プラントノース(PN)とは?記号と真北・磁北との違い、図面での使い方

机に広げたプラントの配置図と方位記号、三角スケール

プラントノース(PN)とは、プラントの図面で機器の位置や向きを表すために決める基準の北で、施工図や配置図には、実際の方角とは別にこの記号が書かれています。

ノースは英語のNorth(北)、PNはPlant Northの略です。地球上の決まった方角ではなく、プロジェクトごとに決める図面上の基準で、真北(地図の北)や磁北(方位磁針の北)とは別物です。

この記事では、PN記号の読み方、真北・磁北との違い、図面でのPNの決め方と確かめ方を順に整理します。

目次

プラントノース(PN)とは

プラントノースとは、プラント建設時などに基準とする方角のことで、次のような記号で表します。

プラントノース(PN)の記号。0°がPN、時計回りに90°・180°・270°、斜めの矢印Nが実際の北

矢印の方向が実際の北を表しており、記号の0°がプラントノース(PN)になります。読み方は、0°(PN)を起点に時計回りで90°・180°・270°です。図面の上を0°にして描くことが多く、90°が右、180°が下、270°が左にあたります。

このような基準を設ける理由は、地球上の方角だけでは各機器の位置関係が分かりにくいところにあります。例えば、次のような場所にプラントを建設する場合を考えます。

斜めの敷地を真北基準で描いた図(左)と、PNを決めて敷地を水平に描いた図(右)

左の図は、上側を北として、南西から北東に向かってプラントを建設する場合で、実際の方角で機器の向きを表すと、すべてが中途半端な方向になり、言葉で伝えにくくなります。

そこで右のように、プラントごとの基準方角を設け、時計回りに90°、180°、270°という角度を決めます。例えば機器Aの南側に機器Bを置きたいときは、「PNに対し180°側にBを設置する」と言えば意思疎通がスムーズになり、間違いが起こらなくなります。

図1:同じ配置を真北基準とPN基準で言うと

敷地が真北から45°傾いている例です。PN基準なら、向きがきりのよい数字で1つに決まります。

真北を基準にした言い方
PNを基準にした言い方
機器Aから見たBの位置
南東側(約135°)
180°側
ポンプの吐出口の向き
北東向き(約45°)
90°向き
伝わり方
「南東」「やや東」など人によって言い方がぶれる
0°・90°・180°・270°のどれかで言えるので取り違えにくい

※上の敷地の図と同じく、PNが真北から反時計回りに45°の向きにある場合の例です。

プラントノースは主要な機器図面の平面図に記載し、各機器がプラント全体のどの方向を向いているのかを把握できるようにしておくことが重要です。

真北・磁北・プラントノースの違い

図面で「北」というときには、真北(TN:True North)、磁北(MN:Magnetic North)、プラントノース(PN)の3つを区別します。

図2:真北・磁北・プラントノースの比較

真北と磁北は地球が決める北、PNは人がプラントごとに決める北です。

真北(TN)
磁北(MN)
プラントノース(PN)
何の北か
地球の自転軸の北(北極点の方向)。地図の経線が示す北
方位磁針が指す北。日本では真北より西にずれる
プラントごとに決める基準の北。建屋や機器の並びに合わせて決める
決まり方
地点で決まる。動かない
地磁気で決まる。地点で違い、年々少しずつ変わる
設計の初めにプロジェクトで決める
主に使う場面
地図、測量、建築確認(北側斜線・日影規制)
方位磁針で現地の向きを確かめるとき
配置図・機器配置図・配管図・機器図の向き
図面での確認方法
方位記号の「N」「TN」の矢印
地形図の偏角の表示、国土地理院の地図・計算サイト
PN記号の0°と、真北との角度の注記

3つの関係を1枚にすると、次のようになります。図面の上をPNに合わせた描き方です。

図3:真北・磁北・プラントノースの関係

PNと真北の角θはプラントごとに決め、真北と磁北の角(偏角)は場所と年で決まります。

建屋(PNに平行)PN(0°)真北(TN)磁北(MN)θ偏角(西へ約6〜10°)

※偏角は国土地理院の磁気図2020.0年値(西偏)。年々変わるので、現場の値は地理院地図などでその地点を調べます。θはプラントごとに違います。

日本では、磁北が真北より西に約6〜10°ずれています(国土地理院の2020.0年値で、札幌で約10°、那覇で約6°)。方位磁針で現地の向きを確かめるときは、このずれを見込む必要があります。

偏角は地磁気の変化に合わせて少しずつ変わるため、国土地理院は磁気図を5年ごとに更新しています。地点ごとの値は2万5千分1地形図や地理院地図でも確かめられます。

プラントノースは真北・磁北とは関係なく、敷地や建屋の向きに合わせて決めるのが一般的です。図面の上側をPNにして描けば、機器の配置を0°・90°・180°・270°のきりのよい方向で表せます。

真北との角度θは、配置図などにPN記号と一緒に書いておきます。建築基準法の北側斜線制限や日影規制は真北を基準にするため、建屋の確認申請の図面には真北が欠かせません。

図面でのプラントノースの使い方

PNは、設計の初めに全体の配置図で決め、そのあと描くすべての平面図で同じ向きを使います。図面ごとにPNがずれると、据付の向きや配管の取合いを取り違える原因になります。

プラントノースの決め方(一例)

決め方は案件の図面基準や既存設備の座標に従うのが前提ですが、新しく決める場合はおおむね次の流れになります。

図4:プラントノースの決め方(一例)

建屋の向きに合わせて0°を決め、真北との角度を図面に残します。

01敷地と建屋の向きを見る敷地の境界線や主要な建屋・パイプラックの長辺の向きを確かめる
02真北に近い向きを選ぶ長辺に平行・直角な4方向のうち、真北に近いものをPNにする
03角度の振り方を決めるPNを0°とし、時計回りに90°・180°・270°。座標もPNに合わせて取る
04配置図に記入するPN記号と真北の矢印、PNと真北の角度θを全体の配置図に書く
05全図面で共有する機器配置図・配管図・機器図・メーカー図面に同じPNを使うよう指示する

※海外の配管設計の解説では、真北とPNの差は45°以内にする目安が示されています。長辺に平行・直角な4方向のどれかは必ず45°以内に入ります。

座標も、PNの向きを北(N)、その直角右を東(E)として「N○○、E○○」のように表す例が多く見られ、座標の向きとPNの向きはそろえておきます。

配置の検討そのものは、工場レイアウト設計の進め方と同じく動線や保守スペースから詰めていきます。PNは、決まった配置を図面で正しく伝えるための道具です。

Visioなどで配置図を描くときも、ページの上を0°(PN)にそろえておくと、機器の回転角をそのまま図面の角度で指示できます。縮尺や寸法の入れ方はVisioで寸法入りの図面を作成する方法で紹介しています。

受け取った図面で確かめること

図面を受け取ったときは、PN記号があるかだけでなく、次の4点を照らし合わせます。

図5:図面で照らし合わせる4つのポイント

PNの記号だけでなく、角度の注記と座標、機器図の向きまでそろっているかを見ます。

PN記号の向き図面の上が0°(PN)か。図面ごとに記号の向きが変わっていないか
真北との角度の注記全体の配置図にθが書かれ、他の図面と同じ値か
座標の基準N・Eの座標がPNの向きで取られ、基準点が配置図と同じか
機器図のノズル方位タンクや塔のノズル・マンホールの角度の起点と向き。一般にはPNを0°とし、上から見て時計回りに書く

※図面の基準が案件の仕様書で決まっている場合は、そちらを優先します。

特に、タンクや塔のような円筒形の機器では、ノズルの位置を角度で指示するため、PNと機器図の0°がずれていると、配管がつながる位置が丸ごと回転してしまいます。

ノズルの向きは、配管側が用意する相フランジの位置にも直結します。メーカーの承認図の向きが指示と違っていたら、デビエーションリストで相違として確かめておきます。

配管とバルブのつながりを表すP&ID(配管計装図)は位置関係を描かない系統図なので、PNは平面図の側で確認します。

プラントノースのよくある質問

ノースとは?

ノースは英語のNorthで、北のことで、プラントや建築の図面で「ノース」と書かれていれば、プラントノース(PN)か真北(TN)の矢印を指しています。

PNとは?図面以外の意味は?

プラントの図面ではPlant Northの略です。分野によっては部品番号(Part Number)など別の意味でも使うので、図面の方位記号の近くにあるかで見分けます。

PN記号の矢印はどちらを指していますか?

記号の0°(PNと書かれた側)がプラントノース、斜めに添えた「N」の矢印が実際の北(真北)です。真北の矢印がない図面は、全体の配置図で角度を確かめます。

建築図面の方位記号とはどう違いますか?

建築の配置図の方位記号は、北側斜線や日影規制の検討に使うため真北を示すのが基本です。プラントでは、それに加えて設計・施工の内部の基準としてPNを書きます。

現地の方位と図面のPNをどう照合しますか?

現地に「PN」の目印があるわけではないので、現地で分かるのは磁北か真北です。方位磁針の北から偏角の分だけ東(時計回り)へ戻すと真北になり、そこから配置図に書かれた真北とPNの角度θで合わせます。

偏角で補正した方位は誤差が出やすいため、実際の据付では測量で出した基準線や基準点から位置を出します。方位磁針は、図面の向きを現地で大まかにつかむための目安です。

まとめ

この記事のまとめ
  • プラントノース(PN)は実際の方角ではない、プラントの基準方角
  • プラントノース(PN)を設けることで機器同士の配置場所が分かるようになる
  • プラントノースは機器図の平面図には必ず記載する
  • 真北は地図の北、磁北は方位磁針の北で、日本では磁北が西に約6〜10°ずれる
  • PNと真北の角度、座標、ノズル方位が全図面でそろっているかを確かめる

初めて図面を見る方にとっては、なぜわざわざ別の基準を設けるのか疑問に感じるかもしれません。機器ごとの取合いミスをなくすための大切な考え方なので、勘違いしないように注意しましょう。

図面の種類と流れは計画図と製作図の違い、図面の基本の読み方は機械図面の読み方でつまずく疑問、図面を描く人の仕事はプラントエンジニアの仕事でまとめています。

配置図や配管の図面を学べる本は、プラントエンジニアの勉強におすすめの本で分野別に紹介しています。

出典

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プラント機器メーカーとプラントメーカーで約10年、設備の提案・設計・試運転に携わったのち、Webマーケターに転身。現在はBtoB製造業専門のWebコンサルタントとして、メーカーの情報発信を支援しています。エネルギー管理士/第三種電気主任技術者。工業技術ブログを2017年から運営(500本以上執筆)、YouTube登録者約2万人、Xフォロワー約1万人。

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