気体燃料とは?天然ガス・LPG・都市ガスの種類と燃焼方式の違い

沿岸のガス受入基地に並ぶ貯蔵タンク

気体燃料とは、燃やす場所で気体として酸素と反応し、熱を取り出す燃料です。天然ガスやLPGのほか、製鉄所などで生まれる副生ガス、水素も含まれ、成分と供給方法によって扱い方が変わります。

工場では、燃料の名前だけで設備を選ぶと、必要な空気量や貯蔵方法を取り違えます。LNGは天然ガスを液化した状態の名前であり、都市ガスは導管で供給するガスの呼び名というように、分類の軸が違うためです。

気体燃料の特徴から代表的な種類、予混合燃焼と拡散燃焼の違いまで順に整理します。後半には、メタンを燃やす空気量の計算と、工場の燃料を比較するときに揃える条件を載せています。

目次

気体燃料とは?

気体燃料は、燃焼器へ気体として供給する燃料の総称です。メタンやプロパンのような炭化水素が代表的ですが、水素や一酸化炭素も燃えるため、気体燃料のすべてが炭化水素というわけではありません。

液体燃料は噴霧して細かな液滴にし、蒸発させてから燃焼させる方式が一般的です。気体燃料はその準備が要らず、燃焼用空気と混ぜる段階から始められるため、流量の調節と自動運転に向いています。

ただし、利用時の状態と貯蔵時の状態は区別します。LNGやLPGは液体として運び、気化させてバーナーへ送るので、燃料系統にはタンクだけでなく、気化器や調圧器などの設備も必要になります。

図1:天然ガス・LNG・都市ガスは分類の軸が違う

燃料の成分、運ぶときの状態、利用者への供給形態を分けると、名称の重なりを整理できます。

LNG船受入基地気化・調整導管で供給LPG容器天然ガスを液化低温で貯蔵都市ガスなど別系統で供給成分の名称:天然ガス(メタン主体)LPG:プロパン・ブタン主体

※供給経路の概念図です。国産天然ガスを導管へ送る経路や、LNGを工場へ直接運ぶ経路もあります。

工場の熱源としては、蒸気をつくるボイラー、製品を直接加熱する工業炉、発電用のエンジンなどに使います。熱を水へ渡す構造から知りたい場合は、ボイラーの仕組みと種類を合わせると用途を掴みやすくなります。

気体燃料の特徴

燃焼効率が高い

気体燃料は空気と混ざりやすく、適切な燃焼器では未燃分を少なくできます。液滴の大きさや固体の粒径に左右されにくいため、燃料と空気の流量を組み合わせて燃焼を調節しやすいことが利点です。

燃料をよく燃やすことと、発生した熱を有効に使うことは別の課題です。完全燃焼に近くても、高温の排ガスをそのまま捨てれば熱損失は大きく、設備全体の効率は排ガス温度や放熱にも左右されます。

空気を多く入れすぎると、余った空気まで温めて煙突へ送ることになります。燃料の変更後は空気比を見直し、未燃分と排ガス損失の両方を抑える運転が省エネにつながります。

燃料から蒸気までの収支を比べるには、入出熱法と熱損失法によるボイラー効率のように、評価する範囲を揃えます。伝熱や放熱も含めると、燃焼器だけの評価とは効率の数値が変わります。

環境にやさしい

天然ガスは炭素に対して水素の割合が大きく、同じ発生熱量で比べると石炭や石油より燃焼時のCO2が少ない燃料です。硫黄分などを除去して供給するため、硫黄酸化物やばいじんの低減にも役立ちます。

一方で、天然ガスも炭素を含む化石燃料なので、燃焼時のCO2は発生します。気体であること自体が低排出を保証するのではなく、燃料の組成と、熱を使う設備の効率を合わせて評価することが大切です。

水素そのものを燃やす反応では、炭素由来のCO2は出ません。ただし、空気を使う高温燃焼では窒素酸化物が生じ得るため、排ガス対策と、水素の製造・輸送で生じる排出量を分けて考えます。

硫黄分を含む副生ガスを使う場合は、精製状態によって腐食への備えも変わります。排ガスから熱を回収するときは、酸露点と硫酸露点腐食の関係が燃料選定後の設計条件になります。

貯蔵、運搬が難しい

常温・常圧の気体は体積が大きいため、そのまま大量に貯めると大きな容器が必要です。そこで、ガスの性質に応じて圧縮したり冷却・加圧で液化したりして、輸送と貯蔵に必要な容積を減らします。

天然ガスはほぼ大気圧で約−162℃まで冷やすとLNGになり、気体に比べて体積が約600分の1になります。常温で加圧液化できるLPGとは条件が違うため、タンクの断熱、材質、気化設備も異なります。

導管供給なら需要家が大容量タンクを持たずに済みますが、供給網のある場所が前提です。タンク供給なら敷地内で在庫を持てるため、必要な連続運転時間と配送条件を合わせて貯蔵容量を決めます。

災害リスクが大きい

漏れた可燃性ガスが空気と混ざり、燃焼範囲に入ったところへ着火源が加わると火災・爆発につながります。目に見えないガスでも危険な混合気をつくるため、漏らさない設備と、漏れを早く検知する仕組みが必要です。

図2:燃焼範囲はガスによって違う

横軸は空気中のガス濃度0〜100vol%で、青い区間が資料に示された燃焼・爆発範囲です。

水素
4〜76vol% / 空気より軽い
メタン
5〜15vol% / 空気より軽い
プロパン
2.1〜9.5vol% / 空気より重い

※厚生労働省のモデルSDSによる参考値。温度・圧力・試験方法で変わり、警報器の設定濃度や安全な作業濃度を示す図ではありません。

メタンや水素は空気より軽く、プロパンは空気より重い性質を持ちます。漏れた後の滞留場所は換気や障害物にも左右されるため、ガス検知器は対象ガスと設置環境に合う機種・位置で計画します。

燃焼範囲より濃いガスも、空気が混ざる過程で燃える濃度を通ります。また、酸素を押しのけて酸欠を起こす危険や、一酸化炭素を含む副生ガスの中毒危険もあり、爆発の有無だけでは安全を判断できません。

ガス漏れを検知した場合は、施設の緊急手順に従って退避・通報し、着火源を避けます。漏れ箇所を炎で探す行為や、原因を除かずに燃焼インターロックを解除して再点火する行為は重大事故につながります。

気体燃料の種類

工場のガス供給配管とフランジ式の手動弁
ガス供給配管のイメージ(生成画像)。設備の構造・安全基準を示す設計図ではありません。

購入して使う燃料と、生産工程から回収する副生ガスでは、管理する条件が変わります。前者は供給品質と契約が出発点になり、後者は発生する量と成分の変動を、使う側の需要へ合わせる必要があります。

天然ガス(LNG)

天然ガスは、地下から採取するメタンを主成分としたガス燃料です。液化天然ガスを意味するLNGは、その天然ガスを低温で液体にしたものであり、天然ガスとLNGは別の成分の燃料を指す言葉ではありません。

海外からLNG船で運んだ燃料は、受入基地で貯蔵し、気化させて発電所やガス供給網へ送ります。工場へタンクローリーで配送し、構内の設備で気化させて使用する供給形態もあります。

燃料を選ぶ際は、液体を受け取るのか、気体を導管で受け取るのかが設備費に響きます。液体で受ける計画では、低温液体の保管だけでなく、必要な時間帯に必要量を気化できる能力も検討対象です。

液化石油ガス(LPG)

LPGは、プロパンやブタンを主成分とする液化石油ガスです。石油精製だけでなく、天然ガス田などからも分離・回収され、硫黄などの不純物を取り除いたうえで燃料や工業原料として供給されます。

常温では気体ですが、圧力をかけると液化しやすく、容器やバルクタンクで運べます。導管網から離れた工場でも使える可搬性があり、構内に在庫を持つ供給方法として災害時の備えにも活用されています。

プロパンとブタンでは蒸発しやすさが違い、燃料組成や外気温によって気化の状態が変わります。大量に使用する工場では、タンク容量だけを増やすのでなく、気化器の能力と燃焼側の品質条件を合わせる設計が必要です。

都市ガス

都市ガスは、導管を通して利用者へ届けるガス燃料です。日本では天然ガスを主な原料とする供給が広がっており、家庭の調理・給湯だけでなく、工場のボイラーや工業炉にも利用されています。

ガス機器に表示される13Aなどは、使用できるガスの種類を表します。同じメタン主体のガスでも、熱量や燃焼特性を合わせる調整が行われるため、燃料名だけで機器との適合性を決めないことが重要です。

東京ガスネットワークは、13Aの標準熱量を45MJ/m³と示しています。これは0℃・101.325kPaの状態での値であり、全国の都市ガスに一律の値として当てはめず、利用する事業者の供給条件を使います。

工場の流量計は、実際の配管条件での体積を表示する場合と、基準状態へ補正する場合があります。燃料量と発熱量を掛け合わせる前に、Nm³とm³の換算で温度・圧力の基準を揃えます。

比較する観点天然ガス・LNGLPG都市ガス
名前の基準資源・成分と液化状態燃料の成分と液化状態利用者への供給形態
主な可燃成分メタンプロパン・ブタン天然ガス系ではメタン
貯蔵・輸送低温液化、または導管加圧液化した容器・タンク主に導管で供給
需要家側の焦点液受入なら低温・気化設備在庫・気化能力・成分供給圧力・ガス種・契約
LNGと都市ガスは同じ供給経路の中に現れるため、互いに排他的な分類ではありません。

油分解ガス

油分解ガスは、石油系原料を分解する工程で生じるガスです。たとえばナフサの分解ではエチレンやプロピレンなどの化学品原料に加え、水素・メタンなども生じ、それぞれを分離して利用します。

分解で得たガスをすべて燃料へ回すのではなく、原料としての価値と、燃料として必要な量を見て使い分けます。どの分離工程から取り出したかで組成が変わるため、「油分解ガス」という名前だけでは発熱量は決まりません。

原料の変更や生産負荷の変化は、燃料側の熱量にも影響します。購入ガスと混ぜて使う場合には、混合後の性状を燃焼設備の許容範囲へ収めることが、生産工程と燃料工程の接点になります。

石炭ガス

石炭から得る燃料ガスには、乾留で生じるものや、ガス化反応でつくるものがあります。製鉄所のコークス炉ガスは乾留の代表例で、水素やメタンなどの可燃成分を含み、所内の燃料として回収されます。

石炭ガスを一つの固定組成で覚えると、異なる製造法のガスを混同します。水素・メタン・一酸化炭素の含有量や、硫黄分などの不純物を、実際の分析値と精製設備の条件で把握することが必要です。

固体として残るコークスと、気体として取り出すコークス炉ガスは別のエネルギーの流れです。原料の石炭をどのように使い分けるかは、コークスの製造方法と役割を読むと繋がります。

溶鉱炉ガス

溶鉱炉ガスは、高炉で鉄鉱石を還元するときに発生する副生ガスで、高炉ガスとも呼びます。一酸化炭素などの可燃成分と、窒素・二酸化炭素などを含み、回収後は製鉄所内の熱源や発電燃料になります。

可燃成分が薄いガスでは、同じ熱量を送るために大きな体積流量を要します。したがって、ガスを燃やせるかだけでなく、配管や送風機、バーナーが必要流量を扱えるかが利用の条件になります。

JFEスチールは、高炉・コークス炉・転炉の副生ガスを所内で使い、電力や蒸気との需給を管理しています。発生側と使用側は一対一ではなく、複数の工場を結ぶエネルギー網として運用されます。

図3:副生ガスは発生工程と利用設備を結ぶ

高炉・コークス炉から得るガスを回収し、所内の加熱と発電へ配分します。

高炉ガスコークス炉ガス回収・需給調整所内の加熱設備発電・蒸気供給

※ガス処理や混合の詳細を省いた概念図です。異なる副生ガスは組成・熱量・毒性を分けて管理します。

製油所排ガス

ここでいう製油所排ガスは、石油精製の工程から回収して燃料に使う製油所ガスを指します。すでに燃やした後の煙突排ガスとは区別し、燃料としての可燃成分が残る工程ガスを対象に考えます。

水素や軽い炭化水素などを含むガスは、必要な回収・精製を経て、加熱炉などの自家燃料へ回せます。発生する工程や処理方法で成分が異なるため、都市ガスと同じ品質の燃料として一括りにはできません。

燃料として回収する系統と、異常時のガスを安全に処理する系統は役割が異なります。燃料として利用できる部分を増やす計画でも、設備の安全な停止・処理に必要な機能を切り離して評価します。

気体燃料の燃焼方式

気体燃料は、燃料と酸素が出会って初めて燃焼します。空気を混ぜる場所で分類すると、火炎に入る前に混ぜる予混合燃焼と、別々に供給して火炎付近で混ぜる拡散燃焼に分かれます。

図4:混ぜる場所で変わるバーナーの構造

予混合は火炎の上流に混合気があり、拡散燃焼は燃料と空気が出口付近で出会います。

予混合燃焼燃料+空気 → 混合部 → 炎口 → 火炎
燃料一次空気混合気炎口火炎
拡散燃焼燃料と空気を分離 → 出口で混合・燃焼
空気燃料空気混合と燃焼

※代表的な構成の模式図。炎の色・寸法は実機を再現せず、部分予混合や旋回流などの構造を省略しています。

予混合燃焼バーナー

予混合燃焼バーナーは、燃料と空気をあらかじめ混ぜてから燃やす方式です。必要な空気の一部を先に混ぜる部分予混合と、必要な空気をすべて先に混ぜる完全予混合があり、残りの空気を加える位置が違います。

混合状態を整えると、炭素の多い局所的な領域を減らし、すすの発生を抑えられます。家庭用コンロから工業用燃焼設備まで使われ、希薄な混合気を使って窒素酸化物を抑える設計にも利用されています。

予混合気の流れが火炎の伝わる速さを支えられなくなると、炎が上流へ戻る逆火の危険があります。逆に流れが強すぎると炎が保持できず、吹き飛びにつながるため、流量の上限・下限を設計範囲内に保ちます。

実機では、炎口の形や温度、燃料組成、流れの乱れも火炎の安定に影響します。燃料を水素混合ガスへ変える場合などは、同じ流量設定を流用せず、逆火対策を含めて燃焼器の適合性を検討します。

拡散燃焼バーナー

拡散燃焼バーナーは、燃料と空気を別々に送り、出会う場所で混ぜながら燃やす方式です。気体を送るので液体燃料のような噴霧は不要で、ノズルや周囲の流れによって混合と火炎の位置を調節します。

上流の燃料通路に予混合気を持たない構造では、予混合燃焼に特有の逆火を避けやすくなります。予熱した空気の利用や大きな熱負荷に対応する工業炉などでも使われ、燃料の供給方法に合わせた設計ができます。

燃料と空気が混ざるまでの時間が必要なため、局所的に燃料過多の領域が生まれます。炭化水素ではすすを生じて明るい輝炎になる場合がありますが、燃料の組成と混合状態で変わり、色だけで燃焼方式は判定できません。

混合が遅いまま炉外へ出ると、一酸化炭素や未燃ガスが残ります。燃料を替えた際は、炎が設備へ当たる位置も含めて評価し、酸素濃度による排ガス濃度の換算で排出値の比較条件を揃えます。

メタンを燃やす空気量の計算例

燃料の体積だけを見ても、必要な空気量は決まりません。ここでは純メタンを対象に、乾燥空気の酸素濃度を21vol%とする説明用の条件で、完全燃焼に必要な最小の空気量である理論空気量を求めます。

図5:メタン10m³に必要な空気を求める

燃焼反応から酸素量を求め、空気中の酸素割合で割ります。すべて同じ温度・圧力の気体体積で計算します。

完全燃焼の反応式
CH4 + 2O2 → CO2 + 2H2O
メタン10m³に必要な酸素と理論空気
VO2 = 2Vf = 2 × 10 = 20m³
A0 = VO20.21 = 200.21 ≒ 95.2m³
空気比1.10を仮定した実際の空気量
A = mA0 = 1.10 × 95.238… ≒ 104.8m³
Vf:メタン量[m³]、VO2:理論酸素量[m³]、A0:理論空気量[m³]、A:実際の供給空気量[m³]、m:空気比[無次元]。数値は計算条件であり、運転設定の推奨値ではありません。

同じ温度と圧力なら、理想気体の体積比は物質量の比に対応するため、反応式の係数を使えます。プロパンでは反応に必要な酸素量が異なり、都市ガスも混合物なので、メタンの答えをそのまま流用しません。

実際の空気比は、燃焼器が安定して燃える範囲と排ガス分析を使って決めます。計算上の空気が足りていても混ざり方が悪ければ未燃分が残るため、理論空気量は調整の出発点として使います。

気体燃料の今後の展望

水素社会の実現

水素は、燃焼で利用する方法と、燃料電池で電気化学的に発電する方法があります。燃料電池と水素バーナーでは反応の進み方も必要設備も違い、同じ水素利用でも、評価する性能や排出物を分けて扱います。

工場の高温熱へ利用するには、安定した供給量と価格に加えて、燃焼器の対応が必要です。既存の天然ガス配管へ水素を混ぜる計画でも、配管材やシール、検知器、バーナーなどを含む系統全体で適合性を評価します。

脱炭素の効果は、水素をつくる方法と、その過程で使うエネルギーによって変わります。利用現場だけのCO2排出に加え、原料の採掘から製造・輸送までを含む排出量が、燃料を比較する軸になります。

天然ガスのさらなる普及

天然ガスは、既存の熱利用設備を使いながら、石炭や重油から燃料転換する選択肢になります。灰の処理や燃料の取り扱いを変えられる一方、ガスの受入設備と契約電力など、関連する設備条件の検討が必要です。

普及を一方向の需要増と決めつけず、地域の供給網、燃料価格、脱炭素への投資を合わせて考えます。熱需要を減らす改善や電化で代替する工程もあるため、新しい燃料設備は必要な熱の量から計画します。

燃料転換と同時に、捨てていた排熱を回収すると必要な購入燃料を減らせます。ガス焚き設備でも、エコノマイザによる給水予熱など、燃料の種類とは別の改善余地を調べることが有効です。

再生可能エネルギーとの連携

再生可能電力で水を電気分解し、水素として貯蔵する方法は、電力を気体燃料へ変えるPower to Gasの一つです。発電する時間と燃料を使う時間をずらせるため、電力と熱の需要を結ぶ手段になります。

水素とCO2からメタンを合成するメタネーションも、既存のガス設備の活用を目指す技術です。合成したメタンも燃やせばCO2を出すので、炭素の回収元や再利用の流れを含めて効果を評価します。

電力を燃料へ変換し、必要に応じて再び電気へ戻す過程には損失が生じます。そのため、電気をそのまま使える工程と、長期貯蔵や高温熱のために燃料化する工程を分けると、設備の役割を整理できます。

工場で気体燃料を比較するときの確認手順

燃料の単価だけを並べても、製品をつくるための費用は比較できません。購入する量の単位を揃え、必要な熱へ換算してから、受入・貯蔵・保守の条件を重ねると、候補ごとの違いが明確になります。

図6:燃料仕様から設備の条件へ落とし込む順番

燃料の名前から選ばず、熱需要・燃料品質・供給能力・安全条件を順に揃えます。

01
必要な熱:最大負荷、最低負荷、連続運転時間。蒸気か直接加熱かを分ける。
02
燃料の性状:組成、発熱量、基準温度・圧力、不純物、変動幅を供給仕様で把握する。
03
設備の能力:供給圧力、配管流量、気化能力、燃焼器の対応ガス種を照合する。
04
運用と安全:在庫・配送、漏洩検知、失火時の遮断、点検と緊急対応を計画する。

※個別設備の設計・試運転は供給者と機器メーカーの仕様、適用法令に基づいて実施します。

発熱量には、燃焼でできる水蒸気の凝縮熱を含む高位発熱量と、含まない低位発熱量があります。同じ燃料でも表示値が変わるため、効率を掛けて有効熱量を求めるときは、分母の発熱量基準を揃えます。

供給圧力は、止まっているときの値と、最大量を使うときの値を分けて扱います。複数の燃焼設備を同時に動かす場合は、共通の供給系統で圧力が下がり、各バーナーの入口条件に影響するためです。

副生ガスを利用するときは、平均発熱量だけでなく変動の幅と速さも重要です。同じ体積流量のままで熱量が変わると投入熱量も変わるので、分析値と負荷の記録を組み合わせて燃焼制御を検討します。

設備を更新した後は、同じ生産量あたりの燃料消費と排ガスの状態を記録します。温度や操業時間が違う日の使用量を単純に比べず、工場の省エネとエネルギー管理の考え方で改善効果を評価します。

気体燃料のよくある質問

気体燃料の代表例は何ですか?

天然ガスやLPG、都市ガス、水素のほか、製鉄所で得る高炉ガスやコークス炉ガスが代表例です。成分の名称と供給方法の名称が混ざっているため、実際の選定では主成分と受入方法まで区別します。

LNGとLPGは同じガスですか?

主成分も貯蔵条件も違います。LNGはメタン主体の天然ガスを低温で液化したもので、LPGはプロパンやブタンが主体となり、常温で加圧液化して容器やタンクで扱えます。

気体燃料なら必ずすすが出ませんか?

炭素を含む燃料は、空気不足や混合不良があればすすを生じます。青い炎でも一酸化炭素の発生を色だけで判定できないため、燃焼の状態は排ガス分析と機器の点検で評価します。

都市ガス用のバーナーでLPGを使えますか?

対応していない機器へそのまま接続して使うことはできません。発熱量や必要空気量、供給圧力が異なるため、機器の表示とメーカーの指定に従い、必要な改造や調整は専門の担当者が実施します。

副生ガスを使えばCO₂排出はゼロですか?

炭素を含む副生ガスを燃やせばCO2は発生します。回収して購入燃料を減らす効果と、回収ガス自体の燃焼による排出は別の収支なので、工場全体の燃料使用と排出量で効果を評価します。

まとめ

この記事のまとめ
  • 気体燃料は空気と混ぜやすく、燃焼量を調節しやすい
  • 天然ガス・LNG・都市ガスは、成分・状態・供給形態という分類の軸が違う
  • 貯蔵・輸送は圧縮や液化を利用し、燃料に合う受入設備を設ける
  • 予混合燃焼は火炎の前、拡散燃焼は火炎付近で燃料と空気を混ぜる
  • 漏洩・爆発・酸欠・中毒を分けて備え、熱量と供給能力を揃えて比較する

液体燃料との違いは重油の種類と特徴、燃焼設備の劣化は燃焼装置の腐食対策も合わせると理解が深まります。燃料転換を計画する際には、受入設備と伝熱面の保守を一緒に検討すると役立ちます。

出典

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プラント機器メーカーとプラントメーカーで約10年、設備の提案・設計・試運転に携わったのち、Webマーケターに転身。現在はBtoB製造業専門のWebコンサルタントとして、メーカーの情報発信を支援しています。エネルギー管理士/第三種電気主任技術者。工業技術ブログを2017年から運営(500本以上執筆)、YouTube登録者約2万人、Xフォロワー約1万人。

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