ひずみゲージとロードセルの仕組み|ブリッジ回路と設置の注意点

鋼材の表面に貼られた箔ひずみゲージとリード線の接写

ロードセルは、加わった力を電気信号に変えるセンサーです。ただし測っているのは力そのものではなく、力を受けた金属のごくわずかな伸び縮みです。

ひずみゲージは、その伸び縮みを電気抵抗の変化に変える部品で、ロードセルの中に貼られています。ブリッジ回路(小さな抵抗の変化を電圧として取り出す回路)がこの抵抗の変化を電圧にし、計測器が加わった力の値に換算します。

この記事では、ひずみゲージとロードセルの関係、ひずみゲージの原理、ブリッジ回路の働きを説明します。続いて、ロードセルの構造と種類、定格出力(mV/V)の読み方、設置と配線の注意点という順で整理します。

目次

ひずみゲージとロードセルの関係

先に関係を整理しておきます。ひずみゲージは、貼り付けた相手の伸び縮みを電気抵抗の変化に変える素子です。薄い樹脂のベースの上に金属箔の抵抗体を載せたもので、測りたい部材に接着して使います。

一方のロードセルは、力を受けると決まった量だけ変形するように作られた金属部品にひずみゲージを貼り、力を電気信号として出力できるようにした変換器です。この金属部品を起歪体(きわいたい)と呼びます。

つまりロードセルは、ひずみゲージを部品として組み込んだ完成品という位置づけになります。

エムジー(旧エム・システム技研)の解説によると、JIS B 0155にはロードセルの定義があります。定義は「加えられた力に対し、ある定義された関係で信号を発生する機器」です。

力を検出する方式は磁歪式や静電容量式などもありますが、精度が高く比較的安価に構成できることから、ひずみゲージ式が広く使われています。

図1:力が電気信号になるまでの流れ

ロードセルの中で4段階、計測器の側で2段階の変換が行われます。

ロードセルの中
01力を受ける荷重が起歪体に加わる
02起歪体がひずむ目では分からないほどわずかに伸び縮みする
03抵抗が変わる貼り付けたひずみゲージの抵抗が増減する
04電圧に変わるブリッジ回路が抵抗変化を微小な電圧として出力する
計測器の側
05増幅・デジタル化指示計や変換器が微小電圧を増幅し、数値に変換する
06表示・出力荷重や質量として表示し、制御機器へ渡す

※部材に直接ひずみゲージを貼る応力測定では、01〜02が「測りたい部材そのもの」に置き換わります。

この流れのうち、03と04が本記事の中心です。センサー全般の分類や信号の伝わり方はセンサー・計測の基本原理の記事で扱っているため、ここでは荷重とひずみの計測に絞って見ていきます。

ひずみゲージの原理

試験機に取り付けた試験片とひずみゲージ

ひずみゲージを理解するには、「ひずみ」という量と、それが抵抗変化に変わる比率であるゲージ率の2つを押さえれば十分です。順に見ていきます。

ひずみとは

ひずみは、元の長さに対してどれだけ伸びたか、または縮んだかの割合です。元の長さをL、変化した量をΔLとすると、ひずみεはΔL÷Lで表されます。長さを長さで割るため単位はありません。

共和電業の資料では、長さ100mmの材料が0.01mm伸びたときのひずみを100×10⁻⁶と説明しています。金属のひずみはこのように非常に小さいため、×10⁻⁶(マイクロひずみ、με)を付けて表すのが一般的です。

材料が弾性の範囲にあるとき、応力とひずみは比例します(フックの法則)。このため、ひずみを測れば材料にかかっている応力が分かります。

設計段階で計算した応力を、実機にひずみゲージを貼って確かめる作業は今も広く行われており、CAEによる応力解析の結果を検証する手段としても使われます。

抵抗変化とゲージ率

金属線を引っ張ると、長くなると同時に細くなります。電気抵抗は長さに比例し断面積に反比例するため、伸びれば抵抗が増え、縮めば減ります。ひずみゲージはこの性質を利用しています。

抵抗の変化率とひずみの間には、ΔR÷R=K×εという比例関係が成り立ちます。Rはゲージの抵抗値、ΔRはその変化量、Kがゲージ率です。

ゲージ率はひずみゲージの感度を表す係数で、一般用のゲージに使われる銅・ニッケル系やニッケル・クロム系の合金ではほぼ2になります。

正確な値はゲージのパッケージに記載されているので、測定時はその値を計測器に設定します。次の図は、この式に具体的な数字を入れた想定例です。

図2:ひずみが抵抗変化になる大きさ(想定例)

抵抗の変化は、元の抵抗値のごく一部にすぎません。

ひずみ ε1000×10⁻⁶100mmの部材が0.1mm伸びた状態に相当
ゲージ率 K2一般用の箔ひずみゲージの代表的な値
抵抗変化 ΔR0.24Ω120Ωのゲージで 120×2×0.001。元の抵抗の0.2%
ΔR ÷ R = K × ε → ΔR = 120Ω × 2 × 1000×10⁻⁶ = 0.24Ω

※数値は式に当てはめた想定例です。実際のゲージ率はゲージごとに表示された値を使います。

120Ωが120.24Ωになる程度の変化を、テスターで直接読み取るのは現実的ではありません。ここで必要になるのが、後述するブリッジ回路です。

ゲージの構造と抵抗値

ひずみゲージには箔ひずみゲージ、線ひずみゲージ、半導体ひずみゲージなどの種類があります。一般的なのは箔ひずみゲージで、電気を通さない樹脂のベースに、抵抗体の金属箔と引き出し線を取り付けた構造です。

部材のひずみは、接着剤とベースを通って金属箔に伝わります。そのため接着の良し悪しが測定値にそのまま表れます。相手の材質や温度に合ったゲージと接着剤を選び、決められた手順で貼ることが前提になります。

抵抗値にも使い分けがあります。共和電業の選定資料では、120Ωを一般の応力測定用、350〜1000Ωを変換器用としています。ロードセルの解説で入力抵抗350Ωの例がよく使われるのも、この区分に沿ったものです。

ブリッジ回路で抵抗変化を電圧に変える

ひずみゲージのわずかな抵抗変化は、ホイートストンブリッジと呼ばれる回路で電圧に変換します。4つの抵抗をひし形につないだ回路で、微小な抵抗変化の検出に向いています。

ホイートストンブリッジの出力式

ブリッジの向かい合う頂点に電圧Eを加え、残りの2つの頂点の間の電圧eを出力として取り出します。4つの抵抗がつり合っていれば、印加電圧がいくらであっても出力は0Vです。どれか1つの抵抗が変わるとつり合いが崩れ、その分だけ電圧が現れます。

図3:ホイートストンブリッジ(1ゲージ法)

R1がひずみゲージ、R2〜R4が固定抵抗です。

R1(ゲージ)R2R3R4印加電圧 E(+)印加電圧 E(−)出力 −出力 +出力電圧 e
4辺が同じ抵抗値のとき e =(E ÷ 4)× K × ε

※抵抗変化が元の抵抗値に比べて十分小さい場合の近似式です(東京測器研究所のカタログに基づく)。

4辺が同じ抵抗値で、1辺だけをひずみゲージにした場合、出力電圧はe=(E÷4)×K×εで表されます。印加電圧とゲージ率が決まっていれば、出力電圧はひずみに比例します。

想定例として、印加電圧2V、ゲージ率2、ひずみ1000×10⁻⁶を入れると、出力は(2÷4)×2×0.001=0.001V、つまり1mVになります。

信号はこのように小さく、共和電業の資料ではひずみアンプで5000〜10000倍に増幅すると説明されています。

1ゲージ法・2ゲージ法・4ゲージ法

ブリッジの4辺のうち、何辺をひずみゲージにするかで呼び方が変わります。1辺なら1ゲージ法、2辺なら2ゲージ法、4辺すべてなら4ゲージ法です。

ブリッジには、隣り合う辺に同じ向きの変化が入ると打ち消し合い、逆向きの変化が入ると足し合わされるという性質があります。この性質を使うと、出力を大きくしたり、不要な成分を消したりできます。

たとえば、片持ちのはりの表と裏にゲージを1枚ずつ貼り、隣り合う辺に入れたとします。曲げでは表が伸びて裏が縮むため、符号が逆の変化が隣り合う辺に入り、出力は2倍になります。

一方、温度による変化や単純な引張は表裏で同じ向きに出るので、打ち消されます。

図4:ブリッジの組み方による違い

ゲージの枚数と入れる辺によって、出力の大きさと打ち消せる誤差が変わります。

出力(1ゲージ法との比)
特徴と主な使いどころ
1ゲージ法(2線式)
1倍
最も簡便。温度とリード線の影響を受けやすい
1ゲージ法(3線式)
1倍
リード線の温度影響を打ち消せる。温度変化が大きい、線が長い場合に使う
2ゲージ法(アクティブ・ダミー)
1倍
力のかからない同じ材料にもう1枚を貼り、温度による変化を打ち消す
2ゲージ法(曲げ、表と裏)
2倍
曲げだけを取り出し、引張・圧縮と温度の影響を打ち消す
4ゲージ法(曲げ、表裏2枚ずつ)
4倍
出力が大きく温度補償にも優れる。ロードセルなどの変換器で使われる

※倍率はキーエンスの解説(ブリッジ回路の組み方)に基づきます。貼る向きや配置によって倍率は変わります。

温度とリード線の影響

ひずみ測定で誤差の原因になりやすいのが温度です。温度が変わると、部材とゲージの膨張のしかたの違いや、ゲージ自体の抵抗変化によって、力が加わっていなくても出力が変わります。これを見かけひずみと呼びます。

対策の1つが自己温度補償ゲージです。

自己温度補償ゲージは、貼る相手の材料に合わせて抵抗体の温度特性を調整したものです。共和電業の製品では、適合する材料に貼った場合の見かけひずみを、自己温度補償範囲の平均で±1.8×10⁻⁶/℃以内(代表値)に抑えています。

ゲージの型式には適合する線膨張係数が示されているので、相手の材料に合った品番を選ぶことが条件です。

もう1つの原因がリード線です。1ゲージ法を2本の線でつなぐと、リード線の抵抗がそのままゲージと同じ辺に入り、線の温度変化が見かけひずみになります。

共和電業の資料では、120Ωのゲージに断面積0.11mm²の線を1mつないだ場合、1℃あたり約5.19×10⁻⁶の見かけひずみが出るとされています。

この値に線の長さと温度差を単純に掛けた概算では、同じ線を5m引き回して温度が10℃変わると、5.19×5×10で約260×10⁻⁶の見かけひずみになります。

測りたいひずみが数百×10⁻⁶であれば、無視できない大きさです。3線式にすると、リード線の抵抗が隣り合う2辺に分かれて入るため打ち消されます。

3本の線は種類、長さ、太さをそろえるのが条件です。

ロードセルの構造と種類

形状の異なる4種類のロードセルを並べた俯瞰

ここまでの内容を1つの部品にまとめたものがロードセルです。起歪体にひずみゲージを貼り、ブリッジを組み、温度による変化を抑える抵抗まで組み込んで、力に比例した電圧が出るように調整されています。

性能の土台になるのが起歪体です。エー・アンド・デイの解説では、起歪体に求められる性質として、クリープが少ないこと、比例限度が高いこと、経年変化が少ないことなどを挙げています。

クリープは、力をかけ続けたときに変形が時間とともに増える現象です。材料にはニッケルクロムモリブデン鋼、ステンレス鋼、アルミニウム合金が一般に使われます。

ひずみゲージは、起歪体の中で最もひずみが大きく出る場所に貼られます。伸びる場所と縮む場所に2枚ずつ貼って4ゲージ法のブリッジを組むのが代表的な構成で、出力が大きくなると同時に、温度による変化が4辺で打ち消し合います。

実際のロードセルには、ブリッジに加えていくつもの抵抗が入っています。無負荷時の出力をそろえるゼロバランス調整、温度による零点と出力の変化を抑える補償、出力感度の調整などです。

ユーザーは中身を意識せず、仕様書に書かれた特性を前提に使える状態で出荷されています。

起歪体の形状による違い

ロードセルは、起歪体の形状によって得意な容量と用途が分かれます。形状が違っても、ひずみが出る場所にゲージを貼ってブリッジで取り出すという原理は共通です。

図5:起歪体の形状と向いている用途

容量の目安と取り付け方で、選ぶ形状が変わります。

ロバーバル型(平行ビーム型)
1kg〜1t皿のどこに載せても値が変わりにくく、1本ではかりを作れる。卓上はかりや台はかり向け
シャー型(せん断型)
100kg〜20tゲージを45°に貼り、せん断ひずみを測る。横からの力に強く、小型にしやすい
コラム型(円柱型)
2〜300t柱を圧縮・引張する単純な構造。大容量でも小さくできるが、小容量には向かない
リング型(円環型)
500kg〜20t中容量のものが多く、高い精度を得やすい形状とされる
ダイヤフラム型
低床円板の中心に力を受ける。高さを抑えられる一方、精度は他の形状に及ばないとされる
S字型
引張・圧縮両端に力をかけて使う。吊り下げ式の計量や、引張試験・疲労試験でよく使われる

※容量の範囲はエー・アンド・デイ「ロードセル入門」が示す一般的な目安です。S字型の用途はミネベアミツミの解説に基づきます。製品ごとの範囲はカタログで確認してください。

使い方の面では、1本ではかりを構成するシングルポイント型と、3〜4本で1つの台やタンクを支えるマルチポイント型という分け方もあります。後者では、複数のロードセルの信号を1つにまとめる和算箱を使います。

定格出力(mV/V)と仕様書の読み方

ロードセルのカタログには、ひずみやゲージ率は出てきません。代わりに並んでいるのが、定格容量、定格出力、非直線性といった項目です。ここまでの原理と結びつけながら読み方を整理します。

定格出力と印加電圧

定格容量は、そのロードセルが仕様を保って測れる最大の荷重です。定格出力は、無負荷のときと定格容量の荷重をかけたときの出力の差を指し、単位にはmV/Vが使われます。

mV/Vは、印加電圧1Vあたり何mVの出力が得られるかという意味です。ブリッジの出力は印加電圧に比例するため、電圧を決めないと出力が決まりません。

そこで1Vあたりの値で表しています。ユニパルスの解説では、定格出力2.012mV/Vのロードセルに5Vを加えて定格荷重をかけると、出力は10.06mVになると説明されています。

この数字は、指示計を選ぶときに効いてきます。最小表示1つ分に相当する電圧が、指示計の入力感度より大きくなければ、その細かさでは表示できないからです。

図6:定格出力から1目あたりの電圧を求める(想定例)

定格容量50kg・定格出力2mV/Vのロードセルで、10g単位の表示をしたい場合です。

定格出力 2mV/V印加電圧1Vあたり、定格荷重で2mVの出力
印加電圧 5V
定格荷重(50kg)で 10mV2mV/V × 5V。20kgを載せたときは 4mV
50kg ÷ 10g = 5000目
1目あたり 2μV10mV ÷ 5000。指示計の入力感度がこれより細かい必要がある

※数値は計算の流れを示すための想定例です。実際の選定では、風袋(容器など)の重さも含めて検討します。

印加電圧を上げれば出力は大きくなりますが、ロードセルには推奨印加電圧や最大印加電圧が決められています。エムジーの解説では、以前は10Vが主流で、最近は5Vのものも増えているとされています。

電圧を下げると信号も小さくなり、ノイズの影響を受けやすくなる点には注意が必要です。

等価ひずみで表された定格出力

国内のメーカーでは、定格出力を「3000×10⁻⁶ひずみ」のように、ひずみの単位で書いている場合があります。これは等価ひずみと呼ばれる表し方です。

換算は1mV/V=2000×10⁻⁶ひずみです。1.5mV/Vなら3000×10⁻⁶ひずみになります。

共和電業の資料によると、ゲージ率2の1ゲージ法に2Vを加えたとき、出力のμV値とひずみの×10⁻⁶値は同じ数字になります。

等価ひずみはこの関係を利用した便宜上の表現で、起歪体に実際に生じているひずみを表しているわけではありません。

精度に関わる仕様

定格容量と定格出力のほかに、精度を左右する項目がいくつかあります。多くは定格出力に対する割合(%R.O.などの表記)で示されます。

図7:仕様書でよく出てくる用語

どの項目が自分の用途で効くかを見分けるための整理です。

意味
効いてくる場面
非直線性
無負荷と定格負荷を結ぶ直線から、出力が最も外れる量
軽い荷重から重い荷重まで広い範囲を測るとき
ヒステリシス
荷重を増やすときと減らすときの、同じ荷重での出力の差
投入と排出を繰り返す計量、増減の両方を測る試験
繰り返し性
同じ荷重を同じ条件で繰り返しかけたときの出力のばらつき
同じ重さを何度も量る充填・検査工程
クリープ
荷重をかけ続けたとき、時間とともに出力が変わる量
タンクやホッパーのように荷重が載ったままの用途
零点・出力の温度影響
周囲温度の変化による、無負荷時の出力と感度の変化
屋外や、昼夜・季節の温度差が大きい場所
許容過負荷
特性に永久的な変化を残さずにかけられる最大の荷重
衝撃や落下、偏った載せ方が起こりうる設備

※定義はエー・アンド・デイおよび共和電業の用語解説に基づきます。メーカーにより呼び方や測定条件が異なる場合があります。

非直線性、ヒステリシス、繰り返し性をまとめて総合誤差として示すカタログもあります。すべての項目を同じ重みで見るのではなく、自分の使い方でどの誤差が表に出るかを先に決めると、必要な等級が見えてきます。

たとえば毎回ゼロ点を取り直す計量であれば、零点の温度影響は問題になりにくくなります。

設置と配線の注意点

タンクの脚部に据え付けた圧縮型ロードセル

ロードセルは、仕様書どおりの精度を出せるかどうかが取り付け方で決まるセンサーです。原理を踏まえると、注意点の理由も見えてきます。

図8:設置・配線で確認する6つの点

荷重の掛け方と電気的な扱いの両方を確認します。

荷重の向き中心軸にまっすぐ掛かっているか。横からの力や曲げが入っていないか
取り付け面平らで十分な強度があるか。荷重で沈み込んだり傾いたりしないか
定格容量の余裕容器の重さ、衝撃、偏りを見込んだ容量になっているか
ケーブルの長さ延長による感度の低下を見込んでいるか。長い場合は6線式を検討したか
ノイズ対策シールド線を使い、動力線から離しているか。シールドの接地は1点か
熱と溶接直射熱や急な温度変化を避けているか。近くの電気溶接は取り付け前に済ませたか

荷重は中心軸にまっすぐ掛ける

ロードセルは、決められた方向の力を受けたときに、ゲージを貼った場所へ設計どおりのひずみが出るように作られています。

共和電業の資料でも、定格容量は中心軸に荷重が掛かる場合で設計されているとされています。傾いた荷重、水平方向の力、曲げやねじりが加わると、精度が落ちるだけでなく破損につながるという説明です。

取り付け面は、荷重の方向に対して直角になるように据え付けます。設置場所の強度も重要で、荷重によって床や架台が沈み込むような場所では正しい値が得られません。

タンクやホッパーを複数のロードセルで支える場合は、熱による伸び縮みにも配慮します。

ミネベアミツミの技術情報では、タンクが温度変化で膨張・収縮すると、取り付け部が水平に動いてロードセルに偏った荷重が掛かるおそれがあるとしています。

水平方向の動きを逃がしつつ、地震や強風での横ずれと転倒を防ぐ専用の取付金具が用意されているのは、このためです。

定格容量は余裕を持って選ぶ

ロードセルの故障で多いのは、想定を超える力が掛かる過負荷です。量りたい重さだけで容量を決めると、容器の重さや載せるときの衝撃、荷重の偏りを受け止めきれません。

エー・アンド・デイは、工業用のホッパースケールなどでの容量選定の式を示しています。(正味の重さ×動係数+容器の重さ)×偏心係数×アンバランス係数÷ロードセルの本数で、定格容量はこの値より大きくするとしています。

動係数は正味の重さだけに掛けます。係数は通常、動係数1.3、偏心係数1.2で、アンバランス係数は3本のとき1.0、4本のとき1.2です。

想定例として、正味2t、容器1tのタンクを3本で支える場合、(2×1.3+1)×1.2×1.0÷3=1.44tになります。

この結果から、1本あたり1tではなく、1.44tを上回る2tなどの定格容量を選ぶという判断になります。衝撃や振動が大きい設備、吊り下げて使う場合は、さらに余裕を見込みます。

複数個で支えるときの考え方

共和電業の資料によると、同じ型式のロードセルを並列につなぐと、出力電圧は各ロードセルの出力の平均になります。

各ロードセルの感度がそろっていれば、荷重の分かれ方が均等でなくても、平均は合計の荷重に比例します。実際には個体差があるため、載せる位置による差は和算箱の可変抵抗で調整します。

並列にすると、電源側から見た抵抗は下がります。エムジーの解説では、入力抵抗350Ωのロードセルは10Vで約28mAを消費し、2個並列では約57mAになります。

指示計や変換器が供給できる電流を超えないか、接続する本数と印加電圧の組み合わせで確認しておく必要があります。

ケーブルとノイズ

ロードセルの信号は大きくても数十mV程度の小さな電圧なので、ケーブルの影響を受けます。ケーブルには抵抗があり、長くなるとロードセルに届く印加電圧が下がって、出力もその分小さくなります。

共和電業の資料では、ブリッジ抵抗350Ωのセンサーに断面積0.5mm²のケーブルを100mつなぐと、感度が約2.2%下がるとされています。

往復の抵抗が約8Ωになり、350÷(350+8)で電圧が約0.978倍になるためです。さらにケーブルの抵抗は温度で変わるので、低下の度合いも一定ではありません。

この対策が6線式(リモートセンシング)です。電源線と信号線の4本に、ロードセルの根元の電圧を監視する2本を加え、印加電圧を一定に保ちます。

4線式のロードセルを6線式対応の指示計につなぐ場合は、指示計側で端子の短絡処理が必要になるため、取扱説明書の結線図を確認します。

ノイズ対策では、シールド付きケーブルを使い、モーターやインバーターなどの動力線から離して配線します。離す距離の目安として、エー・アンド・デイは高圧電源から300mm以上、エムジーは電力線から1m以上を挙げています。

シールドは指示計側の1点で接地するのが基本です。複数箇所で接地すると、接地点の間の電位差がノイズの原因になります。

取り付け後に近くで電気溶接を行う場合は、溶接電流がロードセルを通らないようにします。可能であれば、溶接は取り付け前に済ませておくのが安全です。

指示計や変換器から先は、4〜20mA DCなどの統一信号に変換してPLCに取り込み、計量や充填の制御に使う構成がよく見られます。

値がおかしいときの切り分け

運用を始めてから値がふらつく、ゼロ点が戻らないといった症状が出たときは、原理に沿って原因を分けて考えます。

  • 値が細かくふらつく:動力線との近接、シールドの多点接地など電気的な要因
  • ゼロ点が時間とともに動く:直射熱や急な温度変化、ケーブルが引っ張られている
  • ゼロ点が大きくずれたまま戻らない:過負荷や衝撃による起歪体の永久変形
  • 湿気の多い場所で値が不安定:絶縁抵抗の低下

絶縁抵抗について、共和電業は一般のひずみ測定で100MΩ以上あれば問題にならない場合がほとんどとしています。ロードセルの製造工程でも入出力の抵抗と絶縁抵抗が検査されており、不調のときにまず確かめたい項目です。

なお、据え付けた状態で正しい値を示しているかどうかは、基準となる分銅や力で確かめる校正でしか分かりません。設置後の校正と定期的な点検までを含めて、計量の精度が決まります。

まとめ

この記事のまとめ
  • ひずみゲージは伸び縮みを抵抗変化に変える素子で、ロードセルはそれを起歪体に貼って力を電圧にする変換器
  • 抵抗の変化率はゲージ率(約2)×ひずみで決まり、変化はごくわずか
  • ブリッジ回路が抵抗変化を電圧に変え、ゲージの枚数と配置で出力の大きさと温度補償が変わる
  • 定格出力のmV/Vは印加電圧1Vあたりの出力で、指示計の分解能を検討する起点になる
  • 荷重の向き、容量の余裕、ケーブルの長さ、シールドの接地が設置時の要点

ひずみゲージとロードセルは、原理を一度つかめば、仕様書の数字や設置の注意点を理由とあわせて読めるようになります。

関連する技術テーマはセンサー・計測、職種では計量設備や治具を設計する生産技術、指示計やアンプまわりを担当する電気・電子設計のページもあわせてご覧ください。

出典

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プラント機器メーカーとプラントメーカーで約10年、設備の提案・設計・試運転に携わったのち、Webマーケターに転身。現在はBtoB製造業専門のWebコンサルタントとして、メーカーの情報発信を支援しています。エネルギー管理士/第三種電気主任技術者。工業技術ブログを2017年から運営(500本以上執筆)、YouTube登録者約2万人、Xフォロワー約1万人。

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