面積式流量計とは?フロートの仕組み・読み方とメリット、補正の考え方

工場の補助配管に並ぶ三本の透明管式フロート流量計のイメージ

面積式流量計とは、流体が通るすき間の面積を変え、フロートの位置から流量を読む計器です。透明な管の中で、球やこま形の浮き子が上下する姿がよく知られています。

流量が増えるとフロートは上がり、管とのすき間が広がります。流量を一定に保ったまま上がると流れから受ける力が小さくなり、その力と浮力が重さと釣り合う位置で止まります。

以下では、仕組みと読み方、メリット、デメリットの順に説明します。水と別の液体を測るときの補正例や、金属管で外部へ信号を取り出す方法も扱います。

目次

面積式流量計とは?

面積式流量計は、配管を流れる液体や気体の流量を可動部の位置に置き換える方式で、フロート形のほか、ばねで可動部を支える構造もあります。

代表的な重力式は、下が細く、上ほど太いテーパ管を使います。流体は管の下から入り、フロートの周囲を通って上へ抜けていきます。

透明なテーパ管の中にこま形のフロートがある流量計のイメージ
透明管とフロートの外観イメージ(生成画像)。読取位置や内部構造は、以下の模式図と実機の仕様で確認します。

フロートが上がるほど、管の内径とフロートの外径の差が大きくなります。この環状の通過面積が変わることが、「面積式」という名前の由来です。

図1:高さが変わると、流体の通る面積が変わる

縦断面と上から見た断面を並べました。青い部分が流体の通るすき間です。

図は枠内で横にスクロールできます。

少ない流量多い流量狭い環状面積広い環状面積下から流入下から流入フロートの直径は同じ

形と寸法は原理を示す模式図です。フロートの高さと目盛は、機種ごとの校正で対応づけます。

差圧式と面積式は、どちらも流れによる力や圧力差を利用します。差圧式が固定した絞りの差圧を測るのに対し、面積式は通過面積を動かして測ります。

圧力が変われば、同じ配管でも流量は変化します。配管全体での関係は、流量と圧力の関係で整理しています。

フロートが止まる仕組みと差圧

流れ始めると、フロートの上流側と下流側に圧力差が生じ、流体がフロートを押し上げます。この流れによる力に、流体中で受ける浮力が加わります。

上向きの力が重さを上回れば、フロートは上昇します。上がると周囲の流路が広がり、同じ流量ならすき間の流速と流れの力が小さくなります。

やがて上向きの力と重さが釣り合って一定の高さで静止しますが、流量をさらに増やすと、一度釣合いが崩れ、もっと高い位置で落ち着きます。

図2:フロートには三つの力が働く

重さと釣り合うのは、流れによる上向きの力と浮力の合計です。

図は枠内で横にスクロールできます。

流れの力 F差圧・表面の作用など浮力 B=ρgV密度が変われば変化重量 W=ρf gV静止時:W=B+F流体の向き:下→上

ρ は流体密度、ρf はフロート密度、V はフロート体積、g は重力加速度です。ばね荷重式では、ばねの力も釣合いに入ります。

密度が一定なら浮力と重さも一定なので、釣合いに必要な流体力はほぼ一定です。この性質から、面積式は「定差圧・可変面積」の流量計とも説明されます。

ここでの定差圧は主にフロートの前後の差圧を指し、流量計や配管全体の圧力損失が、どんな条件でも同じになるという意味ではありません。

圧力には流体の状態を表す静圧と、速度に関係する動圧があるため、混同しやすい言葉は静圧・動圧・全圧の違いを参照してください。

目盛の読み方とフロートの基準位置

読むときは、フロートが落ち着いたところで、目盛と同じ高さから見ます。上から見下ろすと、管の手前の目盛と奥のフロートに視差が生じます。

球形では中心、こま形では指定された最大径部や基準線を読む例があります。形だけで決めず、取扱説明書の読取位置を合わせることが大切です。

図3:目線と読取位置をそろえる

球の中心とこま形の指定面を例示しました。機種によって指定位置は変わります。

図は枠内で横にスクロールできます。

球形:中心を読む例こま形:指定面を読む例読取位置と目盛を水平に上からのぞくと視差が出る

図の球形・こま形は読取りの説明用です。数値目盛や基準線の指定は、実機の説明書を優先します。

目盛の単位も一緒に記録します。L/min は毎分の量を表し、積算したリットル数そのものではありません。例えば2 L/minが5分間続けば、流れた量は10 Lです。

値が揺れるときは、最大と最小の中間を一度読むだけでは原因が分かりません。ポンプの脈動、供給圧力、気泡、フロートの引っ掛かりを切り分けて確認します。

「流れていない」と「目盛の下限より少ない」も別の状態です。下端に沈んだフロートだけで、微小な漏れや流れが完全にゼロだとは判断できません。

密度・圧力・温度が変わると補正が必要

目盛は、決められた流体と温度・圧力などの条件で校正されています。水用の計器に別の液体を流すと、同じ高さでも体積流量が同じとは限りません。

液体では、流体密度だけでなく、フロート密度と浮力の関係が効きます。粘度が違えば流れから受ける抵抗も変わるため、密度だけの補正では済まない場合があります。

東京計装の取扱説明書にある密度補正を例に計算します。水の密度1.0 g/cm³で設計した計器で、密度0.8 g/cm³の液体を測る条件です。

フロート密度を7.7 g/cm³、指示値を10 m³/hとします。対象の機種で密度補正を適用でき、粘度の影響は別に確認しているものとします。

液体密度が変わる場合の補正式例
Q = Qi × √ρ0(ρf − ρ)ρ(ρf − ρ0)
= 10 × √1.0 ×(7.7 − 0.8)0.8 ×(7.7 − 1.0)
≒ 11.35[m³/h]
Q:実際の体積流量[m³/h]、Qi:指示流量[m³/h]、ρ0:設計液体密度、ρ:使用液体密度、ρf:フロート密度。密度の単位はすべてそろえます。出典:東京計装 IM-F2513-J00、8.3節。

この例では、目盛が10 m³/hを示していても、密度補正後の流量は約11.35 m³/hとなります。密度の小さい液体は浮力も小さくなるため、同じ高さを保つ条件が変わるのです。

図4:密度補正の計算を三つの値に分ける

フロート密度を含む比を作って平方根を取り、最後に指示流量を掛けます。

密度項の比6.90 ÷ 5.36 ≒ 1.2873分子:1.0×(7.7−0.8)
分母:0.8×(7.7−1.0)
補正係数から真の流量へ√1.2873 ≒ 1.134610 m³/h × 1.1346
= 約11.35 m³/h

水用目盛を別の液体へ用いる例です。この係数を気体や、異なる機種の粘度補正へ流用しません。

気体では、ガスの種類に加え、計器内部の圧力と温度が密度に影響します。供給元の圧力計だけを見て、流量計の中も同じ圧力だと決めないようにします。

気体の式で圧力比を扱うときは、真空をゼロとする絶対圧と、周囲の大気圧をゼロとするゲージ圧を区別して計算します。

例えば大気圧を0.1013 MPaとすれば、0.20 MPaGは0.3013 MPa absです。単位の見分け方は、ゲージ圧・絶対圧と圧力測定で説明しています。

NL/minやNm³/hは、所定の温度・圧力に換算した気体の体積流量です。管内での実体積流量と区別し、基準温度や圧力を仕様書でそろえて比べます。

目盛の条件違いを直す補正と、実体積を基準状態へ換算する計算は役割が違います。メーカー式がどちらを返すかを確認すると、同じ補正を二重に掛けずに済みます。

面積式流量計のメリットは?

主なメリットは、構造が分かりやすく、現場で流量をすぐに確認できることです。機械式の現場指示なら、測定と指示に電源を使わずに運用できます。

  • 液体用・気体用を、流量範囲や材質に合わせて選べる
  • フロートの位置で流れの増減を直感的に把握できる
  • 電源や信号配線を省ける現場指示型がある
  • 簡単な構成なら、複数ラインへ導入する費用を抑えやすい
  • 構造と分解方法を把握しやすく、清掃や点検の計画を立てやすい

例えば、装置へ送るパージガスや、機器を冷却する少量の水の監視に使われます。複数の管を並べれば、各ラインの供給状態をその場で見比べられます。

電源が要らないことと、設備全体が無電源で動くことは別です。流体を送るポンプや圧縮機には動力が要り、遠隔出力付きの発信器には電源が要る構成もあります。

本体価格だけでなく、配線・表示器・保全の費用まで含めて比較します。現場で見るだけなら簡単な指示型、制御盤へ取り込むなら伝送型が候補になります。

金属管なら、磁石を使って外から読める

金属管は内部が見えないため、フロートの動きを外へ伝える仕組みが必要です。磁石を組み込み、管の外側の指針へ位置を伝える構造があります。

図5:管を貫通する軸を使わず、磁気で位置を伝える

金属管の中のフロート位置を外側で受け、指針や信号へ変換する構成例です。

図は枠内で横にスクロールできます。

金属のテーパ管磁石付きフロート磁気結合部現場指示発信器付き:4〜20mA等

位置を指針や信号に変える機構は機種ごとに異なります。高温・高圧への適用可否は、管・フロート・シール等の仕様で決まります。

このため、警報接点や4〜20mA、積算出力などを備える機種もあり、「面積式はセンサーで外部検出できない」という理解は正しくありません。

連続した流量を監視する信号と、上限・下限を知らせる接点は使い道が違います。制御盤との接続は、DI/DO・AI/AOの種類と方向で整理しています。

流量範囲を電流へ割り当てる考え方は、4〜20mAを使う理由と換算が参考になります。機械式の測定部があるだけで、出力信号の方式まで決まるわけではありません。

面積式流量計のデメリットは?

見やすい透明管でも、設置姿勢・汚れ・流体条件・測定範囲が合っていなければ、読みやすさと測定の正確さは両立しません。

  • 通常の重力式は、垂直配管で下から上へ流す必要がある
  • 透明管が汚れると、フロートと目盛の照合が難しくなる
  • ガラス・樹脂・シール材ごとに、温度と圧力の使用限界がある
  • 固形物や付着物があると、フロートの固着や流路の詰まりを起こす
  • 密度・粘度や気体の圧力・温度が変わると、指示がずれる
  • 小流量域の読み取りや、急激な流量変化への追従には制約がある

水平配管しかない場所へ、通常の重力式を横倒しに付けることはできません。ばね等を使う専用の水平型や下向き流れ用はありますが、指定された構成を選びます。

配管図では流れの向きだけでなく、保守のために取り外す空間も確認します。計器番号と系統を追うには、P&IDの読み方を使えます。

ガラス管は、圧力の上限だけでなく、衝撃や急な温度変化にも注意が要ります。高温用・高圧用では金属管も候補になり、接液材やシールの耐性も照合します。

フロートが上がると流路は広がりますが、それだけで異物に強いとはいえません。細かなごみが案内部へ入り込めば、流量が変わってもフロートが動かなくなるからです。

流れが止まっても指示が下がらない場合は、固着も疑います。指示値を正常と決めつけず、供給圧力や他の計器と照らし合わせて状態を確認します。

点検では、管の汚れ、フロートの腐食や変形、ガイド部の付着、漏れの有無を記録します。清掃後も同じ状態に戻るかを追い、再発する原因まで調べます。

点検の周期は付着の速さや運転条件に合わせて決め、決まった周期と状態の変化を使い分ける考え方はTBMとCBMの違いで説明しています。

精度と測定範囲は、仕様の書き方まで比べる

精度は、「指示値に対する割合」か「最大流量に対する割合」かで意味が変わります。例えば最大100 L/hの±2%FSなら、誤差の幅は±2 L/hです。

同じ幅でも、20 L/hの指示に対しては±10%に相当します。これは説明用の仮定で、面積式すべての精度を表す数字ではありません。

細かい流量を読みたいのに大きすぎる計器を選ぶと、下端に指示が集中します。常用流量だけでなく、最小・最大流量が保証範囲に入ることまで確かめます。

例えば最大流量だけを100 L/hに合わせても、通常は数L/hしか流さない設備では、読みたい値が範囲外になることがあります。起動時だけ増える流量と、日常の管理対象となる流量を分けて仕様書へ記載します。

透明管を使う場所では、人が普段どこから目盛を見るかを、配管の設置高さと合わせて考えます。脚立に乗らないと読めない位置や、配管の裏に隠れる位置では、直接見える利点が生かせません。

繰返し性、応答、耐食性、圧力損失も必要条件に入れます。「精密な管理や耐久性が要る場所には使えない」と、一律に候補から外す方式ではありません。

質量を直接管理したいならコリオリ流量計との比較が役立ち、一定体積を繰り返し数える方式は容積式流量計で説明しています。

比較するときは、同じ流体・範囲・必要精度・出力条件をそろえます。測定原理の名前より、実際の運転条件で要求を満たすかが判断の軸になります。

運転中の記録には流量だけを書かず、そのときの温度・圧力やポンプの運転状態も添えておきます。前回と違う値になったとき、供給条件が変わったのか、計器の動きが悪くなったのかを追いやすくするためです。

現場の指針は合っていても、監視画面だけ違う値になる場合は、表示と伝送を分けて調べると原因を絞れます。出力レンジと受信側の設定が同じか、単位や小数点位置に違いがないかを照合します。

交換する際には、口径と最大目盛が同じという理由だけで同一品と判断しないようにします。流体名、設計温度・圧力、フロートやシールの材質、出力の有無まで、元の納入仕様書と突き合わせます。

同じ数値でも、実流量と基準状態換算流量では管理対象が変わるため、申し送りの帳票にも単位と基準条件を残します。

交換前後を比較するときは、記録した運転条件をそろえた上で、現場指示と監視画面の値を照合します。新しい計器の最大目盛だけを、古い受信設定へそのまま当てはめないことも確認点です。

フロートとテーパ管は、組み合わされた状態で目盛と対応するため、別の計器の部品を入れ替えれば同じ指示になるとは限りません。清掃や交換の履歴に製造番号と部品情報を残しておけば、仕様の問い合わせも確実になります。

面積式流量計のよくある質問

面積式流量計とロタメータは同じですか?

ロタメータは、フロートがテーパ管の中を上下する面積式流量計を指す呼び名です。浮遊式・フロート式と書かれることもあり、名称だけで機種仕様までは決まりません。

面積式流量計は気体と液体で共用できますか?

気体用と液体用の製品はありますが、同じ目盛をそのまま共用できるとは限りません。流体密度・粘度、フロートと材質、測定範囲を確認して適用を判断します。

フロートが回転していれば正常ですか?

回転の有無だけでは正常と判断できません。形状によって回転や案内の仕方が違うため、指示の安定、指定位置での読取り、実際の流体条件まで確認します。

面積式流量計だけで積算できますか?

フロートの位置が示すのは、その時点の流量です。積算には時間に沿って足す処理が必要で、積算機能付きの機種や、出力を受ける積算計を使います。

清掃すれば校正時の精度に戻りますか?

汚れが原因なら改善が期待できますが、摩耗や腐食で形や重さが変わっていれば別の対応が必要です。部品の組合せと目盛を確認し、必要に応じて校正やメーカー点検を受けます。

まとめ

この記事のまとめ
  • 面積式流量計は、フロートと管の間の通過面積を変えて流量を測る
  • 重力式では重量と、浮力・流れの力が釣り合う位置で止まる
  • 読取位置・目線・目盛条件をそろえて流量を読む
  • 密度・粘度、気体の温度と圧力が違えば補正条件を確認する
  • 金属管の磁気指示や外部出力付きもあり、必要な精度と仕様で選ぶ

使い始めるときは、流体名、単位、目盛の温度・圧力条件を一組で記録します。変動や固着の兆候も残しておくと、運転条件の変化と計器の不具合を切り分けやすくなります。

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プラント機器メーカーとプラントメーカーで約10年、設備の提案・設計・試運転に携わったのち、Webマーケターに転身。現在はBtoB製造業専門のWebコンサルタントとして、メーカーの情報発信を支援しています。エネルギー管理士/第三種電気主任技術者。工業技術ブログを2017年から運営(500本以上執筆)、YouTube登録者約2万人、Xフォロワー約1万人。

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