ポンプの性能曲線とは?HQ曲線(QH曲線)の見方と運転点・選び方

ポンプの性能試験設備。モーター直結の渦巻ポンプと流量計・圧力計付きの配管

ポンプの性能曲線とは、吐出量(流量)を横軸に、全揚程・効率・軸動力・必要NPSHを縦軸にとったグラフです。このうち全揚程と吐出量の関係を表す1本が、HQ曲線(QH曲線)で、H-Q曲線、Q-H曲線、QHカーブと書かれることもありますが、どれも同じものを指します。

この記事では、性能曲線の意味と、現場に合うポンプを選ぶときの見方を整理します。読む順番は、必要な流量・揚程 → 配管との交点(運転点) → 効率 → 軸動力 → NPSHで、最後にカタログの実例と、性能曲線の作り方も紹介します。

目次

性能曲線とは

ポンプは羽根車が回ることで、流体にエネルギーを与える機器です。その作用は1点で固定されるわけではなく、ある程度の幅を持っています。

全揚程、軸動力、電流、効率などは、吐出される流量によって変わります。それぞれの値を縦軸にとり、横軸を吐出量で表したグラフを性能曲線と呼びます。

この中でも、全揚程と吐出量の関係を表したものをHQ曲線(QH曲線)と呼んでいます(下図)。Hは水頭を表すHeight、Qは流量を表すQuantityから来ているとされます(英語では揚程をheadと呼びます)。

ターボポンプの用語を定めた JIS B 0131 では、この曲線を「揚程曲線」と呼び、性能曲線は「性能曲線図」「特性曲線」と呼ばれることもあります。

ポンプの性能曲線の模式図。HQ曲線・効率曲線・軸動力曲線を吐出量に対して描いたもの

このグラフを見ると、必要な揚程を確保したときに流れる流量や、欲しい流量を流したときの圧力を推定でき、流量と圧力の関係式や、弁で流量を調整する方法は、ポンプの流量と圧力の関係で確認できます。

性能曲線に描かれる4本の曲線

メーカーのカタログの性能曲線には、ふつう次の4本が同じ横軸(吐出量)で描かれていますが、上の図では、このうち3本を描いています。

図1:性能曲線に描かれる曲線と、読み取るもの

横軸はどれも吐出量です。縦軸だけが曲線ごとに変わります。

表すもの
流量が増えると
選定で読むこと
揚程曲線(HQ曲線)
吐出量と全揚程の関係
揚程は下がる(右下がり)
必要な揚程と流量を満たすか。運転点の位置
効率曲線
吐出量とポンプ効率の関係
山なりで、頂点が最高効率点(BEP)
運転点がBEPの近くにあるか
軸動力曲線
吐出量と軸動力の関係
渦巻ポンプでは増える
モーターの出力が足りるか
必要NPSH曲線
吐出量と必要NPSH(NPSHr)の関係
大きくなる
吸込み側の余裕が足りるか

※縦軸の目盛りは曲線ごとに別です。カタログによっては、揚程と軸動力・NPSHを別の図に分けて描きます。用語は JIS B 0131(テラルの用語集で確認)によります。

電流値を描くカタログもありますが、電流は軸動力とほぼ同じ形で増えるので、読み方は軸動力曲線と同じです。理由はポンプの電流値が決まるしくみにまとめています。

HQ曲線が右下がりになる理由と締切揚程

渦巻ポンプでは、流量が少ないほど揚程が高く、流量が多いほど揚程が低くなります。HQ曲線が右下がりになるのはこのためです。

吐出し側の弁を全部閉じて流量をゼロにしたときの揚程を、締切揚程と呼び、HQ曲線の左端(縦軸と交わる点)がこれにあたり、右下がりの曲線なら、このポンプが出せる最も高い揚程です。

ただし締切のまま運転を続けると、ポンプの中の圧力と温度が上がり、故障の原因になります。荏原製作所のSCD型の取扱説明書では、吐出し弁を閉じたまま1分間以上運転しないよう注意しており、ケーシングなどの破損や、モーター焼損のおそれがあるためです。

小流量で運転する設備では、ミニマムフロー(最小流量)を流す配管で対策します。機種によっては、小流量側でHQ曲線がいったん右上がりになる範囲があり、この範囲で運転するとサージングのおそれがあるため、曲線の形も確かめておきます。

性能曲線の見方

ここからは、実際の業務でポンプを選定するときをイメージしながら説明します。読む順番は次のとおりです。

図2:性能曲線を読む5つの手順

揚程曲線で候補を絞り、残りの3本で合否を確かめます。

01H1とQ1を決める必要な流量と、配管の損失を含めた必要な揚程を出す
02型式を絞るHQ曲線がH1・Q1の点より右上を通る型式を選ぶ
03運転点を確かめる配管の抵抗曲線とHQ曲線の交点が、実際に運転する点
04効率と軸動力を見る運転点がBEPの近くか。モーター出力が足りるか
05NPSHを見る吸込み側の有効NPSHが、必要NPSHを余裕をもって上回るか

必要な揚程H1と流量Q1を決める

まず、現場で必要な揚程H1と流量Q1を想定し、H1については、流体の使用先までの距離や曲がりから配管の圧力損失を計算して加算します。全揚程は、吸込み水面から吐出し水面までの高さ(実揚程)に、管路の損失を足したものです。

  • 実揚程:吸込み側と吐出し側の液面の高さの差
  • 配管の損失:直管の摩擦と、エルボ・弁・継手・ストレーナなどの局部抵抗
  • 圧力の差:密閉タンクへ送る場合は、送り先と吸込み元の圧力の差も揚程に足す

配管の損失は、流量のおおむね2乗に比例して増え、流量を2倍にすると、損失は約4倍で、Q1については、使用される瞬間最大流量や今後の増産などを想定し、余裕をみた数字で検討しましょう。

使用先が複数あるなら、同時に使う量を足し上げ、季節や生産量で流量が変わる設備では、最大のときと最小のときの両方を控えておくと、後の確認で使えます。

HQ曲線にH1・Q1をプロットして型式を選ぶ

HQ曲線上でH1/Q1をプロットし、数あるポンプの型式から、曲線がQ1とH1よりも右上側を通るポンプを選定します。

型式A・B・CのHQ曲線に必要揚程H1と流量Q1をプロットした選定の模式図

上の図でいうと、型式Bを選ぶのが最適です。型式AはH1・Q1の点より下を通るので、必要な揚程が出ません。

大きすぎる型式(図の型式C)を選ぶと、圧力が高くなりすぎたり、電力消費が多くなったりするので注意してください。荏原製作所の取扱説明書でも、過小・過大な吐出量での運転は騒音・振動の原因になり、無駄な電力を消費するとしています。

候補を絞ったら、次は実際の配管とつないだときに、どこで運転するかを確かめます。

抵抗曲線との交点が運転点になる

実際にポンプを導入した場合には、Q1/H1の交点ではなく、赤い性能曲線(型式B)上での運転となり、バルブで絞りを入れるなどして、必要な吐出量を調整します。

どこで運転するかを決めるのが、配管の抵抗曲線(システムカーブ)です。流量ごとに、配管がポンプに求める揚程を描いた曲線で、実揚程から始まり、損失の分だけ右上がりになります。

HQ曲線と抵抗曲線の交点が、実際にポンプが運転する点(運転点)です。ポンプが出す揚程と、配管が求める揚程がちょうど釣り合う流量で落ち着きます。

図3:HQ曲線と抵抗曲線の交点=運転点

右下がりのHQ曲線と、右上がりの抵抗曲線が交わる1点で運転します。

実揚程運転点HQ曲線抵抗曲線締切流量吐出量 →揚程全揚程
HQ曲線:ポンプが出せる揚程抵抗曲線:配管が求める揚程実揚程:流量に関係なく必要な高さ

※曲線の形は説明用の模式図です。抵抗曲線は、実揚程に配管の損失(流量のおおむね2乗で増える)を足して描きます。

仮の数字で見てみます。実揚程10m、流量400L/minのときの配管損失が20mの配管なら、抵抗曲線は400L/minで30m、300L/minで約21mを通ります。

この配管に、400L/minで全揚程30.2mを出すポンプをつなぐと、運転点はほぼ400L/min・30mになります。後で紹介するカタログの実例と同じポンプです。

運転点は、設置した後も一定ではなく、ストレーナの詰まりや弁の開度で抵抗曲線が変わり、羽根車の摩耗でHQ曲線が下がると、運転点は動きます。

保全で吐出圧力や電流値の変化を追うのは、この動きをつかむためで、原因の切り分けはポンプの吐出圧力が低下する原因で、点検の考え方は設備保全のTBMとCBMで整理しています。

効率曲線で最高効率点(BEP)を確かめる

効率曲線は、吐出量とポンプ効率の関係を表した曲線で、山なりの形をしていて、その頂点を最高効率点(BEP:Best Efficiency Point)と呼びます。

JIS B 0131 を参考にしたテラルの用語集では、最高効率点を「最も経済的に運転するポイント」と説明しており、運転点がBEPの近くにあれば、同じ仕事を少ない電力でこなせます。

運転点がBEPから大きく外れると、効率が下がるだけでなく、振動や騒音も出やすくなり、小流量側に外れる場合は、先に触れたミニマムフローとサージングにも注意が要ります。効率を確かめたら、次はその運転点でどれだけの動力が要るかを見ます。

軸動力曲線からモーターを選ぶ

ポンプとモーターを別で選ぶ必要がある場合(選ぶことができる場合)には、軸動力kWが記載された性能曲線も参照します。Q1の値と軸動力曲線が交わるポイントが必要動力になるため、この値より大きなモーターを選定します。

軸動力は、水動力(ポンプが液に渡す動力)をポンプ効率で割ったもので、式で書くと次のようになります。

Pw = ρ × g × Q × H
P = Pwη
Pw:水動力[W] ρ:液の密度[kg/m3] g:重力加速度 9.8[m/s2] Q:吐出量[m3/s] H:全揚程[m] P:軸動力[W] η:ポンプ効率(小数)

渦巻ポンプでは、流量が増えると軸動力も増えるため、運転点だけでなく、弁を開けすぎたときなど流量が最も多くなる側でも、モーター出力に収まるかを確かめておきます。

式から分かるとおり、軸動力は液の密度に比例するため、水より重い液を送るときは、カタログの水での値を密度の比で読み替え、計算の手順はポンプの軸動力を計算する方法を参考にしてください。

モーター自体の選び方は、モーターの種類と違いもあわせてご覧ください。

必要NPSH曲線で吸込み側を確かめる

必要NPSH(NPSHr)は、キャビテーションによる性能低下を避けるために、ポンプが吸込み側に求める余裕の大きさで、単位はmで表します。

必要NPSH曲線は、流量が多いほど右上がりに大きくなるのがふつうで、最大流量のときに最も厳しくなります。これと比べるのが、吸込み側の配管が実際に用意できる有効NPSH(NPSHa)で、NPSHaは、主に次の条件で決まります。

  • 吸込み液面にかかる圧力(開放タンクなら大気圧)
  • 吸込み液面とポンプの高さの関係(押込みか、吸上げか)
  • 吸込み配管の損失(流量が多いほど大きい)
  • 液温(温度が高いほど飽和蒸気圧が上がり、NPSHaは小さくなる)

NPSHaがNPSHrを余裕をもって上回っていれば合格で、Grundfosは、運転範囲の最大流量・最高温度で確かめ、最小でも0.5mの余裕を推奨しています(用途によってはさらに大きく)。

カタログには「NPSH3」と書かれることもあり、吸込み条件を厳しくしていき、キャビテーションで全揚程が3%下がったときのNPSHのことで、この点ではすでに性能が落ち始めています。

NPSHaの計算方法は、NPSHとは何か、考え方と計算方法で詳しく説明しています。

インバータで回転数を変えたときの性能曲線

インバータ制御を導入すると、大きめのモーターでも回転数を調整し、電力消費を抑えることができます。インバータの仕組みはインバータ制御とはで解説しています。同じポンプで回転数だけを変えると、性能曲線は次の関係(相似則)で動き、回転数を下げると、HQ曲線は下へ縮みます。

Q2Q1 = N2N1  H2H1 = (N2N1)2  P2P1 = (N2N1)3
N:回転数 Q:吐出量 H:全揚程 P:軸動力。添字1は元の回転数、2は変えた後。例:回転数を80%にすると、流量80%・揚程64%・軸動力51.2%

流量を減らす方法には、弁で絞るやり方と、回転数を下げるやり方があり、運転点の動き方が違うので、電力の差が出ます。

図4:弁で絞る/回転数を下げるで運転点がどう動くか

同じ流量まで減らしても、弁は揚程が上がり、回転数は揚程が下がります。

ABC吐出量 →全揚程
HQ曲線(元の回転数)HQ曲線(回転数を下げた後)元の抵抗曲線弁で絞った抵抗曲線A 元の運転点/B 弁で絞る/C 回転数を下げる
B 弁で絞る
C 回転数を下げる
動くもの
抵抗曲線が立ち上がる
HQ曲線が下がる
運転点
HQ曲線に沿って左上へ。揚程は上がる
抵抗曲線に沿って左下へ。揚程は下がる
電力
余った揚程を弁で捨てるので、あまり減らない
余分な揚程を出さないので、大きく減る

※模式図です。回転数を下げても、実揚程より低い揚程では送れません。実揚程が大きい系ほど、回転数で下げられる範囲と省エネの効果は小さくなります。

中小企業基盤整備機構の省エネQ&Aでも、弁で絞ると抵抗曲線が上がって電力はあまり下がらず、回転数を下げると大きく下がる、と説明していますが、その試算は実揚程を0mとした条件です。

工場全体での省エネの進め方は、工場の省エネとエネルギー管理の基本で整理しています。

カタログの性能曲線を読んでみる

ここまでの見方を、実際のカタログの数字で一巡させます。例にするのは、寺田ポンプ製作所のマグネットポンプ TM-545 の予想性能曲線です。

条件は、モーター3.7kW、周波数60Hz、適用比重1.0以下で、性能曲線は、この3つの条件がそろったときの値なので、まず図の欄外で確かめます。

図5:カタログの数字で読む性能曲線(寺田ポンプ TM-545、3.7kW・60Hz)

流量が増えると揚程は下がり、軸動力とNPSHrは上がります。効率は400L/min付近が頂点です。

吐出量
L/min
全揚程
m
効率 %
軸動力
kW
NPSHr
m
30
41.3
12.1
1.67
1.0
200
39.1
45.0
2.83
1.1
300
35.3
52.6
3.28
1.7
400
30.2
56.3
3.50
2.5
500
24.5
55.0
3.63
4.8

※寺田ポンプ製作所「TM-545 予想性能曲線」(No. TMP-241610-150)の表から抜粋。水動力(ρgQH)を効率で割ると、表の軸動力とほぼ一致します(例:400L/minで水動力1.969kW÷0.563=3.50kW)。

表から、次のことが読み取れます。

  • 揚程:30L/minの41.3mから、500L/minでは24.5mまで下がる
  • 効率:表の点の中では400L/minの56.3%が最も高く、ここがBEPの近く
  • 軸動力:1.67kWから3.63kWまで増えるが、表の範囲では3.7kWのモーターに収まる
  • NPSHr:1.0mから4.8mへ。500L/minで吸込み側の余裕が最も厳しい

先ほどの仮の配管(400L/minで30m)なら、運転点がBEPとほぼ重なります。このように運転点とBEPが近いポンプが、効率のよい選定です。

このカタログには、同じ3.7kWで適用比重1.1・1.3・1.5・1.9の液用の曲線も別に載っています。比重が大きい液用ほど全揚程は低く、液が重い分の軸動力をモーターに収めていると読めます。

選定の確認を一巡させると、次の順になります。

  • 条件:周波数・比重・液温が、性能曲線の欄外の条件と合っているか
  • 揚程・流量:HQ曲線がH1・Q1の点より右上を通るか
  • 運転点:抵抗曲線との交点がどこか。最大・最小の流量でも確かめる
  • 効率:運転点がBEPの近くにあるか
  • 軸動力:最も流量が多い側でも、モーター出力に収まるか
  • NPSH:最大流量・最高液温で、NPSHaがNPSHrを余裕をもって上回るか

購買や営業の立場では、仕様書の規定点(契約で決めた吐出量と揚程)が、性能曲線のどこにあるかも見ておきます。規定点がBEPから大きく外れていないかを、見積もりの段階で確かめられます。

ポンプの性能曲線の作り方

性能曲線の「作り方」には2つの意味があり、メーカーが試験で作るポンプ側の曲線と、使う側が自分の配管について描く抵抗曲線です。

メーカーが性能曲線を作る手順

ポンプの性能曲線は、計算ではなく実際にポンプを回して測った値から作り、工場の試験設備で、吐出し弁の開き具合を変えながら、何点かの流量で測ります。

図6:ポンプの性能曲線ができるまで

流量を変えて測った点を、計算で揚程・動力・効率に直し、線で結びます。

01試験台に据え付ける流量計・吸込みと吐出しの圧力計・電力計をつけた試験用の配管につなぐ
02流量を変えて測る吐出し弁を締切から全開まで段階的に開き、各点で流量・圧力・回転速度・入力を記録
03揚程と動力を計算する吐出しと吸込みの圧力差から全揚程を、入力とモーター効率から軸動力を出す
04効率を出す水動力(ρgQH)を軸動力で割ってポンプ効率にする
05NPSHを測る吸込み側の圧力を下げていき、揚程が3%下がる点(NPSH3)を求める
06点を結んで曲線にする規定の回転速度に換算し、流量ごとの点をなめらかに結ぶ

※受渡試験の方法は JIS B 8301(ISO 9906 を基にした規格)に定められています。手順は一般的な流れで、試験の項目や点数は機種・契約によって変わります。

寺田ポンプ製作所の予想性能表にも、回転速度・吐出し量・全揚程・電圧・電流・入力・軸動力・ポンプ効率を記録する欄が、7点分並んでいます。測った点を結んだものが性能曲線だと分かります。

カタログに載るのは、同じ型式で測った代表の曲線(予想性能曲線)で、納入する1台ごとの性能は、試験成績書で確かめます。

使う側が抵抗曲線を作る手順

ポンプを選ぶ側が描くのは、配管の抵抗曲線です。性能曲線と同じ方眼に重ねると、運転点が読めます。

  1. 実揚程(液面の高さの差)と、送り先・吸込み元の圧力の差を出す。これが流量ゼロのときの値
  2. 必要な流量Q1のときの配管損失を、直管と継手・弁ごとに計算して足す
  3. ほかの流量の損失は「Q1のときの損失×(流量÷Q1)の2乗」で見積もる
  4. 流量ゼロの点から、いくつかの流量の点を結んで曲線にする

配管の系統と計器の位置を確かめるときは、P&ID(配管計装図)の読み方が役立ちます。

ポンプの性能曲線のよくある質問

HQ曲線とQH曲線、H-Q曲線は違うものですか?

同じものです。どれも全揚程(H)と吐出量(Q)の関係を表す曲線で、JIS B 0131 では「揚程曲線」と呼びます。英語では head curve、または QH curve と書かれます。

50Hzと60Hzで性能曲線は変わりますか?

変わります。周波数でモーターの回転数が変わるので、同じポンプなら相似則のとおり60Hzの方が流量も揚程も大きくなります。カタログでは50Hz用と60Hz用の曲線が分かれています。

荏原製作所の取扱説明書でも、50Hz仕様のポンプを60Hzで運転しないよう注意しています。圧力が上がりすぎたり、モーターが過負荷になったりするためです。

周波数でモーターの回転数が変わるのは、回転数が周波数と極数で決まるためです。計算式は極数とモーターの回転数の計算式で確認できます。

水以外の液を送るときは、性能曲線をどう読みますか?

性能曲線は、ふつう水(比重1.0)での値です。比重が大きい液では、揚程(m)はほぼ同じでも、軸動力が比重に比例して大きくなります。

粘度の高い液では、水の性能曲線より揚程・流量・効率が下がり、軸動力が増えるので補正が要り、荏原製作所の取扱説明書も、過負荷の原因に「液の比重、粘度が高すぎる」ことを挙げています。

補正の考え方は、米国 Hydraulic Institute の規格 ANSI/HI 9.6.7 にまとめられています。JIS B 8301 にも、附属書JC(参考)「高粘度液に対する性能補正方法」があります。

補正の方法はメーカーに確かめてください。液の比重・粘度・温度は、見積もり依頼のときに必ず伝えます。

ポンプを2台並列にすると、性能曲線はどうなりますか?

同じポンプ2台の並列運転では、同じ揚程のときの流量を2倍にした曲線になりますが、抵抗曲線は流量とともに上がるので、実際の流量は2倍より少なくなります。

注意点は渦巻ポンプを並列運転するときの注意点にまとめています。

まとめ

この記事のまとめ
  • 性能曲線はポンプ型式選定時に確認が必要なグラフ。吐出量に対する全揚程・効率・軸動力・NPSHrを描く
  • HQ曲線(QH曲線・H-Q曲線)は全揚程と吐出量の関係で、右下がりの形をしている
  • 選定時には配管抵抗や最大流量などを入念に試算する必要がある
  • 実際の運転点は、HQ曲線と抵抗曲線の交点。BEPの近くになるように選ぶ
  • モーターは最も流量が多い側の軸動力で、吸込み側はNPSHaとNPSHrの余裕で確かめる

HQ曲線に着目して説明をしてきましたが、実際には電気工事の観点から消費電力や電流値を、吸い上げの場合は必要吸込ヘッド(NPSH3)の値をよく見る必要があります。

性能曲線の読み方が分かると、運転中のトラブルの見当もつけやすくなります。あわせてポンプ・送風機のサージングや、最小流量(ミニマムフロー)の考え方もご覧ください。

出典

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プラント機器メーカーとプラントメーカーで約10年、設備の提案・設計・試運転に携わったのち、Webマーケターに転身。現在はBtoB製造業専門のWebコンサルタントとして、メーカーの情報発信を支援しています。エネルギー管理士/第三種電気主任技術者。工業技術ブログを2017年から運営(500本以上執筆)、YouTube登録者約2万人、Xフォロワー約1万人。

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