一般照明用の蛍光ランプは、2027年末までに製造と輸出入が段階的に禁止されます。工場では、交換用ランプの確保と交換作業の安全を考えながら、LED化を進める必要があります。
いま使っているランプを使い続けることは禁止されません。ただし交換用のランプは手に入りにくくなり、ランプだけをLEDに替える方法では発煙・発火の事故も報告されています。
防爆エリア(爆発の危険があり、専用の器具が必要な場所)のように、一般のLED器具へは替えられない場所もあります。
この記事では、まず何がいつ禁止されるのかを公的資料で確認します。
続いて、工場のLED化を進める6つのステップ、器具ごと交換とランプ交換の違い、水銀灯・防爆エリアの注意点、費用と補助金、外したランプの処分の順に整理します。内容は2026年9月時点の情報です。
蛍光灯の製造禁止で、何がいつ禁止されるのか
出発点は、2023年10月30日から11月3日にスイス・ジュネーブで開かれた「水銀に関する水俣条約」の第5回締約国会議(COP5)です。ここで、一般照明用の蛍光ランプの製造と輸出入を、2027年末までに段階的に廃止することが決まりました。
国内では2024年12月に、水銀汚染防止法(水銀による環境の汚染の防止に関する法律)の施行令が改正されました。
一般照明用の蛍光ランプがすべて「特定水銀使用製品」に指定され、製造が原則として禁止されます。輸出入は外国為替及び外国貿易法(外為法)にもとづいて規制されます。
禁止の開始日は、ランプの種類によって異なります。環境省の資料をもとに整理すると、次のとおりです。
2026年1月から種類ごとに始まり、2028年1月1日以降は一般照明用の蛍光ランプがすべて対象になります。
※いずれも一般照明用が対象。環境省「一般照明用の蛍光ランプの規制について」、経済産業省「水銀汚染防止法による各種ランプの規制開始日」、日本照明工業会のパンフレット(2025年4月)をもとに作成。海外製品は品番の表記が異なる場合があります。
2026年9月の時点では、30W以下の電球形蛍光ランプの製造・輸出入がすでに禁止されています。
次の節目は2027年1月1日で、コンパクト形、30Wを超える電球形、直管・環形のうちハロりん酸塩系のランプが対象になります。直管・環形のうち三波長形は、2028年1月1日からです。
「2027年末までに禁止」と「2028年1月1日から禁止」は同じことを指しています。
最後に残る三波長形の直管・環形ランプは、2027年12月31日までで製造・輸出入が終わります。2028年1月1日以降は、一般照明用の蛍光ランプがすべて禁止の対象になります。
禁止されるのは製造と輸出入
誤解されやすい点ですが、禁止されるのは製造と輸出入です。環境省と経済産業省のリーフレットは、既に使用している製品の継続使用、廃止日までに製造された製品(在庫)の売り買い及びその使用は禁止されないと明記しています。
日本照明工業会(JLMA)の資料も同じ内容で、流通在庫品の販売や購入しての使用、既存ランプの継続使用は禁止されないとしています。2028年以降に蛍光灯を点けていても、法令に違反するわけではありません。
規制の対象は「つくること」と「国境を越えて動かすこと」です。
ただし、使えることと、交換用のランプが手に入ることは別の問題です。JLMAは、ランプが切れてしまうことを想定して計画的にLED照明へ切り替えるよう勧めています。
対象外の特殊用途もある
規制の対象は「一般照明用」で、特殊用途の蛍光ランプは対象外です。
JLMAの定義資料では、特殊用途の例として、色評価用や高演色用のほか、低温用、非常用照明器具・誘導灯用が挙げられています。防爆用、半導体工場用、機械に組み込む目的の照明器具用なども含まれます。
工場ではこれらに当たるランプも使われています。ただし、対象外であることと、メーカーが供給を続けることは同じではありません。
パナソニックは、規制対象ではない特殊用蛍光ランプや点灯管についても、あわせて生産を終了すると案内しています。使用中の品番ごとに、メーカーへ供給の見通しを確認しておくのが確実です。
法令の期限より早く生産が終わる品番がある
メーカーの生産終了は、法令の禁止日と同じ日とは限りません。パナソニックは品番ごとに時期を分けて生産終了を進めており、前倒しで終了する場合があるとしています。
ホタルクスも、販売動向や資材調達の状況によっては生産終了を前倒しにする場合があると公表しました。
東芝ライテックは、期限が近づくにつれてLED照明への更新工事が混みあうことも予想されるとして、早めの検討を勧めています。工場の照明は台数が多く、稼働を止めずに工事できる日も限られるため、逆算して計画を立てる必要があります。
工場のLED化を進める6ステップ
工場のLED化は、蛍光灯を順番に外していく作業というより、場所ごとの条件を調べて、方式と順番を決める計画の仕事です。全体の流れは次の6つのステップに分けられます。
JLMAの統計をもとにNITE(製品評価技術基盤機構)がまとめた資料では、国内の既設照明のLED化率は2025年12月末時点で66.4%です。残りの3割強は、まだLED化されていない計算です。
自社にどれだけ残っているかを数えるところから始めます。
前半で現状を調べて方針を決め、後半で実行します。
※規模が大きい工場では、建屋やラインごとに01〜06を繰り返し、複数年度に分けて進めます。
ステップ1:照明台帳をつくる
最初に行うのは現状の把握です。建屋・フロア・エリアごとに、器具の種類、ランプの型番、台数、設置年、1日の点灯時間を一覧にします。型番が「F」で始まるランプは蛍光ランプで、図1の型番例と照らせば、どの品種がいつ禁止されるかが分かります。
器具の設置年は、銘板に書かれた製造年で確認します。JLMAは、製造年が分からない器具はほとんどが10年以上前のものだとしています。台帳の段階で「使用年数」と「ランプの品種」の2つを押さえておくと、後の優先順位づけがそのまま決まります。
ステップ2:エリアを区分する
次に、照明の置かれた条件でエリアを分けます。エリアは、次の5つに分けると整理しやすくなります。事務所や一般の作業場、水銀灯などを使う高天井、防爆構造の器具が必要な危険箇所、低温・高温・粉じん・水気などの特殊環境、非常用照明器具と誘導灯です。
この区分が必要なのは、エリアによって選べる器具と工事の条件が変わるためです。とくに防爆エリアと非常用の設備は、一般の器具と同じ感覚で見積もると後からやり直しになります。
ステップ3:方式と優先順位を決める
方式は、後の章で見るとおり器具ごとの交換が基本になります。順番は、安全と調達の両面から決めます。JLMAは照明器具の適正交換時期を8〜10年、耐用の限度を15年としているため、使用年数が15年を超える器具、次に10年を超える器具が先です。
同じ使用年数なら、2027年1月1日に禁止されるコンパクト形やハロりん酸塩系のランプを使っている場所、点灯時間が長く省エネ効果が大きい場所を優先します。
器具を時間で区切って計画的に更新する考え方は、設備保全でいう時間基準保全(TBM)と同じです。
ステップ4:見積をとり、予算と補助金を確認する
見積は、器具代だけでなく、工事費、足場や高所作業車の費用、外した器具とランプの処分費まで含めて依頼します。照度が変わらないかを確かめるために、照度計算や試験点灯を見積の条件に入れておくと安心です。
補助金を使う場合は、発注の前に要件を確認します。後述する省エネ・非化石転換補助金では、交付決定より前に契約・発注した経費は補助の対象になりません。
ステップ5:工事を行う
器具の交換は電気工事です。休日や定期修理の期間に合わせて工程を組み、回路ごとに電源を切って作業します。
通電したままのランプ交換は感電の原因になると、JLMAも注意を促しています。作業する回路を確実に止める手順は、ロックアウト・タグアウトの考え方がそのまま使えます。
高天井の工事では、墜落と落下物の対策が欠かせません。生産設備の上で作業する場合は養生も必要です。工事会社まかせにせず、作業場所ごとの危険を事前に洗い出すリスクアセスメントを、発注側も一緒に行うことが事故の防止につながります。
ステップ6:処分し、記録を残す
外した蛍光ランプは、水銀使用製品産業廃棄物として処分します。古い建屋では、安定器にPCB(ポリ塩化ビフェニル)が使われていないかの確認も必要です。詳しくは後の章で説明します。
工事が終わったら、照明台帳と電気図面を更新します。どのエリアをいつ、どの器具に替えたかを残しておけば、次の更新時期を決める材料になります。
器具ごと交換か、ランプだけ交換か
蛍光灯をLED照明に替える方法は、照明器具ごと交換する方法と、既設の器具を残してランプだけをLEDランプに替える方法の2つです。NITEによると、事故が報告されているのは後者です。
初期の手間は器具ごと交換のほうが大きい一方、古い部品を使い続けるリスクが残りません。
※日本照明工業会の注意喚起、NITEの公表資料、SIIの公募要領(3次公募)をもとに作成。
NITEが2025年3月に公表した資料では、2015年から2024年の10年間に、不適切なランプ交換による事故が12件報告され、うち8件が火災でした。
内訳は、取付手順の間違いが5件、器具とランプの組合せの間違いが3件、必要な工事をしなかったものが3件、経年劣化した器具への取付けが1件です。
2026年3月の公表資料では、2016年から2025年に起きた蛍光灯器具の事故205件のうち、使用年数が推定できた133件を分析しています。
使用年数が10年を超えていた事故が約9割(120件)を占めました。
NITEは「LEDランプに交換すれば、ずっと使える」は間違いだとして、10年を超えた器具は器具ごとの交換を検討するよう呼びかけています。
点灯方式が合わないと事故につながる
蛍光灯器具には、グロースターター式、ラピッドスタート式、インバーター式の3つの点灯方式があります。
消費者庁も注意を呼びかけているとおり、LEDランプは口金の形が従来のランプと同じでも、内部の設計は異なります。器具の方式に合わないランプを付けると、過大な電流が流れて発熱することがあります。
いずれも、器具の点灯方式と必要な作業を確かめなかったことが原因と推定されています。
方式を合わせても、リスクがなくなるわけではありません。
JLMAによると、蛍光灯器具のソケットは通常10V未満の低い電圧しかかからない前提で絶縁性能が定められています。そのため、直管LEDランプでは想定以上の電圧がかかることがあります。
ランプが正常に点灯しているように見えても、使い続けるうちに発火・発煙するおそれがあるとされています。
直管LEDランプを選ぶ場合の条件
建屋の取り壊しが決まっているなど、事情があってランプ交換を選ぶ場合もあります。JLMAは器具交換を推奨したうえで、G13口金(直管蛍光ランプと同じ口金)の直管LED光源に替える場合の条件を示しています。
- LED光源が、JLMAの安全規格「JLMA 301」に準拠していること
- 改造工事は、JLMAの「ガイド301」に沿って行うこと
- ソケット、端子台、配線は劣化の状態を確認し、変色や亀裂があれば交換すること
- 器具内の安定器は取り外すこと
- 改造後の器具に、適合するLED光源、蛍光ランプを取り付けられない旨、工事業者名、工事年月などを表示すること
改造工事を行うと、既設の照明器具メーカーの製品保証は適用外になります。「工事不要」という言葉だけで判断せず、器具の点灯方式、使用年数、改造後の責任の所在まで確認することが、工場の設備としては欠かせません。
工事は有資格者に依頼する
器具の取付けや配線の変更は電気工事にあたり、電気工事士法第3条が作業に従事できる資格を定めています。必要な資格は、工場の電気設備の区分によって変わります。
- 高圧で受電する工場など、最大電力500kW未満の自家用電気工作物:第一種電気工事士。600V以下で使用する部分の工事(簡易電気工事)には、認定電気工事従事者も従事できる
- 低圧で受電する小規模な工場など、一般用電気工作物等:第一種または第二種電気工事士
- 最大電力500kW以上の需要設備:電気工事士法でいう自家用電気工作物から除かれている。電気事業法にもとづいて選任された電気主任技術者が、工事の保安を監督する
NITEも、器具とLEDランプの組合せによっては電気工事士による工事が求められる場合があるとしています。工事が必要なときや不明点があるときは、自分で作業せず電気工事業者に依頼するよう呼びかけています。
自社の設備がどの区分にあたるか、どの範囲を誰が施工するかは、自社の電気主任技術者と電気工事業者に確認してください。電気工事士を含む製造業で役立つ資格は、別の記事で整理しています。
水銀灯・防爆エリア・非常用照明の注意点
工場の照明は、天井の低い作業場の直管蛍光灯だけではありません。高天井の水銀灯、防爆エリアの器具、非常用の設備は、蛍光灯とは別に確認が必要です。
水銀灯は2021年から製造・輸出入が禁止されている
高天井で使われてきた水銀灯のランプ(一般照明用の高圧水銀ランプ)は、蛍光ランプより先に規制されています。2021年1月1日以降、製造と輸出入がすでに禁止されており、水銀汚染防止法施行令でも特定水銀使用製品に挙げられています。
同じ高天井用の光源でも、メタルハライドランプや高圧ナトリウムランプは種別が異なり、規制の対象には含まれていません。まず、使っているランプがどの種類かを台帳で確認します。
水銀灯は1台あたりの消費電力が大きいため、LED化の効果も大きくなります。高天井は工事に足場や高所作業車が必要で、1回の工事費がかさみます。ランプが切れるたびに個別に対応するより、エリア単位でまとめて更新するほうが、工事の回数を減らせます。
防爆エリアは一般のLED器具に替えられない
引火性の物の蒸気や可燃性ガス、可燃性の粉じんが爆発の危険のある濃度に達するおそれのある場所では、照明器具を含む電気機械器具に制限があります。
労働安全衛生規則第280条は、こうした箇所で電気機械器具を使うときは、防爆性能を有する防爆構造電気機械器具でなければ使用してはならないと定めています。
可燃性の粉じんについては第281条、爆燃性の粉じんについては第282条に同様の規定があります。
防爆構造電気機械器具は、労働安全衛生法第44条の2にもとづく型式検定の対象です。同条第7項は、検定に合格した型式であることを示す表示が付されていないものは使用してはならないとしています。
検定に合格していない一般のLED器具を、防爆エリアで使うことはできません。
「同じ形のLEDに替える」ではなく、検定に合格した組合せかどうかを確かめます。
※労働安全衛生総合研究所「ユーザーのための工場防爆設備ガイド」(JNIOSH-TR-No.44)の記載をもとに作成。
労働安全衛生総合研究所の「ユーザーのための工場防爆設備ガイド」は、防爆電気機器の保守にも触れています。ガイドによれば、型式検定の合格条件で認められた構造・材料などと異なる改造は、行ってはなりません。
照明器具の点検項目でも、光源は「適合ランプであること」、交換は「検定時に合格している適合ランプ」で行うこととされています。
つまり、既設の防爆形蛍光灯器具のランプだけを、検定時の適合ランプではない直管LEDランプに差し替えると問題が生じます。検定に合格した構成から外れ、検定合格品としての扱いから外れるおそれがあります。
ランプだけの差し替えは行わず、更新するなら、その危険箇所に合った防爆形のLED器具に器具ごと替えるのが基本です。
危険箇所の区分や器具の選定は、同研究所の「工場電気設備防爆指針」などにもとづく専門的な判断になるため、防爆機器のメーカーや専門の工事業者に確認してください。
なお、JLMAの定義資料では「防爆用」の蛍光ランプは特殊用途に区分されており、一般照明用の製造禁止とは扱いが異なります。
当面は適合ランプで使い続ける選択肢もありますが、供給がいつまで続くかはメーカーによります。早めに確認しておくと、更新の時期を決めやすくなります。
非常用照明器具・誘導灯
非常用照明器具と誘導灯は、法令にもとづいて設置される防災設備です。非常用の照明装置は、建築基準法施行令第126条の4で設置が必要な建築物が、第126条の5で構造が定められています。
構造は、国土交通大臣が定めた構造方法によるもの、または大臣の認定を受けたものでなければなりません。誘導灯は消防法施行令第26条にもとづく設備で、非常電源を付けることなどが求められます。
これらに使う蛍光ランプも、JLMAの定義資料では特殊用途に区分されています。
一般の器具と同じ感覚で、ランプや器具を替えることはできません。JLMAは、誘導灯の蛍光ランプは直管LEDランプに交換できず、指定以外のランプを使うと認定品ではなくなると説明しています。
非常用照明器具と誘導灯の部分的な改修も、評定品・認定品と異なるものになるとして、改修する場合は器具ごとの交換を求めています。
LED化するときは、法令の基準に適合した防災用のLED器具に器具ごと替えます。
非常用照明器具はJLMAの自主評定を受けた製品(JIL適合マーク)、誘導灯は消防法令にもとづく認定を受けた製品が目安になります。
具体的な機種と工事の方法は、器具のメーカーや消防用設備の点検を依頼している業者に確認してください。
省エネ効果と費用の考え方、使える補助金
LED化は規制への対応であると同時に、電力使用量を減らす投資でもあります。効果の大きさは、既設の器具の種類と点灯時間で変わります。メーカーが条件を明示して公表している比較例を見てみます。
メーカーの公表例2つと、それをもとにした想定例の計算です。
※メーカー公表例は各社が示す条件での比較で、器具の機種や既設の状態によって変わります。想定例は本記事による計算です。
想定例で見る削減額の計算
図7の想定例の計算は次のとおりです。1台あたりの削減は66Wから31.9Wを引いた34.1Wで、100台では3.41kWになります。年間3,000時間点灯するなら、3.41kW×3,000時間で、年間の削減量は10,230kWhです。
電力の単価を仮に1kWhあたり25円と置くと、10,230kWh×25円で年間255,750円になります。これはあくまで条件を仮に置いた想定例です。
自社の電力単価と点灯時間に置き換えて計算してください。2交替や3交替で点灯時間が長い工場ほど、削減額は大きくなります。
一方、費用の側は、器具代、工事費、高所作業の費用、処分費の合計で決まり、建屋の条件によって大きく変わります。公的に示された相場はないため、複数の業者から同じ条件で見積をとって比べるのが現実的です。
照明を含めた工場の省エネの全体像は、別の記事で解説しています。
省エネ・非化石転換補助金の対象と注意点
国の補助金では、SII(環境共創イニシアチブ)が執行する「省エネ・非化石転換補助金」(令和7年度補正予算)があります。その設備単位型で、制御機能付きLED照明器具が指定設備に含まれています。
3次公募(8月20日〜9月28日)は終了し、2026年10月8日時点では4次公募が10月5日から10月30日までの日程で行われています。
3次公募の公募要領によると、対象は無線式・有線式の調光制御設備か、人感・明るさセンサ付きの調光制御設備です。単にLED器具へ替えるだけでは対象にならず、次の点に注意が必要です。
- 既設の照明器具の改造を伴う場合は対象外
- 蛍光ランプなどと互換性のある口金をもつもの(直管LEDランプなど)は対象外
- 補助対象経費は設備費のみ。工事費、既存設備の撤去費・廃棄費用は対象外
- 設備単位型の従来枠では、中小企業者等の補助率は3分の1以内、補助金の上限は1億円、下限は30万円(いずれも事業全体)。大企業は、補助対象となるための要件が別に定められている
- 交付決定より前の契約・発注にかかる経費は対象外
要件は公募回ごとに変わる可能性があるため、申請の前に最新の公募要領を確認してください。自治体が独自にLED化の補助を設けている場合もあります。

外した蛍光ランプと安定器の処分
LED化の工事では、使用済みの蛍光ランプと古い器具がまとまって出ます。蛍光ランプには微量の水銀が含まれており、JLMAの資料では、直管蛍光ランプ(50W未満)1本あたりの一般的な水銀使用量は3〜5mgとされています。
工場や事務所から出る水銀使用ランプは、廃棄物処理法上の「水銀使用製品産業廃棄物」にあたります。通常の産業廃棄物のルールに加えて、次の対応が求められます。
保管、委託先、書類、古い安定器の4点を押さえます。
※廃棄物処理法施行規則、環境省「水銀廃棄物ガイドライン 第5版」、日本照明工業会の事業者向け資料をもとに作成。
誰が排出事業者になるかは、作業の形によって変わります。廃棄物処理法第21条の3は、建設工事に伴って生じる廃棄物について、発注者から直接工事を請け負った元請業者を排出事業者として扱うと定めています。
一方、自社で交換して保管していたランプは、工場が排出事業者です。
LED化の工事がどちらにあたるか、誰がどの許可業者に委託するのかは、工事の契約の段階で決めておきます。判断に迷う場合は、自治体の廃棄物担当や処理業者に確認してください。ランプを故意に割って容積を減らすような扱いは避けます。
PCB使用安定器が残っていないか
古い建屋では、安定器そのものが問題になることがあります。環境省によると、1957年1月から1972年8月までに国内で製造された照明器具の安定器には、PCBが使用されたものがあります。
蛍光灯器具だけでなく、高天井用の水銀灯器具の安定器も対象です。
環境省は、1977年3月までに建築・改修された建物で古い安定器が使われていないかを速やかに確認するよう求めています。
一度調査して「ない」とされた建物でも、後から見つかって漏えい事故が起きた例があるため、サンプル調査ではなく全数調査を行うこととされています。
PCBを含むかどうかは、安定器の銘板に書かれたメーカー、型式、製造年月などから判別できます。
高濃度PCB廃棄物の処理は、JESCO(中間貯蔵・環境安全事業)による登録受付が2025年10月15日で終了しています。
環境省は、新たに高濃度PCB廃棄物が見つかった場合は、速やかに管轄の自治体へ保管状況を報告するよう案内しています。
LED化の工事で古い安定器が出てきたら、通常の廃棄物に混ぜずに保管し、自治体に相談してください。
工場のLED化でよくある失敗
最後に、計画の段階でつまずきやすい点をまとめます。いずれも、ここまでの内容を事前に押さえておけば避けられるものです。
ランプの買いだめで先送りする
在庫の購入や使用は禁止されていないため、交換用のランプを確保しておくこと自体は選択肢の一つです。環境省と経済産業省も、切替えが難しい場合は交換用ランプの確保を電気工事店などに相談するよう案内しています。
ただし、ランプを確保しても器具の劣化は止まりません。使用年数が10年、15年を超えた器具を使い続けるリスクは、ランプの在庫では解決しない点に注意が必要です。買いだめは、更新までのつなぎとして位置づけます。
「工事不要」の言葉だけでランプを替える
工事不要をうたう直管LEDランプでも、対応する点灯方式が決まっています。器具の方式を確かめずに取り付けた結果の火災が、実際に報告されています。
工場では建屋や増設の時期によって点灯方式が混在していることが多く、同じ見た目の器具でも条件が違う場合があります。
防爆エリアや非常用照明を一般の器具で見積もる
台数だけを数えて一括で見積をとると、防爆エリアや非常用照明まで一般の器具の単価で計算してしまうことがあります。防爆形の器具は価格も納期も一般品とは異なります。ステップ2のエリア区分を先に済ませ、見積の条件として業者に伝えてください。
補助金の対象範囲と時期を取り違える
省エネ・非化石転換補助金では、工事費や廃棄費用は補助の対象外で、交付決定前に発注した経費も対象になりません。制御機能のないLED器具や、直管LEDランプへの交換も対象外です。
補助金を前提に予算を組むなら、対象になる範囲と申請の時期を先に確認します。
処分の段取りを工事の後で考える
外したランプの保管場所、委託先、マニフェストの準備が後回しになると、工事の当日に大量のランプの置き場に困ります。PCB使用安定器の可能性がある建屋では、事前の調査が工程そのものに影響します。
処分の段取りは、見積の段階で工事とセットで決めておくのが安全です。
まとめ
- 禁止されるのは一般照明用の蛍光ランプの製造と輸出入で、継続使用や在庫の販売・購入は禁止されない
- 禁止は種類ごとに段階的に始まり、次の節目は2027年1月1日、三波長形の直管ランプは2028年1月1日から
- 進め方は、照明台帳、エリア区分、方式と優先順位、見積と補助金、工事、処分と記録の6ステップ
- 日本照明工業会は器具ごとの交換を推奨。ランプだけの交換は、点灯方式の不一致や器具の劣化による事故が報告されている
- 防爆エリアは型式検定に合格した防爆構造の器具が必要。外した蛍光ランプは水銀使用製品産業廃棄物として処分する
蛍光灯の製造禁止は、照明という身近な設備を通じて、工場の設備台帳、電気工事の体制、廃棄物の管理を見直すきっかけになります。関連する職種は設備保全や工場長・マネジメント、技術テーマとしては脱炭素・カーボンニュートラルが深く関わります。
期限が近づくほど、器具の調達と工事の予約は取りにくくなると見込まれます。まずは照明台帳をつくり、古い器具と先に禁止される品種がどこにあるかを把握するところから始めてみてください。
出典
出典・参考資料(19件)を開く出典・参考資料を閉じる
- 禁止時期・禁止の範囲:環境省「一般照明用の蛍光ランプの規制について」、経済産業省「蛍光ランプの廃止について(特設)」、経済産業省「水銀汚染防止法による各種ランプの規制開始日」、環境省・経済産業省「一般照明用の蛍光ランプの製造・輸出入は2027年までに廃止されます」(2024年2月)
- 政令改正:環境省 報道発表「水銀による環境の汚染の防止に関する法律施行令の一部を改正する政令の閣議決定について」(2024年12月24日)
- COP5の決定、継続使用・在庫、器具交換の推奨、廃棄:日本照明工業会「蛍光ランプ製造・輸出入禁止とその対応に関するQ&A」
- 型番例、高圧水銀ランプ、器具の交換時期:日本照明工業会 パンフレット「蛍光ランプがなくなる前にLED照明器具に交換しましょう!」(2025年4月)
- 一般照明用と特殊用途の区分:日本照明工業会「ランプの『一般照明用』及び『特殊用途』の定義並びにその具体的な用途又は製品例について 第3版」
- 直管LEDランプの事故リスク、JLMA 301、ガイド301:日本照明工業会「蛍光灯器具をLED化する際はまるごと照明器具交換を推奨します」
- 不適切なランプ交換による事故:NITE「さらば蛍光灯、ようこそLED ~でもランプ交換 ミスると事故に~」(2025年3月27日)
- 古い蛍光灯器具の事故、LED化率:NITE「見た目はピカピカ、中身は劣化 ~10年超え『古い蛍光灯器具』の事故に注意~」(2026年3月26日)
- LEDランプと器具の組合せへの注意:消費者庁「LED照明は正しく使いましょう」(2019年3月27日)
- メーカーの生産終了:パナソニック「管球商品 従来光源 全商品 生産終了のご案内」(2024年10月)、ホタルクス「蛍光ランプ 製品の生産終了のご案内」(2024年12月2日)、東芝ライテック ニュース(2024年7月2日)
- メタルハライドランプ等の扱い:岩崎電気 FAQ「水銀条約の対象にメタルハライドランプが含まれますか」
- 法令(労働安全衛生法第44条の2・同法施行令第14条の2、労働安全衛生規則第280条〜第282条、電気工事士法第2条・第3条・同法施行規則、電気事業法第43条、建築基準法施行令第126条の4・第126条の5、消防法施行令第26条、水銀汚染防止法施行令第1条、廃棄物処理法第21条の3・同法施行規則):e-Gov法令検索
- 電気工事の資格:経済産業省「電気工事の安全」
- 非常用照明器具・誘導灯:日本照明工業会「防災照明器具Q&A」、同「点検者様向け情報」、同「非常用照明器具自主評定情報」、同「誘導灯の認定情報」
- 防爆電気機器の保守・改造・適合ランプ:労働安全衛生総合研究所 技術指針 JNIOSH-TR-No.44「ユーザーのための工場防爆設備ガイド」、同研究所 技術指針一覧(工場電気設備防爆指針)
- 省エネの比較例:岩崎電気「蛍光ランプHf32W×2との比較」、三菱電機「水銀ランプからLED高天井用ベースライトに交換した場合の経済効果」
- 補助金:SII「省エネ・非化石転換補助金 2026年版特設サイト 公募情報」、令和7年度補正予算 省エネ・非化石転換補助金(設備単位型)公募要領(3次公募)
- 水銀使用製品産業廃棄物:環境省「水銀廃棄物ガイドライン 第5版」(2026年3月)、日本照明工業会「事業者向け水銀使用ランプの分別・回収及び排出について」
- PCB使用安定器:環境省 PCB早期処理情報サイト「PCB含有の有無を判別する方法」、日本照明工業会「PCB使用照明器具に関する情報」
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