側の2物質の境界面の圧力

これで、両側のつり合いの式ができ、(6)から(3)を引くと、底の圧力P0が消えます。

(6)−(3)より
(P0 − P2) − (P0 − P1) = ρ1h2g − ρ2h2g
P1 − P2 = h2(ρ1 − ρ2)g

この式から、P1とP2の差は、2つの物質の密度の差と液面の高さの差h2で計算できるとわかります。同じ差圧なら、密度の差が小さいほど液面差は大きくなるので、圧力差が大きいときは水銀などの重い液を使います。

測る側が空気などの気体なら、ρ2は封入液よりはるかに小さく無視できるので、このとき式は、封入液の密度ρと液面差hだけの ΔP=ρgh になります。

測る側が液体のときは、ρ2を引くことを忘れないようにします。水の差圧を水銀で測って液面差が100 mmなら、(13,600−1,000)×9.81×0.1≒12.4 kPaです。ここでρ2を無視すると約13.3 kPaとなり、約8%大きく出てしまいます。

計算例:水(ρ=1,000 kg/m3)を入れたU字管で、液面差が50 mmのとき(測る側は気体で、その密度は無視)
ΔP = ρgh = 1,000 × 9.81 × 0.05 ≒ 490 Pa
同じ差圧を水銀(ρ≒13,600 kg/m3)で測ると
h = 49013,600 × 9.81 ≒ 0.0037 m = 約3.7 mm
水銀なら大きな差圧を短い管で測れます。逆に小さな差圧は、水銀では液面差が小さすぎて読みにくくなります。

小さな差圧を読みやすくするのが、傾斜管マノメーターで、管を水平からθだけ傾けると、同じ高さの差hでも、液は管に沿って長い距離Lを動きます。

h = L sinθ → L = hsinθ
h:鉛直の液面差 L:管に沿った液の移動距離 θ:水平からの傾き

θ=30°なら読みは2倍、sinθ=0.1(約5.7°)なら10倍に広がります。クリーンルームで使う10 Paは水柱で約1 mmですが、この傾斜管なら管に沿って約10 mm動きます。

図2:同じ490 Paを測ったときの液の動き

封入液が軽いほど、管を寝かせるほど、同じ差圧でも液は大きく動きます。

水銀
3.7 mm
水
50 mm
水・傾斜管
500 mm

※測る側は空気でその密度は無視、水1,000 kg/m3・水銀13,600 kg/m3・g=9.81 m/s2で計算。水銀と水は鉛直の液面差、傾斜管(水、sinθ=0.1)は管に沿った移動距離Lです。

U字管で差圧を読むときは、上がった側と下がった側の両方の目盛を足すのが基本です。米国の計測器メーカー Dwyer の取扱説明書も、この読み方を示しています。管の内径の差などで片側だけ大きく動いても、圧力を示すのは2本の液面の高さの差なので、読みの精度は変わりません。

液面の端が管の壁に沿って曲がる部分(メニスカス)は、液によって形が違います。水は中央がへこむので最も低い点、水銀は中央が盛り上がるので最も高い点を読みます。

図3:U字管で差圧を読む手順

ゼロを合わせてから両側を読み、足した高さを式に入れます。

01 ゼロ合わせ両側を大気に開ける左右の液面がそろった状態で、目盛の0を液面に合わせる
02 接続2点をホースでつなぐ圧力の高い点と低い点をそれぞれの管につなぎ、液面が落ち着くまで待つ
03 両側を読む目の高さで液面を読む水は最も低い点、水銀は最も高い点。上がった量と下がった量を読む
04 計算足した高さで差圧を出すh=上がった量+下がった量。気体なら ΔP=ρgh

※斜めから見ると、目盛と液面がずれて見える視差が出ます。目の高さを液面にそろえて読みます。

デジタル式マノメーターの原理

デジタル式マノメーターの感圧素子。両側から圧力P1とP2がかかり、差圧で素子がたわむ

デジタル式マノメーターの原理は、U字管マノメーターよりシンプルです。シリコンなどの薄い膜(ダイアフラム)に、ピエゾ抵抗素子が作り込まれており、膜の両側にP1とP2がかかると、差圧に応じて膜がたわみます。

膜がたわむと素子の抵抗値が変わり、ブリッジ回路の出力電圧の変化として取り出せ、この電圧を差圧に換算して表示します。

図4:デジタル式が差圧を数字にするまで

差圧を膜のたわみに、たわみを抵抗に、抵抗を電圧に置き換えていきます。

P1とP2が膜の両側にかかる高圧側(+)と低圧側(−)のポートから導く
差圧
ダイアフラムがたわむシリコンなどの薄い膜が、差圧に応じて変形する
ひずみ
ピエゾ抵抗素子の抵抗値が変わる膜に作り込んだ素子が、ひずみで抵抗を変える
抵抗の変化
ブリッジ回路の電圧が変わる4つの抵抗を組んだ回路で、小さな変化を電圧として取り出す
換算
差圧を表示するPa・kPa などの単位で数字にする

ひずみで抵抗が変わる原理そのものは、センサーの計測原理(光・電磁気・ひずみ・熱)でも紹介しています。工場の計装で使う差圧伝送器も、膜のたわみを電気信号に変える点は同じで、信号の送り方は4-20mAの電流信号で解説しています。

ピエゾ抵抗素子を使う圧力センサーの詳細は、圧力センサーの測定原理が参考になります。

マノメーターの一般的な用途

マノメーターは、圧力差が重要になる用途で使われます。

  • 排気ダクトの給気と排気の差圧
  • クリーンルームの差圧
  • 配管の気密チェックなど

図5:用途ごとに見る差圧

どこの差を測るかと、差圧がどう動いたら異常かを先に決めておきます。

どこの差を測るか
異常のサイン
ダクトのフィルター
給気側と排気側(フィルターの前後)
差圧がだんだん大きくなる → 目詰まり
クリーンルーム
室内と隣の部屋・外
差圧が小さくなる・逆転する → 外の空気が入りやすい
負圧の配管
配管の中と大気
差圧が小さくなる(大気圧に近づく) → 漏れ

※ふだんの値を記録しておくと、変化に早く気づけます。

ダクトの目詰まり確認

排気ダクトの給気と排気の差圧を測ると、フィルターの目詰まりを早めに見つけられます。目詰まりがなければ差圧はほぼ一定ですが、目詰まりが起きると空気が通りにくくなり、差圧が大きくなります。燃焼用の空気に使っている場合は、目詰まりで工場全体が止まるおそれもある点に注意が必要です。

クリーンルームの差圧

工場のクリーンルームで、ほこりなどのごみが入らないように室内を陽圧(正圧)にしているのは、常に中から外へ風が流れる状態を保つためです。差圧計の値を見れば、その状態を保てているか確かめられます。

清浄度の違う部屋の間では、清浄な側を5〜20 Pa程度高く保つのが一つの目安です。ISO 14644-4(2001年版)の付属書に示された範囲として、計測器メーカーやクリーンルーム施工会社が紹介しています。

5〜20 Paは水柱で約0.5〜2 mmしかないので、U字管では読みにくく、傾斜管やデジタル式が向いています。

配管の気密チェック

真空ポンプの吸込み配管や、負圧で運転する設備では、気密性が悪いと空気を吸い込み続けます。配管内と大気との差圧を確認すれば、配管に漏れが出ていないかを監視できます。

マノメーターの圧力と流速の関係

マノメーターで圧力差がわかると、ベルヌーイの定理から流速や流量を計算でき、差圧の取り方には、ピトー管と絞りを使う方法の2つがあります。ピトー管は、流れをせき止めた先端の圧力(全圧)と、流れに沿った側面の圧力(静圧)の差を測り、この差(動圧)から流速を求めます。

v = √2ΔPρ
計算例:空気(ρ≒1.2 kg/m3、20℃付近)で、全圧と静圧の差が490 Paのとき
v = √(2 × 490 ÷ 1.2) ≒ 約29 m/s
v:流速[m/s] ΔP:全圧と静圧の差[Pa] ρ:流れている流体の密度[kg/m3]

管の途中に絞りを入れ、その前後の差圧から流量を測るのが、オリフィス流量計などの差圧式流量計で、流量は差圧の平方根に比例します。差圧式流量計は絞りを入れるので圧力損失が大きくなる欠点がありますが、価格が安いため、よく使われています。

差圧式流量計の構成(絞り・差圧伝送器・導圧管など)は、エマソン「差圧流量計」に詳しい解説があります。配管計装図では、差圧の指示計は PDI、流量の検出部は FE などの記号で描かれるのが一般的です。記号の読み方はP&ID(配管計装図)の読み方で整理しています。

圧力と速度の関係を表すベルヌーイの定理は、JAXA の動画がわかりやすいです。

マノメーターのよくある質問

マノメーターの使い方は?

測りたい圧力の種類で、ホースのつなぎ方が変わり、デジタル式では、高圧側(+)と低圧側(−)のポートが決まっています。

図6:測りたい圧力ごとのつなぎ方

差圧は2点をつなぎ、ゲージ圧と負圧は片側を大気に開けます。

高圧側(+)ポート
低圧側(−)ポート
差圧
圧力の高い点(フィルターの上流、クリーンルームの室内など)
圧力の低い点(フィルターの下流、隣の部屋など)
ゲージ圧(正圧)
測る点
大気に開放
負圧(真空側)
大気に開放
測る点

※接続口の形や測定範囲は機種で違います。使う前に取扱説明書で確かめてください。

使う前には、両方のポートを大気に開けた状態でゼロ点を合わせます。測定範囲を超える圧力をかけると、U字管では液があふれ、デジタル式ではセンサーを傷めるおそれもあるため注意が必要です。

差圧の値を品質や安全の判断に使うなら、定期的な校正も欠かせず、周期の決め方は計測器の校正周期の決め方にまとめています。

マノメーターと圧力計の違いは?

工場で「圧力計」と呼ぶのは、多くがブルドン管圧力計で、断面が扁平な曲がった金属管が内圧で伸びる方向に変形し、その動きを拡大して針で示します。

ブルドン管圧力計は、大気圧を基準にしたゲージ圧を1か所で測る計器で、約107 Pa(10 MPa)級の高圧も測れます。マノメーターは2点の差圧を測る計器で、大気圧付近の小さな差の測定によく使われます。

負圧も測れる連成計との使い分けは圧力計と連成計の違いで解説しています。蒸気配管のサイフォン管の役割や、グリセリン入り圧力計もあわせてご覧ください。

mmH2OとPaはどう換算する?

水柱1 mm(1 mmH2O)の圧力は、水の密度1,000 kg/m3と標準重力9.80665 m/s2から計算します。

1 mmH2O = 1,000 × 9.80665 × 0.001 = 9.80665 Pa
よく使う換算
50 mmH2O ≒ 490 Pa  1 kPa ≒ 102 mmH2O

古い設備や図面には mmH2O(mmAq)の表記が残っていますが、いまの計測器は Pa や kPa の表示が中心なので、換算できるようにしておくと便利です。

まとめ

この記事のまとめ
  • マノメーターは、2点の圧力の差(差圧)を測る計測機器
  • U字管は液体の密度と高さで差圧を測る。P1−P2=h2(ρ1−ρ2)g、気体なら ΔP=ρgh
  • 差圧は、上がった側と下がった側の目盛を足して読む
  • 小さな差圧は傾斜管やデジタル式(ピエゾ抵抗)で測る
  • 圧力差がわかれば、流速や流量が求められる

マノメーターにはほかにもいろいろな形がありますが、代表的なU字管とデジタル式の原理を押さえておけば、ほかの形にも応用が利きます。

資格試験と仕事の関係は製造業のエネルギー管理士の仕事で紹介しています。圧力センサーの信号を受ける方法は4-20mA信号を1-5Vで入力する方法、ほかの計器は計測機器の記事一覧からどうぞ。

出典

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プラント機器メーカーとプラントメーカーで約10年、設備の提案・設計・試運転に携わったのち、Webマーケターに転身。現在はBtoB製造業専門のWebコンサルタントとして、メーカーの情報発信を支援しています。エネルギー管理士/第三種電気主任技術者。工業技術ブログを2017年から運営(500本以上執筆)、YouTube登録者約2万人、Xフォロワー約1万人。

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