量産が終わった部品の金型が、加工先の工場の棚に何年も置かれたままになっている。製造業では珍しくない光景で、発注側も受注側も「そういうもの」として続けてきた会社が少なくありません。
ところが、発注が長期間ないのに保管費用を払わずに型を保管させ続けると、法律上の問題になるおそれがあります。中小受託取引適正化法(取適法。2026年1月に下請法から改正)が禁じる「不当な経済上の利益の提供要請」に当たりうるためです。
受注側から請求がなくても同じです。公正取引委員会の勧告は、2025年度だけで26件が型の保管に関するものでした。
この記事では、どのような場合に問題になるのか、自社の取引は対象か、勧告事例で何が指摘されたのかを公的資料で確認します。そのうえで、無償保管が続く原因と、発注側・受注側それぞれの進め方を整理します。
金型の無償保管が問題になるのはどんな場合か
取適法は、発注側(委託事業者)が受注側(中小受託事業者)の利益を不当に害することを禁じています(第5条第2項第2号)。対象になるのは、受注側に「自己のために金銭、役務その他の経済上の利益を提供させること」で害する場合です。
型を預けること自体ではなく、保管にかかる費用を負担せずに保管させることが、この規定に触れる行為として扱われています。
公正取引委員会と中小企業庁のテキストは、この点を次のように説明しています。部品などの発注を長期間行わないといった事情があるのに、保管費用を支払わずに型を保管させることは、不当な経済上の利益の提供要請に該当します。
対象は金型だけではありません。金型、木型、治具、検具、製造設備などが「型等」としてまとめて扱われます。
保管費用として挙げられているのは、自社倉庫の使用料に相当する額、外部倉庫の使用料、倉庫などへの運送費、メンテナンス費用などです。型は置いておくだけでも場所をふさぎ、さびを防ぐ手入れも要るので、その負担を誰が持つのかが問われます。
では「発注を長期間行わないといった事情」とは何か。公正取引委員会の「よくある質問コーナー」は、これまでの主な違反事例で認められた事情として、次の4つを挙げています。
こうした事情があるのに無償で保管させた場合、違反となり得るとされています。
※公正取引委員会「よくある質問コーナー(取適法)」Q119をもとに作成。事情は個別の事案ごとに異なるとされており、4つがそろうことが条件ではなく、当てはまらなければ問題がないという意味でもありません。
注意したいのは「1年」の読み方です。1年は違反事例に出てきた期間であって、1年未満なら無償で保管させてよいという線引きではありません。
公正取引委員会は、「型の最終稼働後1年間は無償で保管させてよいと思っていた」という認識を示す発注側がみられるとしています。そのうえで、保管費用は保管期間に応じて支払う必要があると説明しています。
受注側が所有する型でも対象になる
対象になるのは、発注側が所有して貸与している型だけではありません。受注側が所有する型であっても、発注側が事実上管理している場合は同じ扱いになります。例として示されているのは、廃棄するには発注側の承認が要る、という取り決めがある場合です。
型の代金を部品単価に上乗せして回収する取引では、型の名義が受注側に残ることがあります。名義が受注側にあるからといって、保管費用の問題がなくなるわけではない点は、発注側が見落としやすいところです。
請求がなくても支払いが必要になる
もう一つ見落とされやすいのが、請求の有無です。「受注側から請求がなければ保管費用を支払う必要はないと思っていた」という認識も、公正取引委員会は発注側にみられる例として同じ箇所で取り上げています。
保管費用は、請求の有無にかかわらず、保管期間に応じて支払う必要があるというのが公的資料の説明です。
ここでいう保管期間は、型を使う部品の発注が行われていない期間を指します。
稼働状況を型ごとに常に追うのが双方にとって過度な負担になる場合は、別の方法も認められています。協議のうえ、年度ごとに発注状況を確認し、その年度の保管期間に応じた費用をまとめて支払う方法です。
自社の取引は対象になるのか
取適法が適用されるかどうかは、取引の内容と、発注側・受注側の規模の組み合わせで決まります。型の保管が問題になるのは、主に部品などの製造委託です。製造委託では、次の組み合わせに当てはまる取引が対象になります。
資本金の基準に当てはまらない取引には、従業員数の基準が使われます。
※製造委託の場合。従業員基準は2026年1月の改正で追加されたもので、資本金基準が適用されない取引に使われます。子会社を通じた再委託に適用される場合もあります。
従業員基準が加わったことで、資本金が小さくても従業員の多い会社が発注側として対象に入るようになりました。「うちは資本金が小さいから関係ない」という判断は、改正後は通用しない場合があります。
改正でもう一つ変わったのは、製造委託に含まれる型の範囲です。以前は金型の製造を委託する取引だけが対象でしたが、改正後は木型や樹脂型、治具などの製造を委託する取引も対象になりました。
木型は木でつくった型のことで、鋳造や成形といった加工技術によって、使う型の種類は変わります。
ただし、これは型そのものを「つくってもらう」取引の話です。部品の製造委託に伴う型の保管については、改正の前から木型や治具を含めて違反とされてきました。
型の製造委託の範囲と、保管が問題になる型の範囲は別の話なので、混同しないようにしてください。
取適法の対象にならない取引でも、国が定める「振興基準」は、より広い範囲の取引に型の無償保管をしないよう求めています。協議に応じない一方的な代金決定の禁止など、取適法のほかの変更点と価格交渉の進め方は、次の記事で扱います。

勧告事例では何が問題になったのか
公正取引委員会は、勧告を行った事案の概要を年度ごとの一覧で公表しています。2025年度(令和7年度)の勧告39件のうち、型の保管に関するものは26件でした。
事例の文面はほぼ共通で、「型を用いて製造する製品の発注を長期間行わないにもかかわらず、自己のために無償で保管させた」という趣旨の認定になっています。
業種は自動車部品に限りません。2025年度の一覧には、暖房・住宅設備機器、油圧機器、農業機械、射出成形機、電動工具などのメーカーが並びます。建材、配線用遮断器、熱交換器、段ボール・紙器、決済端末などのメーカーもあります。
規模も、受注側1社に1型を保管させていた事例から、102社に合計19,461個を保管させていた事例まで幅があります。
一覧を読むと、違反とされた行為はいくつかの型に分かれます。
保管そのもののほか、保管に付随する作業や費用も指摘されています。
※公正取引委員会「令和7年度における取適法の運用状況」別紙1と、令和8年度の勧告一覧(2026年9月29日現在)をもとに作成。
発注側の顧客やリース会社が所有する型を受注側に貸与していた事例でも、保管させていた発注側が勧告を受けています。型の持ち主が自社でないことは、費用を負担しない理由にはなっていません。
型以外でも、受注側に保管させていたものが同じ条項で問題にされた事例があります。
まとめて生産させた部品の在庫、各ロットの製品サンプル、20年間など所定の期間の品質記録の帳票類を、無償で保管させていた事例です。
「置いておいてもらう」ことの費用負担は、型に限らず見直しの対象になっています。
勧告で求められること
勧告の内容はおおむね共通しています。無償で保管させたことによる費用に相当する額を、公正取引委員会の確認を得たうえで速やかに支払うこと。
違反に当たることと今後行わないことを取締役会の決議で確認すること。発注担当者への研修など社内体制を整えること。
そして、採った措置を社内に周知し、取引先の受注側に通知することなどです。
勧告は原則として社名と違反事実の概要が公表されます。
支払われた保管費用の額が公表された事例もあります。自動車部品メーカーが16社に3,733個を保管させていた事例では、総額2,914万951円でした。
別の自動車部品メーカーが5社に415個を保管させていた事例では、総額1,925万5,498円です。
産業用モーターの部品で44社に600個を保管させ、棚卸作業も年2回行わせていた事例では、費用相当額は1,812万4,480円とされています。
ただし、保管の期間も型の大きさも事例ごとに違うため、これらの金額を割り算して「1型あたりの相場」とみることはできません。金額は双方の協議と実費の積み上げで決まるものです。
件数の推移
型の無償保管に関する勧告は、2022年度の1件から、2023年度3件、2024年度9件、2025年度26件へと増えました。年度は4月から翌年3月までで、公正取引委員会の公表値です。
いずれも型の保管を含む勧告の件数で、返品など別の違反行為とあわせて勧告された事案も1件と数えています。
2026年度については、公正取引委員会の勧告一覧(2026年9月29日現在)に載っている15件の概要を当サイトが数えました。その結果、9件が型の保管を含むもので、うち7件は7月の勧告でした。
2025年度は、勧告全体39件の3分の2を型の保管が占めました。
※型の保管を含む勧告の件数(年度は4月〜翌年3月)。2022〜2024年度は公正取引委員会・中小企業庁のリーフレット、2025年度は公正取引委員会「令和7年度における取適法の運用状況」による。2026年度は、公正取引委員会の勧告一覧(2026年9月29日現在、15件)にもとづく当サイトの集計で、年度途中のため通年の実績とは比較できません。なお、中小企業庁の振興基準改正の概要資料には2025年度を24件とする記載がありますが、ここでは公正取引委員会が年度の運用状況として公表した26件を用いています。
なお、2026年に入ってからの勧告の多くは、旧下請法の条文(第4条第2項第3号)が適用されています。改正法の施行前に行われた委託には改正前の法律が適用されるためで、不当な経済上の利益の提供要請を禁じる規定は取適法にも引き継がれました。
不当な経済上の利益の提供要請について、受注側に返還などが行われた額も見ておきます。2024年度の1億8,959万円から、2025年度は12億8,026万円に増えています。
これは運送や荷役を無償で行わせた事例なども含む類型全体の額ですが、この類型での是正が急に大きくなったことは読み取れます。
無償保管が続く原因
違反とされる行為がこれだけ明確になっても、現場で無償保管が残るのはなぜでしょうか。ここからは、公的資料に出てくる事例と、製造業の取引で一般にみられる事情をもとに、当サイトが考えられる原因を整理します。
統計で確かめられた原因ではありませんが、悪意というより、判断する人がいないまま時間が過ぎる構造があると考えられます。
一つめは、補給部品の存在です。量産が終わっても、修理用の部品の注文がいつ来るか分からないため、型を捨ててよいと言い切れる人がいません。年に数個の注文のために型を残すのか、まとめてつくって型を処分するのかを決めないまま、保管だけが続きます。
二つめは、廃棄を判断できる立場と、型が置かれている場所が離れていることです。
型の所有者や廃棄の承認者が完成品メーカーで、実際に保管しているのが二次の加工先という場合、間に立つ一次部品メーカーは自社だけでは決められません。
公正取引委員会の運用基準にも、受注側からの破棄の申請に「自社だけで判断することは困難」として長く返答しなかった事例が、違反行為の例として載っています。
間に立つ部品メーカーは、預ける側でもあり、預かる側でもあります。
※取引の段階ごとに、取適法の対象かどうかは図2の基準で個別に決まります。上流の回答が出ていないことを理由に、下流の保管費用の負担を先送りできるわけではありません。
三つめは、台帳がないことです。どの取引先に、どの型が、いつから置いてあるのかを発注側が把握していないと、費用の話を始めることもできません。
勧告事例で型の数が数千個にのぼるものが目立つのは、長年の積み残しが整理されてこなかったことをうかがわせます。
四つめは、受注側の言い出しにくさです。保管費用を請求したり廃棄を求めたりすると、次の仕事に響くのではないかと考え、黙って置き続ける会社もあります。
金型・加工業界の商流では、受注側の売上が特定の取引先に偏っている場合があり、そうした取引ではなおさら言い出しにくくなります。
請求がなくても支払いが必要、という公的資料の説明は、受注側から言い出しにくい取引の実態に合ったものといえます。
廃棄・返却・保管継続をどう決めるか
対策の出発点は、型ごとに行き先を決めることです。選択肢は廃棄、返却(発注側による回収)、保管継続の3つで、どれを選ぶかによって決めておくことが変わります。公的資料も、廃棄・回収するか、保管を続けるかを受注側と協議する必要があるとしています。
使用予定と承認者を確かめたうえで、3つのどれにするかを協議します。
判断の材料になるのは、今後の使用予定です。次回の発注時期を具体的に示せるか、補給部品として何年分の供給が必要か、まとめてつくって在庫で持つことはできないか。こうした点は購買だけでは決められず、営業やサービス部門、設計の確認が要ります。
承認者が社外にいる場合は、誰が確認し、いつまでに回答するかを決めておくことが大切です。上流の顧客が所有する型なら、自社から顧客への問い合わせの期限と、回答が出るまでの保管費用を誰が持つのかを、加工先との協議の中で明らかにしておきます。
「補給用なので残す」と決めた場合も、それで終わりではありません。保管の必要性、場所、期間、費用、次回の見直し日を別々に決めておくと、数年後に同じ型がまた判断のつかない状態に戻ることを防げます。
発注側の対策|型の棚卸しから覚書までの6ステップ
発注側の購買・調達部門が進める手順を、公的資料の考え方に沿って6つのステップにまとめます。以下は一般的な進め方の整理であり、この手順を踏めば違反にならないと保証するものではありません。
把握、協議、定着の3段階で進めます。
※公正取引委員会・中小企業庁のテキスト、よくある質問コーナー、振興基準の記載をもとに、当サイトが手順として整理したものです。
台帳は双方で照合できる項目にする
棚卸しでつくる台帳は、発注側の資産管理のためだけでなく、受注側のリストと突き合わせるためのものです。双方が同じ項目で持っていると、協議が早く進みます。最低限そろえたい項目は次のとおりです。
- 型の番号と対象の品番、型の種類(金型、木型、治具、検具など)
- 所有者(自社、受注側、顧客、リース会社)と、廃棄の承認者
- 保管している取引先と保管場所、おおよその大きさや占有面積
- 最終発注日と最終使用日(発注と実際の使用がずれることがあるため分けて持つ)
- 今後の使用予定(次回の発注時期、補給部品の要否)
- 協議の履歴(いつ、誰と、何を決めたか)と次回の見直し日
発注の実績と予定は、生産管理が持つ生産計画や補給部品の需要の情報と突き合わせて確認します。台帳を購買だけで閉じず、関係部門が更新できる形にしておくことが、積み残しを増やさないための条件です。
保管費用は費目と期間から組み立てる
保管費用について、公的に定められた単価はありません。公的資料が挙げる費目(倉庫の使用料相当額、外部倉庫の使用料、運送費、メンテナンス費用など)をもとに、受注側の実態を聞いて協議します。
先に決めるべきは金額よりも、どの型について、いつからいつまでの期間を、どの費目で計算するかです。
組み立て方のイメージとして、架空の想定例を示します。ある加工先に120型を預けており、18か月間発注がなかった場合の計算です。単価はすべて説明のために置いた仮の数字で、相場ではありません。
120型を18か月保管した場合。費目ごとに数量、期間、単価を並べます。
※架空の想定例です。面積や単価は実例や相場ではなく、実際の金額は受注側の実費と双方の協議で決まります。根拠にした資料(倉庫の賃料、作業時間の記録など)を残しておくと、後の見直しがしやすくなります。
期間の数え方や、どこまでを費用に含めるかは、事案によって判断が分かれる部分です。迷う点は、後で触れる相談窓口や、取適法に詳しい弁護士などの専門家に確認してください。
覚書と振興基準
経済産業省は2026年6月24日、受託中小企業振興法にもとづく「振興基準」を改正し、同日施行しました。
型を保管させる場合は、あらかじめ覚書を結ぶなどして、保管費用の支払いなどについて明示的に合意するよう努めることが書かれています。
図1と同じ4つの場面をはじめとする無償保管の要請を行わないこと、保管費用は請求の有無にかかわらず保管期間に応じて支払う必要があることも含まれます。
振興基準は、取適法の禁止行為そのものではなく、発注側と受注側がよるべき一般的な基準として国が定めるものです。取適法より広い取引が対象で、主務大臣による指導・助言の根拠になります。
取引の基本契約や発注から検収、支払までの流れを見直す際に、型の保管の条項も合わせて点検すると抜けがありません。
過去の分が見つかったとき
棚卸しの結果、すでに長期間の無償保管が見つかることもあります。
公正取引委員会は、一定の事由が認められる場合は勧告を行わない取扱いを示しています。たとえば、調査に着手する前に発注側が違反行為を自発的に申し出て、受注側の不利益を回復する措置をとっている場合です。
2025年度には、こうした自発的な申出が53件ありました(型の保管以外の違反行為を含む件数です)。
過去の分をどこまでさかのぼり、どう精算するかは個別の判断になります。社内だけで結論を出さず、公正取引委員会や中小企業庁の窓口、専門家に相談しながら進めるのが現実的です。
受注側の対策|預かっている型を見える化して伝える
受注側にできることは、実態を数字で示すことと、希望を記録に残る形で伝えることです。金型・加工業界の企業は中小規模が多く、型の保管場所は生産に使えるはずの面積を削っています。まずは預かっている型の全体像をつかみます。
預かっている型をリストにする
取引先ごとに、型の番号、品番、最後に使った日、置いている場所と面積、手入れにかけた時間や費用をまとめます。前の章の台帳と同じ項目にしておくと、発注側のリストと突き合わせやすくなります。
型の数だけでなく、占めている面積と手間を示すと、保管費用の話が具体的になります。
希望は書面で伝え、記録を残す
廃棄してほしい、引き取ってほしい、保管を続けるなら費用を協議したい、という希望は、口頭ではなくメールや書面で伝えます。書いておきたいのは、対象の型、最後の発注日、希望する扱い、回答がほしい時期です。
送った日付と相手の返答は、そのまま保存しておきます。
受注側が廃棄や引取りの希望を伝えていることは、公的資料が挙げる事情の一つです。ただし、希望を伝えていなければ問題にならないという意味ではありません。請求や申し出がなくても支払いが必要とされていることは、すでに見たとおりです。
返答がないからといって、預かっている型を自社の判断だけで処分するのは避けてください。所有者との間で別の問題になりかねないため、次に挙げる窓口に相談したうえで進めるのが安全です。
自社が預けている側でもないか確かめる
部品メーカーは、預かる側であると同時に、外注先に型や治具を預けている側でもあることがよくあります。
自社が図2の発注側の基準に当てはまる取引では、外注先に対して自社が発注側としての義務を負うことになります。取引先に求めることを、自社の外注先にも行えているかを点検してください。
相談できる窓口
取引先との話し合いで進まない場合や、自社の状況が問題に当たるのか判断がつかない場合は、公的な窓口を使えます。
- 取引かけこみ寺:中小企業庁の委託事業として全国48か所に設置されている相談窓口(2025年12月までの名称は下請かけこみ寺)。企業間取引の相談を受け付けており、弁護士による相談や裁判外紛争解決手続も行っている。フリーダイヤルは0120-418-618
- 公正取引委員会:取適法に関する相談窓口と、違反の疑いがある事実を知らせる申告の窓口がある
- 中小企業庁、各地の経済産業局:取適法に関する相談を受け付けている
受注側が公正取引委員会や中小企業庁などに違反の事実を知らせることもあります。取適法は、それを理由に発注側が取引の数量を減らしたり取引を止めたりすることを禁じています(第5条第1項第7号)。
相談するときは、型のリスト、発注の履歴、取引先とのやり取りの記録を用意しておくと、状況を説明しやすくなります。
まとめ
- 発注が長期間ないのに、保管費用を負担せずに型を保管させると、取適法の「不当な経済上の利益の提供要請」に当たるおそれがある
- 金型だけでなく木型、治具、検具、設備も対象。受注側が所有する型でも、廃棄に発注側の承認が要るなら同じ扱いになる
- 保管費用は請求の有無にかかわらず、保管期間に応じて支払う必要があるとされている
- 型の保管に関する勧告は2025年度に26件。2026年度も、勧告一覧(9月29日現在)を当サイトが数えたところ9件ある
- 発注側は棚卸しと協議、覚書、年度ごとの見直しを、受注側はリスト化と書面での申し出を進める
最初の一歩は、どの取引先にどの型があるのかを一覧にし、型ごとの承認者を確かめ、廃棄・返却・保管継続のどれにするかを協議の場に載せることです。
個別の取引が違反に当たるかどうかは事情によって変わるため、判断に迷うときは公正取引委員会や中小企業庁の窓口、取引かけこみ寺、専門家に確認してください。
関連する職種や業界の記事は、購買・調達、生産管理、金型・プレス・切削加工の各ページにまとめています。
出典
出典・参考資料(10件)を開く出典・参考資料を閉じる
- 法律の条文(第2条、第5条第2項第2号、第10条):e-Gov法令検索「製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律」
- 型等の保管の考え方、運用基準の違反行為事例、自発的申出の取扱い、相談窓口:公正取引委員会・中小企業庁「中小受託取引適正化法テキスト」(令和7年11月)
- 違反事例で認められた4つの事情、保管費用の支払いの留意点:公正取引委員会「よくある質問コーナー(取適法)」Q119
- 2022〜2024年度の型の無償保管に係る勧告件数:公正取引委員会・中小企業庁リーフレット「型の無償保管について、監視を強化しています」(令和7年11月13日現在)
- 2025年度の勧告件数、型関係26件、原状回復額、自発的申出、勧告事件の概要:公正取引委員会「令和7年度における取適法の運用状況及び中小事業者等の取引適正化に向けた取組」(令和8年6月10日)
- 2026年度の勧告事例:公正取引委員会「取適法勧告一覧(令和8年度)」(令和8年9月29日現在)
- 保管費用相当額が公表された事例:公正取引委員会「下請法勧告一覧(令和6年度)」、「下請法勧告一覧(令和5年度)」
- 振興基準の改正(2026年6月24日):経済産業省「受託中小企業振興法に基づく『振興基準』を改正しました」、中小企業庁「振興基準」
- 木型・治具などの製造委託への追加:公正取引委員会「2026年1月施行 下請法は取適法へ 改正ポイント説明会」資料
- 取引かけこみ寺:公益財団法人全国中小企業振興機関協会「取引かけこみ寺事業」
NEWSLETTER
選んだ職種・業種に合わせた記事を、週1回メールで
週刊MONOSCOPEは、登録時に選んだ職種・業種に合わせた記事を週1回お届けする無料のメルマガです。
職種・業種を選んで登録へ ›無料・週1回。登録後に届く確認メールのリンクを押すと登録が完了します。配信はメール内のリンクからいつでも停止できます。
WEEKLY NEWS
今週の製造業ニュース10選
メルマガは職種・業種に合わせた記事。LINEとnoteでは、全員共通の10本を毎週土曜の朝にお届けします。
LINEでニュース10選を受け取るnote今週のニュース10選をnoteで読む ›

コメント