中国のレアアース輸出規制で、モーター用の磁石などは、輸出許可が下りるまで出荷できない状態が続いています。次の出荷にも許可が下りるか分からず、調達の見通しが立てにくくなっています。
レアアースは磁石などに欠かせない金属で、規制の対象にはジスプロシウムやテルビウムといった磁石の材料も含まれます。性格の異なる複数の輸出管理が重なっているため、何がどこまで対象なのかを取り違えると、調達や設計の備えも的外れになります。
この記事では、中国の輸出管理の経緯を時系列で整理します。そのうえで、モーター用磁石の調達に出ている影響、重希土類が急所になる理由、調達面と設計面で取れる備えの順に見ていきます。内容は2026年9月30日時点の公表情報にもとづきます。
この記事の内容は、動画でも解説しています。
レアアース輸出規制はいま3つの層で重なっている
先に全体像を押さえます。磁石の調達に関わる中国の輸出管理は、3つに分けると整理しやすくなります。「2025年4月の許可制」「2025年10月の追加措置」「2026年1月以降の日本向け措置」です。
1つ目は、ジスプロシウムやテルビウムなど中・重希土類7種の関連品目を輸出許可制にした措置です。日本だけでなく全世界向けが対象で、いまも続いています。モーター用磁石の輸出に1件ごとの許可が必要になったのは、この措置によるものです。
2つ目は、中国産レアアースを含む国外製品の再輸出まで許可の対象にするなどの追加措置で、こちらは2026年11月10日まで実施が止まっています。
3つ目は日本向けに限った措置で、軍事ユーザーや軍事用途などへの両用品目(民生にも軍事にも使える品目)の輸出を禁じる内容です。
対象と現在の状態がそれぞれ異なります(2026年9月30日時点)。
※ジェトロのビジネス短信・レポート、経済産業省の資料をもとに作成。
2023年から2026年までの経緯を時系列で整理
中国の重要鉱物に対する輸出管理は、レアアースから始まったわけではありません。2023年8月のガリウムとゲルマニウムを皮切りに、黒鉛、アンチモン、タングステンなどへ順に広がり、2025年4月にレアアースの一部が加わりました。
レアメタルから始まり、レアアース、日本向けの措置へと進みました。
※ジェトロのビジネス短信・地域分析レポートをもとに作成。公告番号は中国商務部のもの。
2025年4月:中・重希土類7種が許可制に
2025年4月4日、中国商務部と海関総署(税関)は公告2025年第18号を出しました。対象はサマリウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ルテチウム、スカンジウム、イットリウムの7種です。
これらの金属、合金、酸化物、化合物などの関連品目が、輸出許可の対象になりました。
公布と同じ日に施行されています。
ジェトロによると対象はHSコード(貿易品目の分類番号)ベースで97品目にのぼります。なかでもサマリウム、ジスプロシウム、テルビウムの3元素が日本企業に大きく影響しました。
サマリウムはサマリウムコバルト磁石に、ジスプロシウムとテルビウムはネオジム磁石に使われる元素です。
この措置は輸出を禁じるものではなく、1件ごとに許可を取れば輸出できます。
2025年6月には中国商務部が、ロボットや新エネルギー車など民生分野の需要を考慮して審査しており、すでに一定数の申請を許可したと説明しました。
ただし、許可が出るまでの日数と、次回も許可されるかどうかは輸入する側から読みにくいままです。
2025年10月:追加措置の公布と暫定停止
2025年10月9日には、さらに踏み込んだ公告が複数出されました。
商務部公告2025年第61号は、中国産のレアアース関連品目を価値比で0.1%以上含む国外製の磁石などを、第三国へ輸出する場合にも中国の許可を求める内容です。
第62号は、採掘、製錬・分離、金属精錬、磁性材料の製造、リサイクルに関する技術の輸出を許可制にしました。
同じ日には、レアアース関連の設備や、中・重希土類の追加品目などを対象とする公告(第55〜58号)も出ています。
その後、米中の合意を受けて、商務部と海関総署は11月7日に公告2025年第70号を出しました。10月9日に出した6件(第55〜58号、第61号、第62号)の実施を、2026年11月10日まで暫定的に止めるという内容です。
止まったのは10月の追加措置だけで、4月の7種の許可制は続いています。ここは混同されやすい点です。
停止期限の後にこれらの措置がどうなるかは、現時点で公表されていません。ジェトロが2026年4月に公表したレポートも、第61号の効力が復活するか、その時期や内容がどうなるかは不明だとしています。
2026年:日本向けの両用品目の管理強化
2026年1月6日、中国商務部は公告2026年第1号を公布し、即日施行しました。
内容は、すべての両用品目について、日本の軍事ユーザーと軍事用途への輸出を禁止することです。日本の軍事力向上に寄与するその他一切のエンドユーザー・用途への輸出も、禁止の対象です。
ジェトロのレポートは、この公告を「両用品目の全面的な禁輸を定めるものではない」と整理しています。
2025年4月に許可制となったレアアース7種の関連品目は両用品目に含まれるため、この公告の対象に入ります。ただし、民生用途の輸出そのものが禁じられたわけではありません。
一方で、「軍事力向上に寄与するその他一切のエンドユーザー・用途」には定義や基準が示されていません。
同レポートによると、部品として、あるいは生産工程で使われたものが軍事用途の製品につながる場合まで含むと解釈される余地があります。運用次第で広く解釈されうると指摘しています。
中国原産の両用品目を第三国経由で該当先に渡す再移転も、規制の対象です。
2月24日には公告2026年第11号と第12号で、日本の企業・組織が20ずつ「輸出管理コントロールリスト」と「注視リスト」に載りました。6月29日の第27号と第28号でも、同じ2つのリストに20ずつが加わっています。
日本政府の対応としては、赤澤経済産業大臣が2026年1月9日の閣議後会見で、1月6日に中国側へ申入れを行って抗議し、措置の撤回を求めたと説明しました。あわせて、措置の対象などに不明瞭な点が多く、産業への影響は精査中だと述べています。
モーター用磁石の調達に出ている影響
では、磁石の調達には実際に何が起きたのでしょうか。数字で確認できるのは、2025年4月の許可制が始まった直後の落ち込みです。
ジェトロは、中国の貿易統計をもとに中国から日本へのレアアース磁石(HSコード85051110)の輸出量をまとめています。それによると、2025年4月の9万2,214キログラムから、5月には2万5,719キログラムまで減りました。
6月以降は回復に向かい、7月以降は過去2年と同じ程度の水準に戻ったとされています。
JOGMEC(エネルギー・金属鉱物資源機構)は2025年の動向レポートで、この時期の状況を記しています。自動車メーカーは永久磁石の調達に苦慮し、一部で工場の停止が起きました。
入手が難しくなったことで価格も上がり、欧州では中国での価格の最大6倍になったと、IEA(国際エネルギー機関)の資料を引いて伝えています。
2026年に入ってからの動きは、現時点では報道が中心です。日本経済新聞は2026年8月8日、規制対象のレアアースの1〜6月の日本向け輸出量が前年同期比で5割減ったと報じました。
時事通信は7月15日、中国税関総署の貿易統計にもとづく記事で、レアアース磁石の対日輸出量を伝えています。3月から3カ月続けて200トンを下回ったという内容です(2025年の月間平均は200トン超)。
これらは報道で示された数字であり、本記事では統計の原典までは確認できていません。品目の範囲や比較の基準によって数字の見え方は変わるため、自社の判断に使う場合は、貿易統計と取引先からの情報で裏を取ることをおすすめします。
現場で起きている4つの困りごと
ジェトロは、日本企業から寄せられた相談を4つに整理しています。数量が減ることよりも、手続きの不確かさが負担になっている様子が読み取れます。
- 該非判定:自社の製品が管理対象かどうかの判断が難しい。磁石を組み込んだ部品や、加工を加えた品目でとくに迷いやすい
- 許認可の運用:許可が出るまでの日数が読めない。約3カ月以上かかった例が多い
- 税関検査:許可を取った後も、通関時の検査に数週間から1カ月かかることがある
- 営業秘密:中国国外のサプライチェーンや製品の組成について、詳しい資料の提出を求められる場合がある
2026年の日本向け措置では、ここに「納入先がリストに載っているか」「用途が軍事に関わらないか」という確認が加わりました。影響の出方は、自社や顧客がどの立場にあるかで変わります。
リストに載っていない企業も、審査の厳格化という形で影響を受ける可能性があります。
※ジェトロ「中国による日本向け両用品目の輸出管理強化措置-日系企業に対する影響と対応-」(2026年4月)をもとに作成。
通商環境の変化が調達に及ぶという点では、米国の関税と同じ構図です。ただし関税は「コストが上がる」問題であるのに対し、輸出管理は「届くかどうかが読めない」問題であり、価格交渉では解決できない点が異なります。

なぜ磁石が急所になるのか|重希土類の役割
レアアースは17種類の元素の総称ですが、今回の許可制で影響が大きいのは、その一部である重希土類です。ここが止まると磁石が作れなくなる理由は、ネオジム磁石の弱点にあります。
ネオジム磁石は、ネオジム、鉄、ホウ素を主成分とする磁石で、実用されている永久磁石のなかで最も強力とされています。
ただし熱に弱いという性質があります。NIMS(物質・材料研究機構)の一般向け解説は、重希土類を加えていないネオジム磁石は200℃ほどまで温度が上がると磁石の力がほとんどなくなると説明しています。
温度が上がるほど保磁力(磁力を保つ力)が下がり、モーター内部でかかる逆向きの磁界に負けて磁力を失いやすくなる(減磁する)ためです。駆動用モーターの内部は走行中に高温になるため、そのままでは使えません。
そこで加えられるのが、ジスプロシウムやテルビウムです。これらを加えると、高温や逆向きの磁界にさらされても磁力を保つ力である保磁力が高まります。
NIMSは、自動車モーター用のネオジム磁石にジスプロシウムが5〜8%添加されてきたと説明しています。大同特殊鋼の技術解説も、ハイブリッド車や電気自動車の駆動モーター用に重希土類が10重量%程度添加されてきたとしています。
つまり、重量でみれば数%から1割ほどの添加元素が、磁石全体の使える温度範囲を決めるわけです。そしてこの重希土類は、供給元の偏りが極端です。
経済産業省の2026年2月の資料は、日本の重希土類の輸入について、中国への依存度が100%(2023年のデータ)だと示しています。
上流の一部が止まるだけで、下流の幅広い製品に影響が及びます。
※用途は経済産業省「マテリアル(重要鉱物・部素材)分野の課題と検討の方向性」(2026年2月)による。
磁石は1台あたりの使用量こそ小さいものの、代わりの部品をすぐに用意できない点が厄介です。モーターは磁石の特性に合わせて設計されているため、別の等級の磁石に替えるだけでも、減磁や発熱の評価をやり直すことになります。
需要の側も増えています。経済産業省の同じ資料は、IEA(国際エネルギー機関)の見通しを紹介しています。クリーンエネルギー技術向けのレアアース需要が、2040年に2024年の約2.5倍になるという見通しです。
電動化によって1台あたりの磁石の量が増えることは、部品構成の変化とあわせて押さえておきたい点です。

なお、鉱石から地金、加工品へと段階ごとに担い手が分かれる構図は、レアアースに限らず非鉄金属に共通します。全体像は鉄鋼・非鉄金属業界のサプライチェーンの記事で整理しています。
調達面の備え|許可手続きと供給源の分散
ここからは対策です。まず調達の側で、いまの制度のもとで何ができるかを見ていきます。出発点は、輸出許可がどのような流れで出るのかを知っておくことです。
輸出許可の流れを知り、書類を先回りで整える
許可を申請するのは中国側の輸出者ですが、申請書類には日本側が用意するものが含まれます。最終ユーザーと最終用途を証明する書類がその代表で、中国語訳を付けて提出します。
法定の45営業日は、商務部が正式に受理してから数えます。
※ジェトロ「中国のレアアース輸出管理(1)(2)(4)」(2026年3月)をもとに作成。
ジェトロによると、磁石は商務部内の審査(原則45営業日以内)で判断されることが多いとされます。ただし地方での審査なども含めると、申請から許可までに約3カ月以上かかる場合が多いとされています。
署名や押印の漏れ、申請書と契約書の番号・金額の不一致、用途説明の英文と中文の食い違いといった形式上の不備で差し戻される例も挙げられています。
2026年2月時点で、発行された許可のほとんどは1回ごとの個別許可とみられ、複数回の輸出をまとめて認める包括許可の運用は限定的です。
ジェトロは、過去3年間または5年間の輸出実績の提出を求められた例や、実績に比べて多すぎるとみなされた申請で許可量を減らされた例があるとしています。
そのうえで示した対応は、在庫の積み増しを目的とした大量の申請を避け、必要量に応じて都度申請することです。
磁石単体か、組み込み品か
中国商務部が公表したQ&Aでは、永久磁石を使ったモーターなどの部品や、磁石を鉄芯に埋め込んで組み立てたモーター部品は、管理の対象外とされています。
このため、磁石を単体で輸入するのをやめ、中国で部品に組み込んでから輸入する形に切り替えた企業もあります。
ただしジェトロは、この切り替えが多くの企業にとってコスト増を伴う時限的な対応だとしています。また、当局への事前相談で「該当しない」と回答されても法的な拘束力はなく、許可が不要だと保証されるわけではありません。
供給源を中国の外に広げる動き
供給源の分散も進み始めています。双日は2025年10月30日、出融資先である豪州ライナス社が製造した重希土類について、日本向けの輸入を始めたと発表しました。
豪州の鉱石をマレーシアで分離・精製したもので、同社はジスプロシウムとテルビウムの日本向け供給を2023年に確保しています。
JOGMECのレポートは、ライナス社の重希土類について、中国の外での商業規模の生産として初めてのケースだと位置づけています。フランスで建設が進む分離精製プラントにも、2025年3月に岩谷産業とJOGMECが参画しました。
一方で経済産業省は、代替供給源からの原料は従来品より高くなり、材料を切り替えるコストもかかると指摘しています。価格だけを調達基準にすると、分散は進みません。
どこまでのコスト差を安定供給の対価として受け入れるかは、購買・調達の役割のなかでも経営判断に近い部分です。
設計面の備え|省レアアース・脱レアアースの選択肢
調達の工夫だけでは、原料の偏りそのものは変わりません。中長期では、重希土類をなるべく使わない設計に移っていくことが、根本的な備えになります。選択肢は大きく5つあります。
どの選択肢にも、減らせるものと引き換えの代償や注意点があります。
※各社の公表資料、経済産業省・NEDOの資料をもとに整理。
重希土類を減らす・使わないネオジム磁石
まず、磁石の作り方で重希土類を減らす方法です。粒界拡散法は、重希土類を含む合金を磁石の表面に付けて熱処理し、結晶粒の境目を通して内部に行き渡らせる技術です。
大同特殊鋼の技術解説によれば、約900℃で10時間ほどの処理により、磁力の低下を抑えながら保磁力を高められます。
磁化が反転しやすい結晶粒の表層だけを強化するため、磁石全体に混ぜ込む従来の方法より重希土類が少なくて済みます。焼結ネオジム磁石では、これが保磁力を上げる主要な手法になっています。
さらに進んで、重希土類をまったく使わない磁石も出てきました。プロテリアルは2025年7月22日、電気自動車の駆動モーターにも使える重希土類フリーのネオジム焼結磁石を開発したと発表しています。
2つの材質のうち1つは量産工場での試作サンプルの提供を始めており、もう1つは2026年4月に量産工場での試作対応が可能になる予定としていました。
大同特殊鋼は、結晶粒を焼結磁石より1桁ほど細かくできる熱間加工磁石で、重希土類フリーを実現しています。
2026年5月13日には、この磁石を使った駆動モーター用のローターをニッパツと共同開発したと発表しました。
結晶の細かさで保磁力を稼ぐという考え方は、組成と組織で特性を作り込む材料技術の基本そのものです。
トヨタ自動車も2018年2月に、テルビウムとジスプロシウムを使わず、ネオジムの一部を産出量の多いランタンとセリウムに置き換える磁石を発表しています。
ネオジムの使用量を最大50%減らせるという内容で、発表時点では開発段階とされ、駆動用モーターでは10年以内の実用化を目指すとしていました。
フェライト磁石と、磁石を使わないモーター
レアアースをまったく含まない磁石としては、酸化鉄を主原料とするフェライト磁石があります。弱点は磁力の弱さです。
プロテリアル(当時は日立金属)は2022年12月にシミュレーションを公表しました。最大出力110キロワットの駆動モーターをフェライト磁石で設計すると、ネオジム磁石を使う場合に比べてモーターの重量が1.3倍になるという結果です。
同じシミュレーションで、最高回転数を毎分1万回転から1万5,000回転に上げれば、ほぼ同じ重量で105キロワットを出せるとも示されました。磁石の弱さを回転数で補うという設計の方向です。
磁石への依存をさらに下げる方式もあります。同期リラクタンスモーターは、ローターの鉄心の形で生まれる磁気抵抗の差を使って回る方式です。このほか、ローターにも巻線を置いて電磁石にする巻線界磁モーター、永久磁石を使わない誘導モーターがあります。
Astemoは2025年10月27日、次のモーターを開発したと発表しました。
フェライト磁石を補助的に使う主駆動用の同期リラクタンスモーター(180キロワット)と、磁石を一切使わない副駆動用(最大135キロワット)です。実用化の目標は2030年ごろです。
開発段階か量産段階かは、発表の時点とあわせて確認が必要です。
※各社・機関のニュースリリースをもとに作成。時点は発表日。その後の量産・採用の状況は各社の最新情報を確認してください。
リサイクルと、解体しやすい設計
使い終えた磁石から重希土類を取り出す取り組みも進んでいます。NEDOは2023年度から、鉱石の処理液や廃磁石といった未利用資源からジスプロシウムとテルビウムを回収する技術の開発を進めています。
経済産業省は、磁石のリサイクルの課題として量の確保とコストの低減を挙げています。とくに使用量の多い自動車では、モーターから磁石を取り出す手間が回収コストを押し上げます。
大同特殊鋼とニッパツが発表した、板ばねで磁石を固定して解体しやすくしたローターは、この課題に設計の側から応えるものです。
ここまでの選択肢に共通するのは、どれも「明日から切り替えられる」ものではないという点です。磁石の材質やモーターの方式を変えれば、耐久評価や顧客の認定をやり直すことになります。
供給が落ち着いている時期に評価だけでも済ませておくことが、次に許可が滞ったときの選択肢を増やします。
自社でまず確認したい6つのこと
最後に、磁石やモーターを直接扱っていない企業も含めて、いま確認しておきたい点をまとめます。
ジェトロのレポートも、リストに載っていない企業がまず行うこととして、調達品が両用品目にあたるか、下流の顧客がリストに載っていないかの確認を挙げています。
購買、設計、営業がそれぞれ持っている情報を突き合わせます。
※1〜3は購買と設計、4は営業、5・6は購買と設計・品質保証が持つ情報です。
とくに見落としやすいのは、購入したモーターやユニットの中に入っている磁石です。自社が磁石を直接買っていなくても、仕入先の許可が滞れば部品は届きません。
仕入先に対しては、磁石の入手経路と許可の取得状況を定期的に聞ける関係を作っておくことが現実的です。
納入先と用途の確認は、2026年の日本向け措置で新たに重みが増した項目です。輸出許可の申請では最終ユーザーと最終用途の証明が求められるため、営業部門が持つ顧客情報が、調達の可否に直結するようになっています。
関税の負担を取引先とどう分け合うかという論点は、自動車関税が部品メーカーに与える影響の記事で扱いました。輸出管理では、費用よりも情報を取引先とどう共有するかが問われます。
まとめ
- 磁石の輸出に1件ごとの許可が必要になったのは、2025年4月に始まった中・重希土類7種の輸出許可制によるもので、現在も続いている
- 2025年10月の追加措置は2026年11月10日まで暫定停止中。その後の扱いは公表されていない
- 2026年1月の日本向け措置は軍事ユーザー・軍事用途などへの輸出禁止で、民生用途の全面禁輸ではない。ただし対日輸出の審査が厳しく、長くなる可能性が指摘されている
- 重希土類はネオジム磁石の耐熱性を担い、日本の輸入は中国への依存度が100%(2023年)
- 備えは、許可手続きへの対応と供給源の分散、重希土類フリー磁石や別方式のモーターの事前評価の両面で進める
輸出管理は公告ひとつで内容が変わるため、この記事の情報も時間とともに古くなります。
この記事は2026年9月30日時点の公表情報を整理したもので、個別の取引が規制にあたるかどうかを判断するものではありません。
調達や取引の判断にあたっては、中国商務部の公告の原文、ジェトロのビジネス短信、経済産業省の発表で最新の状況を確認し、必要に応じて専門家に相談してください。
関連する職種としては購買・調達、技術テーマとしては材料技術が、このテーマと深く関わります。
磁石の主な需要先である自動車の動向は、自動車・輸送機器の業種ページから関連記事もあわせてご覧ください。
出典
出典・参考資料(20件)を開く出典・参考資料を閉じる
- 2026年1月の対日措置:ジェトロ ビジネス短信「中国、デュアルユース品目の対日輸出管理を強化」(2026年1月8日)
- 対日措置の解説・企業への影響:ジェトロ「中国による日本向け両用品目の輸出管理強化措置-日系企業に対する影響と対応-」(2026年4月)
- リストへの追加:ジェトロ ビジネス短信(2026年2月26日)、同(2026年7月1日)
- 2025年10月の追加措置と暫定停止:ジェトロ ビジネス短信(2025年10月14日)、同(2025年11月11日)
- 民生用途の審査に関する商務部の説明:ジェトロ ビジネス短信(2025年6月9日)
- 磁石の対日輸出量・企業の課題:ジェトロ「中国のレアアース輸出管理(1)日本への磁石輸出と課題」(2026年3月10日)
- 輸出許可の手続き・該非判定・包括許可:同(2)輸出許可取得プロセス、同(3)該非判定、同(4)予見性向上
- 日本政府の対応:経済産業省「赤澤経済産業大臣の閣議後記者会見の概要」(2026年1月9日)
- 重希土類の中国依存度・需要見通し・用途・リサイクルの課題:経済産業省 製造産業局「マテリアル(重要鉱物・部素材)分野の課題と検討の方向性」(2026年2月19日)
- 2025年の影響・供給源の多角化:JOGMEC「2025年 金属鉱物資源をめぐる動向」(2026年1月13日)
- 2026年1〜6月の対日輸出(報道):日本経済新聞「中国のレアアース対日輸出、1〜6月は半減」(2026年8月8日)、時事通信「中国のレアアース輸出減」(2026年7月15日)
- 豪州産重希土類の輸入:双日「豪州由来レアアース(重希土類)の輸入を開始」(2025年10月30日)
- ネオジム磁石とジスプロシウム:NIMS「材料のチカラ」コラム「レアメタル」
- 重希土類の添加・粒界拡散法・熱間加工磁石:大同特殊鋼 技報「電気製鋼」第92巻第1号「熱間加工ネオジム磁石の粒界拡散法による高特性化」(2021年)
- 重希土類フリーのネオジム焼結磁石:プロテリアル ニュースリリース(2025年7月22日)
- フェライト磁石による駆動モーター:プロテリアル(旧日立金属)ニュースリリース(2022年12月9日)
- 熱間加工磁石を使ったローター:大同特殊鋼 ニュースリリース(2026年5月13日)
- 省ネオジム耐熱磁石:トヨタ自動車 ニュースリリース(2018年2月20日)
- 同期リラクタンスモーター:Astemo ニュースリリース(2025年10月27日)
- 国の研究開発:NEDO ニュースリリース(2024年7月25日)、NEDO Web Magazine(2025年10月22日)
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