接地(アース)と漏電遮断器の役割|工場の感電・火災を防ぐ電気の基本

工場の分電盤に並ぶ漏電遮断器と接地線

接地(アース)は機械の外箱から漏れた電気を大地へ逃がす通り道で、漏電遮断器はその漏れを見つけて電気を止める装置です。片方だけでは感電を防ぎきれず、漏れた電流を流す道と、それを検知して止める仕組みがそろって初めて機能します。

この記事では、制御盤の仕様書や設備の図面で見かける「D種接地」「ELB 30mA」といった表記の意味を、電気が専門ではない人にも分かるように整理します。設備保全や生産技術の担当者、電気工事士や電験の受験者が、現場の仕組みを自分の言葉で説明できるようになることがねらいです。

最初に両者の役割と、漏電したときの電流の通り道、漏電遮断器の検出原理を押さえます。そのうえで人体への影響、A種〜D種の接地工事の違い、法令の考え方、工場での設置場所、遮断器が落ちたときの対応という順に、疑問に答える形で整理します。

目次

接地(アース)と漏電遮断器は、それぞれ何をしているのか?

ポンプモーターの外箱にボルト止めされた接地線

モーターや制御盤の金属製の外箱は、ふだんは電気が流れていない部分です。ところが内部の電線の被覆が傷んだり、水が入ったりすると、電気が外箱に漏れる「地絡(ちらく)」が起き、外箱そのものが電気を帯びます。

接地は、外箱と大地を電線で結び、漏れた電流が人の体ではなく接地線を通って電源側へ戻るようにする工事です。電気設備の技術基準を定める省令の第10条は、異常時の電位上昇などによる感電や火災を防ぐために接地などの措置を求めています。

一方の漏電遮断器(ELB、ELCBとも呼ぶ)は、回路の行きと帰りの電流の差から漏電を見つけ、自動で回路を切る装置です。同じ省令の第15条は、地絡による感電や火災を防ぐため、地絡遮断器の施設などを求めています。

図1:感電・火災を防ぐ4つの守り

接地と漏電遮断器は、絶縁や配線用遮断器と役割を分け合っています。

絶縁電線の被覆などで電気を閉じ込める。最初の守り
接地漏れた電流の帰り道をつくり、外箱の電位を下げる
漏電遮断器行きと帰りの電流の差で漏電を見つけて切る
配線用遮断器過負荷や短絡の大電流で切り、電線の焼損を防ぐ

※配線用遮断器(NFB)は過電流の保護が役目で、数十mAの漏電は検出できません。漏電の保護は漏電遮断器が受け持ちます。

役割を一言でまとめると、接地は漏れた電流の「道」で、漏電遮断器はその道に流れた電流を見張る「見張り番」です。どちらが欠けても、次の章で見るように人の体が電流の通り道になる時間が残ります。

漏電したとき、電流はどこを流れるのか?

工場や事業所の低圧の電路は一般に、変圧器の低圧側の1点を大地につないでいます(後で見るB種接地)。このため電流は、漏れた先から大地を通って変圧器へ戻る道があれば、そこを流れて回路が閉じます。

ここでは説明用のモデルとして、対地電圧100Vの単相回路で、機器の外箱と電線が直接触れた状態を考えます。変圧器側のB種接地を20Ω(仮定)、機器外箱のD種接地を技術基準の上限の100Ωとし、電線などの抵抗は無視します。

図2:接地があるとき・ないときの漏電電流の通り道

接地があれば漏電電流はすぐに流れて遮断器が気づき、接地がなければ人が触れたときに初めて体を通って流れます。

接地ありD種100ΩB種20Ω約0.83A

漏電した瞬間に約0.83Aが流れ、30mAの漏電遮断器が動作する。外箱には約83Vの電位が残るため、遮断されるまでは触れると危ない。

接地なしB種20Ω人の体を通る

触れるまで電流は流れず、遮断器も気づかない。濡れた手(人体約500Ωと仮定)なら約192mAが体を通る。

※対地電圧100V、B種接地20Ω(仮定)、D種接地100Ω、完全地絡、電線の抵抗は無視した説明用のモデルです。実際の値は回路方式・接地抵抗・故障の状態で変わります。人体抵抗約500Ωは労働安全衛生総合研究所の資料による皮膚が濡れたときの目安です。

接地があるとき

接地があると、漏れた電流は外箱からD種接地、大地、B種接地を通って変圧器へ戻ります。流れる電流は100V÷(20Ω+100Ω)で約0.83Aとなり、人が触れる前から漏電電流が流れるので、漏電遮断器がすぐに気づけます。

ただし接地すれば外箱が安全になるわけではありません。外箱の電位は0.83A×100Ωで約83Vとなり、遮断されなければ触れた人にも電流が分かれて流れます。接地で電流の道をつくり、漏電遮断器で流れている時間を短くするという2段構えが、両方必要な理由です。

接地がないとき

接地がないと、外箱が電気を帯びても帰り道がないため電流は流れず、漏電遮断器も反応しません。外見上は何も起きていないまま、外箱だけが電源に近い電位で待ち構えている状態です。

そこに人が触れると、体と大地が帰り道になります。皮膚が濡れていて人体が約500Ωなら、100V÷(20Ω+500Ω)で約192mAが流れる計算です。

つまり漏電遮断器が動くのは人の体に電流が流れ始めてからで、高感度形なら0.1秒以内に切れますが、接地がある場合と比べて人体が電流の通り道になる点が大きく違います。

漏電遮断器は、どうやって漏電を見つけるのか?

漏電遮断器の中には、回路の電線をまとめて貫通させたリング状の検出器、零相変流器(ZCT)が入っています。労働安全衛生総合研究所の資料によると、正常なときは行きの電流I1と帰りの電流I2が等しく、それぞれがつくる磁界が打ち消し合うため、検出器には信号が出ません。

図3:零相変流器(ZCT)が漏電を見つけるしくみ

行きと帰りの電流の差(I1−I2=I3)だけを取り出し、差が感度電流に届くと回路を切ります。

行き I1帰り I2零相変流器負荷(機器)漏れ I3検出・遮断I1−I2=I3 を検出

※電子式の電流動作形の原理を簡略化した図です。三相回路では3本(中性線があれば4本)の電線をまとめて貫通させ、電流の合計(零相電流)を見ます。

機器の絶縁が傷み、接地線や人の体を通って漏電電流I3が流れると、行きの電流はI1=I2+I3となって帰りより多くなります。この差I3の分だけ磁界が残り、零相変流器がそれを検出して引きはずし装置を動かすというのが基本のしくみです。

三菱電機の解説も、ZCTと漏電リレー、遮断器の組み合わせを一般的な構成として挙げており、ZCTが漏電を検知すると電子回路を経て内部の引きはずし装置が回路を切ります。

「30mA・0.1秒」は何を意味するのか

仕様書の「ELB 30mA 0.1s」は、定格感度電流が30mAで、その電流が流れたら0.1秒以内に切れる高感度高速形という意味です。労働安全衛生総合研究所の資料によると、内線規程(民間の電気工事の規程)は感電防止を目的とする漏電遮断器を、この高感度高速形と定めています。

JIS C 8201-2-2では、漏電しても動作しない上限の電流(定格不動作電流)の最小値を定格感度電流の0.5倍と決めています。つまり30mA品は、15mA以下の漏れでは動かず、30mA以上では必ず動くように作られており、その間の電流で動くかどうかは製品ごとの特性で決まります。

感度電流と動作時間の種類

漏電遮断器は、どれだけの漏れで動くか(感度電流)と、どれだけ速く切るか(動作時間)で種類が分かれます。パナソニックの製品区分では、次のような組み合わせがあります。

  • 高感度・高速形:15mA・30mA、0.1秒以内。人が触れる機器の分岐回路向け
  • 中感度・高速形:100mA、または100・200・500mAの切替式、0.1秒以内
  • 時延形(主幹用):100・200・500mAの切替式で、0.3〜0.8秒の切替。分岐の遮断器より遅らせて、上位が先に落ちないようにする

分岐に高感度形、主幹に時延形を置くのは、漏電した回路だけを分岐の遮断器で切り、工場全体を止めないための組み合わせです。主幹と分岐の感度・時間をずらす考え方は、配線用遮断器の保護協調と同じ発想です。

人の体には、どれくらいの電流が危ないのか?

感電の危険は、体を流れる電流の大きさと、流れている時間で決まります。労働安全衛生総合研究所の資料は、IECの技術報告書をもとに人体の反応を次の段階で整理しています。

図4:体を流れる電流の大きさと反応の目安

数十mAで命に関わる領域に入ります。高感度形の30mAは、その手前で切るための値です。

約1mA:感知電流しびれを感じ始める。感電はここから起きる
約10mA:離脱電流けいれんはあるが、自力で充電部から離れられる上限の目安
40mA超:心室細動の危険交流50mAが左手から両足へ1秒以上流れると、死亡のおそれ
数百mA〜数A:漏電火災漏れた電流の発熱で火災が起きる電流の目安(三菱電機)

※電流の値は通電の経路や時間で変わる目安です。出典:労働安全衛生総合研究所「感電の基礎と過去30年間の死亡災害の統計」、三菱電機「漏電遮断器」。

人体の抵抗は、乾いた状態では100Vに触れたときで約1,900Ω(両手間、IEC 60479-1の代表値)ですが、汗や水で皮膚が濡れると内部抵抗だけの約500Ωまで下がります。

このため100Vでも濡れた手なら約200mAが流れる計算になり、同じ資料は100Vも人体にとって危険な電圧だと述べています。濡れた手で機器を扱う洗浄工程や屋外作業で、とくに注意が要る理由です。

漏電遮断器の普及と法令による設置の義務化は、実際に効果を上げてきました。同じ資料によると、感電による死亡災害は1970年代の年間331件から2000年代の年間約20件まで減っています。工場の安全対策の全体像は製造業の職場環境と安全衛生の記事で整理しています。

接地工事のA種・B種・C種・D種は、何が違うのか?

工場の脇で接地棒を地面に打ち込む作業の手元

仕様書の「D種接地」のA〜Dは、電気設備の技術基準の解釈(経済産業省が技術基準の具体例を示した文書)の第17条が定める接地工事の種類です。何に施すかで種類が決まり、種類ごとに接地抵抗の上限と接地線の太さが決まっています。

種類主な対象接地抵抗値接地線(軟銅線の場合)
A種高圧・特別高圧の機器の外箱、避雷器10Ω以下直径2.6mm以上
B種高圧・特別高圧と低圧を結ぶ変圧器の低圧側(中性点など)150/Ig(Ω)以下が基本。混触時の自動遮断が1秒超2秒以下なら300/Ig、1秒以下なら600/Ig直径2.6mm以上(高圧と低圧を結ぶ変圧器の場合)
C種使用電圧300Vを超える低圧の機器の外箱10Ω以下(0.5秒以内に自動遮断する装置があれば500Ω以下)直径1.6mm以上
D種使用電圧300V以下の低圧の機器の外箱、高圧計器用変成器の2次側100Ω以下(0.5秒以内に自動遮断する装置があれば500Ω以下)直径1.6mm以上
電気設備の技術基準の解釈 第17条・第24条・第28条・第29条・第37条をもとに作成。Igは変圧器の高圧側の1線地絡電流(A)。移動して使う機器のキャブタイヤケーブル等は別の規定があります。

図5:受電から機器までの、どこに何種の接地が付くか

電圧が高い側ほど、接地抵抗を低く抑えます。

高圧受電設備(キュービクルなど):A種高圧機器の外箱、避雷器。接地抵抗10Ω以下
変圧器で低圧に下げる
変圧器の低圧側:B種高圧が低圧側に入り込む混触に備え、低圧側の対地電圧の上昇を抑える
低圧で機器へ配る
C種300V超の低圧機器の外箱(400V級のモーターなど)
D種300V以下の低圧機器の外箱(200V・100V機器)
D種高圧計器用変成器の2次側

※電気設備の技術基準の解釈 第24条・第28条・第29条・第37条による。外箱の接地は、人が触れるおそれがない施設方法や2重絶縁など、条件を満たせば省略できます。

機器の外箱の接地は第29条で、使用電圧300V以下ならD種、300V超の低圧ならC種、高圧以上ならA種と決まっています。工場の動力で使う200Vと400V級の違いは400V・200V・100V・24Vの違いの記事で解説しており、400V級の機器では接地の種類も一段厳しくなります。

B種だけ抵抗値が計算式になっている理由

B種接地は、変圧器の内部で高圧側と低圧側が触れる「混触」が起きたときに働きます。高圧側から1線地絡電流Igが流れても、Ig×接地抵抗が150V以下に収まるように抵抗の上限を150/Igと決めているため、B種は低圧側の電位の上昇を150V以下に抑えるための接地と読めます。

例えばIgが5Aの電路なら150÷5で30Ω以下となり、混触時に高圧側を1秒以内に遮断する装置があれば600÷5で120Ω以下まで緩められます(数値は説明用の例)。変圧器とB種接地はキュービクルの中にあり、受電設備の構成はキュービクルの中の機器の役割の記事で図解しています。

接地と漏電遮断器は、どちらか片方だけでよいのか?

技術基準の解釈には、片方を強くすることでもう片方を緩められる規定がいくつかあります。これはどちらも「感電と火災を防ぐ」という同じ目的のための手段で、組み合わせて必要な安全の水準を満たすという考え方に基づいています。

図6:接地と漏電遮断器が補い合う規定

いずれも条件付きの例外です。現場で省略してよいかは、条件を一つずつ照合して判断します。

条件
緩和される内容
解釈 第17条
低圧電路に、地絡時0.5秒以内に自動遮断する装置がある
C種接地は10Ω→500Ω以下、D種接地は100Ω→500Ω以下でよい
解釈 第29条
水気のある場所以外で、定格感度電流15mA以下・動作時間0.1秒以下の電流動作型の漏電遮断器を施設
低圧機器の外箱の接地を省略できる
解釈 第36条
機器のC種またはD種接地の接地抵抗が3Ω以下
60V超の低圧機器への漏電遮断器を省略できる
安衛則 第333条
漏電遮断装置の接続が困難なとき
電動機械器具の金属部分を、専用の接地線などで接地して使う

※第29条・第36条にはこのほか、乾燥した場所、2重絶縁構造、絶縁変圧器で負荷側を非接地とする場合などの例外があります。条文の全文で条件を確認してください。

D種接地が500Ωまで緩められるのは、接地抵抗が大きいと外箱の電位が下がりにくい代わりに、0.5秒以内に切れることで危険な時間を短くできるからです。逆に接地抵抗を3Ω以下まで下げれば、外箱の電位をほとんど上げずに漏電電流を流せるため、漏電遮断器を省略できるという整理です。

ただし、これは法令上の最低ラインの話です。工場で一般的なのは、接地を施したうえで漏電遮断器も付ける二重の守りで、どちらかが故障や劣化で機能しなくなったときも、もう一方が残るようにしておけます。

工場では、どこに漏電遮断器と接地が必要なのか?

鋼板の上で可搬式グラインダーを使う作業者

技術基準の解釈の第36条は、金属製の外箱を持ち、使用電圧が60Vを超える低圧の機械器具につながる電路に、漏電遮断器などの地絡遮断装置を求めています。高圧と変圧器で結ばれた使用電圧300V超の低圧電路にも地絡遮断装置が必要で、400V級の配電がこれにあたります。

働く人を守る労働安全衛生規則にも規定があります。第333条は、次のような電動機械器具に感電防止用の漏電遮断装置をつなぐよう事業者に求めています。

  • 対地電圧が150Vを超える移動式・可搬式の電動機械器具(電動工具など)
  • 水などで濡れている場所で使う移動式・可搬式の電動機械器具
  • 鉄板上、鉄骨上、定盤上など、電気を通しやすい場所で使う移動式・可搬式の電動機械器具

鋼材の加工場や造船所のように、足元の鋼板そのものが大地と同じ電位になる場所では、人が工具と鋼板の両方に触れた瞬間に体が電流の通り道になります。漏電遮断装置をつなぐことが難しいときは、移動電線の1心を専用の接地線にするなどして金属部分を接地する、と同じ条文が定めています。

一方で、乾燥した場所の機器や、電気用品安全法の2重絶縁構造の機器などは、漏電遮断器や外箱の接地が不要になる条件があります。設置の要否と遮断器の選び方は、サーキットプロテクタとNFB・ヒューズの違いの記事もあわせて読むと、制御盤の中の保護機器の分担がつかみやすくなります。

漏電遮断器が落ちたら、どうすればよいのか?

分電盤の遮断器を絶縁抵抗計で測定する保全担当者

漏電遮断器が動作したのは、どこかで漏電が起きた、または漏れ電流が感度電流に近づいたというサインです。原因を確かめないまま何度も入れ直すと、漏電している機器に再び電気を送ることになります。現場の作業者がすることと、保全・電気の担当者がすることを分けて考えます。

図7:漏電遮断器が落ちたときの対応の流れ

現場の初動は「入れ直さずに報告」。原因の切り分けは担当者が行います。

現場の作業者
01入れ直さない機器の周りの水濡れ、焦げ臭さ、ケーブルの傷みを離れた位置から確認
02報告して設備を止めるどの遮断器が、何をしていたときに落ちたかを担当者へ伝える
保全・電気の担当者(有資格者)
03負荷を切り離す回路の機器を外して1つずつつなぎ、原因の機器や配線を絞る
04絶縁抵抗を測る停電を確かめてから絶縁抵抗計で測り、基準値と比べる
05直して記録する修理・交換後に投入し、原因と測定値を保全記録に残す

※盤内の作業や測定は、職場の手順と資格・教育の要件に従って行います。停電作業では開閉器の施錠と表示で、誤って電気が入らないようにします。

絶縁抵抗の基準は、電気設備の技術基準を定める省令の第58条にあります。使用電圧300V以下で対地電圧150V以下の電路は0.1MΩ以上、そのほかの300V以下は0.2MΩ以上、300V超は0.4MΩ以上です。

停電できず測れない電路は、技術基準の解釈の第14条により、電圧をかけた状態での漏えい電流1mA以下で判断できます。基準を下回った回路は配線か機器のどこかで絶縁が傷んでいるため、図7の手順03に戻って範囲を絞り込みます。

停電させての点検では、誤って電気が入らないよう開閉器に錠と札を付ける手順が欠かせず、詳しくはロックアウト・タグアウトの6ステップで解説しています。漏電遮断器そのものも、テストボタンで動作を定期的に確かめ、頻度はメーカーの取扱説明書に従うのが基本です。

電気工事士や電験の受験に通信講座を使う場合は、SATの講座内容と受講料も比較材料にできます。

接地と漏電遮断器のよくある質問

漏電遮断器と配線用遮断器(NFB)は何が違うのですか?

配線用遮断器は過負荷や短絡で流れる大きな電流を検出して切り、電線の焼損を防ぎます。漏電遮断器は行きと帰りの電流の差を見て、数十mAの漏電でも切れる点が違い、過電流の保護も兼ねた製品もあります。

漏電遮断器がたびたび落ちるのは故障ですか?

故障とは限らず、1つの回路に機器や長い配線が多いと、それぞれのわずかな漏れ電流が合わさって感度電流に近づきます。JISでは不動作電流の下限が感度電流の半分なので、30mA品は15mAを超える漏れで動き得ます。水気や絶縁の劣化がないかと合わせて、回路を分けて確かめます。

ノイズ対策のシールドの接地と、保安用の接地は同じものですか?

目的が違い、保安用の接地は感電と火災を防ぐため、信号線のシールドの接地はノイズの侵入を防ぐために施します。シールドはつなぐ位置や片側か両端かの考え方が別にあり、シールドケーブルの接地方法の記事で使い分けを解説しています。

2重絶縁の電動工具でも接地や漏電遮断器は必要ですか?

電気用品安全法の2重絶縁構造の機器は、技術基準の解釈の第29条と第36条で外箱の接地と漏電遮断器を省略できる条件に入っています。労働安全衛生規則の第334条でも、表示の付いた2重絶縁構造の電動機械器具は第333条の漏電遮断装置の規定が適用されません。

まとめ

この記事のまとめ
  • 接地は漏れた電流の帰り道をつくり、漏電遮断器はその電流を検出して回路を切る
  • 接地がないと漏電遮断器は人が触れるまで漏電に気づけず、接地だけでは外箱の電位が残る
  • 漏電遮断器は零相変流器で行きと帰りの電流の差を見ており、感電防止には30mA・0.1秒の高感度高速形を使う
  • 接地工事はA〜D種に分かれ、高圧機器はA種、変圧器の低圧側はB種、300V超の低圧機器はC種、300V以下はD種
  • 落ちた漏電遮断器は入れ直さずに報告し、担当者が負荷の切り離しと絶縁抵抗の測定で原因を探す

接地と漏電遮断器は、工場の電気設備を扱う職種に共通する基礎です。日々の点検や故障対応は設備保全、制御盤や配線の設計は電気・電子設計の仕事と深く関わります。

受電から機器までの電気の流れを通して知りたい場合は、高圧の受電設備と電気主任技術者の仕事をまとめたキュービクルの記事から読み進めると、B種接地や地絡保護の位置づけがつながります。

出典

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プラント機器メーカーとプラントメーカーで約10年、設備の提案・設計・試運転に携わったのち、Webマーケターに転身。現在はBtoB製造業専門のWebコンサルタントとして、メーカーの情報発信を支援しています。エネルギー管理士/第三種電気主任技術者。工業技術ブログを2017年から運営(500本以上執筆)、YouTube登録者約2万人、Xフォロワー約1万人。

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