ポンプのrpmとは?回転数と流量・揚程・軸動力の関係

遠心ポンプと直結モーターの設置イメージ

ポンプのrpmとは、軸が1分間に何回転するかを表す単位です。同じ羽根車の遠心ポンプでは、回転数を変えると流量だけでなく、揚程と軸動力も変わります。

回転数の比に対し、流量は一次、揚程は二次、軸動力は三次で変化するのが相似則です。この関係は、インバータによる速度制御の効果を見積もる出発点になります。

ただし、電源の50Hzと軸の毎秒50回転は別の量です。まず単位とモーター速度を区別し、その後に相似則の計算、配管につないだ運転点、現場での確認手順を整理します。

動画を見る際の補足として、rpmを60で割って求めるHzは機械回転周波数です。電源周波数への換算としては使えず、モーターの極数とすべりも含めて考えます。

目次

ポンプのrpmとは?

rpmはrevolutions per minuteの略で、毎分の回転数を意味します。カタログのr/minやmin−1も同じ量を表し、1500rpmなら1分間に1500回転です。

数える対象はポンプの軸で、羽根の枚数ではありません。羽根が何枚あっても、羽根車が一周すれば1回転であり、羽根通過による振動の回数とは分けて扱います。

図1:羽根車が一周して1回転

軸の印が元の位置へ戻る回数を、時間で割って回転数を表します。

羽根の数ではなく軸の周回を数える1秒間に25回転25 × 60 = 1500rpm0秒1秒機械回転周波数は25Hz

※回転する機器への印付けや接触測定は、停止・隔離して準備します。図は計数の説明です。

rpmとHzを換算するときの意味

Hzは1秒あたりの繰返し回数を表す単位です。軸の回転を繰返しとして数える場合は、1分が60秒なので、rpmの値を60で割ると毎秒の回転数になります。

rpmから機械回転周波数へ換算
fr = n60
fr = 150060 = 25 Hz
n:軸の回転数[rpm] fr:機械回転周波数[Hz]。逆換算はn=60frです。

ここで求めた25Hzは、電源の交流が繰り返す周波数ではありません。電気の波と機械の回転はモーターを介してつながるため、その対応を知るには極数が必要です。

たとえば同じ50Hz電源でも、2極と4極のモーターでは基準となる回転速度が違います。銘板のHzだけでポンプのrpmを決めず、モーターの極数と定格回転速度を読み取ります。

電源周波数・極数・すべりと回転数

三相交流モーターの固定子には、回転する磁界ができます。その磁界の速度を同期速度といい、電源周波数に比例し、磁極の数である極数に反比例する関係です。

回転磁界の同期速度
ns = 120fp
ns = 120 × 504 = 1500 rpm
ns:同期速度[rpm] f:モーターへ供給する電源周波数[Hz] p:極数。4極・60Hzなら1800rpmです。

誘導モーターが負荷を回しているとき、回転子は回転磁界より少し遅れて回ります。この速度差を同期速度で割った割合が「すべり」で、負荷に応じて変化します。

誘導モーターの実回転数
n = ns(1 − s)
n = 1500 × (1 − 0.04) = 1440 rpm
s:すべり(無次元)。この例の4%は説明用の仮定で、機種共通の値ではありません。

したがって、4極・50Hzという条件から1500rpmを求めても、それは回転磁界の速度です。軸の実測が1440rpmなら、機械回転周波数は24Hzとして別に換算します。

図2:電気の50Hzと軸の24Hzを区別する

4極・すべり4%の説明例では、磁界1500rpmに対し軸は1440rpmです。

NSNS電源50Hz回転磁界1500rpm実軸1440rpm=24Hz回転子継手ポンプ

※4極誘導機の通常の電動運転を説明する模式図。ポンプ軸とモーター軸は直結の例です。

極数の意味はモーターの極数と回転数の関係で整理しています。直結ならポンプとモーターの回転数は同じですが、減速機やベルトが入る設備は伝達比も加わります。

日本の商用電源は東日本で主に50Hz、西日本で主に60Hzです。同じ極数で商用電源へ直結する誘導機では速度が変わるため、ポンプの50Hz用と60Hz用の性能を分けて読みます。

インバータを使う設備は、入力電源とモーターへの出力周波数が別になります。地域の電源周波数より、運転時の出力周波数と速度指令、実回転数をそろえて記録するほうが判断に役立ちます。

回転数と流量、揚程、軸動力の関係は?

遠心ポンプの回転数による性能変化は、相似則と呼ばれる関係で概算できます。ここでは同じポンプの羽根車径を変えず、回転数だけを変える場合を考えます。

流量は単位時間に送る液量で、揚程はポンプが液体へ与えるエネルギーを高さで表した量です。軸動力は、その仕事をするためにポンプ軸へ入れる機械的な動力を意味します。

流量:回転数比の1乗
Q2Q1 = n2n1
揚程:回転数比の2乗
H2H1 = (n2n1)2
軸動力:回転数比の3乗(効率をほぼ同じとする)
P2P1 = (n2n1)3
n:回転数[rpm] Q:流量[m³/s] H:揚程[m] P:ポンプ軸動力[kW]。添字1は変更前、2は変更後の相似な点です。流量の比は同じ単位で求めます。

一次・二次・三次になる理由と前提

羽根車の大きさが同じなら、周辺の速さは回転数に比例します。似た流れ方を保ったまま速度を変えると、通路を通過する液体の速さも変わり、流量は回転数に比例します。

液体へ与える速度に対応するエネルギーは速度の二乗に関係し、揚程も回転数の二乗に従います。流量と揚程を掛けた水動力は、一次と二次を合わせた三次になる仕組みです。

この説明は、同じ液体を送り、羽根車内の流れが相似となる点どうしの比較です。密度や粘度が大きく変わる液への置換や、キャビテーションが生じる状態は、単純な速度比の比較から外します。

軸動力の三乗則では、さらにポンプ効率をほぼ一定と近似します。流量が少ない側へ大きく外れる運転では効率も変わるため、メーカーの効率曲線を使って軸動力を求め直します。

たとえば回転数を2倍にした相似点は、流量2倍、揚程4倍、軸動力8倍です。これは比の大きさを理解する計算例であり、実機を定格の2倍まで増速する操作の説明ではありません。

実機の最高速度は、羽根車や軸の強度、軸封、軸受、駆動機の仕様で制限されます。増速は必要動力と吸込条件も厳しくするため、許容範囲をメーカーの資料で先に確定します。

図3:回転数比で変わる流量・揚程・軸動力

同じ羽根車・同じ液体の相似点を、効率一定で比較した計算値です。

回転数比流量比揚程比軸動力比
50%50%25%12.5%
80%80%64%51.2%
100%100%100%100%
120%120%144%172.8%
200%200%400%800%

※120%・200%は計算の説明で、許容増速率を示しません。軸動力比と電源入力の比も区別します。

1500rpmから1200rpmへ減速する計算例

基準の相似点を1500rpm、流量60m³/h、揚程30m、軸動力10kWと仮定します。同じ羽根車を1200rpmへ減速したとき、まず変更後を変更前で割り、回転数比を出します。

① 回転数の比を求める
r = n2n1 = 12001500 = 0.8
② 流量・揚程・軸動力へ順に代入
Q2 = Q1r = 60 × 0.8 = 48 m³/h
H2 = H1r2 = 30 × 0.82 = 19.2 m
P2 = P1r3 = 10 × 0.83 = 5.12 kW
r:回転数比(無次元)。基準値は説明用の仮定で、設置配管での運転点を保証する数値ではありません。

回転数は20%減ですが、相似点の軸動力は48.8%減という結果です。流量を少し減らしたい運転で速度制御が省エネの候補になるのは、この動力の変化が大きいためです。

必要な流量から速度を逆算する場合も、相似な条件なら同じ比を使えます。60m³/hを48m³/hにしたい例では速度比0.8ですが、そのときの揚程19.2mで配管へ送れるかを次に調べます。

実際の流量はポンプ曲線と配管の交点で決まる

配管へつないだポンプの流量は、回転数だけでは決まりません。ポンプが出せる揚程と、液を送るために配管が必要とする揚程が等しくなった点で運転します。

必要揚程には、水面の高さやタンクの圧力差から決まる静的な成分と、配管の摩擦損失があります。摩擦損失が支配的な系統では、減速に伴って必要揚程も下がりやすくなります。

一方、高いタンクへ揚水する設備では、流量を減らしても水面の高さは残ります。実揚程がある系統では、流量比が速度比と一致するとは限りません。

図4:実揚程があると、減速後の流量比は変わる

説明用の二次曲線では、速度80%に対し実運転流量は約72.1%になります。

吸込水槽吐出水槽実揚程10m揚程H流量Q1500rpm1200rpm配管曲線Q:31.62 → 22.80m³/hH:30.0 → 20.4m10

※曲線は本文の仮定式から描いた説明図で、製品の性能保証曲線ではありません。実揚程を含む配管曲線と各速度の交点を求めます。

具体例として、1500rpmのポンプ曲線をH=40−0.01Q²、配管曲線をH=10+0.02Q²と仮定します。Qの単位はm³/h、Hはmとし、数値係数もこの単位に合わせた例です。

変更前の交点は31.62m³/h、30mです。速度比0.8で変換したポンプ曲線はH=25.6−0.01Q²となり、同じ配管との交点を計算すると22.80m³/h、20.4mになります。

1200rpmのポンプ曲線と配管曲線を等しくする
25.6 − 0.01Q22 = 10 + 0.02Q22
Q2 = √(25.6 − 100.03) ≒ 22.80 m³/h
Q2Q1 = 22.803531.6228 ≒ 0.721
変更前は40−0.01Q1²=10+0.02Q1²よりQ1=√1000。速度比0.8と実流量比0.721は別です。

減速を続け、締切揚程が静的に必要な揚程へ届かなくなると、送水できなくなります。計算上の交点だけで下限速度を決めず、最低流量と温度上昇を含む許容運転範囲を重ねます。

曲線の読み方はポンプの性能曲線と運転点、差圧と高さの関係はポンプ揚程のmと圧力の換算が参考になります。相似則で曲線を移し、配管側との交点を読む順序が基本です。

軸動力と電動機入力を分けて省エネを評価する

相似則のPは、ポンプへ渡す軸動力です。電源から受け取る電力にはモーターとインバータの損失が加わり、電力計の値をそのまま三乗則のPへ置き換えると境界がずれます。

効率の関係は、水動力からポンプ軸動力を求める計算と合わせて考えると明確です。水動力をポンプ効率で割ると軸動力になり、それを駆動側の効率で割ると電源入力になります。

直結駆動で電源入力を概算する
Pin = Pηmηv
Pin:電源入力[kW] P:ポンプ軸動力[kW] ηm:モーター効率 ηv:インバータ効率。伝達機構がある場合は、その効率も含めます。

回転数を下げて負荷が変わると、ポンプだけでなくモーターの効率も変わります。ポンプ効率の意味を押さえたうえで、実測入力か各負荷での効率を使って改善前後を比べます。

絞り弁による流量調整では、ポンプがつくった揚程の一部を弁の圧力損失として使います。速度制御は必要な揚程へ近づける方法ですが、弁と回転数を同時に変えると、それぞれの効果を分けにくくなります。

図5:絞り弁の損失と、回転数を下げる調整

同じ必要流量を満たす条件で、弁に余分な差圧を持たせているかを調べます。

一定回転数弁で絞る弁前後の差圧が大きい回転数を下げる弁は開く必要な揚程へ近づける同じ需要

※絞り量と減速量は実際の性能曲線から決めます。弁を全開にする運転手順を指示する図ではありません。

省エネ額を求めるときは、入力電力の差に運転時間と単価を掛けます。最大負荷の1点だけで年間へ延ばすと、季節や生産量による低負荷運転の時間が反映されません。

流量が変わる設備では、負荷ごとの入力と年間時間を分けて合計します。台数を減らす方法も候補になるため、ポンプの台数制御との比較で、必要流量を無理なくカバーする組合せを選びます。

回転数を変更する前後に現場で確かめる項目

ポンプとモーターの軸継手を覆うガードのイメージ
ポンプと駆動モーターの直結部を示す生成イメージ。回転部はガードで覆います。

最初に、現在の運転点と必要な運転範囲を同じ記録へまとめます。定格値だけを見るのではなく、最低水位や最大需要など、揚程と流量が厳しくなる条件も書き出します。

  • ポンプ型式、羽根車径、許容回転数と最低連続流量。
  • モーターの極数、定格回転速度、定格電流、インバータ対応条件。
  • 実流量、吸込・吐出圧力、液温、水位、弁開度、電源入力。
  • 運転時間の分布、最低・最大負荷、予備機や並列機の組合せ。

次に、必要流量と必要揚程を性能曲線上へ置き、速度を変えた曲線との交点を求めます。許容範囲を外れる点があれば、速度調整だけで解決せず、羽根車や機種の選び直しも検討します。

吸込側は、水位や温度の変化で条件が悪化します。NPSHによる吸込条件の評価を各運転点で行い、増速後の必要NPSHと設備側の余裕を照らし合わせます。

低速側ではモーターの冷却条件とポンプの安定運転を調べます。特定の速度で振動が増える設備は共振の可能性があるため、速度範囲と禁止帯をメーカーと設計段階で定めます。

試運転は承認された設定範囲で進め、変更前と同じ測定位置で結果を比較します。流量だけが合っていても、電流や軸受温度、振動、軸封の漏れに変化があれば原因を切り分けます。

異音や振動を速度だけで抑えようとすると、吸込不良や配管の影響を見落とします。症状と運転条件を結びつける方法は、ポンプ騒音の原因と測り方も参考になります。

記録には指令周波数と実rpmを併記し、計器の読取時刻も合わせます。流量計や圧力計の表示が安定した後の値をそろえると、過渡状態を定常の性能低下と取り違えずに済みます。

圧力の測定では、吐出圧力だけで全揚程を判断しないことも大切です。吸込圧力との差を基本とし、測定位置の高さと配管径が違う場合は、位置と流速のエネルギーも含めます。

同じ吐出圧力でも、吸込水槽の水位が下がればポンプの受け持つ揚程は変わります。水位を記録せずに前後を比べると、設備の負荷変化を速度制御の効果へ混ぜてしまいます。

測定器の分解能は、見たい変化量に合わせて選びます。小さな減速の効果を調べるときは、大きなレンジの圧力計で読み取ったわずかな目盛差だけを根拠にしないようにします。

回転数の誤差も動力推定へ広がります。速度比の見積もりがずれると三乗した値もずれるため、インバータの表示が周波数なのか推定速度なのかを判別し、必要に応じて実速度を測定します。

増速を検討する際は、現在のモーターに余裕があるかを新しい軸動力から判断します。今の電流が定格以下という理由だけでは、速度を上げた後の過負荷まで判定できません。

複数台を並列で運転する設備では、1台の減速が他のポンプの負担にも影響します。単機の曲線だけでなく、逆止弁と共通ヘッダーを含む全体で、各ポンプの運転点を求めます。

制御弁が別に流量を一定へ保っている場合、減速の初期は流量が変わらず、弁の開度が増えることもあります。このときは弁の余剰差圧が減っているので、流量だけを見て速度変更が無効と判断しません。

最後に、通常運転へ戻す設定値と、変更を中止する基準も記録へ残します。必要流量を満たした結果と、温度・振動・電流が許容範囲に入った結果を分けて確認すると、引継ぎ後も判断を再現できます。

ポンプの回転数のよくある質問

1500rpmは何Hzですか?

軸の回転周波数なら、1500を60で割った25Hzです。電源の周波数はこの値から直接決まらず、4極の同期速度1500rpmなら電源50Hzという別の対応になります。

50Hz用のポンプを60Hzで回すと流量は1.2倍ですか?

実回転数比が1.2で相似条件が成立する点なら、流量比は1.2、揚程比は1.44、軸動力比は1.728です。実設備は配管の交点と定格電流、電圧・周波数の使用条件を確かめて評価します。

回転数を半分にすれば電気代も8分の1になりますか?

三乗則で8分の1になるのは、効率をほぼ一定とした相似点のポンプ軸動力です。電気代は実際の運転点、モーターとインバータの効率、運転時間から求め、同じ必要仕事を満たして比べます。

銘板の回転数と実測が違うのは故障ですか?

誘導機の回転数は負荷とすべりで変わり、銘板は所定の定格条件の値です。出力周波数と負荷条件、伝達比、測定方法をそろえたうえで、仕様や従来記録からの変化を判断します。

容積式ポンプにも流量・揚程・動力の三式を使えますか?

ここで示した三式は、遠心ポンプなどのターボ形を相似な点で比べる関係です。容積式は1回転の押出し容積と漏れで流量を考え、圧力は系統の抵抗や圧力制限機構と合わせて評価します。

まとめ

この記事のまとめ
  • rpmは毎分の軸回転数。60で割ると機械回転周波数になる。
  • 電源周波数とrpmの関係には極数が入り、誘導機の実回転数にはすべりも入る。
  • 同羽根車の相似点では流量は回転数比、揚程は二乗、軸動力は三乗で変わる。
  • 配管につないだ実流量は運転点で決まり、静的な必要揚程があると速度比からずれる。
  • 省エネは軸動力と電源入力を分け、許容運転範囲と実測を合わせて評価する。

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プラント機器メーカーとプラントメーカーで約10年、設備の提案・設計・試運転に携わったのち、Webマーケターに転身。現在はBtoB製造業専門のWebコンサルタントとして、メーカーの情報発信を支援しています。エネルギー管理士/第三種電気主任技術者。工業技術ブログを2017年から運営(500本以上執筆)、YouTube登録者約2万人、Xフォロワー約1万人。

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