タッププレート(タップベース)とは?鉄骨への機器据付で使う目的と手順

H形鋼に溶接した鋼板にボルトとナットで留めたポンプの脚

タッププレートとは、タップ(ねじ穴)加工した金属の板で、鉄骨の上に機器を据え付けるとき、ボルトを立てるための台座として使います。

現場では「タップベース」「タッピングプレート」と呼ばれることもあり、機器の仕様書に「タッププレート、ボルト、ナットを付属する」と書かれているのは、この据付用の板のことです。

この記事では、鉄骨への固定方法の違い、コンクリート基礎と鉄骨の据付手順、仕様書と施工で確かめる点を順に整理します。ナットプレートとの違いや英語での呼び方は、最後のよくある質問で答えます。

目次

タッププレートとは

タッププレートは、一般的にタップ(ねじ穴)加工された金属のプレートのことを言い、工事の現場では、主に鉄骨の上に機器を設置する場合に使います。

タップとは、穴の内側にめねじを刻む工具のことです。タップでねじ山を切った穴にはボルトを直接ねじ込めるので、板そのものがナットの役目をします。

図1:タッププレートで機器を据え付けた断面

鉄骨に溶接した板のねじ穴にボルトを立て、機器の脚の上からナットで締めます。

ナットボルト溶接機器機器の脚タッププレート鉄骨(H形鋼)

※後の手順図と同じ構造です。機器の大きさや設計によって、ボルトの留め方は変わります。

タッププレート自体は機器の部品としても使用されますが、この記事では機器を据え付ける際に使用するタッププレートを取り上げます。

タッププレートの目的

機器の据え付けでタッププレートを使用する場合の目的は、鉄骨と機器をボルトで接続することです。鉄骨に機器を固定する方法は大きく3つあり、タッププレートを使う理由は、ほかの2つと比べると分かりやすくなります。

図2:鉄骨に機器を固定する3つの方法

タッププレートは、鉄骨に穴を開けずに、取り外せる形で機器を留められます。

機器を直接溶接
鉄骨に穴を開けて通しボルト
タッププレート
取り外し
溶接部を切らないと外せない
ナットを外せば外せる
ナットを外せば外せる
位置合わせ
機器を置いた位置で溶接する
鉄骨の穴と機器の穴をそろえる必要がある
機器の穴に合わせて板を置き、溶接する
鉄骨側の加工
機器を鉄骨に溶接する
鉄骨に穴を開け、裏側でナットを押さえる
穴は開けず、板を鉄骨に溶接する
向く場面
外す予定のない小さな金物を留める場合
鉄骨の裏側に手が届く場合
点検や交換で外す機器を鉄骨に据える場合

※どの方法を使うかは、機器の重さや鉄骨の設計条件で決まります。ここでは一般的な違いを比べています。

この記事の主題は鉄骨への据え付けですが、比べるために、先に一般的なコンクリート基礎の流れを見てから、鉄骨の場合を説明します。

コンクリート基礎の場合

まず、一般的なコンクリート基礎でケミカルアンカーを使用した場合は、次のような手順になります。

コンクリート基礎にケミカルアンカーで機器を据え付ける4つの手順
  • ドリルでコンクリートに穴を開け、粉などを取り除く
  • 穴にケミカルアンカー(樹脂カプセル)を入れる
  • アンカーボルトを差し込み、樹脂が固着するのを待つ
  • 機器を載せ、ナットで締めて据え付ける

樹脂でボルトを固める仕組みや穴の深さは、ケミカルアンカーの施工手順で詳しく扱っています。打設前に埋め込む方法との違いは、先埋めアンカーと後打ちアンカーの違いを参照してください。

最終的には、下のような形で機器が設置されます。

コンクリート基礎にアンカーボルトとナットで据え付けた機器

鉄骨の場合

これが鉄骨に据え付ける場合は、次のような流れになります。

鉄骨にタッププレートを溶接して機器を据え付ける4つの手順
  • 鉄骨の上の、機器の取付穴に合う位置にタッププレートを置く
  • タッププレートの周りを溶接し、鉄骨に固定する
  • タッププレートのねじ穴にボルトをねじ込んで立てる
  • 機器を設置し、ナットで止めて据え付ける

コンクリート基礎ではアンカーボルトを樹脂で固めましたが、鉄骨では溶接したタッププレートがボルトの受けになり、鉄骨そのものに穴を開ける必要はありません。

直接機器と鉄骨を溶接することもできますが、メンテナンスのことも考えると、タッププレートを使用することで機器を取り外せるようになるので便利です。

取り外しやすさを生かすには、ナットに工具が届く作業スペースも要ります。機器の周りに配管や架台が込み合う場所では、配置の段階で確かめておきます。

最終的には、次のような形で鉄骨上に機器が設置されます。

鉄骨に溶接したタッププレートにボルトとナットで据え付けた機器

もちろん機器の大きさなどによって工事の手順は変わりますが、概略のイメージはこのような流れです。

タッププレートを使うときの注意点

タッププレートは小さな部品ですが、決め忘れると現場で手が止まるので、仕様書で確かめることと、施工で確かめることに分けて整理します。

図3:仕様書と施工で確かめる4つの点

前半の2つは仕様書と図面で、後半の2つは現場で確かめます。

誰が用意するか「付属する」なら機器側の範囲。溶接は誰が行うかも決める
板厚とねじ径設計者が荷重とボルト径から決め、図面で指定する
穴の位置機器の取付穴とねじ穴の位置が合っているか
ねじ穴の状態溶接のスパッタや塗料でねじ山がふさがっていないか

※具体的な板厚・ねじ径は機器と架台の設計で決まります。この記事では数値の目安は示していません。

仕様書で確かめること

最初に見るのは所掌(誰が用意するか)で、「タッププレート、ボルト、ナットを付属する」とあれば、部品は機器側で用意するという意味です。鉄骨への溶接を誰が行うかは、この一文だけでは決まりません。

分け方は契約ごとに違うので、溶接や塗装をどちらが行うかまで、見積仕様書の段階で書いておくと、工事の抜け漏れを防げます。

板厚とねじ径も確かめ、タッププレートは板がナットの代わりなので、板が薄いとボルトがかかるねじ山の数が足りなくなります。

部品メーカーの資料でも、ねじ穴付きの板では板厚が最小のねじ込み深さになると説明されています。ボルトの太さや強度は、ボルトの強度区分と締付トルクとあわせて設計者が決めます。

施工で確かめること

現場では、まずねじ穴の位置で、タッププレートは機器の取付穴に合わせて置いてから溶接するので、溶接する前に機器側の寸法と照らし合わせます。

次に、ねじ穴の状態で、溶接のスパッタ(飛び散った金属の粒)や塗料がねじ山に付くと、ボルトが入りにくくなります。

そのため、溶接や塗装の前にねじ穴をふさいで養生したり、作業後にねじ山を確かめたりします。溶接の方法そのものは溶接の種類と違いで整理しています。

タッププレートのよくある質問

図4:めねじを持つ似た部品の比較

形は似ていても、どこに付けて何を留めるかが違います。

タッププレート鉄骨に溶接して、機器を据え付けるボルトの台座にする厚い板
ナットプレートナットの代わりに裏側へ当てる、めねじ付きの小さな板
溶接ナット鋼板の穴の裏にナットを溶接して、めねじの代わりにする
制御盤の基板盤の中で機器やDINレールをねじで留める鉄板

タップベース・タッピングプレートとの違いは?

どちらも、ねじ穴付きの板を指して使われることがある呼び名で、規格で決まった呼び名ではなく、会社や現場によって言い方が違います。

配管工事会社の製作事例に「溶接タップベース」という名前が見られるように、台座として溶接する板を「ベース」と呼ぶこともあります。図面や仕様書では、形と寸法で何の部品かを確かめると確実です。

タッピングねじとは関係がある?

名前は似ていますが別のものです。タッピングねじは、ねじ自身でめねじを作りながら締まるねじで、タップやナットを使わず下穴だけで締結できます。

主に薄い鋼板に使うねじで、タッププレートのようにあらかじめタップでねじ山を切った板とは仕組みが違います。

英語では何と呼ぶ?

「tap plate」「tapping plate」で検索されることがありますが、決まった英語名は見当たりません。

海外の部品メーカーのカタログでは「plate with tapped holes」(タップ穴付きの板)や「threaded plate」という表記が見られます。

海外の図面や仕様書でやり取りするときは、名前だけに頼らず、板厚・ねじの呼び径・穴の位置を寸法で示すと誤解が起きにくくなります。

ナットプレートとの違いは?

ナットプレートは、ナットの代わりに部材の裏側へ当てる、めねじ付きの小さな板です。例えば蝶番の金物では、めねじ加工済みのナットプレートが付属品として売られています。

どちらも板にめねじがある点は同じですが、ナットプレートは部材を裏から挟んで締めるのに対し、タッププレートは鉄骨に溶接して機器の台座にします。

裏ナット溶接(溶接ナット)との違いは?

鋼板や架台のボルト穴の裏にナットを溶接して、ナットを押さえずに締められるようにする方法もあります。詳しくは裏ナット溶接のメリット・デメリットで扱っています。

溶接用のナットは JIS B 1196 で規定された部品で、メーカーの資料では六角・四角・T形に分けて紹介されています。タッププレートは板そのものにねじ穴を切るので、ナットを溶接する手間がかからない点が違います。

制御盤の取付板(基板)との違いは?

制御盤の中で機器を取り付ける鉄板は、盤メーカーのカタログでは「基板」と呼ばれ、日東工業の鉄製基板(BP22)は鉄製で、板厚2.3mmです。

基板に機器に合わせた穴を開け、ブレーカーや端子台、35mm幅のDINレール(IECレール)をねじで留めます。盤の設計の流れは制御盤設計の進め方で整理しています。

盤の中の基板は、据付用のタッププレートとは別の部品です。盤やJB(ジャンクションボックス)の箱そのものを鉄骨の架台に据え付けるなら、この記事で見た据付の方法が選択肢の一つになります。

盤と機器の信号のやり取りはDI/DO・AI/AOの記事にまとめています。

まとめ

この記事のまとめ
  • タッププレートはタップ(ねじ穴)加工された金属のプレートで、タップベースと呼ばれることもある
  • 鉄骨と機器を接続する際に使用する
  • 溶接する場合に比べ、機器の取り外しが容易なのでメンテナンス性が上がる
  • 仕様書では所掌・板厚・ねじ径を、施工ではねじ穴の位置と状態を確かめる
  • ナットプレート・溶接ナット・制御盤の基板とは、付ける場所と使い方が違う

初めて仕様書を作成したりするときには、分からない言葉が多く混乱しますが、意味を理解すれば意外と簡単に感じるかもしれません。

一つ一つ着実に理解していきましょう。機器を据え付けたあとの点検は、設備保全の仕事の一部になります。

出典

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プラント機器メーカーとプラントメーカーで約10年、設備の提案・設計・試運転に携わったのち、Webマーケターに転身。現在はBtoB製造業専門のWebコンサルタントとして、メーカーの情報発信を支援しています。エネルギー管理士/第三種電気主任技術者。工業技術ブログを2017年から運営(500本以上執筆)、YouTube登録者約2万人、Xフォロワー約1万人。

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