ISO9001(品質管理の国際規格)の内部監査は、社内の目で自社の仕組みを確かめる活動です。決めた仕組みが守られているか、品質の成果につながっているかを見て、審査で指摘される前に自分たちで弱いところを直します。
監査員に任命されると、何を準備し、当日どう質問すればよいかで迷う人も少なくありません。流れは準備から是正処置(問題の原因を取り除く対策)までの6つのステップに分けられ、チェックリストと指摘の書き方を押さえれば進められます。
この記事では、規格が内部監査に求めていることを確認したうえで、準備から是正処置までを6つのステップに分けて説明します。続いて、チェックリストの作り方、当日の進め方、指摘の書き方、形骸化を防ぐポイントの順に整理します。
ISO9001の内部監査とは

ISO9001の内部監査は、箇条9.2で求められている活動です。
9.2.1では、あらかじめ定めた間隔で内部監査を行うことを求めています。目的は、品質マネジメントシステム(QMS)が自社で決めたルールと規格の要求事項に適合しているか、有効に実施・維持されているかの情報を得ることです。
ここで押さえたいのは、確認する対象が「適合」と「有効性」の2つあることです。手順書どおりに作業しているかを見るだけでは半分です。
その手順が不良の流出防止や品質目標の達成に役立っているかまで見て、はじめて内部監査の役目を果たしたことになります。
そのうえで9.2.2では、監査プログラムの計画、監査基準と範囲の決定、監査員の選び方、結果の報告、修正と是正処置、記録の保持という6つの事項を求めています。流れで見ると、計画・実施・事後の3つに分けて考えると整理しやすくなります。
9.2.1が目的、9.2.2がそのためにやることです。
b)監査ごとの監査基準と範囲
d)関連する管理層への報告
f)プログラムと結果の記録を保持
※9.2.2の注記では、手引としてJIS Q 19011(マネジメントシステム監査のための指針)を参照するよう示しています。
内部監査・第二者監査・審査の違い
監査は、誰が行うかによって3種類に分けられます。組織自身が行う内部監査(第一者監査)、顧客など取引上の利害を持つ相手が行う第二者監査、認証機関のような独立した組織が行う第三者監査(認証審査)です。
JIS Q 19011の解説によると、認証機関が組織を訪れるのは年1回程度です。その間の仕組みの状態は、内部監査で見てもらうことが前提になっていると説明されています。
つまり内部監査は審査の予行演習ではなく、審査と審査の間を埋める自己点検の仕組みという位置づけです。
誰が、何を基準に、何のために行うかが異なります。
※出典:日本規格協会 JIS Q 19011:2019 規格改正説明会資料(監査の定義の注記、第二者監査の監査基準)をもとに作成。
2026年版への改訂と内部監査
ISO9001は2026年9月16日に新しい版(ISO 9001:2026)が発行されました。
規格を作成したISO/TC 176の発表によると、移行期間は3年で、2015年版の認証は2029年9月30日まで有効です。2028年3月31日以降の新規の認証は2026年版だけが対象になります。
内部監査の要求事項の骨格は大きく変わっていません。認証機関の解説では、9.2.2の表題が「内部監査プログラム」として明確になり、実施する事項に「監査目的」が加わったと紹介されています。
日本語版のJIS Q 9001は2026年12月の発行が予定されているため、社内規程の改訂は日本語版の条文を確認してから進めると手戻りが少なくなります。
内部監査の全体像|6つのステップ
内部監査は、年間の計画づくりから指摘の是正確認まで、次の6つのステップで進めると抜け漏れが少なくなります。
JIS Q 19011の箇条6にある「監査の開始、準備、実施、報告書、完了、フォローアップ」という流れを、社内で回しやすい単位にまとめ直したものです。
準備に3ステップ、当日に2ステップ、事後に1ステップという配分です。
※ステップの区切り方は社内規程で決めてよく、規格が段階の数を指定しているわけではありません。
初めて監査員になった人は、当日の質問のしかたに意識が向きがちです。実際には監査の出来の大半は準備の3ステップで決まります。
何を確かめに行くのかが決まっていないと、当日は書類をめくるだけで時間が過ぎてしまうためです。以下、ステップごとに注意点を見ていきます。
ステップ1・2|監査プログラムと監査計画を立てる
監査プログラムとは、JIS Q 19011の定義で「特定の目的に向けた、決められた期間内で実行するように計画された一連の監査に関する取決め」のことです。
年間計画表のイメージに近いですが、単なる日程表ではなく、どこに重点を置くかという判断を含んでいる点が違います。
監査プログラムで年間の濃淡を決める
9.2.2 a)は、監査プログラムを作るときに「関連するプロセスの重要性」「組織に影響を及ぼす変更」「前回までの監査の結果」を考慮するよう求めています。
全部門を毎年同じ時期に同じ深さで見る必要はなく、むしろ濃淡をつけることが求められていると読むのが自然です。
規格が挙げる3つの観点で、プロセスごとに頻度と深さを変えます。
※規格は「年1回」のような一定頻度を求めていません。「新ラインの量産開始後3か月以内」のように、出来事を起点に監査を設定することもできます。
1回の監査で全部門を見る必要もありません。監査プログラムは一連の監査の取決めなので、例えば2年で全プロセスを一巡させ、そのなかで重要な工程だけ毎年見る、という組み方も成り立ちます。
監査の範囲も部門単位に限りません。製品ごと、顧客ごと、あるいは「受注から出荷まで」のようにプロセスを横串で見る範囲の取り方もあります。
部門ごとの監査では、部門と部門の間の引き継ぎで起きる問題が見えにくいため、年に一度はプロセスを横に通して見る監査を入れると効果が上がりやすくなります。
監査員を選ぶ
9.2.2 c)は、監査プロセスの客観性と公平性を確保できるように監査員を選ぶことを求めています。JIS Q 9001の監査の定義の注記では、独立性は「監査されている活動に関する責任を負っていないこと」で実証できるとされています。
一般的には、製造部の担当者が品質保証部を、品質保証部の担当者が製造部を監査するというように、部門を入れ替える相互監査の形をとります。
ただし小規模な会社では、完全に独立した監査員をそろえるのが難しいこともあります。
JIS Q 19011は、その場合でも偏りをなくし客観性を保つ努力をするよう示しており、自分の担当業務だけは監査しない、といった線引きが現実的です。
力量の面では、規格の要求事項の知識に加えて、監査するプロセスの技術的な知識と、インタビューや報告書作成のスキルが必要です。JIS Q 19011は、次のようなものの組合せで力量を得るとしています。
- 訓練プログラムの修了
- 実務経験
- 力量のある監査員の下での監査経験
監査員ごとの経験をスキルマップ(力量表)で管理しておくと、監査チームの組み合わせを決めるときに役立ちます。
個別の監査計画を作る
監査プログラムが年間の設計図だとすると、監査計画は1回ごとの段取りです。9.2.2 b)にあるとおり、監査ごとに監査基準(何に照らして判断するか)と監査範囲(どの場所・活動・期間を見るか)を決めます。
そのうえで、日程、監査チーム、訪問順を書き出します。
被監査部門には、1か月前をめどに日程と範囲を通知しておくと、資料や担当者を用意してもらえます。あわせて前回の監査結果と、そのときの是正処置がどうなったかを事前に確認しておきます。
前回の指摘が本当に直っているかは、今回の監査で必ず見るべき項目の一つです。

ステップ3|チェックリストを作る

チェックリストは、当日に確認することを忘れないための作業文書です。JIS Q 19011でも監査のための文書化した情報の例として挙げられていますが、使うことが義務というわけではありません。
解説資料では、チェックリストがあると「チェック項目の適合の調査に走りがち」になる点に注意が促されています。
規格条項型とプロセス型
チェックリストの作り方には大きく2つあります。規格の箇条を上から順に並べて質問を書く規格条項型と、被監査部門の業務の流れに沿って質問を並べるプロセス型です。
規格条項型は抜け漏れを防ぎやすい反面、現場の人にとっては「箇条7.1.5について」と聞かれても何のことか伝わりにくいという弱点があります。
現場の監査では、業務の流れに沿ったプロセス型で質問し、どの箇条に対応するかは欄外に書いておくと、聞きやすさと網羅性を両立できます。
質問は「やっているか」から「効いているか」へ
チェックリストの質問が「手順書はあるか」「記録はあるか」だけだと、答えはすべて「はい」で終わってしまいます。確認したいのは有効性なので、その手順で狙った結果が出ているかを尋ねる質問を混ぜます。
例えば、次のような聞き方です。
- 「この作業の目的は何ですか」
- 「この工程で起こりやすい不具合は何ですか」
- 「最近、手順を変えたことはありますか」
Yes/Noで閉じる質問ではなく、相手に説明してもらう質問にすると、書類からは見えない運用の実態が出てきます。
観点ごとに「何を見るか」と「どう聞くか」をセットで準備します。
※箇条番号はISO 9001:2015のものです。同じチェックリストを何年も使い回さず、前回の結果や変更点に合わせて毎回見直します。
表の「測定機器の管理」のように、1つの観点を深く掘ると別の論点につながることがあります。
計測器の校正とトレーサビリティの管理であれば、校正周期の決め方や、外れが見つかったときに過去の製品へさかのぼって影響を確かめたかまでが確認の対象になります。
「作業標準の順守」も同様で、守られていない事実を見つけたときは、個人の問題で終わらせず、標準書そのものが使いにくくないかまで見ると是正につながる指摘になります。標準書が守られない背景は作業標準書が守られない原因と対策で詳しく整理しています。
力量表(スキルマップ)を監査するときの見方
チェックリストの「力量と教育」(7.2)は、力量表(スキルマップ)が置いてあるかを確かめただけで終わりがちな観点です。
箇条7.2は、a)業務に必要な力量を明確にする、b)教育・訓練・経験によって力量を備えさせる、c)必要な場合は力量を身につけるための処置をとり、その有効性を評価する、d)力量の証拠として文書化した情報を保持する、の4つを求めています。
表があることで確かめられるのは、このうちa)とd)の一部にすぎません。
力量表を見るときは、次の点を現場の実態と突き合わせます。
- 表の作業項目が、現場で実際に行っている作業・工程と一致しているか(新しい設備や工程が抜けていないか)
- 「一人で任せてよい」水準の判定基準が書かれ、誰がいつ認定したかが分かるか
- 新人・異動者・派遣や応援の作業者が表に反映され、認定前の人が単独で作業していないか
- 教育のあとに、本当にできるようになったかを確かめているか(7.2 c)の有効性の評価)
- 不良やヒヤリハットが出た工程で、作業者の実際の力量と表の評価が食い違っていないか
表の評価と現場の実態がずれていれば、それ自体が有効性に関する所見になります。力量表の作り方と運用はスキルマップ(力量表)の作り方で解説しています。
ステップ4|当日の監査を進める

当日は、初回会議、証拠の収集、最終会議の順で進めます。1部門あたりの時間は組織の規模や範囲によって変わりますが、最終会議の前に監査チームで所見をまとめる時間を必ず確保しておきます。
初回会議で目的と範囲をそろえる
最初に、次の4点を被監査部門と確認します。
- 監査チームの紹介
- 今回の目的と範囲
- 当日の流れ
- 最終会議の時刻
ここで「粗探しではなく、仕組みがうまく回っているかを一緒に確かめる場」であることを伝えると、その後のインタビューで本音が出やすくなります。
聞く・見る・調べるで証拠を集める
監査で扱うのは、意見ではなく検証できる証拠です。JIS Q 19011の監査の原則にも「証拠に基づくアプローチ」があり、信頼性と再現性のある結論に至るための方法とされています。証拠の集め方は、聞く、見る、調べるの3つに分けられます。
3つの情報源を組み合わせ、たどる方向も使い分けます。
例えば出荷製品の検査記録を1件選び、使った測定器、作業者の力量、図面の版までさかのぼる。
※出典:日本規格協会 JIS Q 19011:2019 規格改正説明会資料(情報源の選択、監査での調査の順番)をもとに作成。
インタビューは、部門の管理職だけでなく、実際にその作業を担当している人に行うのが基本です。管理職の説明と現場の説明が食い違うところは、仕組みが伝わっていない可能性がある場所なので、丁寧に確かめます。
下流から上流へたどる方法は、特に有効性を見るときに役立ちます。結果から出発すると、手順書の上では見えなかった抜けが具体的な1件として浮かび上がるためです。
クレームや不良の記録を1件選んで、その対応が手順どおりに行われ、再発していないかを追うのも同じ考え方です。
サンプリングと現場での注意
記録を全部見ることはできないので、サンプルを選んで確認します。内部監査では統計的なサンプリングより、監査員の判断で選ぶことがほとんどです。直近の記録だけでなく、次のような時期の記録を意図して選ぶと、仕組みの弱いところに当たりやすくなります。
- 繁忙期
- 担当者が交代した時期
- 変更があった直後
現場では、見たこと、聞いたこと、記録の番号や日付をその場でメモしておきます。後で指摘を書くときに「どの記録の、どの箇所か」が特定できないと、不適合の根拠として弱くなるためです。
最終会議で所見を共有する
監査の最後に、監査チームで所見を整理してから被監査部門と最終会議を開きます。不適合の内容と根拠を説明し、事実に誤認がないかを被監査部門と確認します。
その場で事実関係の合意をとっておくことが、後の是正処置をスムーズにします。よくできていた点もあわせて伝えると、監査への協力が次回以降も得やすくなります。
ステップ5|指摘を書く
監査で分かったことを、監査基準と比べて判定した結果を監査所見と呼びます。所見には良い面も悪い面も含まれますが、報告書で扱いに差が出るのは不適合と、不適合ではないが改善の余地がある事項です。
所見の3つの分類
多くの会社では、所見を重大な不適合、軽微な不適合、観察事項(改善の機会)の3つに分けて扱います。規格が分類の名前を決めているわけではないので、社内規程で呼び方と判断基準を定めておきます。
重さによって、是正処置の求め方と期限が変わります。
※分類の名前と基準、是正の期限は社内規程で決めます。重大なものほど期限を短く設定し、早く確認するのが一般的です。
観察事項は是正処置の義務がない分、軽く扱われがちです。ただ、変更が多い職場や人の入れ替わりが激しい職場では、観察事項が次回の不適合の予告になっていることが少なくありません。次回の監査計画に反映して、改善されたかを確かめるようにします。
「事実・基準・結論」で書く
不適合の記述は、何を見たか(事実)、何に照らしたか(基準)、どう判定したか(結論)の3つがそろって初めて、被監査部門が直すべきことを理解できます。
よくあるのは「文書管理が不十分である」のような書き方で、これでは何を直せばよいのか判断できません。
事実・基準・結論を分けて書くと、是正すべき点が特定できます。
※記述例は、ビジョンで回す博士の品質マネジメント「内部監査ガイド」の例をもとに再構成したものです。
書くときは、推測や感想を混ぜないことが基本です。「たぶん教育していない」「意識が低い」といった原因の推定は、不適合の記述には入れません。原因を調べるのは被監査部門の仕事であり、監査員が書くのは確認できた事実までです。
また、1つの事実から複数の要求事項に関係しそうなときは、最も直接の根拠になる基準1つに絞って書くと、是正の焦点がぶれません。人名は記録として必要な範囲にとどめ、個人を責める表現にならないように気をつけます。
ステップ6|報告・是正処置・フォローアップ

監査が終わったら、9.2.2 d)に沿って結果を関連する管理層に報告し、e)にあるとおり遅滞なく修正と是正処置を進めます。f)で求められているとおり、監査プログラムの実施と監査結果の証拠は記録として残します。
報告書に書くこと
報告書は不適合の一覧だけになりがちですが、JIS Q 19011は、次のような内容を含められるとしています。
- 監査計画
- 監査の要約
- 目的を達成したことの確認
- 監査範囲の中で監査しなかった領域
- 監査結論と主要な所見
- 特定された優れた実践事例
- 合意した処置計画のフォローアップ
なかでも「監査しなかった領域」と「優れた実践事例」は、書いておくと次の監査に効いてきます。
見られなかった範囲は次回の計画で拾えますし、うまくいっている部門のやり方は他部門へ横展開するきっかけになります。
報告を受けた経営層は、その内容をマネジメントレビューのインプットとして次年度の方針や資源配分に反映させます。
是正処置は原因まで掘り下げる
不適合への対応には、起きた問題そのものを直す「修正」と、原因を取り除いて再発を防ぐ「是正処置」の2つがあります。
箇条10.2では、不適合をレビュー・分析し、原因を明確にし、類似の不適合が他でも起きていないか、起きる可能性がないかを明確にすることを求めています。
例えば限度見本を使っていなかった不適合であれば、その検査員に注意するのは修正にすぎません。
限度見本が検査台から離れた場所に保管されていた、新人教育の項目に含まれていなかったといった原因にたどり着いて、初めて是正処置になります。原因の掘り下げには、なぜなぜ分析やQC七つ道具が使えます。
是正処置は、処置の内容、担当者、期限を決めて計画にします。取引先に提出するレベルの原因分析と再発防止の組み立て方は、8Dレポートの書き方が参考になります。

フォローアップで効果を確かめる
是正処置が終わったら、監査員または事務局が、処置が実施されたことと、それが効いていることを確認します。確認の時期は不適合の重さによって決め、重大なものほど早く確かめます。
処置を実施したという報告書だけで完了にするのではなく、一定期間の記録を見て同じ不適合が起きていないことを確かめてから閉じることが大切です。手順書を改訂しただけで終わっていないかは、次回の監査で現場の作業を見て確かめます。
内部監査が形骸化するよくある失敗
内部監査を何年も続けていると、毎年同じチェックリストで同じ書類を確認し、指摘ゼロで終わるという状態になりがちです。日本規格協会の解説資料では、規格が求めていないのに多くの組織が思い込んでいる事項として、次のような例が挙げられています。
- 内部監査は年1回など一定の頻度で行うもの
- 内部監査は部門単位で行い、毎回すべての部門を見るもの
- 内部監査は会議室で書類を見て行うもの
- トップマネジメントは内部監査の対象外
- チェックリストは必ず使うもの
- 報告書に書くのは不適合と改善の機会だけ
- 内部監査員には資格認定が必要で、必ず他部門の者を充てる
これらは社内のルールとして決めること自体は問題ありませんが、規格の要求だと思い込んで固定してしまうと、監査を変えにくくなります。
例えば、トップマネジメントは監査の依頼者でもある一方、組織の状況や方針を決めている当事者です。
経営層の話を聞かずに品質目標や方針の展開を監査するのは難しいため、形式は監査でなくても、対話の機会を監査プログラムに組み込む考え方があります。
もう一つよくある失敗は、指摘ゼロを良い結果と受け止めることです。指摘がないのは、仕組みが本当によくできているか、監査が浅いかのどちらかです。
前者であれば「なぜうまくいっているのか」を報告書に書いて横展開に使い、後者であれば監査プログラムの重点やチェックリストを見直します。
監査員自身の振り返りも欠かせません。JIS Q 19011は、監査の原則として次の7つを挙げています。
- 高潔さ:専門家であることの基礎
- 公正な報告:ありのままに、かつ正確に報告する義務
- 専門家としての正当な注意:監査の際の広範な注意と判断
- 機密保持:情報のセキュリティ
- 独立性:監査の公平性と監査結論の客観性の基礎
- 証拠に基づくアプローチ:信頼性と再現性のある結論に至る方法
- リスクに基づくアプローチ:リスクと機会を考慮する監査の進め方(2018年版で追加)
なかでもリスクに基づくアプローチは、図4で見た監査の濃淡づけと同じ考え方です。監査の計画、実施、報告のすべてで、組織にとって重要な事項に焦点を当てることが望ましいとされています。
監査が終わるたびに、監査員どうしで「今回の監査は重要なところを見られたか」を振り返ると、次の監査プログラムの精度が上がっていきます。
まとめ
- ISO9001の内部監査は、QMSが自社ルールと規格に適合し、有効に機能しているかを確かめる活動
- 進め方は、監査プログラム、監査計画、チェックリスト、当日の監査、指摘の記述、報告・是正の6ステップ
- 監査プログラムは、プロセスの重要性・変更・前回結果で頻度と深さに濃淡をつける
- 当日は聞く・見る・調べるで証拠を集め、結果から計画へさかのぼると有効性が見える
- 指摘は事実・基準・結論で書き、是正処置は原因まで掘り下げて効果を確かめてから閉じる
内部監査は、品質保証部門だけでなく製造や設計の担当者が監査員を務めることも多く、自部門以外の仕事の流れを知るよい機会にもなります。
品質保証の役割全体は品質保証・品質管理とはで、監査員の経験を活かせる資格やキャリアは品質保証・品質管理に必要なスキル・資格とキャリアパスで整理しています。
出典
出典・参考資料(8件)を開く出典・参考資料を閉じる
- ISO 9001:2015 箇条9.2の条文、JIS Q 19011:2019の監査の原則・監査の実施・報告書・力量:日本規格協会「マネジメントシステム監査の指針 JIS Q 19011:2019 規格改正説明会」資料
- ISO 9001:2026の発行日と移行期間:ISO/TC 176「News and updates(ISO 9001:2026 has been released!)」
- ISO 9001:2026の発行:アールアンドイー「ISO 9001:2026が発行されました」
- 2026年版の9.2.2の変更点とJIS版の発行予定:日本化学キューエイ「ISO9001 / ISO14001 規格改定動向のお知らせ【2026年9月16日更新】」、ISOコム「ISO9001:2026 改訂の変更点と最新情報」
- 所見の分類、事実・基準・結論による記述:ISO認証ナビ「内部監査の不適合とは?指摘の書き方と是正処置のポイント」
- 不適合の記述例:ビジョンで回す博士の品質マネジメント「内部監査ガイド:内部監査の基準と不適合の記述例」
- 事前通知、質問の例:アイアール技術者教育研究所「内部監査とは?目的、進め方、質問例」
- 監査員に必要な知識とフォローアップの時期:J-VAC「【ISO9001】9.2 内部監査(2)」
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