交替勤務の工場で男性育休は取れる?現場が回る代替要員の考え方

早朝のシフト交替で工場の入口へ向かう作業服の従業員

交替勤務(日勤と夜勤などを班で入れ替えて働く勤務)の工場では、班の人数がぎりぎりに組まれ、1人休めば誰かが休日出勤で埋めることがよくあります。そのため、男性が育休(育児休業)を申し出る前にあきらめてしまう例も少なくありません。

一方で、製造業の男性の育休取得率は48.7%で、全産業の平均(40.5%)を上回っています。育休は法律で保障された権利で、会社は忙しさを理由に断れません。

取れるかどうかを分けているのは業種ではなく、抜けた穴をどう埋めるかを事前に決めているかどうかです。

この記事では、交替勤務の職場で男性育休を取るための考え方を、制度と2025年の改正、取りにくくなる原因、代替要員の考え方、申出から復帰までの段取り、使える工夫と助成金という順で整理します。

目次

交替勤務の工場でも男性育休は取れる

父親の指を握る生まれたばかりの赤ちゃんの手

厚生労働省の「令和6年度雇用均等基本調査」によると、男性の育児休業取得率は40.5%でした。前年度の30.1%から10.4ポイント上がり、過去最高を更新しています。

産業別に見ると、製造業の男性は48.7%で、全産業の平均より8ポイントほど高い水準です。建設業の35.5%や運輸業・郵便業の30.5%と比べても高く、「製造業だから取れない」という状況ではなくなりつつあります。

図1:男性・女性の育児休業取得率(令和6年度)

製造業の男性は48.7%で、全産業平均の40.5%を上回っています。

男性(製造業)48.7%
男性(全産業)40.5%
男性(全産業・前年度)30.1%
女性(製造業)94.4%
女性(全産業)86.6%

※令和4年10月〜令和5年9月に本人または配偶者が出産した人のうち、令和6年10月1日までに育休(産後パパ育休を含む)を開始した人の割合。出典:厚生労働省「令和6年度雇用均等基本調査」

ただし、この数字は「育休を1日以上取った人」の割合です。育休を開始した男性のうち6割(60.6%)は産後パパ育休を使っており、出生直後の短い期間に取る形が中心と考えられます。

数日だけ取るのか、数週間まとまって休むのかで、職場に求められる準備はまったく違ってきます。

法律の面では、事業主は要件を満たした労働者からの育休の申出を拒めません。厚生労働省の「育児・介護休業法のあらまし」では、経営困難や事業繁忙といった理由では拒めないと明記されています。

例外は、労使協定で継続雇用1年未満の人などを対象外にしている場合に限られます。

つまり「代わりがいないから無理」は、会社が申出を断る理由にはなりません。そのうえで職場としては、休む人が出ても安全と品質を落とさずにラインを回す準備が必要になります。この準備の中身が、本記事でいう「代替要員の考え方」です。

知っておきたい育休の制度と2025年の改正

代替要員を考える前に、どの制度をどのくらいの期間使えるのかを押さえておきます。休む期間と申出の時期が分かれば、職場側がどれだけ前から準備できるかが見えてきます。

産後パパ育休と育児休業の違い

男性が使える休業は、大きく「産後パパ育休(出生時育児休業)」と通常の「育児休業」の2つです。産後パパ育休は子の出生後8週間以内に最大4週間(28日)まで、2回に分けて取れます。申出は原則として休業の2週間前までです。

通常の育児休業は原則として子が1歳になるまでで、こちらも2回に分けて取得できます。申出は原則1か月前までです。2つの制度は別枠なので、合わせると最大4回に分けて休めることになります。

図2:産後パパ育休と育児休業の違い

別枠の制度なので、組み合わせて最大4回に分けて休めます。

産後パパ育休
(出生時育児休業)
育児休業
取れる期間
子の出生後8週間以内に4週間(28日)まで
原則、子が1歳になるまで(最長2歳)
分割
2回まで
2回まで
申出の期限
原則、休業の2週間前まで
原則、休業の1か月前まで
休業中の就業
労使協定がある場合に限り、本人が合意した範囲で可(上限あり)
原則不可
給付
出生時育児休業給付金(67%)
育児休業給付金(180日目まで67%、以降50%)

※労使協定で、産後パパ育休の申出期限を2週間超〜1か月以内に定めることもできます。出典:厚生労働省「育児・介護休業法のあらまし」、同「育児休業等給付の内容と支給申請手続」

交替勤務の職場にとって大きいのは、産後パパ育休だけに休業中の就業が認められている点です。労使協定を結んでいれば、本人が合意した範囲で、休業中に一部の日だけ出勤してもらうことができます。

給付の面でも就業日数には上限があり、28日休んだ場合は10日(10日を超える場合は80時間)までです。便利な仕組みですが、実質的に休めなくなっては本末転倒です。あくまで本人の希望が先で、会社から出勤を求める使い方は避けるべきでしょう。

給付は手取り10割相当まで上がった

「休むと収入が減るから取らない」という声は、交替勤務の職場で特に多く聞かれます。深夜勤務の割増賃金や交替手当があると、休んだときの減収が大きく感じられるためです。

この点は2025年4月に大きく変わりました。

新たに出生後休業支援給付金が創設され、子の出生後8週間以内に本人と配偶者がそれぞれ通算14日以上の育休を取ると、最大28日分について賃金の13%が上乗せされます。

配偶者が産後休業中や無業、自営業などの場合は配偶者の育休は要件とされないため、出産した妻が産後休業中なら、夫が14日以上休めば対象になります。

図3:出生後8週間以内に休んだときの給付の積み上がり

基本の67%に13%が上乗せされ、合計80%になります。

出生時育児休業給付金/育児休業給付金 67%休業開始時の賃金日額 × 休業日数 × 67%
出生後8週間以内に本人が通算14日以上休む(配偶者の要件あり)と上乗せ
出生後休業支援給付金 13%(最大28日分)2025年4月1日に創設。配偶者が産後休業中・無業・自営業などの場合は、配偶者の育休を要件としない
合計
給付率80%休業中は社会保険料が免除され、給付は非課税
社会保険料の免除と非課税を合わせると、手取りで休業前のおおむね10割相当。ただし賃金日額には上限額がある。

※出典:厚生労働省「育児休業等給付の内容と支給申請手続(2026年8月1日改訂版)」

給付の計算の元になるのは、休業開始前6か月間に支払われた賃金(賞与などは除く)です。毎月の交替手当や深夜割増も、この賃金に含まれます。

「2週間以上、出生後8週間以内」が上乗せの目安になるため、職場側も最低2週間の穴を埋める前提で準備しておくと話が早くなります。

2025年4月・10月の改正で変わったこと

育児・介護休業法は2024年5月に改正され、2025年4月と10月の2段階で施行されました。交替勤務の職場に関係が深いのは、取得状況の公表義務の拡大と、子が3歳から小学校に入るまでの「柔軟な働き方を実現するための措置」です。

図4:2025年の改正で工場の人事・現場に関わる主な変更点

4月は「取らせる仕組み」、10月は「復帰後の働き方」が中心です。

2025年4月1日施行
01取得状況の公表義務を拡大男性の育休取得率の公表が、常時雇用1,001人以上から301人以上の企業へ
02残業免除の対象拡大請求できる対象が、3歳未満から小学校就学前の子を育てる人へ
03子の看護等休暇の見直し小学3年生修了まで。学級閉鎖や入園・入学式、卒園式にも使える
04行動計画に数値目標次世代法で、101人以上の企業は男性の育休取得状況などの数値目標を設定
2025年10月1日施行
05柔軟な働き方の措置3歳〜就学前の子について、5つの選択肢から2つ以上を会社が用意する
06個別の意向聴取と配慮妊娠・出産の申出時などに、勤務時間帯や勤務地の希望を聞いて配慮する

※出典:厚生労働省「育児・介護休業法 令和6年(2024年)改正内容の解説」

10月施行の措置は、次の5つから2つ以上を選ぶ仕組みです。

  • 始業時刻等の変更
  • テレワーク等
  • 保育施設の設置運営等
  • 養育両立支援休暇
  • 短時間勤務

厚生労働省のQ&Aでは、シフト制を含む交替制勤務の人も対象と示されています。

同じQ&Aでは、早番と遅番がある職場で希望者を早番だけにする措置は「始業時刻等の変更」に当たるとの例が挙げられています。

また、事業所単位やライン単位、職種ごとに措置の組み合わせを変えてもよいとされます。逆に、ラインの人が使えないと分かっている措置だけを用意しても、義務を果たしたことにはなりません。

子の看護等休暇には、交替勤務ならではの注意点もあります。流れ作業や交替制勤務で時間単位の取得が実際に難しい業務は、労使協定で時間単位の対象外にできます。ただし1日単位の取得は拒めず、半日単位を認めるなどの配慮が求められています。

交替勤務の職場で育休が取りにくい5つの原因

作業者が持ち場に並ぶ自動車部品の組立ライン

制度が整っても、現場で「言い出しにくい」「抜けたら回らない」という状況は残りがちです。厚生労働省の改正解説でも、男性が育休を取らない理由として、職場の取りづらい雰囲気や業務の都合が挙げられています。

交替勤務の工場に当てはめると、原因はおおむね次の5つに分けられます。

図5:交替勤務の職場で育休が取りにくくなる5つの原因

1〜4は仕組みの問題、5は職場の空気の問題です。

原因1定員ぎりぎりの班編成持ち場の数と班の人数が同じで、1人抜けると年休でも回らない
原因2持ち場・資格の属人化その工程や設備を扱えるのが班に1人だけ。フォークリフトなどの資格者も限られる
原因3勤務サイクルとの噛み合わせ休業の開始と終了が班のサイクルの途中にかかり、勤務表の組み替えが複雑になる
原因4出産日が読めない予定日の前後にずれるため、いつから穴が開くかを直前まで確定できない
原因5雰囲気と評価への不安前例がない、班長が休まない、休むと評価や昇格に響くのではという不安

※原因1・2が重なるほど、代替要員の準備に時間がかかります。

原因1:定員ぎりぎりの班編成

連続操業のラインでは、持ち場の数だけ人を配置し、班ごとに勤務サイクルを回すのが一般的です。班の人数と持ち場の数が同じだと、育休どころか年次有給休暇でも誰かの休日出勤や残業で埋めることになります。

この状態は育休に限った問題ではありません。急な病欠や忌引でも同じことが起き、特定の人に負担が集中しています。班の余力のなさは、工場の残業が減らない原因とも根が同じです。

原因2:持ち場・資格の属人化

人数は足りていても、その工程を任せられる人が班に1人しかいない、というケースもよくあります。設備の立ち上げや段取り替え、品質判定など、経験の必要な持ち場ほど属人化しやすい傾向です。

フォークリフト運転や危険物の取扱いなど、資格が必要な作業も同じ構造です。人数ではなく「できる人」の数で見ないと、穴の大きさを見誤ります。

原因3:勤務サイクルとの噛み合わせ

交替勤務では、班ごとに日勤・夜勤・休みが決まったサイクルで回ります。休業の開始日や終了日がサイクルの途中にかかると、前後の勤務の入れ替えや、夜勤明けからの連続勤務のチェックが必要になります。

代わりに入る人の勤務が夜勤明けからすぐ日勤になるなど、無理な並びが生まれやすいのも交替勤務の特徴です。応援する側の睡眠や体調への配慮は、交替勤務の体調管理の観点からも欠かせません。

原因4:出産日が読めない

出産は予定日どおりになるとは限りません。産後パパ育休は出生日を起点にするため、いつから穴が開くかが直前まで確定しないのが現場泣かせの点です。

勤務表は1か月前後の単位で組むことが多く、1週間ずれるだけで組み直しが発生します。「予定日の前後2週間は、どの日から休みに入っても回せる体制」を先に作っておくのが現実的です。

原因5:雰囲気と評価への不安

仕組みの問題が片付いても、「前例がない」「班長が一度も休んでいない」という職場では言い出しにくさが残ります。休んだことで評価や昇格に響くのではないかという不安もあるでしょう。

育休の申出や取得を理由とした不利益な取扱いは、法律で禁止されています。管理職が先に取る、取った人の事例を共有するといった取り組みは、法律上の雇用環境整備の措置(研修、相談窓口、事例の提供、方針の周知のいずれか)とも重なります。

現場が回る代替要員の考え方

ベテラン作業者が若手にマシニングセンタの段取りを教える様子

代替要員というと「誰か1人を連れてくる」ことを想像しがちですが、交替勤務の職場では穴を複数の方法で分けて埋めるのが基本です。まず穴の大きさを測り、次に埋め方を選び、最後に期間に合わせて組み合わせます。

まず「抜ける穴」の大きさを測る

穴の大きさは「休む期間」×「勤務予定のシフト数」×「持ち場の難しさ」で決まります。例えば4組3交替の職場では、各班が勤務するのはおおむね4日に3日です。28日間の産後パパ育休なら、勤務表上の穴は約21シフト分になります。

次に、その人の持ち場を担当できる人が班内と他班に何人いるかを数えます。ここで役立つのが、作業ごとに誰がどのレベルでできるかを一覧にしたスキルマップ(力量表)です。

「代わりに入れる人が班内に2人以上いる持ち場」と「1人もいない持ち場」では、打ち手がまったく違ってきます。

穴の埋め方は4通り

穴の埋め方は、班の中で吸収する方法から外部の人を雇う方法まで、おおむね4通りに整理できます。準備にかかる時間とコストは、下にいくほど大きくなります。

図6:代替要員の4つの埋め方と向いている期間

短期は班の中で、長期ほど外から人を入れる方向で考えます。

やり方
向いている期間・注意点
①班内の多能工でカバー
班内で持ち場を回し、負荷の低い作業を一時的に止める・減らす
数日〜2週間程度。多能工が育っていることが前提。特定の人に負担が偏らないようにする
②班をまたぐ応援・シフト振替
他班の人が休日の一部に入る、勤務日を入れ替える
2〜4週間程度。休日出勤が続かないよう人数で分散し、勤務間の休息を確保する
③リリーフ要員・間接部門
班に属さない応援要員や、現場経験のある技術・品質部門の人が入る
数週間〜数か月。平時から持ち場の訓練をしておく必要がある
④新規雇用・派遣
期間従業員や派遣社員を受け入れ、既存の人を難しい持ち場へ回す
数か月以上。採用と教育に時間がかかるため、休業の2〜3か月前には動き出す

※期間は目安です。持ち場の難しさや安全上の資格要件によって変わります。

新しく入った人を、いきなり休む人の持ち場に入れるのは無理があります。多くの場合は、ベテランを難しい持ち場へ移し、空いた比較的やさしい持ち場に新しい人を入れる「玉突き」の配置になります。

この玉突きを前提に訓練の順番を決めると、準備が無駄になりません。

期間と組み合わせて設計する

実際には、1つの方法だけで埋めるより、組み合わせるほうが無理がありません。例えば2週間の育休なら、前半を班内の多能工で、夜勤の数シフトだけを他班の応援で埋める、といった形です。

1か月を超える育休では、応援だけで埋めようとすると応援する側の休日出勤が続き、今度はその人たちが疲弊します。期間従業員や派遣の受け入れ、リリーフ要員の配置を早めに決めておくことが、職場全体の負担を下げる近道です。

代替要員の問題は、育休のためだけの特別対応ではありません。病欠や介護、退職にも同じ仕組みがそのまま効きます。育休の準備を、班の余力をつくる機会と捉えると、現場の理解も得やすくなります。

取得までの段取り|申出から復帰まで

工場の通路脇で朝礼をする班のメンバー

交替勤務の職場では、休む本人と班長、勤務表を組む人、人事の4者が早い段階で情報をそろえることが大切です。妊娠の報告から復帰後の働き方までを、7つのステップに分けて整理します。

図7:男性育休の申出から復帰までの7ステップ

出産予定日の半年前から動き出すと、代替要員の準備に余裕が出ます。

出産予定日の6〜3か月前
01妊娠の報告本人が班長・上司に伝える。早いほど準備の選択肢が増える
02個別周知・意向確認会社が制度と給付を説明し、取得の意向と勤務の希望を聞く(義務)
03休業計画を決める期間と分け方を、班の勤務サイクルに合わせて仮決めする
出産予定日の3か月〜2週間前
04穴を特定するスキルマップで、代わりに入れる人が少ない持ち場を洗い出す
05代替配置と引継ぎ多能工訓練、応援の割り振り、必要なら採用。申出書を提出
休業中〜復帰後
06休業中出生日に合わせて開始日を確定。連絡の頻度は事前に決めた範囲に
07復帰と働き方の選択残業免除や早番固定など、復帰後の制度も合わせて確認する

※申出の法定期限は、産後パパ育休が原則2週間前、育児休業が原則1か月前です。職場の準備のためには、それより早く相談するのが望ましいでしょう。

本人がやること

本人にとって最も効果があるのは、報告を早めることです。安定期に入ったころに班長へ伝えておけば、多能工の訓練や採用に数か月の余裕ができます。

休業期間の希望も、「出生後すぐに2週間、配偶者の職場復帰に合わせてもう一度」など、分割のイメージを添えると勤務表に落とし込みやすくなります。

引継ぎでは、自分しか知らない段取りや設備の癖を書き出しておくと安心です。日々の作業手順が標準化されていれば、引継ぎは確認だけで済みます。

班長・職場がやること

班長は、休業期間中の勤務表の案を早めに作り、穴が特定の人に偏っていないかを確認します。応援を頼む他班の班長や、生産計画を組む部門とも共有しておくと、繁忙期と重なった場合の調整がしやすくなります。

会社側には、本人や配偶者の妊娠・出産の申出を受けたら、制度を個別に知らせて取得の意向を確認する義務があります。

2025年10月からは、勤務時間帯や勤務地などの希望を聞き、配慮することも求められています。交替勤務の人なら、復帰後に夜勤を減らしたいかといった希望もこの場で聞いておけます。

休みやすくする工夫と使える助成金

最後に、交替勤務の職場で育休を取りやすくするための工夫と、会社が使える公的な支援をまとめます。どれも小さな工夫ですが、組み合わせると現場の負担はかなり変わります。

分割取得を勤務サイクルに合わせる

産後パパ育休と育児休業は、それぞれ2回まで分けて取れます。この分割を班の勤務サイクルの区切りに合わせれば、休業の開始と終了で勤務表を大きく組み替えずに済みます。

例えば出生直後に2週間、配偶者が職場に戻るタイミングでもう一度、という取り方です。1回あたりの穴が小さくなるため、班内の多能工や応援で埋めやすくなります。

出生後休業支援給付金の上乗せを受けるには、出生後8週間以内に通算14日以上が必要な点も念頭に置いておきましょう。

復帰後は早番固定や残業免除も選べる

育休が明けた後も、交替勤務と保育園の送り迎えの両立は簡単ではありません。2025年4月からは、小学校に入るまでの子を育てる人が残業免除を請求できるようになりました。

10月からの柔軟な働き方の措置では、先に触れたとおり「希望者は早番のみ」といった設計も認められています。ラインごとに使える選択肢を決めておくと、復帰する人も職場も見通しを持てます。

代替する側への手当と助成金

育休の穴を埋める人に何の見返りもなければ、「休む人が得をして、残った人が損をする」という不満が生まれます。業務を代わりに担う人へ手当を出す仕組みは、職場の納得感を高めるうえで効果的です。

国も、こうした取り組みを両立支援等助成金で後押ししています。コースごとに企業規模の要件は異なりますが、男性の育休取得を進めた企業や、代替する社員への手当・代替要員の新規雇用を行った企業に助成金が支給されます。

図8:男性育休と代替要員に使える主な助成金

両立支援等助成金のうち、交替勤務の職場に関係が深い2つのコースです。

出生時両立支援コース(子育てパパ支援助成金)
取得の後押し雇用環境の整備や業務体制の整備をしたうえで、男性が子の出生後8週間以内に一定日数以上の育休を取った場合などに支給。令和8年度は、取得率の上昇等に対する支給の対象が、業種を問わず常時雇用300人以下または資本金3億円以下の事業主(特定事業主)に広がった
育休中等業務代替支援コース
代替要員育休や時短勤務の人の業務を代わりに担う社員への手当、または代替要員の新規雇用・派遣受け入れに支給。令和8年度は、手当の算定対象を代替期間24か月分までに延長し、代替期間1年以上の新規雇用の区分(81万円)を新設

※支給額と要件は年度ごとに改正されます。申請前に厚生労働省や都道府県労働局の最新の案内を確認してください。

助成金には、就業規則への規定や事前の計画など、取得より前に済ませておくべき要件があります。育休が決まってから調べ始めると間に合わないこともあるため、人事は制度を先に整えておくことが大切です。

常時雇用301人以上の企業は、男性の育休取得率を毎年公表する義務があります。くるみん認定などとあわせて、求職者が職場の実態を見る材料にもなっています。

数字で見る会社選びについては、製造業の優良企業の見分け方でも紹介しています。男女を問わず両立しやすい職場づくりの全体像は、製造業のダイバーシティと女性活躍もあわせてご覧ください。

まとめ

この記事のまとめ
  • 製造業の男性の育休取得率は48.7%で、全産業平均の40.5%を上回る
  • 育休の申出は、繁忙や代わりがいないことを理由に会社が拒むことはできない
  • 2025年4月から、出生後8週間以内に14日以上休むと(配偶者の要件あり)給付が手取り10割相当に
  • 代替要員は、班内の多能工、班間応援、リリーフ要員、新規雇用の4通りを期間で組み合わせる
  • 早めの報告、スキルマップでの穴の特定、代替する側への手当が取りやすさを左右する

交替勤務の職場で育休を取りやすくする準備は、そのまま班の余力づくりにつながります。現場の働き方については製造オペレーターの仕事と交替勤務、職場を束ねる立場からは工場長・マネジメントに必要なスキルの記事が参考になります。

人が抜けても回る職場づくりの背景にある課題は、製造業の人手不足と採用難で数字とともに整理しています。

出典

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プラント機器メーカーとプラントメーカーで約10年、設備の提案・設計・試運転に携わったのち、Webマーケターに転身。現在はBtoB製造業専門のWebコンサルタントとして、メーカーの情報発信を支援しています。エネルギー管理士/第三種電気主任技術者。工業技術ブログを2017年から運営(500本以上執筆)、YouTube登録者約2万人、Xフォロワー約1万人。

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