容積式流量計とは?6図で読む仕組み・種類と計算、選定・保全の確認点

油移送配管に設置した容積式流量計と入口側ストレーナ

容積式流量計とは、一定の体積に区切った流体を送り出し、その回数から流量を測る計器です。計量カップで何杯流れたかを数える考え方で、油や薬液などの積算量を把握する用途に使われます。

代表的なオーバル歯車式は、二つの楕円形の回転子とケースの間に計量室を作ります。回転数と一回転当たりの体積が対応するため、粘度のある液体を一定量ずつ供給する設備でも候補になります。

この記事では計量室の仕組み、種類と計算、メリット・デメリットの順に整理します。パルス係数の単位、低流量での漏れ、ストレーナや点検空間まで含めると、仕様書の確認点がつながります。

目次

容積式流量計とは?

容積式流量計はPDメータ(Positive Displacement Meter)とも呼ばれます。既知の体積を区切る回転子やピストンの動きを数え、通過した体積と、時間当たりの体積流量を求めます。

歯車が二つある形は、この方式の中のオーバル歯車式という一種類です。容積式にはまゆ形の回転子、偏心して動くピストン、往復する膜などもあり、外観や可動部の形だけで分類しないことが大切です。

ケースと回転子の間が「升」になる

オーバル歯車式では、入り口側と出口側の圧力差を受けて二つの回転子が動きます。ケースと回転子の間にできる空間へ液体が入り、回転に伴って出口側へ運ばれる、という動作を繰り返します。

この空間が升に相当する計量ポケットで、回転子が回ると区画ごと出口側へ移動します。一回転中に運ぶポケットの体積を合計した値が、一回転当たりの計量容積になります。

図1:回転子とケースの間の体積を送り出す

左から右へ流れるオーバル歯車式の模式断面です。青い部分が計量ポケットの一例で、上下の回転子が交互に運びます。

計量ポケット回転子入口出口上下は逆方向に回転し、外周側の区画を送り出す

※歯形と微小隙間は省略した原理図です。青い区画一つと、一回転中に送り出す計量容積の合計は区別します。

流体は二つの回転子の中央をまっすぐ抜けるのではなく、主に外周側の区画に入って移動します。回転子が回った数と通過体積の対応を検出し、機械式の積算表示や電気信号へ伝えます。

回転子を動かすエネルギーは流体が持つ圧力で、計器の入口と出口の差圧によって回転します。必要な差圧が足りないと始動や流量の確保に支障が出るため、圧力損失を含めて選定します。

タービン式との違いは「区切った体積」を数えること

羽根車式やタービン式も回転を検出しますが、流れに押された羽根車の回転と流速の関係を利用します。容積式のように、ケースと運動子で作った既知の体積を連続的に受け渡す方式とは区別されます。

そのため「回転部が二個なら容積式、一個なら別方式」という見分け方は正確ではありません。容積式の中にもピストンを使う型式があり、内部に計量室を作って移送するかどうかを見ると整理できます。

差圧式や超音波式は、差圧や伝播時間などの物理量から流れを求める方式です。方式ごとの得意条件は異なるため、質量を測るコリオリ流量計も含め、測定量から候補を比べます。

容積式が直接測るのは、基本的には計器内の条件における体積です。質量や基準温度に換算した量を管理する場合には、密度、温度、気体なら圧力をどう扱うかという別の条件が加わります。

容積式流量計の種類と流量の求め方

容積式には、液体の計量に使うオーバル歯車式のほか、ルーツ式やロータリーピストン式があります。家庭のガスメーターに使われる膜式も、区画へ入る気体の量と運動回数を対応させる方式です。

同じ容積式でも、適用流体、流量範囲、必要な差圧、設置姿勢は機種ごとに異なります。まず方式の特徴を理解し、その後で使用する液体や気体に対応した個別の仕様へ進むと選びやすくなります。

図2:計量室を作る機構は一種類ではない

いずれも一定体積の受入れと送り出しを繰り返します。図は分類を理解するための形状で、実機の内部構造を簡略化しています。

オーバル歯車式楕円の回転子とケースルーツ式まゆ形などの一対の回転子ロータリーピストン式偏心して動くピストン膜式膜の往復で区画を切り替える
種類運動する部分用途の例選定で見たい点
オーバル歯車式楕円形の回転子二個燃料油・潤滑油・薬液粘度、流量範囲、異物
ルーツ式まゆ形などの回転子二個都市ガスなどの気体、対応機種の液体圧力、温度、補正、据付姿勢
ロータリーピストン式偏心して動くピストン水や油の計量材質、流量範囲、清浄度
膜式往復する膜と切替え機構家庭・業務用ガスメーター対応ガス、容量、設置条件

ルーツ式のガスメーターには、回転子同士を接触させず微小な隙間を保って動く製品があります。容積式だから全ての歯面が流体中でかみ合い摩耗する、と一括りにせず、駆動や軸受の構造まで読み分けます。

膜式では、一回転当たりの体積ではなく、機構の一周期で計量する体積を考えます。計算の考え方は同じでも、資料にある「一回」が回転、往復、一周期のどれを指すかを合わせることが必要です。

回転数から体積流量を計算する

一回転当たりの計量容積に、単位時間当たりの回転数を掛けると体積流量になります。原理式は簡単ですが、累積の回転数を掛ければ積算体積になるため、回転数の単位を省かないようにします。

容積式流量計の基本式
Q = V × n
Q:体積流量[L/min]、V:一回転当たりの計量容積[L/回]、n:単位時間当たりの回転数[回/min]。一回の動作を回転とする場合です。

一回転で0.1Lを送り出す流量計が、毎分600回転している例を考えます。0.1L/回と600回/minを掛けると回の単位が消え、結果がL/minになることを確認できます。

一回転0.1L、毎分600回転の説明例
Q = 0.1 × 600 = 60 L/min
60 × 601000 = 3.6 m³/h
1時間=60分、1m³=1000L。計量容積と回転数は計算説明の仮定値です。

この条件で一分間流れ続けたとき、通過した体積は60Lです。二分間なら120Lになりますが、流量そのものは60L/minのままで、流量と体積を区別すると積算表示を読み違えにくくなります。

変動する流れでは、ある時点の流量を長時間そのまま掛けると実際の積算量に一致しません。瞬時流量と積算流量の違いを踏まえ、必要な時間区間の通過量を使います。

パルス係数の「pulse/L」と「L/pulse」を見分ける

電気出力付きの機種では、回転を検出してパルスを出し、受信側で体積へ換算します。一回転で複数のパルスを出す機構や出力の分周設定もあるため、一パルスを一回転と決めつけることはできません。

パルス係数が100pulse/Lなら、一リットル当たり100パルスという意味です。受信したパルス数を100で割れば体積になりますが、0.01L/pulseという表記なら一パルス当たりの体積を掛けます。

図3:積算体積と区間平均流量をパルスから計算する

出力係数100pulse/Lを仮定した計算です。積算にはパルス数、平均流量にはパルス数を数えた時間も使います。

積算体積の式と、6000パルスの計算例
Vtotal = NK
Vtotal = 6000 pulse100 pulse/L = 60 L
10秒間に600パルスを受けた区間の平均流量
Q = NK × Δt × 60
Q = 600100 × 10 × 60 = 36 L/min
N:受信パルス数[pulse]、K:出力係数[pulse/L]、Δt:計数時間[s]、Vtotal:積算体積[L]、Q:区間平均体積流量[L/min]。60は秒から分への換算です。

※係数の単位、分周、受信器の入力設定を合わせます。L/pulse表記なら体積計算はパルス数との掛け算になります。

同じ計器でも、表示用の細かいパルスと外部積算用の分周パルスで係数が違う場合があります。端子名だけで設定せず、出力種類と設定値、受信側の単位を仕様書と試運転記録へそろえます。

パルス入力には、電圧、有接点・無接点、周波数、最小パルス幅などの適合も関係します。電流信号とパルス信号の違いとともに、体積換算と電気接続を別々に確かめます。

低流量ではパルスが届く間隔が長くなり、短い計数窓では表示が段階的に変わることがあります。表示の平滑化を強くすると変化の追従が遅れるため、安定表示と異常検知で必要な応答を分けて決めます。

容積式流量計のメリット

容積式は体積と動作回数を対応させやすく、積算管理に適した計測方式です。とくに、導電性が低い液体や粘度のある液体を量る設備では、他の方式と比較する価値があります。

  • 所定の流量範囲と流体条件で、高い計量精度を得られる機種がある
  • 機械式の積算機構なら、外部電源なしで現場の通過体積を表示できる
  • 適合範囲内の高粘度液体では、隙間を抜ける流れを抑えやすい
  • 流速分布から流量を求める方式のような、長い前後直管部を要しない機種がある

高精度という言葉を仕様の条件まで読む

液体用には指示値に対して±0.5%や±0.2%の仕様を持つ機種があります。トキコの容積式流量計にも示される値で、対象流体、粘度、流量範囲、校正条件と組にして読みます。

たとえば60Lの指示に対する±0.5%は±0.3L、±0.2%は±0.12Lに相当します。数字の小ささだけでなく、管理したい量に対してその差がどの程度かを見ると、必要な精度を仕様へ落とし込めます。

仕様の精度が指示値基準なのか、フルスケール基準なのかも読み分けます。低流量域での相対的な誤差の見え方が変わるため、4〜20mA信号のレンジを使う場合も表示値と分けて確認します。

繰返し性がよいことと、基準に対する偏りが小さいことも同じ意味ではありません。一定の条件で同じ値を繰り返していても、係数や基準条件が違えば、毎回ほぼ同じ割合で計量値がずれることがあります。

粘度のある液体と相性がよい理由

回転子とケースの間には動作に必要なわずかな隙間があり、液体の一部はそこを通ります。粘度が高くなると隙間を通り抜けにくくなるため、回転数へ反映されない流れを抑えやすいという利点があります。

燃料油、潤滑油、樹脂原料、糖液などは、こうした特徴を生かす用途の例です。非導電性の液体でも測れるため、電磁式と静電容量式の導電率条件から外れる液体も候補になります。

図4:隙間漏れは減っても、圧力損失は別に考える

回転子とケースの隙間を拡大した模式図です。粘度が高いほど無条件に有利になるのではなく、許容差圧や始動条件も照合します。

低粘度側:隙間を抜けやすい高粘度側:隙間を抜けにくいケースケース回転子の表面回転子の表面回転数に反映されない流れが誤差へ漏れ抑制と圧損増加の両方を見る隙間・矢印の大きさは説明用

一方、粘度が高い液体を流すほど配管や計器の抵抗が大きくなる面もあります。始動時の低温や最大流量で差圧が過大にならないかを見て、使用温度における粘度で仕様を照合します。

日中の常用温度だけで選ぶと、冬の朝に液体が冷えて流れにくくなる条件を見落とします。重油の種類ごとの粘度も踏まえ、数値と単位、温度条件をセットで伝えます。

無電源の計量と電気出力の電源を分ける

流体の圧力差で動く計量部と機械式の積算表示は、外部電源なしで成立する機種があります。停電中も現場の積算値を読める構成を検討するときは、この点が比較材料になります。

ただし電子表示、パルス発信、アナログ出力、通信には、内蔵電池や外部電源が必要な場合があります。「容積式だから無電源」と一括りにせず、計量、表示、伝送それぞれの電源を確認します。

電池式でも交換周期や使用環境、交換時の設定保持を決めておくことが運用に関係します。現場指示が残っても上位監視の通信が止まる構成なら、その状態を保全側が見分けられるようにします。

直管長を抑えやすくても設置条件は残る

容積式は区画体積を数えるので、管内の流速分布を整えるための長い直管部を要しない機種があります。曲がりや機器が多い配管で、計器を組み込む位置の自由度が得られることは利点です。

設置時には取付姿勢、流れ方向、配管からの荷重、ストレーナ配置と保全空間を検討します。外形図と取扱説明書に沿って、配管の接続方向や支持位置、整備時の作業動線を決めます。

点検台に置いた歯車式容積流量計の計量部イメージ
歯車式容積流量計の計量部イメージ(生成画像)。オーバル歯車式の原理と位置関係は図1に示す。

容積式流量計のデメリット

容積式の注意点は、計量を担う可動部と隙間が流体に触れることから生じます。異物、摩耗、粘度、圧力損失を別の問題として整理すると、計器だけを交換しても再発する原因を見つけやすくなります。

  • 固形物が計量部へ入ると、かみ込みや回転停止を起こすおそれがある
  • 軸受や駆動機構などの状態が変化するため、点検と必要な整備を要する
  • 大流量を扱うには計量部や口径が大きくなり、設置寸法や圧損も制約になる
  • 低粘度・低流量では隙間漏れの影響が相対的に大きくなることがある

ストレーナは網目だけでなく圧損と清掃性を見る

固形物が回転子とケースの間へ入り込むと、計量部を傷めたり回転を止めたりします。入口側へストレーナを設ける際は、計器の指定する清浄度や網目と、流体に含まれる異物の性状を照合します。

細かい網を選ぶほどよいとは限らず、目詰まりによる圧損と清掃頻度も増える場合があります。ストレーナのメッシュと目開きを確認し、計器を守りながら必要な流量を維持できる構成を選びます。

図5:入口の異物対策と、取り外す空間を一緒に確保する

液体配管の構成例です。ストレーナの清掃と計器の取外しに必要な空間を描いています。

上流弁下流弁ストレーナ容積式流量計エレメント引抜き計器の取外し空間

※抜き弁やエア抜き、バイパスなどは省略しています。開放前の隔離・除圧・排液・電源遮断は、設備と機器の手順に従います。

ストレーナの差圧を点検する仕組みがあれば、流量低下を計器の故障と取り違えにくくなります。網の清掃後も異物が繰り返し出る場合は、配管内の錆や上流設備の状態まで原因をたどります。

新設配管のフラッシングでは、溶接くずや切削片を計量部へ流し込まない計画が必要です。メーカー指定に従って計量部を保護し、配管洗浄の完了と清浄状態を確かめてから計測を始めます。

低粘度・低流量と気泡は計量誤差に関係する

隙間を抜けた液体は、回転子を所定どおり動かさずに通過するため指示との差につながります。総流量が小さいとその割合が目立ちやすく、低粘度条件では保証される最小流量が変わることがあります。

したがって、配管口径だけで流量計を選ぶと、常用流量が機種の保証範囲より下に入る場合があります。最小、常用、最大の三点を整理し、使用する流体の粘度ごとの測定範囲と照らし合わせます。

液体用の計量部へ気泡が入ると、計量室には液体と気体が混在することになります。表示した体積がそのまま液体だけの量とは限らないため、空気の吸込みや脱気、配管内の充満状態も点検します。

気泡が出る原因には、吸込み側の条件や圧力低下、液温などが関係する場合があります。キャビテーションとエア噛みの違いも確認し、計器の係数変更だけで帳尻を合わせないことが大切です。

圧力損失と大流量時の寸法を確認する

計量部を動かしながら流体を通すので、容積式流量計には圧力損失が生じます。上流側の供給圧力だけでなく、下流側で必要な圧力と、配管・弁・ストレーナの損失も含めて余裕を見ます。

粘度が高い液体や目詰まりしたストレーナでは、想定より流量を確保できないことがあります。流速と配管の圧力損失も同じ系統で考え、ポンプの能力や計器の許容差圧を照合します。

大流量へ対応するには計量容積や口径を大きくするため、計器重量や面間寸法も増える傾向があります。支持方法、取り外す経路、交換品を持ち込むスペースまで含めると、更新工事の制約を早めに把握できます。

流量だけを優先して過大な口径を選ぶと、今度は普段使う領域が低流量側へ寄ります。最大流量だけでなく、運転時間の長い流量域がどこに位置するかを見て、計測と配管の両面から口径を選びます。

回転が見えなくても機械系と信号系を分けて点検する

表示がゼロでも、流れていない、計量部が止まった、発信や受信が止まった、という原因が考えられます。まず現場の積算表示、上位表示、圧力や運転状態を比較し、どの部分で情報が途切れたかを整理します。

現場の機械式積算は増えるのにPLC側だけゼロなら、電源、発信器、配線、入力設定が候補です。逆に現場表示も動かない場合には、弁の状態、ストレーナ、計量部、実際の流れを順番に調べます。

図6:無指示を「機械」と「伝送」に分ける

点検前に安全な停止・隔離・残圧処理を行い、通電部や計量部へ不用意に手を入れない前提で使う整理表です。

観察した状態切り分ける範囲照合する記録
現場積算も上位表示も動かない実流量、弁、ストレーナ、計量部運転状態、圧力・差圧、前回清掃
現場積算は増えるが上位はゼロ発信電源、配線、入力、係数接続図、出力設定、入力仕様
一定割合で指示がずれる係数、分周、単位、基準条件校正値、設定変更履歴
低流量や低粘度時だけ差が増す保証範囲、隙間、温度、気泡実流体条件、流量点、点検結果

※原因を断定する表ではありません。流体が危険物・高温・加圧状態の場合は設備の手順に従って停止・隔離し、メーカー指定の点検方法で調べます。

流量計を開放する前に流体を隔離し、内圧を抜き、液を排出し、電源を遮断します。設備保全のロックアウト・タグアウトと設備の手順に従い、再加圧と再通電を防止します。

定期点検では、指示のずれだけでなく、異物、傷、軸受、シール、係数設定の状態を記録します。時間基準と状態基準の保全を組み合わせ、流体の汚れ方や運転頻度に合った周期を決めます。

整備後は回転や信号が戻ったことだけでなく、基準器などとの比較で必要な計量性能を確かめます。整備前後の流体温度、流量点、係数を残すと、次回の変化を同じ条件で比較しやすくなります。

選定票は温度・流量・材質の組合せで作る

メーカーへ相談する際は、単に「油を毎分何リットル測る」と伝えるだけでは条件が足りません。同じ油でも温度で粘度が変わるため、通常運転、起動時、洗浄時に分けて使用範囲を整理します。

流量は最小、常用、最大を単位とともに書き、連続運転か短時間の間欠運転かも添えます。最大通過量と精度を保証したい範囲を分け、起動時や非常時も機器の許容流量内に収めます。

接液材質はケースだけでなく、回転子、軸、軸受、シールを含めて確認します。薬品名が同じでも濃度や温度で適合性が変わるため、材質表の丸印だけでなく、実際の運転条件を提示して照合します。

食品原料などでは、量れることに加えて洗浄性や残液、分解方法が設備の要件になります。高粘度に対応するという説明だけで選ばず、工程で必要な清掃と衛生管理を満たす構造かを確認します。

信号条件には係数、電源、接点方式、配線距離、入力の上限周波数をまとめます。交換計器の計量範囲が同じでもパルス係数が異なると表示がずれるため、機械仕様と電気設定を別々の欄に残します。

体積を比較するときは温度と測定境界をそろえる

タンクの液面変化と流量計の積算量を比べるときは、同じ時間帯と同じ範囲の量を比較します。途中に分岐や戻り配管があると、計器の通過量がそのままタンクへ入った量になるとは限りません。

計器から供給先までの配管が空なら、最初に通過した液体の一部は配管を満たすために使われます。試運転で容器へ受けた量と比べる際は、開始前後の配管状態をそろえ、途中の保有量の変化を切り分けます。

液体の体積は温度によって変わるため、別の温度で測った体積をそのまま比較できない場合があります。計器の誤差を調べる前に、比較側の温度、換算の有無、密度を適用した条件を記録します。

気体では圧力と温度による体積変化がさらに重要で、実使用状態の立方メートルと基準状態の量は区別されます。補正表示の計器と未補正の計器を比較するなら、両者の基準温度・基準圧力まで合わせます。

一定割合の差が出たときは、係数の取り違えだけでなく、この基準条件の違いも候補になります。比較方法を決めずに係数だけを変えると、特定の温度では合っても別条件で差が再発することがあります。

定量供給では計量と停止動作を別に評価する

目標の積算値で弁を閉じる設備では、流量計の精度だけで最終供給量は決まりません。受信の計数、制御の判断、弁が閉まる時間、弁と出口の間に残る液体を含めて動作を評価します。

毎分60Lは毎秒1Lに相当するため、停止指令後も同じ流量が0.5秒続く仮定なら0.5Lが通過します。これは流量計の誤差とは異なる遅れの例で、実際は弁の閉まり方と流量変化を測って確認します。

供給開始と停止を繰り返す工程では、一回の供給量と、その供給に使った係数を一緒に記録します。運転速度を変えたときにも同じ設定でよいかを確認すると、条件変更に伴う量の変化を追いやすくなります。

総積算と一回分のバッチ積算は、リセット対象を明確に分けます。総積算を運転のたびに消してしまうと使用量の履歴を失い、バッチ値を消し忘れると次の一回が正しく開始できないためです。

試運転では現場積算、受信パルス、上位の積算表示を同じ区間で照合します。停止中に増える、一定倍でずれる、最小流量だけ反応しないといった症状を残すと、計量部と設定のどちらを調べるか判断できます。

容積式流量計のよくある質問

容積式流量計は全て楕円形の歯車を使いますか?

楕円歯車を使うのはオーバル歯車式で、容積式にはルーツ式、ピストン式、膜式などもあります。形ではなく、既知の体積を区画して受け渡し、その動作回数を数えることが共通する原理です。

高粘度であればあるほど精度がよくなりますか?

粘度が上がると隙間漏れを抑えやすい一方、圧力損失や始動条件は厳しくなることがあります。適合する粘度と温度、流量、許容差圧の範囲で判断し、無制限に有利とは考えません。

パルス数をそのままリットルとして数えてもよいですか?

出力の係数によって異なるため、パルス数と体積を同じ数値にはできません。100pulse/Lならパルス数を100で割り、0.01L/pulseなら0.01を掛けて、設定された出力に対応させます。

計測したリットルをそのままキログラムへ換算できますか?

質量へ換算するには、その流体と温度に対応する密度が必要です。密度0.85kg/Lを仮定すれば60Lは51kgですが、体積が同じでも流体や温度によって質量の対応は変わります。

ガスの計測には使えないのでしょうか?

ルーツ式や膜式など、気体向けの容積式流量計があります。液体用をそのまま転用する意味ではなく、対応ガス、圧力、流量範囲、基準状態への換算が必要かを指定機種で確認します。

直管長が不要なら曲がりの直後へ自由に取り付けられますか?

流速分布のための直管部を要しない機種でも、姿勢や荷重、気泡、ストレーナの条件は残ります。取扱説明書に従い、清掃と取外しができる位置を選び、配管の都合だけで設置しないようにします。

まとめ

この記事のまとめ
  • 容積式流量計は既知の体積を区画し、回転や往復の回数から通過体積を測る
  • オーバル歯車式以外にルーツ式、ピストン式、膜式などの種類がある
  • 流量Q=Vnではnを時間当たり回転数とし、パルス係数の単位もそろえる
  • 高粘度や積算計量に強みがある一方、隙間漏れ、圧損、異物、摩耗への配慮が要る
  • 仕様と点検記録をつなぎ、機械系の計量と信号伝送を分けて確認する

選定では、流体名と温度・粘度、最小から最大までの流量、許容圧損、出力の条件をまとめます。回転する仕組みを理解したうえで周辺配管と保全まで考えると、導入後に必要な計量性能を維持しやすくなります。

出典

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MONOSCOPEの運営者

プラント機器メーカーとプラントメーカーで約10年、設備の提案・設計・試運転に携わったのち、Webマーケターに転身。現在はBtoB製造業専門のWebコンサルタントとして、メーカーの情報発信を支援しています。エネルギー管理士/第三種電気主任技術者。工業技術ブログを2017年から運営(500本以上執筆)、YouTube登録者約2万人、Xフォロワー約1万人。

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